JP5356452B2 - 溶融微細転写成形方法及び溶融微細転写成形装置 - Google Patents

溶融微細転写成形方法及び溶融微細転写成形装置 Download PDF

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本発明は、微細構造を有する成形型に熱可塑性樹脂を塗布し、これを押圧することにより転写成形された微細構造体を成形する溶融微細転写成形方法及び溶融微細転写成形装置に係り、特に、成形型の加熱、冷却を迅速、かつ効率的に行うことができる溶融微細転写成形方法及び溶融微細転写成形装置に関する。
加熱された金型に軟化又は溶融させた熱可塑性樹脂を押圧する圧縮成形法、射出成形法等により、金型に設けられた微細構造が転写成形された熱可塑性樹脂の各種微細構造体が生産されている。この圧縮成形法、射出成形法等において使用される金型は、電気ヒータや水蒸気又は加熱水などの加熱媒体により加熱が行われ、そして、水等の冷却媒体による冷却が行われている。
このような金型の加熱は、電気ヒータ又は加熱媒体のいずれか一つの手段により行われているのが一般的であるが、金型の急速な加熱や効率的な加熱を行うために、以下のような方法が提案されている。例えば、特許文献1に、モールドベースに設けられたキャビティを有する入れ子に、電熱ヒータと加熱冷却用配管を設け、先ず、加熱媒体と電熱ヒータとの併用加熱を行ってキャビティを加熱した後、加熱媒体を加熱冷却用配管から排出して電熱ヒータのみによる単独加熱でキャビティを更に加熱し、電熱ヒータのみの単独加熱を維持した状態でキャビティに熱可塑性樹脂の射出を行う射出成型用金型及び樹脂成形品の製造方法が提案されている。
特許文献2には、特性の異なる二種類の媒体を使用して金型の加熱を行う方法が提案されている。すなわち、射出成形機等に使用される金型の温度制御方法であって、加熱開始時は熱媒に水蒸気を使用し、金型温度が所定の温度に達した時点で、または、加熱開始から所定時間経過後、熱媒を成形時の金型の設定温度以上の高温水に切り換えて金型温度を設定温度に上昇させることを特徴とする金型の温度制御方法が提案されている。
特開2009-126001号公報 特開2009-45814号公報
金型の加熱方法において、概して言えば、電気ヒータによる加熱は緻密な制御が可能であり、媒体による加熱は成形型との温度差が大きな加熱初期段階において迅速な成形型の昇温が可能であるという利点がある。このため、特許文献1に提案された金型の加熱方法は、迅速な加熱と緻密な制御を行うことが可能であり好ましい。しかし、全く異なる設備を要する加熱手段を2つも設けなければならないという問題がある。また、特許文献1に提案された金型の加熱方法においては、併用加熱は加熱媒体単独で加熱を行ったときキャビティ近傍を加熱することができる最高温度まで行い、加熱媒体は蒸気又は熱水が好ましいとする方法であるから、併用加熱から単独加熱に切り替わる前後の温度制御を効率的に行うことができず、また、規模の大きな設備を必要とするなど経済的な問題を生ずる恐れがある。
特許文献2に提案された方法は、類似の設備による加熱手段で対応でき、金型の急速な加熱を行うことができると言う利点があるが、目標とする金型温度に緻密な制御をするのが難しいという問題がある。また、加熱手段の規模が大きくなりコストの高い設備を要するという問題がある。
また、金型は急速加熱や急速冷却をした場合に熱変形を生じやすいが、射出成形金型においては、図5に示すように、金型に作用する型締力がその熱変形を矯正するように作用する。しかし、圧縮成形法に属し、高精度かつ高生産効率で転写成形体を成形することができる溶融微細転写成形法においては、金型の熱変形がそのまま製品に影響するために、主として射出成形法に用いられる金型を対象とする特許文献1又は2に記載の方法は、そのまま使用することができないと言う問題がある。
射出成形機の型締力による金型の熱変形の矯正について説明すると、以下の通りである。射出成形前の金型は、図5(a)に示すように凹面状に熱変形していても、図5(b)に示すように金型を閉じて型締力が印加されると、キャビティを挟んで固定型と移動型の周縁部が直接接触し、熱変形した金型は型締力により矯正されるようになる。この後、図5(c)に示すように樹脂が射出されると、成形体は熱変形の影響をほとんど受けずに成形することができる。
本発明は、上記のような問題点に鑑み、溶融微細転写成形法において、急速かつ効率的に加熱及び冷却をすることができる金型の加熱及び冷却方法を用い、経済性にも優れ、高精度かつ生産性の高い溶融微細転写成形方法及び溶融微細転写成形装置を提供することを目的とする。
本発明に係る溶融微細転写成形方法は、上及び下成形型に電気ヒータと、加熱又は冷却媒体を流す流路とが設けられ、加熱及び冷却が可能な上及び下成形型により、その下成形型上面に塗布された樹脂を押圧して転写成形体を成形する溶融微細転写成形方法であって、転写成形の一のサイクルにおいて、先ず、前記電気ヒータにより、サイクル開始から電気ヒータ最大負荷温度Thまで所定の負荷をかけて加熱を行った後、設定値を金型目標温度T0にして自動制御を行い前記上及び下成形型を金型目標温度T0まで加熱するとともに、前記加熱媒体を、サイクル開始から金型目標温度T0より低い媒体最大加熱温度Tmまで流して加熱を行った後、その流通を停止し、次に、前記上及び下成形型が金型目標温度T0に保持された状態で前記下成形型上面に塗布された樹脂を前記上及び下成形型間で押圧し、そして、前記電気ヒータの通電を停止し、前記流路に冷却媒体を流して上及び下成形型の冷却を行った後、上及び下成形型から転写成形体を剥離することにより実施される。
上記発明において、電気ヒータ最大負荷温度Thは、T0−(10〜20)>Th>Tm−20(℃)とするのがよく、媒体最大加熱温度Tmは、T0>Tm>T0−50(℃)とするのがよい。
また、上及び下成形型の冷却は、押圧力除荷ステップ、次いで転写成形体剥離ステップの2段階ステップが生じるように冷却を行うのがよく、押圧力除荷ステップ及び転写成形体剥離ステップに引き続いて上成形型と下成形型の型開きを行った後、さらに転写成形体を収縮させるための転写成形体収縮段階が生じるよう上成形型の冷却を行うのがよい。ここで、押圧力除荷ステップとは、転写成形が行われる樹脂に所定の押圧力を保持しつつ上及び下成形型を冷却し、その樹脂が体積収縮を生じにくい温度まで冷却された後、前記押圧力を圧力換算値で3〜1MPaに徐荷しつつ上及び下成形型の冷却を行うステップである。また、転写成形体剥離ステップとは、押圧力除荷ステップにおいて樹脂に負荷された3〜1MPaの押圧力をさらに0Mpaまで徐々に徐荷しつつ、その樹脂が上又は下成形型から歪みの少ない状態で剥離可能な温度まで上及び下成形型の冷却を行うステップである。
また、加熱媒体は、蒸気であり、上及び下成形型の加熱を開始する前に先ず流路内の空気の分圧をほぼ0Paにする蒸気パージを行うのがよい。
転写成形された転写成形体を上成形型に付着させた状態で上成形型と下成形型の型開きをした後、次の転写成形サイクルが始まる前に、先ず下成形型の加熱媒体による加熱を開始するのがよい。
また、金型目標温度T0は、上成形型について、下成形型上面に塗布された樹脂を押圧する際に、樹脂の表層に固化層が形成されず、かつそのときの押圧力により転写が可能な程度に樹脂が軟化する温度UT0であり、下成形型について、塗布された樹脂が下成形型に設けられた微細凹凸部に粘着可能な温度LT0であるようにするのがよい。
本発明に係る溶融微細転写成形装置は、上及び下金型にそれぞれ上及び下成形型を設け、その下成形型上面に塗布された樹脂を前記上及び下成形型間で押圧することにより転写成形体を成形する溶融微細転写成形装置であって、前記上及び下成形型は、それぞれ前記上及び下金型と断熱材により仕切られ、加熱又は冷却媒体を流通させる流路と、その流路を挟むように対に設けられた電気ヒータと、を有するとともに、前記上及び下成形型の加熱を前記電気ヒータ及び加熱媒体により行うものであって、前記電気ヒータは、上及び下成形型の温度が電気ヒータ最大負荷温度Thになるまで所定の負荷をかけて加熱を行い、次に、設定値を金型目標温度T0にして自動制御を行って前記上及び下成形型を金型目標温度T0まで加熱し、前記加熱媒体は、上及び下成形型の温度が前記加熱媒体の媒体最大加熱温度になったときその加熱媒体の供給を停止するように制御を行う自動温度制御手段を有してなる。
上記の溶融微細転写成形装置の発明において、加熱媒体として水蒸気を供給するボイラと、その水蒸気が流れる上及び下成形型の流路の端部にスチームトラップを設けるのがよい。
本発明による溶融微細転写成形方法によれば、転写成形を行う成形型を急速かつ効率的に加熱及び冷却をすることができ、経済性にも優れ、高精度かつ高生産効率で転写成形体を成形することができる。
本発明に係る溶融微細転写成形方法の一のサイクルを示す説明図である。 本発明に係る溶融微細転写成形装置の上及び下金型部分を示す模式図である。 従来の溶融微細転写成形装置の上及び下金型を急速加熱した場合の様子を示す模式図である。 本発明に係る他の溶融微細転写成形方法の一のサイクルを示す説明図である。 射出成形金型において型締圧による熱変形した金型の矯正作用について説明する図面である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を基に説明する。図1は、本発明に係る溶融微細転写成形方法を説明する図面である。図1には、本溶融微細転写成形方法の転写成形の一のサイクルにおける電気ヒータ及び加熱媒体による上及び下成形型の加熱、冷却媒体による上及び下成形型の冷却、加熱及び冷却の際の上及び下成形型の温度変化、下成形型上面に塗布された樹脂の押圧の様子を示す。すなわち、本溶融微細転写成形方法は、上及び下成形型に電気ヒータと、加熱又は冷却媒体を流す流路とが設けられ、加熱及び冷却が可能な上及び下成形型により、その下成形型上面に塗布された樹脂を押圧して転写成形体を成形する方法において使用される。図1に示すように、転写成形の一のサイクルにおいて、先ず、上及び下成形型の加熱が、電気ヒータ及び加熱媒体によりそれぞれその特性を最大に発揮する状態で行われる。なお、図1において、横軸のt1〜t10はサイクル開始からの時間を示す。
本溶融微細転写成形方法において、電気ヒータは、サイクル開始より電気ヒータ最大負荷温度Thまで所定の負荷をかけて上及び下成形型の加熱を行う。所定の負荷は、転写成形の製造条件、上及び下成形型の形態等により異なるが、通常は上及び下成形型に設けられた加熱手段の最大負荷とされる。従って、電気ヒータは、その特性を最大限に発揮して上及び下成形型の加熱を行うことになる。
電気ヒータ最大負荷温度Thは、転写成形加工が行われる際の上及び下成形型の温度、すなわち金型目標温度にできるだけ近い温度とされる。しかしながら、以下に説明する電気ヒータの温度の自動制御を行う場合に上及び下成形型の温度がオーバーシュートをしないように、電気ヒータ最大負荷温度Thは、金型目標温度T0より10〜20℃以下にするのがよい。
一方、加熱媒体は、サイクル開始より上及び下成形型の流路に流し、媒体最大加熱温度Tmまで加熱を行う。加熱媒体はそれが有する熱容量を最大限に利用して上及び下成形型の加熱を行う。加熱媒体は、水、油、シリコンオイル等を使用することができるが、水がよい。また、加熱媒体は、蒸気や加熱水の状態で使用することができるが、蒸発潜熱を利用することができる蒸気であるのがよい。
媒体最大加熱温度Tmは、金型目標温度T0より低い温度とされる。上及び下成形型の金型目標温度は160℃以上とされる場合が有り、このような高温まで、媒体による加熱を行う場合は、媒体加熱手段の規模、コスト等が過大になるからである。また、媒体加熱により金型目標温度T0の制御を行うことが容易でないからである。
また、媒体最大加熱温度Tmは、金型目標温度T0に対して、50℃以上低くない方が好ましい。媒体は、成形型との温度差が大きな加熱初期段階において迅速な成形型の昇温が可能であるから、できるだけ媒体加熱を利用するのが好ましい。しかし、媒体加熱による場合は、媒体が有する温度以上の加熱を行うことができない。また、媒体加熱温度を高くするには加熱手段の温度及び圧力を高くしなければならず、加熱手段の規模、コストが大きくなる恐れがある。このため、通常の金型目標温度を考慮すると、Tm>T0−50(℃)とするのがよい。
電気ヒータによる加熱は、上及び下成形型の温度が電気ヒータ最大負荷温度Thに到達した後(t1)は、図1に示すように、所定の負荷による加熱から、金型目標温度T0を目標値とする自動制御による加熱に切り替えられる。このとき、電気ヒータの制御の初期値は、サイクル開始から電気ヒータに負荷していた所定の負荷に相当する値にするのがよい。これにより、電気ヒータによる加熱ロスを防止し、効率的な加熱を行うことができる。
また、媒体加熱を行っているときに自動制御を行うと、電気ヒータによる効率的な加熱ができなくなるので、電気ヒータ最大負荷温度Thは、媒体最大加熱温度Tmに対してTh>Tm−20(℃)とするのがよい。なお、図1において、Tm>Thになっているが、逆になる場合もある。例えば、金型目標温度T0が200℃、媒体最大加熱温度Tmが160℃である場合は、電気ヒータ最大負荷温度Thは180〜190℃に設定される。
上及び下成形型が金型目標温度T0に到達した後(t3)は、その温度が保持された状態で下成形型上面に溶融した熱可塑性樹脂を塗布し、塗布完了後、t4になると上成形型を下降させて下成形型上面に塗布された樹脂の押圧を行う。所定の押圧力p1が負荷され、所定時間だけ押圧力の負荷を継続した後(t5)に電気ヒータによる加熱が停止され、上及び下成形型の流路に冷却媒体を流して上及び下成形型の冷却が行われる。
上及び下成形型の冷却は、押圧力除荷ステップS1、次いで転写成形体剥離ステップS2の2段階ステップが生じるように冷却を行うのがよい。図1に示すように、冷却媒体をt5からt6まで流すことにより押圧力除荷ステップS1が形成される。押圧力除荷ステップS1において、冷却による樹脂の体積収縮に起因する転写された微細構造体の収縮や転写成形体のヒケを抑制するために、押圧力を保持したまま成形型の温度を低下させ、温度が整定した後に、すなわち冷却による樹脂の体積収縮が発生しにくい状態にした後に押圧力の除荷が行われる。押圧力の除荷は、図1に示すようにp1からp2に除荷し、全荷重を除荷するのではなくわずかな荷重p2を負荷させた状態にする。荷重p2は、転写成形体に作用する圧力換算値で3MPa以下、好ましくは1MPaである。このように荷重を小さくしてから次段の転写成形体剥離ステップS2で次の冷却を行うことにより、微細構造体の内部応力や歪みの少ない微細構造体を成形することができる。特に、複屈折のない光学部品、そりのない寸法精度、極めて高い寸法精度の微細構造体の転写形成が求められる部品の製造に好適である。
押圧力が荷重p2になった後、上及び下成形型の次の冷却を行う(t8〜t9)。これにより、上及び下成形型の冷却曲線において転写成形体剥離ステップS2が形成される。転写成形体剥離ステップS2において、荷重がp3に低下した時点で上成形型が下成形型から開かれる(t10)。転写成形体は、上成型又は下成形型に付着させた状態で下成形型又は上成形型から剥離し、ついで、上成型又は下成形型から剥離させる。通常は、転写成形体を上成型に付着させて下成形型から剥離する。これにより、所定の強度以上になった転写成形体を下成形型から垂直方向に剥離することができ、また、微細構造の損傷を防止することができ、製品として容易に取り出すことができる。
本溶融微細転写成形方法において、転写成形される樹脂は、熱可塑性樹脂であればよく、特に限定されない。アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレンなどに代表される各種熱可塑性樹脂の単一材料だけでなく、アロイ化された樹脂でもよい。さらに、強度向上や、導電性の付与、線膨張率の低減などを目的として強化繊維や充填材と複合化された熱可塑性樹脂でもよい。
本溶融微細転写成形方法は、図2に示す構成の上及び下金型を有する溶融微細転写成形装置により好適に実施することができる。すなわち、この溶融微細転写成形装置は、図2に示すように、下金型10と上金型20を有しており、下金型10には下成形型15、上金型20には上成形型25が設けられている。
下成形型15と上成形型25は、それぞれ下金型10、上金型20と断熱材12、22により仕切られている。そして、下成形型15と上成形型25には、それぞれ電気ヒータ151、251と、加熱又は冷却媒体を流通させる流路153、253が設けられ、電気ヒータ151、251は流路153、253を挟むように対に設けられている。流路153、253には、加熱媒体又は冷却媒体を必要に応じて流通、停止させ又は切り替えることができるようになっている。また、下金型10及び上金型20にも、加熱媒体又は冷却媒体を必要に応じて流通、停止させ又は切り替えることができる流路13、23が設けられている。転写成形される微細構造は、下成形型15に装着されたスタンパ155に設けられている。スタンパ155に塗布された溶融樹脂は、上成形型25に装着された鏡面型255との間で押圧され、微細構造を有する転写成形体が形成される。
下成形型15と上成形型25は、熱伝導性の良いベリリウム銅製であるのがよい。なお、加熱媒体と冷却媒体の流路は共用にされているので、コンパクトで熱応答性の良い成形型を設計することができるが、媒体を切り替える場合等には既存の媒体を排除するためのパージ機構を設けるのがよい。また、転写成形される微細構造は、下成形型15自体に設けることができ、上成形型25に設けることもできる。
上記の構成の下金型10、上金型20によれば、本溶融微細転写成形方法により下成形型15及び上成形型25の急速加熱を行っても下成形型15及び上成形型25の熱変形を小さくすることができ、転写成形体の内部応力、歪み又はそり等の発生を防止することができる。従って、溶融微細転写成形装置において、急激な金型の加熱又は冷却を行う場合の問題を解決することができる。すなわち、溶融微細転写成形装置において、金型の急激な加熱又は冷却を行うと、金型は、図3(a)に示すような熱変形をしやすい。このような熱変形をした上金型25と下金型15とにより溶融樹脂30を押圧し転写成形しようとすると、熱変形した形状がそのまま転写成形され、製品不良を生ずる。これに対し、図2に示す構成の金型によれば、上記のような問題を防止することができる。なお、本溶融微細転写成形装置においては、上成形型と下成形型とが直接接触することがないので、射出成形機の金型におけるような熱変形した金型を矯正する力が作用しない。
以上、本溶融微細転写成形方法について説明した。本溶融微細転写成形方法によれば、迅速、かつ効率的に上及び下成形型の加熱を行うことができ、内部応力や歪みの少ない微細構造が転写成形された熱可塑性樹脂の転写成形体を迅速、かつ効率的に成形することができる。しかしながら、本発明に係る溶融微細転写成形方法は、上記に示す方法に限らない。本発明に係る溶融微細転写成形方法は、図4に示すように実施することもできる。
図4に示す例は、上成形型と下成形型についてそれぞれ最適な温度制御を行っていることに特徴がある。また、媒体による加熱又は冷却を効果的に行うために、蒸気パージやエアパージを行っていることに特徴がある。すなわち、まず、金型目標温度を上成形型と下成形型について以下のようにする。上成形型の金型目標温度UT0は、下成形型上面に塗布された樹脂を押圧する際に、樹脂の表層に固化層が形成されず、かつそのときの押圧力により転写が可能な程度に樹脂が軟化する温度とする。一方、下成形型の金型目標温度LT0は、下成形型に塗布される樹脂が下成形型に設けられた微細凹凸部に粘着可能な温度とする。そして、電気ヒータ最大負荷温度及び媒体最大加熱温度について、それぞれ上成形型の金型目標温度UT0又は下成形型の金型目標温度LT0に応じて、電気ヒータ最大負荷温度をUTh又はLThと、媒体最大加熱温度をUTm又はLTmとする。なお、上成形型の金型目標温度UT0と下成形型の金型目標温度LT0との相違が小さい場合や、温度制御の容易性を考慮し、UThLTh又はUTmLTmは、同一の温度にすることができる。
本例の場合は、加熱媒体に所定温度の水蒸気を使用し、冷却媒体に所定温度の水を使用している。このため、媒体加熱を行うためのボイラが設けられているが、ボイラからの水蒸気が流れる上及び下成形型の流路の端部にスチームトラップを設けるのがよい。媒体加熱を行う場合は、図4の上成形型の加熱媒体の操作チャートに示すように、先ず蒸気パージを行う。これにより、水蒸気発生源であるボイラから流路を経てドレンに至るまでが蒸気で満たされ、空気の分圧をほぼ0Paにすることができ、媒体加熱を効果的に行うことができる。なお、下成形型の場合は、以下に説明するが、媒体加熱前の蒸気パージは前のサイクルで行うようにしている。
また、本例の場合は、転写成形後に上成形型と下成形型の型開きを行った後、さらに上成形型の冷却を行う転写成形体収縮段階SUを設けている。下成形型から転写成形体を剥離させた後に上成形型をさらに冷却することにより転写成形体が収縮し、この収縮力によって転写成形体が上成形型から容易に剥離する。このため、転写成形体の取り出しが容易になり、転写成形体の損傷を防止することができる。上記転写成形体収縮段階SUは、上成形型を冷却媒体によりさらに冷却することによって行われるが、図4に示すように冷却媒体の流通を停止した後には次のサイクルの加熱媒体による加熱のため、エアパージを行って冷却媒体を流路から排除するのがよい。
上成形型と下成形型の型開きを行ったとき、転写成形体を確実に上成形型に付着させて下成形型から剥離させるには、型開きのときの上成形型の温度UTPは下成形型の温度LTPよりも高くし、転写成形体と上成形型との接着力が下成形型との接着力よりも高くなるようにするのがよい。転写成形体が上成形型に付着して型開きされた後に(より厳密には転写成形体が下成形型から離れた後に)、下成形型は次のサイクルのため、早めに流路の蒸気パージを行って加熱媒体による加熱を開始するとともに電気ヒータによる加熱を開始するのがよい。これにより、図4に示すように、下成形型の温度を早めに高くすることができるので、次のサイクルにおける下成形型への溶融樹脂の塗布を早く行うことができ、全体としてサイクルタイムを短くすることができる。
なお、図4に示すように、冷却媒体による最初の冷却段階において、冷却媒体の流通を停止した後は、エアパージAを行って冷却媒体を流路から排除することができる。このエアパージAにより、上成形型又は下成形型に残存する冷却媒体による冷却効果がなくなり押圧力除荷ステップS1の制御を容易にすることができる。
10 下金型
12 断熱材
13 流路
15 下成形型
151 電気ヒータ
153 流路
155 スタンパ
20 上金型
22 断熱材
23 流路
25 上成形型
251 電気ヒータ
253 流路
255 鏡面型
30 塗布された溶融樹脂

Claims (10)

  1. 上及び下成形型に電気ヒータと、加熱又は冷却媒体を流す流路とが設けられ、加熱及び冷却が可能な上及び下成形型により、その下成形型上面に塗布された樹脂を押圧して転写成形体を成形する溶融微細転写成形方法であって、
    転写成形の一のサイクルにおいて、先ず、
    前記電気ヒータにより、サイクル開始から電気ヒータ最大負荷温度Thまで所定の負荷をかけて加熱を行った後、設定値を金型目標温度T0にして自動制御を行い前記上及び下成形型を金型目標温度T0まで加熱するとともに、
    前記加熱媒体を、サイクル開始から金型目標温度T0より低い媒体最大加熱温度Tmまで流して加熱を行った後、その流通を停止し、
    次に、前記上及び下成形型が金型目標温度T0に保持された状態で前記下成形型上面に塗布された樹脂を前記上及び下成形型間で押圧し、
    そして、前記電気ヒータの通電を停止し、前記流路に冷却媒体を流して上及び下成形型の冷却を行った後、上及び下成形型から転写成形体を剥離する溶融微細転写成形方法。
  2. 電気ヒータ最大負荷温度Thは、T0−(10〜20)>Th>Tm−20(℃)であることを特徴とする請求項1に記載の溶融微細転写成形方法。
  3. 媒体最大加熱温度Tmは、T0>Tm>T0−50(℃)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融微細転写成形方法。
  4. 上及び下成形型の冷却は、以下の押圧力除荷ステップ、次いで転写成形体剥離ステップの2段階ステップが生じるように冷却を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融微細転写成形方法。
    押圧力除荷ステップ:樹脂に転写成形を行う所定の押圧力を保持しつつ上及び下成形型を冷却し、その樹脂が体積収縮を生じにくい温度まで冷却された後、前記押圧力を圧力換算値で3〜1MPaに徐荷しつつ上及び下成形型の冷却を行うステップ。
    転写成形体剥離ステップ:押圧力除荷ステップにおいて樹脂に負荷された押圧力をさらに0Mpaまで徐々に徐荷しつつ、その樹脂が上又は下成形型から歪みの少ない状態で剥離可能な温度まで上及び下成形型の冷却を行うステップ。
  5. 押圧力除荷ステップ及び転写成形体剥離ステップに引き続いて上成形型と下成形型の型開きを行った後、さらに転写成形体を収縮させるための転写成形体収縮段階が生じるよう上成形型の冷却を行うことを特徴とする請求項4に記載の溶融微細転写成形方法。
  6. 加熱媒体は、蒸気であり、上及び下成形型の加熱を開始する前に先ず流路内の空気の分圧をほぼ0Paにする蒸気パージを行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶融微細転写成形方法。
  7. 転写成形された転写成形体を上成形型に付着させた状態で上成形型と下成形型の型開きをした後、次の転写成形サイクルが始まる前に、先ず下成形型の加熱媒体による加熱を開始することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶融微細転写成形方法。
  8. 金型目標温度T0は、
    上成形型について、
    下成形型上面に塗布された樹脂を押圧する際に、樹脂の表層に固化層が形成されず、かつそのときの押圧力により転写が可能な程度に樹脂が軟化する温度UT0であり、
    下成形型について、
    塗布された樹脂が下成形型に設けられた微細凹凸部に粘着可能な温度LT0であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の溶融微細転写成形方法。
  9. 上及び下金型にそれぞれ上及び下成形型を設け、その下成形型上面に塗布された樹脂を前記上及び下成形型間で押圧することにより転写成形体を成形する溶融微細転写成形装置であって、
    前記上及び下成形型は、それぞれ前記上及び下金型と断熱材により仕切られ、加熱又は冷却媒体を流通させる流路と、その流路を挟むように対に設けられた電気ヒータと、を有するとともに、
    前記上及び下成形型の加熱を前記電気ヒータ及び加熱媒体により行うものであって、
    前記電気ヒータは、上及び下成形型の温度が電気ヒータ最大負荷温度Thになるまで所定の負荷をかけて加熱を行い、次に、設定値を金型目標温度T0にして自動制御を行って前記上及び下成形型を金型目標温度T0まで加熱し、
    前記加熱媒体は、上及び下成形型の温度が前記加熱媒体の媒体最大加熱温度になったときその加熱媒体の供給を停止するように制御を行う自動温度制御手段を有する溶融微細転写成形装置。
  10. 加熱媒体として水蒸気を供給するボイラと、その水蒸気が流れる上及び下成形型の流路の端部にスチームトラップを設けたことを特徴とする請求項9に記載の溶融微細転写成形装置。
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