JP5343527B2 - 硬化性組成物、液晶シール剤及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
未硬化の液晶シール剤の成分による液晶に対する汚染性の低減、硬化性の向上等を目的として、種々の成分が配合された硬化性組成物が提案されている(例えば、特許文献2〜7)。
1.(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(B)有機酸ジヒドラジド化合物、
(C)感放射線性重合開始剤、およびに、
(D)下記式(1)、
(式(1)中、「*」は結合手であることを示す。)
で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする、硬化性組成物。
2.(D)成分が、
下記式
(上記式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数3〜30の第二級もしくは第三級のアルキル基、炭素数5〜12の環状アルキル基、アリル基、炭素数7〜30のアルアルキル基または炭素数2〜30のアシル基である。)のいずれかで表される化合物である、上記1に記載の硬化性組成物。
3.(D)成分が、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N-ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−アセトキシフタルイミド、N−ベンゾキシフタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミドまたはトリヒドロキシイミドシアヌル酸である上記2記載の硬化性組成物。
4.(C)感放射線性重合開始剤が、O−アシルオキシム化合物およびアセトフェノン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する上記1に記載の硬化性組成物。
5.さらに、(E)有機粒子、或いは無機粒子のいずれか、またはその両方を含有する上記1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
6.さらに、(F)1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有しないエポキシ樹脂を含有する上記1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
7.さらに、(G)シランカップリング剤を含有する上記1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
8.上記1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなる液晶シール剤。
9.上記8に記載の液晶シール剤を用いて製造された液晶表示素子。
本発明によれば、液晶表示素子を液晶滴下工法によって製造する際に、特に有用な液晶シール剤を提供できる。
本発明の硬化性組成物(以下、本発明の組成物という)は、下記成分(A)〜(G)を含み得る。下記成分のうち、(A)〜(D)は必須成分であり、(E)〜(G)は必要に応じて配合される任意成分である。
(A)(メタ)アクリレート化合物
(B)有機酸ジヒドラジド化合物
(C)感放射線性重合開始剤
(D)下記式(1)で表される構造を有する化合物
(式(1)中、「*」は結合手であることを示す。)
(E)有機粒子、あるいは無機粒子
(F)1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有しないエポキシ樹脂
(G)シランカップリング剤
(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、(A)成分とも言う)、
(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、ラジカル重合する成分である。
このような(メタ)アクリロイル基を有する化合物の市販品としては、例えば、VR−77LC(昭和高分子(株)社製)、EB3700(ダイセルサイテック(株)社製)等が挙げられる。
この他、ポリオール化合物に、イソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させたウレタン(メタ)アクリレート化合物も使用することができる。
有機酸ジヒドラジド化合物(以下、(B)成分とも言う)は、エポキシ基を含む化合物を架橋し、接着性や硬度の効果を発現させるために配合され、エポキシ硬化剤として機能する。有機酸ジヒドラジド化合物自体がエポキシ基と架橋反応を行い、架橋したポリマー中に取り込まれる。これらの有機酸ジヒドラジド化合物は、その融点又は環球法(JISK2207に準拠)による軟化点温度が、100℃以上であるものが好ましい。
有機酸ジヒドラジド化合物において、その融点又は環球法による軟化点温度が100℃以上である具体例としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド(融点181℃)、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(融点120℃)等の有機酸ジヒドラジド等を挙げることができる。また、本発明に使用される有機酸ジヒドラジド化合物は、水洗法、再結晶法等により、高純度化処理を行ったものを使用することが好ましい。
有機酸ジヒドラジド化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる感放射線性重合開始剤(以下、(C)成分とも言う)は、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、ベンゾフェノン化合物などを挙げることができる。
上記O−アシルオキシム化合物の具体例としては、例えばエタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)などを挙げることができる。
これらのO−アシルオキシム化合物のうち、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−アセテート、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)またはエタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)を好ましいものとして挙げることができる。
これらO−アシルオキシム化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記アセトフェノン化合物としては、例えばα−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物を挙げることができる。
これらの具体例としては、α−アミノケトン化合物として、例えば2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンなど;
α−ヒドロキシケトン化合物として、例えば1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど;
これらアセトフェノン化合物のうちα−アミノケトン化合物が好ましく、特に2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンまたは2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンが好ましい。
上記ビイミダゾール化合物の具体例としては、例えば2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、などを挙げることができる。
これらビイミダゾール化合物のうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールまたは2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましく、特に2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましい。
本発明の硬化性組成物において、(C)感放射線性重合開始剤としてビイミダゾール化合物を使用する場合、それを増感するためにジアルキルアミノ基を有する脂肪族または芳香族化合物(以下、「アミノ系増感剤」という。)を添加することができる。
かかるアミノ系増感剤としては、例えば4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどを挙げることができる。これらのアミノ系増感剤のうち、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
上記アミノ系増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
さらに、ビイミダゾール化合物とアミノ系増感剤とを併用する場合、水素ラジカル供与剤としてチオール化合物を添加することができる。ビイミダゾール化合物はアミノ系増感剤によって増感されて開裂し、イミダゾールラジカルを発生するが、そのままでは高い重合開始能が発現されず、本発明の硬化性組成物を液晶表示素子のスペーサーの形成に用いる場合、得られるスペーサーが逆テーパ形状のような好ましくない形状となる場合がある。しかし、ビイミダゾール化合物とアミノ系増感剤とが共存する系に、チオール化合物を添加することにより、イミダゾールラジカルにチオール化合物から水素ラジカルが供与される結果、イミダゾールラジカルが中性のイミダゾールに変換されるとともに、重合開始能の高い硫黄ラジカルを有する成分が発生し、より良好な硬化性を発生させることが可能となる。
かかるチオール化合物としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾールなどの芳香族チオール化合物;3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチルなどの脂肪族モノチオール化合物;ペンタエリストールテトラ(メルカプトアセテート)、ペンタエリストールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)などの2官能以上の脂肪族チオール化合物などを挙げることができる。
これらのチオール化合物のうち、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
ビイミダゾール化合物およびアミノ系増感剤とチオール化合物とを併用することにより、良好な硬化性を発現できるとともに、基板に対する密着性が良好となる。
本発明の硬化性樹脂組成物において(D)成分を添加することにより、配線等により影になる部分であっても良好な硬化性を示す液晶シール剤用硬化性組成物を提供できる。
(D)成分は、上記式(1)で表される構造を有する化合物であるが、さらに具体的な化合物としては、下記式(2−1)〜(2−8)で表される化合物である。
式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数3〜30の第二級もしくは第三級のアルキル基、炭素数5〜12の環状アルキル基、アリル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数2〜30のアシル基である。)
下記式におけるRで表される炭素数3〜30の第二級もしくは第三級のアルキル基としては例えばイソプロピル基、2−ブチル基、t−ブチル基、2−ペンチル基、t−ペンチル基など;
炭素数5〜12の環状アルキル基としては例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基など;
炭素数7〜30のアラルキル基としては例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、シンナミル基など;
炭素数2〜30のアシル基としては例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基、アセチルアセチル基(アセトニルカルボニル基)、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などを、それぞれ挙げることができる。上記式におけるRとしては、水素原子、アセチル基、ベンゾイル基、アリル基、ベンジル基またはt−ブチル基が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、(D)成分は1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の硬化性組成物中における(D)成分の配合量は、硬化性組成物全体を100重量%としたときに、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。(D)成分の配合量が0.01〜10重量%の時、配線等により影になる部分であっても良好な硬化性を示すことができる。
本発明の硬化性組成物は、有機粒子、或いは無機粒子のいずれか、またはその両方(以下、これらを(E)成分とも言う。)を含有する。有機粒子、或いは無機粒子のいずれか、またはその両方を含有することにより、接着強度を高めることができる。
無機微粒子の形状は、球状、棒状、板状、繊維状、不定形状のいずれであってもよく、また、これらは、中実状、中空状、多孔質状であってもよい。
無機微粒子の数平均粒径は、通常0.001〜10μm、好ましくは0.01〜5μmの範囲である。10μmを超えると、液晶セル製作時のガラス基板貼り合わせのギャップ形成がうまくいかないおそれがある。ここで、無機微粒子の数平均粒径は、レーザー光回折法によって測定する。無機微粒子は、粉体状のものを直接、他の成分に添加・混合してもよいし、溶媒分散液としたものを他の成分に添加・混合して溶剤を留去してもよい。
また、本発明の硬化性組成物中における無機粒子の配合量は、硬化性組成物全体を100重量%としたときに、1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%である。無機粒子の配合量が1〜50重量%の時、液晶セル製作時のガラス基板貼り合わせのギャップ形成を容易に実施することができる。
また、有機粒子と無機粒子は、混合して用いることができ、その有機粒子と無機粒子の混合の配合量は、硬化性組成物全体を100重量%としたときに、2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%である。混合の配合量が2〜50重量%の時、特に接着強度を高めることが可能となる。
エポキシ化合物(以下、(F)成分とも言う)は、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物であり、加熱により反応し硬化する成分である。(F)成分を配合することにより引っ張り接着強さが向上する。(F)成分としては、例えば、エポキシ基を有する脂肪族化合物、エポキシ基を有する脂環式化合物、エポキシ基を有する芳香族化合物等が挙げられる。エポキシ基を有する芳香族化合物が好ましい。
エポキシ基を有する脂肪族化合物の市販品としては、SR−NPG、SR−16H、SR−PG、SR−TPG(以上、阪本薬品工業社製);PG−202、PG−207(以上、東都化成社製);EX−610U、EX−1610−P(以上、ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
エポキシ基を有する脂環式化合物の市販品としては、セロキサイド2021、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、エポリードGT−300、エポリードGT−301、エポリードGT−302、エポリードGT−400、エポリード401、エポリード403(以上、ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
シランカップリング剤を配合することによって、本発明硬化性組成物の接着強度の耐久性向上の効果を発現(改善、改良)させることができるため好適に用いられる。
シランカップリング剤としては、エポキシ基を有するもの、(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。
シランカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤の例としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤の市販品の例としては、例えば、SZ6030(東レダウコーニング(株)社製)、KBM−503、KBM−5103(信越シリコーン(株)社製等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、成分(C)以外の感放射線性重合開始剤、部分(メタ)アクリロイル化エポキシ樹脂、反応性(メタ)アクリルポリマー、増感剤、連鎖移動剤、消泡剤、イオン捕捉剤、吸水剤、レベリング剤、スペーサー等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、成分(A)〜(D)、及び必要に応じて、成分(E)〜(G)を容器に入れ、遊星式攪拌機等の攪拌機を用いて十分に混合した後、真空下で脱泡を行うことによって製造できる。
本発明の硬化性組成物は、紫外線照射によっても、加熱によっても硬化させることができる。
本発明の硬化性組成物を液晶シール剤として使用し、液晶滴下工法を用いる場合には、一般に、紫外線照射した後、さらに加熱することによって硬化させる。
本発明の硬化性組成物を硬化させるために用いる光の波長は特に限定されないが、配向膜や液晶へのダメージを考慮して350〜700nmが好ましい。照射線量は、好ましくは500〜10,000mJ/cm2、より好ましくは1,000〜3,000mJ/cm2である。
熱硬化の温度としては特に限定されないが、好ましくは硬化温度が70℃以上200℃未満、より好ましくは100℃以上150℃未満である。また、硬化時間としては、好ましくは20分以上3時間未満、より好ましくは30分以上2時間未満である。
液晶シール剤は、液晶表示素子の二枚のガラス基板を接着させ、内部を保護すると共に液晶の流出を防止するために用いられる。
本発明の液晶シール剤は、上記本発明の硬化性組成物からなることを特徴とする。従って、本発明の液晶シール剤は、耐液晶汚染性、暗部硬化性、引っ張り接着強さ等を備え、液晶滴下工法による液晶表示素子(液晶表示セル)の製造に有用である。
本発明の液晶表示素子は、上記本発明の液晶シール剤を用いて製造されることを特徴とする。従って、本発明によれば、耐液晶汚染性、引っ張り接着強さに優れており、長期安定性、信頼性に優れた液晶表示素子が得られる。
液晶表示素子1は、図1に示すように、透明電極14、配向膜12、カラーフィルター16が設けられた二枚のガラス基板10の間に、スペーサー18を挟んで、液晶シール剤によって液晶22を保持する構造を有する。
液晶シール剤20によって、二枚のガラス基板10を接着すると同時に、ガラス基板10と液晶シール剤20とで囲まれた空間に液晶22を封入・保持する。図1からわかるように、液晶シール剤20は、液晶22と直接接触するため、未硬化の液晶シール剤20中の成分が液晶22中に溶解することがあると、液晶22の比抵抗を低下させてしまい、液晶表示素子1の長期安定性、信頼性が損なわれる結果となるのである。
本発明の液晶表示素子は、上記本発明の液晶シール剤を用いているため、未硬化の液晶シール剤成分が液晶に溶解することが防止されているため、長期安定性、信頼性に優れている。
一方のガラス基板上に、ディスペンサーを用いて、液晶を封入する範囲を囲う液晶シール剤の枠を形成する。液晶シール剤の線幅、膜厚は、それぞれ通常0.1〜5mm、0.1〜20μm程度であり、0.5〜3mm、1〜10μmであることが好ましい。この際用いる液晶シール剤のディスペンサーとしては、SHOTminiSL(武蔵エンジニアリング(株)製)等が挙げられる。
液晶シール剤を硬化させることなく、液晶シール剤の枠の中に液晶を滴下し、気泡等を除去した後、他方のガラス基板を貼り合わせ、2枚のガラス基板を圧着し、液晶を封止する。
次に、紫外線を照射して、液晶シール剤を仮硬化させる。この際に用いる紫外線は、波長200〜700nmのものを用いることが好ましく、配向膜や液晶へのダメージを考慮すると、波長350〜700nmのものを用いることがより好ましい。紫外線の光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED等を用いることが好ましい。
その後、この基板を70〜200℃、好ましくは90〜150℃で、10分〜5時間、好ましくは30分〜2時間加熱して液晶アニールを行うと同時に、液晶シール剤を本硬化させて液晶表示素子を得る。
<実施例>
ウレタンアクリレート((A)成分;グリセリン−AOI)の合成
攪拌機付きの容器内の2−イソシアナトエチルアクリレート(昭和電工(株)製カレンズAOI)75.4部と、ジブチル錫ジラウレート0.1部とからなる溶液に対し、グリセリン(阪本薬品工業(株)製精製グリセリン)24.6部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、4時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物の残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)を含むことを確認した。
以上により、グリセリン−AOI 100部が得られた。
下記表1の実施例1に示した成分を容器に量り取り、遊星式攪拌機(あわとり練太郎、シンキー社製)を用いて十分に混合した。その後真空下にて脱泡を行い、硬化性組成物を製造した。
下記表1に示す組成とした以外は、実施例1と同様にして各硬化性組成物を製造した。
上記実施例及び比較例で得られた硬化性組成物を硬化させたときの下記特性を評価した。得られた結果を表1及び表2に示す。
硬化性組成物をスライドガラスの中央部に取って、硬化性組成物の周辺に4.5μmのスペーサー粒子を筆で薄く塗布し、もう一つのスライドガラスを十字になるように重ね合わせ、圧着させて均一な厚さとする。これに紫外線を照射(500mW/cm2、3000mJ/cm2)した後、120℃で1時間放置し、引っ張り接着強度測定用のサンプルとした。このサンプルを引っ張り試験機により接着強度(N/cm2)を測定した。接着強度の値が大きいほど接着性が良好であると言える。
サンプル瓶(内径10mm)に硬化性組成物0.025gを入れた後、液晶(メルク社製MLC−6608)0.075gを入れた。このサンプル瓶の底面から紫外線を照射(3000mJ/cm2)した後、120℃で1時間放置した。25℃まで放冷してから、液晶の上澄みを取り出し、DSC測定を行った(昇温速度2℃/分)。測定された相転移温度と処理していない液晶(ブランク)の相転移温度との差から変化量を求め、下記評価基準に従って評価した。
○:ブランクに対して差(変化量)が0.5℃未満
△:ブランクに対して差(変化量)が0.5℃以上1.0未満
×:ブランクに対して差(変化量)が1.0℃以上
スライドガラスの全面を遮光処理したもの(1)と、半分を遮光処理したもの(2)を準備する。(1)の中央部に硬化性組成物をスポット塗布し、(2)を張り合わせる(このとき、(2)の遮蔽部と非遮蔽部の境界にシール剤の中心が来るようにする)。十分圧着したのち、紫外線を照射(3000mJ/cm2)した後、120℃で1時間放置する。2枚のスライドガラスをはがし、非遮蔽部及び遮蔽部末端から0.5mm内側の部分のIR測定を行い、下記式からアクリル反応率を算出し、下記評価基準に従って評価した。
アクリル反応率={1−(硬化後のアクリル基ピーク面積/硬化後の基準ピーク面積)/(硬化前のアクリル基ピーク面積/硬化前の基準ピーク面積)}×100
○:遮蔽部末端から0.5mmの部分のアクリル反応率が50%以上
△:遮蔽部末端から0.5mmの部分のアクリル反応率が30%以上50%未満
×:遮蔽部末端から0.5mmの部分のアクリル反応率が30%未満
・A成分
A-1:EB3700:ダイセルサイテック(株)製ビスフェノールA含有エポキシアクリレート
A-2:グリセリン−AOI:製造例1で合成
・B成分
アミキュアUDH−J:味の素ファインテクノ(株)製
・C成分
C−1:エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)
商品名「イルガキュアOXE02」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
C−2:2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン
(商品名「イルガキュア379」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
C−3:2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
C−4:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
C−5:2−メルカプトベンゾチアゾール
・D成分
D−1:N−ヒドロキシフタルイミド
D−2:N−ヒドロキシコハク酸イミド
D−3:N−アセトキシフタルイミド
D−4:トリヒドロキシイミノシアヌル酸
D−5:N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド
・E成分
無機粒子
アドマファインSO−E3:(株)アドマテックス製シリカ微粒子
有機粒子
ゼフィアックF325:ガンツ化成(株)製PMMA粒子、平均粒径0.5μm
・F成分
EX−1610−P:ナガセケムテックス(株)製多官能エポキシ化合物(重量平均分子量(GPC):760)
・G成分
SH6040:東レダウコーニング(株)社製シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
本発明によれば、工程数が少なく効率よく液晶表示素子を製造することができる液晶滴下方式において有用な液晶シール剤を提供することができる。
10 ガラス基板
12 配向膜
14 透明電極
16 カラーフィルター
18 スペーサー
20 液晶シール剤
22 液晶
Claims (8)
- (A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(B)有機酸ジヒドラジド化合物
(C)感放射線性重合開始剤、およびに
(D)下記式
(上記式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数3〜30の第二級もしくは第三級のアルキル基、炭素数5〜12の環状アルキル基、アリル基、炭素数7〜30のアルアルキル基または炭素数2〜30のアシル基である。)
のいずれかで表される化合物であることを特徴とする、硬化性組成物。 - (D)成分が、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N-ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−アセトキシフタルイミド、N−ベンゾキシフタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミドまたはトリヒドロキシイミドシアヌル酸である、請求項1に記載の硬化性組成物。
- (C)感放射線性重合開始剤が、O−アシルオキシム化合物およびアセトフェノン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜2のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- さらに、(E)有機粒子、或いは無機粒子のいずれか、またはその両方を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- さらに、(F)1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有しないエポキシ樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- さらに、(G)シランカップリング剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなる液晶シール剤。
- 請求項7に記載の液晶シール剤を用いて製造された液晶表示素子。
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