JP5345569B2 - 車両の差動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、差動を停止させる機構(デフロック)を備える車両の差動装置に関する。
差動装置は、車両が旋回するときの左右駆動輪の回転数差を吸収し、それぞれの車輪に応じた回転数を発生させながら各車輪へ駆動トルクを配分する装置である。
差動装置には差動を停止させる機構(デフロック)を備えるものがある。このデフロックは、差動装置の差動を一時的に停止させるもので、無条件に左右の車輪に均等に駆動トルクが伝達されるようにする機構である。デフロックは、典型的には左右の一輪がぬかるみ等の摩擦係数の小さな路面でスリップして脱出不能になったりした場合に機能させるものであり、四輪駆動車や不正地走行等を行う車両では、差動制限機構付きの差動装置にデフロックを採用することが多くある。例えば特許文献1には差動制限機構とデフロックとを併せ持つ差動装置が開示されている。
特開2008−267561号公報
ところで、特許文献1に開示されたようなデフロック付きの差動装置において高速走行時にデフロック状態に入ってしまうと、ロック機構に大きな負荷がかかるため、ロック機構を強固にする必要があり、装置全体の大型化、重量増となる。
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、デフロック付きの差動装置において、走行時にデフロック状態とならないようにする車両の差動装置を提供することを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載の発明は、プロペラシャフト(例えば実施形態におけるフロントプロペラシャフト25)に設けられたピニオンギヤ(例えば実施形態におけるピニオンギヤ35)に噛み合うリングギヤ(例えば実施形態におけるリングギヤ48)と、前記リングギヤの側面に取付けられ差動機構室(例えば実施形態における収容空間S2)を形成するデフケース(例えば実施形態におけるデフケース49)と、前記デフケースに収容される差動機構(例えば実施形態における差動機構部50)と、前記差動機構に噛み合い前記プロペラシャフトからの駆動力を左右に配された被駆動軸(例えば実施形態におけるフロントアクスル31L,31R)を介し車輪(例えば実施形態における前輪FW)に伝達するサイドギヤ(例えば実施形態における左出力側カム69、右出力側カム70)と、前記デフケースを貫いて前記サイドギヤに形成されたピン孔(例えば実施形態におけるピン孔75)に挿入することで、前記差動機構の差動を停止してデフロック状態とするロックピン(例えば実施形態におけるロックピン66)と、前記ロックピンを操作する操作子(例えば実施形態におけるフォーク部材77)とを備え、前記リングギヤ又は前記デフケースに前記被駆動軸を挿通させるボス部(例えば実施形態におけるボス部64)が一体形成され、該ボス部に、該ボス部の軸方向に沿って摺動可能な環状部材(例えば実施形態における環状部材65)が設けられるとともに、該環状部材に前記ロックピンが設けられた車両の差動装置において、前記リングギヤ又は前記デフケースに、該リングギヤ又は該デフケースの回転に連動して回転する係止片(例えば実施形態における係止片84)が取り付けられ、前記操作子に、前記係止片に当接可能な当接片(例えば実施形態における当接片85)が形成され、前記リングギヤ又は前記デフケースが所定の回転数に至ると、前記係止片が前記当接片と対面する位置に移動して、前記操作子の作動を規制することを特徴とする。
これによれば、走行時にデフロック状態に入ってしまうことを防止できる。
なお、本発明において差動機構は、その形式を特に限定されるものでなく、差動制限機構付きの構造のもの、所謂オープンデフと呼ばれる一般的な構造のもののいずれの形式も含む概念のものである。本発明では、差動機構と噛み合って駆動力を伝達する媒体をサイドギヤと称しているが、このサイドギヤは差動制限機構付きの差動機構である場合の例えばカム部材も含む概念であって、オープンデフで用いられる一般的なサイドギヤに限定されるものでなく、広く解釈可能なものである。
請求項2に記載の発明は、前記ボス部に挿通され前記リングギヤ又は前記デフケースに連動して回転し、周縁部に溝部(例えば実施形態における溝部91)が形成されているリング部材(例えば実施形態におけるリング部材82)と、前記ボス部に挿通され前記係止片が設けられる環状の係止部材(例えば実施形態における係止リング部材83)と、前記リング部材の前記溝部に巻き付けられ該溝部を締め付けるとともに、端部(例えば実施形態における端部93)を前記係止部材に支持される締結スプリング(例えば実施形態における締結スプリング92)とが設けられ、前記リング部材と前記締結スプリングは、締付摩擦を越えるとスリップすることを特徴とする。
これによれば、リングギヤ又はデフケースの回転によりリング部材が回転し、それと共に係止部材が回転し、回転数が増していくと、締結スプリングの締付摩擦を越えて締結スプリングとリング部材とがスリップして独立に動く。これにより、係止片が当接片と対面する位置(デフロック規制状態)に保持されたまま、車速が上がりデフロックがかからないようにすることができる。
請求項3に記載の発明は、前記リング部材に一端を支持されるとともに、前記ロックピンが設けられた前記環状部材に他端を支持され、前記リング部材が回転する方向と反対方向に付勢力を付与するリターンスプリング(例えば実施形態におけるリターンスプリング90)が設けられ、前記ボス部と前記リング部材との間には、所定の範囲内で回転可能となる遊び(例えば実施形態における長孔87)が設けられていることを特徴とする。
これによれば、車両を停止させると、リターンスプリングによりリング部材と係止部材のみを回転させて、デフロック規制状態を解除させることができる。
請求項4に記載の発明は、当該差動装置は外壁面を構成する最終減速機ケース(例えば実施形態におけるハウジング33)を有し、前記最終減速機ケースの内壁に、前記係止片が前記当接片と対面する位置に移動した状態で、前記係止片を当接保持するケース側当接部(例えば実施形態におけるケース側当接片86)が設けられていることを特徴とする。
これによれば、係止片が当接片と対面する位置に移動した状態で、係止片を当接保持できる。
本発明によれば、走行時にデフロック状態に入ってしまうことを防止できる。また、簡易な機構であるため、コストダウン、コンパクト化、軽量化を図ることができる。
本発明の実施形態に係る車両の概略構成を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る差動装置の横断面図である。 図2の要部拡大断面図である。 差動装置の右側面図である。 差動装置一部の下面図である。 差動装置一部を斜め後から見た斜視図である。 差動装置のインヒビター機構部を説明する図である。 差動装置のインヒビター機構部の動作を説明する図である。 本発明の実施形態に係る差動装置の変形例を説明する横断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を基に説明する。図1は、本発明に係る差動装置を備える車両1の概略構成を示す平面図である。以下の説明で用いる図面には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LHを適所に示しており、以下では、これらの方向を適宜用いるものとする。また、図中C1は車両1の車幅方向における中心線を示している。
図1に示す本発明に係る差動装置を備える車両1は、不正地走行を主目的とする比較的小型の車両として構成され、車両の基本骨格を構成する車体フレーム2を有している。かかる車体フレーム2は、前輪WFを懸架するフロントフレーム部3と、フロントフレーム部3の後方に設けられ乗員が着座するシートS等が配設される空間を形成するセンターフレーム部4と、センターフレーム部4の後方に設けられ後輪WRを懸架するとともにエンジンEを搭載するリヤフレーム部5とで構成されている。
フロントフレーム部3は、車両下部前方において前後方向に延在する左右一対のフロントロアフレーム6L,6Rと、フロントロアフレーム6L,6Rの前端部から上方に立ち上がり、その後湾曲して後上方に延びる左右一対のフロントアッパフレーム7L,7Rとを有している。フロントアッパフレーム7L,7R間の下方には第一サブクロスフレーム9が架設されるとともに、フロントアッパフレーム7L,7R間の上方には第二サブクロスフレーム10が架設されている。
フロントロアフレーム6L,6Rの前方には左右一対のバンパ支持パイプ11L,11Rが設けられ、バンパ支持パイプ11L,11Rの前端には左右に延在するバンパ12が固定されている。また、フロントロアフレーム6L,6Rとフロントアッパフレーム7L,7Rとの間には補強部材としての倒立フレーム(図示せず)が複数設けられており、このような倒立フレームの適所には左右方向に延びる複数のクロスフレームが架設されている。符合3Aは図示しない倒立フレームに架設されたフロントサブクロスフレームを示している。
センターフレーム部4は、フロントロアフレーム6L,6Rの後端と接続し、車幅方向に延びる第一ロアクロスフレーム13と、第一ロアクロスフレーム13の略中央領域から後方へ延出する左右一対の中央ロアフレーム14L,14Rと、中央ロアフレーム14L,14Rの後端に接続されるとともに車幅方向に延びる第二ロアクロスフレーム15と、第一ロアクロスフレーム13及び第二ロアクロスフレーム15の両端部と接続し、車両前後方向に延在する左右一対のサイドフレーム16L,16Rとを有している。サイドフレーム16L,16Rは、第一ロアクロスフレーム13との接続位置から車幅方向内側に湾曲し、その前端がフロントフレーム部3のフロントロアフレーム6L,6Rに接続されている。また、サイドフレーム16L,16Rの後端についても、第二ロアクロスフレーム15との接続位置から車幅方向内側に湾曲しており、後述するリヤロアフレーム24L、24Rに接続されている。
中央ロアフレーム14L,14Rは、車幅方向における車両中心線C1から所定距離オフセットされた位置に配されており、それぞれ車両中心線C1から等距離で左右に振り分け配置されている。中央ロアフレーム14Lとサイドフレーム16Lとの間、及び、中央ロアフレーム14Rとサイドフレーム16Rとの間には、左サブクロスフレーム17及び右サブクロスフレーム18が架設され、これら左サブクロスフレーム17及び右サブクロスフレーム18は、第一ロアクロスフレーム13と第二ロアクロスフレーム15の略中央に位置付けられている。
左サブクロスフレーム17と第一ロアクロスフレーム13との間には、車幅方向に並んで車両前後方向に延びる補強部材としてのサブフレーム19,19が架設され、右サブクロスフレーム18と第一ロアクロスフレーム13との間には、車幅方向に並んで車両前後方向に延びる補強部材としてのサブフレーム20,20が架設されている。さらに、左サブクロスフレーム17と第二ロアクロスフレーム15の間には、車両前後方向に延びる補強部材としてのサブフレーム21が架設され、右サブクロスフレーム18と第二ロアクロスフレーム15との間には、車両前後方向に延びる補強部材としてのサブフレーム22が架設されている。シートSは、左サブクロスフレーム17、第二ロアクロスフレーム15及びサブフレーム21、及び、右サブクロスフレーム18、第二ロアクロスフレーム15及びサブフレーム22に跨るようにして配置され車幅方向に並ぶ。
また第二ロアクロスフレーム15の略中央領域には車両前方に向かって延びるセンターフレーム23が接続されており、かかるセンターフレーム23の前端はフロントフレーム部3のフロントクロスフレーム3Aに接続されている。センターフレーム23は、中央ロアフレーム14Rと車幅方向における車両中心線C1との間を通って車両前方に向けて真直ぐに延びており、すなわち、センターフレーム23は、車両中心線C1から右側へ所定距離オフセットされて配置されている。
リヤフレーム部5は、第二ロアクロスフレーム15の略中央領域から後方へ延出する左右一対のリヤロアフレーム24L、24Rと、これらに架設される図示しない複数のクロスフレーム等とで構成されている。リヤロアフレーム24L,24Rは車両後方に向かうに従い、相互間距離を近づけるように湾曲形成されており、その後端間はリヤクロスメンバ24Aで結合されている。リヤクロスメンバ24Aには車両中心線C1に長手方向が沿うトレーラヒッチ24Bが前後に延びるように設けられている。
エンジンEは水冷式エンジンとして構成され、シートSの後方においてリヤロアフレーム24L、24Rの上方に所謂縦置きで搭載されている。エンジンEのクランクケース(図示せず)の前部には、駆動力の伝達のためのフロントプロペラシャフト25が前方に向けて延ばして設けられ、後部にはリヤプロペラシャフト26が後方に向けて延ばして設けられている。
フロントプロペラシャフト25は、シートS間の車両中心線C1上を真直ぐに延び、フロントフレーム部3に設けられた前輪の最終減速機であるフロントファイナルアセンブリ27に接続され、リヤプロペラシャフト26は、その長さが比較的短く設定され、車両中心線C1上から左後方に向けて延び、リヤフレーム部5に設けられた後輪用の最終減速機であるリヤファイナルアセンブリ28に接続されている。
リヤプロペラシャフト26は、エンジンEとリヤファイナルアセンブリ28との間にユニバーサルジョイント等を介在させることで、左後方に向けて延びるように構成されている。リヤプロペラシャフト26に接続されるリヤファイナルアセンブリ28の後端はリヤクロスメンバ24Aの近傍まで後方に延びており、ここでリヤクロスメンバ24Aには車両中心線C1に沿って前方に延びるトレーラヒッチ24Bが設けられている。このため、本実施形態の車両1では、リヤプロペラシャフト26を左後方に延ばし、リヤファイナルアセンブリ28を車両中心線C1から左方に偏倚(オフセット)して配置しており、リヤファイナルアセンブリ28とトレーラヒッチ24Bとの干渉を避けている。すなわち、リヤファイナルアセンブリ28はトレーラヒッチ24Bの左方に側面視で重なるように偏倚して配置されている。
フロントファイナルアセンブリ27には前輪用差動装置29が内蔵され、リヤファイナルアセンブリ28には後輪用差動装置30が内蔵されている。前輪用差動装置29には左右方向に延びるフロントアクスル31L,31Rの一端が接続されるとともに、後輪用差動装置30には左右方向に延びるリヤアクスル32L,32Rの一端が接続されている。フロントアクスル31L,31Rの他端は左右一対の前輪WFを取付け、リヤアクスル32L,32Rの他端は左右一対の後輪WRを取付けており、係る構成においては、エンジンEからの動力が、「フロントプロペラシャフト25」→「前輪用差動装置29」→「フロントアクスル31L,31R」の順で前輪WFに伝達され、「リヤプロペラシャフト26」→「後輪用差動装置30」→「リヤアクスル32L,32R」の順で後輪WRに伝達されるようになっている。
図2に前輪用差動装置29を内蔵するフロントファイナルアセンブリ27周辺の横断面が示され、同図に示すように前輪用差動装置29はフロントファイナルアセンブリ27のケース部分に収容されている。以下、本発明が適用された前輪用差動装置29について詳細に説明する。
前輪用差動装置29を内蔵するフロントファイナルアセンブリ27のケース部分について説明すると、フロントファイナルアセンブリ27は、前輪用差動装置29を収容するためのハウジング33を有しており、このハウジング33は、車両後方側に位置する円筒状ケース部33Aと、車両前方側に位置する差動装置ケース本体部33Bとで構成されている。
円筒状ケース部33Aは、その軸方向を車両中心線C1に沿わせるように配置され、フロントプロペラシャフト25の前端にジョイント34を介して接続されたピニオンギヤ35を収容している。円筒状ケース部33Aの前部内側及び後部内側にはベアリング36,37が嵌入され、これらベアリング36,37によってピニオンギヤ35及びジョイント34が円筒状ケース部33A内において回転自在に支持されている。ベアリング36の後方にはロックナット38が設けられ、このロックナット38によりベアリング36が所定位置に固定されるようになっている。
ピニオンギヤ35の頭部には円筒状の先端部40が突設され、この先端部40は差動装置ケース本体部33Bに形成された穿孔に嵌入されたベアリング41に挿通され回転可能に支持されている。ピニオンギヤ35の基端側にはスリーブ39が軸方向(前後方向)に移動可能に設けられ、スリーブ39にはレバー39Aが係合されており、レバー39Aはスリーブ39を軸方向に移動させることでスリーブ39をジョイント34に係脱させることが可能とされている。これにより、車両1は四輪駆動、二輪駆動を切り替え可能に構成されている。
円筒状ケース部33Aと差動装置ケース本体部33Bは内部で連通しており、ピニオンギヤ35の傘状の噛合部35Aの一部は、差動装置ケース本体部33Bが形成する収容空間S1に臨んでいる。差動装置ケース本体部33Bは、右側部分を構成するカップ状の右半部42と、左側部分を構成し、右半部42の開口を塞ぐ左半部43とに分けられ、上記収容空間S1は、これら右半部42と左半部43との協働により形成されている。
差動装置ケース本体部33Bにおいて右半部42は、右方向に向かうに従い縮径する形状を呈し、その右側端部には開口44が形成されている。一方、左半部43の左側端部には開口45が形成されている。開口44,45はそれぞれ、フロントアクスル31R,31Lを挿通させるものであって、差動装置ケース本体部33B内に挿通されたフロントアクスル31R,31Lは、開口44,45を通って前輪用差動装置29に接続されるようになっている。
右半部42の開口44及び左半部43の開口45の内側には、開口44,45の軸線方向にその中心を沿わせたベアリング46,47が設けられ、これらベアリング46,47は前輪用差動装置29を差動ケース本体部33B内部で回転可能に支持している。ベアリング46,47はそれぞれ、右半部42の内側及び左半部43の内側に嵌入されている。ベアリング46,47の内径はフロントアクスル31R,31Lの外径よりも大きく設定されており、開口44,45を通過したフロントアクスル31R,31Lが、ベアリング46,47を介して前輪用差動装置29に至るようになっている。
前輪用差動装置29は、本実施形態では差動制限機構(LSD:Limited Slip Differential)を有する差動装置として構成され、上述したように差動装置ケース本体部33B内に収容され、該差動装置ケース本体部33Bに回転可能に支持されている。
前輪用差動装置29は、フロントプロペラシャフト25に備えられたピニオンギヤ35と噛み合うリングギヤ48と、リングギヤ48の側面に取付けられ、一定空間を形成するデフケース49と、デフケース49内に収容される差動機構部50とを有している。差動機構部50は、左右駆動輪の回転数差を吸収し、それぞれの車輪に応じた回転数を発生させながら各車輪へ駆動トルクを配分する差動機構を実質的に構成するものである。
リングギヤ48は、円盤状のリングギヤ本体部51を有し、このリングギヤ本体部51の略中央領域にはフロントアクスル31L等を挿通させるための挿通孔52が形成されている。リングギヤ本体部51の外周縁側には、ピニオンギヤ35と噛み合う噛合部48Aが形成され、これがピニオンギヤ35と噛み合い動力伝達がなされるようになっている。
リングギヤ本体部51の噛合部48Aよりも内周側の側面には、左右方向に貫通するデフケース取付孔53・・・が形成され、このデフケース取付孔53・・・は、リングギヤ本体部51の周方向において所定間隔を隔てて複数形成されている。デフケース49はデフケース取付孔53・・・を介してリングギヤ48に取り付けられている。
またリングギヤ48の挿通孔52の周縁には、円筒状の車幅方向左側へ延びるボス部54が一体に形成され、このボス部54の先端側(左端部側)は、左半部43の開口45の内側に設けられたベアリング47に嵌合される軸支部55として設定されている。
デフケース49は、断面ハット型状を呈し、円筒状に形成されたデフケース本体部49Aと、デフケース本体部49Aの端部周縁から径方向に広がるように形成されたフランジ部49Bとで構成されている。フランジ部49Bにはリングギヤ48との取り付けのためのボルト挿通孔が形成され、このボルト挿通孔はフランジ部49Bの周方向に所定間隔を隔てて複数形成されている。デフケース49は、ボルト挿通孔をデフケース取付孔53・・・に重合し、ボルト62を締結されることでリングギヤ48に取付けられている。
デフケース本体部49Aには、差動機構部50の大部分を収容する円筒状の収容部63と、収容部63の頭部内方側領域(図を参照した場合には、右側端面)から突出し、収容部63と一体の円筒状のボス部64とで構成されている。このボス部64は、右半部42の開口44の内側に設けられたベアリング46に嵌合されるとともに、円筒状の内部にフロントアクスル31Rを挿通させている。
リングギヤ48とデフケース49とが結合されることで、これらの間に収容空間S2に形成される。この収容空間S2に差動機構部50が収容されている。またデフケース49のボス部64には、この差動機構部50の差動を停止させる、図中60で示すデフロックが設けられている。このデフロック60は、ボス部64に挿通される環状部材65、この環状部材65に設けられたロックピン66等で構成されている。
図3を参照し差動機構部50を説明すると、この差動機構部50は、デフケース49と一体的に回転する二種類の入力側ブロック67・・・,68・・・と、これらの入力側ブロック67・・・,68・・・を相対滑り可能に挟み込むとともに各ブロック67・・・,68・・・との摩擦力で独立して回転することができる左・右出力側カム69,70と、左出力側カム69に隣接配置させるスラストワッシャ71と、このスラストワッシャ71に隣接配置される皿ばね72とを備えている。
左出力側カム69は、リングギヤ48の内面側にスラストワッシャ71及び皿ばね72を介して配置され、入力側ブロック67・・・,68・・・は左出力側カム69に接するようにデフケース49の周方向に並べられており、そして、右出力側カム70は、これら入力側ブロック67・・・,68・・・に接するようにデフケース49内に配置されている。
入力側ブロック67・・・,68・・・は、それぞれ凸部67A,68Aを備え、デフケース49の内周面方向に複数形成された溝部73・・・にそれぞれ凸部67A,68Aを嵌合させることでデフケース49と一体的に回転することができるようになっている。また、入力側ブロック67・・・,68・・・はデフケース49の軸方向に移動することができるようになっている。また、左・右出力側カム69,70は、それぞれ左方・右方に突出する円筒部69A,70Aを有しており、それぞれの円筒部69A,70Aにフロントアクスル31L,31Rをスプライン嵌合させることで、前輪WFに駆動力を伝達するように構成されている。
この差動機構部50の動作を説明すると、この差動機構部50では、左出力側カム69と右出力側カム70とで回転数に差が生じない場合は、入力側ブロック67・・・,68・・・及び左・右出力側カム69,70は相対回転せず、一体的に回転する。また、入力側ブロック67・・・,68・・・は、左出力側カム69と右出力側カム70とで移動速度、即ち回転数に差が生じた場合には、左・右出力側カム69,70との間にそれぞれ摩擦力を発生させながら相対移動、即ち、相対回転する。このため、2つの出力側カム69,70の回転数により入力側ブロック67,68と出力側カム69,70の相対滑りにより変化する摩擦力の方向によって所定の比率で異ならせて駆動トルクを出力側カム69,70へ分配することができ、従って、路面の摩擦係数の変化によって一部の車輪の駆動力が小さくなったとしても、他の車輪の駆動力が低下せず、総駆動力を確保することができる。また、入力側ブロック67,68と左出力側カム69、及び、入力側ブロック67,68と左出力側ブロック70では、それぞれ独立に滑りを生じるが、滑り時の摩擦力のために左右輪の差動が制限されるようになっている。
次いでデフロック60について説明すると、このデフロック60は、環状部材65をボス部64の軸方向に摺動させることでロックピン66をリングギヤ48に形成されたピン孔74に差し込み、右出力側カム70に形成されたピン孔75に至らしめることで、差動機構部50の上述した差動を停止させる。
デフロック60においてロックピン66は、環状部材65のリングギヤ48側の端面に一体に設けられ、図4に参照されるように、環状部材65の周方向において120度間隔で三つ形成されている。リングギヤ48のピン孔74及び右出力側カム70のピン孔75も、ロックピン66に対応して、それぞれの周方向において120度間隔で三つ形成されている。
環状部材65の周面(周領域)には、全周に渡り係合溝76が形成され、この係合溝76には環状部材65を移動させるフォーク部材77が係合されている。図4に示されるようにフォーク部材77は、略U字状に形成され二股状に分岐しており、その両端部で環状部材65を挟むようにして係合溝76に係合している。
フォーク部材77は、係合溝76と係合する側と反対側の端部、換言すれば、U字形の底部においてレバーシャフト78と連結しており、レバーシャフト78は、例えば図3に示すように、ボス部64の前方に配置されている。レバーシャフト78は、上下方向に延在し、その上端を右半部42から外部に臨ませ、右半部42から外部に臨むレバーシャフト78の上端には、右半部42の上方に配され、このレバーシャフト78とともにフォーク部材77を回転させるレバー部材79の一端が連結されている。
レバー部材75の他端にはケーブル80が連結されている。レバー部材79は、乗員の操作(入力)に応じてフォーク部材77をボス部64の軸方向に沿って移動させるもので、乗員が操作するレバー等に結合されたケーブル80のプッシュプル動作に応じ、レバーシャフト78を中心に回転する。これにより、レバーシャフト78も回転し、このレバーシャフト78と連結したフォーク部材77が移動され、環状部材65がボス部64に沿って移動されるようになっている。なお、詳しくはレバーシャフト78に巻回されたスプリングがレバーシャフト78の移動に伴いフォーク部材77を押すようにしてフォーク部材77を移動させる。これに代えて、フォーク部材77とレバーシャフト78とをカム溝とこれに係合するピン等で結合しフォーク部材77を移動させるようにしても構わない。
デフロック60の動作を説明すると、このデフロック60では、フォーク部材77によって環状部材65を左方に移動させ、環状部材65に設けたロックピン66をリングギヤ48のピン孔74及び右出力側カム70のピン孔75に挿入することで、右出力側カム70がデフケース49に一体的になり、左出力側カム69がリングギヤ48と共に回転することになる。これにより、左出力側カム69は、入力側ブロック67・・・,68・・・とも相対滑りなく一体的になる。一方、デフロック60が作動しない状態では、入力側ブロック67・・・,68・・・に対して左・右出力側カム69,70の一方が回転すれば、他方もそれに伴って独立して回転することができる構造であるため、上記したように、デフロック60の作動によって右出力側カム70が入力側ブロック67・・・,68・・・に対して回転できなくなると、左出力側カム69は回転しなくなる。すなわち、左出力側カム69は、リングギヤ48、デフケース49とともに回転する右出力側カム70と一体的に回転するようになり、換言すれば、差動機構部50が差動を停止させるロック状態となり、これによって、左右の前輪WFは同一のトルクで一体に回転することになる。こうして本実施形態に係る前輪用差動装置29では、乗員の操作に応じて、デフロック60により差動機構部50の差動を停止させることが可能になっている。
次に、本実施形態では前輪用差動装置29に、車両1の走行に応じて作動する、図中81で示すインヒビター機構部が備えられ、このインヒビター機構部81により、車両1の走行中にデフロック60がデフロック状態に入らなくなるようにされている。以下では、このインヒビター機構部81の詳細について説明する。
図3〜図6を参照し、インヒビター機構部81は、デフケース49のボス部64に挿通され環状部材65に隣接し、デフケース49に連動して回転するリング部材82と、デフケース49のボス部64に挿通されリング部材82に隣接し、リング部材82と一体に回転可能であるとともに、リング部材82に対して相対回転な環状の係止リング部材83と、この係止リング部材83と一体に形成され外径方向へ突出する係止片84とを備えている。また、インヒビター機構部81は、フォーク部材77の基端側下部に設けられレバーシャフト78の外径方向に突出する当接片85と、図5において二点鎖線で示される、ハウジング33の右半部42の内壁に形成され車幅方向内側に突出するケース側当接片86とを備えている。
図3を参照し、リング部材82はその外周面に貫通した長孔87を形成され、この長孔87にボス部64の外周面から外径方向に突出するピン88を挿通させた状態で、ボス部64に挿通されている。図7に示すように長孔87はリング部材82に周方向に沿って長く形成されており、つまり、ボス部64とリング部材82との間には、所定の範囲内で回転可能となる遊びが設けられ、リング部材82はボス部64の周方向に所定の範囲内で回転可能となっている。
またリング部材82はデフケース49が回転した際にボス部64に形成されたピン88が長孔87の一端部に当接することで、デフケース49と一体的に(連動して)回転するようになっている。なお、リング部材82は長孔87から軸方向に延びる図示しない切欠きを有しており、この切欠きにピン88を通し、長孔87まで至らすことでボス部64と組みつけられるようになっている。
リング部材82と環状部材65との間には、付勢部材であるリターンスプリング90が設けられ、このリターンスプリング90は、リング部材82に一端を支持されるとともに、環状部材65に他端を支持され、環状部材65の端面に形成された溝65Aに収容されるように設けられている。図7は説明の便宜のため、リング部材82を環状部材65から離間させ、かつ、ボス部64を省略しており、この図7に示すようにリターンスプリング90は、リング部材82の周方向に沿ってボス部64の周囲を巻回されるように配置され、リング部材82の回転に対し付勢力を付与するようになっている。
図5,図7等に良く示すようにリング部材82の外周面である周縁部には溝部91が形成され、この溝部91には締結スプリング92が締め付けられている。締結スプリング92は溝部91を締め付けてリング部材82に係止されるとともに、係止リング部材83側へ突出させた端部93を有しており、この端部93は係止リング部材83に形成された係合孔94に係合されている。これにより、リング部材82と係止リング部材83とが連結され、デフケース49の回転によりリング部材82が回転し、それと共に係止リング部材83が回転するようになっている。そして、リング部材82の回転数が増していく、あるいは、係止リング部材83が当接され回転を規制された場合には、締結スプリング92の締付摩擦を越えて、締結スプリング92とリング部材82とがスリップして独立に動くようになっている。
係止リング部材83に形成された係止片84は、図4に良く示すように係止リング部材83の前側下部から前方に延びるように突出形成されており、側面視三角形状に形成され、その先端をフォーク部材77下部の当接片85の近傍まで延出させている。係止片84は、車両1が走行を開始した際に、つまり、デフケース49が回転した際に、係止リング部材83に伴って回転し、ハウジング33の右半部42の内壁に形成され車幅方向内側に突出するケース側当接片86に至ると、これに当接して一定の姿勢を保持され回転を規制されるようになっている。
すなわち、ケース側当接片86は、リング部材82と共に回転した係止リング部材83の係止片84に当接して、リング部材82を係止リング部材83に独立させて回転させるものであり、図5に参照されるように、係止片84の下側であって、係止リング部材83を軸中心とした係止片84の回動軌跡内に形成されている。なお、図3において94は、ケース側当接片86のちょうど上方において右半部42の内壁に形成され車幅方向内側に突出する、係止片84の回転範囲を規制するための規制部を示している。
そしてフォーク部材77の当接片85は、図3〜図7をまとめて参照し、右方に向けて延びて、デフケース49の回転によりケース側当接片86によって一定の姿勢を保持された係止片84の先端と対面する位置に至るように形成されている。すなわち、この当接片85は、レバー部材79の作動によりレバーシャフト78と共に回転するが、係止片84がデフケース49の回転によりケース側当接片86によって一定の姿勢を保持されている場合には、係止片84によりレバーシャフト78の回転を規制される位置に形成されている。つまり、デフケース49の回転によりケース側当接片86によって一定の姿勢を保持された係止片84は、レバーシャフト78が回転された際の当接片85の回動軌跡上に位置することになる。また、当接片85は、車両1の停止時には上記リターンスプリング90の付勢力により係止片84が上方に移動された際には、係止片84と離間し、レバーシャフト78の回転は許容されるようになっている。
このインヒビター機構部81の動作を図8を参照し説明すると、このインヒビター機構部81では、車両の走行前、つまり、デフケース49の回転前には、図中二点鎖線に示すように係止片84が、ケース側当接片86から離間して位置する。そして、デフケース49の回転に連動してリング部材82と係止リング部材83とが回転すると、係止片84も回転し、ケース側当接片86に当接する位置までくる。そして、ここで係止リング部材83は、係止片84がケース側当接片86(図5参照)に当接されることで、締結スプリング92の締付摩擦を越えて、締結スプリング92とリング部材82とがスリップして独立に動く。つまり、リング部材82のみが回転し、係止リング部材83及び係止片84は一定の姿勢を保持される。そして、ここで係止片84は、当接片85と対面する位置に移動し姿勢を保持されるため、フォーク部材77は、当接片85により作動を規制される。これにより、走行時にデフロック状態に入らなくなる。
一方で、車両1の走行が停止すると、つまり、デフケース49の回転が停止すると、リターンスプリング90の付勢力により、係止片84は係止リング部材83及びリング部材82とともに、図中二点鎖線で示した位置に戻される(回転差が生じるため)。これにより、当接片85は係止片84と離間することになり、レバーシャフト78の回転が許容され、デフロック60によるデフロック操作が許容されるようになっている。こうして本実施形態に係る前輪用差動装置29では、インヒビター機構部81により走行時にデフロック60がデフロック状態にならないようにされている。
以上のように本実施形態では、デフケース49に、このデフケース49の回転に連動して回転する係止片84が取り付けられ、フォーク部材77に、係止片84に当接可能な当接片85が形成され、デフケース49が所定の回転数に至ると、つまり、本実施形態では車両が走行を開始しデフケース49が回転しだすと、係止片84が当接片85と対面する位置に移動して、フォーク部材77の作動を規制することで、差動機構部50がデフロック状態に入らなくなる。したがって、走行時にデフロック状態に入ることが防止できる。また本実施形態では、かかる走行時のデフロック状態への規制を行うインヒビター機構部81を機械部品からなる簡易な機構で構成しているため、前輪用差動装置29ないし車両1のコストダウン、コンパクト化、軽量化を図ることができる。
なお、上記実施形態における構成はこの発明の一例であり、部品構成や構造、形状、大きさ、数及び配置等を含め、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、本実施形態では前輪用差動装置29が差動制限機構(LSD:Limited Slip Differential)を有する差動装置である例を説明したが、所謂オープンデフの差動装置、すなわち、本実施形態で説明した入力側ブロック67,68に対応する部分がピニオンギヤであり、左・右出力側カム69,70に対応する部分がサイドギヤであるような一般的な差動装置においても本発明は好適に適用でき、本発明は差動装置の形式に限定されるものではない。また、上記実施形態では、本発明を前輪用差動装置29に用いた例を説明したが、本発明は後輪用差動装置30にも好適に適用できるものであり、本発明は前輪用・後輪用等の用途によって限定されるものではない。また、本発明は、不正地走行車両(ATV)等の各種の車両で好適に用いることができる。
また、本実施形態では、デフケース49に形成されたボス部64にロックピン66を有する環状部材65が設けられ、このボス部64にインヒビター機構部81を構成するリング部材82や係止リング部材83が設けられる例を説明したが、リングギヤ48にボス部64に相当するボス部を形成し、これに環状部材65やリング部材82を挿通させる図9に示すような態様であっても構わない。
すなわち、図9に示す差動装置を上記実施形態と同様の構成要素について同一符号で示して説明すると、リングギヤ48にボス部64が形成され、このボス部64が形成される側と反対側のリングギヤ48の側面にデフケース49が設けられ差動機構部50が収容されている。そして、ボス部64にデフロック60を構成する環状部材65が設けられている。そして、環状部材65に隣接してリング部材82、係止リング部材83、係止片84、フォーク部材77に設けられる当接片85、左半部43の内壁に形成されたケース側当接片86等が設けられている。
また、本実施形態では、フォーク部材77に係止片84に当接可能な当接片85を形成したが、当接片85はレバーシャフト79に設けるようにしても構わない。
25 フロントプロペラシャフト(プロペラシャフト)
29 前輪用差動装置(差動装置)
31L,31R フロントアクスル
33 ハウジング(最終減速機ケース)
35 ピニオンギヤ
48 リングギヤ
49 デフケース
50 差動機構部(差動機構)
64 ボス部
65 環状部材
66 ロックピン
69 左出力側カム(サイドギヤ)
70 右出力側カム(サイドギヤ)
74 ピン孔
75 ピン孔
77 フォーク部材(操作子)
82 リング部材
83 係止リング部材(係止部材)
84 係止片
85 当接片
86 ケース側当接片
87 長孔(遊び)
90 リターンスプリング
91 溝部
92 締結スプリング
93 端部
FW 前輪(車輪)
S2 収容空間(差動機構室)


Claims (4)

  1. プロペラシャフトに設けられたピニオンギヤに噛み合うリングギヤと、前記リングギヤの側面に取付けられ差動機構室を形成するデフケースと、前記デフケースに収容される差動機構と、前記差動機構に噛み合い前記プロペラシャフトからの駆動力を左右に配された被駆動軸を介し車輪に伝達するサイドギヤと、前記デフケースを貫いて前記サイドギヤに形成されたピン孔に挿入することで、前記差動機構の差動を停止してデフロック状態とするロックピンと、前記ロックピンを操作する操作子とを備え、前記リングギヤ又は前記デフケースに前記被駆動軸を挿通させるボス部が一体形成され、該ボス部に、該ボス部の軸方向に沿って摺動可能な環状部材が設けられるとともに、該環状部材に前記ロックピンが設けられた車両の差動装置において、
    前記リングギヤ又は前記デフケースに、該リングギヤ又は該デフケースの回転に連動して回転する係止片が取り付けられ、
    前記操作子に、前記係止片に当接可能な当接片が形成され、
    前記リングギヤ又は前記デフケースが所定の回転数に至ると、前記係止片が前記当接片と対面する位置に移動して、前記操作子の作動を規制することを特徴とする車両の差動装置。
  2. 前記ボス部に挿通され前記リングギヤ又は前記デフケースに連動して回転し、周縁部に溝部が形成されているリング部材と、
    前記ボス部に挿通され前記係止片が設けられる環状の係止部材と、
    前記リング部材の前記溝部に巻き付けられ該溝部を締め付けるとともに、端部を前記係止部材に支持される締結スプリングとが設けられ、
    前記リング部材と前記締結スプリングは、締付摩擦を越えるとスリップすることを特徴とする請求項1に記載の車両の差動装置。
  3. 前記リング部材に一端を支持されるとともに、前記ロックピンが設けられた前記環状部材に他端を支持され、前記リング部材が回転する方向と反対方向に付勢力を付与するリターンスプリングが設けられ、
    前記ボス部と前記リング部材との間には、所定の範囲内で回転可能となる遊びが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両の差動装置。
  4. 当該差動装置は外壁面を構成する最終減速機ケースを有し、
    前記最終減速機ケースの内壁に、前記係止片が前記当接片と対面する位置に移動した状態で、前記係止片を当接保持するケース側当接部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の差動装置。
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