JP5357906B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
一般に、このようなガスセンサにおいては、ガス検出素子を主体金具で取り囲んで保持するとともに、検出部を保護する筒状のプロテクタを主体金具先端に溶接して固定している(特許文献1参照)。又、プロテクタの主体金具先端への溶接を不要とし、作業性及びセンサ性能を向上したものとして、主体金具の先端側に内側に突出する主体金具側係止部を設け、プロテクタの後端側に外側に突出するプロテクタ側係止部を設けた技術が開示されている(特許文献2参照)。この技術では、このプロテクタ側係止部を、セラミックホルダと主体金具側係止部との間で挟持させて係止している。
又、ヒータを設けず、排気ガスからの受熱のみで活性温度まで昇温させられて使用されるガスセンサも知られている(特許文献3参照)。
又、特許文献2記載の技術の場合、プロテクタ後端とガス検出素子とがセラミックホルダを介して接しているため、プロテクタの熱がガス検出素子に伝わり難く、ライトオフ特性を改善する余地がある。
そこで、本発明は、排気ガス等の被測定ガスからプロテクタが受ける熱を、ガス検出素子の昇温に利用することで、ガス検出素子の活性温度への到達時間を短縮してライトオフ特性を向上することができるガスセンサの提供を目的とする。
このようなガスセンサによれば、排気ガス等の被測定ガスに晒されることで昇温させられるプロテクタが、ガス検出素子に直接又は他部材を介して接触しているため、被測定ガスからプロテクタが受けた熱をもガス検出素子の昇温に利用でき、ライトオフ特性が向上する。特に、素子側受け部の先端向き面と突出部とが直接接していると、プロテクタが受けた熱によるガス検出素子の昇温効果が大きい。
なお、「ガス検出素子の先端部を取り囲む筒状のプロテクタ」とは、ガス検出素子の先端部を径方向から取り囲んでいれば良く、プロテクタが底部を有さずに筒状に形成されていてもよい。
又、このようなガスセンサによれば、プロテクタが受けた熱が、ガス検出素子に到達する前に主体金具へと引かれることを上記空間によって防止できる。
前記ガス検出素子の外面には、前記被測定ガスに晒される外側電極が形成され、該外側電極は、前記主体金具に対して電気的にアースされていてもよい。
このように、外側電極を主体金具に対して電気的にアース(接地)することが前提条件となるガスセンサの場合に、特に本発明を有効に適用することができる。
このようなガスセンサによれば、排気ガス等の被測定ガスから一番多く熱を受ける最も外側のプロテクタ部の熱をガス検出素子に伝える事が出来る。
主体金具の熱は取付け部を通して取付け対象体へと引かれて冷却されるため、取付け部が最も冷えやすい構成となる。そこで、取付け部と重なるように上記空間を配置することで、プロテクタの受けた熱が主体金具へと引かれることをさらに効果的に防止できる。
このようなガスセンサによれば、突出部においてプロテクタと接触する面積が、主体金具に比べてガス検出素子の方が大きくなるため、プロテクタの受けた熱をガス検出素子により効果的に伝えやすくなる。なお、素子側受け部の先端向き面と突出部との間に上記した他部材を介している場合は、当該他部材と突出部との接触面積を基準とする。
取付け部の長さが長いほど、ガスセンサをエンジンヘッド等の取付対象体に確りと取り付けることができるが、この取付け部から取付対象体へ熱が伝達し、ガス検出素子が冷えやすくなるため、特に本発明を適用すると有効である。
ガスセンサ21は、ガス検出素子22、セラミック包囲体23、端子部材24、主体金具25、及びプロテクタ40を備える。なお、以下の説明では、軸線Oに沿う方向のうち、センサキャップの取り付けられる側を後端側とし、この逆側を先端側として説明する。
このガス検出素子22の先端部22aには、外周面に外側電極28が形成されている。この外側電極28は、PtあるいはPt合金を多孔質に形成したものである。この外側電極28は、突出部22bの先端側面まで設けられており、後述するように主体金具25の内周受け部25aに電気的に接続される。このため外側電極28の電位は、主体金具25から取り出すことができる。つまり、外側電極28は主体金具に対して電気的にアース(接地)した状態とされている。一方、ガス検出素子22の内周面にも、内側電極29が形成されている。この内側電極29も、PtあるいはPt合金を多孔質に形成したものである。
ガス検出素子22を構成する固体電解質としては、例えば、Y2O3またはCaOを固溶させたZrO2が代表的なものであるが、それ以外のアルカリ土類金属または希土類金属の酸化物とZrO2との固溶体を使用しても良い。さらには、これにHfO2が含有されていても良い。
また、この主体金具25の外側には、ガスセンサ21を排気管(取付け対象体)に取付けるためのネジ部25bが形成されており、このネジ部25bの後端側(図1中、上方)には、ネジ部25bを排気管に螺挿するための取付工具を係合させる鍔部(六角部)25cが周設されている。鍔部25cは、主体金具25の他の外面より径方向外側に突出している。鍔部25cの先端向き面には、ガスセンサ21を排気管に取付けた際のシールを行うための環状のガスケット27が嵌められている。ここで、ネジ部25bが特許請求の範囲の「取付け部」に相当する。
なお、ガス検出素子22は後述するように主に固体電解質からなり(電極等を除く)、プロテクタ40はガス検出素子22より熱伝導率が高い金属からなる。
このようにして、少なくとも突出部22bの先端向き面と突出部40fとが直接接し、図3で説明するように、プロテクタ40の熱がガス検出素子22へ伝わってガス検出素子22を昇温する。なお、突出部22bの先端向き面と突出部40fとが直接接していればよく、ガス検出素子の構成によっては、主体金具25の内周受け部25aと突出部40fとの間には各種のパッキンや断熱材が介在していてもよい。
さらに、この実施形態では、径方向に沿って主体金具25の内面25iとプロテクタ40の外面との間に空間Gが開けられており、後述するようにプロテクタ40の熱が主体金具25へ逃げることが抑制される。
セラミック包囲体23は、絶縁性セラミック(具体的には、アルミナ)からなり、円筒状を有している。このセラミック包囲体23は、そのうちの肉厚とされた先端側部分23aが、ガス検出素子22のうち、突出部22bよりも後端側の部分の周囲を取り囲む形態で、タルクから形成されたセラミック粉末30と共に、ガス検出素子22と主体金具25との間に介在するように保持されている。
この状態で、セラミック粉末30を主体金具25とガス検出素子22との間隙部分に所定量充填する。次いで、セラミック包囲体23を先端側部分23aがガス検出素子22と主体金具25との間に介在するように挿入し、セラミック粉末30に当接させる。次いで、セラミック包囲体23を先端側に向かって加圧し、その加圧状態下で、主体金具25の加締め部25dとセラミック包囲体23との間に加締めリング32を介在させて加締め部25dを加締める。このようにして、主体金具25とガス検出素子22との間にプロテクタ40の突出部40fを挟持させた状態で、上記構成部品を一体に固定する。
なお、止め部244aがセラミック包囲体23の後端面に当接するまで出力側端子部24aを押しこむことで、径方向内側に屈曲していた外側屈曲部243aが解放されて戻り、セラミック包囲体23の段差部23bの先端面(段差面)に係合するようになるので、端子部材24の抜け防止を図ることができる。このようにして、ガスセンサ100が完成する。
又、この実施形態では、突出部40fがフランジになっているため、(プロテクタ40の厚み分だけ)突出部40fの後端向き面の方が先端向き面より表面積が大きくなる。従って、仮に突出部40fの各面に、それぞれガス検出素子22の突出部22b(の先端向き面)及び主体金具25の内周受け部25a(の後端向き面)が全面で接した場合でも、突出部40fとガス検出素子22の突出部22bとの接触面積22Lの方が、突出部40fと主体金具25の内周受け部25aとの接触面積より大きくなるので、プロテクタ40の熱がガス検出素子22側へ伝わり易くなる。
以上のように、プロテクタ40の熱の少なくとも一部がガス検出素子22に伝わるので、ガス検出素子22の活性温度への到達時間を短縮してライトオフ特性を向上することができる。
上述の分割把持部751bbには、それぞれ、内側に向けて突出する突起部751bcが形成されている。具体的には、5つの突出部751bcが、互いに72度ずつ隔たった角度で周方向に配置されている。
後述するように、ガスセンサ21のセラミック包囲体23の外周面23c(図1参照)に5つの突起部751bcをそれぞれ当接させ、キャップ端子751の把持部751bがセラミック包囲体23の後端部を包囲するようにして、この部分に嵌め込む。この場合に(図2参照)、分割スリットSL1、SL2、SL3、SL4、SL5の存在により、5つの分割把持部751bbは、それぞれ径方向外側に弾性的に屈曲する。そして、この反力によって、キャップ端子751が弾性的にセラミック包囲体23を保持する。
なお、環状部751aは、図2に示すように、挿入部751caが端子部材24の出力側端子部24a内に挿入された状態において、セラミック包囲体23の後端面上に位置する出力側端子部24aの止め部244aに当接することで、キャップ端子751の挿入部751cがさらに先端側に挿入されることを防止している。
端子包囲部752aはさらに先端側に延び、周囲より拡径する裾部752apを一体に有している。この裾部752apは、少なくともセラミック包囲体23を完全に包囲しつつ主体金具25と離間している。又、軸線O方向に沿って、裾部752apの先端752xは、主体金具25の後端25eよりも先端側であって、鍔部25cの後端25ceと同じ位置に延びている。
又、図4に示すように、裾部752apの内壁752wは、主体金具25の外面の各部位とほぼ等距離で離間するよう、先端側に向かって主体金具25の輪郭に追随しつつ複数の階段状に拡径している。そして、裾部752apの内壁752wが拡径することに対応し、裾部752apの厚みを確保すべく、裾部752apの外径が周囲(端子包囲部752aの後端側)より段状に拡径している。
その結果、図4に示されるように、リード線753は、端子包囲部752aの挿通孔752aa内で挿入部751cの軸線方向に沿って屈曲してキャップ端子751に固定されている。
以上のようにして、ガスセンサユニット600が構成される。
この2重プロテクタ43において、最も外側のプロテクタ部41の後端側にフランジ状の突出部41fが形成されている。このような構成とすると、2重プロテクタ43において最も外側で排気ガスの熱を最も多く受けるプロテクタ部41から、突出部41fを介してガス検出素子22に熱が伝わるので、多重プロテクタにおいても活性温度への到達時間を短縮してライトオフ特性を向上することができる。なお、内側プロテクタ部42及び外側プロテクタ部41には、それぞれ内側プロテクタ通気穴42a及び外側プロテクタ通気孔41aが形成されている。
但し、第3の実施形態の場合、プロテクタ40の後端部が主体金具25の領域25eで保持されるので、プロテクタ40が軸線O方向及び径方向に振れ難く、プロテクタ40を確実に固定することができる。又、第3の実施形態の場合も、プロテクタ40の少なくとも一部(内面25iに対向する部分)は径方向に沿って主体金具25と空間Gを開けているので、空間Gを開けない場合に比べるとプロテクタ40の熱が主体金具25へ逃げ難い。さらに、空間Gは、軸線O方向に沿って主体金具25のネジ部25bの少なくとも一部(詳しくはネジ部25bの先端側)と重なっているため、熱逃げ部分となる取付け対象体でプロテクタ40が冷やされることを防止することができる。
又、第3の実施形態の場合、内周受け部25aの内径は、突出部40fを除くプロテクタ40の外径とほぼ同一であるが、既に図3で説明したように、突出部40fがフランジであるため、突出部40fの後端向き面の方が先端向き面より表面積が大きくなる。従って、突出部40fの各面に、それぞれガス検出素子22の突出部22b(の先端向き面)及び主体金具25の内周受け部25a(の後端向き面)が全面で接しても、突出部40fとガス検出素子22の突出部22bとの接触面積22Lの方が、突出部40fと主体金具25の内周受け部25aとの接触面積より大きくなるので、プロテクタ40の熱がガス検出素子22側へ伝わり易くなる。
但し、第4の実施形態の場合、プロテクタ40は先後の2箇所で主体金具25によって保持される(具体的にはプロテクタ40後端部が内周受け部25aで保持され、先端部が領域25fで保持される)ので、プロテクタ40が軸線O方向及び径方向に振れ難く、プロテクタ40をさらに確実に固定することができる。又、第4の実施形態の場合も、プロテクタ40の少なくとも一部(内面25iに対向する部分)は径方向に沿って主体金具25と空間Gを開けているので、空間Gを開けない場合に比べるとプロテクタ40の熱が主体金具25へ逃げ難い。さらに、空間Gは、軸線O方向に沿って主体金具25のネジ部25bの少なくとも一部(詳しくはネジ部25bの先端側を除く部分)と重なっているため、熱逃げ部分となる取付け対象体でプロテクタ40が冷やされることを防止することができる。
プロテクタ40の外面に出っ張り40pを設けると、プロテクタ40が内周受け部25aと出っ張り40pの少なくとも2箇所で主体金具25によって保持されるので、プロテクタ40が軸線O方向及び径方向に振れ難く、プロテクタ40をさらに確実に固定することができる。又、出っ張り40pを主体金具25とほぼ点接触または線接触させることで、領域25e、25fで主体金具25とプロテクタ40が面接触する第3及び第4の実施形態に比べ、プロテクタ40の熱が主体金具25へ逃げ難くなる。
なお、出っ張り40pを半球状にすれば、主体金具25とほぼ点接触させることができ、出っ張り40pを周方向に連続した畝状にすれば、主体金具25とほぼ線接触させることができる。又、出っ張り40pを軸線O方向に沿って複数個形成させれば、軸線O方向に沿う複数箇所でプロテクタ40が主体金具25によって保持され、プロテクタ40をさらに確実に固定することができる。
他部材としては、例えば銅又は銅合金製のパッキン(ガスケット)が挙げられる。
又、プロテクタは有底に限られず、プロテクタ後端のフランジはテーパ状でなく軸線方向に垂直に延びていてもよい。さらに、プロテクタの突出部はフランジに限られず、プロテクタ後端縁よりやや先端側でプロテクタ外面から突出する形態(例えば、図9の1つの出っ張りのように、プロテクタ外面から周方向に連続して畝状に突出する形態)であってもよい。さらに、プロテクタの突出部はフランジで終端するものに限られず、フランジ部分から後端に筒状に延び、該筒部で素子側受け部の外周に接してガス検出素子との接触面積を増大するように構成してもよい。また、ガス検出素子22の先端が、主体金具25の先端よりも後端側に配置されていてもよい(主体金具25の先端よりガス検出素子22の先端が突出していない形態でもよい)。
又、プロテクタがステンレス鋼からなると熱伝導性が劣るため、プロテクタに熱がこもり易く、主体金具側に熱が伝達し難いので、被測定ガスからプロテクタが受けた熱をガス検出素子にさらに有効に伝えてガス検出素子を昇温することができる。
取付け部25bの長さL1が長いほど、ガスセンサ21をエンジンヘッド等の取付対象体に確りと取り付けることができるが、この取付け部25bから取付対象体へ熱が伝達し、ガス検出素子が冷えやすくなるからである。
なお、取付け部25bがネジである場合、不完全ネジ部を含む長さをL1とする。
22 ガス検出素子
22b 鍔部(素子側受け部)
22L 素子側受け部の先端向き面と突出部との接触面積
25 主体金具
25a 内周受け部(主体金具側受け部)
25b 主体金具の取付け部
25L 主体金具側受け部の後端向き面と突出部との接触面積
40、43 プロテクタ
40f、41f プロテクタの突出部
41、42 複数のプロテクタ部
G プロテクタと主体金具の空間
O 軸線方向
L1 軸線方向に沿う取付け部の長さ
L2 ガス検出素子の先端から素子側受け部とプロテクタの突出部との接触領域の先端までの距離
Claims (10)
- 軸線方向に向かって延びて先端部が被測定ガスに晒されると共に、径方向外側に突出する素子側受け部を有する筒状のガス検出素子と、
前記ガス検出素子の周囲を取り囲むと共に、径方向内側に突出する主体金具側受け部を有する筒状の主体金具と、
自身の後端側を前記主体金具の内側に収容させつつ、自身の先端側を前記主体金具の先端より突出させて前記ガス検出素子の先端部を取り囲む筒状のプロテクタと、を備え、
前記プロテクタは前記ガス検出素子より熱伝導率が高く、
前記プロテクタの後端側には径方向外側に拡径する突出部が形成され、
前記主体金具側受け部の後端向き面と前記素子側受け部の先端向き面との間に前記突出部を挟持させた状態で前記プロテクタが固定され、かつ少なくとも前記素子側受け部の先端向き面と前記突出部とが直接接し、又は前記ガス検出素子よりも熱伝導率が高い金属からなる他部材を介しており、
前記プロテクタと前記主体金具との間の少なくとも一部に、空間を設けているガスセンサ。 - 前記プロテクタは外部に表出している請求項1記載のガスセンサ。
- 前記ガス検出素子の外面には、前記被測定ガスに晒される外側電極が形成され、該外側電極は、前記主体金具に対して電気的にアースされている請求項1記載のガスセンサ。
- 前記プロテクタは径方向に直径が異なる複数のプロテクタ部からなり、それらのうち最も外側のプロテクタ部に前記突出部が形成されている請求項1又は2記載のガスセンサ。
- 前記主体金具の外面には、前記ガスセンサを取付け対象体に取付けるための取付け部が設けられ、
前記空間の少なくとも一部が前記軸線方向に沿って前記取付け部と重なる請求項4記載のガスセンサ。 - 前記素子側受け部の先端向き面と前記突出部との接触面積、又は前記他部材と前記突出部との接触面積が、前記主体金具側受け部の後端向き面と前記突出部との接触面積より大きい請求項1〜5のいずれか記載のガスセンサ。
- 前記ガス検出素子を加熱するヒータを有しない請求項1〜6のいずれか記載のガスセンサ。
- 前記主体金具が鉄系部材からなる請求項1〜7のいずれか記載のガスセンサ。
- 前記プロテクタがステンレス鋼からなる請求項1〜8のいずれか記載のガスセンサ。
- 前記軸線方向に沿う前記取付け部の長さは、前記ガス検出素子の先端から前記素子側受け部と前記突出部との接触領域の先端までの距離の1/2以上である請求項5〜9のいずれか記載のガスセンサ。
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