JP5355069B2 - 着色硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子 - Google Patents
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Description
カラーフィルタは、一般に、支持体上に着色硬化性組成物を用いて着色パターンを形成することにより作製される。
着色パターンの微細化に伴い、着色パターン端部の荒れ(impreciseness)や、未露光部の現像残渣が以前より問題となっている。
また、薄層化されたカラーフィルタは、従来のカラーフィルタと同等の分光感度を得るためには、着色硬化性組成物中の着色剤の組成比を増加させざるを得ない。しかし、その際、着色剤以外の成分(フォトリソ性能に寄与する成分)は相対的に減少することとなる。
従って、フォトリソ性能に寄与する成分が相対的に減少しても従来通りのフォトリソ性能を維持し得る着色硬化性組成物を開発する必要性が生じている。
従って、広いDOF(Depth of Focus)マージン(即ち、深い焦点深度)を有する着色硬化性組成物を開発する必要性が生じている。
即ち、本発明の目的は、広いDOFマージン(深い焦点深度)を有する着色硬化性組成物を提供することにある。
また、本発明は、現像残渣の発生やパターン周辺の荒れの発生が抑制されたカラーフィルタ及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明は、色再現性に優れた固体撮像素子を提供することにある。
<1>着色剤と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物と、を含み、前記炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物と前記炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物の、合計の重合性基数が質量平均で3以上12以下であり、合計の炭素数2以上のアルキレンオキシ基数が質量平均で8.4以上10.0以下である着色硬化性組成物である。
一般式(i)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは、各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は1〜40の整数である。
一般式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは、各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は1〜60の整数である。
〔一般式(iii)及び(iv)中、Zは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
一般式(iii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計数は3個又は4個である。また、一般式(iv)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計数は5個又は6個である。〕
<4> さらに、光重合開始剤を含み、前記光重合開始剤がオキシム系化合物である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物である。
<5> 着色剤と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物を含む2種以上の重合性化合物と、光重合開始剤と、を含み、前記2種以上の重合性化合物の、合計の重合性基数が質量平均で4.5以上であり、合計の炭素数2以上のアルキレンオキシ基数が質量平均で2.0以上10.0以下であり、且つ、前記光重合開始剤が2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオンである着色硬化性組成物である。
<6> 前記2種以上の重合性化合物が、さらに炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物を含む<5>に記載の着色硬化性組成物。
<7> 前記着色剤の含有量が、全固形分に対し30質量%以上である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物である。
<10> <9>に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子である。
また、本発明によれば、現像残渣の発生やパターン周辺の荒れの発生が抑制されたカラーフィルタ及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、色再現性に優れた固体撮像素子を提供することができる。
本発明の着色硬化性組成物は、着色剤と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物と、を含み、前記炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物と前記炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物の、合計の重合性基数が質量平均で5.3以上12以下であり、合計の炭素数2以上のアルキレンオキシ基数が質量平均で8.4以上10.0以下である。
また、本発明の着色硬化性組成物の別の態様は、着色剤と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物を含む2種以上の重合性化合物と、光重合開始剤と、を含み、前記2種以上の重合性化合物の、合計の重合性基数が質量平均で4.5以上であり、合計の炭素数2以上のアルキレンオキシ基数が質量平均で2.0以上10.0以下であり、且つ、前記光重合開始剤が2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオンである。
また、重合性化合物を2種以上用いた場合であっても、重合性基数が質量平均で4.5未満であると、感度が不足して硬化部の残膜率が低下し、その結果、DOFマージンが狭くなる傾向がある。
また、重合性化合物を2種以上用いた場合であっても、炭素数2以上のアルキレンオキシ基数が質量平均で2.0未満であると、非硬化部の現像液溶解性が低下し、その結果、DOFマージンが狭くなる傾向がある。
また、重合性化合物を2種以上用いた場合であっても、炭素数2以上のアルキレンオキシ基数が質量平均で10.0を超えると、硬化部の現像液溶解性が高くなり、硬化部の残膜率が低下し、その結果、DOFマージンが狭くなる傾向がある。
DOFマージンが狭くなる傾向は、特に、着色硬化性組成物中の着色剤の含有率が高い場合、形成する着色パターンの膜厚が薄い場合、又は、着色パターンのサイズが小さい場合により顕著に現れる。
なお、DOFマージンは広いほど好ましいが、具体的な値としては、0.5μm以上が好ましく、0.7μm以上がより好ましく、0.9μm以上が特に好ましい。
なお、本明細書中において、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基又はメタクリロイル基を表し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル又はメタクリルを表す。
また、本発明において、2種以上の重合性化合物の、質量平均での炭素数2以上のアルキレンオキシ基数は、各重合性化合物それぞれが持つ「炭素数2以上のアルキレンオキシ基」の数と、着色硬化性組成物中における各重合性化合物それぞれの質量と、に基づいて算出された質量平均値を指す。
JAVE=(J1・W1+J2・W2・・・+Jn・Wn)/(W1+W2・・・+Wn)
AAVE=(A1・W1+A2・W2・・・+An・Wn)/(W1+W2・・・+Wn)
また、質量平均での重合性基の数の上限値としては、分子サイズが大きくなることによる架橋密度の低下をより効果的に抑制する観点から12が好ましい
<重合性化合物>
本発明の着色硬化性組成物は2種以上の重合性化合物を含有する。
2種以上の重合性化合物は、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物を少なくとも1種含み、かつ、2種以上の重合性化合物の重合性基数が質量平均で4.5以上であり、炭素数2以上のアルキレンオキシ基数が質量平均で2.0以上10.0以下となるように選択すれば特に限定はない。
即ち、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの;特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート、である。更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
本発明の着色硬化性組成物は、「炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物」の少なくとも1種を含有する。
このような重合性化合物を含有しない場合(例えば、多官能重合性化合物のみを含有する場合)は、非硬化部の現像性が不足し、DOFマージンが低下する傾向がある。
本発明における「炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物」としては特に限定はないが、例えば、下記一般式(i)又は(ii)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
一般式(i)及び(ii)中、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
一般式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは、各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は1〜60の整数である。
一般式(ii)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(i)又は一般式(ii)中の−((CH2)yCH2O)−又は−((CH2)yCH(CH3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
本発明の着色硬化性組成物は、重合性基を有し炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
このような重合性化合物を含有することにより、現像液に対する硬化部の溶解性が高くなる現象や線幅感度が低下する現象をより効果的に抑制できる。
上記重合性化合物における重合性基の数は、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。
前記「重合性基を有し炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物」としては特に限定はないが、例えば、単官能のアクリレートやメタアクリレート(例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等)、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などを用いることができる。
また、「重合性基を有し炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物」としては、下記一般式(iii)又は一般式(iv)で表される化合物も好適に用いることができる。
一般式(iii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計数は3個又は4個である。また、一般式(iv)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計数は5個又は6個である。
このような観点から、本発明の着色硬化性組成物に含まれる全重合性化合物の含有量としては、着色硬化性組成物の全固形分に対し、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、20〜30質量%が特に好ましい。
本発明の光硬化性組成物は、着色剤を少なくとも1種含有する。着色剤としては、従来公知の種々の染料、無機顔料または有機顔料を、1種又は2種以上混合して用いることができる。
C.I.Pigment Yellow 11,24,31,53,83,85,99,108,109,110,138,139,150,151,154,167,185;
C.I.Pigment Orange 36,38,43,71;
C.I.Pigment Red 105,122,149,150,155,171,175,176,177,209,224,242,254;
C.I.Pigment Violet 19,23,32,39;
C.I.Pigment Blue 1,2,15,16,22,60,66,15:3,15:6;
C.I.Pigment Green 7,36,37;
C.I.Pigment Brown 25,28;
C.I.Pigment Black 1,7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
本発明の着色硬化性組成物は、光重合開始剤の少なくとも1種を含有してもよい。
光重合開始剤としては特に限定はないが、好適なものとして、オキシム系化合物やオキシムエステル系化合物;ハロメチルオキサジアゾール化合物、ハロメチル−s−トリアジン化合物から選択された少なくとも一つの活性ハロゲン化合物;3−アリール置換クマリン化合物;ロフィン2量体;ベンゾフェノン化合物;アセトフェノン化合物およびその誘導体;シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体およびその塩;等が挙げられる。
その具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、2−エトキシキサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(またはミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や特公昭51−48516号公報記載のベンゾチアゾール系化合物等や、チヌビン1130、同400等が挙げられる。
本発明の着色硬化性組成物には、必要に応じ、その他の成分を含有してもよい。
例えば、本発明の着色硬化性組成物は、増感剤を少なくとも1種含有してもよい。
その具体例として、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾアントロン等や特公昭51−48516号公報記載のベンゾチアゾール系化合物が挙げられる。
樹脂としては、ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体、ベンジルメタアクリレート/アクリル酸共重合体、ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体/および他のモノマーとの多元共重合体等の公知の樹脂を用いることができる。
本発明の着色硬化性組成物が樹脂を含有する場合、樹脂の含有量は、前記重合性化合物の全量に対し、0.1質量%〜2.0質量%が好ましく、0.3質量%〜1.0質量%がより好ましい。
溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等の公知の溶剤を用いることができる。
その他の添加剤としては、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤、また、アニオン、カチオン、ノニオン系の界面活性剤等の公知の添加剤を用いることができる。
中でも、本発明の着色硬化性組成物は、特に100万画素を超えるような高解像度の固体撮像素子用カラーフィルタの用途に好適である。
形成する着色パターンの膜厚が薄い場合、又は、着色パターンのサイズが小さい場合に、DOFマージンが狭くなる傾向がある点を考慮すると、前記固体撮像素子用カラーフィルタにおける着色パターンの膜厚としては、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましい。着色パターン(着色画素)のサイズとしては、2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.7μm以下が特に好ましい。
本発明のカラーフィルタは、既述の本発明の着色硬化性組成物を用いてなるものである。例えば、後述の支持体上に、既述の本発明の着色硬化性組成物を用いてなる1色以上(好ましくは、3色または4色)の着色パターンを有して構成される。
本発明のカラーフィルタは、広いDOFマージンを有する本発明の着色硬化性組成物を用いてなるため、現像残渣の発生やパターン周辺の荒れの発生が抑制される。
以下、より具体的なカラーフィルタの製造方法の例について説明する。
即ち、本発明の着色硬化性組成物を支持体上に塗布する塗布工程と、(必要に応じて、更に、塗布された着色硬化性組成物をプリベークするプリベーク工程と)、塗布された着色硬化性組成物をマスクを通してパターン露光する露光工程と、パターン露光された着色硬化性組成物をアルカリ現像する現像工程と、(必要に応じて、更に、アルカリ現像された着色硬化性組成物をポストベークするポストベーク工程と)、を有して構成される製造方法が挙げられる。
また、現像後に得られたパターンを、十分硬化させて機械強度を高め永久膜とするためにポストベークが行われる(ポストベーク工程)。例えば、3色のカラーフィルタの製造に際しては、最初に形成されたパターンは、その後、他色のレジスト液の塗布、露光、現像を2度受ける。この際に、塗布されたレジスト液との混色、露光、現像によるパターンの欠落が生じないようにポストベークを行うものである。このポストベークはプリベーク同様の方法が用いられるが、プリベークの条件よりも、高温、長時間で行われる。例えば、オーブンによる間接加熱の場合、約180〜250℃、約0.5時間〜2時間、ホットプレートによる直接加熱の場合、約180〜250℃、約2分〜10分間行われる。
また、カラーフィルタ層との接着性を向上させるために、支持体に高密着処理を施すことが好ましい。具体的には、支持体上に予めシランカップリング剤等を薄く塗布した後に着色硬化性組成物のパターンを形成するか、あるいは予め着色硬化性組成物中にシランカップリング剤を含有させてもよい。
例えば、CCD、CMOSなどの固体撮像素子(イメージセンサー)は、シリコン基板上に受光量に応じて電子を発生させる光電子変換部(フォトダイオード)と、その発生した電子を出力する為の読み出しゲート部とで構成されている。読み出しゲート部に光が当たるとノイズの原因となり正確なデータが出力されないため、読み出しゲート部の上部には遮光膜層が形成されており、遮光膜層を持たないフォトダイオード部との間で段差が生じている場合がある。このような段差上にカラーレジストを塗布し、直接カラーフィルタを形成すると光路長が長くなるため画像が暗く、また集光性も劣るようになる。これを改善する為、その段差を埋める目的で透明な平坦化膜を、CCDやCMOS等とカラーフィルタとの間に形成することが好ましい。この平坦化膜の材料としては、本発明の着色硬化性組成物のような光硬化性レジスト液、アクリル系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
本発明の固体撮像素子は既述の本発明のカラーフィルタを備えて構成される。
本発明の固体撮像素子は、着色画素が矩形に近い断面形状を有する本発明のカラーフィルタが備えられているため、色再現性に優れる。
本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明のカラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
〔実施例1〕
<平坦化膜用レジスト液の調製>
下記成分を撹拌機で混合し、平坦化膜用レジスト液を調製した。
〜平坦化膜用レジスト液の成分〜
・ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体(=70/30[モル比])
… 16.4質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート … 6.5質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 13.8質量部
・エチル−3−エトキシプロピオネート … 12.3質量部
・下記トリアジン系開始剤 … 0.3質量部
6インチシリコンウエハ上に、上記で得られた平坦化膜用レジスト液をスピンコートで均一に塗布して塗布膜を形成し、形成された塗布膜を、表面温度120℃のホットプレート上で120秒間加熱処理した。ここで、スピンコートの塗布回転数は、前記加熱処理後の塗布膜の膜厚が約1μmとなるように調整した。
上記加熱処理後の塗布膜を、更に、220℃のオーブンにて1時間処理して、塗布膜を硬化させて平坦化膜とした。
以上のようにして、6インチシリコンウエハ上に平坦化膜が形成された、平坦化膜付きウエハを得た。
以下の成分を攪拌機で混合し、カラーレジスト液を調製した。
〜カラーレジスト液の成分〜
・ベンジルメタアクリレート/メタクリル酸共重合体(=70/30[モル比])
… 3.27質量部
・C.I.ピグメントブルー15:6 … 5.32質量部
・C.I.ピグメントバイオレット23 … 1.33質量部
・高分子分散剤(ディスパーエイド163(ビックケミー社製顔料分散剤) … 2.56質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 81質量部
・IRGACURE OXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;光重合開始剤) … 1.65質量部
・p−メトキシフェノール(重合禁止剤) … 0.002質量部
・前述の例示化合物(b)(重合性化合物) … 3.42質量部
・アロニックス(ARONIX)M−305(東亞合成(株)製;重合性化合物)
… 1.47質量部
前記平坦化膜付きウエハの平坦化膜上に、上記で得られたカラーレジスト液をスピンコートで均一に塗布して塗布膜を形成し、形成された塗布膜を、表面温度100℃のホットプレート上で120秒間加熱処理(プリベーク)してカラーレジスト層を形成した。ここで、スピンコートの塗布回転数は、前記加熱処理後の塗布膜の膜厚が約0.8μmとなるように調整した。
パターン露光は、21行×19列の配置で計399箇所にマトリックス状に行った。
ここで、上記21行は、最小露光量500J/m2から250J/m2間隔で、1行ごとに露光量を増加させた条件となっている。
一方、上記19列は、焦点距離最適値(Foucus0.0μm)を中心として0.1μm間隔で焦点距離を変化させた条件となっている。詳しくは、中央1列を焦点距離最適値とし、1列ごとに焦点距離を変化させた条件となっている。
また、フォトマスクとしては、6サイズ(1.0μm角、1.5μm角、2.0μm角、3.0μm角、4.0μm角、7.0μm角)の正方形ピクセルパターンが4mm×3mmの範囲内に配列されたマスクパターンを有するフォトマスクを用いた。
以上により、青色のカラーフィルタを得た。
1.5μm角の正方形ピクセルパターン(マスクパターン)を介した露光により形成された着色パターンを、測長SEM(Critical−Dimension Scanning Electron Microscope)(日立S−9260)を用いて測定し、着色パターンの寸法が1.5μm±0.1μmの範囲で解像している焦点距離の範囲をDOFマージンとした。
この数字が大きいほど良好な性能を示す。
実施例1において、カラーレジスト液の調製に用いた重合性化合物(例示化合物(b)及びアロニックスM−305)の種類及び/又は量を、表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
・DPHA … ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・M−305 … 東亞合成(株)製アロニックスM−305
・SR−494 … サートマー社製SR−494
また、実施例の着色硬化性組成物を用いて作製されたカラーフィルタは、現像残渣の発生やパターン周辺の荒れの発生が抑制されていた。
カラーレジスト液の成分を以下に示す成分に変更した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
〜カラーレジスト液の成分〜
・ベンジルメタアクリレート/メタクリル酸共重合体(=70/30[モル比])
… 3.00質量部
・C.I.ピグメントブルー15:6 … 5.78質量部
・C.I.ピグメントバイオレット23 … 1.44質量部
・高分子分散剤(ディスパーエイド163(ビックケミー社製顔料分散剤) … 2.78質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 81質量部
・IRGACURE OXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;光重合開始剤) … 1.50質量部
・p−メトキシフェノール(重合禁止剤) … 0.002質量部
・例示化合物(b)(重合性化合物) … 3.15質量部
・アロニックスM−305(東亞合成(株)製;重合性化合物)… 1.35質量部
実施例8において、カラーレジスト液の調製に用いた重合性化合物(例示化合物(b)及びアロニックスM−305)の種類及び/又は量を、表2に示すように変更した以外は実施例8と同様にしてカラーフィルタを作製し、実施例8と同様の評価を行った。
評価結果を表2に示す。
また、実施例の着色硬化性組成物を用いて作製されたカラーフィルタは、現像残渣の発生やパターン周辺の荒れの発生が抑制されていた。
カラーレジスト液の成分を以下に示す成分に変更した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。
〜カラーレジスト液の成分〜
・ベンジルメタアクリレート/メタクリル酸共重合体(=70/30[モル比])
… 2.73質量部
・C.I.ピグメントブルー15:6 … 6.23質量部
・C.I.ピグメントバイオレット23 … 1.56質量部
・高分子分散剤(ディスパーエイド163(ビックケミー社製顔料分散剤) … 3.00質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 81質量部
・IRGACURE OXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;光重合開始剤) … 1.37質量部
・p−メトキシフェノール(重合禁止剤) … 0.002質量部
・例示化合物(b)(重合性化合物) … 2.88質量部
・アロニックスM−305(東亞合成(株)製;重合性化合物)… 1.23質量部
実施例15において、カラーレジスト液の調製に用いた重合性化合物(例示化合物(b)及びアロニックスM−305)の種類及び/又は量を、表3に示すように変更した以外は実施例15と同様にしてカラーフィルタを作製し、実施例15と同様の評価を行った。
評価結果を表3に示す。
また、実施例の着色硬化性組成物を用いて作製されたカラーフィルタは、現像残渣の発生やパターン周辺の荒れの発生が抑制されていた。
また、DOFマージン拡大の効果は、着色剤含有率が高くDOFマージンが狭くなりやすい条件下においても得られた。
また、実施例1〜21では、青色のカラーフィルタを作製した例について説明したが、着色硬化性組成物に用いた着色剤を変更することにより、実施例1〜21と同様に、現像残渣の発生やパターン周辺の荒れの発生が抑制された、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、赤色、緑色、及び青色の3色の着色画素を有するカラーフィルタを作製することができる。
また、フォトダイオード、遮光膜、及びデバイス保護膜などが形成された固体撮像素子用基板上に、前記3色の着色画素を有するカラーフィルタを作製することで、色再現性に優れた固体撮像素子を作製することができる。
例えば、フォトダイオード及び転送電極が形成されたシリコン基板上に、フォトダイオードの受光部のみ開口したタングステンからなる遮光膜を形成し、形成された遮光膜全面及びフォトダイオード受光部(遮光膜中の開口部)を覆うようにして窒化シリコンからなるデバイス保護層を形成し、形成されたデバイス保護層上に、実施例1〜21と同様の方法によりカラーフィルタ(R、G、及びBの着色画素)を形成し、形成されたカラーフィルタ上に集光手段であるマイクロレンズを形成することにより、色再現性が良好な固体撮像素子を作製することができる。
Claims (10)
- 着色剤と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物と、を含み、
前記炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物と前記炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物の、合計の重合性基数が質量平均で5.3以上12以下であり、合計の炭素数2以上のアルキレンオキシ基数が質量平均で8.4以上10.0以下である着色硬化性組成物。 - 前記炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物が、一般式(i)又は一般式(ii)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の着色硬化性組成物。
〔一般式(i)及び(ii)中、Eは、各々独立に、−((CH2)yCH2O)−、又は−((CH2)yCH(CH3)O)−を表し、yは、各々独立に1〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
一般式(i)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは、各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は1〜40の整数である。
一般式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは、各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は1〜60の整数である。〕 - 前記炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物が、一般式(iii)又は一般式(iv)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の着色硬化性組成物。
〔一般式(iii)及び(iv)中、Zは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
一般式(iii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計数は3個又は4個である。また、一般式(iv)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計数は5個又は6個である。〕 - さらに、光重合開始剤を含み、前記光重合開始剤がオキシム系化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
- 着色剤と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する重合性化合物を含む2種以上の重合性化合物と、光重合開始剤と、を含み、
前記2種以上の重合性化合物の、合計の重合性基数が質量平均で4.5以上であり、合計の炭素数2以上のアルキレンオキシ基数が質量平均で2.0以上10.0以下であり、且つ、前記光重合開始剤が2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオンである着色硬化性組成物。 - 前記2種以上の重合性化合物が、さらに炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有しない重合性化合物を含む請求項5に記載の着色硬化性組成物。
- 前記着色剤の含有量が、全固形分に対し30質量%以上である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を支持体上に塗布後、塗布形成された塗布膜をマスクを通して露光し、現像して着色パターンを形成する工程を有するカラーフィルタの製造方法。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いてなるカラーフィルタ。
- 請求項9に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
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