以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、断面図であってもハッチングを施さない場合や、断面図でなくてもハッチングを施す場合がある。
(第1実施形態)
まず、図1〜図23を参照して、本発明の第1実施形態による投光装置1の構造について説明する。なお、図面簡略化のために、半導体レーザ素子11の数を省略して描いている場合がある。
本発明の第1実施形態による投光装置1は、例えば自動車などの前方を照明する前照灯として用いられるものである。投光装置1は図1および図2に示すように、レーザ光源(励起光源)として機能するレーザ発生装置10と、レーザ発生装置10から出射したレーザ光を利用して所定の方向(A方向)に光を投光する投光ユニット20とを備える。なお、図2では、理解を容易にするために、投光ユニット20の後述する取付部24b、フィルタ部材25および支持板26を省略している。
レーザ発生装置10は図3に示すように、複数の半導体レーザ素子11(レーザ発生器)と、複数の半導体レーザ素子11が実装されるヒートスプレッダ12と、これらを収納する金属製の収納部材13とを含んでいる。
ヒートスプレッダ12は例えば窒化アルミニウム製の平板により形成されており、収納部材13の底面に半田付けされている。また、ヒートスプレッダ12は図4に示すように、例えば約15mmの幅(W12)と、約1mmの厚み(T12)と、約2mmの奥行き(L12)とを有する。また、ヒートスプレッダ12の実装面上には、細長形状の電極パターン12aおよび12bが形成されている。この電極パターン12a上には、複数の半導体レーザ素子11が一直線状に配列されて実装されている。本実施形態では、例えば13個の半導体レーザ素子11が実装されており、約10mmの幅(W12a)にわたって配置される。なお、この幅(W12a)は投光ユニット20の後述する集光部材21の光入射面21aの幅(W21a)(図9参照)よりも小さいことが望ましい。
半導体レーザ素子11は例えばブロードエリア型レーザであって、励起光として機能するレーザ光を出射する。また、半導体レーザ素子11は、例えば約405nmの中心波長を有する青紫色のレーザ光を出射するように構成されている。また、半導体レーザ素子11は図5に示すように、例えば約200μmの幅(W11)と、約100μmの厚み(T11)と、約1000μmの長さ(L11)とを有する。
また、半導体レーザ素子11は、n型GaNから成る厚さ約100μmの基板11aと、基板11a上に順に形成される層厚約0.5μmのn型GaNから成るバッファ層11b、層厚約2μmのn型Al0.05Ga0.95Nから成る下クラッド層11c、InGaNの多重量子井戸から成る活性層11d、および、層厚約0.5μm(最厚部)のp型Al0.05Ga0.95Nから成る上クラッド層11eとを含んでいる。
また、上クラッド層11eの所定の位置には、Z方向(半導体レーザ素子11の長さ方向)に延びるリッジが設けられている。このリッジ上には、層厚約0.1μmのp型GaNから成るコンタクト層11fと、Pdから成る電極11gとが形成されている。また、上クラッド層11eの上面と、コンタクト層11fおよび電極11gの側面とを覆うようにSiO2から成る絶縁膜11hが形成されている。また、絶縁膜11h上の所定領域には、リッジを覆うとともに、電極11gにオーミック接触するパッド電極11iが形成されている。また、基板11aの下面には、Hf/Alから成る裏面電極11jが形成されている。
そして、図4に示すように、各半導体レーザ素子11のパッド電極11iはAuワイヤ14を介してヒートスプレッダ12の電極パターン12bに電気的に接続されている。また、各半導体レーザ素子11の裏面電極11j(図5参照)は図示しない半田層などを介して電極パターン12aに電気的に接続されている。なお、半導体レーザ素子11の発光部11k(図7参照)の幅を規定するのは上クラッド層11eのリッジ幅(図5のW11a)であり、このリッジ幅は例えば7μmに設定される。この場合、発光部11kの幅は約7μmとなる。
また、収納部材13は図3に示すように、レーザ光の出射側に開口部を有する箱型に形成されている。また、収納部材13には、半導体レーザ素子11に電力を供給するための電極ピン15aおよび15bが挿入されている。この電極ピン15aおよび15bは、金属線16を用いてヒートスプレッダ12の電極パターン12aおよび12bにそれぞれ電気的に接続されている。また、収納部材13の開口部には図示しないガラス板が取り付けられており、収納部材13の内部には不活性ガスが封入されている。また、収納部材13には放熱フィンなど(図示せず)が設けられていてもよく、収納部材13は例えば空冷されてもよい。なお、図6に示すように、ガラス板の所定の位置には、投光ユニット20の後述する集光部材21が透明な接着層を介して固定されている。これにより、複数の半導体レーザ素子11から出射したレーザ光は、集光部材21に入射する。
また、半導体レーザ素子11のパッド電極11iと裏面電極11jとの間に直流電流を印加すると、図7に示すように、X方向(半導体レーザ素子11の幅方向)およびY方向(半導体レーザ素子11の厚み方向)に楕円状に広がるレーザ光が発光部11kから出射される。このレーザ光の進行方向(Z方向)に対して垂直なXY面に投影される楕円光の光強度分布は、X方向およびY方向において共にガウス分布となる。X方向の光強度分布の半値全幅(θx)は約10°で、Y方向の光強度分布の半値全幅(θy)は約20°であり、レーザ光の広がり角は、Y方向がX方向より約2倍大きくなっている。このことにより、このレーザ光は、X方向を短軸方向、Y方向を長軸方向として広がりながら進行する。
なお、レーザ発生装置10に約57Wの電力を供給した場合、レーザ発生装置10の出力は約9.4Wになる。このとき、投光装置1の25m前方における最大照度点の照度は、約120ルクス(lx)になり、後述する反射部材23経由で外部に出射される光束は約530ルーメン(lm)になる。
投光ユニット20は図1に示すように、レーザ発生装置10(半導体レーザ素子11)のレーザ光出射側に配置され、レーザ発生装置10からのレーザ光を集光しながら導光する集光部材21と、集光部材21から出射したレーザ光の少なくとも一部を蛍光に変換して出射する蛍光部材22と、蛍光部材22から出射した蛍光を所定の方向(A方向)に向かって反射する反射部材23(投光部材)と、蛍光部材22が固定される取付部材24と、反射部材23の開口部に設けられるフィルタ部材25とを含んでいる。
集光部材21は透光性を有する部材により形成されている。集光部材21の材料としては、例えばホウケイ酸クラウン光学ガラス(BK7)または合成石英などのガラスや、樹脂などが挙げられる。また、集光部材21は図8に示すように、複数の半導体レーザ素子11から出射したレーザ光が入射される光入射面21aと、レーザ光を出射する光出射面21bと、光入射面21aおよび光出射面21bの間に配置される上面21c、下面21dおよび一対の側面21eとを含んでいる。
光入射面21aは例えば略長方形状の平坦面により形成されている。光出射面21bは例えば略長方形状の平坦面により形成されているとともに、光入射面21aよりも小さい面積を有する。すなわち、集光部材21は幅方向(C方向)および厚み方向(D方向)に対して先細り形状に形成されている。具体的には、図9および図10に示すように、光入射面21aは約0.96mmの高さ(H21a)と、約10.51mmの幅(W21a)とを有する。また、光出射面21bは約0.34mmの高さ(H21b)と、約1.19mmの幅(W21b)とを有する。すなわち、光出射面21bのC方向(第1方向)の長さ(=W21b)は、光出射面21bのD方向(第2方向)の長さ(=H21b)よりも3倍以上(ここでは約3.5倍)大きい。光入射面21aおよび光出射面21b上には、図示しない反射防止(AR(Anti Reflection))膜が形成されていてもよい。なお、第1実施形態では、集光部材21の光出射面21bや蛍光部材22の照射領域が長方形状の場合において、長辺の延びる方向を本発明の「第1方向」としている。すなわち、光出射面21bや照射領域を形成する最も長い辺の延びる方向を本発明の「第1方向」としている。別の言い方をすれば、本発明の「第1方向」とは、投光方向(A方向)に対して直交し、かつ、水平な方向であると言える。また、本発明の「第2方向」とは、「第1方向」に対して直交し、かつ、蛍光部材の表面に平行な方向であると言える。
また、光出射面21bをすりガラス状の粗面あるいは所謂モスアイ状にしてもよい。この場合、集光部材21内部から光出射面21bを通して外部にレーザ光を取り出す際の取り出し効率を大きく向上させることができた。光出射面21bが平坦面である場合には、集光部材21内部においてレーザ光が光出射面21bに到達した際に、光出射面21bの内側で反射され、外部に取り出すことができないレーザ光成分が生じてしまう。それに対し、光出射面21bをすりガラス状の粗面あるいは所謂モスアイ状とすることによって、光出射面21bの内側での反射が抑制され、光を効率的に外部に取り出すことができる。
上面21cおよび下面21dは互いに同じ形状に形成されており、一対の側面21eは互いに同じ形状に形成されている。また、上面21c、下面21dおよび一対の側面21eは約50mmの長さ(L21)を有する。
また、上面21cおよび下面21dの光入射面21aに対する角度(θ21cおよびθ21d)は、側面21eの光入射面21aに対する角度(θ21e)よりも大きい。
また、上面21c、下面21dおよび一対の側面21eは、光入射面21aに入射したレーザ光を反射して光出射面21bまで導く機能を有する。
ここで、集光部材21に入射したレーザ光の進行について簡単に説明する。図11および図12に示すように、半導体レーザ素子11から出射したレーザ光は、長軸方向および短軸方向に広がりながら進行し、集光部材21の光入射面21aに入射する。そして、レーザ光は上面21c、下面21dおよび一対の側面21eで全反射を繰り返すことにより、集光されながら光出射面21bまで導光され、光出射面21bから外部に出射する。すなわち、集光部材21は光入射面21aに入射したレーザ光の進行方向を集光部材21の内部で変更してレーザ光を光出射面21bまで導く機能を有する。なお、半導体レーザ素子11から出射したレーザ光は長軸方向の広がり角が短軸方向の広がり角よりも大きいので、上面21cおよび下面21dにおいて全反射条件を満たしにくくなる。このため、上面21cおよび下面21dの光入射面21aに対する角度(θ21cおよびθ21d)(図10参照)を、側面21eの光入射面21aに対する角度(θ21e)(図9参照)よりも大きくすることによって、上面21cおよび下面21dにおいて全反射条件を満たさなくなるのを抑制している。
また、図13に示すように、レーザ光の出射方向(レーザ光の光軸方向)が集光部材21の光出射面21bの中心付近を向くように半導体レーザ素子11を配置すれば、一対の側面21eにおいて全反射条件をより満たしやすくなるので、特に有効である。なお、レーザ光の出射方向が光出射面21bの中心付近を向くように半導体レーザ素子11を配置する場合、図14に示すように、各レーザ光の出射方向と光入射面21aとが直交するように光入射面21aを形成してもよい。これにより、レーザ光の集光部材21への入射効率が低下するのを抑制することが可能である。なお、集光部材21は全反射を利用して光を導光するものに限らず、単に反射を利用して光を導光するものであってもよい。
また、図15〜図17に示すように、集光部材21のエッジを面取りしてもよい。すなわち、集光部材21の導光方向に垂直な断面を、コーナー部が面取りされた矩形状にしてもよい。この場合、図15および図16に示すように、集光部材21のエッジ(断面におけるコーナー部)をC面取りしてもよい。また、図17に示すように、集光部材21のエッジをR面取りしてもよい。なお、集光部材21の導光方向とは、光入射面21aの中心から光出射面21bの中心に向かう方向である。集光部材21の導光方向に垂直な断面をコーナー部が面取りされた矩形状に形成すれば、集光部材21のエッジ(断面のコーナー部)におけるレーザ光の散乱を抑制することが可能である。これにより、集光部材21からレーザ光が漏れるのを抑制することが可能であるので、レーザ光の利用効率を向上させることが可能である。
本実施形態の集光部材21の光出射面21bにおけるレーザ光の光強度分布は図18に示すように、均一になる。すなわち、光出射面21bから出射するレーザ光の光強度分布はガウス分布状ではなくなる。このため、蛍光部材22の後述する照射面22aに光密度が高くなりすぎる部分が発生するのを抑制することが可能である。これにより、蛍光部材22に含有される蛍光体やバインダーが熱により劣化したり、光により化学反応を起こし劣化するのを抑制することが可能である。
また、図19に示すように、集光部材21はB方向(投光方向(所定の方向、A方向)とは反対側)に傾斜している。また、集光部材21の光出射面21bと蛍光部材22の照射面22aとの間には隙間(空間)が形成されている。なお、投光方向とは、投光装置1の例えば25m前方の最も照明したい部分に向かう方向であり、例えば反射面23aの開口部の中心から25m前方の最大照度点に向かう方向である。
蛍光部材22はレーザ光が照射される照射面22aを有する。また、蛍光部材22の背面(照射面22aとは反対側の面)はアルミニウムからなる支持板26に接触されている。蛍光部材22は、例えば電気泳動により支持板26上に堆積されることにより形成されている。この支持板26は約10mmの幅と、約10mmの長さと、約1mmの厚みとを有する。また、蛍光部材22は約10mmの幅と、約10mmの長さと、約0.1mmの均一な厚みとを有する。この蛍光部材22の照射面22aの中央部に図20に示すように、集光部材21を通して集光されたレーザ光が照射される。集光部材21の光出射面21bのC方向の長さは光出射面21bのD方向の長さよりも3倍以上(ここでは約3.5倍)大きいので、図21に示すように照射面22aの中央部にてレーザ光が照射される照射領域SのC方向の長さ(Lc)は照射領域SのD方向の長さ(Ld)よりも3倍以上(ここでは約3.5倍)大きくなる。すなわち、蛍光部材22はC方向に長い略長方形状に励起される。言い換えると、反射面23aの後述する焦点F23を中心として、投光方向(A方向)と直交する方向(C方向)に拡がった分布で蛍光部材22が励起される。そして、略長方形状の領域から蛍光が出射する。なお、レーザ光を照射する面積に相当する面積分のみを有する蛍光部材22を用いて、レーザ光を蛍光部材22の照射面22aの全面に照射してもよい。
また、蛍光部材22は、例えば青紫色光(励起光)を赤色光、緑色光および青色光にそれぞれ変換して出射する3種類の蛍光体粒子を用いて形成されている。青紫色光を赤色光に変換する蛍光体としては、例えばCaAlSiN3:Euが挙げられる。青紫色光を緑色光に変換する蛍光体としては、例えばβ−SiAlON:Euが挙げられる。青紫色光を青色光に変換する蛍光体としては、例えば(Ba,Sr)MgAl10O17:Euが挙げられる。これらの蛍光体は無機のバインダー(シリカやTiO2など)により繋ぎ止められている。そして、蛍光部材22から出射する赤色光、緑色光および青色光の蛍光が混色されることによって、白色光が得られる。なお、赤色光は例えば約640nmの中心波長を有する光であり、緑色光は例えば約520nmの中心波長を有する光である。また、青色光は例えば約450nmの中心波長を有する光である。
また、蛍光部材22は図1に示すように、反射部材23の反射面23aの焦点F23を含む領域に配置されており、蛍光部材22の照射面22aの中心は、反射面23aの焦点F23と略一致している。なお、蛍光部材22は、反射部材23の反射面23aの焦点F23の近傍に配置されていてもよい。また、蛍光部材22の照射面22aは図19に示すように、投光方向(A方向)に向かって上側に傾斜している。
反射部材23の反射面23aは図22に示すように、蛍光部材22の照射面22aに対向するように配置されている。また、反射面23aは、例えば放物面の一部を含むように形成されている。具体的には、反射面23aは放物面を、その頂点V23と焦点F23とを結ぶ軸に直交(交差)する面で分割し、かつ、頂点V23と焦点F23とを結ぶ軸に平行な面で分割したような形状に形成されている。そして、反射面23aは図22および図23に示すように、約30mmの深さ(B方向の長さ)を有するとともに、投光方向(A方向)から見て約30mmの半径を有する略半円形状に形成されている。
反射面23aは蛍光部材22からの光を所定の方向(A方向)に反射する機能を有する。なお、蛍光部材22のうちの反射面23aの焦点F23から出射した光は反射面23aにより平行光にされるが、焦点F23から例えばC方向にずれた位置から出射した光は反射面23aによりC方向に拡がった状態で出射される。また、反射部材23のうちの蛍光部材22の中心よりもB方向の部分には、貫通穴23bが形成されている。この貫通穴23bには、集光部材21の先端部分が挿入される。
なお、反射部材23は金属により形成されていてもよいし、樹脂の表面に反射膜を設けることにより形成されていてもよい。
反射部材23には取付部材24が固定されている。この取付部材24の上面24aは光を反射する機能を有するように形成されていることが好ましい。取付部材24は例えばAlやCuなどの良好な熱伝導性を有する金属により形成されており、蛍光部材22で発生した熱を放熱する機能を有する。また、取付部材24の上面24aには、蛍光部材22および支持板26を固定するための取付部24bが一体的に形成されている。また、図19に示すように、取付部24bの取付面24cは、投光方向(A方向)に向かって上側に傾斜している。なお、取付部材24の下面には、放熱フィン(図示せず)が設けられていることが好ましい。
また、図1に示すように、反射部材23の開口部(A方向の端部)には、励起光(約405nmの波長の光)を遮光(吸収または反射)し、蛍光部材22により波長変換された蛍光(赤色光、緑色光および青色光)を透過するフィルタ部材25が設けられている。具体的には、フィルタ部材25は例えば約418nm以下の波長の光を吸収し、約418nmよりも大きい波長の光を透過する、五鈴精工硝子株式会社製のITY−418や、例えば約420nm以下の波長の光を吸収し、約420nmよりも大きい波長の光を透過する、HOYA株式会社製のL42等のガラス材料を用いて形成することが可能である。反射部材23の開口部にフィルタ部材25を設けることによって、レーザ光が外部に漏れるのを抑制することが可能である。
次に、図24を参照して、投光装置1から出射される光の投光パターンについて説明する。図24では、投光装置1の25m前方の位置に仮想スクリーンを配置したと仮定して、その仮想スクリーンに投影される投光パターンPについて説明する。反射部材23により投光された蛍光の投光パターンPは、水平方向(C方向)の長さ(Lpc)が上下方向(D方向)の長さ(Lpd)よりも3〜4倍大きい楕円形状になった。すなわち、投光パターンPを横長形状にすることができた。この横長形状の投光パターンPは、投光装置1を自動車の前照灯として用いる場合に、道路の中央と、左右の歩道および道路標識とを効率的に照明するのに必要な形状となる。なお、集光部材21の光出射面21bのC方向の長さとD方向の長さを同じにした場合、投光パターンPは水平方向の長さと上下方向の長さとが同じである円形状になる。
本実施形態では、上記のように、照射領域SのC方向の長さLcは、照射領域SのD方向の長さLdよりも大きい。これにより、蛍光部材22はC方向に長く励起される。このため、蛍光部材22から出射した光が反射部材23により外部に出射される際に、C方向に長い長形状(楕円形状)の投光パターンPを得ることができる。
また、上記のように、集光部材21の光出射面21bのC方向の長さ(幅W21b)を光出射面21bのD方向の長さ(高さH21b)よりも大きくすることによって、蛍光部材22の照射領域SのC方向の長さLcを照射領域SのD方向の長さLdよりも容易に大きくすることができる。また、集光部材21の光出射面21bを光入射面21aよりも小さい面積を有するように形成することによって、光入射面21aに入射したレーザ光は、集光された状態で光出射面21bから出射される。このため、集光部材21から出射するレーザ光を高密度化することができる。
また、上記のように、光出射面21bのC方向の長さ(幅W21b)は光出射面21bのD方向の長さ(高さH21b)よりも3倍以上大きい。これにより、照射領域SのC方向の長さLcを照射領域SのD方向の長さLdよりも3倍以上大きくすることができる。これにより、投光パターンPのC方向の長さ(Lpc)とD方向の長さ(Lpd)との比率を約3倍以上にすることができる。例えば、自動車用の前照灯では適切な投光パターンPの縦横比は1:3〜1:4程度であるので、投光装置1を自動車用の前照灯として用いれば、適切に前方を照明することができる。
本願では、レーザ光で蛍光部材を励起することによって得られる光を投光するシステムにおいて、蛍光部材を横長(所定の方向に長い形状)に励起することによって横長の投光ができるようにした点が特徴であり、さらにそれを好適に実施するために横長の光出射面を有する導光部材(集光部材)を用いることを提案した点にさらなる特徴がある。
また、上記のように、反射部材23を設けることによって、蛍光部材22から出射した光を所定の方向に容易に投光することができる。
また、上記のように、光出射面21bを粗面あるいはモスアイ状に形成すれば、光出射面21bの内側での反射が抑制され、光を効率的に外部に取り出すことができる。
(第2実施形態)
この第2実施形態では、図25を参照して、上記第1実施形態と異なり、蛍光部材22の背面(照射面22aとは反対側の面)から出射した蛍光を反射部材23で反射する場合について説明する。
本発明の第2実施形態による投光装置101では図25に示すように、投光ユニット120は、集光部材21と、蛍光部材22と、反射部材23と、副反射部材127とを含んでいる。
蛍光部材22は0.1mm〜1mm程度の厚みを有しており、蛍光部材22の照射面22aおよび背面は集光部材21の光出射面21bと同じ大きさに形成されている。蛍光部材22は集光部材21の光出射面21b上に固定されている。このため、蛍光部材22は上記第1実施形態と同様、C方向(図25において紙面に垂直な方向)に長い長方形状に励起される。なお、蛍光部材22の照射領域(照射面22a全面)のC方向の長さは照射領域のD方向の長さよりも3倍以上(ここでは約3.5倍)大きくなる。そして、長方形状の領域から蛍光が出射する。
また、本実施形態の蛍光部材22は上記第1実施形態の蛍光部材22よりも蛍光体粒子の密度が低く、レーザ光が照射されると背面(照射面22aとは反対側の面)から蛍光を出射する。なお、蛍光部材22の側面(照射面22aと背面とを連結する面)からも蛍光が出射してもよい。
反射部材23の反射面23aは放物面を、その頂点と焦点とを結ぶ軸に直交(交差)する面で分割したような形状に形成されている。そして、反射面23aは約15mmの深さ(B方向の長さ)を有するとともに、投光方向(A方向)から見て約15mmの半径を有する円形状に形成されている。
この投光装置101では、上記第1実施形態の投光装置1と同様、反射部材23により投光された蛍光の投光パターンPは、水平方向(C方向)の長さが上下方向(D方向)の長さよりも3〜4倍大きい楕円形状になる。
副反射部材127は蛍光部材22の前方に配置されている。副反射部材127は、球面の一部を用いた形状に形成されているとともに、投光方向(A方向)から見て約5mmの直径を有する円形状に形成されている。この副反射部材127は、反射部材23に当たらず外部に出射してしまう蛍光や蛍光部材22を透過したレーザ光を、反射して蛍光部材22に再度入射させる機能を有する。蛍光部材22に再度入射した光は、蛍光部材22により散乱され、または蛍光に変換され、蛍光部材22から再度出射する。このとき、光は長方形状の領域から出射することになる。
なお、第2実施形態のその他の構造および効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
この第3実施形態では、図26〜図29を参照して、上記第1および第2実施形態と異なり、集光部材21の光出射面21bが長六角形状に形成されている場合について説明する。
本実施形態の集光部材21では図26に示すように、光入射面21aおよび光出射面21bは長六角形状に形成されている。具体的には、光入射面21aは約3mmの高さ(H21a)と、約15mmの幅(W21a)とを有する。また、光出射面21bは約2mmの高さ(H21b)と、約6mmの幅(W21b)とを有する。また、上面21cおよび下面21dの光出射面21b側の端部は、約2mmの幅(W21c)を有する。
このため、レーザ光が蛍光部材22に照射されると、蛍光部材22の照射領域Sは図27に示すようになり、照射領域SのC方向の長さ(Lc)は照射領域SのD方向の長さ(Ld)よりも3倍以上(ここでは約3倍)大きくなる。なお、C方向における蛍光部材22上のレーザ光の光強度分布は、図28に示すようになる。
本実施形態の集光部材21を用いると、投光装置の25m前方における蛍光の光強度分布は、図29の実線で示したようになる。なお、図29の破線は、集光部材21の光出射面21bを約2mmの高さと約6mmの幅とを有する長方形状に形成した場合における、蛍光の光強度分布を示している。光出射面21bを長六角形状にした場合(図29の実線の場合)、光出射面21bを長方形状にする場合(図29の破線の場合)に比べて、正面の2mの領域R1(道路中央の領域)の光強度を高くし、かつ、周辺領域R2(歩道・街路樹・道路標識等の領域)の光強度を低くすることが可能である。すなわち、光出射面21bを長六角形状にすることにより、投光パターンを水平方向(C方向)に拡げることができるとともに、周辺領域R2に無駄に多くの光が分配されるのを抑制することが可能である。
なお、第3実施形態では、光出射面21bや照射領域を横切る最も長い線の延びる方向を本発明の「第1方向」としている。別の言い方をすれば、本発明の「第1方向」とは、投光方向(A方向)に対して直交し、かつ、水平な方向である。また、本発明の「第2方向」とは、「第1方向」に対して直交し、かつ、蛍光部材の表面に平行な方向であると言える。
第3実施形態のその他の構造および効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
(第4実施形態)
次に、図30〜図33を参照して、本発明の第4実施形態による投光装置201の構造について説明する。
本発明の第4実施形態による投光装置201では図30に示すように、投光ユニット220は、集光部材21と、蛍光部材22と、反射部材23と、蛍光部材22を支持する基板228とを含んでいる。
本実施形態の集光部材21では図31に示すように、光入射面21aは長方形状に形成されており、光出射面21bは逆台形状に形成されている。具体的には、光入射面21aは約3mmの高さ(H21a)と、約10mmの幅(W21a)とを有する。また、光出射面21bは約3mmの高さ(H21b)と、約3mmの幅(W21b)とを有する。また、上面21cの光出射面21b側の端部は約3mmの幅(W21c)を有し、下面21dの光出射面21b側の端部は約1mmの幅(W21d)を有する。
図30に示すように、蛍光部材22は反射部材23の反射面23aの頂点から約1.9mmの位置に配置されており、約7.5mmの直径を有する。蛍光部材22の外周面は反射部材23の反射面23aに接している。蛍光部材22は図32に示すように、反射部材23の反射面23aの焦点F23を含む領域に配置されており、蛍光部材22の照射面22aの中心は、反射面23aの焦点F23と略一致している。蛍光部材22は基板228上に設けられている。例えば、蛍光部材22は、蛍光体粒子を含有する樹脂を基板228上に塗布して硬化させることによって、形成されている。
図30に示すように、基板228は蛍光部材22から出射した蛍光を透過する機能を有するとともに、反射部材23の反射面23aに固定されている。
反射部材23の反射面23aは放物面を、その頂点と焦点とを結ぶ軸に直交(交差)する面で分割したような形状に形成されている。反射面23aは約30mmの深さ(B方向の長さ)を有するとともに、投光方向(A方向)から見て約15mmの半径を有する略円形状に形成されている。
本実施形態では、レーザ光が蛍光部材22に照射されると、蛍光部材22の照射領域Sは図32に示すように逆台形状になる。具体的には、照射領域Sは約3mmの高さ(Hs)を有し、照射領域Sの上辺は約3mmの幅(Ws1)を有し、照射領域Sの下辺は約1mmの幅(Ws2)を有する。
また、照射領域Sの中心は反射面23aの焦点F23からずれた位置に配置されている。具体的には、焦点F23から照射領域SのD方向(第3方向)の端部までの長さ(Ls1)は、照射領域SのC方向(第4方向)の長さ(Ls2(=Ws1))の半分よりも小さい。すなわち、照射領域Sは焦点F23に対して左右方向および下方向(地面方向)に拡がるように形成される。
このため、投光装置201の25m前方の投光パターンPは、図33に示すようになる。具体的には、投光パターンPは、上方向には拡がらず、左右方向(水平方向)および下方向に拡がる。すなわち、空方向(上方向)を無駄に照明するのを抑制しながら、道路周辺も照明することが可能となる。また、正面の直径約2mの領域R1(道路中央の領域)の光強度は高くなり、かつ、周辺領域R2(歩道・街路樹・道路標識等の領域)の光強度は低くなる。
なお、第4実施形態のその他の構造は、上記第1〜第3実施形態と同様である。
本実施形態では、上記のように、反射面23aの焦点F23から照射領域SのD方向の端部までの長さ(Ls1)は、D方向と直交するC方向の照射領域Sの長さ(Ls2)の半分よりも小さい。これにより、照射領域SのD方向の端部から反射面23aの焦点F23までの距離は、照射領域SのC方向の端部から反射面23aの焦点F23までの距離よりも小さくなる。このため、投光パターンPのD方向の長さ(Lpd)を投光パターンPのC方向の長さ(Lpc)よりも小さくすることが可能である。すなわち、C方向に長い長形状(楕円形状)の投光パターンPを得ることができる。
第4実施形態のその他の効果は、上記第1〜第3実施形態と同様である。
(第5実施形態)
次に、図34〜図38を参照して、本発明の第5実施形態による投光装置301の構造について説明する。
本発明の第5実施形態による投光装置301では図34に示すように、投光ユニット320は、集光部材21と、蛍光部材22と、反射部材23と、蛍光部材22を支持する支持部材329と、レンズ(投影レンズ)330とを含んでいる。
本実施形態の集光部材21では図35に示すように、光入射面21aは長方形状に形成されている。光出射面21bは上記実施形態と異なり、左右非対称に形成されており、ロービーム(すれ違い用前照灯)の投光パターンPに対応する形状に形成されている。具体的には、光入射面21aは約3mmの高さ(H21a)と、約10mmの幅(W21a)とを有する。また、光出射面21bは右上部分を切り欠いたような形状に形成されており、左右で異なる高さを有する。なお、左とは、自動車の走行方向に向かって左側(C方向とは反対側)のことを意味し、図35では右になる。また、右とは、自動車の走行方向に向かって右側(C方向側)のことを意味し、図35では左になる。光出射面21bの左部分は約1.9mmの高さ(HL21b)を有し、右部分は約1.5mmの高さ(HR21b)を有する。また、下面21dの光出射面21b側の端部は約6mmの幅(W21d)を有する。また、図35のW21eは約3mmの幅を有し、W21fは約2.6mmの幅を有する。また、W21gは約0.4mmの幅を有する。
なお、本実施形態の集光部材21の光出射面21bにおけるレーザ光の光強度分布は、上記第1実施形態と同様、均一である。
蛍光部材22は図34に示すように、反射部材23の反射面23aの第1焦点F23aを含む領域に配置されている。蛍光部材22は例えば金属からなる棒状の支持部材329上に設けられている。例えば、蛍光部材22は、蛍光体粒子を含有する樹脂を支持部材329上に塗布して硬化させることによって、形成されている。支持部材329は反射部材23の反射面23aに固定されている。なお、支持部材329は、蛍光部材22から出射した光を透過する例えばガラスや樹脂などにより形成されていてもよい。
本実施形態では、レーザ光が蛍光部材22に照射されると、蛍光部材22の照射領域Sは図36に示すように左右非対称になる。具体的には、照射領域Sは集光部材21の光出射面21bと同様、ロービーム(すれ違い用前照灯)の投光パターンPが投影像となるように形成され、右上部分を切り欠いたような形状になる。また、照射領域Sには、投光パターンPの後述するカットオフラインM1、M2およびエルボー点Eが投影像となるラインSm1、Sm2および点Seが形成される。このラインSm1およびSm2は、照射領域Sの縁部の一部を構成している。点SeはラインSm1とラインSm2との交点である。
反射部材23の反射面23aは図34に示すように、楕円面の一部を含むように形成されている。具体的には、反射面23aは楕円面を、その第1焦点F23aと第2焦点F23bとを結ぶ軸に直交(交差)する面で分割したような形状に形成されている。反射面23aは約30mmの深さ(B方向の長さ)を有するとともに、投光方向(A方向)から見て約15mmの半径を有する円形状に形成されている。
反射部材23の反射面23aの第1焦点F23aは、蛍光部材22の照射領域Sの点Se(ラインSm1およびSm2の交点)に略一致するように配置されている。言い換えると、第1焦点F23aは、照射領域Sのうちの投光パターンPの後述するエルボー点Eを投影する位置に配置されている。
レンズ330は反射部材23の前方に配置されている。レンズ330は約15mmの半径を有する。このレンズ330の焦点F330と反射部材23の反射面23aの第2焦点F23bとは略一致している。なお、レンズ330は平凸レンズであってもよいし、両凸レンズやその他の形状であってもよい。
本実施形態では、蛍光部材22の照射領域Sから出射した光は、反射部材23の反射面23aで反射され、反射面23aの第2焦点F23bを通過してレンズ330により投光される。そして、投光装置301の25m前方の投光パターンPは図37に示すように、照射領域Sを反映した形状になる。
具体的には、投光パターンPは、右上方向には拡がらず、左右方向(水平方向)および下方向に拡がる。この投光パターンPでは、カットオフラインM1およびM2において明暗が急峻に切り替わっており、カットオフラインM1およびM2の上側の領域には照明光が照射されない。すなわち、投光パターンPは右上部分を切り欠いたような形状に形成される。このため、対向車の運転者に与えるグレア光を抑制することが可能である。また、カットオフラインM1およびM2の交点であるエルボー点E近傍の領域R101(自動車の真正面の領域)の照度が最も高くなり、領域R101から離れるにしたがって照度が低くなる。すなわち、領域R101、R102およびR103の順に照度が低くなる。
なお、日本などの左側走行の国では自動車のロービームは図38に示すように、右上部分を切り欠いたような投光パターンPが要求される。カットオフラインM1およびM2では、対向車の運転者にグレア光を与えないように、明暗が急峻に切り替わることが必要である。
以上のように、本実施形態の投光装置301では、自動車のロービームとして要求される投光パターンPを十分に満たしている。
なお、第5実施形態のその他の構造は、上記第1〜第4実施形態と同様である。
本実施形態では、上記のように、光出射面21bは左右方向に非対称な形状である。これにより、照射領域Sを容易に左右方向に非対称な形状にすることができるので、投光パターンPを容易に左右方向に非対称な形状にすることができる。
また、上記のように、反射部材23の反射面23aの第1焦点F23aは、照射領域Sのうちの投光パターンPのカットオフラインM1およびM2を投影する部分であるラインSm1およびSm2上に配置されている。これにより、カットオフラインM1およびM2において明暗を急峻に切り替えることができるので、特に効果的である。
また、上記のように、反射部材23の反射面23aの第1焦点F23aは、照射領域Sのうちの投光パターンPのエルボー点Eを投影する位置に配置されている。これにより、エルボー点E近傍において明暗を急峻に切り替えることができるので、より効果的である。また、エルボー点E近傍を最も明るくすることができる。すなわち、自動車の真正面の領域(領域R101)を最も明るく照らすことができる。また、第1焦点F23aを、照射領域Sのうちのエルボー点Eを投影する位置(照射領域Sの左右方向の中心位置)に配置することによって、投光パターンPの下側部分を左右方向に略対称に形成することができる。
また、上記のように、照射領域Sから出射した光は、反射面23aで反射され、反射面23aの第2焦点F23bを通過してレンズ330により投光される。このとき、反射面23aの第2焦点F23bとレンズ330の焦点F330とは一致しているので、レンズ330により形成される投光パターンPは、照射領域Sの形状を反映しやすくなる。なお、レンズ330を用いて投光する場合、レンズ330を設けずに光を反射部材23により投光する場合に比べて、投光パターンPは照射領域Sの形状をより反映しやすくなる。また、反射部材23を設けることによって、反射部材23を設けずに光をレンズ330により投光する場合に比べて、蛍光部材22から出射した光をより多く照明光として利用することができる。これにより、光の利用効率を向上させることができる。
第5実施形態のその他の効果は、上記第1〜第4実施形態と同様である。
(第6実施形態)
次に、図39および図40を参照して、本発明の第6実施形態による投光装置401の構造について説明する。
本発明の第6実施形態による投光装置401では図39に示すように、投光ユニット420は、集光部材21と、蛍光部材22と、蛍光部材22を支持する支持部材329と、レンズ330とを含んでいる。
支持部材329は蛍光部材22から出射した光を透過するように形成されている。なお、支持部材329は励起光だけを遮光(吸収)するように形成されていてもよい。
レンズ330は蛍光部材22の前方に配置されている。このレンズ330の焦点F330は、蛍光部材22の照射領域Sの点Se(ラインSm1およびSm2の交点)に略一致するように配置されている。
本実施形態の集光部材21は図40に示すように、上記第5実施形態の集光部材21を180度回転させたように配置されている。これは、投光装置401では蛍光部材22の照射領域Sの形状が180度回転して投光パターンPに反映されるためである。
この投光装置401では、蛍光部材23の背面から出射した光が、レンズ330により投光される。
なお、第6実施形態のその他の構造は、上記第5実施形態と同様である。
本実施形態では、上記のように、レンズ330の焦点F330は照射領域Sに配置されている。これにより、レンズ330により形成される投光パターンPは、照射領域Sの形状を反映したものとなる。なお、レンズ330を用いて光を投光する場合、レンズ330を設けずに光を反射部材23により投光する場合に比べて、投光パターンPは照射領域Sの形状をより反映しやすくなる。
第6実施形態のその他の効果は、上記第5実施形態と同様である。
(第7実施形態)
次に、図41を参照して、本発明の第7実施形態による投光装置501の構造について説明する。
本発明の第7実施形態による投光装置501では図41に示すように、集光部材21は上記第6実施形態の集光部材21と同様に形成されている。
反射部材23は、上記第1実施形態の反射部材23と同様に形成されている。
反射部材23の反射面23aの焦点F23は上記第5および第6実施形態と同様、蛍光部材22の照射領域Sの点Se(ラインSm1およびSm2の交点)に略一致するように配置されている。
本実施形態では、蛍光部材22の照射領域Sから出射した光は、反射部材23の反射面23aで反射されることにより投光される。
なお、第7実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
第7実施形態の効果は、上記第1および第5実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、本発明の投光装置を自動車の前照灯に用いた例について示したが、本発明はこれに限らない。本発明の投光装置を、飛行機、船舶、ロボット、バイクまたは自転車や、その他の移動体の前照灯に用いてもよい。
また、上記実施形態では、本発明の投光装置を前照灯に適用した例について示したが、本発明はこれに限らない。本発明の投光装置をダウンライトまたはスポットライトや、その他の投光装置に適用してもよい。
また、上記実施形態では、励起光を可視光に変換した例について示したが、本発明はこれに限らず、励起光を可視光以外の光に変換してもよい。例えば、励起光を赤外光に変換する場合には、セキュリティ用CCDカメラの夜間照明装置などにも適用可能である。
また、上記実施形態では、白色光を出射するように、励起光源(半導体レーザ素子)および蛍光部材を構成した例について示したが、本発明はこれに限らない。白色光以外の光を出射するように、励起光源および蛍光部材を構成してもよい。
また、上記実施形態では、レーザ光を出射するレーザ発生器として、半導体レーザ素子を用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ素子以外のレーザ発生器を用いてもよい。
また、上記実施形態で示した数値は一例であり、各数値は限定されない。
また、上記実施形態の半導体レーザ素子から出射するレーザ光の中心波長や、蛍光部材を構成する蛍光体の種類は、適宜変更可能である。例えば、約450nmの中心波長を有する青色のレーザ光を出射する半導体レーザ素子と、青色のレーザ光の一部を黄色光に変換する蛍光体とを用いてもよい。また、励起光(レーザ光)が蛍光部材により十分に拡散され安全性が確保できる場合は、励起光を遮光するフィルタ部材は設けなくてよい。この場合、青色光と黄色光とにより白色光が得られる。なお、青色のレーザ光の一部を黄色光に変換する蛍光体としては、例えば(Y1−x−yGdxCey)3Al5O12(0.1≦x≦0.55、0.01≦y≦0.4)などが挙げられる。また、これに限らず、半導体レーザ素子から出射するレーザ光の中心波長は、紫外光〜可視光の範囲で任意に選択されてもよい。
また、上記実施形態では、集光部材の光出射面を長方形状や長六角形状などに形成した例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば図42に示した本発明の第1変形例による集光部材21のように、光出射面21bを楕円形状に形成してもよい。また、光出射面を上下左右非対称に形成してもよい。必要な投光パターンが得られるように、光出射面の形状を設定すればよい。
また、上記第5〜第7実施形態では、蛍光部材から所定の距離を隔ててレンズを設けた例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば図43に示した本発明の第2変形例による投光装置のように、蛍光部材22を覆うようにレンズ630(投光部材)を設けてもよい。このように構成すれば、蛍光部材22から出射した光はレンズ630を透過・屈折して外部に出射し、長形状の投光パターンとなる。また、図44に示した本発明の第3変形例による投光装置701のように、反射部材23の反射面23aの内側に樹脂やガラスなどを充填することによりレンズ730を形成してもよい。また、上記第5〜第7実施形態のように、蛍光部材22の前方に投影レンズ(プロジェクションレンズ)(図示せず)を配置してもよい。また、投光部材として、反射部材やレンズ以外にプリズムなどを用いてもよい。
また、上記実施形態では、反射部材の反射面を放物面の一部または楕円面の一部により形成した例について示したが、本発明はこれに限らない。反射面を多数の曲面(例えば放物面)からなるマルチリフレクタや、多数の微細な平面が連続して設けられた自由曲面リフレクタなどにより形成してもよい。
また、例えば上記第5実施形態では、反射部材23の反射面23aが投光方向(A方向)から見て円形状に形成されている例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば図45に示した本発明の第4変形例の投光装置801のように、反射部材23の反射面23aが、楕円面の一部を含むように形成され、かつ、投光方向から見て略半円形状に形成されていてもよい。この投光装置801では、上記第5実施形態と同様、反射部材23の反射面23aの第1焦点F23aは、蛍光部材22の照射領域Sの点Seに略一致するように配置されている。また、レンズ330の焦点F330と反射部材23の反射面23aの第2焦点F23bとは略一致している。なお、レンズ330の上半分は無くてもよい。
また、上記第6実施形態では、反射部材23を設けない場合に、蛍光部材22の背面から出射した光をレンズ330により投光する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば図46に示した本発明の第5変形例の投光装置901のように、レンズ330側から蛍光部材22にレーザ光を照射し、蛍光部材22の照射面22aから出射した光を、反射部材23を用いずレンズ330により投光してもよい。
また、上記第5〜第7実施形態では、遮光板を用いることなく、右上部分を切り欠いたような形状に投光パターンを形成した例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、反射部材(または蛍光部材)とレンズとの間に遮光板を設けてもよい。このように構成すれば、投光パターンの縁部の明暗をより急峻に切り替えることができ、または、より複雑な投光パターンを得ることができる。なお、上記第5〜第7実施形態のように集光部材の光出射面を投光パターンに対応する形状に形成することにより、照射領域および投光パターンの形状を予め設定しておくことができるので、遮光板で遮光される光の量を低減することができる。これにより、光の利用効率が低下するのを抑制することができる。
また、上記第5〜第7実施形態では、日本などの左側走行の国で用いる場合を例として、右上部分を切り欠いたような投光パターンを得る例について示したが、本発明はこれに限らない。右側走行の国で用いる場合、集光部材の光出射面の形状を左右反転すれば、左上部分を切り欠いたような投光パターンが得られる。
また、上記実施形態では、励起光源として複数の半導体レーザ素子を用いた例について示したが、本発明はこれに限らない。励起光源として1つの半導体レーザ素子を用いてもよい。また、励起光源として、複数の発光部を備えた、いわゆる半導体レーザアレイを用いてもよい。
また、上記実施形態では、集光部材の光入射面に入射したレーザ光を上面、下面、側面で反射して光出射面まで導光する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、グレーデッドインデックス光ファイバのように、内側から外側に向かって屈折率が滑らかにまたは段階的に小さくなるように集光部材を形成することによって、レーザ光の進行方向を集光部材の内部で変更してレーザ光を光出射面まで導いてもよい。
また、上記実施形態では、蛍光部材を横長(水平方向に長い形状)に励起した例について示したが、本発明はこれに限らない。蛍光部材を、例えば縦長(鉛直方向に長い形状)に励起してもよいし、斜め方向に長い形状に励起してもよい。
また、上述した実施形態および変形例の構成を適宜組み合わせて得られる構成についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、上記第5〜第7実施形態では、長形状の投光パターンを得ることが可能な投光装置において、投光部材の焦点が照射領域の縁部に配置される例について示した。そして、投光パターンのうちの、投光部材の焦点が配置される照射領域の縁部に対応する部分(カットオフライン)において、明暗を急峻に切り替えることができることを説明した。しかしながら、長形状以外の投光パターンを得る投光装置においても、投光部材の焦点を照射領域の縁部(または縁部近傍)に配置すれば、同様の効果が得られる。すなわち、励起光により励起される蛍光部材と、前記蛍光部材から出射した光を反射し、または、透過して外部に出射する投光部材と、を備え、前記蛍光部材は前記励起光が照射される照射領域を含み、前記投光部材の焦点は前記照射領域の縁部または縁部近傍に配置されていることを特徴とする投光装置においては、投光パターンのうちの、投光部材の焦点が配置される照射領域の縁部に対応する部分において、明暗を急峻に切り替えることができる。このことは言うまでもなく、励起光源がレーザ光源以外の光源(例えば発光ダイオードなど)である場合にも言える。