以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態は、図1に示すように、一対のフィラメント(図示せず)を有する一般的な熱陰極型の放電灯Laに交流電力を供給して点灯させるものであって、周知のダイオードブリッジからなり外部の交流電源ACから入力された交流電力を全波整流する整流部DBと、整流部DBの出力が入力されて直流電力を出力する直流電源部1と、直流電源部1が出力した直流電力を交流電力に変換して放電灯Laに供給する電力変換部2とを備える。
直流電源部1は周知のいわゆる昇圧チョッパ回路(ブーストコンバータ)である。具体的には、整流部DBの直流出力端間(すなわち整流部DBの高電圧側の直流出力端とグランドとの間)に接続されたインダクタL1とダイオードD1と出力コンデンサC1との直列回路と、一端がインダクタL1とダイオードD1との接続点に接続され他端がグランドに接続されたスイッチング素子Q1と抵抗R5との直列回路とを備え、出力コンデンサC1の両端電圧を出力電圧としており、周期的にオンオフされるスイッチング素子Q1のオンデューティによって出力電圧が制御される。整流部DBの低電圧側の直流出力端と直流電源部1の低電圧側の出力端とはそれぞれグランドに接続されている。
また、電力変換部2は、直流電源部1の出力端間に接続された2個のスイッチング素子Q2,Q3の直列回路と、スイッチング素子Q2,Q3の接続点に接続され他端が放電灯Laを介してグランドに接続されたコンデンサC2とインダクタL2との直列回路と、放電灯Laに並列に(すなわち放電灯Laのフィラメント間に)接続されたコンデンサC3とを備える、周知のいわゆるハーフブリッジ形のインバータ回路である。すなわち、スイッチング素子Q2,Q3が交互にオンオフされることで放電灯Laに交流電力が出力される。また、上記のコンデンサC2とインダクタL2とコンデンサC3とは放電灯Laとともに共振回路を構成しており、この共振回路の共振周波数とスイッチング素子Q2,Q3のオンオフの周波数との関係により、放電灯Laに出力される電力は増減する。
さらに、本実施形態は、放電灯Laの始動時に放電灯Laの各フィラメントをそれぞれ予熱するための予熱部20を備える。予熱部20は、一端がコンデンサC6を介して電力変換部2のスイッチング素子Q2,Q3の接続点に接続されるとともに他端がグランドに接続された一次巻線と、それぞれコンデンサC4,C5との直列回路が放電灯Laの一方ずつのフィラメントの両端間に接続された2本の二次巻線とを有するトランスTr1を備える。
さらに、本実施形態は、電力変換部2の各スイッチング素子Q2,Q3に対しそれぞれ抵抗R1,R2を介して接続され電力変換部2の各スイッチング素子Q2,Q3をオンオフ駆動することによって電力変換部2から放電灯Laに交流電力を供給させるドライブ部31と、ドライブ部31の動作の周波数を制御することによって電力変換部2から放電灯Laに出力される交流電力の周波数を制御するシーケンス制御部41とを備える。
ドライブ部31は高耐圧集積回路(HVIC)からなる駆動用集積回路3に設けられ、シーケンス制御部41はマイクロコントローラ(マイコン)と呼ばれる集積回路からなる制御用集積回路4に設けられている。制御用集積回路4としては入出力の電圧値が2段階のみであってA/D変換器やD/A変換器を含まないものを用いれば、制御用集積回路4での消費電力が比較的に抑えられる。
また、本実施形態は、ドライブ部31の動作開始後に電力変換部2から電力を供給され駆動用集積回路3の電源となる直流電力を出力する駆動電源部5を備える。駆動電源部5は、出力側コンデンサ(図示せず)と、電力変換部2のスイッチング素子Q2,Q3の接続点に接続されて出力側コンデンサを充電する充電回路(図示せず)とを有し、出力側コンデンサの両端電圧を出力電圧としている。ドライブ部31の動作開始から十分な時間が経過し出力側コンデンサの両端電圧が安定した状態では、出力側コンデンサの両端電圧すなわち駆動電源部5の出力電圧は例えば10Vとなる。
さらに、駆動用集積回路3には、ドライブ部31の動作開始前に直流電源部1から電力を供給されて駆動電源部5の電源となる直流電力を出力する起動部32と、駆動電源部5とから電力を供給され、駆動電源部5の出力電圧が所定の基準電圧以上である期間に、制御用集積回路4の電源となる例えば5Vの直流電力を生成して制御用集積回路4に供給する制御電源部33とがそれぞれ設けられている。
詳しく説明すると、図2に示すように、起動部32は、直流電源部1の高電圧側の出力端に一端が接続され他端が第1スイッチング素子Q101を介して駆動電源部5の出力端に接続されたインピーダンス素子Z1を有する。つまり、起動部32の第1スイッチング素子Q101がオンされている期間には、直流電源部1の出力電圧Vdcがインピーダンス素子Z1と第1スイッチング素子Q101とを介して駆動電源部5に出力され、これによって駆動電源部5の出力コンデンサが充電される。上記の第1スイッチング素子Q101はn型チャネルの高耐圧電界効果トランジスタからなり、第1スイッチング素子Q101のゲートは、抵抗R101を介して直流電源部1とインピーダンス素子Z1との接続点に接続されるとともに、ダイオードD101とツェナーダイオードZD2との直列回路とn型チャネルの電界効果トランジスタからなる第2スイッチング素子Q102との並列回路を介してグランドに接続されている。また、起動部32は、それぞれ駆動電源部5の出力電圧(以下、「駆動電圧」と呼ぶ。)Vcc2を分圧する4個の分圧抵抗を有し、これらの分圧抵抗の接続点からはそれぞれ電圧(分圧比)が異なる3通りの検出電圧Va,Vb,Vcが出力される。さらに、起動部32は、反転入力端子に所定の第1参照電圧Vr1が入力されるとともに出力端子が論理和回路OR1を介して第2スイッチング素子Q102のゲートに接続されたコンパレータCP1を備える。コンパレータCP1の非反転入力端子にはトランスファーゲート回路を用いて構成されたマルチプレクサTG1を介して検出電圧Vb,Vcが入力されている。上記のマルチプレクサTG1はコンパレータCP1の出力端子に接続されており、コンパレータCP1の出力がHレベルである期間には2番目に低い検出電圧(以下、「第2検出電圧」と呼ぶ。)VbをコンパレータCP1の非反転入力端子に入力し、コンパレータCP1の出力がLレベルである期間には最も低い検出電圧(以下、「第3検出電圧」と呼ぶ。)VcをコンパレータCP1の非反転入力端子に入力するように構成されている。
図3を用いて起動部32の動作を説明する。電源がオンされた直後には、コンパレータCP1の出力がLレベルであることにより、コンパレータCP1の非反転入力端子には第3検出電圧Vcが入力されるとともに、第2スイッチング素子Q102がオフされることでツェナーダイオードZD2のツェナー電圧により第1スイッチング素子Q101がオンされる。第1スイッチング素子Q101がオンされている期間には、駆動電源部5の出力側コンデンサは直流電源部1の出力電力を起動部32のインピーダンス素子Z1と第1スイッチング素子Q101とを介して供給されることで充電され、これにより駆動電圧Vcc2が徐々に上昇する。やがて第3検出電圧Vcが第1参照電圧Vr1に達すると、コンパレータCP1の出力がHレベルとなる。すると、非反転入力端子への入力電圧が第3検出電圧Vcよりも高い第2検出電圧Vbに変化するとともに、第2スイッチング素子Q102がオンされて第1スイッチング素子Q101がオフされることで起動部32から駆動電源部5への電力の供給が停止される。この時点では未だドライブ部31が動作を開始しておらず、電力変換部2からは駆動電源部5に電力が供給されないから、出力コンデンサの放電により駆動電圧Vcc2は低下し始める。やがて第2検出電圧Vbが第1参照電圧Vr1に達すると、再びコンパレータCP1の出力がLレベルとなって駆動電源部5の出力電圧が上昇を開始し、次に第3検出電圧Vcが第1参照電圧Vr1に達すると再びコンパレータCP1の出力がHレベルとなる。以後、直流電源部1から図3(a)に示すような直流電力が供給され、且つ、図3(e)に示す停止実行部34(後述)から論理和回路OR1への入力がLレベルであってドライブ部31が停止している期間には、上記動作の繰り返しにより、第1スイッチング素子Q101のゲート電圧は図3(c)に示すように変動し、駆動電圧Vcc2は、図3(b)に示すように、第3検出電圧Vcが第1参照電圧Vr1となるような上限電圧と、第2検出電圧Vbが第1参照電圧Vr1となるような下限電圧との間で上下を繰り返す。
ここで、駆動用集積回路3には、ドライブ部31と起動部32とをそれぞれ制御する停止実行部34が設けられている。停止実行部34の出力は論理和回路OR1に入力されており、停止実行部34の出力がLレベルである期間にはドライブ部31が停止されるとともに起動部32から駆動電源部5への電力供給がオンされるが、停止実行部34の出力がHレベルである期間にはコンパレータCP1の出力に関わらず第2スイッチング素子Q102がオンされ第1スイッチング素子Q101がオフされることで起動部32から駆動電源部5への電力供給がオフされる。ただし、停止実行部34の出力がHレベルである期間にはドライブ部31が動作(つまり図3(f)に示すようなスイッチング素子Q2,Q3の駆動用の出力を生成)することにより電力変換部2から駆動電源部5への電力供給がなされる。
また、駆動用集積回路3には、駆動電源部5から電力を供給され、駆動電源部5の出力電圧が所定の基準電圧以上である期間に、制御用集積回路4の電源となる所定電圧(以下、「制御電圧」と呼ぶ。)Vcc1の直流電力を生成して制御用集積回路4に供給する制御電源部33が設けられている。詳しく説明すると、制御電源部33は、起動部32の分圧抵抗が出力する検出電圧のうち最も高い検出電圧(以下、「第1検出電圧」と呼ぶ。)Vaが非反転入力端子に入力されるとともに反転入力端子に第1参照電圧Vr1が入力されたコンパレータCP2と、駆動電源部5の出力端とグランドとの間に接続された定電流回路Ir1とツェナーダイオードZD3との直列回路と、定電流回路Ir1とツェナーダイオードZD3との接続点にベースが接続されるとともにコレクタが駆動電源部5の出力端に接続されエミッタが制御電源部33の出力端として制御用集積回路4に接続されたnpn型のトランジスタQ103と、ツェナーダイオードZD3に並列に接続されたn型チャネルの電界効果トランジスタからなりゲートがコンパレータCP2の出力端子に接続されたスイッチング素子Q104とを備える。つまり、図3(d)に示すように第1検出電圧Vaが第1参照電圧Vr1を上回っている期間のみ制御用集積回路4へ制御電圧Vcc1が出力され、第1検出電圧Vaが第1参照電圧Vr1を下回っている期間には制御電圧Vcc1は出力されない(すなわち制御電源部33の出力電圧がほぼ0となる)ように構成されているのであり、第1検出電圧Vaが第1参照電圧Vr1となるときの駆動電圧が上記の基準電圧である。ここで、駆動用集積回路3から制御用集積回路4に制御電圧Vcc1を出力する電路はノイズ除去用のコンデンサC51を介してグランドに接続されている。
また、駆動用集積回路3には、シーケンス制御部41の出力に応じた周波数の矩形波を出力する発振部35が設けられており、ドライブ部31は発振部35の出力の周波数で電力変換部2のスイッチング素子Q2,Q3をオンオフ駆動する。さらに、駆動用集積回路3には、停止実行部34により制御され、ドライブ部31の動作中には所定の報知電圧Vcc3を出力する一方、ドライブ部31の動作中には出力を停止する駆動電源部30が設けられている。駆動電源部30は例えば制御電源部33と同様の回路構成とすることができる。報知電圧Vcc3は、ドライブ部31の動作状態を制御用集積回路4に報知するために制御用報知回路4へも出力される。また、発振部35は上記の報知電圧Vcc3を電源としている。つまり、停止実行部34は、報知電源部30から発振部35への電力の供給を停止させることで発振部35及びドライブ部31をそれぞれ停止させる。
発振部35は、図4に示すように、非反転入力端子が抵抗R103を介してシーケンス制御部41に接続されるとともに抵抗R104と制御用コンデンサC103との並列回路を介してグランドに接続され、出力端子が反転入力端子に接続されるとともに2個の抵抗R106,R102を介してグランドに接続され反転入力端子が出力端子に接続されたオペアンプからなるボルテージフォロワOP1と、非反転入力端子に所定の第2参照電圧Vr2が入力され反転入力端子が抵抗R106を介してボルテージフォロワOP1の出力端子に接続された制御用オペアンプOP2とを備える。このオペアンプ102の出力端子は、各入力端にそれぞれ報知電圧Vcc3が入力された充電用カレントミラー回路CM1の一方の出力端と抵抗R102との間に接続された充電用スイッチング素子Qcのゲートに接続されており、上記の充電用カレントミラー回路CM1の他方の出力端は発振用コンデンサC102を介してグランドに接続されている。また、発振部35は、ゲートが充電用カレントミラー回路CM1の上記一方の出力端に接続されたp型チャネルの電界効果トランジスタからなる第1放電用スイッチング素子Qdを介して一方の入力端に報知電圧Vcc3が入力されるとともに他方の入力端に発振用コンデンサC102が接続され各出力端がそれぞれグランドに接続された放電用カレントミラー回路CM2を備える。さらに、発振部35は、反転入力端子が発振用コンデンサC102に接続されるとともに所定の第3参照電圧Vr3と第3参照電圧Vr3よりも低い所定の第4参照電圧Vr4との一方がトランスファーゲート回路を用いて構成されたマルチプレクサTG2を介して非反転入力端子に入力されるコンパレータCP3を備える。上記のマルチプレクサTG2にはコンパレータCP3の出力端子が接続されており、コンパレータCP3の出力がHレベルである期間には第3参照電圧Vr3がコンパレータCP3の非反転入力端子に入力され、コンパレータCP3の出力がLレベルである期間には第4参照電圧Vr4がコンパレータCP3の非反転入力端子に入力されるように構成されている。また、放電用カレントミラー回路CM2には、n型チャネルの電界効果トランジスタからなりゲートがコンパレータCP3の出力端子に接続された第2放電用スイッチング素子Q105が並列に接続されている。
発振部35の動作を説明する。発振用コンデンサC102が十分に充電されていない状態では、コンパレータCP3の出力がHレベルとなることにより、コンパレータCP3の非反転入力端子には第3参照電圧Vr3が入力され、スイッチング素子Q105はオンされる。この間、放電用カレントミラー回路CM2に並列に接続された第2放電用スイッチング素子Q105のオンにより、放電用カレントミラー回路CM2を介した発振用コンデンサC102の放電は抑えられ、充電用カレントミラー回路CM1を介した充電により発振用コンデンサC102の両端電圧は徐々に上昇する。やがて発振用コンデンサC102の両端電圧が第3参照電圧Vr3に達すると、コンパレータCP3の出力がLレベルとなり、コンパレータCP3の非反転入力端子への入力電圧が第4参照電圧Vr4になるとともに、第2放電用スイッチング素子Q105がオフされる。すると、充電用カレントミラー回路CM1を介した充電電流よりも放電用カレントミラー回路CM2を介した放電電流が多くなることにより、発振用コンデンサC102の両端電圧は徐々に低下する。そして発振用コンデンサC102の両端電圧が第4参照電圧Vr4に達すると再びコンパレータCP3の出力がHレベルとなり、以下同様の動作を繰り返す。これにより、発振用コンデンサC102の両端電圧すなわちコンパレータCP3の反転入力端子への入力電圧は図5(a)に示すように第3参照電圧Vr3と第4参照電圧Vr4との間で上下を繰り返し、コンパレータCP3の出力は図5(b)に示すような矩形波となる。さらに、発振部35は、コンパレータCP3の出力を整形してドライブ部31に出力する出力整形回路35aを有する。出力整形回路35aは、図5(c)に示すようにコンパレータCP3の出力を例えば2分周することで第1矩形信号を生成する第1矩形信号生成部(図示せず)と、第1矩形信号の出力が反転された第2矩形信号を生成する第2矩形信号生成部(図示せず)と、第1矩形信号のオン(LレベルからHレベルへの反転)のタイミングを所定のデッドタイムtdだけ遅らせることで図5(d)に示すような第1駆動信号を生成し第2矩形信号のオンのタイミングを上記と同様に遅らせることで第2駆動信号を生成して第1駆動信号と第2駆動信号とをそれぞれドライブ部31に出力するデッドタイム生成部(図示せず)とを有する。ドライブ部31は、電力変換部2の一方のスイッチング素子Q2を第1駆動信号のオン期間(Hレベルの期間)にオンさせ第1駆動信号のオフ期間(Lレベルの期間)にオフさせる第1ドライブ部31aと、電力変換部2の他方のスイッチング素子Q3を第2駆動信号のオン期間にオンさせ第2駆動信号のオフ期間にオフさせる第2ドライブ部31bとを有する。すなわち、上記のデッドタイム生成部により、電力変換部2の2個のスイッチング素子Q2,Q3が同時にオンされることが防止されている。上記構成では発振用コンデンサC102には特に高い容量値が要求されないので、発振用コンデンサC102は制御用集積回路4に構成することができる。
ここで、発振用コンデンサC102の充電電流及び放電電流は、それぞれ、制御用オペアンプOP2の反転入力端子への入力電圧が高いほど、つまり制御用コンデンサC103の両端電圧が高いほど少なくなる。すなわち、上記の第1駆動信号及び第2駆動信号の周波数、つまりドライブ部31の動作の周波数であって放電灯Laに出力される交流電力の周波数(以下、「動作周波数」と呼ぶ。)は、制御用コンデンサC103の両端電圧が高いほど低くなる。
制御用集積回路4のシーケンス制御部41は、図6(a)に示す制御電圧Vcc1の供給が開始されてからの時間に応じて、図6(e)に示す制御用コンデンサC103の両端電圧を変化させることにより、放電灯Laの各フィラメントをそれぞれ予熱する予熱動作t1〜t2の後、放電灯Laの点灯を開始させる始動動作t2〜t3を行い、その後に、放電灯Laの点灯を維持させる定常動作t3〜t4に移行する。例えば、シーケンス制御部41は、抵抗R103を介して制御用コンデンサC103に対し図6(d)に示すようなPWM信号を出力するものであり、このPWM信号のオンデューティによって制御用コンデンサC103の両端電圧を変化させる。具体的には、予熱動作t1〜t2中には上記のPWM信号を停止させ(言い換えると上記のオンデューティを0にし)、定常動作t3〜t4では始動動作t2〜t3よりも上記のオンデューティを高くすることで、段階的に制御用コンデンサC103の両端電圧を上昇させ、すなわち図6(f)に示すように動作周波数f1〜f3を段階的に低下させる。つまり、動作周波数は、予熱動作t1〜t2中は最も高い動作周波数f1とされ、始動動作t2〜t3中は予熱動作t1〜t2中よりも低い動作周波数f2とされ、定常動作t3〜t4中は始動動作t2〜t3中よりもさらに低い動作周波数f3とされる。なお、シーケンス制御部41の出力はPWM信号に限られず、制御用コンデンサC103の両端電圧を変化させるものであればよい。電力変換部2のローサイドのスイッチング素子Q3の両端間に接続されて放電灯Laを含む共振回路の共振周波数に比べて動作周波数f1〜f3は高くされており、つまり動作周波数f1〜f3が低いほど電力変換部2から放電灯Laに出力される電力は増加する。すなわち、上記のような動作周波数f1〜f3の段階的な低下により、放電灯Laへの出力電力は段階的に増加する。また、始動動作t2〜t3を開始するタイミングt2と定常動作t3〜t4を開始するタイミングt3とはそれぞれ例えば計時により決定され、予熱動作t1〜t2の継続時間と始動動作t2〜t3の継続時間とはそれぞれほぼ一定とされる。
また、停止実行部34は、制御用集積回路4への制御電圧Vcc1の出力が開始されてから所定の停止時間T1はドライブ部31の動作を開始させない。従って、予熱動作t1〜t2が開始されるタイミングは、制御用集積回路4への制御電圧Vcc1の出力が開始されてから所定の停止時間T1の経過後となっている。停止時間T1は制御用コンデンサC103の十分な放電が可能な程度に長くされており、従って、定常動作t3〜t4が停止された後にすぐ再度の始動が行われる場合であっても、次の予熱動作t1〜t2が開始される前の停止時間T1中に十分に制御用コンデンサC103の放電がなされるから、予熱動作t1〜t2の開始時t1に電力変換部2から放電灯Laへの出力電力が過剰となってしまうことがない。
ここで、制御用集積回路4には、停止実行部34に接続された停止制御部42が設けられている。制御用集積回路4の停止制御部42から駆動用集積回路3の停止実行部34への電路は、抵抗R51を介して制御電圧Vcc1の電路に接続されている。停止制御部42は、通常は上記電路の電位をグランドと等しいLレベルとし、ドライブ部31を停止させる際には上記電路の電位を制御電圧Vcc1と等しいHレベルとすることでドライブ部31の停止を指示する。つまり、ドライブ部31の停止が指示されている期間には上記の抵抗R51では電流が流れず電力が消費されないのであり、上記の抵抗R51に常に電流が流れる構成とする場合に比べて消費電力が低減されている。そして、停止実行部34は停止制御部42の出力がHレベルである期間にはドライブ部31を動作させない。図6の例では制御電圧Vcc1の出力が開始されてから定常動作t3〜t4の終了時t4までは停止実行部34への入力(すなわち停止制御部42の出力)がLレベルに維持されていることにより、制御電圧Vcc1の出力が開始されてから停止時間T1の経過後に予熱動作t1〜t2が開始されているが、制御電圧Vcc1の出力が開始された後に停止実行部34への入力がHレベルとなっていてその後Lレベルに変化した場合には、停止実行部34への入力がLレベルとなってから停止時間T1の経過後に予熱動作t1〜t2が開始される。つまり、厳密には制御電源部33から制御電圧Vcc1が出力されていて且つ停止実行部34への入力がLレベルであるという状態が停止時間T1だけ継続された時点で予熱動作t1〜t2が開始されるのであり、定常動作t3〜t4が終了されてから次に予熱動作t1〜t2が開始されるまでの間には少なくとも停止時間T1の停止は確保される。
さらに、本実施形態は、整流部DBの出力電圧を平滑した電圧に応じた直流電圧を出力する電源検出部61と、例えば直流電源部1の出力電圧を分圧する分圧抵抗からなり直流電源部1の出力電圧が高いほど高い電圧を出力する直流電源検出部62とを備える。
また、本実施形態の駆動用集積回路3には、直流電源部1のスイッチング素子Q1を駆動するための回路が設けられている。詳しく説明すると、駆動用集積回路3には、所定の第7参照電圧Vr7と直流電源検出部62の出力電圧との差に応じた電圧を出力するエラーアンプOP4と、電源検出部61の出力とエラーアンプOP4の出力とを乗算する乗算器36aと、反転入力端子に乗算器36aの出力が入力されて非反転入力端子は直流電源部1のスイッチング素子Q1と抵抗R5との接続点に接続されたコンパレータCP7と、コンパレータCP7の出力がリセット端子に入力されるフリップフロップ回路36bと、抵抗R4を介して直流電源部1のスイッチング素子Q1に接続されフリップフロップ回路36bの出力に応じて直流電源部1のスイッチング素子Q1をオンオフ駆動する電源ドライブ部36cとが設けられている。
さらに、直流電源部1のインダクタL1には、一端がグランドに接続された2次巻線が設けられており、この2次巻線の他端は、駆動用集積回路3に設けられたゼロ電流検出部36dに接続されている。ゼロ電流検出部36dは、フリップフロップ回路36cのセット端子に接続されており、上記の2次巻線に誘導される電圧に基いてインダクタL1のエネルギー放出の完了を検出し、インダクタL1のエネルギー放出の完了が検出されたときにフリップフロップ回路36bのセット端子にパルスを入力する。
以上により、直流電源部1のスイッチング素子Q1は周期的にオンオフ駆動され、そのオンデューティは直流電源部1の出力電圧を所定の目標電圧とするようにフィードバック制御される。この目標電圧は、直流電源検出部62の出力電圧を第7参照電圧Vr7とするような電圧となる。
さらに、本実施形態は、放電灯Laの寿命末期時に変化するパラメータを検出して検出されたパラメータに応じた電圧を出力する寿命検出部63を備える。具体的には、本実施形態の寿命検出部63は、上記パラメータとして放電灯Laに発生する非対称電流を検出し、これに応じた電圧を出力するものである。
また、制御用集積回路4には、放電灯Laが寿命末期である異常状態としての寿命末期状態か否かを寿命検出部63の出力に基いて判定するとともに判定結果に応じた出力を停止制御部42に入力する放電灯寿命判定部43が設けられている。すなわち、放電灯寿命判定部43が請求項における負荷側異常判定部である。
詳しく説明すると、図7に示すように、寿命検出部63は、一端が抵抗R111と放電灯Laの一方のフィラメントとを介して電力変換部2のインダクタL2に接続され他端がグランドに接続されたコンデンサC106と抵抗R113との並列回路を備える。また、コンデンサC106は、カソードをコンデンサC106に向けたダイオードD103を介して寿命判定部43に接続されており、このダイオードD103と寿命判定部43との接続点は抵抗R112を介して制御電源部33の出力端(制御電圧Vcc1)に接続されている。
ここで、放電灯Laが寿命末期でない場合、放電灯Laの点灯中、電力変換部2から寿命検出部63への電流(以下、「流入電流」と呼ぶ。)Idc+と、寿命検出部63から電力変換部2への電流(以下、「流出電流」と呼ぶ。)Idc−とは互いに略等しくなる。これにより、寿命検出部63のコンデンサC106の両端電圧すなわち寿命検出部63の出力電圧は略一定の電圧(以下、「正常電圧」と呼ぶ。)に維持され、この正常電圧は制御電圧Vcc1を抵抗R112,R113で分圧したものとなる。また、電力変換部2のインダクタL2と放電灯Laとの接続点は抵抗R114を介して直流電源部1の高電圧側の出力端に接続されている。
一方、放電灯Laが寿命末期となると、放電灯Laにおいてフィラメントに塗布されたエミッタの消耗量にはフィラメント毎に差が生じることで、上記の電流Idc+,Id−の一方が他方よりも多くなり(つまり非対称電流が生じ)、寿命検出部63の出力電圧と上記の正常電圧との間には、上記の電流Idc+,Id−の差(非対称電流の大きさ)に応じた差が生じる。例えば流出電流Idc+が流入電流Idc−よりも多い場合には寿命検出部63の出力電圧は上記の正常電圧よりも高くなり、逆に流出電流Idc+が流入電流Idc−よりも少ない場合には寿命検出部63の出力電圧は上記の正常電圧よりも低くなる。
寿命判定部43は、寿命検出部63の出力電圧を、正常電圧よりも高い所定の上限電圧、並びに、正常電圧よりも低い所定の下限電圧とそれぞれ比較し、寿命検出部63の出力電圧が上限電圧以下且つ下限電圧以上であれば寿命末期状態ではないと判定し、寿命検出部63の出力電圧が上限電圧を上回るか下限電圧を下回っていれば寿命末期状態であると判定する。例えば、制御電圧Vcc1が5Vであって正常電圧が2.5Vである場合、上限電圧を4Vとして下限電圧を1Vとする。
さらに、駆動用集積回路3には、直流電源部1の出力電圧が不足している異常状態(以下、「直流電圧低下状態」と呼ぶ。)か否かを直流電源検出部62の出力に基いて判定し、判定結果に応じた電圧を出力する直流電圧低下判定部37が設けられている。すなわち、直流電圧低下判定部37が請求項における電源側異常判定部である。具体的に説明すると、直流電圧低下判定部37は、図8に示すように、非反転入力端子に直流電源検出部62の出力電圧が入力されるとともに反転入力端子には第7参照電圧Vr7よりも低い所定の第8参照電圧Vr8が入力されたコンパレータCP8と、このコンパレータCP8の出力端子にゲートが接続されたnチャネル型のFETからなるスイッチング素子Q107とを備える。このスイッチング素子Q107は一端がグランドに接続されるとともに他端には抵抗R32を介して報知電圧Vcc3が入力されており、このスイッチング素子Q107と抵抗R32との接続点が直流電圧低下判定部37の出力端として制御用集積回路4に接続されている。上記の第8参照電圧Vr8は、目標電圧に対応する第7参照電圧Vr7の50%〜80%とされる。すなわち、直流電圧低下判定部37は、直流電源検出部62の出力電圧が第8参照電圧Vr8以上であるときには直流電圧低下状態を判定せず出力をLレベルとし、直流電源検出部62の出力電圧が第8参照電圧Vr8よりも低いときに直流電圧低下状態を判定して出力をHレベルとする。例えば、第8参照電圧Vr8を第7参照電圧Vr7の80%とした場合、直流電源部1の出力電圧が目標電圧の約80%未満となったときに直流電圧低下状態が判定される。
また、制御用集積回路4には、直流電圧低下判定部37の出力を適宜変換して停止制御部42に入力する判定入力部44が設けられている。
本実施形態の停止制御部42は、寿命判定部43の出力と判定入力部44の出力とを随時参照し、寿命判定部43によって寿命末期状態が判定されていれば駆動用集積回路3への出力をHレベルとして駆動用集積回路3のドライブ部31等を停止させるとともに、シーケンス制御部41を停止させる。
また、停止制御部42は、直流電圧低下判定部37によって直流電圧低下状態が判定された場合、上記のようにドライブ部31やシーケンス制御部41を即座に停止させるのではなく、所定の再始動時間T5(図10参照)だけ始動動作を行うようにシーケンス制御部41を制御し、再始動時間T5の経過後にも依然として直流電圧低下状態が判定されていれば、その時点で、寿命末期状態が判定されたときと同様に駆動用集積回路3への出力をHレベルとして駆動用集積回路3のドライブ部31等を停止させるとともにシーケンス制御部41を停止させる。
直流電圧低下状態が判定されたときの本実施形態の動作を図9及び図10に示す。図9及び図10において、それぞれ、(a)は直流電源検出部62の出力電圧の時間変化を示し、(b)は直流電圧低下判定部37のコンパレータCP8の出力の時間変化を示し、(c)は直流電圧低下判定部37の出力の時間変化を示し、(d)はシーケンス制御部41の出力の時間変化を示し、(e)は動作周波数の時間変化を示し、(f)は駆動用集積回路3に対する停止制御部42の出力の時間変化を示す。図9の例では、直流電圧低下状態(すなわち直流電圧低下判定部がHレベルの状態)が再始動時間T5よりも短い時間T4で終了したことで、停止制御部42による停止は行われず、再始動時間T5の経過後には定常動作が再開されている。また、図10は、直流電圧低下状態の継続時間が再始動時間T5に達したことで、停止制御部42による停止が行われた場合の動作を示す。本実施形態では、駆動用集積回路3の停止実行部34は停止制御部42の出力がHレベルとなったときに電源ドライブ部36cも停止させるものであり、図10において再始動時間T5だけ継続された始動動作の終了後は、電源ドライブ部36cの停止により直流電源部1の出力電圧及び直流電源検出部62の出力電圧が低下している。
ところで、直流電圧低下状態が判定されたときに即座にドライブ部31や電源ドライブ部36cを停止させる場合には、直流電圧低下状態が例えば瞬時停電などによるもので短時間で解消されたとしても放電灯Laを点灯させることができない。
これに対し、本実施形態では上記のように直流電圧低下状態が判定されたときに再始動時間T5だけ始動動作が行われることで、上記のような短時間の直流電圧低下状態で放電灯Laが立ち消えた場合には放電灯Laを再度点灯させることができる。また、上記の再始動時間T5の始動動作の終了後に直流電圧低下状態が判定されている場合にはドライブ部31や電源ドライブ部36cが停止されるので、例えば短絡などの故障により直流電源検出部62の出力が直流電源部1の出力電圧を反映せず常に0Vとなってしまったような場合であっても、誤ったフィードバック制御で回路素子や放電灯Laに過剰な電気的ストレスがかかることを避けることができる。
また、直流電圧低下状態が発生すると、同時に例えば放電灯Laの立ち消えに伴ってランプ電流が一時的に非対称となることで寿命末期状態が誤判定されてしまうことが考えられ、このような寿命末期状態の誤判定によってドライブ部31や電源ドライブ部36cの停止がなされてしまうと、上記のような直流電圧低下状態の判定による始動動作が実質的に行われなくなってしまう。例えば動作周波数を電力変換部2と放電灯Laとが構成する共振回路の共振周波数に対して十分に離していわゆる遅相側動作を確保することで上記のような立ち消えによる誤判定を避けることは可能ではあるが、そうすると無効電流が増加することで回路損失が増加するから望ましくない。
そこで、本実施形態の停止制御部42は、寿命末期状態と直流電圧低下状態との両方が判定されている場合には直流電圧低下状態の判定による動作を優先し、直流電圧低下状態が判定されている期間には寿命末期状態の判定に応じた動作は行わない。これにより、放電灯Laの立ち消え時に寿命末期状態の誤判定によりドライブ部31等が停止されてしまうことが避けられる。
また、本実施形態の制御用集積回路4には周期的な電気信号であるクロック信号を生成するクロック部45が設けられており、クロック信号の周波数が高いほど、制御用集積回路4の消費電力が増大する反面、少なくとも停止制御部42の動作速度が速くなって異常状態の発生に対する応答が速くなる。本実施形態では、寿命末期状態や直流電圧低下状態の発生に対する応答の速さが定常動作中に特に必要とされることに着目し、クロック部45が図6(g)に示すように定常動作t3〜t4中のクロック周波数TBを他の期間でのクロック周波数TAよりも高くするという構成を採用している。これにより、定常動作t3〜t4中にはクロック周波数が高い周波数TBとされることで高い応答速度を確保しながらも、ドライブ部31の停止中にはクロック周波数が低い周波数TAとされて消費電力が抑えられることで起動部32にかかる電気的ストレスを低減し駆動電圧Vcc2を安定させることができる。こで、クロック周波数は定常動作t3〜t4中に高い周波数TBとされればよいのであって、クロック周波数を低い周波数TAから高い周波数TBに切り替えるタイミングは図6(g)のような定常動作t3〜t4の開始時t3に限られず、予熱動作t1〜t2の開始時t2から定常動作t3〜t4の開始時t3までの他のタイミングでクロック周波数が切り替えられてもよい。
なお、直流電圧低下状態の判定による再度の始動動作をシーケンス制御部41が行った回数を計数する計数部(図示せず)を設け、この計数部によって計数された上記の回数が所定の上限回数(例えば5回)に達した後は直流電圧低下状態が判定されてもシーケンス制御部41が始動動作を開始せず停止制御部42が出力をHレベルとしてドライブ部31等を停止させる構成としてもよい。
また、負荷は放電灯Laに限られず、始動時において供給される電力が徐々に増加されるべきものであればよい。
さらに、ゼロ電流検出部36dを、図11に示すように構成してもよい。詳しく説明すると、図11のゼロ電流検出部36dは、反転入力端子が直流電源部1のインダクタL1の二次巻線に接続され非反転入力端子に所定の第9参照電圧Vr9が入力された入力コンパレータCP9と、入力コンパレータCP9の出力がLレベルからHレベルに反転したときに所定幅のパルスの出力を開始するワンショット回路OSと、ワンショット回路OSの出力の否定を出力する否定回路INVと、入力コンパレータCP9の出力と否定回路INVの出力との論理積を出力する第1論理積回路AND1と、制御電圧Vcc1を電源とする定電流源Ir3によって充電される保留用コンデンサC107と、nチャネル型のFETからなり保留用コンデンサC107に並列に接続されるとともに第1論理積回路AND1の出力端子がゲートに接続されたスイッチング素子Q108と、反転入力端子に所定の第10参照電圧Vr10が入力されるとともに非反転入力端子に保留用コンデンサC107が接続された出力コンパレータCP10と、出力コンパレータCP10の出力とワンショット回路OSの出力との論理積をゼロ電流検出部36dの出力として出力する第2論理積回路AND2とを備える。
図11のゼロ電流検出部36dの動作を図12を用いて説明する。直流電源部1のインダクタL1の2次巻線からゼロ電流検出部36dへの入力電圧が図12に(b)で示すように変動した場合を考える。すると、入力コンパレータCP9の出力は図12に(c)で示すようになり、ワンショット回路OSの出力が図12に(e)で示すようになる。保留用コンデンサC107は、第1論理積回路AND1の出力がHレベルとなったときにはスイッチング素子Q108を介して急激に放電されるから、第1論理積回路AND1の出力がLレベルである期間、すなわち入力コンパレータCP9の出力がLレベルである期間とワンショット回路OSの出力がHレベルである期間とに充電されて出力コンパレータCP10への出力電圧を徐々に上昇させる。ここで、図12に(g)で示すゼロ電流検出部36dの出力がHレベルとなる期間はワンショット回路OSの出力がHレベルであって且つ出力コンパレータCP10の出力がHレベルである期間、すなわち、図12に(f)で示す出力コンパレータCP10の出力がHレベルからLレベルに反転する直前の、ワンショット回路OSの出力のパルス幅分の期間であり、これによって電源ドライブ部36cの出力は図12に(a)で示すようなものとなる。出力コンパレータCP10の出力がHレベルとならない限りはゼロ電流検出部36dの出力がHレベルとなることがないから、ゼロ電流検出部36dへの入力電圧が第9参照電圧Vr9を下回った後、保留用コンデンサC107の両端電圧が第10参照電圧Vr10に達するまでの所定の保留時間T6はゼロ電流検出部36dの出力がHレベルとなることはない。言い換えると、ゼロ電流検出部36dへの入力電圧が第9参照電圧Vr9を下回る期間の継続時間が上記の保留時間T6に達しない限りは、フリップフロップ回路36bの出力がHレベルとならず、従って直流電源部1のスイッチング素子Q1がオンされない。
ところで、直流電源部1においては、寄生インピーダンスやダイオードD1の逆回復時間により、スイッチング素子Q1がオンされた直後に出力コンデンサC1からの電流(以下、「逆流電流」と呼ぶ。)が検出用抵抗R3に流れる。また、駆動用集積回路3においてフリップフロップ回路36bのリセット端子に接続されたコンパレータCP7の反転入力端子への入力電圧は、交流電源ACから入力される電圧(以下、「入力電源電圧」と呼ぶ。)が低下すると低下する。そして、上記の逆流電流に対して入力電源電圧が低くなり上記のコンパレータCP7の出力がHレベルとなった場合、場合、インダクタL1に十分にエネルギーが蓄積されていないにも関わらずスイッチング素子Q1がオフされてしまう。この場合、ごく短時間で再びスイッチング素子Q1がオンされるが、上記と同様にして再びスイッチング素子Q1がオフされ、この繰り返しによってスイッチング素子Q1が短い周期でオンオフされてしまうことが考えられる。このようにスイッチング素子Q1が短い周期でオンオフされると、スイッチング素子Q1に過剰な電気的ストレスがかかってしまう。
これに対し、図11の構成では、上記のように、ゼロ電流検出部36dへの入力電圧が第9参照電圧Vr9を下回る期間の継続時間が保留時間T6に達しない限りは直流電源部1のスイッチング素子Q1がオンされず、つまりスイッチング素子Q1のオフ状態は少なくとも保留時間T6だけは継続されるから、図12の右端付近のようにゼロ電流検出部36dの入力電圧が細かく変動した場合であっても、直流電源部1のスイッチング素子Q1が短い周期のオンオフによって寿命を短縮されてしまうようなことを避けられる。
さらに、図11の例では、ゼロ電流検出部36dの出力は論理和回路OR3を介してフリップフロップ回路36bのセット端子に接続されており、駆動用集積回路3には、フリップフロップ回路36bの出力を監視してフリップフロップ回路36bの出力が所定時間(例えば100μ秒)以上継続してLレベルであったときに上記の論理和回路OR3を介してフリップフロップ回路36のセット端子にパルスを入力するリスタート部36eが設けられている。
(実施形態2)
本実施形態の停止実行部34は、入力電源電圧の低下を電源検出部61の出力に基いて判定し、入力電源電圧の低下が判定されたときに、停止制御部42の出力がHレベルとなったときと同様に出力をLレベルとしてドライブ部31や報知電源部30を停止させる。
具体的に説明すると、電源検出部61は図14に示すように整流器DBの出力電圧を分圧抵抗で分圧するとともにコンデンサで平滑した直流電圧を出力するものである。また、停止実行部34は、非反転入力端子に所定の第5参照電圧Vr5が入力され反転入力端子に電源検出部61の出力電圧が入力された入力コンパレータCP4と、非反転入力端子が停止制御部42に接続され反転入力端子に第5参照電圧Vr5が入力された入力コンパレータCP5と、上記2個の入力コンパレータCP4,CP5の出力の論理和を出力する論理和回路OR2と、駆動用集積回路3の外部に設けられた遅延用コンデンサC105を充電する定電流源Ir2と、nチャネル型のFETからなり遅延用コンデンサC105に並列に接続されるとともに論理和回路OR2の出力がゲートに入力されたスイッチング素子Q106と、非反転入力端子に遅延用コンデンサC105が接続され反転入力端子に所定の第6参照電圧Vr6が入力された出力コンパレータCP6とを備える。この出力コンパレータCP6の出力がHレベルとなる期間がすなわちドライブ部31及び報知電源部30が動作する期間であって報知電圧Vcc3が出力される期間である。
上記の停止実行部34の動作を説明する。停止実行部34は制御電源部33から出力される制御電圧Vcc1を電源としていることにより、始動時においては遅延用コンデンサC105の充電は制御電源部33からの制御電圧Vcc1の出力開始とともに開始され、遅延用コンデンサC105の両端電圧が第6参照電圧Vr6に達したときに出力コンパレータCP6の出力がHレベルとなることによりドライブ部31の動作と報知電圧Vcc3の出力とが開始され、このとき起動部32ではスイッチング素子Q101がオフ状態に固定される。つまり、遅延用コンデンサC105の容量値と第6参照電圧Vr6との積を、停止実行部34の定電流源Ir2の出力電流で除して得られる充電時間T2が、すなわち停止時間T1に一致する。
また、電源検出部61の出力電圧が第5参照電圧Vr5を下回った場合や、停止制御部42の出力がHレベルとなった場合には、いずれかの入力コンパレータCP4,CP5の出力がHレベルとなることでスイッチング素子Q106がオンされることにより、スイッチング素子Q106を介して遅延用コンデンサC105が急激に放電され、遅延用コンデンサC105の両端電圧が第6参照電圧Vr6を下回って出力コンパレータCP6の出力がLレベルとなることにより、ドライブ部31や報知電圧Vcc3の停止がなされる。ここにおいて、スイッチング素子Q106がオフされてから出力コンパレータCP6の出力がLレベルとなるまでの時間(以下、「保持時間」と呼ぶ。)T3(図15参照)は十分に短くなっている。
図15に本実施形態の動作の一例を示す。図15の例では、図15(a)に示す停止制御部42の出力がLレベルとなった時点では図15(b)に示す電源検出部61の出力電圧が第5参照電圧Vr5を下回っていることにより図15(c)に示す一方の入力コンパレータCP4の出力がHレベルであり、従って図15(d)に示す論理和回路2の出力もHレベルとなっている。やがて電源検出部61の出力電圧が第5参照電圧Vr5を上回ると、論理和回路OR2の出力がLレベルとなってスイッチング素子Q106がオフされることで遅延用コンデンサC105の充電が開始される。さらに充電時間T2が経過して遅延用コンデンサC105の両端電圧が第6参照電圧Vr6に達すると、出力コンパレータCP6の出力がHレベルとなってドライブ部31の動作と図15(f)に示す報知電圧Vcc3の出力とが開始される。その後、電源検出部61の出力電圧が低下して第5参照電圧Vr5を下回ると、非常に短い保持時間T3で出力コンパレータCP6の出力がLレベルとなり、ここにおいてドライブ部31の動作と報知電圧Vcc3の出力とがそれぞれ停止される。
また、本実施形態では、図16に示すように、シーケンス制御部41は発振部35へ出力するPWM信号(図16(d))のオンデューティを予熱動作t1〜t2の開始時t1から始動動作t2〜t3の終了時t3にかけて連続的に徐々に大きくしている。これにより、図16(e)に示す制御用コンデンサC103の両端電圧は上記期間t1〜t3にわたって直線状に大きくなり、図16(f)に示す動作周波数は予熱動作t1〜t2の開始時t1の動作周波数f1から定常動作t3〜t4中の動作周波数f3にかけて直線状に低くなっている。
(実施形態3)
本実施形態の基本構成は実施形態2と共通であるので、共通する部分については同じ符号を付して詳細な図示及び説明を省略する。
本実施形態において、図17に示すように、駆動用集積回路3には、直流電源部1の出力電圧Vdcが異常に高くなった過電圧状態か否かを判定して過電圧状態が判定されたときに直流電源部1の出力電圧を低下させる過電圧保護部39が設けられている。
また、制御用集積回路4には、電源装置が使用されている時間の累計である累積使用時間を計時する計時部46と、不揮発性メモリからなり少なくとも電源がオフされている期間に累積使用時間を保持する記憶部47と、計時部46によって計時された累積使用時間が電源装置の寿命とされる所定の装置寿命時間に達するまでは出力をLレベルとし、累積使用時間が装置寿命時間に達した以後は出力をHレベルとする報知部48とが設けられている。累積使用時間は例えば駆動用集積回路3からの報知電圧Vcc3が入力されている期間(すなわちドライブ部31が動作している期間)に計時される。
さらに、駆動用集積回路3には、報知部48の出力が入力される報知入力部38が設けられている。報知入力部38は過電圧保護部39に接続されており、過電圧保護部39は報知部48の出力に応じて動作を変化させる。
詳しく説明すると、図18に示すように、報知入力部38は、反転入力端子が報知部48に接続されるとともに非反転入力端子に所定の第11参照電圧Vr11が入力され出力端子が抵抗R33を介して制御用オペアンプOP2の反転入力端子に接続されたコンパレータC11からなる。第11参照電圧Vr11は報知部48のHレベルの出力の電圧値よりも低く且つ報知部48のLレベルの出力の電圧値よりも高くされている。すなわち、報知入力部38はいわゆる否定回路であって、報知入力部38の出力すなわち上記のコンパレータC11の出力は、報知部48の出力を反転させたものとなる。
過電圧保護部39は、直流電源検出部62の出力が非反転入力端子に入力されるとともに反転入力端子に所定の第12参照電圧Vr12が入力されたコンパレータCP12と、このコンパレータCP12の出力と報知入力部38の出力との論理積をフリップフロップ回路36bのリセット端子に出力する論理積回路AND3とを備える。すなわち、累積使用時間が装置寿命時間に達していないときには、直流電源検出部62の出力電圧が第12参照電圧Vr12を上回ったときに直流電源部1のスイッチング素子Q4がオフ制御されることで直流電源部1の出力電圧Vdcを低下させるという過電圧保護動作が行われ、累積使用時間が装置寿命時間に達した後は報知入力部38の出力がLレベルとなることにより論理積回路AND3の出力がLレベルに固定されて上記の過電圧保護動作が行われなくなる。
上記構成によれば、累積使用時間が装置寿命時間に達した後は、過電圧保護動作が行われなくなることで直流電源部1のスイッチング素子Q4に高い電気的ストレスがかかりやすくなる。従って、スイッチング素子Q4が他の回路素子よりも先に寿命を迎える可能性が高くなるから周知の電流ヒューズ(図示せず)等を用いた対策を立てやすく、また、スイッチング素子Q4が寿命を迎えて故障するタイミングはばらつきがあるので、同時に複数個の電源装置の使用が開始された場合であってもそれら複数個の電源装置の寿命時に放電灯Laが一斉に消灯されてしまうことがない。
なお、過電圧保護部39は上記に限られず、論理積回路AND3を設ける代わりに例えば図19に示すように第12参照電圧Vr12と第12参照電圧Vr12よりも高い所定の第13参照電圧Vr13とをそれぞれトランスファーゲート回路を用いて構成されたマルチプレクサTG3を介してコンパレータCP12の反転入力端子に入力し、報知部48の出力がHレベルである期間には過電圧保護部39のコンパレータCP12の反転入力端子に入力される電圧が第12参照電圧Vr12より高い第13参照電圧Vr13とされるように構成してもよい。この構成を採用すれば、累積使用時間が装置寿命時間に達した後は過電圧保護部39のコンパレータCP12の反転入力端子に入力される電圧が高くなって過電圧保護動作が行われにくくなることで、同様の効果が得られる。