JP5358161B2 - 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5358161B2 JP5358161B2 JP2008295663A JP2008295663A JP5358161B2 JP 5358161 B2 JP5358161 B2 JP 5358161B2 JP 2008295663 A JP2008295663 A JP 2008295663A JP 2008295663 A JP2008295663 A JP 2008295663A JP 5358161 B2 JP5358161 B2 JP 5358161B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- intermediate layer
- layer
- photosensitive member
- electrophotographic photosensitive
- fine particles
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
Description
一方、有機光導電性材料は、無機光導電性材料に比べて、感度、耐久性および環境に対する安定性などの点で若干劣るものの、毒性、製造コスト、材料設計の自由度などの観点から、近年では広く用いられている。
現在では、導電性支持体上に、中間層と、電荷発生層と電荷輸送層とがこの順で積層された積層型(機能分離型)感光層とがこの順で積層された構成が主流となっている。
中間層は、樹脂単独からなるものと、顔料を含有させた樹脂からなるものに大別される。
中間層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼインなどの水溶性樹脂、共重合ナイロン樹脂などのアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂など三次元網目構造を形成する熱硬化型樹脂などが挙げられる。
そこで、耐溶剤性、環境安定性に優れた三次元網目構造を形成する熱硬化型樹脂が採用された。
そこで、イソシアネート基がオキシムなどのブロック剤で保護されたブロックイソシアネート化合物を用いる方法が報告され、有機溶剤を用いた塗布液のポットライフはかなり改善されている(例えば、特開2005-115351号公報(特許文献4)参照)。
新たな解決手段として、特開2006−30699号公報(特許文献6)および特開2007−108665号公報(特許文献7)には、特定の電子輸送剤を用いることによって、帯電性と耐リーク性をバランスよく向上させる手段が記載されている。しかし、その手段により得られる効果は十分ではない。
前記中間層が、少なくともブロックイソシアネート化合物と、前記ブロックイソシアネート化合物中のイソシアネート基と反応可能な活性水素含有基を有する樹脂と、無機酸化物微粒子と、電子輸送剤とを水に溶解または分散させた中間層形成用塗布液を塗布および熱硬化することで得られ、10μmより大きくかつ50μm以下の厚さを有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
さらに、帯電性と導電性のバランスをもたらす無機酸化物微粒子および電子輸送剤を含むので、中間層の電気抵抗を容易に制御することができる。その結果として中間層の膜厚を10μmより大きくかつ50μm以下の範囲とすることができ、環境安定性と繰り返し特性や黒ポチなどの画像欠陥が防止され、すなわち耐リーク性が向上した、安定な性能の電子写真感光体を提供することができる。
また、水性溶媒を使用すると、水に親和性の高い樹脂の使用が望まれる。そのような樹脂を使用すると、電子写真感光体の耐湿特性を低下させることがある。しかし、耐湿性は、イソシアネート基と反応可能な活性水素を有する樹脂をイソシアネート化合物と熱硬化反応させることで樹脂中の親水性の官能基を減少させ、塗膜を硬化させて緻密化させることにより、改善することができる。改善の結果、優れた環境安定性が得られる。
また、電子輸送剤がアントラキノン系誘導体である場合、より安定性の高い電子写真感光体を提供することができる。更に、アントラキノン系誘導体が、アリザリンである場合、さらに安定な電子写真感光体を提供することができる。
また本発明によれば、繰り返し特性および環境安定性に優れた画像形成装置を提供することができる。
ブロックイソシアネート化合物は、水に溶解あるいは分散可能な有機イソシアネート化合物のイソシアネート基が、例えばオキシムなどのブロック剤で保護された化合物で、加熱により水酸基やアミド基などのイソシアネート基と反応可能な活性水素含有基を有する樹脂と付加反応を開始し、ブロック剤が外れて架橋反応が進む。すなわち、ブロックイソシアネート化合物は、樹脂の架橋剤となる。
これらの有機ポリイソシアネートの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートは、水との親和性を持たせやすく、そのため水への溶解・分散が容易で、また架橋密度を高めることも容易なことから特に好ましい。
これらのブロック剤の中でも、汎用性、製造の簡易さ、作業性の点から、メチルエチルケトオキシムなどのオキシム系化合物およびε−カプロラクタムなどのラクタム系化合物は特に好ましい。
したがって、ブロックイソシアネート化合物は、キサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートをオキシム系またはラクタム系のブロック剤でブロック化した構造を有するものが好ましい。
ブロックイソシアネート化合物としては、例えば、
住化バイエルウレタン株式会社製、製品名:バイヒジュールBL5140、BL5235およびVPLS2310;
三井化学ポリウレタン株式会社製、製品名:タケネートWB−700WB−820およびWB−920;
日本ポリウレタン工業株式会社製、開発品名:BWD−102
旭化成ケミカルズ株式会社製、開発品名:X1238、X1248およびX1258
などが挙げられる。
すなわち、硬化剤であるブロックイソシアネートと架橋構造を形成するために2つ以上の水酸基またはアミド基を有する(1つの官能基しか有さない場合には架橋構造とはならず、高分子量となる)ポリオール樹脂やポリアミド樹脂が好適である。また、これらポリオール樹脂やポリアミド樹脂の構造を制御することにより、良好に水に分散および溶解させることができ、さらにこれらの樹脂は基板との接着性が高く。感光体としたときの基板との接触不良による画像欠陥も効果的に防止できる。
日本ポリウレタン工業株式会社製、製品名:AQD−457およびAQD−473、旭硝子株式会社製、製品名:エクセノール420および720、三洋化成工業株式会社製、製品名:サンニックスGP−400、GP−700およびSP−750などのポリエーテルポリオール系樹脂;
日立化成工業株式会社製、製品名:フタルキッドW2343、DIC株式会社製、製品名:ウォーターゾールS−118、CD−520およびBCD−3040、ハリマ化成株式会社製、製品名:ハリディップWH−1188などのポリエステルポリオール系樹脂;
DIC株式会社製、製品名:バーノックWE−300、WE−304およびWE−306、亜細亜工業株式会社製、製品名:WAP−473−FDおよびWAP−548などのポリアクリルポリオール系樹脂;
株式会社クラレ製、製品名:クラレポバールPVA−203およびPVA−205などのポリビニルアルコール変性体のようなポリビニルアルコール系樹脂;
積水化学工業株式会社製、製品名:エスレックK KW−1およびKW−3などのポリビニルアセタール系樹脂;
信越化学工業株式会社製、製品名:メトローズ65SH−50および65SH−400などの水溶性セルロースエーテルのようなセルロース;
ナガセケムテックス株式会社製、製品名:トレジンFS−350およびFS−500などの水溶性ナイロン(ポリアミド化合物系樹脂)
などが挙げられる。
このモル比(H/B)が0.5未満の場合または1.5を超える場合には、未反応の官能基が多く残存して、架橋密度が低くなり、形成された中間層を有する感光体の環境安定性が低下することがある。
無機酸化物微粒子は、感光体としたときの中間層の体積抵抗値を調節し、導電性支持体から感光層へのキャリアの注入を防止すると共に、各種環境下での感光体の電気特性を維持する機能を有する。
無機酸化物微粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムおよび硫酸バリウムなどの微粒子が挙げられる。これらの中でも導電性や分散性の点で酸化チタン、酸化亜鉛および酸化アルミニウムの微粒子が好ましく、酸化チタンおよび酸化亜鉛の微粒子が特に好ましい。
無機酸化物微粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状のいずれであってもよい。
また、無機酸化物微粒子の平均一次粒径は、20〜500nm程度が好ましい。
石原産業株式会社製、製品名:TTO−55D(形状:粒状、平均一次粒径:30〜50nm)、TTO−D−1(形状:樹枝状、平均一次粒径:短軸30〜50nm、長軸200〜300nm)、ST21(形状:粒状、平均一次粒径(X線により測定):70nm)、PT401M(形状:粒状、平均一次粒径:70nm)およびCR−EL(形状:粒状、平均一次粒径:250nm)、
堺化学工業株式会社製、製品名:GTR100(形状:粒状、平均一次粒径:260nm)、
テイカ株式会社製、製品名:MT−500SAS(形状:粒状、平均一次粒径:35nm)およびJR603(形状:粒状、平均一次粒径:280nm)
などの酸化チタンの微粒子;
石原産業株式会社製、製品名:FZO50(形状:粒状、平均一次粒径:21nm)、
堺化学工業株式会社製、製品名:FINEX30(形状:粒状、平均一次粒径:35nm)、
テイカ株式会社製、製品名:MZ300(形状:粒状、平均一次粒径:30〜40nm)
ハイスイテック株式会社製、製品名:F2(形状:粒状、平均一次粒径:65nm)
などの酸化亜鉛の微粒子が挙げられる。
この重量比(P/R)が5/5未満の場合、中間層の特性が架橋樹脂(熱硬化後の樹脂)の特性に依存し、特に温湿度の変化および繰り返し使用において感光体特性が大きく変化することがある。一方、この重量比(P/R)が9/1を超える場合、無機酸化物微粒子の分散性が低下して凝集体が生じる可能性が高くなると共に、導電性支持体との接着性が低下して黒ポチなどの画像欠陥が発生することがある。
電子輸送剤としては、例えば、ペリレン系色素類、ピリリウム系色素、チオインジゴ類、ジフェノキノンやナフトキノンの誘導体あるいはナフタレンカルボン酸の誘導体などのキノン類、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノン、アリザリンなどのアントラキノン類が挙げられる。
中でも下記式(1−1)〜(1−8)であらわされるアントラキノン誘導体がのぞましい化合物群である。さらに、(1−7)で示されるアリザリンが好適である。
消泡剤は、中間層形成用塗布液にごく微量添加することによって泡を抑えることを目的としている。
中間層形成用塗布液のように溶剤として水を使用し、また特に水溶性の樹脂を添加する場合には、調製時の分散や攪拌により発泡して分散や攪拌効率を低下させるだけでなく、塗布時に発泡して塗膜欠陥を引き起こすことがある。消泡剤はこれらの問題を抑制することができる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系、界面活性剤系、ポリエーテル系、高級アルコール系、エマルション系、オイルコンパウンド系などが挙げられる。これらの中でも、破泡性の強いシリカ粉を含有しているオイルコンパウンド系が特に好ましい。
消泡剤は、架橋樹脂(ブロックイソシアネート化合物および樹脂の合計:R)1重量部に対して0.05〜0.0005重量部であるのが好ましい。
消泡剤が0.05重量部以上の場合、感光体の電気特性を悪化させることがあり、0.0005重量部未満の場合、有効な破泡効果が得られないことがある。
粘弾性調整剤としては、例えば、サンノプコ株式会社製、製品名:SNシックナー601、A816(ポリエーテル系)、SNシックナー607(ウレタン変性ポリエーテル系)、SNシックナー617(変性ポリアクリル酸系)、信越化学工業株式会社製、製品名:メトローズ65SH−4000のような水溶性セルロースエーテルなどが挙げられる。
防腐剤としては、例えば、サンノプコ株式会社製、製品名:ノプコサイドSN−135Wのような有機窒素硫黄系化合物などが挙げられる。
硬化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアミン系化合物;ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレートなどの有機スズ化合物が挙げられる。
水性媒体は、水、水と低級アルコールなどの親水性有機溶剤との混合媒体を意味するが、本発明においては水のみが好ましい。
中間層形成用塗布液の構成成分、特に無機酸化物微粒子を水に分散させるために、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどの一般的な分散機、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの一般的な粉砕機を用いてもよい。
分散安定剤としては、例えば、株式会社三洋化成製、製品名:キャリボンL−400、エレスタットAP 130、サンスパールPS 8、PDN−173、イオネットS−85およびニューポールPE−61、サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40、ノブコサントRFA、SNディスパーサント2060、5020、5029、5468、7347CおよびSNウェットP、日信化学工業株式会社製、製品名:サーフィノール104EおよびオルフィンPD−003、花王株式会社製、製品名:ポイズ520、530、ホモゲノールL 100、第一工業製薬株式会社製、シャロールAN−103P、AH−144P、ディスコートN−14、東邦化学工業株式会社製、製品名:ディブロジンA−100、ネオスコープ30などが挙げられる。
次に本発明の感光体について図面を用いて具体的に説明する。
図1〜3は、本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図2は、感光層が電荷輸送層と電荷発生層とがこの順で積層された逆二層型の積層型感光層である積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図3は、感光層が一層からなる単層型感光層である単層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図1および2の積層型感光層はいずれであってもよいが、図1の積層型感光層が好ましい。
図2の感光体は、導電性支持体1の表面に、中間層2と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層4と電荷発生物質を含有する電荷発生層3とがこの順で積層された逆二層型の積層型感光層5がこの順で形成されている。
図3の感光体は、導電性支持体1の表面に、中間層2と、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層5’がこの順で形成されている。
導電性支持体は、感光体の電極としての役割を果たすとともに、他の各層の支持部材としても機能する。
導電性支持体の構成材料は、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属および合金材料:ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、セルロース、ポリ乳酸などの高分子材料、硬質紙、ガラスなどからなる基体表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料または合金材料を蒸着したもの、導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウム、カーボンブラックなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどが挙げられる。
導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
乱反射処理は、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスにおいて本発明による感光体を用いる場合に特に有効である。すなわち、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、感光体の表面で反射されたレーザ光と感光体の内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像に現れて画像欠陥の発生することがある。そこで、導電性支持体の表面に乱反射処理を施すことにより、波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
中間層は、導電性支持体から単層型感光層または積層型感光層への電荷の注入を防止する機能を有する。すなわち、単層型感光層または積層型感光層の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生が防止される。特に、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりが発生するのが防止される。
中間層は、例えば、前述の中間層形成用塗布液を導電性支持体上に形成された中間層表面に塗布し、得られた塗膜を硬化することにより得られる。
塗布方法は、塗布液の物性や生産性などを考慮して最適な方法を選択すればよく、浸漬法、ブレードコーター法およびスプレー法が特に好ましい。
浸漬コーティング法は、塗布液を満たした塗布槽に導電性支持体1を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって導電性支持体1上に層を形成する方法である。この方法は比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
熱硬化は、熱風乾燥炉および遠赤外線乾燥炉などの公知の装置を用いて行うことができ、その条件は、用いるブロックイソシアネート化合物や樹脂の種類、配合割合などにより適宜設定すればよく、通常、温度は110〜150℃、好ましくは130〜150℃で、時間は10分間〜1時間程度である。
例えば、導電性の無機酸化物微粒子を含有する膜厚10〜40μmの第1中間層(導電層)と無機酸化物微粒子を含有しない膜厚0.2〜1μmの第2中間層(絶縁層)との組み合わせ、無機酸化物微粒子を含有しない膜厚0.2〜1μmの第1中間層(絶縁層またはブロッキング層)と電性の無機酸化物微粒子を含有する膜厚10〜40μmの第2中間層(モアレ防止層)と組み合わせなどが挙げられる。
積層型感光層5は、電荷発生層3と電荷輸送層4とからなる。このように電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることにより、各層を構成する最適な材料を独立して選択することができる。
以下の説明では、電荷発生層と電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層(図1)について説明するが、逆二層型の積層型感光層(図2)の場合には積層順が異なるだけで基本的に同様である。
電荷発生層は、照射された光を吸収することにより電荷を発生する電荷発生能を有する電荷発生物質を主成分とし、任意に公知の添加剤およびバインダ樹脂樹脂(結合剤)を含有する。
電荷発生物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用することができる。
これらの電荷発生物質の中でも、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、ペリレン系顔料は高感度を有することから特に好ましい。
化学増感剤および光学増感剤は、感光体の感度を向上させ、繰返し使用による残留電位の上昇および疲労などを抑え、電気的耐久性を向上させる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:BHT)のようなヒンダードフェノールなどのフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミンなどのアミン系酸化防止剤、ビタミンE、ハイドロキノン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄系化合物、有機燐系化合物などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤の添加量は、電荷発生物質100重量部に対して0.1〜40重量部が好ましく、0.5〜15重量部が特に好ましい。
酸化防止剤の添加量が0.1重量部未満であると、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果が得られないことがある。また、酸化防止剤の添加量が40重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすことがある。
レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などが挙げられる。
無機化合物または有機化合物の微粒子は、機械的強度を増強し、電気特性を向上させることができる。このような微粒子としては、例えば、前述した中間層において例示する微粒子が挙げられる。
乾式法としては、例えば、電荷発生物質を導電性支持体の表面に真空蒸着する方法が挙げられる。
湿式法としては、例えば、電荷発生物質、必要に応じて添加剤およびバインダ樹脂を適当な有機溶剤に溶解または分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体上に形成された中間層表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去する方法が挙げられる。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂;フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化性樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
電荷発生物質が10重量%未満であると、感光体の感度が低下することがある。
一方、電荷発生物質が99重量%を超えると、電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大することがある。そのため、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなることがある。
予備粉砕は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの一般的な粉砕機を用いて行うことができる。
構成物質の樹脂溶液への溶解または分散は、例えば、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどの一般的な分散機を用いて行うことができる。このとき、容器および分散機を構成する部材から摩耗などによって不純物が発生し、塗布液中に混入しないように、分散条件を適宜設定するのが好ましい。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法は、シートの場合にはベーカーアプリケーター法、バーコーター法、キャスティング法、スピンコート法、ロール法、ブレード法など、ドラムの場合にはスプレー法、垂直リング法、浸漬塗布法などが挙げられる。
乾燥温度が50℃未満では、乾燥時間が長くなることがある。また、乾燥温度が140℃を超えると、感光体の繰返し使用時の電気的特性が悪化して、得られる画像が劣化することがある。
電荷発生層の膜厚は特に限定されないが、0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感度が低下することがある。一方、電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷輸送が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下することがある。
電荷輸送層は、電荷発生物質で発生した電荷を受け入れ、それを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、バインダ樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
電荷輸送物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用することができる。
具体的には、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質;
フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質
が挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
比率E/Bが10/25未満であると、電荷輸送物質に対するバインダ樹脂の相対量比が高くなり、十分な感度が得られないことがある。
一方、比率E/Bが10/12を超えると、電荷輸送層の耐刷性や感光体の耐久性が低下することがある。
これらの樹脂の中でも、ポリカーボネートを主成分とする樹脂、ポリアリレート樹脂およびポリスチレン樹脂は、光化学的に安定で、電荷輸送物質との相溶性に優れ、さらに体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ成膜性、電位特性などにも優れるので好ましい。
電荷輸送層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、電荷発生層に含まれるものと同様の添加剤を適量含有していてもよい。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
電荷輸送層の膜厚は特に限定されないが、10〜60μmが好ましく、10〜40μmが特に好ましい。電荷輸送層の膜厚が10μm未満であると、帯電保持能が低下することがあり、逆に電荷輸送層の膜厚が60μmを超えると、鮮鋭性の低下や残留電位の上昇が発生し、著しく画像劣化が生じることがある。
単層型感光層は、電荷発生物質と、電荷輸送物質と、バインダ樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
単層型感光層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、電荷発生層に含まれるものと同様の添加剤を適量含有していてもよい。
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質および必要に応じて他の添加剤を適当な有機溶剤に溶解および/または分散して単層型感光層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体上に形成された中間層の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去することによって形成することができる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層および電荷輸送層の形成に準ずる。
本発明の感光体は、積層型感光層5および単層型感光層5’の表面に保護層(図示せず)を有していてもよい。
保護層は、感光層の摩耗性の改善やオゾン、窒素酸化物などによる化学的悪影響の防止の機能を有する。
保護層は、例えば、適当な有機溶剤にバインダ樹脂、必要に応じて酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤を溶解または分散させて保護層形成用塗布液を調製し、この保護層形成用塗布液を単層型感光層または積層型感光層の表面に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成することができる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
図4は、本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
図4の画像形成装置20は、本発明の感光体21(例えば、図1〜3の感光体のいずれか1つ)と、帯電手段(帯電器)24と、露光手段28と、現像手段(現像器)25と、転写手段(転写器)26と、クリーニング手段(クリーナ)27と、定着手段(定着器)31と、除電手段(図示せず、クリーニング手段27に併設される)を含んで構成される。図番30は転写紙を示す。
露光手段28は、例えば半導体レーザなどを光源として備え、光源から出力されるレーザビームなどの光28aを、感光体21の帯電器24と現像器25との間に照射することによって、帯電された感光体21の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光28aは、主走査方向である感光体21の回転軸線22の延びる方向に繰返し走査され、これに伴って感光体21の表面に静電潜像が順次形成される。
転写器26は、現像によって感光体21の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符29方向から感光体21と転写器26との間に供給される記録媒体である転写紙30上に転写させる転写手段である。転写器26は、例えば、帯電手段を備え、転写紙30にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙30上に転写させる非接触式の転写手段である。
また、画像形成装置20には、感光体21と転写器26との間を通過した転写紙30が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器31が設けられる。定着器31は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ31aと、加熱ローラ31aに対向して設けられ、加熱ローラ31aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ31bとを備える。
次いで、露光手段28から、感光体21の表面に対して画像情報に応じた光28aが照射される。感光体21は、この露光によって、光28aが照射された部分の表面電荷が除去され、光28aが照射された部分の表面電位と光28aが照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
感光体21に対する露光と同期して、感光体21と転写器26との間に、転写紙30が供給される。転写器26によって、供給された転写紙30にトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体21の表面に形成されたトナー像が、転写紙30上に転写される。
一方、転写器26によるトナー像の転写後も感光体21の表面上に残留するトナーは、クリーナ27によって感光体21の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された感光体21の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、感光体21の表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体21はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰り返されて連続的に画像が形成される。
(実施例1)
導電性支持体として、直径30mm×長さ340mm×厚さ0.8mmのアルミニウム製の円筒型導電性支持体を用いて、図1の感光体を作製した。
まず、無機酸化物微粒子としての、酸化亜鉛(数平均一次粒径:紡鍾形、30×90nm、堺化学工業株式会社製、製品名:STR−60)12重量部と、樹脂としての、水性ポリアクリルポリオール(固形分:45%、OH価:80、DIC株式会社製、製品名:バーノックWE−300)8.4重量部と、ブロックイソシアネート化合物(固形分:40%、NCO含有率:5.4%、三井化学ポリウレタン株式会社製、製品名:タケネートWB−920)4.2重量部と、消泡剤(オイルコンパウンド系、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー470)0.5重量部と、分散安定剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40)0.5重量部と、電子輸送剤として下記(式−2)に示すナフタレンカルボン酸誘導体1.3重量部とを、水69重量部に加え、ペイントシェーカを用いて6時間分散処理して、中間層形成用塗布液3Kgを調製した。
得られた中間層形成用塗布液を塗布槽に満たし、導電性支持体を浸漬した後引き上げ、得られた塗膜を温度150℃で30分間乾燥・硬化させて、膜厚20μmの中間層を形成した。
以上のようにして、実施例1の感光体を作製した。
中間層形成用塗布液の乾燥工程後の膜厚を、12μmとしたこと以外は、実施例1と同様な方法で実施例2の電子写真感光体を作製した。
(実施例3)
中間層形成用塗布液の乾燥工程後の膜厚を、28μmとしたこと以外は、実施例1と同様な方法で実施例3の電子写真感光体を作製した。
(実施例4)
中間層形成用塗布液の乾燥工程後の膜厚を、40μmとしたこと以外は、実施例1と同様な方法で実施例5の電子写真感光体を作製した。
(実施例5)
中間層に含有される電子輸送剤として(式1−1)で示される化合物を使用したこと以外は、実施例1と同様な方法で実施例6の電子写真感光体を作製した。
(実施例6)
中間層に含有される電子輸送剤として(式1−7)で示される化合物を使用したこと以外は、実施例1と同様な方法で実施例6の電子写真感光体を作製した。
無機酸化物微粒子としての、酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、製品名:STR−60)12重量部と、樹脂としての、ブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製、製品名BM−1;固形)3.6重量部と、ブロックイソシアネート化合物(固形分:40%、NCO含有率:11.2%、住友バイエルウレタン株式会社製、製品名スミジュール3175)4.0重量部と、電子輸送剤として上記(式−2)に示すナフタレンカルボン酸誘導体1.3重量部を、メチルエチルケトン60重量部に加え、ペイントシェーカを用いて6時間分散させ、中間層形成用塗布液を3Kg調製した。この塗布液を使用したこと以外は、中間層の膜厚、電荷発生層、電荷輸送層の構成は、すべて実施例1と同様にして、比較例1の電子写真感光体を作製した。
実施例1における中間層形成用塗布液の水の添加量を69重量部から100重量部に変更し、さらに中間層形成用塗布液の乾燥工程後の膜厚を、0.5μmとしたこと以外は、実施例1と同様な方法で比較例2の電子写真感光体を作製した。
(比較例3)
実施例1における中間層形成用塗布液の水の添加量を69重量部から50重量部に変更し、さらに乾燥工程後の膜厚を、55μmとしたこと以外は、実施例1と同様な方法で比較例3の電子写真感光体を作製した。
無機酸化物微粒子としての、酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、製品名:STR−60)12重量部と、樹脂としての、水性ポリアクリルポリオール(固形分:45%、OH価:80、DIC株式会社製、製品名:バーノックWE−300)8.4重量部と、ブロックイソシアネート化合物(固形分:40%、NCO含有率:5.4%、三井化学ポリウレタン株式会社製、製品名:タケネートWB−920)4.2重量部と、消泡剤(オイルコンパウンド系、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー470)0.5重量部、分散安定剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40)0.5重量部とを、水100重量部に加え、ペイントシェーカを用いて6時間分散処理して、中間層形成用塗布液を3Kg調製した(H/B=1.0、P/R=6/4)。
上記中間層を使用すること以外は、電荷発生層、電荷輸送層の構成は、すべて実施例1と同様にして、比較例4の電子写真感光体を作製した。
樹脂としての、水性ポリアクリルポリオール(固形分:45%、OH価:80、DIC株式会社製、製品名:バーノックWE−300)8.4重量部と、ブロックイソシアネート化合物(固形分:40%、NCO含有率:5.4%、三井化学ポリウレタン株式会社製、製品名:タケネートWB−920)4.2重量部と、消泡剤(オイルコンパウンド系、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー470)0.5重量部、分散安定剤(サンノプコ株式会社製、製品名:ローマPWA−40)0.5重量部を、水100重量部に加え、ペイントシェーカを用いて6時間分散させ、中間層形成用塗布液を3Kg調製した(H/B=1.0)。
上記中間層を使用すること以外は、電荷発生層、電荷輸送層の構成は、すべて実施例1と同様にして、比較例5の電子写真感光体を作製した。
なお、上記実施例および比較例における中間層の膜厚の制御は、浸漬塗布時の塗布速度を制御することにより実施した。
1.初期特性評価
以上のように作製した実施例1〜7および比較例1〜5の感光体を、スコロトロン帯電器と共に、レーザ複合機(型式:MX−4500N、シャープ株式会社社製)を改造した図4と同様の構造を有する画像形成装置に搭載し、それぞれの電子写真感光体の特性評価をおこなった。
具体的には、常温常湿(25℃、50%RH)環境下、グリッド印加電圧−650Vのスコロトロン帯電器で各電子写真感光体を帯電させたときの各電子写真感光体の表面の電位V0[V]を測定した。次に、780nmのレーザ光を全面照射(黒べた画像形成)したときの各電子写真感光体の表面電位:VL[V]を測定した。
上記の操作を室温低湿(25℃、5%RH)、室温高湿(25℃、85%RH)の2つの異なる環境下とすること以外は同様に行い、帯電、露光後の電位V0および電位VLの測定を行った。そして、これらの異なる環境間での電位V0および電位VLの値の変動量(ΔV0、ΔVL)を測定し、使用環境の変化に対する各電子写真感光体の安定性評価を行った。
上記複合機にて、テストチャート(印字率:5%)のA4原稿をもちいて、常温常湿環境下でくり返し1万回の実写をおこなった後、上記V0およびVLをそれぞれの電子写真感光体について測定した。
上記くり返し使用後に1万枚プリント後の画質を、以下基準で評価した。
「異常なし」;良好な画質が得られ良好な画質
「かぶり発生」;紙面に微細な黒点がみられるが、実使用上問題なし。黒点発生割合:全プリント面積比5%未満。
「黒点発生」;紙面に大きな黒点がみられ、使用上問題となる。黒点発生割合:全プリント面積比5%以上。
以上、4つの評価項目に対する結果を表1に示す。
実施例の感光体は、水性媒体に溶解/分散可能なイソシアネート系熱硬化樹脂、無機酸化物微粒子、電子輸送剤を含有する中間層形成用塗布液から得られている。これら実施例の感光体は、比較例1に示す有機溶剤系で溶解/分散した中間層形成用塗布液を用いた感光体と比べて、明らかに中間層の膜厚の均一性に優れていた。結果として実施例の感光体は、帯電性、安定性が、比較例1より優れていた。
また、10μm以下および50μmより大きい膜厚の中間層を備えた比較例2〜4の感光体においては、それぞれそのV0、あるいはVLの安定性が不十分となり所望の感光体特性が得られない結果となった。比較例5については1μmという薄い中間層膜厚にもかかわらず、中間層内部のトラップの影響と思われる感度劣化が甚だしく、実写試験にまでいたらなかった。10μmより大きくおよび50μm以下の膜厚の中間層を備えた実施例の感光体においては、帯電性、安定性が、比較例2〜5より優れていた。
また、特定のアントラキノン誘導体、あるいはアリザリンを電子輸送剤として用いた実施例5あるいは実施例6の場合、その環境変動に対するV0、VL安定性がよくなり、実写後の電気的あるいは画質の安定性についても良好な結果が得られた。
2 中間層(下引き層)
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 積層型感光層
5’ 単層型感光層
20 画像形成装置
22 回転軸線
23、29 矢符
24 帯電手段(帯電器)
24a 帯電ローラ
24b バイアス電源
25 現像手段(現像器)
25a 現像ローラ
25b ケーシング
26 転写手段(転写器)
27 クリーニング手段(クリーナ)
27a クリーニングブレード
27b 回収用ケーシング
28 露光手段
28a 光
30 転写紙
31 定着手段(定着器)
31a 加熱ローラ
31b 加圧ローラ
Claims (7)
- 導電性基体上に中間層および有機感光層を順次積層した電子写真感光体であり、
前記中間層が、少なくともブロックイソシアネート化合物と、前記ブロックイソシアネート化合物中のイソシアネート基と反応可能な活性水素含有基を有する樹脂と、無機酸化物微粒子と、電子輸送剤とを水に溶解または分散させた中間層形成用塗布液を塗布および熱硬化することで得られ、10μmより大きくかつ50μm以下の厚さを有することを特徴とする電子写真感光体。 - 前記中間層が、10μmより大きくかつ30μm以下の厚さを有する請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記電子輸送剤が、アントラキノン誘導体である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記アントラキノン誘導体が、アリザリンである請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記無機酸化物微粒子が、酸化チタンまたは酸化亜鉛の微粒子である請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
- 前記無機酸化物微粒子が、平均一次粒径20〜500nmの微粒子である請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を施して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008295663A JP5358161B2 (ja) | 2008-11-19 | 2008-11-19 | 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008295663A JP5358161B2 (ja) | 2008-11-19 | 2008-11-19 | 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010122440A JP2010122440A (ja) | 2010-06-03 |
JP5358161B2 true JP5358161B2 (ja) | 2013-12-04 |
Family
ID=42323844
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008295663A Active JP5358161B2 (ja) | 2008-11-19 | 2008-11-19 | 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5358161B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9678446B2 (en) | 2014-11-19 | 2017-06-13 | Ricoh Company, Ltd. | Electrophotographic photoconductor, image forming apparatus, and process cartridge |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012194260A (ja) * | 2011-03-15 | 2012-10-11 | Fuji Xerox Co Ltd | 電子写真感光体及びその製造方法、プロセスカートリッジ、並びに画像形成装置 |
JP6071509B2 (ja) * | 2011-12-22 | 2017-02-01 | キヤノン株式会社 | 電子写真感光体の製造方法 |
JP6161425B2 (ja) * | 2013-06-19 | 2017-07-12 | キヤノン株式会社 | 電子写真感光体の製造方法 |
JP6353285B2 (ja) * | 2013-06-19 | 2018-07-04 | キヤノン株式会社 | 電子写真感光体の製造方法 |
JP6463104B2 (ja) * | 2013-12-26 | 2019-01-30 | キヤノン株式会社 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
JP6423697B2 (ja) * | 2013-12-26 | 2018-11-14 | キヤノン株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 |
JP7314550B2 (ja) | 2019-03-20 | 2023-07-26 | 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4798976B2 (ja) * | 2003-09-17 | 2011-10-19 | 株式会社リコー | 電子写真感光体 |
JP2006047454A (ja) * | 2004-08-02 | 2006-02-16 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体中間層用塗工液、それを用いた電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ |
JP4867533B2 (ja) * | 2006-09-08 | 2012-02-01 | 富士ゼロックス株式会社 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
-
2008
- 2008-11-19 JP JP2008295663A patent/JP5358161B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9678446B2 (en) | 2014-11-19 | 2017-06-13 | Ricoh Company, Ltd. | Electrophotographic photoconductor, image forming apparatus, and process cartridge |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010122440A (ja) | 2010-06-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5492443B2 (ja) | 有機感光層を有する電子写真感光体の保護層用塗工液およびその用塗 | |
JP5358161B2 (ja) | 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 | |
JP7057104B2 (ja) | プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 | |
US9477163B2 (en) | Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, electrophotographic apparatus, and imide compound | |
US9709908B2 (en) | Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus | |
JPH0338663A (ja) | 電子写真用帯電部材および電子写真装置 | |
JP2007322996A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 | |
JP2014186296A (ja) | 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP6667270B2 (ja) | 電子写真装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法 | |
JP2016110128A (ja) | プロセスカートリッジ、画像形成方法および電子写真装置 | |
JP2014215477A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP5792429B2 (ja) | 有機感光層を有する電子写真感光体の中間層用塗工液、電子写真感光体および画像形成装置ならびに画像形成方法 | |
JP5608458B2 (ja) | 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 | |
JP5408965B2 (ja) | 有機感光層を有する電子写真感光体の中間層用塗工液、電子写真感光体および画像形成装置 | |
JP5352271B2 (ja) | 有機感光層を有する電子写真感光体の中間層用塗工液およびその用途 | |
JP5409093B2 (ja) | 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 | |
JP2019060928A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 | |
JP2010164945A (ja) | 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 | |
JP2011081255A (ja) | 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 | |
JP5409069B2 (ja) | 有機感光層を有する電子写真感光体の電荷発生層用塗工液およびその用途 | |
JP5409115B2 (ja) | 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置 | |
JP5401188B2 (ja) | 電子写真感光体の製造方法 | |
JP5492446B2 (ja) | 画像形成装置およびそれを用いる画像形成方法 | |
JP2015222410A (ja) | 電子写真装置 | |
JP2011118299A (ja) | 電子写真感光体、それを備えた画像形成装置および画像形成方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110223 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20121211 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121225 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130219 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130806 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130902 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5358161 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |