以下、図面に基づいて本発明の実施例1から実施例15を説明する。以下の実施例では、ステアリングホイールの上下方向位置を調整する、チルト式のステアリング装置に本発明を適用した例について説明する。
図1は本発明のステアリング装置101を車両に取り付けた状態を示す全体斜視図である。ステアリング装置101は、ステアリングシャフト102を回動自在に軸支している。ステアリングシャフト102には、その上端(車体後方側)にステアリングホイール103が装着され、ステアリングシャフト102の下端(車体前方側)には、ユニバーサルジョイント104を介して中間シャフト105が連結されている。
中間シャフト105にはその下端にユニバーサルジョイント106が連結され、ユニバーサルジョイント106には、ラックアンドピニオン機構等からなるステアリングギヤ107が連結されている。
運転者がステアリングホイール103を回転操作すると、ステアリングシャフト102、ユニバーサルジョイント104、中間シャフト105、ユニバーサルジョイント106を介して、その回転力がステアリングギヤ107に伝達され、ラックアンドピニオン機構を介して、タイロッド108を移動し、車輪の操舵角を変えることができる。
図2は本発明の実施例1のステアリング装置101を車体後方側上方から見た要部の分解斜視図である。図3は図2を車体後方側下方から見た分解斜視図、図4は図3の組付け状態を示す拡大縦断面図、図5は図3のアウターコラムと可動摩擦板を示す拡大斜視図である。図6は図5の可動摩擦板を取り外した状態を示す分解斜視図である。図7は本発明の実施例1の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図7(a)は可動摩擦板の正面図、図7(b)は図7(a)の右側面図、図7(c)は図7(a)の平面図である。
図2から図7に示すように、本発明の実施例1のステアリング装置101は、車体取付けブラケット2、インナーコラム(アッパーコラム)31、アウターコラム(ロアーコラム)32等から構成されている。アウターコラム32の車体前方側は、図示しない車体に、図示しないチルト中心軸を介して、チルト位置調整可能に支持されている。
中空円筒状のアウターコラム32の内周面には、中空円筒状のインナーコラム31の外周面が外嵌している。インナーコラム31には、ステアリングシャフト102が回動可能に軸支され、ステアリングシャフト102の車体後方側には、ステアリングホイール103(図1参照)が固定されている。
アウターコラム32の外周面の車体下方側には、ディスタンスブラケット33が溶接によって一体的に固定されている。ディスタンスブラケット33は、アウターコラム32の外周面から車体下方側に延びる左右一対の側板34、35と、側板、34、35の下端を連結し、車幅方向に略水平に形成された下板36を有している。側板、34、35には、円形の貫通孔37、38が形成されている。貫通孔37、38は、アウターコラム32の軸心に直交する方向に同心上に形成されている。
車体取付けブラケット2は、車幅方向に略水平に形成された上板21と、この上板21から車体下方側に延び、ディスタンスブラケット33を車幅方向の左右両側から挟持する左右一対の側板22、23を有している。上板21の車幅方向の左右両側にはボルト孔211、212が形成され、このボルト孔211、212に挿入された図示しないボルトによって、上板21が車体に取付けられている。
車体取付けブラケット2の側板22、23には、チルト調整用長溝24、25が形成されている。チルト調整用長溝24、25は、チルト中心軸を中心とする円弧状に形成されている。側板22、23の内側面221、231には、固定摩擦板51、52が各々固定されている。固定摩擦板51、52は、チルト位置調整方向に長く形成され、その上端が2本のリベット53、53によって側板22、23に各々固定されている。固定摩擦板51、52の側板22、23への固定方法としては、リベット53に限定されるものでは無く、ボルト・ナットによる結合、エンボス(プレス)による結合、抵抗溶接による結合等でも良い。固定摩擦板51、52には、長溝54、55が形成されている。長溝54、55は、上記チルト調整用長溝24、25と同一位相位置に、同一形状に形成されている。
側板22、23の内側面221、231と固定摩擦板51、52の外側面512、522との間には、隙間56、57が各々形成されている。この隙間56、57に、矩形板状の可動摩擦板61、62が各々挿入されている。可動摩擦板61、62には、円形の貫通孔612、622が各々形成されている。可動摩擦板61、62は、連結部63によって一体的に連結されている。
連結部63は、可動摩擦板61、62の車体後方側端面611、621から車体後方側に若干延びた後、アウターコラム32の中心に向かって、かつ車体前方側に向かって折り曲げて形成されている。また、連結部63は、可動摩擦板61、62に対して鋭角に形成されている。従って、連結部63は、固定摩擦板51、52の車体後方端から車体後方側に若干突出して形成されている。連結部63の幅W2(図7参照)は、可動摩擦板61、62の幅W1(図7参照)よりも小さく形成されるとともに、連結部63の厚さ方向(車体前方側)にV字状に折り曲げて形成されている。実施例1では、連結部63は、可動摩擦板61、62の車体後方側端面611、621に形成されているが、可動摩擦板61、62の車体前方側端面に形成してもよい。
図6に示すように、ディスタンスブラケット33の側板34、35の車体後方側端面341、351には、U字状の係合凹部342、352が形成されている。係合凹部342、352はV字状に形成してもよい。固定摩擦板51、52の内側面511、521の間に、ディスタンスブラケット33の側板34、35の外側面343、353を挿入した後、連結部63を手で持ち、車体後方側から可動摩擦板61、62を隙間56、57に挿入すると、図5に示すように、連結部63が係合凹部342、352に嵌入して係合する。
その結果、ディスタンスブラケット33の側板34、35に対して、可動摩擦板61、62の車体前後方向、車体上下方向の位置が位置決めされて、ディスタンスブラケット33の貫通孔37、38と、可動摩擦板61、62の貫通孔612、622の中心が一致する。この状態で、貫通孔612、622に締付けロッド41を挿入すると、可動摩擦板61、62の回転方向の移動が拘束される。従って、左右の可動摩擦板61、62の組付けと貫通孔612、622の位置合わせを同時に行うことができる。また、可動摩擦板61、62を持ちやすいので、組立作業時間を短縮することができる。
丸棒状の締付けロッド41を、上記チルト調整用長溝24、25及び貫通孔37、38を通して、図2から図4の右側から挿入する。締付けロッド41に、スラストベアリング45を外嵌し、右側のチルト調整用長溝25、右側の可動摩擦板62の貫通孔622、右側の固定摩擦板52の長溝55、右側の側板35の貫通孔38、左側の側板34の貫通孔37、左側の固定摩擦板51の長溝54、左側の可動摩擦板61の貫通孔612、左側のチルト調整用長溝24に締付けロッド41の左端を通す。
続いて、締付けロッド41の左端側に、右から順に、固定カム47、可動カム42、操作レバー43、カラー(座金またはワッシャの機能を有する)44を外嵌し、ナット46を締付けロッド41の左端に締め付けて固定すれば、チルトロック機構の組み付けが完了する。
締付けロッド41の右端には円盤状頭部411が形成され、スラストベアリング45を側板23の外側面232に押し付ける。固定カム47の右端面は側板22の外側面222に当接している、また、固定カム47の右端面には矩形の回り止め部471が突出して形成され、回り止め部471は、左側のチルト調整用長溝24の溝幅よりも若干幅の狭い二面幅に形成されている。この回り止め部471が左側のチルト調整用長溝24に嵌合して、側板22に対して固定カム47が回り止めされる。
また、アウターコラム32のチルト位置調整時に、固定カム47がチルト調整用長溝24に案内されてチルト調整方向に円滑に摺動する。可動カム42は操作レバー43に圧入されて、操作レバー43と一体的に回動する。固定カム47の左端面(可動カム42と対向する端面)には、可動カム42の右端面の傾斜カム面と係合する傾斜カム面が形成されている。
アウターコラム32を車体取付けブラケット2にクランプするために、操作レバー43を反時計方向に回動操作すると、可動カム42も操作レバー43と一緒に反時計方向に回動する。固定カム47は、固定カム47の回り止め部471がチルト調整用長溝24に内嵌して回転が規制されているため回転しない。
固定カム47の傾斜カム面の山に可動カム42の傾斜カム面の山が乗り上げるため、固定カム47の右端面が左側の側板22の外側面222を内側に押す。その結果、左側の側板22が内側に弾性変形し、左側の可動摩擦板61、左側の固定摩擦板51を介して、ディスタンスブラケット33の左側の側板34の外側面343を強く押圧する。
固定カム47の傾斜カム面の山に可動カム42の傾斜カム面の山が乗り上げると、締付けロッド41が図4の左側に引っ張られ、円盤状頭部411がスラストベアリング45を介して右側の側板23の外側面232を内側に押す。その結果、右側の側板23が内側に弾性変形し、右側の可動摩擦板62、右側の固定摩擦板52を介して、ディスタンスブラケット33の右側の側板35の外側面353を強く押圧する。
このようにして、アウターコラム32のディスタンスブラケット33を、固定摩擦板51、52、可動摩擦板61、62を介して車体取付けブラケット2に、所定のチルト調整位置で大きな保持力で締め付けてチルトクランプすることができる。チルトクランプすると、可動摩擦板61、62の車幅方向(図4の左右方向)の間隔が狭くなる。可動摩擦板61、62の連結部63の幅W2は、可動摩擦板61、62の幅W1よりも小さく形成されるとともに、連結部63の厚さ方向にV字状に折り曲げて形成されているため、連結部63は弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部63が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
アウターコラム32を車体取付けブラケット2にアンクランプするために、操作レバー43を時計方向に回動操作すると、可動カム42が回動し、固定カム47の傾斜カム面の山と可動カム42の傾斜カム面の谷が噛み合う。すると、固定カム47と可動カム42の軸方向位置が相対的に近づく。フリーな状態における間隔がディスタンスブラケット33の側板34、35の外側面343、353の幅より広く設定された固定摩擦板51、52、車体取付けブラケット2の側板22、23が、挟持方向と反対の方向へそれぞれ弾性復帰する。
これによって、アウターコラム32は、車体取付けブラケット2の側板22、23に対してフリーな状態(チルトアンクランプ)となる。チルトアンクランプした状態で、固定カム47の回り止め部471を車体取付けブラケット2のチルト調整用長溝24に案内させつつ、アウターコラム32をチルト方向に変位させて、ステアリングホイール103のチルト方向の調整を任意に行うことができる。
次に本発明の実施例2について説明する。図8は本発明の実施例2の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図8(a)は可動摩擦板の平面図、図8(b)は図8(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例2は、実施例1の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図8に示すように、実施例2では、実施例1と同様に、連結部63は、可動摩擦板61、62の車体後方側端面611、621から車体後方側に若干延びた後、アウターコラム32の中心に向かって直角に折り曲げて形成されている。連結部63の幅W2は、可動摩擦板61、62の幅W1よりも小さく形成されている。実施例2の連結部63は、実施例1とは異なり、連結部63の厚さ方向には折り曲げられていない。
実施例2では、連結部63の幅は、可動摩擦板61、62の幅よりも小さく形成されているため、連結部63は弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部63が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例3について説明する。図9は本発明の実施例3の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図9(a)は可動摩擦板の平面図、図9(b)は図9(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例3は、実施例2の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図9に示すように、実施例3では、実施例2と同様に、連結部63は、可動摩擦板61、62の車体後方側端面611、621から車体後方側に若干延びた後、アウターコラム32の中心に向かって直角に折り曲げて形成されている。連結部63の幅W2は、可動摩擦板61、62の幅W1よりも小さく形成されている。実施例3の連結部63は、実施例2と同様に、連結部63の厚さ方向には折り曲げられていない。実施例3の連結部63は、実施例2とは異なり、可動摩擦板61、62の貫通孔612、622の中心よりも車体下方側(図9の下方側)に形成されている。連結部63は、可動摩擦板61、62の貫通孔612、622の中心よりも車体上方側(図9の上方側)に形成してもよい。
実施例3では、連結部63の幅は、可動摩擦板61、62の幅よりも小さく形成されているため、連結部63は弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部63が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例4について説明する。図10は本発明の実施例4の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図10(a)は可動摩擦板の平面図、図10(b)は図10(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例4は、実施例1の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図10に示すように、実施例4では、連結部63は、左側の可動摩擦板61の車体後方側端面611の車体下方側(図10(a)の下方側)、及び、右側の可動摩擦板62の車体後方側端面621の車体上方側(図10(a)の上方側)から、車体後方側に各々若干延びた後、アウターコラム32の中心に向かって直角に若干折り曲げ、その後、連結部63の幅方向に斜めに折り曲げて形成されている。実施例4は、折り曲げて形成する方法に限定されるものではなく、打ち抜きによって、斜めに形成してもよい。連結部63の幅W2は、可動摩擦板61、62の幅W1よりも小さく形成されている。
実施例4では、連結部63の幅は、可動摩擦板61、62の幅よりも小さく形成されるとともに、連結部63の幅方向に斜めに折り曲げて形成されているため、連結部63は弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部63が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例5について説明する。図11は本発明の実施例5の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図11(a)は可動摩擦板の平面図、図11(b)は図11(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例5は、実施例4の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図11に示すように、実施例5では、連結部63は、可動摩擦板61、62の車体後方側端面611、621の車体下方側(図11(a)の下方側)から、車体後方側に各々若干延びた後、アウターコラム32の中心に向かって直角に若干折り曲げ、その後、連結部63の幅方向の車体上方側に山形に折り曲げて形成されている。連結部63の幅W2は、可動摩擦板61、62の幅W1よりも小さく形成されている。
実施例5では、連結部63の幅は、可動摩擦板61、62の幅よりも小さく形成されるとともに、連結部63の幅方向に山形に折り曲げて形成されているため、連結部63は弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部63が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例6について説明する。図12は本発明の実施例6の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図12(a)は可動摩擦板の正面図、図12(b)は図12(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例6は、実施例1の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図12に示すように、実施例6では、連結部64は、右側の可動摩擦板62から同一幅で車体後方側に若干延ばし、左側の可動摩擦板61から同一幅で、右側の可動摩擦板62よりもさらに車体後方側に延ばした後、アウターコラム32の中心に向かって斜めに折り曲げて形成されている。連結部64の幅W3は、可動摩擦板61、62の幅W1と同一に形成されている。
実施例6では、連結部64は、左側の可動摩擦板61側を、実施例1よりも車体後方側に延ばしているため、弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部64が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例7について説明する。図13は本発明の実施例7の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図13(a)は可動摩擦板の正面図、図13(b)は図13(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例7は、実施例6の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図13に示すように、実施例7では、連結部64は、可動摩擦板61、62から同一幅で車体後方側に若干延ばした後、アウターコラム32の中心に向かって、かつ車体後方側に向かって折り曲げて形成されている。また、連結部64は、可動摩擦板61、62に対して鈍角に形成されている。すなわち、連結部64は、連結部64の厚さ方向(図13(a)の上方側、車体後方側)に山形に折り曲げて形成されている。連結部64の幅W3は、可動摩擦板61、62の幅W1と同一に形成されている。
実施例7では、連結部64は、厚さ方向に折り曲げて形成されているため、弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部64が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例8について説明する。図14は本発明の実施例8の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図14(a)は可動摩擦板の正面図、図14(b)は図14(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例8は、実施例7の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図14に示すように、実施例8では、連結部64は、可動摩擦板61、62から同一幅で車体後方側に若干延ばした後、アウターコラム32の中心に向かって、かつ車体前方側に向かって折り曲げて形成されている。また、連結部64は、可動摩擦板61、62に対して鋭角に形成されている。すなわち、連結部64は、連結部64の厚さ方向(図14(a)の下方側、車体前方側)にV字状に折り曲げて形成されている。連結部64の幅W3は、可動摩擦板61、62の幅W1と同一に形成されている。
実施例8では、連結部64は、厚さ方向に折り曲げて形成されているため、弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部64が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例9について説明する。図15は本発明の実施例9の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図15(a)は可動摩擦板の正面図、図15(b)は図15(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例9は、実施例1の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図15に示すように、実施例9では、連結部65は、可動摩擦板61、62から同一幅で車体後方側に若干延ばした後、アウターコラム32の中心に向かって直角に折り曲げて形成されている。さらに、連結部65の折り曲げ部の厚さT2は、可動摩擦板61、62の厚さT1よりも薄く形成されている。連結部65の幅W3は、可動摩擦板61、62の幅W1と同一に形成されている。
実施例9では、連結部65の厚さは、可動摩擦板61、62の厚さよりも薄く形成されているため、弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部65が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例10について説明する。図16は本発明の実施例10の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図16(a)は可動摩擦板の正面図、図16(b)は図16(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例10は、実施例9の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図16に示すように、実施例10では、連結部66は、可動摩擦板61、62から同一幅で車体後方側に若干延ばした後、アウターコラム32の中心に向かって直角に折り曲げて形成されている。連結部66の幅W3は、可動摩擦板61、62の幅W1と同一に形成されている。さらに、連結部66の折り曲げ部には、薄肉部661が車幅方向の3箇所に形成されていて、薄肉部661の厚さT3は、可動摩擦板61、62の厚さT1よりも薄く形成されている。
実施例10では、連結部66には、可動摩擦板61、62の厚さよりも薄い薄肉部661が形成されているため、弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部66が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例11について説明する。図17は本発明の実施例11の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図17(a)は可動摩擦板の正面図、図17(b)は図17(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例11は、実施例1の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図17に示すように、実施例11では、実施例1と同様に、連結部67は、可動摩擦板61、62の車体後方側端面611、621から車体後方側に若干延びた後、アウターコラム32の中心に向かって直角に折り曲げて形成されている。連結部67の幅W4は、可動摩擦板61、62の幅W1よりも小さく形成されるとともに、連結部67には、略矩形の肉抜き部671が、1個形成されている。肉抜き部671は、連結部67の折り曲げ部のほぼ全面を覆う大きさに形成されている。
実施例11では、連結部67の幅は、可動摩擦板61、62の幅よりも小さく形成されるとともに、連結部67には肉抜き部671が形成されているため、連結部67は弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部67が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例12について説明する。図18は本発明の実施例12の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図18(a)は可動摩擦板の正面図、図18(b)は図18(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例12は、実施例11の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図18に示すように、実施例12では、連結部68は、可動摩擦板61、62から同一幅で車体後方側に若干延ばした後、アウターコラム32の中心に向かって直角に折り曲げて形成されている。連結部68の幅W3は、可動摩擦板61、62の幅W1と同一に形成されているとともに、連結部68には、略矩形の肉抜き部681が1個形成されている。肉抜き部681は、連結部68の折り曲げ部のほぼ全面を覆う大きさに形成されている。
実施例12では、連結部68には、肉抜き部681が形成されているため、弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部68が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例13について説明する。図19は本発明の実施例13の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図19(a)は可動摩擦板の正面図、図19(b)は図19(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例13は、実施例12の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図19に示すように、実施例13では、連結部68は、可動摩擦板61、62から同一幅で車体後方側に若干延ばした後、アウターコラム32の中心に向かって直角に折り曲げて形成されている。連結部68の幅W3は、可動摩擦板61、62の幅W1と同一に形成されているとともに、連結部68には、略矩形の肉抜き部682が、車体上下方向(図19(a)の上下方向)に2個並列して形成されている。
実施例13では、連結部68には、肉抜き部682が複数形成されているため、弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部68が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例14について説明する。図20は本発明の実施例14の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図20(a)は可動摩擦板の正面図、図20(b)は図20(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例14は、実施例12の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図20に示すように、実施例14では、連結部68は、可動摩擦板61、62から同一幅で車体後方側に若干延ばした後、アウターコラム32の中心に向かって直角に折り曲げて形成されている。連結部68の幅W3は、可動摩擦板61、62の幅W1と同一に形成されているとともに、連結部68には、略矩形の肉抜き部683が、車幅方向(図20(a)の左右方向)に2個並列して形成されている。
実施例14では、連結部68には、肉抜き部683が複数形成されているため、弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部68が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
次に本発明の実施例15について説明する。図21は本発明の実施例15の可動摩擦板単体を示す部品図であり、図21(a)は可動摩擦板の正面図、図21(b)は図21(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例15は、実施例12の連結部の形状を変更した例である。すなわち、図21に示すように、実施例15では、連結部68は、可動摩擦板61、62から同一幅で車体後方側に若干延ばした後、アウターコラム32の中心に向かって直角に折り曲げて形成されている。連結部68の幅W3は、可動摩擦板61、62の幅W1と同一に形成されているとともに、連結部68には、円形の肉抜き部684が、均等に分散して14個形成されている。
実施例15では、連結部68には、肉抜き部684が複数形成されているため、弾性変形が容易である。従って、チルトクランプ、チルトアンクランプ時に、連結部68が弾性変形して、可動摩擦板61、62の車幅方向の間隔の変動を許容することができる。
上記実施例では、側板22、23の内側面221、231に固定摩擦板51、52を配置した例について説明したが、側板22、23の外側面222、232に固定摩擦板51、52を配置してもよい。また、上記実施例では、アウターコラム32の車体下方側にディスタンスブラケット33が配置された例について説明したが、アウターコラム32の車体上方側にディスタンスブラケット33を配置してもよい。さらに、上記実施例では、チルト位置調整が可能なチルト式のステアリング装置に本発明を適用した場合について説明したが、チルト位置調整とテレスコピック位置調整の両方が可能なチルト・テレスコピック式のステアリング装置に本発明を適用してもよい。