JP5348024B2 - 非水系電解液及び非水系電解液電池 - Google Patents
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Description
非水系電解液電池に用いる電解液は、通常、主として電解質と非水溶媒とから構成されている。非水溶媒の主成分としては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネートやジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル等が用いられている。
例えば、サイクル特性を向上させるために、非水電解液にアミンおよびジアミン化合物を添加することが提案されている。
高容量化する方法として、限られた電池体積の中にできるだけ多くの活物質を詰めることが検討されており、電極の活物質層を加圧して高密度化したり、電池内部の活物質以外の占める体積を極力少なくする設計が一般的となっている。しかし、電極の活物質層を加圧して高密度化したり、電解液量を少なくすることにより、活物質を均一に使用することができなくなり、不均一な反応により一部リチウムが析出したり、活物質の劣化が促進されたりして、十分な特性が得られないという問題が発生しやすくなる。特に、高温で保存した場合には、電池の劣化が大きくなり、高温で保存しても特性劣化の少ない非水系電解液電池が求められている。
すなわち、本発明の要旨は、下記に示すとおりである。
(1)電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含むリチウム二次電池に用いる非水系電解液において、該非水系電解液が、下記一般式(1)で表される化合物を1種あるいは2種以上含有し、かつその含有量が0.001質量%以上5質量%以下であることを特徴とする非水系電解液。
(2)非水系電解液が、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物並びにモノフルオロリン酸塩および/またはジフルオロリン酸塩からなる3種の化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有し、かつ炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物を含有する場合、その含有量が0.01質量%以上8質量%以下であり、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物を含有する場合、その含有量が0.01質量%以上30質量%以下であり、モノフルオロリン酸塩および/またはジフルオロリン酸塩を含有する場合、その含有量が0.001質量%以上5質量%以下であることを特徴とする上記(1)に記載の非水系電解液。
(3)非水系電解液が、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物を含有し、かつその含有量が0.01質量%以上8質量%以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の非水系電解液。
(4)リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、前記非水系電解液電池に用いる非水系電解液が上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液電池。
<非水系電解液>
本発明の非水系電解液は、常用の非水系電解液と同じく、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有するものであり、通常、これらを主成分とするものである。
電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
例えば、LiPF6及びLiBF4、Li2B12F12等の無機リチウム塩;LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2 、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パ−フルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩及びリチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート等が挙げられる。
これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
2種以上を併用する場合の好ましい一例は、LiPF6とLiBF4との併用であり、サイクル特性を向上させる効果がある。この場合には、両者の合計に占めるLiBF4の含有割合は、下限としては、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上であり、上限としては、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下、最も好ましくは3質量%以下である。この下限を下回る場合には所望する効果が得づらい場合があり、上限を上回る場合は高負荷放電特性等の電池の特性が低下する場合がある。
非水溶媒も、従来から非水系電解液の溶媒として公知のものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、炭素−炭素不飽和結合やフッ素原子を有さない環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、含硫黄有機溶媒、含燐有機溶媒等が挙げられる。
具体的には例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等の対称鎖状アルキルカーボネート類;エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の非対称鎖状アルキルカーボネート類等のジアルキルカーボネートが挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが電池特性向上の点から好ましい。
鎖状エーテル類としては、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等及びビス(トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシトリフルオロエトキシエタン、メトキシトリフルオロエトキシエタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ―3―メトキシ―4―トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ―3―エトキシ―4―トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ―3―プロポキシ―4―トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、2,2−ジフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル等のこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル等及びトリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸ブチル等のこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物等が挙げられ、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、吉草酸メチルがより好ましい。
含燐有機溶媒としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、リン酸エチレンエチル等及びこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物が挙げられる。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用するのが好ましい。例えば、アルキレンカーボネート類や環状カルボン酸エステル類等の高誘電率溶媒と、ジアルキルカーボネート類や鎖状カルボン酸エステル類等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、下限は、通常0.1容量%以上、好ましくは1容量%以上、より好ましくは2容量%以上、また上限は、通常20容量%以下、好ましくは8容量%以下、より好ましくは5容量%以下である。この濃度範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、エチレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れるので好ましい。
好ましい非水溶媒の他の例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンよりなる群から選ばれた1種の有機溶媒、又は該群から選ばれた2以上の有機溶媒からなる混合溶媒を全体の60容量%以上を占めるものである。この混合溶媒を用いた非水系電解液は、高温で使用しても溶媒の蒸発や液漏れが少なくなる。なかでも、非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとの合計が、70容量%以上、好ましくは80容量%以上、更に好ましくは90容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンとの容量比が5:95〜45:55であるもの、又は非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの合計が、70容量%以上、好ましくは80容量%以上、更に好ましくは90容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比が30:70〜60:40であるものを用いると、一般にサイクル特性と高温保存特性等のバランスがよくなる。
(一般式(1)で表される化合物)
本発明に係る非水系電解液は、上述の電解質と非水溶媒を含有するが、これに更に下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられ、なかでもフェニル基が好ましい。
炭素数7〜12のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、なかでもベンジル基が好ましい。
フッ素置換されている基としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等のフッ化アルキル基、2−フルオロビニル基、3−フルオロ−2−プロペニル基等のフッ化アルケニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等のフッ化アリール基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基等のフッ化アラルキル基が挙げられる。中でもトリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1〜3のフッ化アルキル基が好ましい。
炭素数1〜12の2価の連結基としては、例えば、次のものが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の分子量は、通常214以上であり、通常2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下である。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
非水系電解液中の一般式(1)で表される化合物の含有量は、通常、0.001質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、特に0.3質量%以上が好ましい。これより低濃度では本発明の効果がほとんど発現しない場合がある。逆に濃度が高すぎると電池の保存特性が低下する傾向があるので、上限は通常5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.8質量%以下である。
まず、一般式(1)で表される化合物は、窒素原子および酸素原子を有しており、これらの原子を介して正極表面に吸着し、活性の高い正極と電解液との接触を防ぎ、正極と電解液の副反応を抑制し、正極の劣化を抑制するとともにガス発生を抑制することができると思われる。
(他の化合物)
本発明に係る非水系電解液は、本発明の効果を損ねない範囲で、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物並びにモノフルオロリン酸塩および/またはジフルオロリン酸塩からなる3種の化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物や従来公知の過充電防止剤などの種々の他の化合物を助剤として含有していてもよい。
一般式(1)で表される化合物と、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物並びにモノフルオロリン酸塩および/またはジフルオロリン酸塩からなる3種の化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物とを併用することにより、高温保存後の電池特性が向上するので好ましい。
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート化合物;ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−エチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−n−プロピル−4−ビニルエチレンカーボネート、5−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート等のビニルエチレンカーボネート化合物;4,4−ジメチル−5−メチレンエチレンカーボネート、4,4−ジエチル−5−メチレンエチレンカーボネート等のメチレンエチレンカーボネート化合物などが挙げられる。これらのうち、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネートまたは4,5−ジビニルエチレンカーボネートがサイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点から好ましく、なかでもビニレンカーボネートまたはビニルエチレンカーボネートがより好ましく、特にビニレンカーボネートが好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
非水系電解液が炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物を含有する場合、非水系電解液中におけるその割合は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上、最も好ましくは0.5質量%以上である。炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物が少なすぎると、電池のサイクル特性や高温保存後の容量維持特性を向上させるという効果を十分に発揮できない場合がある。しかし、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物の含有量が多すぎると、高温保存時にガス発生量が増大したりする場合があるので、その上限は、通常8質量%以下、好ましくは4質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
フッ素原子を有する環状カーボネート化合物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4,5−トリフルオロエチレンカーボネート、4,4,5,5−テトラフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,4,5−トリフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらのうち、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネートがサイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点から好ましい。
また、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物と併用して用いても良く、サイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点からは、ビニレンカーボネートやビニルエチレンカーボネートと併用するのが好ましい。
非水系電解液がフッ素原子を有する環状カーボネート化合物を含有する場合、非水系電解液中におけるその割合は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上、最も好ましくは0.5質量%以上である。フッ素原子を有する環状カーボネート化合物が少なすぎると、電池のサイクル特性や高温保存後の容量維持特性を向上させるという効果を十分に発揮できない場合がある。しかし、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物の含有量が多すぎると、高温保存時にガス発生量が増大したりする場合があるので、その上限は、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等が挙げられ、リチウムが好ましい。
モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩の具体例としては、モノフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸カリウム等が挙げられ、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウムが好ましく、ジフルオロリン酸リチウムがより好ましい。
また、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物やフッ素原子を有する環状カーボネート化合物と併用して用いても良く、サイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点からは、ビニレンカーボネートやビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートと併用するのが好ましい。
非水系電解液中におけるこれらの助剤の含有割合は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上であり、上限は、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。この下限より低濃度では助剤の効果がほとんど発現しない場合がある。また、逆に濃度が高すぎると高負荷放電特性などの電池の特性が低下する場合がある。
本発明に係る非水系電解液は、非水溶媒に、電解質、必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができる。非水系電解液の調製に際しては、各原料は、電解液とした場合の水分を低減させるため予め脱水しておくのが好ましい。通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下まで脱水するのがよい。また、電解液調製後に、脱水、脱酸処理等を実施してもよい。
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記した電解液であることを特徴とするものである。
本発明に係る非水系電解液二次電池は、上記本発明の電解液を用いて作製される以外は従来公知の非水系電解液二次電池と同様、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であり、通常、正極と負極とを本発明に係る非水系電解液が含浸されている多孔膜を介してケースに収納することで得られる。従って、本発明に係る二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。リチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料や金属化合物、リチウム金属及びリチウム合金などを用いることができる。これらの負極活物質は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。なかでも好ましいものは炭素質材料、リチウムを吸蔵および放出可能な金属化合物である。
黒鉛は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が0.335〜0.338nm、特に0.335〜0.337nmであるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、特に好ましくは100nm以上である。灰分は、通常1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。
炭素質材料のBET法による比表面積は、通常0.3m2/g以上、好ましくは0.5m2/g以上、より好ましくは0.7m2/g以上、最も好ましくは0.8m2/g以上であり、通常25.0m2/g以下、好ましくは20.0m2/g以下、より好ましくは15.0m2/g以下、最も好ましくは10.0m2/g以下である。
リチウムを吸蔵・放出可能な金属化合物あるいはこの酸化物やリチウムとの合金の平均粒径は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、特に好ましくは2μm以上である。この上限を上回る場合、電極の膨張が大きくなり、サイクル特性が低下してしまう可能性がある。また、この下限を下回る場合、集電が取りにくくなり、容量が十分に発現しない可能性がある。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、LiCoO2等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO3等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの具体例としては、例えば、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiMn1.8Al0.2O4、LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有するポリマー及びその共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系ポリマー及びその共重合体などが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。
電極の製造は、常法によればよい。例えば、負極又は正極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー化し、これを集電体に塗布、乾燥した後に、プレスすることによって形成することができる。
負極活物質に黒鉛を用いた場合、負極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、通常1.45g/cm3以上であり、好ましくは1.55g/cm3以上、より好ましくは1.60g/cm3以上、特に好ましくは1.65g/cm3以上、である。
集電体としては各種のものが用いることができるが、通常は金属や合金が用いられる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられ、好ましいのは銅である。また、正極の集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属又はその合金が挙げられ、好ましいのはアルミニウム又はその合金である。
正極と負極の間には、短絡を防止するために多孔膜(セパレータ)を介在させる。この場合、電解液は多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質や形状は、電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等が好ましい。
上記した本発明の非水系電解液二次電池の作動電圧は通常2V〜6Vの範囲である。
尚、下記実施例および比較例で得られた電池の各評価方法を以下に示す。
[容量評価]
非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させ、4サイクル目は、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、初期放電容量を求めた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
容量評価試験の終了した電池を、エタノール浴中に浸して体積を測定した後、25℃において0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電した。その後、85℃で1日間保存した電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、保存前後の体積変化から発生したガス量を求めた。
次に、25℃において0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、高温保存試験後の0.2C放電容量を測定し、初期放電容量に対する保存試験後の0.2C放電容量の割合を求め、これを高温保存後の回復容量(%)とした。
[負極の製造]
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が652nm、灰分が0.07質量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が12μm、BET法による比表面積が7.5m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析から求めたR値(=IB/IA)が0.12、1570〜1620cm-1の範囲にあるピークの半値幅が19.9cm-1である天然黒鉛粉末94質量部とポリフッ化ビニリデン6質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー状にした。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質層の密度が1.68g/cm3になるようにプレスして負極とした。
LiCoO2 90質量部、カーボンブラック4質量部及びポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名「KF−1000」)6質量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー化し、これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.2g/cm3になるようにプレスして正極とした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合物(容量比20:40:40)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2質量部およびテトラアセチルエチレンジアミン(前記化合物A6)0.5質量部を混合し、次いで、十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの含有割合となるように溶解して電解液とした。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合物(容量比20:40:40)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2質量部とフルオロエチレンカーボネート0.5質量部およびテトラアセチルエチレンジアミン(前記化合物A6)0.5質量部を混合した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの含有割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合物(容量比20:40:40)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2質量部とジフルオロリン酸リチウム0.5質量部およびテトラアセチルエチレンジアミン(前記化合物A6)0.5質量部を混合した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの含有割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の電解液において、テトラアセチルエチレンジアミン(前記化合物A6)に代えて、テトラキス(トリフルオロアセチル)エチレンジアミン(前記化合物A8)を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合物(容量比20:40:40)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2質量部を混合した。次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの含有割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の電解液において、テトラアセチルエチレンジアミン(前記化合物A6)に代えて、テトラメチルエチレンジアミンを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、高温保存特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
Claims (4)
- 非水系電解液が、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物並びにモノフルオロリン酸塩および/またはジフルオロリン酸塩からなる3種の化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有し、かつ炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物を含有する場合、その含有量が0.01質量%以上8質量%以下であり、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物を含有する場合、その含有量が0.01質量%以上30質量%以下であり、モノフルオロリン酸塩および/またはジフルオロリン酸塩を含有する場合、その含有量が0.001質量%以上5質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
- 非水系電解液が、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物を含有し、かつその含有量が0.01質量%以上8質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、前記非水系電解液電池に用いる非水系電解液が請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液電池。
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