JP5344949B2 - 金属ppキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物。 - Google Patents
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Description
たしかに、この方法により前記特許文献1のワックスフロートの問題は解消し、しかも90℃の熱水シャワーで3分間の殺菌処理には充分耐えられるが、この樹脂組成物を用いたライナーは、125℃で30分間の殺菌条件を要求されている用途には使用することができない。また特許文献2記載の発明とほぼ同一の発明として特許文献3記載の発明があるが、この発明においても、125℃で30分間の殺菌条件に耐えられるようなライナーは得られていない。
(イ)230℃で荷重が21.18N(2.16kgf)におけるメルトフローレート(MFR)が0(すなわちこの条件では流動しない)である水素添加スチレン/イソプレン系エラストマーを15〜22重量%
(ロ)結晶性ポリプロピレンの存在下で末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体をヒドロシリル基含有化合物により動的に架橋した組成物からなるポリイソブチレン系エラストマーを24〜43重量%
(ハ)ポリプロピレン系樹脂を12〜19重量%
(ニ)流動パラフィンを27〜38重量%
(ホ)(i)シリコーンオイルおよび(ii)アミドワックスよりなる滑剤を前記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の合計量100重量部に対して3〜15重量部
を含む金属PPキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物に関する。
本発明の第2は、酸素透過度が1000〜3500[ml・mm/m2・24hr・atm]である事を特徴とする請求項1の金属PPキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物に関する。
本発明の第3は、230℃で荷重が21.18N(2.16kgf)におけるメルトフローレート(MFR)の値が3〜45(g/10分)である事を特徴とする請求項1の金属PPキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物に関する。
本発明の第4は、70℃、22時間の圧縮永久歪みが30〜50%である事を特徴とする請求項1の金属PPキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物に関する。
本発明の第5は、125℃×30分、70%の圧縮応力緩和が60%以上である事を特徴とする請求項1の金属PPキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物に関する。
この水素添加スチレン/イソプレン系エラストマーはメルトフローレート〔230℃、21.18N(2.16kgf)荷重:JIS K7210−1995、表1の試験条件No.14〕が測定できず、流動性がない。すなわち水素添加スチレン/イソプレン系エラストマーのメルトフローレートは0である。この流動性のない水素添加スチレン/イソプレン系ブロック共重合体を用いることにより、最終的な樹脂組成物にした時、室温では柔軟で、130℃では圧縮応力があまり低下せず、その結果として130℃で30分間の加熱殺菌条件で、熱変形または熱収縮に起因する漏洩(液漏れ)が有効に防止され、さらに保管時、取り扱い時の落下に起因する漏洩もまた有効に防止される。前記の流動性のない水素添加スチレン/イソプレン系エラストマーは、最終的な樹脂組成物にした時は弾性に富んでいるものの、ガスバリア性が不十分で内容物の保存性に改善の必要性があり、また流動性が無いため加熱溶融押出成形や射出成形をすることができない。
そのため、本発明においては、前記(イ)の水素添加スチレン/イソプレン系エラストマーに加えて、(ロ)〜(ホ)の成分の配合が不可欠である。
通常、前記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンのホモ重合体、プロピレン(主成分)とエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体を用いることができる。
好ましいポリプロピレン系樹脂は、下記の物性をもつものを用いることができる。
MFR〔230℃、21.18N(2.16kgf)/10分〕
(JIS K7210 表1、No.14の試験条件)
:1〜60、好ましくは5〜40
比 重 :0.89〜0.92、好ましくは0.90〜0.91
硬度(ロックウェル R型)
:80〜120、好ましくは85〜115
熱変形温度〔0.45MPa(メガパスカル)、ASTM D648〕
:100〜150℃、好ましくは105〜145℃
なお、MFRについては、特に5〜40の範囲にあると、樹脂組成物の成形性がよく、またキャップとしての耐衝撃性、落下密封性の点でもすぐれており、とくに好ましい。また、熱変形温度もとくに105℃〜145℃の範囲のものが、キャップの耐熱密封性と耐衝撃性の点からもっとも好ましい。
この流動パラフィンは、樹脂組成物中20〜40重量%を占めることが必要である。20重量%を下廻ると、樹脂組成物のMFRが小さくなりすぎ、射出成形特性が悪化し、ショートショットが発生する。一方40重量%を上廻るとワックスフロートが発生したり、樹脂組成物の耐熱性が悪くなり、レトルト殺菌に耐えられなくなる恐れがある。
一方、15重量部を上廻ると滑剤が樹脂組成物の表面にブリードしてフレーバー特性が悪化するので好ましくない。
スチレン/イソプレン系エラストマー:
230℃、2.16kgfのMFRが0(g/10分)で、かつ、5wt%トルエン溶液の粘度が30℃において700mPa・sのもの
結晶性ポリプロピレンの存在下で末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体をヒドロシリル基含有化合物により動的に架橋した組成物からなるポリイソブチレン系エラストマー:
230℃、10kgfのMFRが0.1(g/10分)、比重0.91g/cm3、硬度42°(JIS−A)のものを使用
ポリプロピレン系樹脂:230℃、2.16kgfのMFRが20のものを使用
流動パラフィン:粘度が25℃で68mPa・sのものを使用
滑剤:シリコーンオイルA:350cst/20℃のもの
アミドワックス:エルカ酸アミド
下記表に示す原料を配合した混合物をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、200℃に調整した2軸押出機を通して溶融し、ペレット化したライナー材用樹脂組成物を得た。これを内径42mmのアルミキャップの天板部内周面に射出成形し、ライナー付金属PPキャップを得た。
ライナー材用樹脂組成物を230℃で厚さ1mmに圧縮成形したものを、酸素透過試験法(JIS K7126−2)に準拠して、酸素の透過係数を測定した(酸素透過試験機:OX−TRAN 2/20(モコン社)、条件:23℃、0%RH、試験ガス:酸素100%)。
(2)メルトフローレート
JIS K−7210に準拠し、ライナー材用樹脂組成物をメルトインデックステスター(安田精機製作所 D4002)を用いて、230℃、3.80kgfの条件下で測定。
(3)ライナー材用樹脂組成物の圧縮永久歪み
JIS K−6262に準拠し、ライナー材用樹脂組成物の、厚み12mmの円柱形試験体を8.97mmに圧縮させ(25%変形条件)、70℃×22時間保持し、圧縮解放30分後の厚みを測定して算出した。
(4)ライナー材用樹脂組成物の圧縮応力緩和指数
試験装置はJIS K−6263と同等のものを使用。
まずライナー材用樹脂組成物を230℃で厚さ2mmに圧縮成形し、これを16mmφに打ち抜き、2枚重ねて試験体とする。この試験体を引張試験機〔(株)東洋精機製作所 ストログラフVE5D〕に組み込んである、125℃環境にした圧縮ジグに挟み温度調節後、試験体を圧縮ひずみ30%まで圧縮し初期圧縮応力値A(圧縮力を試験体の元の断面積で除した値)を求める。このまま30分間保持した後の圧縮応力値B(圧縮力を試験体の元の断面積で除した値)を求め(B÷A)×100により圧縮応力緩和指数を算出した。
(5)ライナー材用樹脂組成物の分散性
ライナー材用樹脂組成物を230℃で厚さ1mmに圧縮成形し、急冷する。このとき、成形されたシートにクラックが入っているかどうかを調べ、シートの中心部にクラックが入っている場合は分散性が不良×、クラックが入っていない場合は良○と判断した。
(6)フレーバー特性
ライナー材用樹脂組成物を230℃で厚さ1mmに圧縮成形し、急冷する。そのシートを室温で1週間保管し、シート表面にブリードがあるかどうか評価する。ブリードがない場合は良○、ブリードがある場合フレーバー特性は不良×であると評価した。
(7)射出成形性
ライナー材用樹脂組成物を射出成形したとき、成功率99.99%以上のものは○、それを下廻るものは×とした。射出成形は本出願人の出願にかかる特開2003−236879号公報の記載に準じて行った。その射出成形条件は下記のとおりである。
a予備加熱工程
あらかじめシェルの所定温度は80〜90℃に加熱できるようにした。
bライナー成形工程
樹脂通路の内壁を所定温度(これは、たとえば、ライナーを形成する合成樹脂がポリエチレン系であれば200℃前後、ポリプロピレン系であれば210℃前後の温度とする)に加熱して、この樹脂通路を通過する合成樹脂材が溶融状態を維持できるようにする。
ライナー成形処理の実施時に、この樹脂通路に溶融状態の合成樹脂材が供給されると、所定の射出圧力(これは、たとえば、約20〜28Mpa前後の圧力とする)を有する合成樹脂材が、前記の空間部に射出される。そして射出された合成樹脂材は、80〜100℃程度までその温度が低下し、離型後も所定のライナー形状に保たれる。
なお、この実施には前記公報記載のような冷却工程(例えば、冷却用の空気を吹付けるなど)は採用していないが、適宜採用は可能である。
(8)レトルト殺菌適性
ライナー材用樹脂組成物が装着されたアルミキャップを、90℃の熱水が充填されたスチールボトル缶に巻き締め、これを殺菌条件が125℃×30分間のレトルト処理を行い、室温に冷却後、缶内の真空度を測定する。正常範囲(45kPa〜55kPa)の真空度であれば合格○、それ以外は不合格×とした。またライナー材の変形を確認し、真空度が合格の場合でも変形していれば不合格×、変形が無ければ合格○とした。
(9)開栓性
内容物が充填されレトルト殺菌された試験缶のコールド販売環境下での開栓トルクを測定した。開栓トルクの装置は、シンポ産業(株) TNK100B−5、開栓トルクの評価は、充填後、トルクメーターで開栓トルクを測定した。開栓トルクの評価は、キャップ径(本試験ではD=47)の1/4〜1/2の数値に0.098を乗じた値(単位はN・m)が1.2N・m〜2.3N・mである場合を○とし、それ以外を×と表示した。開栓トルクがキャップ径の(1/4)×0.098N・m即ちD×0.024N・m(本試験では1.2N・m)より小さいと衝撃によるキャップのゆるみにより漏洩が発生することがあり、また開栓トルクがキャップ径の1/2×0.098N・m即ちD×0.049N・m(本試験では2.3N・m)より大きいと開けづらくなる。更に、本試験では1.4N・m〜1.8N・mの範囲に入るものを、特に優れた開栓トルクであると判断し◎とした。
(10)密封性
内容物が充填されレトルト殺菌された試験缶を、キャップ面を下にして10度の傾斜角をつけた鉄製の冶具に高さ20cmおよび30cmから落下させ、それぞれの真空度の変化を調査した。
真空度が試験缶全体の平均値±3σの範囲に入るものを密封性良好で○とし、平均値±3σの範囲から外れたものを密封性不良で×とした。
(11)内容物保存性
内容物にコーヒー飲料を充填しレトルト殺菌された試験缶を、室温下で貯蔵し開始から1年2ヵ月後の色調の変化を調査した。
色調の変化が指標ΔEの変化で6より小さければ○、6〜8の範囲であれば△、8より大きければ×とした。
比較例5、6はポリイソブチレン系エラストマーの配合率が0重量%、つまりポリイソブチレン系エラストマーを含まない樹脂組成物であり、酸素透過度が大きいため、内容物保存性も劣っていることを示している。
比較例4はポリイソブチレン系エラストマーの配合率が11重量%であり、酸素透過度が不十分であり、内容物保存性も不十分である事を示している。
比較例1、2、3、はポリイソブチレン系エラストマーの配合率が50重量%より大きいために、酸素透過度が小さく、内容物保存性も良好であるが、このライナー樹脂組成物で作成したアルミキャップのレトルト殺菌適性は劣っていることを示している。
比較例1、2はライナー樹脂組成物のメルトフローレートが3[g/10分(230℃、2.16kgf)]より小さいため射出成形性に劣ることを示している。また比較例4はライナー樹脂組成物のメルトフローレートが45[g/10分(230℃、2.16kgf)]より大きいため射出成形性に劣ることを示している。
実施例1〜6および比較例1〜6の樹脂組成物は、圧縮永久歪みと圧縮応力緩和指数は全て適正な範囲内である事を示している。
また、実施例1〜6および比較例1〜6の樹脂組成物で作成したアルミキャップの落下密封性は全て問題が認められない事を示している。
実施例1〜6の範囲の樹脂組成物では、開栓性が適正な範囲に入る事を示している。
Claims (5)
- 下記(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の合計量を100重量%として、
(イ)230℃で荷重が21.18N(2.16kgf)におけるメルトフローレート(MFR)が0(すなわちこの条件では流動しない)である水素添加スチレン/イソプレン系エラストマーを15〜22重量%
(ロ)結晶性ポリプロピレンの存在下で末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体をヒドロシリル基含有化合物により動的に架橋した組成物からなるポリイソブチレン系エラストマーを24〜43重量%
(ハ)ポリプロピレン系樹脂を12〜19重量%
(ニ)流動パラフィンを27〜38重量%
(ホ)(i)シリコーンオイルおよび(ii)アミドワックスよりなる滑剤を前記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の合計量100重量部に対して3〜15重量部
を含む金属PPキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物。 - 酸素透過度が1000〜3500[ml・mm/m2・24hr・atm]である事を特徴とする請求項1の金属PPキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物。
- 230℃で荷重が21.18N(2.16kgf)におけるメルトフローレート(MFR)の値が3〜45(g/10分)である事を特徴とする請求項1の金属PPキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物。
- 70℃、22時間の圧縮永久歪みが30〜50%である事を特徴とする請求項1の金属PPキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物。
- 125℃×30分、70%の圧縮応力緩和が60%以上である事を特徴とする請求項1の金属PPキャップの射出成形に用いるライナー材用樹脂組成物。
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