JP5339962B2 - 地中熱交換体の施工方法及び該方法に用いる中空管体 - Google Patents
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Description
なお、本明細書において地中熱交換体とは、地中に配置される熱交換媒体、熱交換媒体を地中に配置するための部材、機器類をいうものとする。
地中熱を利用する一般的な方法は、地中熱との熱交換を行なう熱交換媒体を地中に配置してこの熱交換媒体の熱を前記空調等に利用するというものである。
しかし、日本ではボアホールの掘削コストが高いという理由でそれほど普及していない。また、ボアホールは掘削する場合には、孔壁保護のために泥水やセメント等を用いるため地下水を汚染する危険がある。さらにまた、ボアホール内に収容される熱交換チューブが埋め殺しとなり、メンテナンス性に問題がある。
(1)先端鋼管と削孔鋼管のいずれか一方の先端部に螺旋状羽根を備え、先端鋼管を装着した削孔鋼管を地中に回転・圧入して所定の掘削深度まで到達させ、次いで削孔鋼管内に熱交換チューブを挿入し、次に削孔鋼管を逆回転して先端鋼管を切離して削孔鋼管を引抜き回収しながら同時に熱交換チューブの周りの孔内にグラウト材を充填して熱交換チューブを設置する(特許文献1参照)。
この発明によれば、先端部のみに螺旋状羽根を設けた回転圧入鋼管を用いて無排土で削孔し、削孔内に熱交換チューブを挿入後、グラウト材を充填しながら削孔鋼管を先端鋼管と切離し離脱して引抜き、仮ケーシングなしで熱交換チューブを削孔に挿入設置可能としたため、排土処分が不要となり、熱交換チューブ設置工事の経済性、工期短縮等を図ることができるとしている。
この発明によれば、地中の熱をより効率的に杭内部に伝えることができ、かつ施工性に優れた熱交換用鋼管杭を提供することができるとしている。
このように、特許文献1のものは地盤に設けた掘削孔に直にグラウト材が注入されるため、地下水を汚染する危険がある。
また、仮に熱交換体を使用しなくなったとしても、地盤に注入したグラウト材を掘り起こすのは大変なことからそのまま放置される危険もあり、必ずしも環境にやさしいとはいえない。
しかしながら、特許文献2のものには以下のような問題がある。
特許文献2のものは、通常の回転貫入杭の施工と同様に、杭頭部に回転トルクを掛けて施工する必要がある。そのため、杭頭部に掛ける回転トルクに耐えられる杭板厚にする必要があり、杭材コストが上昇し、不経済である。
また、特許文献2のものは、地中熱交換体専用であるため杭に必要とされるような支持力はいらないため、先端に設けられる羽根は施工時の推進力を得るためにのみ必要であるにもかかわらず、施工後において地中に埋設されたままとなり、無駄であり、この点からも不経済である。
しかしながら、杭体の引抜に関して、特許文献2のものは以下のような課題がある。
杭内部には熱交換チューブを配管することになるが、この熱交換チューブが日射の影響を受けないようにするために一般的にはこれを地表面より下に設置する必要があり、このため杭頭部も地表面より下になるように施工される。つまり、杭を回転させるためヤットコ施工を行う場合は杭頭部が地盤内に埋もれるのでそのままでよいが、仮に杭頭部が地表面から突出した状態で施工完了すれば頭部を切断することになる。
このように、施工後の状態では杭頭部が地盤内に埋もれた状態になるため、引き抜きを行う場合に、杭頭回転方式では、杭頭部の周囲の地盤を掘削して回転金具を取り付けなければならないなどの手間がかかるという問題がある。
このような考え方によれば、杭体には支持力が不要となることから、その分管厚を薄くできる。
しかしながら、特許文献2のものは従来の杭体という発想の範囲にあるため、杭体を構成する鋼管は地盤に孔を掘削する機能と共に地中に埋設されて熱交換媒体を収容する地中熱交換体としての機能を併せもつことが要求されている。
孔を掘削する機能を発揮するためには掘削のための回転トルクを全長に亘って伝達する必要があるため、鋼管はその回転トルクに耐えられるだけの厚みが必要とされる。特に、杭長が長く深いところまで貫入させる場合や、砂礫層など硬い地盤に打設する場合は、大きなトルクが必要となり、それに耐えられる大きな板厚や強度が必要となる。
他方、地中における熱交換のことを考えると、鋼管の厚みは薄い方が熱伝達性に優れるのでよいと言える。
このように、孔を掘削するために必要な機能と熱交換体としての機能では相反する機能が要求されるにもかかわらず、従来はこれを一つの部材でおこなっていたために不経済でかつ低効率なものとなっていた。
そこで、発明者はこの点に着目して、この相反する機能部材を分離することによって、経済性に優れ、かつ高効率の熱交換体およびその施工方法が実現できるとの知見を得た。
本発明はかかる知見に基づくものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
地盤への貫入機能を有する筒状のケーシングの内側に前記地中熱交換体を構成する中空管体を嵌装する中空管体嵌装工程と、前記ケーシングの地盤への貫入と共に前記中空管体を地中に埋設してゆく埋設工程と、前記中空管体が所定の深さに埋設された後、前記ケーシングのみを抜き取るケーシング抜取り工程と、前記中空管体内に熱交換チューブを挿入する工程とを備えていることを特徴とするものである。
係止部を設ける位置の具体例としては、例えば中空管体の径をDとしたときに、係止部が下端部の2Dの範囲内である。
また、地中熱交換体として中空管体を用いるので、地中に設けた孔に直にグラウト材を注入するもののように地下水や地盤を汚染することがなく環境にやさしい。
本実施の形態に係る施工方法に用いる器具は、地中に埋設されて熱交換体の一部となる中空管体1と、この中空管体1を地中に埋設させるための翼付きケーシング3とを備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
翼付きケーシング3は、中空管体1を地中に埋設するための専用の器具であり、円筒状の鋼管からなるケーシング本体部5と、その下部周面に設けられた翼7とを備えてなる構造である。
翼付きケーシング3は、N値が50を超える砂礫などの硬い地盤でも施工できるように、翼7の本体部への接続部は強固なものとし、また通常の杭施工よりも大きなトルクを掛けられるように板厚を十分大きくする。
それにより、大きなトルクを利用して、木ねじの要領で貫入性の良い翼付きケーシング3とすることができる。
ケーシング本体部5の内径は、中空管体1の外径より多少大きく設定し、施工時に中空管体1と接触しないようにするのが望ましい。例えば、中空管体1の外径Dに対して、D1=1.2〜2D程度が望ましい。
ケーシング本体部5に取り付けられる翼7は、螺旋状や平板状のものでよく、複数段設けてもよい。なお、翼7はスパイラルオーガのように連続したものでも良いが、これを全長に亘って取り付けると地盤から土が排出されてしまうので、ケーシング本体部5の先端付近に2〜3巻き程度にするのが好ましい。また、翼7は連続したものでなく、先端部や中間部に非連続で取り付けてもよい。
翼7の径はケーシング本体部5の径の1.2〜3倍程度がよい。
中空管体1は、熱交換媒体を収容して地中に埋設されることで地中熱と熱交換媒体との熱交換を行なう地中熱交換体を構成する。
中空管体1は、下端部に底板14が設けられ上端部が開口した断面円形の有底の筒状体である。もっとも、中空管体1の断面形状は、例えば熱交換媒体を通流させる熱交換チューブや、その周りを充填する水などを入れることができる形状であれば特に限定されるものではなく、円形の他に四角や多角形でもよい。また、熱交換効率を上げるために全体を蛇腹状にしたり、フィンを取り付けた構造にしたりしてもよい。
また、中空管体1を形成する材質は、中空管体1内に収容される熱交換媒体と地中熱との熱交換ができる材質であれば何でもよく、例えば、鋼や樹脂などでもよい。
このように、中空管体1の形状材質は特に限定されないが、一般には、熱伝導率が大きく、コストの低い円形鋼管を用いるのが望ましい。
中空管体1の径は、特に限定する必要はないが、施工コストや翼付きケーシング3のコストを考慮すると、φ80mm〜φ600mm程度が望ましい。
もっとも、地盤との接触面積が得られる熱量に大きく影響するので、大きな径の地中熱交換体を造成するよりも、小さな径を複数本造成する方が、全体の得られる熱量が大きくなる場合があるので、この点も考慮するのが望ましい。
また、中空管体1の中に入れる熱交換チューブの本数も得られる熱量に影響するので、この本数も考慮して中空管体1の径を決めることが望ましい。
なお、一般に、中空管体1の内径がφ200mm程度まではφ30mm程度の熱交換チューブを1本(1対、図7参照)入れることとし、中空管体1の内径がこれ以上の場合には入れる熱交換チューブの本数を複数本にするのが望ましい。熱交換チューブは、一般にポリブテン管や架橋ポリエチレン管を用いる。施工性、メンテナンス性、熱伝導性、コストを考慮して最適な材質を用いるのが良い。
ケーシング本体部5は機械式継手接合にするのが望ましい。ケーシング本体部5は、中空管体1を所定深度に埋設した後、引き抜かれて再利用するため、継手部分を溶接するとガス切断や開先の取り直しなどの作業で手間が掛かるため、機械式の継手にしておいた方が便利だからである。
また、図4に示すようにボルト19のみでケーシング本体部5同士を接続する方法でもよいし、あるいはケーシング本体部5の接続端部にねじ部を設け、これらを互いにねじ込むようなねじ式の継手としてもよい。
なお、この機械式継手がケーシング本体部5の内側に張り出す場合は、この機械式継手が中空管体外面とぶつからないように両者間に十分な距離をとる必要がある。
係止突部21を設ける位置は、中空管体1の下端部から1D(D:中空管体1の径)程度の範囲に設けるのがよい。
また、係止突部21は、1箇所以上あればよいが、トルクを確実に伝達するため、2〜4箇所程度設けるのが望ましい。なお、係止突部21を設ける箇所が3箇所未満の場合には中空管体1が安定しない場合があるので、スペーサーなどを設けて、なるべく中心位置で安定して施工するのが望ましい。
中空管体1の下端部は前述したように鋼板などの底板14によって蓋がされるが、この底板14の下面側に地盤への貫入を容易するため、貫入時に土を外側に排土する図5に示すような三角板22を設けたり、掘削刃をケーシングの下部や翼に取り付けたり、先端部をドリル形状にしたりしても良い。なお、この先端部は鋼材で作るのが望ましく、別途鋳造で製作しても良い。
上述したように、翼付きケーシング3に設けた係合穴9と、中空管体1の下部に設けた係止突部21によって、ケーシング本体部5と中空管体1を連結したり、切離したりする着脱機構を構成している。
以下、この着脱機構の作用について詳細に説明する。
中空管体1の外側に上方から翼付きケーシング3を嵌装し、係合穴9の脚部11を係止突部21の位置に合わせ、その状態で翼付きケーシング3を下方に移動させ、係止突部21を係合穴9の腕部内に位置させる。この状態で、翼付きケーシング3を、例えば時計回り方向(以下、正方向という)に回転させて係止突部21を係合穴9の腕部13の一方の側(図1の右端)に位置させる。これによって、係止突部21が係合穴9に係止し、中空管体1と翼付きケーシング3は一体に連結される(図1参照)。
また、翼付きケーシング3を、正方向に回転させると、翼付きケーシング3の回転トルクが係止突部21を介して中空管体1に伝達され、中空管体1は正方向に回転する。
また、図1に示す状態から、翼付きケーシング3を反時計回り方向(以下、逆方向という)に回転させると、係止突部21が係合穴9の腕部内を逆方向に移動して他方の端部(図1の左端)に係止する。この状態でさらに翼付きケーシング3を逆方向に回転させれば、中空管体1を逆方向に回転させることができる。
図6は上記のように構成された中空管体1を、翼付きケーシング3を用いて地中に施工する施工方法を説明する説明図である。
以下、図6及び前述の図1〜図5を参照にしながらこの施工方法を説明する。
まず、図6(a)に示すように、中空管体1を地盤上の埋設予定位置に配置し、この中空管体1に翼付きケーシング3を嵌装して、上述したように中空管体1の係止突部21をケーシング本体部5の係合穴9に係止させ、中空管体1と翼付きケーシング3を一体に連結する。
そして、翼付きケーシング3の頭部を図示しない接続具を介して施工機械23の回転モータ25に接続する。
なお、中空管体1とケーシング本体部5の間には隙間があるが、この隙間はそれほど大きくないため、隙間に土が入ることはなく、隙間に土が入って抵抗になるようなことはない。
施工途中の中空管体1の頭部はフリーとなっており、中空管体1の外周面とケーシング本体部5の内周面が接触する恐れがあるので、これを防止するために中空管体1の外壁あるいはケーシング本体部5の内壁にスペーサなどを適宜設けてもよい。
所定の深さまでの貫入が完了すると、中空管体1の係止突部21とケーシング本体部5の係合穴9との連結を外すべく、翼付きケーシング3に若干の引抜力を与えながら少し回転させることにより、係止突部21が係合穴9の脚部11の位置にきたところで、両者の連結が外れる。両者の連結が外れると、翼付きケーシング3を回転させて引き上げることにより、中空管体1をその位置に残して翼付きケーシング3のみを回収することができる(図6(e)、(f)参照)。
なお、翼付きケーシング3を抜いた後の地盤と中空管体1との隙間は、通常は小さいので自然に消滅するが、必要であれば、ケーシング3の引抜き時などに、砂や砂利、それらに水分を混ぜたものや、熱伝導性の良い材料を混ぜた土などをこの隙間に充填することもできる。
同様の施工を、複数繰り返して行うことにより、設計された負荷に応じた地中熱交換体群を形成することができる。
なお、各地中熱交換体は相互の熱作用を受けないように1m程度以上離して設置するのが望ましい。また、熱交換チューブ27をヒートポンプまで配管するとき、日射の影響を受けるので、地中1m程度に埋めるのが望ましい。日射の影響を考慮して、地中熱交換体は建物の北側など日陰に設置すると、日射の影響を受けにくく地中熱を有効に活用することができる。
また、翼付きケーシング3は繰り返し利用できるので、翼付きケーシング3を種々の地盤、例えば硬い地盤にも貫入できるようにするために厚肉のものを製作したとしても、大きなコストアップになることがなく、むしろ作業効率の向上により、コスト低減が可能となる。
中空管体1を引抜が容易にできるようにするために、図8に示すように、中空管体1の内面下部先端部付近に回転トルクおよび引抜き力伝達用の係止突部29を設けるのが望ましい。係止突部29は、1個でも複数個でも良い。中空管体1の引抜に際しては、例えば図8に示すように、先端部に係止突部29に係合可能な係合穴31を有する引抜き用ロッド33を用いる。引抜き用ロッド33の先端に設ける係合穴31は、翼付きケーシング3に設けた係合穴9と同様のT字状のものでよい。なお、係合穴31や係止突部29は、中空管体1を引き抜くのに必要なトルクや引抜き力をかけられる構造であれば、どのような形でも良い。
まず、中空管体1から熱交換チューブ27を引き抜き、中空管体1内の充填水をポンプ等でくみ上げ、空となった中空管体1内に引抜き用ロッド33を挿入する。なお、充填水はくみ上げなくても引抜き用ロッド33を挿入することはできるが、最初にくみ上げておいた方が作業性がよい。
引抜き用ロッド33を挿入して、係合穴31と係止突部29を係止させ、この状態で引抜き用ロッド33を地上にある重機のモータで回転させる。これによって、中空管体1と地盤との摩擦の縁が切れ、縁が切れた状態で中空管体1を引き上げれば容易に引き抜くことができる。
この点、図8に示すように、中空管体1の下端に回転力を作用させるようにすれば、中空管体1の下端から徐々に摩擦の縁が切れて(杭頭部はフリーで杭先端のみ固定点となる)、それほど大きなトルクが中空管に作用しないので、中空管体1の板厚が薄くても問題ない。
また、周面摩擦の縁が切れれば中空管体1は容易に引き抜けるので、翼付き杭のように翼7が付いていなくても、引抜き作業には支障がない。引き抜いた中空管体1は、別の場所で再度利用することが可能であるので、環境にやさしい方法である。
また、翼7はスパイラルオーガのように連続したものでも良いが、これを全長に亘って取り付けると地盤から土が排出されてしまうので、ケーシング本体部5の先端付近に2〜3巻き程度にするのが好ましい。また、翼7は連続したものでなく、先端部や中間部に非連続で取り付けてもよい。
図11から判るように、発明者が実施した模型杭を用いた土槽試験では、1段の螺旋翼よりも連続していない2段の螺旋翼を取り付けた形状の方が、同じ条件で施工時トルクを小さくすることができた。図12はこのメカニズムを説明する説明図である。1段の翼では、図12(a)に示すように、翼7により上方に送られた土が、側方に移動できないため締め固まり、周方向から鋼管を押しつけることで周面摩擦力が上昇しトルクも大きくなったのに対し、図12(b)に示すように、非連続の翼7を設けた場合には上部の翼7が再度地盤を攪拌することで周面摩擦力を低減することで施工時トルクも小さくすることができるものと推測できる。このことから、翼7は複数段の非連続で取り付ける形状が施工上は望ましい。
もっとも、本発明においてケーシング本体部5は、杭のように地盤との間で周面摩擦力を必要としないため、図13のように機械式継手がケーシング本体部5の外側に張り出す構造にしても問題ない。
このようなT字形状の係合穴9を設けた着脱機構では、ケーシング本体部5と中空管体1を切り離す場合、係止突部21の脚部11に位置させるためにケーシング本体部5を中空管体1に対して相対的に回動させる必要がある。比較的緩い砂地盤などでは、ケーシング本体部5と中空管体1が共回りせずに着脱可能であるが、粘土などが付着した場合は、ケーシング本体部5と中空管体1を別々に回すか、中空管体1を固定してケーシング本体部5を逆回転しないと、共回りして切り離しが困難となる。
施工時の地盤の硬さによっては、ケーシング本体部5を正回転させたり逆回転させたりすることを繰り返したり、また上下動を行うことで施工性を向上させることがある。上下動を実施したときは、係合穴91を設けた場合にはT字形状の係合穴9の場合と異なり中空管体1の係止突部21がケーシング本体部5側に引っかかっていないため、地中に中空管体1が落下する可能性がある。そのようなときは、図15に示すように、係合穴91やケーシング本体部5と中空管体1の隙間に、あらかじめ粘土やシリコンなどの詰め物42を詰めておけば、上下動実施時に中空管体1が落下することはない。また、事前の地盤調査で粘性土地盤の存在が確認されていれば、施工時に粘土が自然に詰まって、上下動実施時に中空管体1が落下することはないので、あえて粘土等をつめる作業をしなくても良い。
以下、図16及び前述の図14を参照にしながらこの施工方法を説明する。
まず、中空管体1を地盤上の埋設予定位置に配置し、この中空管体1に翼付きケーシング3を嵌装し、中空管体1の係止突部21をケーシング本体部5の係合穴91に係合させる。この状態で、翼付きケーシング3を回転駆動して、翼付きケーシング3を地中に貫入する(図16(a)参照)。
翼付きケーシング3が所定深度まで到達後、翼付きケーシング3を中空管体1と共に数十cm上方に引き上げ、翼付きケーシング3の下方の地盤を緩い状態にし、この状態で中空管体1を下方に押し込む。これにより、ケーシング本体部5の係合穴91から中空管体1がはずれ、所定の位置に容易に設置することができる(図16(d)参照)。
なお、所定深度での地盤が弱い場合は、翼付きケーシング3を引き上げなくても中空管体1を押し込むことはできるが、硬い場合は押し込むために大きな力を必要とするので、逆回転などして翼付きケーシング3を多少上に引き上げた方がよい。翼付きケーシング3と中空管体1は粘土等により接着されているので、逆回転引き上げを行っても中空管体1が勝手にはずれることはなく、このため押し込む作業が必要となるのである。
中空管体1を所定深度に設置した後、翼付きケーシング3を回転させて引き上げることにより、中空管体1をその位置に残して翼付きケーシング3のみを回収することができる(図16(e)、(f)参照)。
また、図17(c)、図17(d)(底面側から見た図)に示すように、ケーシング内面に側面視で略T字状の係止突部21aを設け、底板14に係止突部21aのT字の脚部が挿入可能な係止凹部21bを設けるような構成にしてもよい。この場合も、上記と同様の効果がある。さらに、この場合にはケーシングに係合穴91を設ける必要がないので、大きなトルクが作用するときにケーシングに係合穴91を設けた場合のように係合穴91の周りを補強するなどの対応も必要ない。
3 翼付きケーシング
5 ケーシング本体部
7 翼
9 係合穴
11 脚部
13 腕部
14 底板
15 フランジ
17 ボルト
19 ボルト
21、21a 係止突部
22 三角板
23 施工機械
25 回転モータ
27 熱交換チューブ
29 係止突部
31 係合穴
33 引抜き用ロッド
35 T字突部
37 角部材
39 引抜き用ロッド
40 L字突部
42 詰め物
43 内面突起
91 係合穴
Claims (7)
- 熱交換媒体を収容して地中に埋設されることで地中熱と前記熱交換媒体との熱交換を行なう地中熱交換体の施工方法であって、
地盤への貫入機能を有する筒状のケーシングの内側に前記地中熱交換体を構成する中空管体を嵌装する中空管体嵌装工程と、前記ケーシングの地盤への貫入と共に前記中空管体を地中に埋設してゆく埋設工程と、前記中空管体が所定の深さに埋設された後、前記ケーシングのみを抜き取るケーシング抜取り工程と、前記中空管体内に熱交換チューブを挿入する工程とを備えていることを特徴とする地中熱交換体の施工方法。 - ケーシングはその先端部及び/または外周部に翼を有し、埋設工程においてはケーシングを地盤に回転貫入することを特徴とする請求項1に記載の地中熱交換体の施工方法。
- 中空管体嵌装工程はケーシングと中空管体とを連結する連結工程を含み、ケーシング抜取り工程は前記連結を解除する連結解除工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の地中熱交換体の施工方法。
- 連結工程はケーシングの下端部に設けた係合穴に、中空管体の下端部に設けた係止突部を係止するものであり、連結解除工程はこの係止を外すものであることを特徴とする請求項3に記載の地中熱交換体の施工方法。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の地中熱交換体の施工方法に用いられる中空管体であって、ケーシングと着脱可能に係止できる係止部を有することを特徴とする地中熱交換体の中空管体。
- 中空管体の下端内面に該中空管体に回転力及び/または引抜力を伝達可能な係止部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の地中熱交換体の中空管体。
- 中空管体が鋼管であることを特徴とする請求項5〜6のいずれか一項に記載の地中熱交換体の中空管体。
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