JP5342421B2 - 分子固定用基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生体分子を用いた検査技術、特にDNA配列解析、遺伝子診断など、遺伝子の配列や、固定化されたタンパク質(酵素、抗体)による基質の分解、抗原の検出と言った検査技術に関し、それらの分析に用いる分子固定用基板の製造方法に関するものである。
検体中の抗原や抗体を固定することにより定量を行う方法としてウエスタンブロッティング法、ELISA法などが用いられている。特にELISA法は、あらかじめ特定の抗体を基材上に固定しておき、その抗体に対応する抗原のみを捕捉できる事から、比較的純度の低い検体からでも、目的とする抗原を検出することが可能とされる。
一方で、ポリペプチドを基板上に配したアレイ(特許文献1)、さらにはオリゴヌクレオチドを基板上に配したアレイ(特許文献2)と言った、多様なプローブ分子を固定した基板の製造方法の先行例がある。
また、基板上へのタンパク質固定に、金−チオールの反応を用いたアルカンチオールの単分子膜を用いる方法もある(非特許文献1)。
しかし、いずれの先行例についても、基板上への分子の固定については、静電的な表面吸着や、ポーラスな基材中への物理的な吸着、化学的に不安定な膜上への化学的固定と言った方法を用いている為に、プローブ分子の高密度化には障壁となり、高精度な検出方法を得る為の足かせとなっている。
米国特許第5143854号 米国特許第5424186号
J.A.C.S.1992,114,10965−10966
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、基板上に分子を固定して検査を行う場合において、固定化された分子の剥がれ問題が生じない分子固定用基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、分子固定用基板の製造方法であって、少なくとも、表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程と、該単分子膜の水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を化学的に修飾してカルボキシル基に変換することで表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程とを含むことを特徴とする分子固定用基板の製造方法を提供する。
このように、表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成し、該単分子膜の水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を化学的に修飾してカルボキシル基に変換することで表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜を基板上に形成することによって、カルボキシル基の密度や配向を制御可能なため、後の分子の固定においても面内均一条件にて行うことができる。従って、この方法で製造された基板は、固定化された分子の剥がれ問題の発生を防止することができる。
また、前記水酸基をカルボキシル基に変換するための化学的な修飾は、前記水酸基にジカルボン酸無水物又は酸化剤を作用させることにより行うことができる。
このように、前記水酸基にジカルボン酸無水物又は酸化剤を作用させることにより、前記カルボキシル基が表面側に配向した単分子膜を基板上に形成することができる。
また、前記シアノ基をカルボキシル基に変換するための化学的な修飾は、前記シアノ基を加水分解することにより行うことができる。
このように、前記シアノ基を加水分解することにより、前記カルボキシル基が表面側に配向した単分子膜を基板上に形成することができる。
また、前記オキシラニル基をカルボキシル基に変換するための化学的な修飾は、前記オキシラニル基にカルボキシル基を持つチオールを作用させることにより行うことができる。
このように、前記オキシラニル基にカルボキシル基を持つチオールを作用させることにより、前記カルボキシル基が表面側に配向した単分子膜を基板上に形成することができる。
また、前記オキシラニル基にカルボキシル基を持つチオールを作用させる工程において、スルホン酸を添加することができる。
このように、前記オキシラニル基にカルボキシル基を持つチオールを作用させる工程において、スルホン酸を添加することにより、より容易にオキシラニル基へチオールを導入することができる。
また、前記単分子膜を基板上に形成する工程において、水酸基前駆体官能基に酸を作用させることにより、表面側に水酸基が配向した単分子膜を基板上に形成することができる。
このように、酸処理で水酸基に変換することは、半導体の作成方法である光リソグラフィーを用いることで、例えば、光酸発生剤を含む膜を単分子膜上に形成し、感光部分にのみ酸を発生させることにより、位置選択的に水酸基を配した基板を得ることができる。
また、前記水酸基前駆体官能基がアルコキシル基部分の炭素数が1〜6のアルコキシメトキシ基及び/又はオキシラニル基であるとすることができる。
このように、前記水酸基前駆体官能基が、アルコキシル基部分の炭素数が1〜6のアルコキシメトキシ基及び/又はオキシラニル基であれば、立体的に小さいため、単分子膜の形成が容易となる。そしてこの場合、水酸基前駆体官能基に酸を作用させて水酸基に変換するのは、光酸発生剤を含むポリマー層を単分子膜上に形成した後、加熱処理を行い、さらに、高エネルギー線を用いてパターン形状を基板上に照射した後、加熱処理を行い、その後に前記ポリマー層を除去するという方法を用いて、前記水酸基前駆体官能基を水酸基に変換することも可能である。
また、前記表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程を、基板を、水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物を含む溶液中に浸漬することで行うことができる。
このように、表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程において、水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物を用いることにより、安価で、より容易に単分子膜を形成することができる。
また、前記水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物が、下記一般式(1)で示されるシラン化合物であることが好ましい。
Si−(CH−Z (1)
(式中、mは3以上16以下の整数を示し、Zは水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を示す。Yはそれぞれ独立してハロゲン原子又は炭素数1から4のアルコキシル基を示す。)
このように、前記一般式(1)で示されるシラン化合物を用いることによって、固定化する分子の自己組織化を利用して単分子形成させることが可能となり、緻密で向きの揃った単分子膜が形成されるため、好ましい。
前記一般式(1)で示される水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物を用いて表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程において、前記シラン化合物に下記一般式(2)及び(3)で示されるシラン化合物のうち、少なくとも一種類を混合し、該混合物を用いて前記単分子膜を形成することができる。
Y’Si−(CH−CH (2)
Y’Si−(CH−OCH (3)
(式中、nは0以上m以下の整数を示す。mは前記一般式(1)中の値である。Y’はそれぞれ独立してハロゲン原子又は炭素数1から4のアルコキシル基を示す。)
このように、上記一般式(2)及び(3)で示されるシラン化合物のうち、少なくとも一種類を混合し、該混合物を用いて前記単分子膜を形成することによって、前記水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基の化学的な修飾の際に、隣り合った官能基間が密となることで起こる反応の阻害を防止することができる。
また、前記一般式(1)で示される水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物を用いて表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程において、前記シラン化合物とともに混合する触媒が有機塩基であるものとすることができる。
このように、シラン化合物とともに触媒として有機塩基を混合することにより、単分子膜形成がより容易となるため好ましい。
この場合、前記有機塩基がピロリジン誘導体又はピペリジン誘導体とすることができる。
このように、前記有機塩基としてピロリジン誘導体又はピペリジン誘導体を用いれば、単分子膜形成がさらに容易となるため好ましい。
また、前記分子固定用基板が生体分子を固定するために用いられるものとすることができ、さらに、前記生体分子が核酸又はタンパク質であるものとすることができる。
このように、前記分子固定用基板は、生体分子を用いた検査技術、特にDNA配列解析、遺伝子診断など、遺伝子の配列や、固定化されたタンパク質(酵素)による基質の分解といった、核酸やタンパク質に係る検査技術に用いることができる。
さらに本発明によれば、前記いずれかの分子固定用基板の製造方法により製造された分子固定用基板が提供される。
このように、本発明の分子固定用基板の製造方法により製造された分子固定用基板であれば、そのままで、カルボキシル基と親和するタンパク質(酵素や抗体など)を接触させることによりその目的とするタンパク質を基板上に固定することができるし、また、例えばN−ヒドロキシコハク酸イミドと言った、脱離性の良い官能基をカルボキシル基に作用させてエステル化し、目的とするタンパク質やアミノ末端を持つ物質と作用させることにより、その目的とするタンパク質やアミノ末端を持つ物質を基板上に固定することができるものとなる。
以上説明したように、本発明の分子固定用基板の製造方法を用いることにより、基板上に分子を固定して検査を行う場合において、固定化された分子の剥がれ問題が生じない分子固定用基板が、容易かつ簡便に得られる。
本発明に係る分子固定用基板の製造方法の一例を示す概略図である(実施例1)。 本発明に係る分子固定用基板の製造方法の別の一例を示す概略図である(実施例2)。 本発明に係る分子固定用基板の製造方法のさらに別の一例を示す概略図である(実施例3)。 本発明に係る分子固定用基板の製造方法のさらに別の一例を示す概略図である(実施例4) 本発明に係る分子固定用基板の製造方法のさらに別の一例を示す概略図である(実施例5)。 実施例1のCOOピークを示すESCAスペクトルである。 実施例6の窒素原子ピークを示すESCAスペクトルである。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上述したように、検体中の抗原や抗体を固定することにより定量を行う従来の方法は、いずれの方法においても基板上への分子の固定については、静電的な表面吸着や、ポーラスな基材中への物理的な吸着、化学的に不安定な膜上への化学的固定といった方法を用いているために、プローブ分子の高密度化には障壁となり、高精度な検出方法を得るための足かせとなっていた。
そこで本発明者らは、基板上に分子を固定して検査を行う場合において、固定化された分子の剥がれ問題が生じない分子固定用基板の製造方法の開発に着手した。その結果、分子固定用基板の製造方法であって、少なくとも、表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程と、該単分子膜の水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を化学的に修飾してカルボキシル基に変換することで表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜を形成する工程とを含むことで、表面側にカルボキシル基が配向し、単分子膜として制御可能な膜を付与した基板の製造方法を見出した。この方法によって製造された基板は、カルボキシル基が表面側に配向しており、続く生体物質等の固定においても面内均一条件にて行うことが可能となり、固定化された分子の剥がれ問題を防止することができる。合わせて、本発明の方法によって基板上に形成された単分子膜は、膜自体の剥離に対しても十分に耐性があることが確認できた。特に、貴金属(金、銀、銅、白金、パラジウム)−チオールの結合が、空気中の酸素でチオールが酸化(スルホネート形成:非特許文献、Langmuir.8(5)1398−1405,1992、J.A.C.S.1992,114,2428−2432)されることによって結合が弱まり、膜が剥がれるのに対して、本発明の方法によって基板上に形成される単分子膜ではそのような事は見られない。
すなわち、本発明は、分子固定用基板の製造方法であって、少なくとも、表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程と、該単分子膜の水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を化学的に修飾してカルボキシル基に変換することで表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程とを含むことを特徴とする分子固定用基板の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によって製造される分子固定用基板は、表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜が基板上に形成されているため、そのままで、カルボキシル基と親和するタンパク質(酵素や抗体など)を接触させることによって、その目的とするタンパク質を基板上に固定することができる。また、例えばN−ヒドロキシコハク酸イミドといった、脱離性の良い官能基をカルボキシル基に作用させてエステル化し、目的とするタンパク質やアミノ末端を持つ物質と作用させることにより、その目的とするタンパク質やアミノ末端を持つ物質を基板上に固定することができる。
本発明の分子固定用基板より製造されるマイクロアレイは、ピンによるスタンピング、バブルジェット(登録商標)方式、また、光リソグラフィー技術を用いた方法によって、製造することが出来る。
本発明では、表面側に水酸基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程において、水酸基前駆体官能基が表面側に配向した単分子膜を基板上に形成した後、前記水酸基前駆体官能基が表面側に配向した単分子膜に酸を作用させることにより、表面側に水酸基が配向した単分子膜を基板上に形成することができる。
ここで、本願明細書中の水酸基前駆体官能基とは、いわゆる保護基で保護された水酸基、あるいはビジナルジオールである。そのような保護基としては、多数のものが公知であり、代表的なものとしては、アシル基、オキシラニル基、アセタール基等を挙げることができる。これらの前駆体官能基のうち、後工程において、得られた単分子膜上の特定部位にのみ認識用材料を固定するためにはレジストを使用して単分子膜の特定部位をマスクするが、ここで化学増幅型レジストを使用する場合には、単分子膜が塩基性物質で汚染されていないことが好ましく、酸性処理で脱保護できるものが好ましい。酸性条件で脱保護できるものとしては、上記例の中ではオキシラニル基やアセタール基、より好ましくは、オキシラニル基やアルコキシル基部分の炭素数が1〜6のアルコキシメトキシ基を挙げることができる。また、オキシラニル基や、アセタール基のうち、例えばメトキシメトキシ基であるものは、立体的に小さいため、単分子膜の形成が容易である。
本発明の方法を使用する際、固定化を行うための基板の最表面が金属酸化膜である場合には、表面の水酸基が十分あり、直接後述のシラン化合物で表面処理をしてやることで、酸化ケイ素鎖を持つ単分子膜を形成することができる。また、基板の最表層が金属膜である場合には、最表層の自然酸化膜を使用しても良いし、表層付近のみをオゾン、過酸化水素水、水、酸素プラズマ等の方法で酸化することにより適用できる。また、電気的方法によらない検出方法では、樹脂基板上に適用するケースも考えられるが、そのような場合には、表面を酸素雰囲気中で電子線やイオンビームで処理することで、酸化ケイ素鎖を持つ単分子膜を形成できることが特開平4−221630号公報に開示されている。
単分子膜は、基板全面に形成しても良いが、必要な部位のみに形成することが一般的であり、レジスト膜を使用して位置選択的に単分子膜を形成することができる。この操作については良く知られたものであり、ここで使用するレジストとしては、特に制限を設ける必要はないが、より微細な位置に選択的に処理を行うためには化学増幅型レジストを使用することが好ましい。
また、水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物による単分子膜を必要な部位のみに形成する為の方法として、不必要な部分に紫外線照射することによってシラン化合物を除去できることが、非特許文献(杉村
博之, 高井 治: 表面科学 22, 364 (2001))に開示されている。
表面側に水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成するための工程については、上記に挙げた方法により分子を固定化する場所以外の面を保護するレジストパターンを形成した基板を、若しくは固定化後に紫外線照射によって単分子膜の形成後に不必要な部分を除去した基板を、又は全面に処理をしても良い場合にはレジストパターンを特に設けない非被膜基板を、例えば下記一般式(1)
Si−(CH)m−Z (1)
(但し、mは3以上16以下の整数を示し、Zは水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を示す。Yはそれぞれ独立してハロゲン原子又は炭素数1から4のアルコキシ基を示す。)
で示されるシラン化合物を含む溶液中に浸漬することで、表面側に水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する。
上記一般式(1)中mが3以上であれば、単分子膜を形成することができるが、後述するように、固定化する分子の空間を作る方法を適用する場合には、mは5以上が好ましく、より好ましくは8以上である。
前記一般式(1)で示される水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物を用いて表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程において、水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基の修飾反応時に隣り合った官能基間が密で反応を阻害する場合が考えられ、それを防止する観点からも、上記一般式(1)で表されるシラン化合物と共に、全鎖長のやや短いアルキル鎖を持つ下記一般式(2)及び(3)
Y’Si−(CH−CH (2)
Y’Si−(CH−OCH (3)
(但し、nは0以上m以下の整数を示す。mは上記一般式(1)中の値である。Y’はそれぞれ独立してハロゲン原子又は炭素数1から4のアルコキシ基を示す。)
で示されるシラン化合物のうち、少なくとも一種類を混合して使用することが好ましい。また、上記一般式(1)で示されるシラン化合物に対して上記一般式(2)及び/又は(3)で示される化合物は1倍モル以上使用されることが好ましく、より好ましくは4倍モル以上である。また、固定化量を確保するためには、50倍モル以下であることが好ましく、より好ましくは20倍モル以下である。
本発明による水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が表面側に配向した単分子膜を基板上に形成する工程において、単分子膜形成がより容易になることから、シラン化合物とともに触媒として混合する有機塩基が含窒素有機塩基であることが好ましく、該含窒素有機塩基の例としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
更に、カルボキシル基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、1−シクロヘキシルピロリドン等が例示される。イミド類としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。カーバメート類としては、N−t−ブトキシカルボニル−N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、オキサゾリジノン等が例示される。
更に下記一般式(C)−1で示される含窒素有機塩基が例示される。
N(X)n’(W)3−n’ (C)−1
(式中、n’=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X1)〜(X3)で示すことができる。側鎖Wは、同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基又はヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。)
−R−O−R (X1)
−R−O−R−CO−R (X2)
−R−COO−R (X3)
上記一般式(X1)〜(X3)中、R、R、Rは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R、Rは水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。Rは単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
一般式(C)−1で表される化合物として具体的には、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンが例示される。
更に下記一般式(C)−2に示される環状構造を持つ含窒素有機塩基が例示される。
Figure 0005342421
(式中、Xは前述の通り、Rは炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、スルフィド基を1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
式(C)−2として具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル、2−メトキシ酢酸2−モルホリノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−モルホリノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−モルホリノエチル、ヘキサン酸2−モルホリノエチル、オクタン酸2−モルホリノエチル、デカン酸2−モルホリノエチル、ラウリン酸2−モルホリノエチル、ミリスチン酸2−モルホリノエチル、パルミチン酸2−モルホリノエチル、ステアリン酸2−モルホリノエチルが例示される。
更に、一般式(C)−3〜(C)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機塩基が例示される。
Figure 0005342421
(式中、X、R、n’は前述の通り、R10、R11は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
上記式(C)−3〜(C)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機塩基として具体的には3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)が例示される。
更に、下記一般式(C)−7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機塩基が例示される。
Figure 0005342421
(式中、R12は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基、アセタール基のいずれかを1個あるいは複数個含む。R13、R14、R15は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
更に、下記一般式(C)−8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機塩基が例示される。
Figure 0005342421
(式中、R16は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基である。R17は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としてエステル基、アセタール基、シアノ基のいずれかを一つ以上含み、その他に水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基のいずれかを一つ以上含んでいてもよい。)
更に、下記一般式(C)−9及び(C)−10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
Figure 0005342421
(式中、Aは窒素原子又はCR24である。Bは窒素原子又はCR25である。R18は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基又はアセタール基を一つ以上含む。R19、R20、R21、R22は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基であるか、又はR19とR20、R21とR22はそれぞれ結合してベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R23は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基である。R24、R25は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基である。R23とR25は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
更に、下記一般式(C)−11〜(C)−14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機塩基が例示される。
Figure 0005342421
(式中、R26は炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、又は、炭素数1〜10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R27はCO228、OR29又はシアノ基である。R28は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。R29は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基である。R30は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は−O(CH2CH2O)n’’−基である。n’’=0,1,2,3又は4である。R31は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。X’は窒素原子又はCR32である。Y’’は窒素原子又はCR33である。Z’は窒素原子又はCR34である。R32、R33、R34はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR32とR33又はR33とR34が結合して、炭素数6〜20の芳香環又は炭素数2〜20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
更に、下記一般式(C)−15で示される7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機塩基が例示される。
Figure 0005342421
(式中、R35は水素、又は炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基である。R36及びR37はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、チオ基、ニトリル、アミン、イミン、アミドなどの極性官能基を一つ又は複数含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基であって、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R36とR37は互いに結合して、炭素数2〜20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
触媒としてシラン化合物とともに混合する含窒素有機塩基としては、上記含窒素有機塩基中でも、好ましくは、下記構造式(C)−16
Figure 0005342421
(式中、R38は炭素数2〜20の直鎖状、環状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、スルフィド基を1個あるいは複数個含んでいてもよい。R39は水素、炭素数1〜25の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、その内にヒドロキシル基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
を含む含窒素有機塩基である。
シラン化合物の縮合に関しては、特に水溶液中において塩基性にすることにより、その縮合をより早く進めることが出来ることが知られている。しかしながら、有機溶媒中での塩基の作用に関してはあまり知られていない。本発明の検討により、上記環状の構造を成す含窒素有機塩基を用いれば、単分子膜形成がより容易となることがわかった。
更なる検討により、前記含窒素有機塩基としてピロリジン誘導体またはピペリジン誘導体を用いれば、単分子膜形成がさらに容易となることがわかった。
すなわち、含窒素有機塩基としてより好ましくは、ピロリジン誘導体、ピペリジン誘導体であり、さらにより好ましくは、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジンが例示される。しかし、含窒素有機塩基はこれらに限定されるものではない。
本発明による水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が表面側に配向した単分子膜を基板上に形成する際に用いる溶媒の例としては、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、n−ヘキサンやn−ノナン等の炭化水素類、ベンゼンやトルエン、クロロホルム等の芳香族類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
上記の水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物により、表面側に水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成するために、例えば、極性の非常に低い溶剤を用い、上記一般式(1)で表されるシラン化合物、又は上記一般式(1)で示されるシラン化合物と上記一般式(2)及び(3)で示されるシラン化合物のうち少なくとも一種類との混合物を2.0×10−2〜5.0×10−2モル/lと比較的希薄な溶液として、さらに、含窒素有機塩基を例えば、2.0×10−2〜5.0×10−2モル/lに調整し、それに被膜したくない部分をレジストで保護してあっても良い被膜基板を、例えばトリエトキシシラン化合物を用いた場合、24時間程度浸漬する。
本発明では、特に、シラン化合物と含窒素有機塩基との濃度の比を、シラン化合物1に対して含窒素有機塩基が0.1から100のモル比とすることが、単分子膜を容易に形成するために好ましい。
上記処理後、レジスト膜による位置選択的な単分子膜形成を行った場合、レジスト膜を溶解することができる有機溶剤、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル等、レジスト液を調製する際に一般的に使用される溶剤でレジストパターンを除去してやることで、水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を表面に配した基板が得られる。
本発明の方法により、水酸基前駆体官能基が表面側に配向した単分子膜を基板上に形成した場合、前記水酸基前駆体官能基を水酸基に変換するために塩酸、硫酸等の酸溶液に浸漬することができるが、p−トルエンスルホン酸やメタンスルホン酸等の有機酸を有機溶媒に溶解した酸溶液に浸漬しても良く、その際に加熱しても良い。
上記処理後、ジカルボン酸無水物の化合物溶液中又は酸化剤を含む溶液中に浸漬することにより、カルボキシル基が表面に配置された基板が得られる。その際、ジカルボン酸無水物の化合物溶液を用いる場合は、ジカルボン酸無水物の濃度は0.001モル/l以上が望ましく、酸化剤を含む溶液を用いる場合は、酸化のスピードに応じて適宜、その濃度を調整することが望ましい。
上記処理後、カルボキシル基を表面に配した分子固定用基板が完成する。
本発明の方法を使用する際、用いるジカルボン酸無水物は炭素鎖中に二重結合を一つ、もしくは複数含んでも良く、環を含んでも良い。それら化合物は、メチル基やエチル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、カルボキシル基等によってその側鎖が置換されていても良い。
用いるジカルボン酸無水物の例としては、具体的には、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、ピメリン酸無水物、スベリン酸無水物、アゼライン酸無水物、セバシン酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、ノルボルネン−1,2−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−1,2−ジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、酒石酸無水物、ジアセチル酒石酸無水物、メチルコハク酸無水物、エチルコハク酸無水物、ブチルコハク酸無水物、4−ブロモフタル酸無水物、4−クロロフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−ニトロフタル酸無水物、4−カルボキシフタル酸無水物、イタコン酸無水物等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明によるジカルボン酸無水物を作用させる際に用いる溶媒の例としては、水、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、n−ヘキサンやn−ノナン等の炭化水素類、ベンゼンやトルエン、クロロホルム等の芳香族類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明における酸化剤の例としては、ハロゲンオキソ酸である次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、さらし粉、次亜臭素酸、亜臭素酸、臭素酸、過臭素酸、次亜ヨウ素酸、亜ヨウ素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、リンのオキソ酸である亜リン酸、ホスホン酸、リン酸、過リン酸、窒素のオキソ酸である亜硝酸、硝酸、硫黄のオキソ酸である亜硫酸、硫酸、遷移元素のオキソ酸であるクロム酸、二クロム酸、クロム酸混液、クロロクロム酸ピリジニウム、二クロム酸ピリジニウム、マンガン酸、過マンガン酸、およびそれぞれの塩等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明における酸化剤を用いる際の溶媒の例としては、水や、メタノール、エタノール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、ピリジン等の芳香族類、ジクロロメタン、ホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、クロロホルム等の有機溶剤を用いることが出来るが、主に水を主体として、酸化反応をコントロールする目的で、適宜有機溶剤を選択、混合することが出来る。
本発明の方法により、シアノ基が表面側に配向した単分子膜を基板上に形成した場合、前記シアノ基を加水分解することにより、カルボキシル基が表面側に配向した単分子膜を有する基板が得られる。その際、強酸性下で加水分解を行うことが好ましく、塩酸、硫酸、より好ましくは塩酸を使用することができる。このときの塩酸の濃度は、シアノ基の加水分解の進行度と単分子膜の剥離防止の両方の観点から、適宜その濃度を調節することが望ましく、例えば濃塩酸を0から10倍に希釈して用いることができる。
本発明の方法により、オキシラニル基が表面側に配向した単分子膜を基板上に形成した場合、カルボキシル基を持つチオールを含む溶液中に浸漬することにより、カルボキシル基が表面側に配向した単分子膜を有する基板が得られる。その際、チオールの濃度は、望ましくは2.0×10−2〜4モル/l、より望ましくは0.1〜1モル/lである。また、この場合、カルボキシル基を持つチオールを含む溶液に、さらにスルホン酸を0.001から1のモル比で添加してもよい。
上記処理後、カルボキシル基を表面に配した分子固定用基板が完成する。
本発明におけるカルボキシル基を持つチオールの例としては、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、2−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明におけるスルホン酸の例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−メルカプトエタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明におけるカルボキシル基を持つチオールを作用させる際に用いる溶媒の例としては、水、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、n−ヘキサンやn−ノナン等の炭化水素類、ベンゼンやトルエン、クロロホルム等の芳香族類、ホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミドが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。
(製造例1)10−(メトキシメトキシ)デシルトリメトキシシランの製造
窒素雰囲気下、80℃で、10−(メトキシメトキシ)−1−デセン100gと触媒量の塩化白金酸テトラヒドロフラン溶液の混合物にトリメトキシシラン64gと酢酸0.57gの混合物を滴下した。80℃で3時間かき混ぜた後、反応混合物を減圧蒸留して目的物131gを得た。
10−(メトキシメトキシ)デシルトリメトキシシラン
沸点 142度/66Pa
IR(液膜)νmax:2927、2854、2840、1465、1191、1143、1089、1049cm−1
13C−NMR(150MHz、CDCl)δ:9.10、22.55、26.18、29.19、29.39、29.56、29.71、33.09、50.44、55.03、67.84、96.34ppm
H−NMR(600MHz、CDCl)δ:0.59−0.62(2H、m)、1.21−1.39(14H、m)、1.52−1.57(2H、quintet様)、3.32(3H、s)、3.48(2H、t、J=7Hz)、3.53(9H、s)、4.58(2H、s)ppm.
(製造例2)ジョーンズ試薬の製造
純水400mlにクロム酸80gと濃硫酸88mlを加え、攪拌、目的の試薬を得た。
(製造例3)11,12−エポキシドデシルトリメトキシシランの製造
特開平4−182491の方法に従い製造した。
11,12−エポキシドデシルトリメトキシシラン
IR(液膜)νmax:3041、2925、2854、2840、1727、1465、1911、1089、916cm−1
13C−NMR(150MHz、CDCl)δ:9.10、22.54、25.92、29.18、29.39、29.40、29.42、29.48、32.45、33.08、47.07、50.42、52.35ppm.
H−NMR(600MHz、CDCl)δ:0.59−0.62(2H、m)、1.20−1.51(20H、m)、2.421(1H、dd、J=3.5Hz)、2.70(1H、t一様、J=5Hz)、2.85−2.88(1H、m)ppm.
(実施例1)
図1(1)のように表面にシリコン酸化膜を有する基板1をクロロホルム、続けてアセトン中に浸漬、超音波洗浄を行った後、ピラニア溶液中15分、水中1時間浸漬し、続けて、製造例1で得た10−(メトキシメトキシ)デシルトリメトキシシラン0.02モル/l、ピペリジン0.02モル/lのトルエン溶液中に12時間浸漬し、表面側にメトキシメトキシ基が配向した単分子膜2aを基板上に形成した(図1(2))。その基板をクロロホルム中、続けてアセトン、水中に浸漬してそれぞれ5分間、超音波洗浄を行った。上記処理を行った基板を濃塩酸中に12時間浸漬し、単分子膜2aのメトキシメトキシ基を脱保護して、表面側に水酸基が配向した単分子膜3aを基板上に形成した(図1(3))。その後、純水でリンスし、ドライエアで乾燥させた。次いでコハク酸無水物1モル/lのピリジン溶液中に12時間浸漬し、表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜4aを基板上に形成した(図1(4))。その基板を水、メタノールで洗浄後、ドライエアで乾燥させた。
(実施例2)
図2(1)のように表面にシリコン酸化膜を有する基板1をクロロホルム、続けてアセトン中に浸漬、超音波洗浄を行った後、ピラニア溶液中15分、水中1時間浸漬し、続けて、製造例1で得た10−(メトキシメトキシ)デシルトリメトキシシラン0.02モル/l、ピペリジン0.02モル/lのトルエン溶液中に12時間浸漬し、表面側にメトキシメトキシ基が配向した単分子膜2aを基板上に形成した(図2(2))。その基板をクロロホルム中、続けてアセトン、水中に浸漬してそれぞれ5分間、超音波洗浄を行った。上記処理を行った基板を濃塩酸中に12時間浸漬し、単分子膜2aのメトキシメトキシ基を脱保護して、表面側に水酸基が配向した単分子膜3aを基板上に形成した(図2(3))。純水でリンスし、ドライエアで乾燥させた。次いで製造例2で得た酸化剤としてのジョーンズ試薬に対してアセトン2000の体積比で混合した溶液中に基板を20分浸漬し、表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜4bを基板上に形成した(図2(4))。その基板を水、メタノールで洗浄後、ドライエアで乾燥させた。
(実施例3)
図3(1)のように表面にシリコン酸化膜を有する基板1をクロロホルム、続けてアセトン中に浸漬、超音波洗浄を行った後、ピラニア溶液中15分、水中1時間浸漬し、続けて、11−ニトリルウンデシルトリメトキシシラン(Gelest社製)0.02モル/l、ピペリジン0.02モル/lのトルエン溶液中に12時間浸漬し、表面側にシアノ基が配向した単分子膜5を基板上に形成した(図3(2))。その基板をクロロホルム中、続けてアセトン、水中に浸漬してそれぞれ5分間、超音波洗浄を行った。上記処理を行った基板を濃塩酸:水=1:1、80℃中に浸漬し、4時間加熱し、加水分解することで表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜4cを基板上に形成した(図3(3))。その基板を水、メタノールで洗浄後、ドライエアで乾燥させた。
(実施例4)
図4(1)のように表面にシリコン酸化膜を有する基板1をクロロホルム、続けてアセトン中に浸漬、超音波洗浄を行った後、ピラニア溶液中15分、水中1時間浸漬し、続けて、製造例3で得た11,12−エポキシドデシルトリメトキシシラン0.02モル/l、ピペリジン0.02モル/lのトルエン溶液中に12時間浸漬し、表面側にオキシラニル基が配向した単分子膜6を基板上に形成した(図4(2))。その基板をクロロホルム中、続けてアセトン、水中に浸漬してそれぞれ5分間、超音波洗浄を行った。上記処理を行った基板を3−メルカプトプロピオン酸1モル/l、メタンスルホン酸0.0018モル/lのトルエン溶液中に12時間浸漬し、表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜4dを基板上に形成した(図4(3))。その基板をトルエン中で1分間、超音波洗浄を行い、アセトン、水で洗浄後、ドライエアで乾燥させた。
(実施例5)
図5(1)のように表面にシリコン酸化膜を有する基板1をクロロホルム、続けてアセトン中に浸漬、超音波洗浄を行った後、ピラニア溶液中15分、水中1時間浸漬し、続けて、製造例1で得た10−(メトキシメトキシ)デシルトリメトキシシラン0.02モル/l、オクチルトリメトキシシラン0.02モル/l、ピペリジン0.02モル/lのトルエン溶液中に12時間浸漬し、表面側にメトキシメトキシ基が配向した単分子膜2bを形成した(図5(2))。その基板をクロロホルム中、続けてアセトン、水中に浸漬してそれぞれ5分間、超音波洗浄を行った。上記処理を行った基板を濃塩酸中に12時間浸漬し、単分子膜2bのメトキシメトキシ基を脱保護して、表面側に水酸基が配向した単分子膜3bを基板上に形成した(図5(3))。その後、純水でリンスし、ドライエアで乾燥させた。次いでコハク酸無水物1モル/lのピリジン溶液中に12時間浸漬し、表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜4eを基板上に形成した(図5(4))。その基板を水、メタノールで洗浄後、ドライエアで乾燥させた。
(比較例1)
図1(1)のように表面にシリコン酸化膜を有する基板1をクロロホルム、続けてアセトン中に浸漬、超音波洗浄を行った後、ピラニア溶液中15分、水中1時間浸漬し、続けて、製造例1で得た10−(メトキシメトキシ)デシルトリメトキシシラン0.02モル/l、ピペリジン0.02モル/lのトルエン溶液中に12時間浸漬し、表面側にメトキシメトキシ基が配向した単分子膜2aを形成した(図1(2))。その基板をクロロホルム中、続けてアセトン、水中に浸漬してそれぞれ5分間、超音波洗浄を行った。上記処理を行った基板を濃塩酸中に12時間浸漬し、単分子膜2aのメトキシメトキシ基を脱保護して表面側に水酸基が配向した単分子膜3aを基板上に作成した(図1(3))。その後、純水でリンスし、ドライエアで乾燥させた。
(測定1)
表面にカルボキシル基の配置を確認する為に水による表面接触角及びESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)によるCOOピークの確認を行った。結果を表1に示す。
また、実施例1についてはESCAスペクトルを図6に示した。図6中、縦軸は相対強度を示す。
Figure 0005342421
表1の表面接触角の変化から、反応の進行が、また、ESCAによるCOOピークの確認によって、基板上にカルボキシル基が導入されたことがわかる。
即ち、本発明の方法により製造された分子固定用基板には、カルボキシル基が表面側に配向した単分子膜が形成されているので、カルボキシル基と親和するタンパク質等認識用材料の分子を、剥がれ問題を起こすことなく基板上に固定できるといえる。
(実施例6)
実施例1で得られた基板をヒドロキシコハク酸イミド0.2M、ジイソプロピルカルボジイミド0.2MのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液に浸漬し、12時間後引き上げ、DMF、エタノールで洗浄、ドライエアにて乾燥させた。
Figure 0005342421
(実施例7)
実施例2で得られた基板をヒドロキシコハク酸イミド0.2M、ジイソプロピルカルボジイミド0.2MのDMF溶液に浸漬し、12時間後引き上げ、DMF、エタノールで洗浄、ドライエアにて乾燥させた。
Figure 0005342421
(実施例8)
実施例4で得られた基板をヒドロキシコハク酸イミド0.2M、ジイソプロピルカルボジイミド0.2MのDMF溶液に浸漬し、12時間後引き上げ、DMF、エタノールで洗浄、ドライエアにて乾燥させた。
Figure 0005342421
(比較例2)
比較例1で得られた基板をヒドロキシコハク酸イミド0.2M、ジイソプロピルカルボジイミド0.2MのDMF溶液に浸漬し、12時間後引き上げ、DMF、エタノールで洗浄、ドライエアにて乾燥させた。
Figure 0005342421
(測定2)
実施例1、2、4で作成された基板上には、その基板上にある単分子膜上には窒素原子が含まれていないが、基板表面にあるカルボキシル基をヒドロキシコハク酸イミドによるカルボン酸エステル化することにより、窒素原子が導入されることから、ESCAによる測定を行い、窒素原子ピークを確認した。また、水による表面接触角を測定した。結果を表2に示す。
また、実施例6についてはESCAスペクトルを図7に示した。図7中、縦軸は相対強度を示す。
Figure 0005342421
表2の表面接触角の変化から、反応の進行が、また、ESCAによる窒素原子ピークの確認によって、基板表面に窒素原子が導入されたことがわかる。
即ち、本発明の方法により製造された分子固定用基板には、カルボキシル基が表面側に配向した単分子膜が形成されているので、ヒドロキシサクシンイミド等を用いてカルボキシル基をエステル化させることにより、アミノ酸もしくはタンパク質中のアミノ基末端と反応させ、アミドを形成させることが可能であり、剥がれ問題を起こすことなく基板上に分子を固定できるといえる。
(測定3)
実施例6,7,8および比較例2で得られた各基板をアルブミン水溶液(1mg/ml、pH7、アルブミンはコウシ血清由来でシグマ社製)中に低温室(10℃以下)で24時間浸漬した後、純水中で超音波洗浄を行い、FT−IR(Thermo社Nicolet6700)ATR法にて測定を行った(実施例9、10、11、比較例3)。尚、1550、1670cm−1付近の明瞭なピークの有無により、基板上へのアルブミン固定の有無の判断とした。結果を表3に示す。
Figure 0005342421
表3のFT−IRによるピークの確認によって、基板上にアルブミンが固定されていることがわかる。
即ち、剥がれ問題を起こすことなく基板上に分子を固定できる分子固定用基板を、本発明により容易かつ簡便に製造できることが実証されたといえる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…基板、 2a〜b…表面側にメトキシメトキシ基が配向した単分子膜、 3a〜b…表面側に水酸基が配向した単分子膜、 4a〜e…表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜、 5…表面側にシアノ基が配向した単分子膜、 6…表面側にオキシラニル基が配向した単分子膜。

Claims (11)

  1. 分子固定用基板の製造方法であって、少なくとも、表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程と、該単分子膜の水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を化学的に修飾してカルボキシル基に変換することで表面側にカルボキシル基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程とを含み、前記表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程を、基板を、水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物を含む溶液中に浸漬することで行い、前記水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物が、下記一般式(1)で示されるシラン化合物であり、
    Si−(CH−Z (1)
    (式中、mは3以上16以下の整数を示し、Zは水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を示す。Yはそれぞれ独立してハロゲン原子又は炭素数1から4のアルコキシル基を示す。)
    前記一般式(1)で示される水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物を用いて表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程において、前記シラン化合物に下記一般式(2)及び(3)で示されるシラン化合物を混合し、該混合物を用いて前記単分子膜を形成することを特徴とする分子固定用基板の製造方法。
    Y’Si−(CH−CH (2)
    Y’Si−(CH−OCH (3)
    (式中、nは0以上m以下の整数を示す。mは前記一般式(1)中の値である。Y’はそれぞれ独立してハロゲン原子又は炭素数1から4のアルコキシル基を示す。)
  2. 前記水酸基をカルボキシル基に変換するための化学的な修飾が、前記水酸基にジカルボン酸無水物又は酸化剤を作用することによりなされることを特徴とする請求項1に記載の分子固定用基板の製造方法。
  3. 前記シアノ基をカルボキシル基に変換するための化学的な修飾が、前記シアノ基を加水分解することによりなされることを特徴とする請求項1に記載の分子固定用基板の製造方法。
  4. 前記オキシラニル基をカルボキシル基に変換するための化学的な修飾が、前記オキシラニル基にカルボキシル基を持つチオールを作用させることによりなされることを特徴とする請求項1に記載の分子固定用基板の製造方法。
  5. 前記オキシラニル基にカルボキシル基を持つチオールを作用させる工程において、スルホン酸を添加することを特徴とする請求項4に記載の分子固定用基板の製造方法。
  6. 前記単分子膜を基板上に形成する工程において、水酸基前駆体官能基に酸を作用させることにより、表面側に水酸基が配向した単分子膜を基板上に形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分子固定用基板の製造方法。
  7. 前記水酸基前駆体官能基がアルコキシル基部分の炭素数が1〜6のアルコキシメトキシ基及び/又はオキシラニル基であることを特徴とする請求項6に記載の分子固定用基板の製造方法。
  8. 前記一般式(1)で示される水酸基前駆体官能基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基を有するシラン化合物を用いて表面側に水酸基、シアノ基及びオキシラニル基のいずれかの基が配向した単分子膜を基板上に形成する工程において、前記シラン化合物とともに混合する触媒が有機塩基であることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の分子固定用基板の製造方法。
  9. 前記有機塩基がピロリジン誘導体又はピペリジン誘導体であることを特徴とする請求項8に記載の分子固定用基板の製造方法。
  10. 前記分子固定用基板が生体分子を固定するために用いられるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の分子固定用基板の製造方法。
  11. 前記生体分子が核酸又はタンパク質であることを特徴とする請求項10に記載の分子固定用基板の製造方法。
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