JP5355048B2 - 接合構造体の製造方法 - Google Patents
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また、特許文献3〜5には、平板状のフランジ部材に穴を形成し、前記穴に筒状のアルミニウム合金押出材からなる軸部材を挿入して、前端を前記穴から前方に少し突出させ、電磁成形により軸部材を拡管して前記金属製部材に接合し、フランジ付き軸部材を製造することが記載されている。
また、朝顔状に前方に尖って突き出た形態の軸フランジ(図19(b)参照)は、他部材に対する損傷の原因、あるいは無用な突起として邪魔になる場合もある。さらに接合構造体がバンパー構造体の場合、軸フランジがバンパービームの前壁から前方に突き出た形態をとると、尖った先端が衝突時にバンパーカバーを破損させるおそれがある。これらの問題は、軸フランジを穴の開口周縁部に沿った形状に拡開させることにより解消される。
(1)前記軸フランジは、前記金属製部材の穴の開口周縁部の形状にほぼ沿った形状を有するように拡開していること。
(2)金属製部材が板状の部材であり、筒状部材を電磁成形により拡管して軸部を前記穴の内周面に密着させると同時に、板状部材から軸フランジとは反対側に突出する軸部を外径方向に張り出させること。その場合に、前記穴が、軸フランジが当接する側からバーリング加工されたバーリング穴であること。
(3)金属製部材が閉断面を有し、筒状部材を電磁成形により拡管して軸部を前記穴の内周面に密着させると同時に、閉断面の内部と閉断面から軸フランジとは反対側に突出する軸部を外径方向に張り出させること。
(4)筒状のアルミニウム合金押出材の一方の端部を電磁成形により拡開して、前記軸フランジを成形すること。この場合、さらにプレス加工で前記軸フランジを整形すること。
(5)前記軸フランジは、前記前壁側の穴の開口周縁部の形状にほぼ沿った形状を有するように拡開していること。
(6)バンパービーム用の閉断面の形材がアルミニウム合金押出材からなること。
(7)筒状部材を電磁成形により拡管して軸部を前記穴の内周面に密着させると同時に、前後壁の間と後壁の後方側に突出する軸部を外径方向に張り出させること。
(8)バンパービームの両端部は前後方向に潰し加工され、潰し加工により重なった前後壁に前記穴が打抜き加工されていること。この場合、前記穴がバーリング穴であり、打抜き加工後さらに前方側からバーリング加工して形成されたものであること。
(9)筒状のアルミニウム合金押出材の一方の端部を電磁成形により拡開して、前記軸フランジを成形すること。この場合、さらにプレス加工で前記軸フランジを整形すること。
また、予め筒状部材に軸フランジを形成しておくので、自由に成形方法を選択でき、かつ軸フランジを当接させる穴の開口周縁部の形状に正確に沿った形状、例えば平坦な形状、段差のある形状などに成形することも容易である。このように軸フランジを前記開口周縁部に沿った形状とすることにより、金属製部材と筒状部材の接合がより確実に行えるようになる。また、この場合、軸フランジが他部材に対する損傷の原因、あるいは無用な突起として邪魔になるようなことが解消され、さらに接合構造体がバンパー構造体の場合、軸フランジがバンパーカバーを破損させるおそれもなくなる。
本発明のその他の作用効果については、以下の[発明を実施するための最良の形態]の欄で具体的に説明する。
図1に示すバンパー構造体1は、図2に示す閉断面形状を有するアルミニウム合金押出材からなるバンパービーム2と、円筒状のアルミニウム合金押出材からなり前記バンパービーム2の左右両端に接合されたバンパーステイ3からなる。
バンパービーム2を構成するアルミニウム合金押出材の断面は、図2に示すように、衝突面側の前壁4と、車体側の後壁5と、前壁4及び後壁5を接続する上壁6及び下壁7からなり、前壁4の中央部に前面側に突出するビード4a(段部)が形成され、閉断面全体として略凸形状をなし、前壁4のビード4a及びその上下の所定幅の部分と、後壁5の中央部はかなり薄肉化されている。
潰し加工された箇所では、図3の端面図に示すように、上下方向のほぼ全幅にわたり前壁4と後壁5が密着状態で前後に重なり、重なった前壁4と後壁5の上下に、主として上壁6により構成されるリブ状部11と、主として下壁7により構成されるリブ状部12が形成されている。重なった前壁4と後壁5、及び上下のリブ状部11,12により、バンパービーム2の潰し加工された箇所は、全体として後方側が開口した溝形をなす。また、各リブ状部11,12は中空断面を有している。なお、図1に示すように、前壁4と後壁5が2枚重ねとされた箇所と潰し加工されていない箇所の間には、潰し加工の程度が変化する遷移領域が存在する。
なお、このような穴開け及びバーリング加工を行う場合に、前壁4と後壁5は密着していることが望ましいが、両壁間に多少の隙間は許容される(潰し加工後のスプリングバックにより隙間ができることもある)。要は、片側から穴開け及びバーリング加工が特に支障なくできる程度の隙間であれば許容されるということである。
穴フランジ14の後端はほぼ同一平面内にあり、バーリング高さは、前壁4のビード4aに掛かる部分で大きく、平坦部4bに掛かる部分(ビード4aの上下)で小さくなっている。
図6に示すように、軸部15の前方部分(接合に関与する部分)は、バーリング穴13に挿入され電磁成形により拡管してバーリング穴13の内周面に密着する密着部17(前方側が拡開している)と、バーリング穴13の後端の後方側において外径方向に張り出した張出部19を有し、軸部15の前端にバーリング穴13の前方に突出して前壁4の前面に沿って拡開する軸フランジ18が形成されている。バンパーステイ3が上記構造を有することにより、バンパーステイ3はバンパービーム2に強固に接合されている。
まず、図7に示すように、バーリング穴13の内径に近い外径を有する円筒状のアルミニウム合金押出材の端部を拡開して、軸部15の前端に軸フランジ18が形成された筒状部材(ステイ中間材)3Aを作成する。軸フランジ18の背面側は、バーリング穴13の拡開した内周面及び前壁側開口周縁部の形状にほぼ沿った、やや複雑な形状を有する。
電磁成形によりアルミニウム合金押出材の前記貫通穴から突出した部分は瞬間的に拡開し、前記端面に打ち付けられ、これにより軸部15の前端に軸方向に略垂直で平坦な軸フランジ18を有する筒状部材3Aが成形される。電磁成形だけではバーリング穴13の前壁側開口周縁部の形状(平坦部や段部を有する)が正確に出せない場合は、金型を用いたプレス成形等の適宜の手段により、軸フランジ18を適宜整形することができる。
図10,11に示すように、電磁成形後の筒状部材3Bの軸部15は、バーリング穴13の内周面に密着し(密着部17)、バーリング穴13の後方側において外径方向に張り出し(張出部19)、一方、軸フランジ18はバーリング穴13の前壁側開口周縁部に密着し、筒状部材3Bはバンパービーム2に接合される。
なお、バーリング穴13は、単なる打抜き穴と比べた場合、バンパーステイ3との接触面積を増加させて接合強度を高める作用と、穴フランジ14による穴周縁部の強度及び剛性アップの作用を有する。また、バーリング穴13が前壁4と後壁5が重なった箇所(見かけ上の板厚が増大)に形成されていることも、穴周縁部の強度及び剛性アップに寄与する。
なお、取付用フランジ16の成形を電磁成形による接合前に行うことも、電磁成形による接合と同時に行うこともできる。取付用フランジ16の代わりとして、例えば特許文献3〜5に記載されているように、筒状部材3Bの後端に板状のフランジ部材を接合することもできる。
図12において、筒状部材3A(ステイ中間材)は、円筒状のアルミニウム合金押出材の端部を拡開すると同時に全長にわたり拡管して作成したもので、前方ほど径の大きい軸部15と、前端に形成された軸フランジ18からなる。軸フランジ18の背面側は、バーリング穴13の拡開した内周面及び前壁側開口周縁部の形状にほぼ沿った形状を有する。この筒状部材3Aは、図7に示す筒状部材3Aと同様に電磁成形等により作成できる。
なお、電磁成形により成形された取付用フランジを、必要に応じてプレス加工等により整形することもできる。
図13に示すバンパー構造体31は、図1〜11に示すバンパー構造体1(図6参照)と同じく、閉断面形状を有するアルミニウム合金押出材からなるバンパービーム32と、円筒状のアルミニウム合金押出材からなり前記バンパービーム32の左右両端に接合されたバンパーステイ33からなる。
軸部41の前方部分(接合に関与する部分)は、前壁側の穴38と後壁側の穴39の内周面に密着した密着部と、前壁34と後壁35の間で外径方向に張り出した張出部44と、後壁34の後方側において外径方向に張り出した張出部45を有し、軸部41の前端に前壁側の穴38から前方に突出して前壁34の前面に沿って拡開する軸フランジ43が形成されている。バンパーステイ33が上記構造を有することにより、バンパーステイ33はバンパービーム32に強固に接合されている。
まず、図14に示すように、前記穴38,39の内径に近い外径を有する円筒状のアルミニウム合金押出材の端部を拡開して、軸部41の前端に軸フランジ43が形成された筒状部材(ステイ中間材)33Aを作成する。軸フランジ43の背面側は、前壁側の穴38の開口周縁部の形状にほぼ沿った平坦な形状を有する。筒状部材33Aは、図7に示す筒状部材3Aと同様に電磁成形により作成できる。また、電磁成形だけでは前壁側の穴38の開口周縁部の形状(平坦面)が正確に出せない場合は、金型を用いたプレス成形等の適宜の手段により、軸フランジ43を適宜整形することができる。
図15に示すように、電磁成形後の筒状部材33Bの軸部41は、前壁側の穴38と後壁側の穴39の内周面に密着し、前壁34と後壁35の間及び後壁35の後方側で外径方向に張り出し(張出部44,45)、一方、軸フランジ43は前壁側の穴38の開口周縁部に密着し、筒状部材33Bはバンパービーム32に接合される。
電磁成形による接合後、筒状部材33Bの後端に取付用フランジ42を成形する。取付用フランジ42の成形は、図6に示すバンパー構造体1の筒状部材3Bに対して行ったと同様の方法で行うことができる。
ここで示すフランジ付き軸部材はバンパーステイ51であり、図16に示すように、板状部材52とこれに電磁成形により接合された筒状部材53からなる。板状部材52は自動車車体のサイドメンバの前端に例えばボルト接合されるフランジであり、筒状部材53の一端に形成された取付用フランジ54はバンパービームの後壁に例えばボルト接合されるフランジである。
筒状部材53は、円筒状のアルミニウム合金押出材からなり、軸部56の前方部分(接合に関与する部分)がバーリング穴55に挿入され、軸部56の後端に前記取付用フランジ54が軸方向に対し垂直に形成されている。
軸部56の前方部分(接合に関与する部分)は、板状部材52のバーリング穴55の内周面に密着した密着部56と、板状部材52の後方側において外径方向に張り出した張出部59を有し、軸部56の前端にバーリング穴55から前方に突出して板状部材52の前面に沿って拡開する軸フランジ58が形成されている。筒状部材53が上記構造を有することにより、筒状部材53は板状部材52に強固に接合されている。
まず、図17に示すように、前記バーリング穴55の内径に近い外径を有する円筒状のアルミニウム合金押出材の端部を拡開して、軸部56の前端に軸フランジ58が形成された筒状部材53Aを作成する。軸フランジ58の背面側は、板状部材52の前面側の凹みの部分(バーリング穴55の開口周縁部)の形状に沿った形状を有する。筒状部材53Aは、図7に示す筒状部材3Aと同様に電磁成形により作成できる。また、電磁成形だけではバーリング穴55の開口周縁部の形状(平坦面)が正確に出せない場合は、金型を用いたプレス成形等の適宜の手段により、軸フランジ58を適宜整形することができる。
図18に示すように、電磁成形後の筒状部材53Bの軸部56は、バーリング穴55の内周面に密着し、板状部材52の後方側で外径方向に張り出し(張出部58)、一方、筒状部材53Bの軸フランジ58はバーリング穴55の開口周縁部に密着し、筒状部材53Bは板状部材52に接合される。
電磁成形による接合後、筒状部材53Bの後端に取付用フランジ54を成形する。取付用フランジ54の成形は、図6に示すバンパー構造体1の筒状部材3Bに対して行ったと同様の方法で行うことができる。
2,32 バンパービーム
3,33 バンパーステイ
4,34 バンパービームの前壁
5,35 同後壁
6 同上壁
7,37 同下壁
13,55 バーリング穴
15,41,56 軸部
18,43,58 軸フランジ
19,44,45,59 張出部
38,39 穴
Claims (13)
- 金属製部材に貫通する穴を形成し、前記穴に筒状のアルミニウム合金押出材からなる筒状部材を挿通し、前記筒状部材を電磁成形により拡管して前記穴の内周面に密着させ、前記金属製部材と前記筒状部材を接合して接合構造体を製造する方法において、予め筒状のアルミニウム合金押出材の一方の端部を電磁成形により拡開し軸フランジを成形して該軸フランジを有する筒状部材を作成し、この筒状部材の軸部を前記穴に挿通して前記軸フランジを前記穴の開口部に当接させ、その状態で前記筒状部材を前記電磁成形により拡管することを特徴とする接合構造体の製造方法。
- さらにプレス加工で整形して前記軸フランジを成形することを特徴とする請求項1に記載された接合構造体の製造方法。
- 前記軸フランジは、前記穴の開口周縁部の形状にほぼ沿った形状を有するように拡開していることを特徴とする請求項1又は2に記載された接合構造体の製造方法。
- 前記金属製部材が板状の部材であり、前記筒状部材を前記電磁成形により拡管して軸部を前記穴の内周面に密着させると同時に、前記板状部材から前記軸フランジとは反対側に突出する軸部を外径方向に張り出させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された接合構造体の製造方法。
- 前記穴が、前記軸フランジが当接する側からバーリング加工されたバーリング穴であることを特徴とする請求項4に記載された接合構造体の製造方法。
- 前記金属製部材が閉断面を有し、前記筒状部材を前記電磁成形により拡管して軸部を前記穴の内周面に密着させると同時に、前記閉断面の内部と前記閉断面から軸フランジとは反対側に突出する軸部を外径方向に張り出させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された接合構造体の製造方法。
- 衝突面側の前壁と車体側の後壁を有する閉断面の形材からなり両端部に前後方向に貫通する穴が形成されたバンパービームの前記穴に、筒状のアルミニウム合金押出材からなるバンパーステイ用筒状部材を挿通し、前記筒状部材を電磁成形により拡管して前記穴の内周面に密着させ、前記バンパービームと筒状部材を接合してバンパー構造体を製造する方法において、予め筒状のアルミニウム合金押出材の一方の端部を電磁成形により拡開し軸フランジを成形して該軸フランジを有する筒状部材を作成し、この筒状部材の軸部を前壁側から前記穴に挿通して前記軸フランジを前記前壁側の穴の開口部に当接させ、その状態で前記筒状部材を前記電磁成形により拡管することを特徴とするバンパー構造体の製造方法。
- さらにプレス加工で整形して前記軸フランジを成形することを特徴とする請求項7に記載されたバンパー構造体の製造方法。
- 前記軸フランジは、前記前壁側の穴の開口周縁部の形状にほぼ沿った形状を有するように拡開していることを特徴とする請求項7又は8に記載された接合構造体の製造方法。
- 前記閉断面の形材がアルミニウム合金押出材からなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載されたバンパー構造体の製造方法。
- 前記筒状部材を前記電磁成形により拡管して軸部を前記穴の内周面に密着させると同時に、前後壁の間と後壁の後方側に突出する軸部を外径方向に張り出させることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載されたバンパー構造体の製造方法。
- 前記バンパービームの両端部は前後方向に潰し加工され、潰し加工により重なった前後壁に前記穴が打抜き加工されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載されたバンパー構造体の製造方法。
- 前記穴がバーリング穴であり、打抜き加工後さらに前方側からバーリング加工して形成されたものであることを特徴とする請求項12に記載されたバンパー構造体の製造方法。
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