JP5344417B2 - 水油界面を利用した薬物−シリカ封入体の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、薬物の水性溶液の層とアルコキシシランの液層からなる二層分離液を調製することによって、界面においてアルコキシシランを加水分解し、薬物−シリカ封入体を生成させる方法に関する。本発明はまた、前記方法によって得られた薬物−シリカ封入体を生体に許容される支持材と混合するか、または該支持材にカプセル状に包み込むことを特徴とする、医薬組成物の製造方法に関する。
(1)整形外科領域に於ける骨髄炎治療の現況:
骨髄炎は、骨組織の感染を治療するのが極めて困難である。通常、この治療は感染された骨範囲の壊死組織切除法によって行われる。切除した空洞部には、生体吸収性の無いSeptopal(登録商標)チェーンまたはゲンタマイシンを含有するコラーゲンフリースを充填することによる、複数の抗生物質での局所的治療が有効である。この場合、ゲンタマイシンは細菌による病原菌を殺す高い用量で局部的に放出される。その他に骨髄炎の炎症を抑えるために抗生物質を取り込ませたカルシウム塩の骨代用材料が知られている(特許文献1)。
骨折後に生じた骨髄炎の治療に於いては感染の鎮静化と骨癒合の両方が必要であり、特に起因菌がMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)である場合には困難を伴うことが多い。これに対応する目的で、生体吸収性のないポリメタクリル酸メチルを主成分とする骨セメント80gに、抗生物質であるバンコマイシン2gとパニマイシン200 mgを混入したセメントビーズを作成し、治療に成功した事例が知られている(非特許文献1)。ただしセメントビーズは生体分解性がないために、感染の治まった術後7週目に抜去のために再手術を行う必要があった。
一般に骨髄炎を治療するための医薬品組成物は、抗生物質を局所的に放出することができ、場所を保持する機能を有する材料(インプラント)であることが望まれている。しかしながら従来の方法である、生体親和性の無い材料による場合には細菌を殺すことはできても、材料の異物としての強い炎症反応が、生じる。また、生体吸収性問題の無い材料による場合には抗生物質の放出後に、再手術により材料の摘出を要することが、それぞれ問題点になっている。
(2)口腔外科領域に於ける慢性骨髄炎治療の現況(顎骨手術に於ける問題点):
下顎骨や上顎骨には、(a)う蝕、歯周疾患に継発する歯性の慢性骨髄炎、(b) 悪性腫瘍の放射線治療後の慢性骨髄炎である放射線骨髄炎、(c)バイフォスフォネート投与による慢性骨髄炎が多く、しかも治療が困難なために問題となっている。また、顎口腔外科領域に頻発する嚢胞摘出後の感染を防止しつつ骨腔を補填できる材料や、抗生物質を含有し生体吸収性もある骨接合材料の開発が課題となっている。
慢性骨髄炎の治療は、(a)原因歯の抜去、(b)感染骨髄の外科的除去、(c)全身的、局所的抗生物質療法からなる。特に(c)抗生物質療法は、術後早期から開始され、かなりの長期間にわたる場合が多い。しかし、骨内への抗生物質の移行は不十分で、従って完全治癒の可能性は低く、患者には大きな負担となっている。
従来の抗生物質である、トシル酸スルタミシリン製剤では(ファイザー社、ユナシン)、1日750-1125mgを2〜3回に分けて分服する。このように抗生物質を頻回に長期間にわたって服用する必要があった。これは薬剤の病巣や組織内移行が悪かったためである。最近はこれらの問題を解決するために、3日間の服用(毎日2錠(500mg))で7日間
効果の持続するアジスロマイシン製剤(ファイザー社、ジスロマック)が開発されている。しかし服用回数や組織移行性が改善されたのみであり、長期の服用を必要とする点で未だに問題が未解決のまま残っている。
動物ではあるが、長期服用の改善を目的とした研究例がある(非特許文献2)。ここでは抗生物質としてゲンタマイシンやクリンダマイシンを含んだポリメタクリル酸メチルのビーズを炎症モデル動物(ワラビー)の下顎骨に埋め込んだ事例が報告されている。しかしながら、整形外科領域での骨髄炎治療の場合と同様な問題点、基材による炎症や再手術の必要性は依然として残っている。
(3)口腔外科や整形外科に用いられる生体材料の現況:
近年の生体材料学の急速な進展によって、多くの生体内で吸収されて組織置換される材料が開発されている(非特許文献3)。用いられる材料には、リン酸カルシウム系のセラミックス材料、ポリ乳酸やポリグリコール酸やポリ乳酸グリコール酸共重合体のような合成高分子材料、コラーゲンやゼラチンなどの天然高分子材料、腸線などの生物由来材料に分類される。一般的な用途として、外科手術時の組織の縫合、固定、被覆、ステントなどの形態保持、補強や骨欠損の補填、組織誘導の足場、薬剤を徐放するコーティング材としての利用が挙げられる。このうち、口腔外科領域や整形外科領域に於いては、主に組織置換される材料として手術用縫合糸、骨接合剤、骨欠損補填剤が臨床応用されている。近年の開発例としては、ポリ乳酸とヒドロキシアパタイトを圧縮成型した吸収性骨接合剤(非特許文献4)が知られている。
(4)天然物や生理活性物質を用いた、シリカ作成法の現況:
生体材料に限らず、一般的な無機質素材であるシリカ合成には、ゾル-ゲル法が多く用いられる。これは、アルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン Si(OEt)4)を酸性条件下(例えばpH 1.5〜3.0)での水―メタノール(例えば1:1)混合溶媒中で、加水分解と脱水縮合によりSiO2固体を生成する方法である。同様に塩基性条件下でもSiO2固体を生成することができる。通常は均一系で反応を進行させている。
ゾル-ゲル法は生体材料の作成に多用されているが、最適なpHが生理的pHの範囲外にある点で問題となっている。医薬品や蛋白質をシリカへ封入するにはリン酸緩衝液の緩衝範囲内(pH 6.2-8.2)でシリカ形成を行うことが望まれている。
天然物や高分子化合物を用いてシリカを作成した例として、天然物や高分子化合物のアルコキシシランから誘導されるシリカの作成例がある。例えば、糖、糖酸、糖アルコール、ならびにグリセロール、ソルビトール、マンノース、およびデキストランを含む多糖類由来アルコキシシラン(特許文献2)やポリオール由来のテトラアルコキシシラン(特許文献3)を用いている。これらの方法の特徴は、一般に用いられるシリカ出発原料、テトラエトキシシランではなく、天然物や高分子化合物から合成・単離されたアルコキシシランを出発原料として用いる点にある。
(5)シリカを用いたインプラントの現況:
シリカをインプラントとして臨床応用した例には、リン酸カルシウム系ガラスが多い。特にバイオガラスと呼ばれるNa2O-CaO-SiO2-P2O5系ガラスは、骨と直接結合する最初の例として知られている(非特許文献5)。ここに於いてシリカの成分SiO2が用いられているのは、生体適合性の期待されるリン酸カルシウムそのものでは強度が不足して脆い材料になりやすかったこと、ゾル-ゲル法により材料を作成できること、の2点の理由が考えられる。
そのほかのインプラントとして、予め作成したシリカ繊維を用いた、繊維強化型医療用
インプラント(特許文献4)。ゾル-ゲル法により作成したシリカを用いる、ケイ酸カルシウム組成物(特許文献5)などがある。
一般にはシリカそのものでは、強度はあるものの、生体適合性が低いと考えられている。そこで、シリカの生体適合性を改善する方法として、ゾル-ゲル誘導シリカ系生物学的活性ガラス上にカルシウム−ホスフェート皮膜を生成させて生体適合性を付与した事例も報告されている(特許文献6)。
(6)シリカを用いた薬物放出体の現況:
組織置換を目的とするインプラントには、組織形成を促進する分子を放出する機能を持つものが知られている。例えば骨形成を目的として、酸性メタノール水溶液(水5.4mL、テトラメトキシシラン5.4mL、メタノール5.0mL、1N HClaq.10μLの混合物)を用いたゾル-ゲル法によってサイトカインであるTGF-β1を取り込ませた生理活性ガラスが作成されている(特許文献7)。
その他に、生理活性蛋白の安定な封入を目的として、少量の酸を添加(水600μLに0.1N
HClaq. 0.5μL)したジグリセリルシラン(0.2g)水溶液に、微量の血液凝固第Xa因子(0.011μg)を封入した、ゾル-ゲル法による実施例が開示されている(特許文献2)。これらは何れも酸の添加によるゾル-ゲル反応の進行や、多量のアルコールを用いた均一系水溶液でのシリカ形成を行っている点に問題がある。
(7)口腔外科学の視点から見た新材料の必要性:
近年,ポリ乳酸を代表とする生体吸収性材料の研究開発が進み,一部分は既に日常臨床に使われている.歯科口腔外科臨床における生体吸収性材料の適用は,顎骨骨折の場合の骨接合プレートなどから,薬剤の局所的持続的投与、手術後の骨腔の補填材などへの応用などが幅広く考えられる。一般にポリ乳酸に加えて多く検討される材料にはリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトやこれらの複合材料があるが、分解の遅いことや、血流中への移行による塞栓が強く懸念されるために、口腔外科学分野においてほとんど使用されていない。そこでリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトを使わずに、抗生物質を局所投与できる新規な生体吸収性材料が求められている。
特開2006−167469号公報 特表2005−528445号公報 特表2005−536625号公報 特表2001−514049号公報 特表2003−506391号公報 特表2000−513714号公報 特表平10−503210号公報 河野稔文ら、東日本整災会誌、14巻、539-543ページ、2002年 M. P. HartleyとS. Sanderson. Austaralian Veterinary Journal, 81巻, 742-744ページ, 2003年 根岸靖雄ら、生体材料、19巻、27〜35ページ、2001年 松末吉隆、骨・関節・靱帯、17巻、1243〜1251ページ、2004年 Larry L. Hench、Journal of Materials Science: Materials in Medicine、17巻、967-978ページ、2006年
本発明の課題は、慢性骨髄炎などの疾患の予防や治療に際して、抗生物質等の薬物の長
期間作用と局所的投与を行うことのできる新規な材料を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために新たなシリカ生成法に着目した。 ケイ素は生体の必須微量元素であり、ヒヨコやネズミの骨格形成へ重要な関わりを持つことがわかっている。イネやアサガオの植物体やケイソウ類の外骨格には二酸化ケイ素(バイオシリカ)が構造形成材料として用いられている。近年、バイオシリカの形成には、特殊なタンパク質やアミン類が鋳型や酵素として関与していることが最近明らかになってきた。
バイオシリカ形成には2つの過程が知られている。ひとつは海綿動物の骨組織としてのシリカを生成する加水分解酵素、シリカテインα( Y. Zhou, K., Shimizu, J. N. Cha, G. D. Stucky, and D. E. Morse. Angew Chem. Int. Ed. 1999, 38, 780-782. および A. R. Bassindale, K. F. Brandstadt, T. H. Lane, P. G. Taylor. J. Inorg. Biochem.
2003, 96, 401-406.)による。もう一つはケイ藻類の外骨格を形成するポリアミン化合物(N. Kroger, R. Deutzmann, C. Bergsdorf, M. Sumper. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2000, 97, 14133-14138.)による。これらに於けるシリカ生成の特徴として何れも生理的pHの範囲内でSiO2固体が生成している点にある。これは従来の酸、アルカリ、多量のアルコールを用いたゾルゲル法のシリカ生成と大きく異なっている。
本発明者らは、水性溶液中の薬物が触媒的にアルコキシシランを加水分解させることができれば、穏和な条件でシリカを形成させることができると考えた。そして、薬物の例として、慢性骨髄炎の治療に用いられるアジスロマイシンを用いてシリカ生成の反応条件を精査した。
アジスロマイシンについて、3種類の濃度(0、5、10 mg)のリン酸緩衝水溶液 (200μL, 60 mM, pH 6.5)を調製した。調製した水溶液に対し界面を乱さないように、静かにテトラエトキシシラン (200μL)を上層に加え、4℃にて静置した。
19時間後に界面を観察し、シリカ形成の有無を実体顕微鏡により観察したところ、明瞭なシリカ形成が油水界面に確認された。シリカ形成が抗生物質(アジスロマイシン)に由来することは、その溶液濃度が増えるに従いシリカ形成の多くなることから明らかとなった。このように、薬物の水性溶液とアルコキシシランの水油界面を用いると、系中に酸、塩基、熱を加えなくても、薬物が触媒的にアルコキシシランを加水分解して、SiO2固体を生成することを明らかにできた。
上記方法で生成する薬物−シリカ封入体をポリ乳酸-グリコール酸共重合体と粉砕混合した製剤は、任意の形に成型することが可能であった。更にこの製剤をラット皮下への埋入空隙に於いて吸収性と炎症性を検討し、シリカの有無に於いて同程度の吸収性と低い炎症性であることが明らかとなった。以上より、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)薬物のシリカ封入体の製造方法であって、薬物の水性溶液の層とアルコキシシランの液層からなる二層分離液を調製して、該二層分離液の界面において薬物のシリカ封入体を生成させることを特徴とする方法。
(2)前記水性溶液のpHが6.2〜8.2であることを特徴とする、(1)の方法。
(3)前記水性溶液のpHが6.5〜7.5であることを特徴とする、(1)の方法。
(4)薬物の水性溶液が、薬物がリン酸緩衝液に溶解した水性溶液であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかの方法。
(5)薬物が、細胞壁合成阻害作用型抗生物質、細胞膜阻害作用型抗生物質、核酸合成阻害作用型抗生物質、蛋白合成阻害作用型抗生物質、葉酸代謝経路阻害型抗生物質、βラクタマーゼ阻害薬、サルファ薬、抗感染症薬、および防腐剤からなる群より選択される少な
くとも一つの薬物である、(1)〜(4)のいずれかの方法。
(6)薬物が、アンピシリン、バカンピシリン、アモキシシリン、ピブメシリナム、アモキシシリン、スルタミシリン、ピペラシリン、アスポキシリン、ベンジルペニシリン、クロキサシリン、オキサシリン、カルベニシリン、セファロクル、セフロキサジン、セファドロキシル、セフィキシム、セフテラムピボキシル、セフロキシムアキセチル、セフポドキシムプロキセチル、セフォチアムヘキセチル、セフジニル、セフチブテン、セフジトレンピボキシル、セフカペンピボキシル、セファゾリン、セフォゾプラン、セフメタゾール、セフォチアム、セフスロジン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフメノキシム、セフトリアキソン、セフタジシム、セフォジシム、セフピロム、セフェピム、ファロペネム、イミペネム、パニペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、アズトレオナム、バンコマイシン、テイコプラニン、ホスミシン、硫酸ポリミキシンB、硫酸コリスチン、グラミシジンS、アンホテリシンB、レボフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、ロメフロキサシン、トスフロキサシン、スパルフロキサシン、ガチフロキサシン、プルリフロキサシン、モキシフロキサシン、パズフロキサン、リファンピシン、ジベカシン、トブラマイシン、アミカシン、イセパマイシン、ミクロノマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ロキタマイシン、ジョサマイシン、ロキスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、テリスロマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クロラムフェニコール、リンコマイシン、クリンダマイシン、トリメトプリム、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム、サルファメトキサゾール、サラゾピリン、イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトール、グリセオフルビン、アムホテリシンB、5−フルオロシトシン、フルコナゾール、ミコナゾール、イトラコナゾール、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカビル、イドクスウリジン、アマンタジン、インターフェロンγ、リバピリン、ラミプジン、メトロニダゾール、チニダゾール、フルコナゾール、メベンダゾール、パモ酸ピランテル、ジエチルカルバマジン、プラジカンテル、アルベンダゾール、イベルメクチン、キヌプリスチン、ダルホプリスチン、リネゾリド(linezolid)、スペクチノマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン(sisomycin)、リンコサミン(lincosamin)、ラモプラニン(ramoplanin)、テリスロマイシン(telithromycin)、ナイスタチン、フシジン酸(fusidic acid)、クロルヘキシジン、およびポリヘキサニド(polyhexanid)からなる群より選択される薬物である、(1)〜(4)のいずれかの方法。
(7)(1)〜(6)のいずれかの方法によって薬物のシリカ封入体を製造し、得られたシリカ封入体を、生体に許容される支持材と混合するか、または該支持材にカプセル状に包み込むことを特徴とする、医薬組成物の製造方法。
(8)生体に許容される支持材が生体内分解性ポリマーである、(7)の方法。
(9)生体内分解性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリ乳酸グリコール酸共重合体、ポリヒドロキシカルボン酸、ポリデプシペプチド、およびポリアミノ酸からなる群から選択される少なくとも一つ以上のポリマーである、(8)の医薬組成物。
(10)医薬組成物が、骨髄炎の治療用または予防用である、(7)〜(9)のいずれかの方法。
(11)医薬組成物が、骨腔補填剤または骨接合剤である、(7)〜(10)のいずれかの方法。
(12)(1)〜(6)のいずれかの方法によって製造された、薬物のシリカ封入体。
(13)(12)の薬物のシリカ封入体を、生体に許容される支持材に混合するか、または該支持材にカプセル状に包み込んでなる、医薬組成物。
本発明の方法によれば、穏和な条件で効率よく薬物のシリカ封入体を得ることができる。本発明によって得られる医薬組成物は、例えば、従来の方法では十分な治療成績の上がらない抗生物質の投与による炎症の予防や治療、特に口腔外科領域、整形外科領域に於け
る慢性骨髄炎の予防や治療に対して、抗生物質の長期間作用と局所的投与を行う新規な材料として有用であり、手術後の骨腔への補填剤などとしての応用も期待される。
本発明の方法は、薬物のシリカ封入体の製造方法であって、薬物の水性溶液の層とアルコキシシランの液層からなる二層分離液を調製して、該二層分離液の界面において薬物のシリカ封入体を生成させることを特徴とする方法である。
本発明に用いられるアルコキシシランとしては、下記一般式 (I) で表される化合物が挙げられる。
式(I)中、R1〜R4は任意のアルキル基を示す。アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐アルキル基でもよい。また、このアルキル基には、R1〜R4の任意の2〜4つが共有結合によって環を形成したアルキル基も含まれる。またアルキル基の一部の水素がアルコール、アミン、カルボン酸、アミド、エステル、芳香環、複素環によって置換されたアルキル基も含まれる。
R1〜R4に示されるアルキル基の種類は、製剤目的にあわせて任意に選択でき、特に制限されないが、R1〜R4がCnH2n+1-で表される短鎖のアルキル基の場合、炭素数nが1〜3のものが好ましい。
アルコキシシランの液層は、使用するアルコキシシランが液体である場合はアルコキシシランをそのまま用いることができ、アルコキシシランが固体である場合は有機溶媒に溶解した液を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、酢酸エチルやメチレンクロリドなどが挙げられる。
なお、薬物の水性溶液の層とアルコキシシランの液層からなる二層分離液においては、薬物の水性溶液の層とアルコキシシランの液層のいずれが上であってもよく、いずれが上になるかは各層の液体の比重による。
例えば、R1〜R4がC2H5-で表される、テトラエトキシシランは常温で液体であり、通常、薬物の水性溶液より比重が軽いために、二層分離液では上層に配分される。
薬物の種類としては、薬理活性を有し、アルコキシシランと反応してシリカを生成させることができるものであればよいが、分子内に水酸基を有するものが好ましい。
具体的には、細胞壁合成阻害作用型抗生物質(ペニシリン系、セフェム・オキサセフェム系、ペネム・カルバペネム系、モノバクタム系、ペプチド系、ホスホマイシン系)、細胞膜阻害作用型抗生物質(ポリペプチド系、ポリエン系)、核酸合成阻害作用型抗生物質(キノロン系、リファンピシン系、インターフェロン系)、蛋白合成阻害作用型抗生物質(アミノグリコシド系、マクロライド・ケトリド系、テトラサイクリン系、クロラムフェニコール系、リンコマイシン系)、葉酸代謝経路阻害型抗生物質(トリメトプリム系)、βラクタマーゼ阻害薬、サルファ薬、抗感染症薬(抗細菌薬、抗結核薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、寄生虫用薬、原虫用薬)、および防腐剤などが挙げられる。
より具体的には、アンピシリン、バカンピシリン、アモキシシリン、ピブメシリナム、アモキシシリン、スルタミシリン、ピペラシリン、アスポキシリン、ベンジルペニシリン、クロキサシリン、オキサシリン、カルベニシリン、セファロクル、セフロキサジン、セ
ファドロキシル、セフィキシム、セフテラムピボキシル、セフロキシムアキセチル、セフポドキシムプロキセチル、セフォチアムヘキセチル、セフジニル、セフチブテン、セフジトレンピボキシル、セフカペンピボキシル、セファゾリン、セフォゾプラン、セフメタゾール、セフォチアム、セフスロジン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフメノキシム、セフトリアキソン、セフタジシム、セフォジシム、セフピロム、セフェピム、ファロペネム、イミペネム、パニペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、アズトレオナム、バンコマイシン、テイコプラニン、ホスミシン、硫酸ポリミキシンB、硫酸コリスチン、グラミシジンS、アンホテリシンB、レボフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、ロメフロキサシン、トスフロキサシン、スパルフロキサシン、ガチフロキサシン、プルリフロキサシン、モキシフロキサシン、パズフロキサン、リファンピシン、ジベカシン、トブラマイシン、アミカシン、イセパマイシン、ミクロノマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ロキタマイシン、ジョサマイシン、ロキスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、テリスロマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クロラムフェニコール、リンコマイシン、クリンダマイシン、トリメトプリム、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム、サルファメトキサゾール、サラゾピリン、イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトール、グリセオフルビン、アムホテリシンB、5−フルオロシトシン、フルコナゾール、ミコナゾール、イトラコナゾール、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカビル、イドクスウリジン、アマンタジン、インターフェロンγ、リバピリン、ラミプジン、メトロニダゾール、チニダゾール、フルコナゾール、メベンダゾール、パモ酸ピランテル、ジエチルカルバマジン、プラジカンテル、アルベンダゾール、イベルメクチン、キヌプリスチン、ダルホプリスチン、リネゾリド(linezolid)、スペクチノマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン(sisomycin)、リンコサミン(lincosamin)、ラモプラニン(ramoplanin)、テリスロマイシン(telithromycin)、ナイスタチン、フシジン酸(fusidic acid)、クロルヘキシジン、ポリヘキサニド(polyhexanid)などが挙げられる。
薬物の水性溶液としては、上記のような薬物を水または水性の緩衝液に溶解させて得られる水性溶液が挙げられるが、薬物をリン酸緩衝液に溶解して得られる水性溶液が好ましい。
リン酸緩衝液は薬理学的に許容されるものであればよく、含まれるリン酸塩の種類は特に限定されない。例えばH2PO4 -とHPO4 2-の場合、Na+, K+, Rb+, Cs+, Mg2+, Ca2+, Sr2+,
Ba2+, Zn2+, Cu2+, Co2+, Al3+, Ga3+, In3+, La3+, Ce3+, Pr3+, Nd3+, Pm3+, Sm3+, Eu3+, Gd3+, Tb3+, Dy3+, Ho3+, Er3+, Tm3+, Yb3+ および Lu3+から選ばれる少なくとも1種の陽イオンとの塩が挙げられる。
また、インプラントとして埋め込まれた生理環境との浸透圧を調節する目的や薬物の溶解度や放出量を調節するために、リン酸緩衝液には、その他の適量のイオン性化合物を含ませることもできる。このイオン性化合物としては、Na+, K+, Rb+, Cs+, Mg2+, Ca2+, Sr2+, Ba2+, Zn2+, Cu2+, Co2+, Al3+, Ga3+, In3+, La3+, Ce3+, Pr3+, Nd3+, Pm3+, Sm3+, Eu3+, Gd3+, Tb3+, Dy3+, Ho3+, Er3+, Tm3+, Yb3+ および Lu3+から選ばれる少なくとも1種の陽イオンとハロゲン化物イオンからなるイオン性化合物が挙げられる。
また、薬物をリン酸緩衝液へ溶解させる目的で、まず、薬物を少量の有機溶媒に溶解させ、それをリン酸緩衝液に加えることによって薬物の水性溶液を調製することもできる。有機溶媒の種類と量は、製剤工程や薬理学的に許容される物質と容量であれば良く特に限定されないが、例えば、薬物を溶解させる最小量か同程度の、エタノール、メタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドの使用が挙げられる。
薬物の水性溶液における、薬物の濃度は薬物の種類、溶解度、安定性、治療目的によっ
て決めることが好ましい。具体的には、0.01〜5000mg/mlが好ましく、0.1〜2000mg/mLがより好ましい。
水性溶液のpHは薬物の活性に影響を与えないpHが好ましく、中性pHが好ましい。具体的には、pH6.2〜8.2が好ましく、pH6.5〜7.5がより好ましい。
本発明の方法においては、薬物の水性溶液の層とアルコキシシランの液層からなる二層分離液を調製することで、該二層分離液の界面において、アルコキシシランがシリカに加水分解され、薬物のシリカ封入体が生成する。このアルコキシシランからシリカへの変換反応においては、薬物が触媒作用を担っていることが考えられる。
反応温度は特に制限されないが、薬物の安定性を考慮すると、0℃〜50℃が好ましく、4℃〜常温がより好ましい。
また、反応は、従来のゾル−ゲル法とは異なり、反応系に酸や塩基を加えないで行うことが好ましい。これによって、薬物の活性に影響を与えることなく、穏和な条件で薬物のシリカ封入体を作製することができる。
生成した薬物のシリカ封入体は、凍結乾燥などの方法によって反応液から回収することができる。
上記のようにして得られる薬物のシリカ封入体は、従来のゾル−ゲル法によって得られた封入体とは異なる性質を有している。すなわち、ゾル−ゲル法によって得られたシリカ封入体は酸などを反応に使用するため、硬くて成型しにくいが、本発明の方法によって得られるシリカ封入体は穏和な条件で得られるため、硬すぎず、成型がしやすいというような利点を有している。
上記のようにして得られる薬物のシリカ封入体を、生体に用いることが許容される支持材と均一に混合するか、または該支持材にカプセル状に包み込むことによって医薬組成物を得ることができる。
生体に用いることが許容される支持材としては、例えば、水に難溶または不溶の生体内分解型のポリマーを用いることができる。水に難溶または不溶とは、水に対する溶解度が0〜約200mg/mlであるもの、さらに好ましくは、0〜約50mg/mlであるものが好ましい。
生体に用いることが許容される支持材の具体例としては、脂肪酸ポリヒドロキシカルボン酸〔例、α−ヒドロキシカルボン酸類(例、乳酸,グリコール酸,2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシカプリル酸等),ヒドロキシジカルボン酸類(例、リンゴ酸等),ヒドロキシトリカルボン酸類(例、リンゴ酸等),乳酸カプロラクトン,バレロラクトン等の1種以上の重合体、共重合体、あるいはこれらの混合物〕,およびその誘導体(例、ポリ乳酸,ポリグリコール酸及びポリエチレングリコールのブロック重合体等),ポリ−α−シアノアクリル酸エステル,ポリ−β−ヒドロキシ酪酸,ポリアルキレンオキサレート類(例、ポリトリメチレンオキサレート,ポリテトラメチレンオキサレート等),ポリオルソエステル,ポリオルソカーボネート,ポリカーボネート類(例、ポリエチレンカーボネート,ポリエチレンプロピレンカーボネート等),ポリアミノ酸類(例、αアミノ酸の共重合体、ポリ−ε−ベンジルオキシメチル−L−リジン、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタミン酸,ポリ−L−アラニン,ポリ−γ−メチル−L−グルタミン酸等),ポリデプシペプチド類(例、アミノ酸とヒドロキシカルボン酸の共重合体等)、ヒアルロン酸エステル類,ポリスチレン,ポリメタアクリル酸,アクリル酸とメタアクリル酸との共重合体,エチルセルロース,アセチルセルロース,ニトロセルロース,無水マレイン酸系共重合体,エチレンビニールアセテート系共重合体,ポリビニールアセテート,ポリアクリルアミド、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン等が挙げられる
これらの生体内分解ポリマーは1種でもよく、また2種以上の共重合体、あるいは単なる混合物でもよい。重合の形式はランダム、ブロック、グラフトの何れでもよい。
生体内分解性ポリマーの好ましい例は、脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸やポリデプシペプチドが挙げられる。特に、例えばαアミノ酸類とα−ヒドロキシカルボン酸類の1種以上から合成された重合体、共重合体が生体内分解性および生体適合性の観点から好ましく、さらに好ましくは、αアミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、フェニルアラニン、プロリン、グリシン、γ−ベンジル−グルタミン酸、ε−ベンジルオキシメチル−L−リジン)やヒドロキシカルボン酸(乳酸,グリコール酸,2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸等)の1種以上から合成された共重合体、またはこれらの混合物が挙げられる。
本発明に使用されるこれらの生体内分解性ポリマーの平均分子量の下限は約3,000が好ましく、さらに好ましくは約5,000である。本発明に使用されるこれらの生体内分解性ポリマーの平均分子量の上限は、約1,000,000が好ましく、さらに好ましくは約800,000であり、より好ましくは約200,000である。これらの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、MALDI-TOF型質量分析計、高分解能NMR、光散乱法、超遠心法、浸透圧法、粘度法等によって測定することができる。
本発明で用いるポリヒドロキシカルボン酸は、公知の方法、例えば、特開昭61−28521に記載の方法またはそれに準じた方法により製造される。前記α−ヒドロキシカルボン酸類はD−体、L−体、およびD、L−体のいずれでもよい。分解速度の速いものにはD、L−体が好ましい、遅いものにはL−体が好ましい。前記α−ヒドロキシカルボン酸類の単一重合体の例としては乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸等の単一重合体が挙げられる。α−ヒドロキシカルボン酸類の共重合体の例としては乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸等との共重合体が挙げられる。具体的には、例えば乳酸−グリコール酸共重合体や2−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重合体等が用いられる。
ポリ乳酸は、公知の製造方法、例えば、特開昭61−28521に記載の方法に従って合成することができる。乳酸もしくは乳酸−グリコール酸共重合体において、乳酸とグリコール酸とのモノマー比は約100/0〜約50/50%が好ましい。乳酸−グリコール酸共重合体は、公知の製造方法、例えば特許公開昭61−28521に記載の方法に従って合成できる。医薬品組成物として使用するためには、これらの単独重合体や共重合体がスズなどの残留物を伴わない、無触媒脱水重縮合で合成されていることが好ましい。
本発明で用いるポリデプシペプチドは、アミノ酸とヒドロキシカルボン酸の共重合体であり、公知の方法、例えば浅野雅春ら、生体材料(Journal of Japanese Society for Biomaterials)、3巻、85〜94ページ、1985年、WO2006/043644A1、特許出願2006-228281 に記載の方法またはそれに準じた方法により製造される。ここで用いるアミノ酸類とヒドロキシカルボン酸類は、D−体、L−体、およびD、L−体のいずれでもよい。分解速度の速いものにはD、L−体が好ましい、遅いものにはL−体が好ましい。ポリマーに用いるαヒドロキシカルボン酸類の例としては乳酸(Lac)、グリコール酸(Hea)、2−ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。ポリマーに用いるαアミノ酸類の例としてはロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、バリン(Val)、アラニン(Ala)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、グリシン(Gly)、γ−エチル−グルタミン酸(Glu(OEt))、ε−ベンジルオキシメチル−L−リジン(Lys(Z))等が挙げられる。
ポリデプシペプチド配列の具体例には、poly(Ala-Ala-Glu(OEt)-Lac)、poly(Ala-Leu-Glu(OEt)-Lac)、poly(Ala-Ile-Gly-Lac-Pro)等の単独重合体や共重合体が挙げられる。医薬品組成物として使用するためには、これらの単独重合体や共重合体がペンタクロロフェ
ノールなどの残留物を伴わない、ヒドロキシスクシンイミド等の薬理学的に許容な重縮合法で合成されていることがより好ましい。
薬物のシリカ封入体と上記のような支持材を適当な混合比で混合し、目的に応じて、さらに、混練、粉砕、粒化などの操作を加えることによって医薬組成物を得ることができる。これらの操作は公知の製剤技術にしたがって行うことができる。
また、薬物のシリカ封入体を支持材にカプセル化する操作も公知の製剤技術にしたがって行うことができる。
このようにして得られた医薬組成物は、例えば、生体内インプラント用の医薬として使用される。
薬剤として抗生物質を用いる場合、抗炎症の治療薬、好ましくは、口腔外科領域などに於ける慢性骨髄炎の治療薬として好適に使用することができる。
その他にも、顎骨嚢胞などを摘出した後などに使用される、骨腔補填剤または骨接合剤としても使用できる。
以下、本発明の実施態様である、医薬品であるアジスロマイシンを用いて、水油界面で生成するバイオミメティックシリカによる薬物封入体の作製法、これをポリ乳酸-グリコール酸共重合体と粉砕混合した製剤の作製法、更にこの製剤をラット皮下に於いて吸収性と炎症性を検討した結果について詳細をそれぞれ実施例1〜3に示す。しかし以下の具体例は本発明を限定するものではなく、例えば、薬物を他のものと置換することなど、適宜変更できることは勿論である。
なお、以下の実施例では次のような略号を使用した。
PLGA:ポリ乳酸-グリコール酸共重合体
AZM:アジスロマイシン
PEG:ポリエチレングリコール
[実施例1]
(シリカによる薬物封入体の作製)
バイオシリカの特徴は穏和な生理条件でシリカが形成され、触媒として働く物質が穏和な条件で内包される点にある。そこで、水性溶液中の薬物が触媒となってバイオシリカのように、反応系に酸、塩基、熱を加えない穏和な条件でアルコキシシランを加水分解することを確かめることにした。この方法で生成するシリカをバイオミメティックシリカと名付けた。
(シリカ-AZM組成物の作成)
慢性骨髄炎の治療に用いられる抗生物質、アジスロマイシンについて、3種類の濃度(0,5,10 mg)のリン酸緩衝水溶液 (200μL, 60 mM, pH 6.5)を作製した。作製した溶液をそれぞれ2mLバイアルに入れた。これらの水溶液に対し界面を乱さないように、静かにテトラエトキシシラン (200μL)を上層に加え、4℃にて静置した。シリカ形成反応の模式図を図1に示す。
19時間後に界面を観察し、シリカ形成の有無を観察した。シリカ形成の様子を図2に示す。抗生物質の量が増えるに従いシリカ形成の多くなることがわかった。また、この反応系を更に7日間4℃にて静置した後に、凍結乾燥を行って顆粒状の生成物を得た。
顆粒状生成物の走査電子顕微鏡写真を図3に示す。特性X線の解析より、シリカが主成分の物質であるとわかった。
[実施例2]
(シリカ−AZM組成物とPLGAによるインプラントの作製)
実施例1で得られた、シリカ−AZM組成物の1〜3mmの無色顆粒をメノウ乳鉢にて細かく粉砕した。ここへPLGA(和光純薬より購入。商品名PLGA7520、平均分子量2万、ポリ乳酸とグリコール酸のモノマー比が75:25)を更に加えて粉砕混合を行った。
得られた粉末を直径2 mm、長さ20 cmの大きさにドライヤーを用いて圧縮成型した。ロッド状の成型物を切断し,総重量5〜6mg (AZMは0.5〜0.6mg含む)のインプラントを作製し、埋入実験に用いた。
圧縮成型物の走査電子顕微鏡写真を図4に示す。特性X線の解析より、明るい粒子像はシリカ-AZM微粒子、まわりのやや暗い領域はPLGAであることがわかった。
同様にしてシリカの有無による、生体分解性や炎症性を比較するために、比較のインプラントも作製した。即ち、下記のI〜IV群について評価を行った。なお、これらの各インプラントの各重量あたりのAZMの含有量は同じとした。
I群 :コントロール群、PLGAのみ(比較例1)
II群 :PLGAにAZMを混入した製剤(比較例2)
III群:PLGAにシリカ-AZMを混入した製剤(実施例)
IV群 :PLGAにPEGとAZMを混入した製剤(比較例3)
[実施例3]
(インプラントのラット皮下への埋入)
実験動物は8〜9週齢雌Wister系ラットとし,背部皮下組織に2mmの切り込みを4カ所入れて、I−IVの製剤を各一個ずつ埋入した。I−IV群は各3匹とした。各群の動物は1,2,3,4,8週後に屠殺し,各インプラントを摘出した。摘出物につき肉眼的観察,重量測定,インプラント周囲組織の病理組織学的観察を行った。更にこれらの埋入実験は3回実施した(第1〜3クール)。図5に実験の模式図を示した。
(埋入したインプラントのラット皮下からの摘出)
実験動物15匹中,実験期間途中で死亡したものは全くみられなかった。
(a) 試料の肉眼的観察
I−IV群すべてにおいて,経日的に球形,扁平化がみられI群は4週後,II群4週後,III群4週後,IV群8週後に消失した。硬度は特に観察しなかったが,1週の時点で軟化が顕著に認められた。(第1〜3クールを通じてほぼ同様。)
III群(PLGA+AZM-SiO2)の皮下に於ける形態の経時変化(第1クールの摘出物)を図6に示した。その結果、III群は最も形態をよく保持していた。
(b) 重量変化
I−IV群はすべて,時間の経過と共に,試料の減少がみられた(図7)。何れも4週では約0〜40%残存していたが,8週では全て消失した。(第1〜3クールを通じてほぼ同様。ここでは第1クールのデータを示した。)
(c) 試料周囲の組織反応
I−IV群の製剤を用いた、ラット埋入部の組織の病理所見(炎症所見)を表1に示した。
その結果、I,II,III, IV群において,各期間を通じて,特に分解初期に軽度の炎症反応がみられた。この炎症反応はPLGAの分解に由来すると考えられる。従って、シリカを用いたインプラント、III群にはシリカに由来する炎症反応は認められなかった。むしろ他の3種のインプラントと比較して、炎症がやや弱いと考えられた。
第1〜3クールを通じて、シリカを用いたIII群(PLGA+AZM-SiO2)は炎症を起こすことが埋入初期を除いてほとんど無いことがわかる。
本発明の方法によるバイオミメティックシリカの生成例。 アジスロマイシン(AZM)によるバイオミメティックシリカの生成の様子。AZMの濃度が高くなるに従ってシリカの生成量が多くなることがわかる。AZM 0 mgの条件では油水界面にシリカの生成はまったく見られない。下段の写真に写っているのは、油水界面の場所がわかりにくいために、焦点合わせに用いたほこりである。 ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)とシリカ−アジスロマイシン(AZM)組成物の走査顕微鏡写真。 ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)とシリカ−アジスロマイシン(AZM)組成物の微粉末を混合後に圧縮成型した、インプラント材料の走査顕微鏡写真。 インプラントのラット皮下への埋入方法と摘出方法の模式図。 シリカを用いた医薬組成物、 III群(PLGA+AZM-SiO2)の皮下に於ける形態変化(写真)(第1クールの摘出物)。基材をマウス皮下に埋め込み、1週毎に摘出した。III群は最も形態をよく保持していた。 皮下に於けるアジスロマイシン(AZM)製剤(I〜IV群)の重量変化(第1クールの摘出物)。第1〜3クールを通じて、重量から見た生体吸収速度は比較的類似している。すなわち約4週で皮下から消失することがわかった。

Claims (11)

  1. 薬物のシリカ封入体の製造方法であって、アルコキシシランと反応してシリカを生成させることができる基を有する薬物の水性溶液の層とアルコキシシランの液層からなる二層分離液を、薬物の水性溶液の層の上層にアルコキシシランの液層を加えるか又はアルコキシシランの液層の上層に薬物の水性溶液の層を加え、静置することにより調製して、該二層分離液の界面において薬物のシリカ封入体を生成させることを特徴とする方法。
  2. 前記水性溶液のpHが6.2〜8.2であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水性溶液のpHが6.5〜7.5であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 薬物の水性溶液が、薬物がリン酸緩衝液に溶解した水性溶液であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 薬物が、細胞壁合成阻害作用型抗生物質、細胞膜阻害作用型抗生物質、核酸合成阻害作用型抗生物質、蛋白合成阻害作用型抗生物質、葉酸代謝経路阻害型抗生物質、βラクタマーゼ阻害薬、サルファ薬、抗感染症薬、および防腐剤からなる群より選択される少なくとも一つの薬物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 薬物が、アンピシリン、バカンピシリン、アモキシシリン、ピブメシリナム、アモキシシリン、スルタミシリン、ピペラシリン、アスポキシリン、ベンジルペニシリン、クロキサシリン、オキサシリン、カルベニシリン、セファロクル、セフロキサジン、セファドロキシル、セフィキシム、セフテラムピボキシル、セフロキシムアキセチル、セフポドキシムプロキセチル、セフォチアムヘキセチル、セフジニル、セフチブテン、セフジトレンピボキシル、セフカペンピボキシル、セファゾリン、セフォゾプラン、セフメタゾール、セフォチアム、セフスロジン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフメノキシム、セフトリアキソン、セフタジシム、セフォジシム、セフピロム、セフェピム、ファロペネム、イミペネム、パニペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、アズトレオナム、バンコマイシン、テイコプラニン、ホスミシン、硫酸ポリミキシンB、硫酸コリスチン、グラミ
    シジンS、アンホテリシンB、レボフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、ロメフロキサシン、トスフロキサシン、スパルフロキサシン、ガチフロキサシン、プルリフロキサシン、モキシフロキサシン、パズフロキサン、リファンピシン、ジベカシン、トブラマイシン、アミカシン、イセパマイシン、ミクロノマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ロキタマイシン、ジョサマイシン、ロキスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、テリスロマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クロラムフェニコール、リンコマイシン、クリンダマイシン、トリメトプリム、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタム、サルファメトキサゾール、サラゾピリン、イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトール、グリセオフルビン、アムホテリシンB、5−フルオロシトシン、フルコナゾール、ミコナゾール、イトラコナゾール、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカビル、イドクスウリジン、アマンタジン、インターフェロンγ、リバピリン、ラミプジン、メトロニダゾール、チニダゾール、フルコナゾール、メベンダゾール、パモ酸ピランテル、ジエチルカルバマジン、プラジカンテル、アルベンダゾール、イベルメクチン、キヌプリスチン、ダルホプリスチン、リネゾリド(linezolid)、スペクチノマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン(sisomycin)、リンコサミン(lincosamin)、ラモプラニン(ramoplanin)、テリスロマイシン(telithromycin)、ナイスタチン、フシジン酸(fusidic acid)、クロルヘキシジン、およびポリヘキサニド(polyhexanid)からなる群より選択される薬物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法によって薬物のシリカ封入体を製造し、得られたシリカ封入体を、生体に許容される支持材と混合するか、または該支持材にカプセル状に包み込むことを特徴とする、医薬組成物の製造方法。
  8. 生体に許容される支持材が生体内分解性ポリマーである、請求項7に記載の方法。
  9. 生体内分解性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリ乳酸グリコール酸共重合体、ポリヒドロキシカルボン酸、ポリデプシペプチド、およびポリアミノ酸からなる群から選択される少なくとも一種類以上のポリマーである、請求項8に記載の方法。
  10. 医薬組成物が、骨髄炎の治療用または予防用である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 医薬組成物が、骨腔補填剤または骨接合剤である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
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