JP5338912B2 - 弾性波フィルタ装置及びそれを備える分波器 - Google Patents

弾性波フィルタ装置及びそれを備える分波器 Download PDF

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Description

本発明は、弾性波フィルタ装置に関し、詳細には、通過帯域と、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域とを有する弾性波フィルタ装置及びそれを備える分波器に関する。
従来、弾性波フィルタ装置を受信フィルタや送信フィルタなどの帯域フィルタとして利用した分波器が知られている。分波器の一部を構成する帯域フィルタには、分波器の高いアイソレーション特性を実現するために、通過帯域外における減衰量が大きいことが求められている。特に、無線通信用の高周波の帯域においては、送信帯域と受信帯域とが非常に近接している帯域を利用するため、例えば、送信フィルタに関しては、通過帯域の高域側の減衰帯域における減衰量が大きいことが強く求められる。
減衰帯域における十分に大きな減衰量を確保する技術としては、例えば、下記の特許文献1には、ラダー型フィルタに直列共振子を直列接続する技術が記載されている。
特開平7−154200号公報
例えば、下記の特許文献1に記載のように、ラダー型フィルタに直列共振子をさらに直列接続した場合、直列共振子を別途設けなければならない分、フィルタ装置の構成が複雑化すると共に、フィルタ装置が大型化するという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通過帯域と、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域とを有する弾性波フィルタ装置及びそれを備える分波器において、弾性波フィルタ装置を大型化させることなく、減衰帯域における減衰量を増大させることにある。
本発明に係る弾性波フィルタ装置は、入力端子と、出力端子と、第1の共振子と、第2の共振子とを備えている。第1の共振子は、入力端子と出力端子との間に設けられている。第2の共振子は、入力端子または出力端子と第1の共振子との間の接続点と、グラウンド電位との間に接続されている。本発明に係る弾性波フィルタ装置では、第1及び第2の共振子により、通過帯域と、通過帯域の高域側に減衰帯域とが形成されている。第2の共振子は、通過帯域の形成に寄与している応答以外の応答を有している。第2の共振子の通過帯域の形成に寄与している応答以外の応答の共振周波数(fFrh)から通過帯域の中心周波数(f)を減算した値(fFrh−f)を通過帯域の中心周波数で規格化した値((fFrh−f)/f)は、0.073〜0.250の範囲内にある。なお、本発明において、共振子の応答とは、詳細には、インピーダンス特性上に現れる応答のことを意味している。
本発明のある特定の局面では、入力端子と出力端子とを接続する直列腕において、直列腕共振子を構成するように、第1の共振子が設けられており、第2の共振子は、直列腕とグラウンド電位との間に接続されている並列腕に配置されている並列腕共振子を構成するように設けられている。すなわち、本発明のある特定の局面では、弾性波フィルタ装置は、ラダー型の弾性波フィルタ装置である。
本発明の他の特定の局面では、第1の共振子は、入力端子と出力端子との間に接続されている縦結合共振子型弾性波フィルタ部を構成しており、第2の共振子は、入力端子または出力端子と縦結合共振子型弾性波フィルタ部との間の接続点と、グラウンド電位との間に接続されている。すなわち、本発明の他の特定の局面では、弾性波フィルタ装置は、縦結合共振子型弾性波フィルタ部と、並列トラップとしての第2の共振子とを有する弾性波フィルタ装置である。
本発明の別の特定の局面では、第1及び第2の共振子のそれぞれは、圧電基板と、圧電基板の上に形成されている第1の誘電体層と、圧電基板と第1の誘電体層との間の境界に形成されているIDT電極とを有する弾性境界波共振子である。
本発明のさらに他の特定の局面では、第1及び第2の共振子のそれぞれは、第1の誘電体層の上に形成されており、第1の誘電体層よりも速い音速を有する第2の誘電体層をさらに有する弾性境界波共振子である。
本発明のさらに別の特定の局面では、入力端子と出力端子とを接続する直列腕において、互いに直列に接続されている直列腕共振子を構成するように、第1の共振子が設けられており、第2の共振子は、直列腕とグラウンド電位との間に接続されている並列腕に配置されている並列腕共振子を構成するように設けられており、IDT電極は、AlまたはAlを主成分とする合金からなる導電膜を主たる導電膜として有しており、第1の共振子のIDT電極の電極指ピッチで決まる波長で規格化された主たる導電膜の膜厚が10%〜30%の範囲内にある。この構成によれば、減衰帯域の減衰量をより大きくすることができる。
本発明のまた他の特定の局面では、入力端子と出力端子とを接続する直列腕において、互いに直列に接続されている直列腕共振子を構成するように、第1の共振子が設けられており、第2の共振子は、直列腕とグラウンド電位との間に接続されている並列腕に配置されている並列腕共振子を構成するように設けられており、第1の誘電体層は、酸化珪素からなり、第1の共振子のIDT電極の電極指ピッチで決まる波長で規格化された第1の誘電体層の厚みが40%〜70%の範囲内にある。この構成によれば、減衰帯域の減衰量をより大きくすることができる。
本発明のまた別の特定の局面では、第2の共振子の通過帯域の形成に寄与している応答以外の応答は、通過帯域の形成に寄与している応答の高次モードである。
本発明のさらにまた他の特定の局面では、第2の共振子の通過帯域の形成に寄与している応答以外の応答は、通過帯域の形成に寄与している応答とは種類が異なる応答である。
本発明に係る分波器は、上記本発明にかかる弾性波フィルタを備えている。
本発明では、入力端子または出力端子と第1の共振子との間の接続点と、グラウンド電位との間に接続されている第2の共振子の通過帯域の形成に寄与している応答以外の応答の共振周波数(fFrh)から通過帯域の中心周波数(f)を減算した値(fFrh−f)を通過帯域の中心周波数で規格化した値((fFrh−f)/f)が、0.073〜0.250の範囲内とされている。よって、減衰帯域における減衰量を増大させるための別途の共振子を必要としないため、弾性波フィルタ装置を大型化させることなく減衰帯域における減衰量を増大させることができる。従って、本発明の弾性波フィルタ装置を分波器に用いることにより、高いアイソレーション特性を実現することができる。
図1は、第1の実施形態における弾性境界波フィルタ装置の略図的構成図である。 図2は、第1の実施形態における弾性波共振子の略図的断面図である。 図3は、第1の実施形態における弾性波共振子の一部を拡大した略図的断面図である。 図4は、第1の実施形態における弾性波共振子の電極構造を説明するための略図的平面図である。 図5は、第1の実施形態における弾性境界波フィルタ装置のフィルタ特性と並列腕共振子及び直列腕共振子のインピーダンス特性とを表すグラフである。 図6は、第1の実施形態における(fFrh−f)/fと1880MHzにおける減衰量との関係を表すグラフである。 図7は、第1の実施形態におけるデュプレクサの略図的構成図である。 図8は、第1の実施形態におけるデュプレクサの受信フィルタの略図的構成図である。 図9は、種々の第2の主たる導電膜の厚みにおける並列腕共振子のインピーダンス特性を表すグラフである。 図10は、種々の第2の主たる導電膜の厚みにおける弾性境界波フィルタ装置のフィルタ特性を表すグラフである。 図11は、図10に示すグラフの一部を拡大したグラフである。 図12は、種々の第2の主たる導電膜の厚みにおけるデュプレクサのアイソレーション特性を表すグラフである。 図13は、種々の第1の誘電体層の厚みにおける第2の共振子のインピーダンス特性を表すグラフである。 図14は、種々の第1の誘電体層の厚みにおける弾性境界波フィルタ装置のフィルタ特性を表すグラフである。 図15は、図14に示すグラフの一部を拡大したグラフである。 図16は、種々の第1の誘電体層の厚みにおけるデュプレクサのアイソレーション特性を表すグラフである。 図17は、第2の実施形態における弾性波共振子の略図的構成図である。
以下、本発明を実施した好ましい形態の例について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の弾性境界波フィルタ装置の略図的構成図である。
図1に示す弾性境界波フィルタ装置1は、ラダー型の弾性境界波フィルタ装置1である。弾性境界波フィルタ装置1は、入力端子11と、出力端子12とを備えている。入力端子11と出力端子12との間には、直列腕共振子S11,S12,S21〜S23,S31,S32が第1の共振子として設けられている。具体的には、入力端子11と出力端子12とは、直列腕13によって接続されている。第1〜第3の直列腕共振子S1〜S3は、直列腕13において、互いに直列に接続されている。本実施形態では、第1の直列腕共振子S1は、互いに直列に接続されている2つの直列腕共振子S11、S12により構成されている。第2の直列腕共振子S2は、互いに直列に接続されている3つの直列腕共振子S21〜S23により構成されている。第3の直列腕共振子S3は、互いに直列に接続されている2つの直列腕共振子S31、S32により構成されている。
直列腕13と、グラウンド電位に接続されているグラウンド電極15a、15bとの間には、3つの並列腕14a〜14cが接続されている。具体的には、第1の直列腕共振子S1と第2の直列腕共振子S2との接続点13aと、グラウンド電極15aとの間には、第1の並列腕14aが接続されている。第1の並列腕14aには、第1の並列腕共振子P1が設けられている。第1の並列腕共振子P1は、互いに直列に接続されている2つの並列腕共振子P11、P12により構成されている。第1の並列腕共振子P1とグラウンド電極15aとの間には、第1のインダクタL1が設けられている。
第2の直列腕共振子S2と第3の直列腕共振子S3との間の接続点13bと、グラウンド電極15bとの間には、第2の並列腕14bが接続されている。第2の並列腕14bには、第2の並列腕共振子P2が設けられている。第2の並列腕共振子P2は、互いに直列に接続されている2つの並列腕共振子P21、P22により構成されている。
第3の直列腕共振子S3と出力端子12との間の接続点13cとグラウンド電極15bとの間には、第3の並列腕14cが接続されている。第3の並列腕14cには、第3の並列腕共振子P3が設けられている。第3の並列腕共振子P3は、互いに直列に接続されている2つの並列腕共振子P31、P32により構成されている。
第2の並列腕共振子P2と第3の直列腕共振子S3との接続点と、グラウンド電極15bとの間には、第2のインダクタL2が設けられている。
なお、以下の説明において、直列腕共振子S11,S12,S21〜S23,S31,S32を直列腕共振子Sと総称することがある。また、並列腕共振子P11,P12,P21,P22,P31,P32を並列腕共振子Pと総称することがある。また、直列腕共振子Sと、並列腕共振子Pとを「共振子29」と総称することがある。
本実施形態では、弾性境界波フィルタ装置1は、弾性境界波を利用したフィルタ装置であり、共振子29は、弾性境界波共振子である。具体的には、本実施形態では、共振子29は、所謂3媒質型の弾性境界波共振子である。より具体的には、図2〜図4に示すように、共振子29は、圧電基板20と、第1及び第2の誘電体層21,22とを備えている。
圧電基板20は、圧電効果を発現する基板であれば特に限定されないが、例えば、LiTaO基板やLiNbO基板などの基板により構成することができる。
第1の誘電体層21は、圧電基板20の上に形成されている。第1の誘電体層21と圧電基板20の間に境界には、IDT電極30と、第1及び第2のグレーティング反射器33,34が形成されている。第1の誘電体層21の圧電基板20とは反対側の表面上には、第2の誘電体層22が形成されている。
第2の誘電体層22は、第1の誘電体層21よりも速い音速を有しているため、IDT電極30において励振された弾性波は、第1の誘電体層21に閉じ込められ、第1の誘電体層21内を伝搬する。
第1及び第2の誘電体層21,22の材質は、第2の誘電体層22の音速が第1の誘電体層21の音速よりも速くなる限りにおいて特に限定されない。例えば、第1の誘電体層21を、SiOなどの酸化珪素により形成し、第2の誘電体層22をSiNなどの窒化珪素により形成することができる。
本実施形態において、IDT電極30と、第1及び第2のグレーティング反射器33,34とは、同様の膜構成により構成されている。図3に、IDT電極30の膜構成を代表して示している。図3に示すように、IDT電極30及び第1及び第2のグレーティング反射器33,34は、第1〜第3の主たる導電膜30a〜30cを備えている。そして、第1〜第3の主たる導電膜30a〜30c相互間、第1の主たる導電膜30aと圧電基板20との間、及び第3の主たる導電膜30cと第1の誘電体層21との間のそれぞれには、密着膜30d〜30fまたは保護膜30gが設けられている。
具体的には、本実施形態では、圧電基板20の上には、NiCrからなる密着膜30dを介して、Ptからなる第1の主たる導電膜30aが形成されている。第1の主たる導電膜30aの上には、Tiからなる密着膜30eを介して、AlCuからなる第2の主たる導電膜30bが形成されている。第2の主たる導電膜30bの上には、Tiからなる密着膜30fを介して、Ptからなる第3の主たる導電膜30cが形成されている。第3の主たる導電膜30cと第1の誘電体層21との間には、Tiからなる保護膜30gが形成されている。なお、本発明において主たる導電膜とは、Pt、Al、Cuなどの比較的導電性の高い材料を含む膜であって、比較的厚膜である膜のことをいう。
次に、本実施形態における共振子29を構成するIDT電極30と、第1及び第2のグレーティング反射器33,34との平面形状について図4を参照して説明する。図4に示すように、IDT電極30は、互いに間挿し合う第1及び第2のくし歯電極31,32を有している。第1及び第2のくし歯電極31,32のそれぞれは、バスバー31a、32aと、バスバー31a、32aから延びる電極指31b、32b及びダミー電極31c、32cとを有する。IDT電極30は、所謂交叉幅重み付けがなされており、電極指31b、32bの先端を通過する包絡線l1、l2により囲まれた領域が略菱形となるように構成されている。なお、本発明において、IDT電極は、特に限定されず、正規型のIDT電極であってもよいし、交叉幅重み付け以外の重み付けが施されたIDT電極であってもよい。
第1及び第2のグレーティング反射器33,34は、IDT電極30の弾性波伝搬方向の両側に配置されている。
図5は、本実施形態における弾性境界波フィルタ装置のフィルタ特性と並列腕共振子及び直列腕共振子のインピーダンス特性とを表すグラフである。図5中、実線が弾性境界波フィルタ装置のフィルタ特性を示し、一点破線が直列腕共振子のインピーダンス特性を示し、二点破線が並列腕共振子のインピーダンス特性を示している。
図5に示すように、直列腕共振子Sのメインの応答Rs1の共振点及び***振点のそれぞれは、並列腕共振子Pのメインの応答Rp1の共振点及び***振点よりも高域側に位置している。そして、直列腕共振子Sのメインの応答Rs1の共振周波数と、並列腕共振子Pのメインの応答Rp1の***振周波数とがほぼ等しく設定されている。直列腕共振子Sのメインの応答Rs1の共振周波数と、並列腕共振子Pのメインの応答Rp1の***振周波数とに近い周波数帯域においては、入力端子11と出力端子12との間のインピーダンス値が小さくなり、減衰量が小さくなるため、通過帯域が形成されている。本実施形態の弾性境界波フィルタ装置1は、送信フィルタとして使用されるものである。
通過帯域の低域側及び高域側には、減衰帯域が形成されている。これら減衰帯域のうち、通過帯域の低域側に位置する減衰帯域は、主として、並列腕共振子Pのメインの応答Rp1の共振点によって形成される。一方、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域は、主として、直列腕共振子Sのメインの応答Rs1の***振点により形成される。また、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域には、減衰帯域における並列腕共振子Pのインピーダンス値も寄与しており、減衰帯域における並列腕共振子Pのインピーダンス値が小さいほど減衰帯域における減衰量が大きくなる。
ところで、弾性境界波共振子である、並列腕共振子Pや直列腕共振子Sを用いた場合、通過帯域や通過帯域の両側の減衰帯域の形成に寄与するメインの応答Rp1,Rs1以外にも応答が存在する。具体的には、例えば、メインの応答Rp1,Rs1の高次モードや、メインの応答Rp1,Rs1とは種類が異なる応答などが存在する。例えば、メインの応答Rp1,Rs1がSH波による応答及びストンリー波による応答のうちの一方である場合、他方の弾性境界波による応答が存在する。
従来、このようなメインの応答Rp1,Rs1以外の他の応答がメインの応答Rp1,Rs1の近傍に位置していると、フィルタ特性に悪影響を及ぼすものと考えられており、通常、上記他の応答が、フィルタ特性に悪影響を及ぼさないように、メインの応答Rp1,Rs1から十分に離れて位置するように並列腕共振子Pや直列腕共振子Sの設計が行われていた。
本発明者らは、メインの応答Rp1,Rs1及びそれ以外の他の応答との位置関係と、フィルタ特性との関係について鋭意研究した結果、他の応答を、メインの応答Rp1,Rs1にある程度近づけた場合に、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量を増大できることを見出した。
具体的には、並列腕共振子Pのメインの応答Rp1以外の応答Rp2の共振周波数(fFrh)から通過帯域(1710〜1785MHz)の中心周波数(f=1747.5MHz)を減算した値(fFrh−f)を通過帯域の中心周波数で規格化した値((fFrh−f)/f=(fFrh−1747.5MHz)/1747.5MHz)を0.073〜0.250の範囲内とすることにより、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量を十分な値に増大できることを見出した。このことについて、図6を主として参照しつつ、さらに詳細に説明する。
図6は、並列腕共振子Pのメインの応答Rp1以外の応答Rp2の共振周波数(fFrh)から通過帯域(1710〜1785MHz)の中心周波数(f=1747.5MHz)を減算した値(fFrh−f)を通過帯域の中心周波数で規格化した値((fFrh−f)/f=(fFrh−1747.5MHz)/1747.5MHz)と、通過帯域(1710〜1785MHz)の高域側に位置する減衰帯域に含まれる1880MHzにおける減衰量との関係を表すグラフである。図6より、並列腕共振子Pの応答Rp2が、メインの応答Rp1が形成に寄与している通過帯域に近づいていくと、応答Rp2が通過帯域から十分に離れているときよりも、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量が大きくなることがわかる。そして、並列腕共振子Pの応答Rp2が、通過帯域の中心周波数にさらに近づいていくと、逆に、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量が小さくなり、ついには、応答Rp2が通過帯域から十分に離れているときよりも減衰量が小さくなってしまうことが分かる。具体的には、図6に示す結果から、(fFrh−f)/fが、0.073〜0.250の範囲内にあるときに、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量が増大するという効果が大きいことが分かる。本実施形態では、(fFrh−f)/fが、0.073〜0.250の範囲内にあるときに、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量を39.5dB以上とすることができる。また、IDT電極を構成する電極の膜厚が薄すぎると、抵抗が増加して挿入損失が劣化してしまう。このため、電極膜厚は200nm以上必要である。このとき、(fFrh−f)/fは0.250以下の値をとる。このことからも、(fFrh−f)/fの上限を0.250とするのがよいことがわかる。
また、図6に示す結果から、(fFrh−f)/fを0.158以下とすることにより、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量をより大きくすることができる。このため、(fFrh−f)/fは0.158以下であることが好ましい。
なお、(fFrh−f)/fが、0.250以下となったとき、すなわち、応答Rp2の共振周波数が通過帯域にある程度以上近づいたときに、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量が増大する理由は定かではないが、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、応答Rp2がメインの応答Rp1に対して十分に高域側に位置しているときは、メインの応答Rp1により形成される通過帯域の高域側の減衰帯域に対して応答Rp2が及ぼす影響は皆無である。しかしながら、応答Rp2の共振周波数が減衰帯域に近づいていくと、インピーダンス値が小さい応答Rp2の共振点が低域側にシフトし、その影響を受け、メインの応答Rp1の***振点の高域側におけるインピーダンス値が低下する。このため、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域の減衰量が大きくなると考えられる。一方、(fFrh−f)/fが、0.073以下となったとき、すなわち、応答Rp2の共振周波数が通過帯域に近づきすぎたときに通過帯域高域側の減衰帯域における減衰量が逆に小さくなるのは、インピーダンス値の小さな応答Rp2の共振点が減衰帯域に近づくと共に、インピーダンス値の大きな***振点も減衰帯域に近づく。このため、共振点が減衰帯域の減衰量を大きくする効果よりも、***振点が減衰帯域の減衰量を小さくする効果の方が大きくなると考えられる。
なお、通過帯域の上限(1785MHz)をfとすると、0.073≦(fFrh−f)/f≦0.250の範囲は、0.05≦(fFrh−f)/f≦0.212に換算することができる。
以上のように、本実施形態の弾性境界波フィルタ装置1は、通過帯域の高域側の減衰帯域における減衰量が大きいため、例えば、分波器などに有用である。特に、例えば、送信帯域(1710〜1785MHz)と受信帯域(1805〜1880MHz)とが近接している分波器の送信フィルタとして有用である。
図7は、上記弾性境界波フィルタ装置1を送信フィルタとして備えるデュプレクサ3の略図的模式図である。図7に示すように、デュプレクサ3は、アンテナ端子Ant.と、送信側信号端子Txと、受信側信号端子Rx1,Rx2とを備えている。送信側信号端子Txは、ひとつのみ設けられており、不平衡信号端子である。一方、受信側信号端子Rx1,Rx2は、2つ設けられており、平衡信号端子である。
アンテナ端子Ant.と送信側信号端子Txとの間には、送信フィルタとしての上記弾性境界波フィルタ装置1が接続されている。一方、アンテナ端子Ant.と受信側信号端子Rx1,Rx2との間には、受信フィルタ2が設けられている。送信フィルタ1及び受信フィルタ2とアンテナ端子Ant.の接続点とグラウンド電位との間には、インダクタL3が接続されている。
図8は、受信フィルタ2の略図的構成図である。図8に示す受信フィルタ2は、縦結合共振子型弾性波フィルタ装置である。図8に示すように、不平衡信号端子41と、一対の平衡信号端子42a、42bとを備えている。不平衡信号端子41は、図7に示すアンテナ端子案Ant.に接続されている。一方、平衡信号端子42a、42bは、図7に示す受信側信号端子Rx1,Rx2に接続されている。
不平衡信号端子41と第1の平衡信号端子42aとの間には、第1の弾性境界波フィルタ部44aが接続されている。一方、不平衡信号端子41と第2の平衡信号端子42bとの間には、第2の弾性境界波フィルタ部44bが接続されている。不平衡信号端子41と第1及び第2の弾性境界波フィルタ部44a、44bとの間には、弾性境界波共振子43が接続されている。また、第1及び第2の弾性境界波フィルタ部44a、44bと、平衡信号端子42a、42bとの間のそれぞれには、弾性境界波共振子45a、45bが接続されている。
デュプレクサ3は、送信帯域(1710〜1785MHz)と受信帯域(1805〜1880MHz)とが近接している分波器である。このため、デュプレクサ3では、送信フィルタを構成している弾性境界波フィルタ装置1の通過帯域(送信帯域)の高域側の減衰帯域における減衰量が大きいことが強く求められる。ここで、上述のように、本実施形態の弾性境界波フィルタ装置1では、通過帯域の高域側の減衰帯域における減衰量が大きい。従って、本実施形態の弾性境界波フィルタ装置1を送信フィルタとして備えるデュプレクサ3は、送信側信号端子Txと、受信側信号端子Rx1,Rx2との間の良好なアイソレーション特性を有している。
次に、通過帯域の中心周波数と、応答Rp2の共振周波数との間の周波数差の制御方法、すなわち、メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差の制御方法について説明する。メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差の制御方法は、特に限定されないが、例えば、IDT電極30を構成する主たる導電膜30a〜30cの膜厚を変更することによって制御することができる。
図9は、下記の設計パラメータを有する本実施形態の弾性境界波フィルタ装置1において、第2の主たる導電膜30bの膜厚を種々変化させたときの並列腕共振子Pのインピーダンス特性を表すグラフである。なお、図9において、実線が、AlCuからなる第2の主たる導電膜30bの膜厚が225nm(h/λ=10.6%、但し、λは、並列腕共振子Pの電極指間ピッチで決定される波長)であるときのインピーダンス特性を示している。二点破線が、AlCuからなる第2の主たる導電膜30bの膜厚が300nm(h/λ=14.1%)であるときのインピーダンス特性を示している。一点破線が、AlCuからなる第2の主たる導電膜30bの膜厚が400nm(h/λ=18.8%)であるときのインピーダンス特性を示している。
図9に示すように、第2の主たる導電膜30bの膜厚を変化させた場合、メインの応答Rp1の***振周波数はほとんど変化しないのに対して、応答Rp2の共振周波数は、大きく変化することが分かる。この結果から、主たる導電膜30a〜30cのうちの少なくともひとつの膜厚を変化させることにより、メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差を制御できることが分かる。具体的には、主たる導電膜30a〜30cの膜厚を大きくすることにより、メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差を小さくできることが分かる。
また、種々の第2の主たる導電膜30bの厚みにおける本実施形態の弾性境界波フィルタ装置1のフィルタ特性を図10及び図11に示す。さらに、種々の第2の主たる導電膜30bの厚みにおける本実施形態の弾性境界波フィルタ装置1を用いたデュプレクサ3における送信側信号端子Txと受信側信号端子Rx1,Rx2との間のアイソレーション特性を図12に示す。なお、図10〜図12において、実線が、AlCuからなる第2の主たる導電膜30bの膜厚が225nm(H/λ(S2−1)=11%)であるときのデータである。一点破線が、AlCuからなる第2の主たる導電膜30bの膜厚が450nm(H/λ(S2−1)=23%)であるときのデータである。二点破線が、AlCuからなる第2の主たる導電膜30bの膜厚が600nm(H/λ(S2−1)=30%)であるときのデータである。
図10及び図11に示すように、第2の主たる導電膜30bの膜厚が大きくなり、メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差が小さくなるほど、図10において丸で囲んだ減衰帯域における減衰量が大きくなることが分かる。
同様に、図12に示す結果から、第2の主たる導電膜30bの膜厚が大きくなり、メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差が小さくなるほど、送信側信号端子Txと受信側信号端子Rx1,Rx2との間のアイソレーション特性が良好になることが分かる。
図10〜図12に示す結果から、通過帯域の高域側の減衰帯域における減衰量をより大きくし、送信側信号端子Txと受信側信号端子Rx1,Rx2との間のアイソレーション特性をより良好にするためには、AlまたはAlを主成分とする合金からなる主たる導電膜の波長規格化膜厚は、10%〜30%の範囲内にあることが好ましいことが分かる。
(設計パラメータ)
直列腕共振子S1:
波長(λ):2013nm
交叉幅:28.65λ
対数:118
デューティー:0.5
並列腕共振子P1:
波長(λ):2129nm
交叉幅:48.90λ
対数:130
デューティー:0.5
直列腕共振子S21,S22:
波長(λ):2022nm
交叉幅:92.45λ
対数:121
デューティー:0.5
直列腕共振子S23:
波長(λ):2008nm
交叉幅:34.74λ
対数:81
デューティー:0.5
並列腕共振子P2:
波長(λ):2129nm
交叉幅:49.03λ
対数:137
デューティー:0.5
直列腕共振子S3:
波長(λ):2014nm
交叉幅:33.22λ
対数:97
デューティー:0.5
並列腕共振子P3:
波長(λ):2115nm
交叉幅:34.45λ
対数:87
デューティー:0.5
IDT電極を構成する各膜の膜厚:
密着膜30d:10nm、第1の主たる導電膜30a:36nm、密着膜30e:10nm、第2の主たる導電膜30b:225nm(H/λ(S2−1)=11%)、300nm(H/λ(S2−1)=15%)、400nm(H/λ(S2−1)=20%)または600nm(H/λ(S2−1)=30%)、密着膜30f:10nm、第3の主たる導電膜30c:22nm、保護膜30g:10nm
第1の誘電体層21:SiO
第1の誘電体層21の膜厚:1213nm(H/λ(S2−1)=60%)
第2の誘電体層22:SiN層
第2の誘電体層22の膜厚:2200nm(H/λ(S2−1)=109%)
圧電基板20:25° Y−X LiNbO基板
圧電基板20の厚さ:500μm
また、誘電体層21の厚みを変更することによっても、通過帯域の中心周波数と、応答Rp2の共振周波数との間の周波数差、すなわち、メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差を制御することができる。
図13は、SiOからなる第1の誘電体層21の厚み以外は、第2の主たる導電膜30bの膜厚を225nm(H/λ(S2−1)=11%)としたときと同様の上記設計パラメータを有する弾性境界波フィルタ装置1において、第1の誘電体層21の厚みを種々変化させたときの並列腕共振子Pのインピーダンス特性を表すグラフである。なお、図13において、実線が第1の誘電体層21の厚みが1213nm(H/λ(S2−1)=60%)であるときのインピーダンス特性を示している。二点破線が、実線が第1の誘電体層21の厚みが1011nm(H/λ(S2−1)=50%)であるときのインピーダンス特性を示している。一点破線が、実線が第1の誘電体層21の厚みが708nm(H/λ(S2−1)=35%)であるときのインピーダンス特性を示している。
図13に示すように、第1の誘電体層21の厚みを変化させた場合、メインの応答Rp1の***振周波数はほとんど変化しないのに対して、応答Rp2の共振周波数は、変化していることが分かる。この結果から、第1の誘電体層21の厚みを変化させることにより、メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差を制御できることが分かる。具体的には、第1の誘電体層21の厚みを大きくすることにより、メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差を小さくできることが分かる。
また、種々の第1の誘電体層21の厚みにおける本実施形態の弾性境界波フィルタ装置1のフィルタ特性を図14及び図15に示す。さらに、種々の第1の誘電体層21の厚みにおける本実施形態の弾性境界波フィルタ装置1を用いたデュプレクサ3における送信側信号端子Txと受信側信号端子Rx1,Rx2との間のアイソレーション特性を図16に示す。なお、太い実線が、第1の誘電体層21の厚みが1213nm(H/λ(S2−1)=60%)であるときのデータである。一点破線が、第1の誘電体層21の厚みが1011nm(H/λ(S2−1)=50%)であるときのデータである。二点破線が、第1の誘電体層21の厚みが809nm(H/λ(S2−1)=40%)であるときのデータである。細い実線が、第1の誘電体層21の厚みが607nm(H/λ(S2−1)=30%)であるときのデータである。点線が、第1の誘電体層21の厚みが505nm(H/λ(S2−1)=25%)であるときのデータである。
図14及び図15に示すように、第1の誘電体層21の厚みが大きくなり、メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差が小さくなるほど、丸で囲んだ減衰帯域における減衰量が大きくなることが分かる。但し、第1の誘電体層21の厚みが809nm(H/λ(S2−1)=40%)未満であるときは、減衰帯域における減衰量がそれほど変化せず、第1の誘電体層21の厚みが809nm(H/λ(S2−1)=40%)以上であるときに減衰帯域における減衰量が大きく改善された。
同様に、図16に示す結果から、第1の誘電体層21の厚みが大きくなり、メインの応答Rp1の***振周波数と応答Rp2の共振周波数との間の周波数差が小さくなるほど、送信側信号端子Txと受信側信号端子Rx1,Rx2との間のアイソレーション特性が良好になることが分かる。但し、第1の誘電体層21の厚みが809nm(H/λ(S2−1)=40%)未満であるときは、アイソレーション特性がそれほど変化せず、第1の誘電体層21の厚みが809nm(H/λ(S2−1)=40%)以上であるときにアイソレーション特性が大きく改善された。この結果から、SiOからなる第1の誘電体層21の厚みは、809nm(H/λ(S2−1)=40%)以上であることが好ましいことが分かる。なお、SiOからなる第1の誘電体層21の厚みが70%を超えると、ロスが劣化してしまうため、SiOからなる第1の誘電体層21の厚みは、70%以下であることが好ましい。
以下、本発明を実施した好ましい形態の別の例について説明する。但し、以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に同様の機能を有する部材を同じ符号で参照し、説明を省略する。
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、弾性波フィルタ装置がラダー型のフィルタ装置である場合について、説明した。但し、本発明の弾性波フィルタ装置は、ラダー型のフィルタ装置に限定されない。本発明の弾性波フィルタ装置は、入力端子と出力端子との間に通過帯域の形成に寄与する第1の共振子が設けられており、かつ、入力端子と出力端子との間の信号伝達経路とグラウンド電位との間に第2の共振子が設けられている弾性波フィルタ装置である限りにおいて特に限定されない。入力端子と出力端子との間の信号伝達経路とグラウンド電位との間に第2の共振子が設けられている弾性波フィルタ装置では、第2の共振子の***振周波数が通過帯域内に位置するように設計されており、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量は、第2の共振子の減衰帯域におけるインピーダンスの低さに依存するからである。すなわち、第2の共振子の減衰帯域におけるインピーダンスが低いほど、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量が大きくなるため、入力端子と出力端子との間の信号伝達経路とグラウンド電位との間に第2の共振子が設けられている弾性波フィルタ装置全般に対して、第2の共振子の減衰帯域におけるインピーダンスを低くできる本発明は、好適である。
例えば、本発明に係る弾性波フィルタ装置は、図17に示すように、並列トラップを有する縦結合共振子型弾性波フィルタであってもよい。
図17に示すように、本実施形態の弾性境界波フィルタ装置5は、不平衡信号端子である入力端子11と、平衡信号端子である第1及び第2の出力端子12a、12bを備えている。入力端子11と、第1及び第2の出力端子12a、12bとの間には、縦結合共振子型弾性波フィルタ部50a、50bが接続されている。
縦結合共振子型弾性波フィルタ部50aは、入力端子11と、第1の出力端子12aとの間に接続されている。縦結合共振子型弾性波フィルタ部50aは、弾性境界波の伝搬方向に沿って配列された第1〜第3のIDT電極51a〜53aと、第1〜第3のIDT電極51a〜53aが設けられている領域に弾性境界波伝搬方向の両側に配置されている第1及び第2のグレーティング反射器54a、55aとを備えている。第1及び第3のIDT電極51a、53aのそれぞれの一方側が、弾性境界波共振子56を介して入力端子11に接続されており、他方側がグラウンド電位に接続されている。第2のIDT電極52aの一方側は、グラウンド電位に接続されており、他方側が第1の出力端子12aに接続されている。
縦結合共振子型弾性波フィルタ部50bは、入力端子11と、第2の出力端子12bとの間に接続されている。縦結合共振子型弾性波フィルタ部50bは、弾性境界波の伝搬方向に沿って配列された第1〜第3のIDT電極51b〜53bと、第1〜第3のIDT電極51b〜53bが設けられている領域に弾性境界波伝搬方向の両側に配置されている第1及び第2のグレーティング反射器54b、55bとを備えている。第1及び第3のIDT電極51b、53bのそれぞれの一方側が、弾性境界波共振子56を介して入力端子11に接続されており、他方側がグラウンド電位に接続されている。第2のIDT電極52bの一方側は、グラウンド電位に接続されており、他方側が第2の出力端子12bに接続されている。
縦結合共振子型弾性波フィルタ部50aと第1の出力端子12aとの間の接続点と、グラウンド電位との間には、第2の共振子としての並列トラップ60aが接続されている。また、縦結合共振子型弾性波フィルタ部50bと、第2の出力端子12bとの間の接続点と、グラウンド電位との間には、第2の共振子としての並列トラップ60bが接続されている。
本実施形態では、これら並列トラップ60a、60bにより、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量が大きくされている。具体的には、並列トラップ60a、60bの通過帯域の形成に寄与している応答以外の応答の共振周波数(fFrh)から通過帯域の中心周波数(f)を減算した値(fFrh−f)を通過帯域の中心周波数で規格化した値((fFrh−f)/f)が、0.073〜0.250の範囲内とされており、これにより、通過帯域の高域側に位置する減衰帯域における減衰量が大きくされている。
なお、上記第1及び第2の実施形態では、弾性境界波を利用した弾性境界波フィルタ装置及びそれを備える分波器について説明したが、本発明に係る弾性境界波フィルタ装置は、弾性境界波を利用するものに限定されない。例えば、本発明において、第1及び第2の共振子のうちの少なくとも一方が弾性表面波共振子により構成されていてもよい。すなわち、本発明に係る弾性境界波フィルタ装置は、弾性表面波フィルタ装置であってもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態では、分波器の例として、デュプレクサを挙げたが、本発明において、分波器は、例えばトリプレクサ等であってもよい。
1…弾性境界波フィルタ装置(送信フィルタ)
2…受信フィルタ
3…デュプレクサ
L1〜L3…インダクタ
S1…第1の直列腕共振子
P1…第1の並列腕共振子
S2…第2の直列腕共振子
P2…第2の並列腕共振子
S3…第3の直列腕共振子
P3…第3の並列腕共振子
5…弾性境界波フィルタ装置
11…入力端子
12…出力端子
12a…第1の出力端子
12b…第2の出力端子
13…直列腕
13a〜13c…接続点
14a…第1の並列腕
14b…第2の並列腕
14c…第3の並列腕
15a、15b…グラウンド電極
20…圧電基板
21…第1の誘電体層
22…第2の誘電体層
29…共振子
30…IDT電極
30a…第1の主たる導電膜
30b…第2の主たる導電膜
30c…第3の主たる導電膜
30d〜30f…密着膜
30g…保護膜
31,32…くし歯電極
31a、32a…バスバー
31b、32b…電極指
31c、32c…ダミー電極
33,34…第2のグレーティング反射器
41…不平衡信号端子
42a…第1の平衡信号端子
42b…第2の平衡信号端子
43…弾性境界波共振子
44a…第1の弾性境界波フィルタ部
44b…第2の弾性境界波フィルタ部
45a、45b…弾性境界波共振子
50a…縦結合共振子型弾性波フィルタ部
50b…縦結合共振子型弾性波フィルタ部
51a、51b…第1のIDT電極
52a、52b…第2のIDT電極
53a、53b…第3のIDT電極
54a、54b…第1のグレーティング反射器
55a、55b…第2のグレーティング反射器
56…弾性境界波共振子
60a、60b…並列トラップ

Claims (10)

  1. 入力端子と、
    出力端子と、
    前記入力端子と前記出力端子との間に設けられている第1の共振子と、
    前記入力端子または前記出力端子と前記第1の共振子との間の接続点と、グラウンド電位との間に接続されている第2の共振子とを備え、
    前記第1及び第2の共振子により、通過帯域と、前記通過帯域の高域側に減衰帯域とが形成されている弾性波フィルタ装置であって、
    前記第2の共振子は、前記通過帯域の形成に寄与している応答以外の応答を有し、
    前記第2の共振子の前記通過帯域の形成に寄与している応答以外の応答の共振周波数(fFrh)から前記通過帯域の中心周波数(f)を減算した値(fFrh−f)を前記通過帯域の中心周波数で規格化した値((fFrh−f)/f)が、0.073〜0.250の範囲内にある、弾性波フィルタ装置。
  2. 前記入力端子と前記出力端子とを接続する直列腕において、直列腕共振子を構成するように、前記第1の共振子が設けられており、
    前記第2の共振子は、前記直列腕とグラウンド電位との間に接続されている並列腕に配置されている並列腕共振子を構成するように設けられている、請求項1に記載の弾性波フィルタ装置。
  3. 前記第1の共振子は、前記入力端子と前記出力端子との間に接続されている縦結合共振子型弾性波フィルタ部を構成しており、
    前記第2の共振子は、前記入力端子または前記出力端子と前記縦結合共振子型弾性波フィルタ部との間の接続点と、グラウンド電位との間に接続されている、請求項1に記載の弾性波フィルタ装置。
  4. 前記第1及び第2の共振子のそれぞれは、圧電基板と、前記圧電基板の上に形成されている第1の誘電体層と、前記圧電基板と前記第1の誘電体層との間の境界に形成されているIDT電極とを有する弾性境界波共振子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
  5. 前記第1及び第2の共振子のそれぞれは、前記第1の誘電体層の上に形成されており、前記第1の誘電体層よりも速い音速を有する第2の誘電体層をさらに有する3媒質型の弾性境界波共振子である、請求項4に記載の弾性波フィルタ装置。
  6. 前記入力端子と前記出力端子とを接続する直列腕において、互いに直列に接続されている直列腕共振子を構成するように、前記第1の共振子が設けられており、
    前記第2の共振子は、前記直列腕とグラウンド電位との間に接続されている並列腕に配置されている並列腕共振子を構成するように設けられており、
    前記IDT電極は、AlまたはAlを主成分とする合金からなる導電膜を主たる導電膜として有しており、前記第1の共振子のIDT電極の電極指ピッチで決まる波長で規格化された前記主たる導電膜の膜厚が10%〜30%の範囲内にある、請求項4または5に記載の弾性波フィルタ装置。
  7. 前記入力端子と前記出力端子とを接続する直列腕において、互いに直列に接続されている直列腕共振子を構成するように、前記第1の共振子が設けられており、
    前記第2の共振子は、前記直列腕とグラウンド電位との間に接続されている並列腕に配置されている並列腕共振子を構成するように設けられており、
    前記第1の誘電体層は、酸化珪素からなり、前記第1の共振子のIDT電極の電極指ピッチで決まる波長で規格化された前記第1の誘電体層の厚みが40%〜70%の範囲内にある、請求項4〜6のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
  8. 前記第2の共振子の前記通過帯域の形成に寄与している応答以外の応答は、前記通過帯域の形成に寄与している応答の高次モードの応答である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
  9. 前記第2の共振子の前記通過帯域の形成に寄与している応答以外の応答は、前記通過帯域の形成に寄与している応答とは種類が異なる応答である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置を備える、分波器。
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