JP5341267B1 - 変位量検出装置、およびその誤差・検出・評価方法 - Google Patents

変位量検出装置、およびその誤差・検出・評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】変位量検出装置(エンコーダ)の経時的誤差、ズレを検出して、調整する。
【解決手段】変位量検出装置は、波長λの目盛が形成されたスケール部20との相対移動に応じて出力される90度の位相差を有する2相信号を出力する第1、第2の検出ヘッドと、変位量検出装置の誤差を検出し評価する、誤差検出・評価手段とを有する。誤差検出・評価手段は、90度の位相差を有する2相信号を周波数fの直交する信号で変調された平衡変調信号を加算もしくは減算の演算を行い、得られる位相変調信号の振幅成分のエンベロープ情報もしくは2相信号を極座標変換し得られる振幅情報から、2相信号の信号品位を劣化させる誤差要因に固有な波長λの基本周期および高次周期の正弦波信号として分離抽出して得られた誤差要因別情報の振幅と偏角を変位量検出装置に許容される内挿誤差を基準として設定された各周期毎の振幅および偏角の統計量と比較評価する。
【選択図】図1

Description

本発明は変位量検出装置(エンコ−ダ)における誤差、ズレの検出(監視)、評価、調整(補正)を行う技術に関する。
ロボット、数値制御装置、その他の制御装置などにおいて、測定対象(駆動対象)の位置、移動距離、長さ、角度などの測定に変位量検出装置(エンコ−ダ)が使用されている。
エンコ−ダは、直線型(リニア型)、回転型(ロ−タリ−型)などが知られている。さらに、ロ−タリ−型はインクリメンタル型、アブソリュ−ト型などが知られている。
技術の高度化に伴い、エンコ−ダはさらなる高精度化と高信頼性が望まれている。
エンコ−ダの高精度化のためには、設計・製造段階における高精度化を図ることに加えて、エンコ−ダを出荷して制御装置など実装して実際に使用した場合の経時的なずれ、誤差を補正することも必要となる。
このような、エンコ−ダの誤差の経時的な変化を定量的かつ統計的に評価した判定結果とともに、エンコ−ダの出荷時の最良な精度に戻すための方法は、たとえば、特開1993−26657号公報(特許文献1)、特開2003−83767号公報(特許文献2)などに提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、誤差の要因の特定や、電気的な調整に試行錯誤的な作業が必要であり、一義的に行うことができない。また、特許文献2に開示された発明は、複数のトラックを有するエンコ−ダへの適用に限定される。
また、エンコ−ダにおける誤差を補正する技術が、たとえば、特開2003−254758号公報(特許文献3)、再表2006/43403号公報(特許文献4)に開示されている。
しかしながら、特許文献3に開示された発明は、誤差デ−タの算出に際して基準となるエンコ−ダを必要とし、加えて、エンコ−ダから出力される源信号の高次の誤差成分まで補正する場合、装置構成が大規模になる。また、特許文献4に開示された発明は、エンコ−ダを一定速度で動作させないと誤差デ−タを算出することができず、直線型のエンコ−ダには適用できない。
特開1993−26657号公報 特開2003−83767号公報 特開2003−254758号公報 再表2006/43403号公報
したがって、変位量検出装置(エンコ−ダ)の経時変化に伴う誤差、ズレなどを検出し(監視し)、検出した誤差、ズレなどを定量的かつ統計的に分析、評価することが望まれている。
さらに、上記評価した結果に基づいて、誤差、ズレなどの要因を見いだし、調整して、出荷時の精度に復活できることが望まれている。
なお、上述した要望は、直線型(リニア型)、回転型(ロ−タリ−型)のいずれにおいても、要望されている。
本願発明者は、位相変調信号の信号品位を劣化させる様々な要因、たとえば2チャンネルのヘッドから出力される信号レベルに差異が発生した時やこれらのヘッドにDC偏倚が重畳したとき、さらには、機構的な変化等によって、2チャンネルの検出ヘッド間の位相差にずれを生じたときの位相変調信号epmの振幅情報E(x)には、ずれの要因に固有な周期をもち、ずれの大きさと向き(極性)に応じた振幅と位相とを持つ誤差要因別情報が重畳した形で観測されることを見出した。そして、各周期成分毎に分離抽出された誤差要因別情報とその要因によって引き起こされる偏角誤差との間には、振幅が同一で位相がπ/2異なることを見出した。さらには、複数の誤差要因が含まれている場合には、各周期成分毎の誤差要因別情報の合成値として観測されることを見出した。
本発明は、上記知見にもとづき、波長λの目盛が形成されたスケ−ル部と、該スケ−ル部の信号を検出する検出ヘッド部との相対移動(以下、相対変位量)に応じて出力される略90度の位相差を持つ2相信号(以下、2相信号)をキャリア周波数fの直交する信号で変調された平衡変調信号を加算もしくは減算して得られる位相変調信号の振幅情報もしくは、該2相信号を極座標変換して得られる振幅情報(以下、振幅情報)が、様々な誤差要因、例えば、2相信号の振幅のずれや該信号に重畳する直流偏倚、さらには、2相信号の90度からのずれ等によって、前記振幅情報が相対変位量に応じて変動すること、そして、これらの変動は、波長λの目盛の基本周期および高次周期の正弦波状信号の合成信号となること、さらには、前記誤差要因毎に固有の周期と偏角をもち、該誤差要因の大きさに応じて振幅が変わる信号として観測されることを利用し、最適に調整された状態における各周期成分毎の正弦波信号の振幅と偏角の平均値や偏差などの情報を所定の不揮発性の記憶領域に保管し、実際の使用状態において観測される信号の変化を、例えば、波長λの1周期成分や2周期成分などを特定するための直交する2相の基準ベクトル(数ベクトル)とのマッチ度演算によって誤差要因毎の振幅や位相の変化を特定し、所定の判定値を基準として、誤差要因毎の変化を定量的かつ統計的に監視できるように構成している。
また、本発明においては、検出ヘッドの信号処理部に、上記誤差要因を補正するための電子的な調整手段を設け、上記マッチ度演算の結果として得られた各周期成分毎の振幅と位相を基に、誤差要因を特定し、システムに与える誤差要因の影響度と補正の可否を判断し、前記電子的な調整手段により出荷時の状態に復帰させるように構成している。
そして、電子的な調整によって対応が不可能な要因、例えば、検出ヘッドからの出力に含まれる高調波成分や、電子的な調整によっても補正が不可能な微小な変動成分の影響を排除するため、振幅情報に含まれる微少な変動成分(以下、残留リップル成分)の周期成分毎の振幅と位相とから演算によって周期成分毎の内挿誤差を算出し、該算出された内挿誤差を合成することによって、全ての誤差要因に起因する波長内の位置に対する内挿誤差の大きさを特定し、該特定された内挿誤差を用いて計測された位置デ−タを補正し、残留する誤差要因に伴う誤差の影響を取り除き、高精度な位置計測が可能となるように構成している。
本発明によれば、経時変化の影響を低減した高い精度の変位量検出装置(エンコ−ダ)を提供することができる。
また、再調整によって出荷時の状態に復帰、あるいは一定の経時変化を許容して最良の状態に復帰できた場合、さらには、電子的な調整によって対応が不可能な誤差要因を含む残留リップル成分に対しては、該成分に起因する波長内の位置に対する誤差デ−タを求め、該誤差デ−タを用いて測定値を補正することにより、高精度で信頼性の高いエンコ−ダを実現できる。
図1(A)は本発明の1実施の形態としての変位量検出装置(エンコ−ダ)の全体構成図であり、図1(B)はトラックを示す図である。 図2(A)は本発明の1実施の形態としての変位量検出装置(エンコ−ダ)の全体構成図であり、図2(B)はトラックを示す図である。 図3は本発明の第1、第2実施の形態のエンコ−ダの回路構成図である。 図4は図3に例示したエンコ−ダの調整手順を示すフロ−チャ−トである。 図5は図3に例示したエンコ−ダのDC偏倚(バイアス)に伴う偏角のベクトル表示を図解した図である。 図6はDC偏倚を調整する手順を示すフロ−チャ−トである。 図7はエンコ−ダの出力と位相ずれに伴う偏角のベクトル表示を示す図である。 図8は本発明の第3実施の形態としての部分回路構成図である。 図9は第3実施の形態における誤差補正の手順を示すフロ−チャ−トである。 図10は本発明の第4実施の形態としての部分回路構成図である。 図11は本発明の第5実施の形態の誤差補正の手順を示すフロ−チャ−トである。
エンコ−ダの基本構成と動作原理
本発明の変位量検出装置(エンコ−ダ)の基本構成とその動作原理を述べる。
本発明のエンコ−ダの実施の形態として、図1および図2を参照して、位相変調信号を用いた変位検出方式のエンコ−ダを例示する。
図1、図2に図解のごとく、エンコ−ダはスケ−ル部20を有する。
スケ−ル部20は、図1(B)、図2(B)に例示したように、図示しない測定対象に軸支されて回転する回転板200の外縁の円周に沿って形成された波長λの信号が記録された、複数のトラック201を検出ヘッド211(または211a、211b)で検出する。すなわち、測定対象の回転に応じて回転する回転板200のトラック201を、検出ヘッド211(211a、211b)で検出して、測定対象の回転、移動などを検出する。
図1(A)の図解において、検出ヘッド211の検出デ−タが、変位量検出回路30において、基準信号生成回路10から出力される基準信号REFを参照してキャリア周波数fの位相変調信号epmとして検出される。位相変調信号epmは、位置デ−タ生成回路40において、基準信号生成回路10から出力される基準信号REFおよびクロックCK1を参照して、位置デ−タに変換される。
以上が、エンコ−ダの基本回路の構成と基本動作である。
誤差検出・評価・調整回路
図1(A)に図解したエンコ−ダは、さらに、システムに固有の内挿誤差を補正するために、下記に詳述する誤差検出・評価・調整回路を有する。
誤差検出・評価・調整回路は、誤差要因分析回路50、誤差評価判定回路60、調整信号生回路70、誤差デ−タ生成回路80、誤差補正回路90を有する。
補正モ−ドにおいて、位置デ−タ生成回路40で生成した位置デ−タが誤差補正回路90によって補正される。
また、必要に応じて調整モ−ドが起動され、調整信号生成回路70で生成された調整制御信号ADJが変位検出回路30に印加されて、経時的な誤差、ズレなどが調整される。
図2(A)に、図1に図解した変位量検出回路30における、調整信号生成回路70で生成された調整制御信号ADJによる調整回路を示す。
図2(A)においては、90度の位相を有する信号を検出する2個の検出ヘッド211a、211bを用いた例を示す。
変位量検出回路30は、第1チャンネル(CH1)前置増幅回路301、第2チャンネル(CH2)前置増幅回路302、CH1平衡変調回路303、CH2平衡変調回路304、2相信号生成回路305、加算回路306、および、調整制御信号に応じて、CH1前置増幅回路301、CH2前置増幅回路302には、検出ヘッドに重畳するDC成分を補正するDC偏倚調整回路311,312が、CH1平衡変調回路303、CH2平衡変調回路304には、該回路の利得調整回路313,314が、2相信号生成回路305には、該回路の位相差を調整する位相調整回路315を有する。
すなわち、変位量検出回路30は、誤差検出・評価・調整回路で算出した調整制御信号に応じて、誤差、ズレを調整可能に構成されている。
図1、図2に図解したエンコ−ダの誤差検出・評価・調整についての詳細は後述する。
以上の例示は、ロ−タリ−型エンコ−ダを例示しているが、リニア型も、その検出原理は上述したものと同様である。
出力信号の振幅と内挿誤差との関係
本発明に適用して好適な「位相変調信号を用いた変位量検出方式」のエンコ−ダ場合を例示する。エンコ−ダにおける相対変位量に応じて出力される位相変調信号の振幅情報は、誤差要因に固有の周期と偏角を有する正弦波信号が重畳した形で観測されること、そして、正弦波信号の振幅は、該要因によって発生する偏角誤差△X(=2π・δx/λただし、δxは内挿誤差)の振幅と等しく、振幅情報の位相と偏角誤差の位相には90度の差があることを、数式を参照して説明する。
理想的な状態における位相変調信号
キャリア周波数fの位相変調信号を用いた変位量検出方式のエンコ−ダを用いて波長λの目盛りが形成されたスケ−ルトラックの信号を検出した時、プラス方向の変位xを検出した時にCH1側ヘッドからはsin信号が、CH2側ヘッドからはcos信号が出力され、かつその振幅が等しいとすると、各々の検出ヘッドからは数式1に示す平衡変調信号が出力される。
Figure 0005341267
これらを加算して得られる位相変調信号epm、周波数fの基準信号をerefは、数式2で表わされる。
Figure 0005341267
上記の信号epm、erefを位相比較することにより、数式3に示す変位量xに対応した位相Φ(x)が得られる。
Figure 0005341267
ここで、ωt=T、角変位をX(=2πx/λ(rad))とおけば、位相変調信号epmは数式4で表わされる。
Figure 0005341267
位相変調信号epmの振幅情報をE(X)、角変位Xを(=2πx/λ)とおけば、数式5で表わされる。
Figure 0005341267
上式からも明らかなように、振幅情報E(X)は角変位X(0−2π)に関わらず一定の値をとる。つまり、理想状態における位相変調信号epmの振幅情報E(X)には変動がなく、位相変調信号epmと基準信号erefと比較することにより、波長λ内の位置xを誤差なく検出できる。
現実のシステムにおける位相変調信号
しかしながら、現実のシステムにおいては、エンコ−ダのスケ−ルトラック201(図1、図2)に形成された信号の不完全さや検出ヘッド211,211a,211bの不完全さのため理想的な位相変調信号を得ることはできない。そして、例えば、2相信号の出力レベルに差異があったときやこれら検出ヘッドの信号に直流のオフセット(以下、DC偏倚)が重畳したとき、さらには、2チャンネルの検出ヘッドの位相差が理想状態の90度からずれていた時(以下、位相ずれ)の位相変調信号は、各々の状態に固有の不完全さとなって観測され、この不完全さに伴う内挿誤差を発生し、スケ−ルトラックを波長λの目盛りで分割した高精度な検出を行う場合の阻害要因となる。
2相信号の出力レベルに差異が生じたとき
2相信号の出力レベルに差異があるとき、例えば、CH1(sin側)の出力に対してCH2(cos側)の出力がa(%)大きい(ただし、aは正または負の値をとる)ときの位相変調信号epmおよび偏角Xaは数式6で表すことができる。
Figure 0005341267
振幅情報
位相変調信号epmの振幅情報E(X)は数式7で表わすことができる。
Figure 0005341267
a≪1であることを考慮し、近似式を適用して整理すると、数式8で表わすことができる。
Figure 0005341267
このように、2相信号の出力レベルに差異が生じたときは振幅情報E(X)は、角変位Xに対して波長λの2周期成分に対応するリップル成分を含むことがわかる。
偏角誤差
従って、偏角誤差△Xは、数式9で表わす値となる。
Figure 0005341267
a≪1、△Xが十分に小さいのでtan△X=△Xと近似して整理すると数式10で表わすことができる。
Figure 0005341267
すなわち、2相信号の出力レベルに差異が生じたときは偏角誤差△Xは、E(X)のリップル成分と周期と振幅が等しく、位相がπ/2異なることがわかる。
2相信号の出力にDC偏倚が重畳したとき
次に、CH1(sin側)のヘッドにd(%)、CH2(cos側)ヘッドにd(%)(ただし、d、dは正または負の値をとる)なるDC偏倚が重畳した時の位相変調信号epmおよび偏角Xは数式11で表すことができる。
Figure 0005341267
振幅情報
上記に示す位相変調信号epmの振幅情報E(X)を、数式12に示す。
Figure 0005341267
ここで、d,d≪1であることを考慮し、近似式を適用して整理すると、数式13が得られる。
Figure 0005341267
ただし、偏角Φおよび振幅dは、数式14で規定される。
Figure 0005341267
上式からも明らかなように、DC偏倚が重畳したときの位相変調信号の振幅情報E(X)は、角変位Xに対して波長λの1周期成分に対応する変動成分を含むこと、そして、その振幅と偏角はdおよびdの組合せによって変化することがわかる。
偏角誤差
従って、偏角誤差△Xは、数式15で表わすことができる。
Figure 0005341267
数式14を適用し、tan△X=△Xの近似式を適用して整理すると、△Xは数式16で表わすことができる。
Figure 0005341267
これから、2相信号の出力にDC変位が重畳したときの偏角誤差△Xは、数式13に示した振幅情報E(X)のリップル成分と周期と振幅が等しく、位相がπ/2異なることがわかる。
2相信号に位相ずれがあるとき
便宜的に、CH1(sin側)のヘッドに対し、CH2(cos側)ヘッドが理想の90度に対して角度△Zの進みを生じた時の位相変調信号epmおよび偏角Xは、数式17で表わすことができる。
Figure 0005341267
振幅情報
上式に示す位相変調信号epmの振幅情報E(X)とおくと、数式18で規定できる。
Figure 0005341267
△Z≪1ゆえ、sin△Z=△Z、また、△Zは十分小さいとして近似式を適用すると、数式19が得られる。
Figure 0005341267
このように、2相信号の出力に位相ずれがあるときの振幅情報E(X)は、角変位Xに対して波長λの2周期成分に対応するリップル成分を含むこと、そして、2相信号の出力レベルの差異があるときの振幅情報に対してπだけ位相の進んだ信号であることがわかる。
偏角誤差
従って、偏角誤差△Xは、数式20で与えられる。
Figure 0005341267
△Z≪1のとき、cos△Z=1、tan△X=△X、sin△Z=△Zとして整理すると数式21が得られる。
Figure 0005341267
数式21から、位相ずれ△Zが生じたときの偏角誤差△Xは、振幅情報Ea(d)のリップル成分と周期と振幅が等しく、位相がπ/2異なることがわかる。
出力レベルのアンバランスとDC偏倚が同時に重畳したとき
次に、2つの要因が同時に発生したときの例として、2CHの検出ヘッド211a,211bの出力のアンバランスとDC偏倚が同時に重畳したときの出力信号の変動と内挿誤差との関係について確かめる。
今、CH2側の出力がCH1側出力に対してa(%)大きく、CH1側のヘッドにd(%)の、CH2側のヘッドにd(%)なるDC偏倚が同時に重畳した時の位相変調信号epmおよび偏角Xadは、数式22で規定される。
Figure 0005341267
振幅情報
上記位相変調信号epmの振幅情報をEad(X)とおくと、数式23で表わされる。
Figure 0005341267
d、φdについて数式14を適用し、さらにdc, ds, a≪1なので近似式を適用して整理すると、数式24が得られる。
Figure 0005341267
上式からも明らかなように、出力レベルの差とDC変位が同時に重畳したときの振幅情報Ead(X)は、これらが単独に重畳した時の振幅情報の合成として観測されることがわかる。
偏角誤差
従って、偏角誤差△Xadは、数式25で与えられる。
Figure 0005341267
数式14を適用すれば、△Xadは、数式26で与えられる。
Figure 0005341267
dc,ds,a≪1,△Xadが十分に小さいのでtan△Xad=△Xadと近似して整理すると、数式27が得られる。
Figure 0005341267
これらの数式からも明らかなように、位相変調信号の信号品位を劣化させる様々な要因、たとえば2チャンネルのヘッドから出力される信号レベルに差異が発生した時やこれらのヘッドにDC偏倚が重畳したとき、さらには、機構的な変化等によって、2チャンネルの検出ヘッド間の位相差にずれを生じたときの位相変調信号epmの振幅情報E(x)には、ずれの要因に固有な周期をもち、ずれの大きさと向き(極性)に応じた振幅と位相とを持つ誤差要因別情報が重畳した形で観測されることが判る。そして、各周期成分毎に分離抽出された誤差要因別情報とその要因によって引き起こされる偏角誤差との間には、振幅が同一で位相がπ/2異なることが判る。さらには、複数の誤差要因が含まれている場合には、各周期成分毎の誤差要因別情報の合成値として観測されることが判る。
第1の実施形態
本発明にかかる第1の実施形態として、最良の状態に調整されて出荷されたエンコ−ダの精度の経時的な劣化を監視(検出)し、定量的かつ統計的に評価するための方法について説明する。一般的に、エンコ−ダにおいては、たとえば、図1、図2に図解したように、スケ−ルと2チャンネルの検出ヘッドとの組み合わせ、さらには構成部品や生産工程上のばらつきを有するため、エンコ−ダに許容された精度を満足するように電気的もしくは機構的な調整を経て出荷される。しかしながら、構成部品等の経時的な劣化や環境の変化により出荷時の最良の調整状態から逸脱し、場合によっては意図した製品の精度を満足できなくなる可能性がある。
そこで、本発明においては、内挿精度を悪化させる様々な要因、たとえば、2相信号の出力レベルの差やこれら信号に重畳するDC偏倚、さらには機構的な変化等に伴う2チャンネルの検出ヘッド間の90度位相差のずれなど単一もしくは複合的な要因によって発生する位相変調信号の振幅情報に含まれる波長λの基本周期および高次周期成分毎に分離抽出された誤差要因別情報の振幅が所定のレベルを超えないように監視することによって、システムの内挿誤差が所定の基準値を超えないように管理するように構成することを特徴としている。
そして、振幅情報に含まれる波長λの1周期および2周期の誤差要因情報は、波長λ間を周期を所定の間隔でサンプリングした離散的なデ−タ(以下、離散エンベロ−プデ−タ)と、サンプリング間隔に対応した数ベクトルよりなる正弦波および余弦波の直交基準ベクトルとのマッチ度演算により周期成分毎の振幅と位相を検出可能であることを利用し、各周期成分毎の許容レベルと比較することにより、内挿誤差の劣化を所定のレベルに管理可能としている。
以下、変位xを波長λで正規化したときの角変位をX(=2πx/λ(rad))とし、プラス方向に移動したときCH1側の検出ヘッドからはsinX、CH2側の検出ヘッドからはcosXの信号が出力されるものとし、本発明にかかる第1の実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明にかかる1実施形態としてのエンコ−ダの全体の構成を、図2に本発明に適用して好適な位相変調信号を用いた変位量検出回路部の詳細構成図を、図3は第1の実施形態にかかる詳細な構成図を示す。
基準信号生成回路10は、キャリア周波数fの基準信号 (以下、eref信号)と波長λ内を1/nに分割してλの1/nの分解能を得るためのクロックパルスCKIを生成する。
スケ−ル部20には波長λの信号が記録されたトラック201と、該トラックの信号を検出するためのCH1検出ヘッド211aとCH2検出ヘッド211bで構成されており、CH1検出ヘッドからはsinX信号が、CH2検出ヘッドからはcosX信号が出力される。
CH1前置アンプ301およびCH2前置アンプ302は、これらの信号を所定のレベルに増幅する回路であり、検出ヘッド211a,211bからの出力に含まれるDC成分(DC偏倚)をキャンセルするために、例えば電子ボリュ−ムで構成された図示せぬDC補正手段が組み込まれており、CH1の信号に含まれるDC偏倚はDC1_Adj信号で、CH2の信号に含まれるDC偏倚はDC2_Adj信号によって最適な状態に調整可能となっている。
2相信号生成回路305は周波数fの基準信号erefから、正弦波の変調信号sinT(=sinωt)と余弦波の変調信号cosT(=cosωt)を生成する回路であり、位相調整手段PH_Adjによって2チャンネルの検出ヘッドにおける90度からのずれを調整可能となっている。そして、CH1前置アンプ301およびCH2前置アンプ302の出力とともにCH1平衡変調回路303およびCH2平衡変調回路304に導かれ、周波数fの直交する平衡変調信号に変換されるとともに、CH1前置アンプ301の出力に対してはGA1_Adj信号で、CH2前置アンプの出力に対してはGA2_Adj信号で所定の出力レベルに調整可能となっている。
また、加算回路306は、CH1平衡変調回路303およびCH2平衡変調回路304から出力される直交する2相の平衡変調信号を加算して位相変調信号(以下epm信号)を生成する回路であり、その振幅情報には誤差要因に応じた波長λの基本周期もしくは高次周期の誤差要因情報を含んでいる。
位相変調信号epmは、例えば自乗回路と低域フイル等で構成された検波回路501(図3)により位相変調信号の振幅情報のエンベロ−プ成分に変換されたのち、A/D変換回路502により、波長λの1周期に対してmヶ、即ちλ/m毎の離散エンベロ−プデ−タE(X)(k=0,1,・・・(m−1),X=kX/m)に変換される。
位相比較回路401は、位相変調信号epmとクロックパルスCKIを用いて波長λ内の位置に対応した分解能λ/n単位の図示せぬパルス列信号DT(X)に変換する回路であり、その出力はサンプリング信号生成回路402により低減され、AD変換回路502に対し、波長λ内の移動に対応してmヶのサンプリングパルスPS(X)を供給するように構成されている。
サンプリング定理によると、原信号に含まれる最高周波数をfとしたとき、2fよりも高い周波数でサンプリングしたときは原信号を忠実に再現することができる。従って、本発明においても時間軸を角変位Xに置き換え、波長λの移動に対応するX=0−2πの角変位に対して2倍の周期でくり返す誤差要因別情報を完全に再現するには、波長λ単位の移動に対して4より多い離散値デ−タを得る必要がある。
そこで、第1実施形態においては、m=8に設定して波長λ内において8点の離散エンベロ−プデ−タE(X)(k=0,1,・・・7)を生成するように構成するのが好都合である。
基準ベクトル504は、上述したサンプリング間隔にあわせ、波長λの移動に対応して8ヶのデ−タで形成された正弦波および余弦波状の基準ベクトルであり、波長λの1周期成分の誤差要因別情報(以下、1周期誤差要因情報)を弁別するための正弦波基準ベクトルVS(X)と余弦波基準ベクトルVC(X)および2周期成分の誤差要因別情報(以下、2周期誤差要因情報)を弁別するための正弦波基準ベクトルVC(X)と余弦波基準ベクトルVS(X)は数式28,29に示す、値を持つように構成するのが好都合である。
Figure 0005341267
Figure 0005341267
離散エンベロ−プデ−タE(X)と基準ベクトル504は、マッチ度評価回路503に導かれ、次に示すマッチ度演算により波長λの1周期誤差要因情報の正弦波成分RS1と余弦波成分RC1の振幅および2周期誤差要因情報の正弦波成分RS2と余弦波成分RC2の振幅を求めたのち、各々の周期成分毎の絶対値を求め、その絶対値を2倍して各周期成分毎の振幅R1およびR2を求め、離散エンベロ−プデ−タE(X)の平均値で除すことにより振幅を1Vに正規化したときのリップルRP1およびRP2として求めるように構成するのが好都合である。
以下、具体的な事例として、位相変調信号の基準レベルの1Vに換算してCH1側の検出ヘッドにds=−0.05V(=−5%)の、CH2側の検出ヘッドにdc=0.03V(=3%)のDC偏倚が重畳した場合の位相変調信号の振幅情報から各周期成分毎の誤差要因別情報を分離抽出できることを数式を用いて説明する。数式14より、上記に示すDC偏倚が重畳したときのdおよびφdは、数式30となる。
Figure 0005341267
上記DC偏倚d=0.058(V)と出力のアンバランスa=4(%)が加わった時の位相変調信号epmの理論式は、数式24より数式31のように表すことができる。
Figure 0005341267
上記連続信号を波長λ内の8点でサンプリングした離散エンベロ−プデ−タE(X)は、数式32に示す値となる。
Figure 0005341267
従って、1周期誤差要因情報の正弦波成分RSおよび余弦波成分RCの振幅は、基準ベクトルVSおよびVCとのマッチ度演算により数式33のように与えられる。
Figure 0005341267
同様に、2周期誤差要因情報の正弦波成分RSおよび余弦波成分RCの振幅についても、数式34で与えられる。
Figure 0005341267
これより、1周期誤差要因情報の振幅Rおよび2周期誤差要因情報の振幅Rは、数式35で与えられる。
Figure 0005341267
離散エンベロ−プデ−タE(X)の平均値E(X)=1.02なので、正規化した1周期誤差要因情報Rp1と2周期誤差要因情報の振幅Rp2は数式36で示す値となる。
Figure 0005341267
各周期成分の偏角Φ1およびΦ2は、数式37で与えられる。
Figure 0005341267
ここで、振幅Rp1=d/2に対応しているのでd=0.0572、従って、各チャンネルに重畳するDC偏倚および偏角φdは、数式38に示す値となる。
Figure 0005341267
さらに、振幅Rp2=a/2に対応しているのでa=0.0392を代入し、位相変調信号の振幅情報E(X)は、数式39で表わされる。
Figure 0005341267
このように、数式31に示す各々のチャンネルに重畳したDC偏倚dsおよびdcと、2相信号の出力レベルの差aを十分な精度で復元できることが分かる。
また、本実施形態においては、1周期誤差要因情報に対応する誤差要因はDC偏倚のみである。従って、数式37に示すΦ1と数式38に示すφdが同一であることは言うまでもない。さらには、波長λの3周期成分を発生する様な誤差要因があった場合にも同様な方法で対応可能なことは言うまでもない。
次に、システムに許容される内挿誤差の許容値を超えたか否かを判定する方法について説明する。
既に述べたように、様々な誤差要因によって位相変調信号の振幅情報には誤差要因に固有の周期成分を持つ誤差要因情報が含まれており、周期成分毎の振幅Rpn(ただし、n=1,2)と、該要因によって引き起こされる周期成分毎の偏角誤差△Xn(ただし、n=1,2)の振幅は等しい。
ここで、偏角誤差△X1=2π(δx1/λ)、△X2=2π(δx2/λ)であり、δx1は1周期成分によって発生する内挿誤差ε、δx2は2周期成分によって発生する内挿誤差εそのものである。
これら要因が互いに独立であるとすれば、位相変調信号の振幅情報に含まれる1周期誤差要因情報と2周期誤差要因情報は独立であると考えて良く、システムとして許容できる内挿誤差をεとすれば、「大数の定理」より、ε=√(ε +ε )と考えて良い。そして、これらの発生確率が等しいとすれば、ε=ε=ε/√2として管理すれば良い。
許容値デ−タ602は、マッチ度評価回路503から出力された1周期、2周期の誤差要因情報の振幅RP1とRP2が、システムに許容される内挿誤差の許容値、すなわち振幅の許容値を保持する回路であり、例えば、システムに許容される内挿誤差をεとし、各周期成分の生起確率を等しいとすれば、1周期誤差要因情報の振幅の許容値RP1Lおよび2周期誤差要因情報の振幅の許容値RP2Lとして、数式40で規定される次の値が保持されている。
Figure 0005341267
判定回路601は、マッチ度評価回路503から出力された1周期誤差要因情報の振幅RP1と2周期誤差要因情報の振幅RP2を、各々の許容値RP1LおよびRP2Lと比較し、例えば、1周期成分と2周期成分の許容値を同時に超えたことを判定の根拠として、システムに許容される内挿誤差の許容値εおよび判定信号Jを、出力するように構成されている。
第1の実施形態に於いては、位相変調信号の基準レベル1Vに対するリップルの振幅、つまり百分率振幅Rpn(n=1,2)を基準に判定を行うとして説明したが、例えば、振幅成分の平均値E(X)が大きく減少した場合にも計測誤差を発生する可能性がある。そこで、上記判定基準に対して、該該振幅が所定のレベル以下に低減したことを判定の条件に加え、より安全側に配慮した判定を行っても良い。
また、第1の実施形態に於いては、振幅情報に含まれる波長λに対する1周期誤差要因情報と2周期誤差要因情報に伴う内挿誤差の発生確率を同一としたが、システムの構成条件によっては、これらの発生確率に所定の重みを考慮して各々の周期成分に許容する内挿誤差の判定基準値を決めることもできる。そして、各周期成分が共に許容値を超えたことを判定の根拠としたが、いずれかの基準値を超えたことを判定の根拠としても良いことは言うまでもない。
第2の実施形態
次に、第2の実施形態として、内挿誤差が許容値を超えたときに初期状態に復帰させる方法について説明する。
第1の実施形態に於いて説明したように、本発明にかかる「変位量検出回路」には、CH1側検出ヘッドの出力レベルを電子的に調整する手段GA1_AdjとDC偏倚を調整する手段DC1_Adjが、CH2側ヘッドの出力レベルを電子的に調整する手段GA2_AdjとDC偏倚を調整する手段DC2_Adjが組み込まれており、2チャンネル間の出力レベルの差や各々の検出ヘッドに重畳するDC偏倚を電子的に調整可能となっている。
そして、CH1(sin)側の検出ヘッドに対し、CH2(cos)側の検出ヘッドの位相が理想の90度に対して△Zずれたことによって発生する内挿誤差を補正するために、2相信号生成回路305に平衡変調のための90度位相信号の一方、例えば、sinTの位相を、該ずれの大きさと方向に応じた位相φだけ電子的に調整する手段PH_Adjも組み込まれている。
2相信号の出力レベルの差異や、DC偏倚を電子的な手段で調整することに対しては改めて説明の必要はないと思うので、2チャンネルの検出ヘッドの位相差が、理想の90度からずれたことによって発生する内挿誤差を、sinT信号の位相を△φ変化させることによって調整可能なことを数式を用いて説明する。
sinT側の変調信号の位相を△φだけ△Zとは逆方向にずらした時の位相変調信号をepm(X)とすると、数式41で与えられる。
Figure 0005341267
sin△Z=sin△φになるように調整すれば、cos△φ=cos△Zなので、数式42が得られる。
Figure 0005341267
このことから、位相変調信号の振幅がcos△Z(〜1)になるだけで、理想状態の位相変調信号と変化はない。つまり、2チャンネルの検出ヘッド間の位相ずれに伴う内挿誤差は、平衡変調信号の位相を調整することによって補正できることがわかる。
次に、内挿誤差が許容値を超えたことを検出して、出荷状態の品質まで復帰させるための具体的な方法について説明する。既に述べたように、マッチ度評価回路503は、位相変調信号の振幅情報に含まれる1周期誤差要因情報および2周期誤差要因情報の振幅RP1とRP2に加え、各周期成分毎の偏角Φ1およびΦ2を出力するように構成されている。
そして、例えば、判定回路601から出力される判定出力Jと外部からの指令等によって調整モ−ドが起動されると、調整信号生成回路701はマッチ度評価回路503から出力される各周期成分毎の振幅情報RP1とRP2と偏角情報Φ1およびΦ2とを用い、初期値デ−タ702に保持されている出荷時振幅情報と偏角情報を基に、変位量検出回路30の調整要素に対して調整制御信号ADJを出力する。
図4は、調整信号生成回路701における調整手順を示す。調整信号生成回路701は、1周期誤差要因情報の振幅RP1と2周期誤差要因情報の振幅RP2の大小を比較し、内挿誤差への寄与度の高い方から調整を行い、初期値デ−タRpns(n=1および2)と比較し、同等の水準に調整が完了した時点で調整を終了し、初期値デ−タとの乖離が大きいときは最良の調整状態の値をもって初期値デ−タを更新するように構成されている。
先ず最初に、1周期誤差要因情報の原因となるDC偏倚の調整手順について説明する。
図5は、CH1側のDC偏倚dsinXおよびCH2側のDC偏倚dcosXをベクトルと考えて直交座標軸上に表示したものであり、dおよびdが正または負の値をとったときのx軸を基準とした偏角Φd(ただし、Φd=Φ1)との関係を示す。表1は、偏角Φ1が0−2πの範囲で変化したときのDC偏倚(dおよびd)の符号と大小関係を示したものである。
Figure 0005341267
これらより、偏角Φ1が直交座標軸上のどの象限に属するかがわかればdおよびdのDC偏倚の方向(正または負)が判別できる。さらに、これら象限の中央位置、例えば、第1象限であればπ/4との大小関係を判別することにより、ずれの大小関係を判別できることが分かる。
図6は、DC偏倚の調整にかかる手順を示した図である。調整信号生成回路701は偏角Φ1の状態に応じて、4つのグル−プに分類し、各々の象限に応じた最適な手順で調整制御信号を出力する。
以下、偏角Φ1が第1象限として分類された時の調整手順について詳細に説明する。
調整信号生成回路701はΦ1が第1象限の中央位置、即ちπ/4と比較し、例えば、Φ1<π/4の時は、d>0,d>0かつd>dとして、CH1側調整手段DC1_Adjを優先してマイナス側に調整し、調整後の偏角Φ1がπ/2に十分に近づいたことを検出してCH1側DC偏倚dが十分に小さくなったと判断し、今度は CH2側調整手段DC2_Adjをマイナス側に調整すれば良い。
そして、偏角Φ1が0に十分近づいたことを検出してCH2側DC偏倚dが十分に小さくなったと判断して調整作業を終了し、Φ1>π/4の時には上記とは逆の手順で調整を行い1周期誤差要因情報の振幅RP1を最小に調整して、1周期誤差の要因に伴う内挿誤差を出荷時の状態に復帰させる。ここで、偏角Φ1が他の象限に分類された時も同様の手順で調整の優先度と調整の方向を決定して最適な調整ができることは自明である。
次に、2周期成分の内挿誤差の原因となる2チャンネルの検出ヘッドの出力のアンバランスa(%)および(または)位相のずれ△Zの調整手順について説明する。数式8からも明らかなように、2相信号の出力レベルの差a(%)のみが発生した時の2周期誤差要因情報の偏角Φ2は、sin2Xを基準(x軸)として、振幅のずれa>0の時は1π/2(rad)であり、a<0の時は3π/2(rad)となる。
また、数式19からも明らかなように、90度位相のずれのみが発生したときの偏角Φ2は、ずれ△Z≧0の時はπ(rad)であり、△Z≦0の時は0(rad)となる。
そして、実際のシステムにおいてはこれら2つの要因の大きさと向き(極性)の様々な組合わせの結果として、位相差Φ2の位相が決定される。
図7は、(△Z/2)sin2Xと出力のアンバランス(a/2)cos2Xをベクトルと考えて直交座標上に示したもので、位相ずれ△Zを横軸(x軸)、出力のアンバランスaを縦軸(y軸)にとった場合の偏角Φ2との関係を示す。
表2は、偏角Φ2が0−2πの範囲で変化した時の位相ずれ△Zと出力のアンバランスaの符号と大小関係を示したものである。
Figure 0005341267
これらより、偏角Φ2が直交座標軸上のどの象限に属するかを判定し、その象限の中央位置と比較することにより、DC偏倚と同様の手順で内挿誤差対する影響の大きい要因と調整の方向を決定し、出力のアンバランスはAG1_AdjまたはAG2_Adjを、位相ずれの場合にはPH_Adjを所定の方向に調整する制御信号を出力し、2周期誤差要因情報にかかる振幅Rp2を最小に調整して2周期誤差の要因に伴う内挿誤差を出荷時の状態に復帰させることができる。
そして、調整完了後の各周期成分のリップル振幅Rpnと偏角Φが、エンコ−ダ出荷時の状態(RpnsおよびΦns)とほぼ同等なことを判定の条件として調整作業を完了すれば良い。そして、最良の状態に調整ができなかった場合においても、システムに許容できると判断できる場合には、次回の再調整作業に備え、最良調整後のリップルと偏角で出荷時のデ−タを書き換えるように構成すれば良い。
本実施の形態においては、リップルの1周期成分と2周期成分の発生確率が同一とした条件で説明したが、システムの構成条件等を考慮し、所定の重みを持たせた発生確率とし、各々の周期成分に許容する振幅を決定しても良い。また、上述した例は、1周期成分と2周期成分がともに判定基準を超えたときに調整モ−ドを起動するとしたが、システムに要求される仕様等を考慮して影響度の大きな成分のみが許容値を超えたことを検出して調整モ−ドを起動するようにしてもよい。
さらに、エンコ−ダの出荷時などにおいて、あらかじめ調整要素の最小調整単位と被調整要素の変化量との関係を所定の記憶領域に保存するようにしておけば、調整作業のさらなる効率化と高精度化が実現される。
第3の実施形態
測定原理や方式に限らず、全ての長さ(角度)計測システムは素子のばらつきや管理上のばらつき等に起因する固有の誤差要因を有しており、最良の状態に調整され、製品に要求される品質が保証されたものが出荷される。しかしながら、あらゆる電子部品や機構部品は時間の経過とともに性能の劣化や損耗を起こし出荷時の品質や性能を維持することができない。
そこで、本発明においては、第1実施の形態において、時間の経過とともに発生する性能の劣化、具体的には内挿誤差の劣化を監視し、内挿誤差の劣化を統計的に評価判定する方法を、そして、第2実施の形態において、時間の経過とともに劣化した内挿誤差を出荷時の品質に復帰させるための自動調整にかかる方法を提案した。
これらの方法を適用することにより、長期間にわたってエンコ−ダ出荷時の品質レベルを維持することができる。しかしながら、最良の状態に調整されたとはしても内挿誤差の影響を完全に除去できるわけではなく、電子素子や機構部品のばらつきあるいは管理上の問題等に起因するシステムの内挿誤差が存在する。そして、長さ(角度)計測システムにおける内挿誤差は、例えば、2チャンネル間の出力レベルの差異や各チャンネルに重畳するDC偏倚等、要因に固有の影響を受け、これらの要因が重畳したときの位相変調信号の振幅情報から分離抽出された誤差要因別情報の各周期別の振幅成分と該要因によって発生するによって発生する偏角誤差との間には、周期と振幅が同一で、位相のみが90度異なることを説明した。
これは、位相変調信号の振幅情報に重畳する全ての周期の誤差要因別情報の振幅と偏角が既知であれば、演算により内挿誤差の振幅と偏角を算出可能なことを示している。第3実施形態は、スケ−ル部の隣接する近傍の波長同士では、誤差要因となる統計量のばらつきが無視できるほど小さいことを利用してシステムに残存する内挿誤差を極限まで減少させる誤差補正技術を提供する。
そして、第3実施形態にかかる誤差補正動作は、最初に走査された波長内においてのみ実施される該波長内のリップルデ−タと誤差デ−タへの変換するプロセスと、次に走査された波長以降で実施される前記誤差デ−タを用いた誤差補正と次の波長における誤差補正のためのリップルデ−タ取得と誤差デ−タへの変換を同時に行うプロセスであり、所定の条件が満たされた時、あるいは、必要に応じて誤差補正モ−ドを起動して実施するように構成するのが好都合である。
以下、システムの内挿誤差が位相変調信号の振幅情報に含まれる誤差要因別情報が、1周期誤差要因情報と2周期誤差要因情報の2種類だけの場合を具体的な事例として、第3の実施形態における誤差補正の方法について具体的に説明する。
図8は誤差補正動作の実施にかかる機能要素の構成例を示した図である。波長内位置計測回路403は、位相比較回路401から出力される、波長λ内の位置に対応して出力される分解能単位のパルス列信号PS(x)を計数し、波長内の位置に対応したデ−タDT(x)を出力する回路である。
また、誤差演算回路801は、マッチ度評価回路503から出力される、位相変調信号に重畳する各周期成分毎のリップルの振幅Rpnおよび偏角Φを基に、下記式に示す演算によりシステムの分解能に対応した誤差に変換する部分であり、波長内の位置をアドレスとする誤差テ−ブル802内の記憶領域に保存される。
誤差テ−ブル802のデ−タは、波長内の位置xをアドレスとして、波長内の所定の位置に対応する誤差デ−タDTie(x)が参照できるようになっている。
補正回路90は、前記により参照された誤差デ−タDTie(x)と波長内の位置DT(x)から補正されたデ−タCP(x)を出力する回路である。
図9は、プラス方向へ連続的に移動している状態でl(エル:以下同様)番目の波長の原点位置から「誤差補正モ−ド」が起動されたものと仮定して誤差補正にかかる全体の処理手順を示したフロ−チャ−トである。l番目の波長においては該波長内におけるリップルデ−タの取得プロセスと誤差デ−タへの変換プロセスが、そして、l+1番目の波長においてはl+2番目の波長における誤差補正のためのリップルデ−タの取得と、前記l番目の波長において取得された誤差デ−タを用いてl+1番目の波長における誤差補正が行われ、以下、l+2番目の波長においても同様の手順で誤差補正が実施される。
本実施の形態に於いては、位相変調信号の振幅情報には、波長λの2周期成分を超える誤差要因別情報は存在しないので、波長内の原点位置における離散エンベロ−プデ−タE(X)を含む8ヶ所の離散エンベロ−プデ−タE(X)=(k/8)λ(k=0−7)を計測すれば良い。
そこで、波長内位置計測回路403は、1番目の波長に於いては、(33)式および(34)式に示す演算により、1周期および2周期の誤差要因別情報の正弦波成分RS(n=1,2)および余弦波成分RC(n=1,2)の振幅を計算し、さらに、(36)式および(37)式に示す演算により1周期成分の振幅RP1と偏角Φ1および2周期成分の振幅RP2と偏角Φ2を求めたのち、数式43により、角変位Xに対応する誤差関数IE(x)を得る。
Figure 0005341267
そして、波長内位置計測回路403は、数式44により波長λ内の変位xに対応した分解能単位の内挿誤差DTie(x)に変換し、変位xをアドレスとする誤差テ−ブル802のテ−ブル領域に保管する。
Figure 0005341267
次に、波長内位置計測回路403は、(l+1)番目の波長においては、波長内の位置DT(x)をアドレスと前記1番目の波長において生成された誤差デ−タDTie(x)を参照し、数式45に示す演算により補正された分解能単位のデ−タCMP(x)を得るとともに、(l+2)番目の波長における誤差補正のためのリップルデ−タの取得と誤差デ−タへの変換プロセスが同時に実施される。
Figure 0005341267
本実施の形態に於いては、プラス方向へ連続的に移動している状態についての説明を行ったが、移動方向が常に反転する実際のシステムの於いても、本発明の思想の延長線上で対応できる。また、波長λに対して2周期をこえる誤差要因別情報を含まない、即ち、2周期を超えて変化する誤差成分を持たないことを考えると、変位xに対する内挿誤差の変化率(微分係数)は十分に小さい。従って、分解能に対応するメモリ領域を準備しなくても、実施形態3に述べたと同様の効果を発揮できる。
また、本実施の形態に於いては、波長λ内の分解能単位のデ−タDT(x)を補正した波長λ内の絶対値デ−タCMP(x)出力する場合について説明したが、サンプリングタイム毎の絶対値デ−タの差分値を計算することにより、補正されたインクリメンタルなパルス列デ−タとして取り出すことが可能である。
さらに、本実施の形態においては、位相変調信号の振幅情報に波長λの2周期を超える誤差要因別情報がないとして説明したが、例えば3周期誤差要因情報が含まれたとしても同様な手順でその周期の正弦波成分および余弦波成分の振幅RS3およびRC3の振幅を求め、これらの情報を用いてその周期の振幅Rp3およびφ3を求めたのち、その周期による誤差成分を誤差テ−ブルに加える様に構成すれば良い。
第4の実施形態
第2の実施の形態に於いては、経時変化に伴う内挿誤差の劣化を自動調整によって出荷時の状態に復帰させる技術について説明した。また、第3の実施形態では、隣接する波長間に於いては、内挿誤差の要因となる統計量のばらつきが無視できる程小さいことを利用し、残存する内挿誤差を極限まで低減させる技術について説明した。
しかしながら、長さや角度の検出システムに於いては、例えば、検出ヘッドから出力される信号(以下、スケ−ル信号と称する)に含まれる高調波成分、特に、スケ−ル波長λの3倍の高調波成分や5倍の高調波成分であり、前述のずれ要因と同様にシステムの内挿誤差を悪化させる要因となる。そして、これら高調波成分による影響は、電気的な調整手段によっては除去できないという課題を有している。
第4の実施形態は、これら誤差要因が電子的な調整では除去できない反面、測定長全域に亘ってほぼ同様の比率でスケ−ル信号に重畳すること利用し、より効率的な誤差補正技術を提供する。
(1)3次高調波成分のみが含まれる場合
まず、内挿誤差に対する影響がより大きい3次高調波成分の影響について説明する。今、CH1検出ヘッドにh3s(%)の、CH2の検出ヘッドにh3C(%)の3次高調波成分が含まれている時の位相変調信号をepmおよび偏角をXh3は、数式46のように表わすことができる。
Figure 0005341267
振幅情報
上式に示す位相変調信号epmの振幅情報をEh3(X)とおき、近似式を適用して整理すると、数式47が得られる。
Figure 0005341267
両チャンネルの3次高調波の大きさがほぼ等しいことを考慮し、h3s=h3c=hとおくと、数式48が得られる。
Figure 0005341267
従って、偏角誤差△Xh3は、数式49で与えられる。
Figure 0005341267
≪1、かつ△Xh3が十分小さいので△Xh3は数式50のように表わすことができる。
Figure 0005341267
2相信号に重畳する3次高調波hは2周期誤差要因情報として位相変調信号の振幅情報に重畳し、前記高調波hが常に正の値をとることを考慮すると、偏角誤差△Xの位相は、振幅情報Eh(x)に対して常に90度進みとなることが分かる。
(2)3次高調波に加え5次高調波成分が含まれる場合
2相信号の出力にh(%)の3次高調波とh(%)の5次高調波が含まれている時の位相変調信号をepm、偏角をXhtとすると、数式51で表わすことができる。
Figure 0005341267
従って、振幅情報Eht(X)は、数式52で表わすことができる。
Figure 0005341267
また、偏角Xhtは、数式53に示す値となる。
Figure 0005341267
(%)の第5次高調波成分の影響は、波長λの4周期誤差要因情報となって表れること、そして、4周期成分に対しても偏角誤差△Xhtの位相は、振幅情報Eht(x)に対して90度の進みであることが分かる。
そして、2相信号の両方のチャンネルに含まれる高調波成分が等しいとすれば、CH1前置アンプ301からの出力を1次の正弦波基準ベクトルVS1および3次、5次の基準ベクトルVS3およびVS5とのマッチ度を評価することにより、正弦波信号の基準レベルに対する3次高調波の含有量h(%)および5次高調波成分の含有量h(%)を弁別できる。
数式54は、5周期成分を正確に抽出するための正弦数ベクトルVS1,VS2,およびVS3を、波長λ区間の16列の数ベクトルとして構成した例を示したものである。
Figure 0005341267
これらの演算によって求められた高調波歪みの含有量をもとに誤差関数を求め、第3実施の形態に示したと同様の手順で誤差補正を行うことができる。また、これら高調波成分は測定範囲全域に亘ってほぼ等しく反映されることを考慮すると、例えばエンコ−ダの出荷時や再調整時においてこれらの成分を弁別し、測定長全域に亘って適用できる誤差テ−ブルを準備し、実際の測定においては、波長内の位置に対応する測定値を前記誤差テ−ブルを用い補正するようにすれば、誤差補正にかかる演算処理の負担を大幅に軽減でき好都合である。
図10は、第3次高調波h3および第5次高調波h5を弁別するための具体的な構成例を示した図である。図10に示すA/D変換回路502には、変位量検出回路301からの相変調信号epm(X)の代わりに、CH1前置アンプ301の出力sinX、(実際には、高調波を含むsinX+h・sin3X+hsinhX)が直接入力されている。そして、サンプル信号生成402は、波長λに対して5倍の周期成分を検出できるように、角偏倚X(=2πrad)の移動に対して16ヶのサンプリングパルスSP,すなわち、前記sinX信号を16ヶの離散デ−タEbm(X)(k=0−15)に変換する。
次に、離散デ−タEbm(X)と各々の基準ベクトルとのマッチ度演算により、基準成分sinXと3次高調波成分sin3Xおよび5次高調波成分sin5Xの振幅hおよびh5 を求め、各々の成分における偏角をπ/2だけ進めた誤差関数Ie(x)を生成し、該誤差関数を分解能単位の内挿誤差DTile(x)に変換して誤差テ−ブルを作成すれば良い。そして、サンプリング周期T(=1/f)毎に計測される波長内の位置xに対応したデ−タDT(x)をアドレスとして誤差テ−ブル802を参照し、補正したデ−タCMP(x)を得るようにすれば良い。
第4実施の形態においては、第3次高調波hに加え、第5次高調波hの影響も含めて説明した。しかしながら、一般的に、第3次高調波に比べて第5次高調波の影響は少ないので、実用的には、第3次高調波成分hの影響のみを考慮しても良い。
また、第3次高調波成分の影響評価に際し、第4実施の形態においては、CH1に重畳する高調波成分hdsとCH2に重畳する高調波成分hdcの大きさが略等しいものとしたが、より厳密には、CH1前置アンプ301の出力sinX成分だけでなく、CH2前置アンプ302の出力cosX成分を余弦波の基準ベクトルと比較し、これらの影響も含めて誤差関数IE(x)を求め、この値をもとに分解能単位の誤差テ−ブルDTile(x)を生成すれば良い。
その場合には、3次高調波成分の時だけでも、CH1に重畳する高調波成分h3sとCH2に重畳する高調波成分h3cとの差の1/2の振幅を持つ4周期成分のリップルが重畳し、5次高調波成分のCH1に重畳する高調波成分h5sとCH2に重畳する高調波成分h5cの和の1/2の振幅を持つ4周期成分の合成値として評価すれば良い。
第5の実施形態
第3実施の形態では、隣接する波長間に於ける誤差要因となる統計量のばらつきが無視できる程小さいことを利用し、最初に走査された波長内で弁別された誤差関数を用いて次に走査される波長内の誤差を補正し、以下同様な繰り返しによる誤差補正方法を述べ、第4実施の形態では、スケ−ル信号に重畳する波長λの奇数倍、たとえば、3次高調波や5次高調波に起因する内挿誤差は測定領域全域に亘ってほぼ均一であることを利用し、出荷時や再調整時などに取得された誤差関数を用いて算出された誤差テ−ブルを用いた誤差補正方法について説明した。
しかしながら、第2実施の形態で述べた電気的に調整可能な誤差のうち、2相信号の出力レベルの差によって発生する振幅情報の誤差要因別情報と該要因によって発生する偏角誤差と、第4実施の形態として述べた3次高調波成分による位相変調信号の振幅情報と概要因によって発生する偏角誤差は、共に波長λに対して2周期の成分を持つ。
ここで、2チャンネルの検出ヘッドの出力にh%の3次高調波成分が含まれ、CH1側の出力がCH2に対してa(%)変化したときの位相変調信号epm(X)および偏角Xahは数式55のように表わすことができる。
Figure 0005341267
振幅情報
上式に示す位相変調信号の振幅成分をEah(X)とおくと、数式56に示す値になる。
Figure 0005341267
a,h≪1であることを考慮して近似式を適用して整理すると、数式57が得られる。
Figure 0005341267
偏角誤差
従って、偏角誤差△Xahは、数式58で表わされる。
Figure 0005341267
a,h≪1であり、△Xahが十分小さいので、△Xahは数式59のように表わすことができる。
Figure 0005341267
内挿誤差は位相変調信号のリップル成分に対して90度の進み位相となる。しかしながら、数式57および数式59からも明らかなように、出力のアンバランスを規定するパラメ−タaは、リップルの場合には3次高調波hに対して減算的に重畳するのに対し、内挿誤差の時には3次高調波hに対して加算的に働く。
換言するならば、パラメ−タaを調整してリップルの振幅を最小、即ち、h=a/2にすると、内挿誤差の振幅は2hとなり、3次高調波成分が含まれているときは、パラメ−タa、即ち、CH1_Adjまたは、CH2_Adjの調整では内挿誤差が最小になるような調整ができないことが分かる。
第5実施の形態は、3次高調波の存在に影響されずに出力のアンバランス調整を行い、かつ、3次高調波に伴う内挿誤差の影響を補正する手段を提供する。以下、図11を参照しながら本実施の形態について詳細に説明する。
本手順は、エンコ−ダの出荷時あるいは再調整モ−ドが起動された時に実施されるのが好都合である。このモ−ド起動されると、第4実施の形態に示したように、CH1前置アンプから出力される信号と前記1周期成分の正弦波基準ベクトルVS1および3周期成分の正弦波基準ベクトルVS3とのマッチ度演算を行い、基本波および3次高調波成分の振幅を弁別し、これらをもとに基本波の1Vに換算した3次高調波の含有量hを求める。
そして、数式43に準じて3次高調波成分に伴う誤差関数IE(x)を求め、分解能に対応した誤差テ−ブルDTie(x)を生成する。しかる後、第2実施の形態で述べた手順に従い、位相変調信号のリップルに含まれる2周期成分の振幅Rpおよび偏角Φ2を求め、振幅と3次高調波hとの大小を比較し、CH1_AdjまたはCH2_Adjを調整し、振幅Rpが、hと等しくなるように調整し、本手順による作業を終了すれば良い。
これにより、位相変調信号の2周期成分による内挿誤差は、3次高調波成分によるものになるので、実際の測定時には3次高調波による誤差テ−ブルをもとに測定値を補正すれば、3次高調波による内挿誤差の影響を補正することができる。そして、さらなる高精度計測が必要な時は、第3実施の形態で述べたように、隣接する波長の誤差関数を用いて次の波長における誤差補正を行うように構成すれば良い。
第6の実施形態
本発明においては、位相変調信号を用いた変位量計測システムに適用するのが好都合である。そして、第1実施の形態から第5実施の形態を含めて、全て位相変調型の変位量検出回路を用いたシステムの中で説明した。しかしながら、本発明は位相変調信号を用いた変位量計測装置だけでなく90度位相差を有する2相信号を用いた全ての変位量計測システムに適用できる。
そして、近年におけるミックスドシグナル技術の進展は、アナログ信号をデジタル信号に変換して処理する方が好都合な場合もある。例えば、CH1側検出ヘッドから正弦波状に変化する信号を、CH2検出ヘッドから余弦波状に変化する信号が得られたとき、これらの信号をベクトルと考えれば、これらの信号の合成ベクトルは常に正であり、該合成ベクトル、即ち、極座標変換を行ったときの絶対値には、各々のチャンネルから出力される90度位相差を有する2相信号の不完全さに伴う誤差要因別情報が、そして、偏角にも、該要因に伴う偏角誤差が反映される。
今、CH1(x)(sin側)の出力に対して、CH2(cos側)の出力がa(%)大きい場合の各々の出力をe1およびe2、波長λ内の位置xに対応した角偏倚をX(=2πx/λ)とすると、数式60のように表わすことができる。
Figure 0005341267
となり、これらを合成して得られる絶対値を|R|、偏角をX′とすると、数式61のように表わすことができる。
Figure 0005341267
これは、位相変調信号の振幅成分と偏角成分と全く同一のものであり、スケ−ル部と検出ヘッドとの相対的な移動に対して出力される略90度の位相差を有する2相信号を極座標変換して波長λ内の位置を検出するように構成した変位量計測システムにおいても本発明が適用可能である。
10・・・基準信号生成回路、20・・・スケ−ル、30・・・変位量検出回路、301/302・・・前置増幅回路、303/304・・・チャンネル平衡変調回路、305・・・2相信号生成回路、306・・・加算回路、40・・・位置デ−タ生成回路、401・・・位相比較回路、402・・・サンプル信号生成回路、50・・・誤差要因分析回路、501・・・検波回路、502・・・A/D変換回路、503・・・マッチ評価回路、60・・・評価判定回路、601・・・判定回路、602・・・許容値デ−タメモリ、70・・・調整信号軽々回路、701・・・調整信号生成回路、702・・・初期デ−タメモリ、80・・・誤差デ−タ生成回路、801・・・誤差演算、802・・・誤差テ−ブル、90・・・誤差補正回路。

Claims (11)

  1. 波長λの目盛が形成されたスケール部と、該スケール部の波長λの目盛に対して90度または略90度の位相差を有する2相の信号を生成するように配設された第1および第2の検出ヘッドを有する変位量検出装置の誤差を検出し、評価する変位量検出装置の誤差検出・評価方法であって、
    スケール部と検出ヘッド部との相対移動量に応じて位相が変化するキャリア周波数fの位相変調信号として取出し、該位相変調信号の振幅成分のエンベロープ情報、もしくは、前記90度または略90度の位相差を有する2相の信号を極座標変換して得られる振幅情報から、前記2相の信号の信号品位を劣化させる誤差要因に固有な波長λの基本周期および高次周期の正弦波信号として分離抽出して得られた誤差要因別情報の振幅と偏角を、該変位量検出装置に許容される内挿誤差を基準として設定された各周期成分毎の振幅および偏角の統計量と比較評価する、変位量検出装置の誤差検出・評価方法。
  2. 波長λの目盛が形成されたスケール部と、
    該スケール部との相対移動に応じた、周波数fの90度または略90度の位相差を有する相対変位量を示す2相の信号を生成する第1、第2の検出ヘッドと、
    当該変位量検出装置の誤差を検出し、評価する、誤差検出・評価手段と
    を有する、変位量検出装置であって、
    当該誤差検出・評価手段は、
    前記90度または略90度の位相差を有する前記2相の信号を周波数fで互いに直交する2相の正弦波信号で変調して平衡変調信号として取り出し、
    該平衡変調信号を加算もしくは減算して得られる周波数fの位相変調信号の振幅成分のエンベロープ情報もしくは該2相の信号を極座標変換し、
    前記座標変換によって得られる振幅情報から、前記2相の信号の信号品位を劣化させる誤差要因に固有な波長λの基本周期および高次周期の正弦波信号として分離抽出し、
    当該分離抽出によって得られた誤差要因別情報の振幅と偏角を、当該変位量検出装置に許容される内挿誤差を基準として設定された各周期毎の振幅および偏角の統計量と比較評価する、
    変位量検出装置。
  3. 当該誤差要因を調整する手段を具備し、
    前記誤差検出・評価手段は、
    前記相対変位量に応じて得られる振幅情報から分離抽出された誤差要因別情報をもとに、前記2相信号の信号品位を劣化させる誤差要因とその大きさおよび方向(極性)を特定し、
    前記調整する手段を電子的に制御する、
    請求項2に記載の変位量検出装置。
  4. 前記誤差検出・評価手段は、
    波長λの基本周期および高次周期の正弦波信号として分離抽出された正弦波状の誤差要因別情報の、各周期成分毎の振幅の変動パターンと該周期成分によって発生する波長λで正規化した内挿誤差(以下、偏角誤差)の変動パターンとの間には周期と振幅が同一で偏角のみがπ/2(rad)異なることを利用し、前記誤差要因別情報の振幅情報と偏角情報を用いて該周期による誤差関数を生成し、
    該誤差関数をもとに生成された波長λ内の位置に対応した誤差テーブルを用いて、相対変位量に対応じて計測された波長λ内の位置を補正する、
    請求項2または3に記載の変位量検出装置。
  5. 前記誤差検出・評価手段は、前記相対変位量に応じて得られる振幅情報および2相信号の振幅またはいずれか一方を、波長λ区間内の所定の間隔毎にサンプリングして得られるm点の離散エンベロープデータと、波長λの基本周期および高次周期のm点の数ベクトルより成る直交基準ベクトルとのマッチ度評価により、前記誤差要因別情報から波長λの周期成分ごとの振幅情報および偏角情報および前記2相信号に含まれる高調波成分またはいずれか一方を分離抽出する、
    請求項2〜4のいずれかに記載の変位量検出装置。
  6. 前記誤差検出・評価手段は、
    前記相対変位量に応じて得られる振幅情報と、波長λの基本周期もしくは高次周期の直交基準ベクトルとのマッチ度評価によって得られた各周期成分毎の振幅の大きさから当該変位量検出装置の内挿誤差に及ぼす影響度を評価し、
    偏角の位置する直交座標上の4つの象限から内挿誤差を悪化させる要因とずれの大きさおよび方向(極性)とを判別し、内挿誤差に及ぼす影響の大きい要因を優先して調整する、
    請求項2〜5のいずれかに記載の変位量検出装置。
  7. 前記誤差検出・評価手段は、前記相対変位量に応じて出力される2相信号に波長λの第3次高調波成分を含む変位量検出装置における前記2相信号間の出力レベルのアンバランスを規定するパラメータaを調整するとき、
    前記第3次高調波の大きさを規定するパラメータh3の大きさと略等しくなるように調整し、
    前記パラメータaとパラメータh3とが、内挿誤差の振幅に関して加算的に重畳しない調整を行う、
    請求項2〜6のいずれかに記載の変位量検出装置。
  8. 前記誤差検出・評価手段は、
    前記第1、第2の検出ヘッドで検出した信号から、2相の信号を生成する信号生成回路と、
    前記2相の信号を周波数fで互いに直交する2相の正弦波信号で変調して得られた平衡変調信号を加算もしくは減算の演算を行う、演算回路と、
    当該演算で得られる周波数fの位相変調信号の振幅成分のエンベロープ情報もしくは該2相の信号を極座標変換し、前記座標変換によって得られる振幅情報から、前記2相信号の信号品位を劣化させる誤差要因に固有な波長λの基本周期および高次周期の正弦波信号として分離抽出し、当該分離抽出によって得られた誤差要因別情報の振幅と偏角を、当該変位量検出装置に許容される内挿誤差を基準として設定された各周期毎の振幅および偏角の統計量と比較評価する手段と、
    を有する、請求項2〜7のいずれかに記載の変位量検出装置。
  9. 波長λの目盛が形成されたスケール部と、
    該スケール部の信号を検出する第1、第2の検出ヘッドとの相対移動に応じて出力される2相の信号を平衡変調信号として取り出し、該平衡変調信号を加算もしくは減算して位相変調信号を出力する変位量検出手段と、
    該位相変調信号の振幅情報から波長λの基本周期および高次周期の誤差要因別情報を分離抽出し、該誤差要因別情報の周期と振幅および偏角情報を用いて誤差要因と誤差への影響度を分析する誤差要因分析手段と、
    該誤差要因が所定の水準に設定されたことを判定する評価判定手段と、
    該評価判定手段の出力に応じた該誤差要因の調整制御信号を出力する調整信号生成手段を具備し、
    前記変位量検出手段は、
    第1および第2の検出ヘッドに重畳するDC偏倚を調整する手段と、
    前記平衡変調信号の出力レベルを調整する手段と、
    該平衡変調信号の2相の変調信号の位相差を調整する手段とを有し、
    調整モードにおいて、前記調整信号生成手段の出力に基づいてこれらの調整手段を調整可能に構成した、
    変位量検出装置。
  10. スケール部と第1、第2の検出ヘッドとの相対移動に応じた位相変調信号を出力する変位量検出手段と、
    該位相変調信号の振幅情報から波長λの高次周期の誤差要因情報を分離抽出し、該誤差要因情報の周期と振幅および偏角情報を用いて誤差要因を特定する誤差要因分析手段と、
    該分析された誤差要因情報を用いて波長λ内の位置に対応した誤差データを生成する誤差データ生成手段と、
    前記変位量検出手段の位相変調信号を用いて波長λ内の位置データを生成する手段と、
    これらのデータを用いて波長λ内の誤差を補正する誤差補正手段とを有し、
    補正モードにおいて前記波長λ内の位置データと誤差データを用いて波長λ内の誤差を補正可能に構成した、
    変位量検出装置。
  11. スケール部と第1、第2の検出ヘッドとの相対移動に応じた2相信号と位相変調信号を出力するように構成し、該2相信号に重畳するDC偏倚と、該位相変調信号を生成する2相の平衡変調信号の出力レベルおよび平衡変調信号の2相の変調信号の位相を調整する手段とを備えた変位量検出手段と、
    該2相信号に重畳する第3次高調波成分の含有率と前記位相変調信号の振幅成分に重畳する誤差要因別情報を分離抽出する誤差要因分析手段と、
    該分析された第3次高調波成分の含有率を用いて波長λ内の位置に対応した誤差データを生成する誤差データ生成手段と、
    前記変位量検出手段の位相変調信号を用いて波長λ内の位置データを生成する手段と、
    前記誤差要因分析手段の出力に出力レベルの差異に起因する誤差要因別情報が分離抽出された場合は、該誤差要因が所定の水準に設定されたことを判定する評価判定手段と、を有し、
    これらのデータを用いて波長λ内の第3次高調波成分に起因する誤差を補正可能とに構成した変位量検出装置であって、
    前記評価判定手段の判定レベルを、前記第3次高調波の含有率に見合った値に設定し、出力レベルの差異に伴う誤差要因が第3次高調波成分に伴う誤差に加算的に重畳しないように調整する、
    変位量検出装置。
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