JP5336935B2 - 高充填樹脂組成物 - Google Patents
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Description
(1)オレフィンが、炭素数3以上20以下のαオレフィン、炭素数5以上20以下の環状オレフィン、炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上である。
(2)炭化水素系ポリエンが、分子内にビニル基及び/又はビニレン基を複数有する炭素数5以上20以下の炭化水素系ポリエンから選ばれる一種以上である。
(3)エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の数平均分子量が1000以上5万以下、重量平均分子量/数平均分子量が1.5以上5以下であり、かつ、炭化水素系ポリエン単位含有量が、数平均分子量あたり1個以上10個未満であることを満足する。
であり、本高充填樹脂組成物から得られる硬化体である。
<エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体>
本エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体は、エチレン、オレフィンと炭化水素系ポリエン(本明細書中では単にポリエンと記載する場合がある)を共重合して得られる。用いられるオレフィンとしては、炭素数3以上20以下のαオレフィン、炭素数5以上20以下の環状オレフィン、又は炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上である。
炭素数3以上20以下のαオレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デカン、1−ドデカン、4−メチル−1−ペンテン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセンが例示できる。
炭素数5以上20以下の環状オレフィンとしては、ノルボルネン、シクロペンテンが例示できる。
炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、パラメチルスチレン、パライソブチルスチレン、各種ビニルナフタレン、各種ビニルアントラセンが例示できる。
炭化水素系ポリエンとしてジビニルベンゼン類を用いた場合、硬化処理を行う際に硬化効率が高く、硬化が容易であるため好ましい。
以上のオレフィン、炭化水素系ポリエンには、他に極性基、例えば酸素原子、窒素原子等を含むαオレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物や炭化水素系ポリエンを総質量の5質量%未満、好ましくは1質量%未満含んでいても良い。
複数のオレフィンを用いる場合には、モノマ−分率を元に加成性に従い計算で予測するか、数点組成を代えて試作を行い、適当な含有量の範囲について判断することが出来る。
本エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体を合成するには、エチレン、オレフィン、ポリエンの各モノマ−を一般式(1)、又は(2)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いることで、コモノマ−、特にポリエンの組成が均一であり本高充填樹脂組成物として好適なエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体を得ることが出来る。さらに下記一般式(1)、又は(2)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いることで、炭化水素系ポリエンを高い効率で共重合できるため本発明には好適である。
Xは、水素、水酸基、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル基、又は炭素数1〜20の炭化水素置換基を有するアミド基である。2個のXは結合を有しても良い。
Mはジルコニウム、ハフニウム、又はチタンである。
M’はジルコニウム、ハフニウム、又はチタンである。
X’は、水素、ハロゲン、炭素数1−15のアルキル基、炭素数6−10のアリール基、炭素数8−12のアルキルアリール基、炭素数1−4の炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1−10のアルコキシ基、又は炭素数1−6のアルキル置換基を有するジアルキルアミド基である。
nは、1、又は2の整数である。
本発明のエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体は、エチレン、オレフィン、炭化水素系ポリエンの各原料モノマ−と上記遷移金属化合物及び助触媒からなるシングルサイト配位重合触媒を接触させる。その順序、方法については公知の任意の方法が用いられる。例えば、WO00/37517号公報にはエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の好適な製造方法が記載されている。
単数や連結された複数のタンク式重合缶やリニアやル−プの単数、連結された複数のパイプ重合設備を用いることも可能である。パイプ状の重合缶には、動的、あるいは静的な混合機や除熱を兼ねた静的混合機等の公知の各種混合機、除熱用の細管を備えた冷却器等の公知の各種冷却器を有してもよい。また、バッチタイプの予備重合缶を有していてもよい。さらには気相重合等の方法を用いることができる。
重合時の圧力は、0.1気圧〜100気圧が適当であり、好ましくは1〜30気圧、特に工業的に特に好ましくは、1〜10気圧である。
本発明においては、上記条件を満たすエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体10〜90質量部、ラジカル重合性ビニル化合物90〜10質量部の合計100質量部、好ましくはエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体20〜80質量部、ラジカル重合性ビニル化合物80〜20質量部の合計100質量部に対して、無機充填材を、500質量部を超えて2000質量部までの範囲で含むことを特徴とする高充填樹脂組成物である。
ここで、エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体がエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体とラジカル重合性ビニル化合物の合計に対して10質量部または20質量部より低いと、最終的に得られる硬化体の軟質性が失われてしまう恐れがあり、80質量部または90質量部より高いと高充填樹脂組成物の成形加工性(封止性)が低下してしまう場合がある。
本発明においては、上記範囲でエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体とラジカル重合性ビニル化合物の質量比を変更することで、本高充填樹脂組成物の粘度、流動性を、その目的、成形方法にあわせて調整することが出来る。例えは、高充填樹脂組成物として封止後に硬化させる必要がある場合には、ラジカル重合性ビニル化合物の量を増加させることで流動性を向上させることが出来る。また、あらかじめシートに成形し、他の部材と積層した後に加熱溶融させ充填密着させた後に硬化させる(いわゆるBステージ法)場合、取り扱い容易なシ−ト形状とするためにはラジカル重合性ビニル化合物の量を減じ、エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の組成、分子量を調整し、無機充填材の量を適宜変更し、さらに滑材を必要に応じて添加することで達成することが可能である。また、複数の硬化剤及び/または硬化条件を採用することで、本高充填樹脂組成物の粘度、流動性、性状を制御することができる。すなわち、第一段階の硬化(部分硬化)により、本高充填樹脂組成物を取扱容易な柔軟シート状に成形し、これを積層し圧着、封止させた後に第二段階の硬化(完全硬化)を行い、最終形状とすることも可能である。
さらに、本発明においては、種類の異なる複数のエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体からなる混合物を用いても良い。流動性や軟質性の異なるエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体からなる混合物を用いることで、最終的に得られる硬化体の物性をより広い範囲で調節することが可能となる。
本明細書で規定され、本発明に用いられるラジカル重合性ビニル化合物とは、その分子内にラジカル重合性ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、あるいはアリル基を1個以上有する公知のラジカル重合性をしめす化合物である。本発明に用いられるラジカル重合性ビニル化合物の例としては、芳香族ビニル化合物、環状オレフィン、炭化水素系ポリエン、アクリル酸及びそのエステル、メタクリル酸及びそのエステル、マレイミド及びその誘導体、無水マレイン酸等の2価カルボン酸無水物が例示できる。
芳香族ビニル化合物としては、炭素数8以上20以下が好ましく、例えばスチレン、パラメチルスチレン、パライソブチルスチレン、各種ビニルナフタレン、各種ビニルアントラセンが例示できる。環状オレフィンとしては炭素数5以上20以下が好ましく、ノルボルネン、シクロペンテンが例示できる。
用いられる炭化水素系ポリエンとしては、その分子内にビニル基及び/又はビニレン基を複数有する炭素数8以上20以下の炭化水素系ポリエンであり、オルト、メタ、パラの各種ジビニルベンゼン又はこれらの混合物、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン、p−2−プロペニルスチレン、p−3−ブテニルスチレンなどの芳香族ビニル構造を有する化合物、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、各種ビニルシクロヘキセン等の環状構造を有する化合物である。この中で好ましくは、オルト、メタ、パラの各種ジビニルベンゼン、又はこれらの混合物が用いられ、最も好ましくはメタ及びパラジビニルベンゼンの混合物が用いられる。
以上のラジカル重合性ビニル化合物は、単独で、または複数で用いられる。
好ましくは本炭化水素系ポリエンから選ばれる一種以上を0〜80質量部、好ましくは0〜30質量部、残部は本炭化水素系ポリエン以外のラジカル重合性ビニル化合物で合計100質量部である。特に、最終的に得られる高充填樹脂組成物の硬化体が、引張試験による引張破断伸びが、25℃において3%以上であり、または初期引張弾性率が300MPa以下であるためには、ラジカル重合性ビニル化合物中の本炭化水素系ポリエンは1質量部未満であること、好ましくは0質量部である。
また、最終的に得られる高充填樹脂組成物の硬化体が高度の水蒸気バリア性を有するためには、用いるラジカル重合性ビニル化合物は、炭化水素系のビニル化合物であることが好ましく、ラジカル重合性ビニル化合物合計100質量部のうち、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上が、芳香族ビニル化合物、環状オレフィン、炭化水素系ポリエンから選ばれるラジカル重合性ビニル化合物である。
また本発明の後硬化性樹脂組成物には、力学物性改良のため共役ジエン系の重合体を本後硬化性樹脂組成物の総質量の5質量%未満含むことができる。5質量%以上では、成形加工性が低下してしまう。共役ジエン系の重合体としては、ポリブタジエン、ブロックまたはランダムのスチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブロックまたはランダムのスチレン−イソプレン共重合体が例示できる。これら共役ジエン系の重合体の重量平均分子量1万以上である。
本発明に用いられる無機充填材としては、公知の無機充填材が用いられる。この様な例としては球状アルミナ、板状アルミナ、破砕アルミナ、繊維状アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、溶融シリカ、結晶シリカ、球状シリカ、無定形シリカ、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭素繊維、カ−ボンナノチューブ、アセチレンブラック等の炭素材料、銀、鉄、アルミニウム、ニッケル等の金属充填材;チタン等の金属合金充填材及びこれら金属系充填材の表面を酸化あるいは窒化した充填材、等が挙げられる。熱伝導性付与の観点からは、球状アルミナ、破砕アルミナ、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムが好ましい。ガスバリア性付与という観点からは、ゲル状無定形シリカが好ましい。これらの無機充填材は1種または2種以上を使用することができる。
また、以上の無機充填材の粒子径、粒度分布は任意であるが、一般的にはその最大粒子径やメジアン径は0.1ミクロンから100ミクロンの範囲である。また、0.1ミクロン以下、数ナノメ−トルの粒子径を有する、いわゆるナノ粒子も用いることが可能である。無機充填材を含む樹脂組成物の流動性や熱伝導性、ガスバリア性を改善するために、公知文献に示される粒度分布制御を行っても良い。
無機充填材は、エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体とラジカル重合性ビニル化合物の合計100質量部に対して、500質量部を超えて2000質量部までの範囲で用いられる。500質量部以下の場合、得られる硬化体の熱伝導率が低くなってしまい、2000質量部より高い場合、得られる硬化体の力学物性が低下してしまう。
本発明の高充填樹脂組成物に対し、表面変性剤を用いることができる。表面変性剤としては、公知のシラン系(シランカップリング剤)やチタネート系(チタネート系カップリング剤)、アルミ系(アルミネート系カップリング剤)が例示できる。シランカップリング剤は、例えば信越化学(株)、東レ・ダウコーニング(株)、東京化成工業(株)から、チタネート系カップリング剤やアルミネート系カップリング剤は味の素ファインテクノ(株)から購入することができる。
好ましくは、用いる無機充填材100質量部当たり、ラジカル反応性を有する上記表面変性剤を0.01〜30質量部の範囲で用いる。本表面変性剤は、高充填樹脂組成物に対して添加、混合しても良く、または、あらかじめ無機充填材に対し公知の方法で添加して用いても良い。ラジカル反応性を有する表面変性剤としては、上記の表面変性剤(カップリング剤)のうち、置換基にラジカル重合性ビニル基を有するものやラジカル反応性官能基、例えば−SH基等を有するものである。
本発明には、公知のラジカル重合開始剤、開始方法を用いることが出来る。好ましくは、上記に例示したラジカル重合性ビニル化合物の重合又は硬化に使用できる公知のラジカル重合開始剤、又は硬化剤、方法を用いることが出来る。過酸化物系(パ−オキサイド)、アゾ系重合開始剤や光開始剤、酸化還元系開始剤等、用途、条件に応じて自由に選択することが出来る。
本発明の高充填樹脂組成物から得られた硬化体(以下単に硬化体と記す)は、比較的軟質であり、力学物性と耐熱性、熱伝導性、水蒸気バリア性に優れる特徴がある。
具体的には、引張試験による引張破断伸びが、25℃において3%以上、好ましくは5%以上であり、さらに初期引張弾性率が500MPa以下、好ましくは300MPa以下である。
本発明の硬化体は、高い熱伝導率を示し、具体的には1.5W/m・K以上20W/m・K以下、好ましくは2W/m・K以上20W/m・K以下である。
さらに本発明の硬化体は高い耐熱性を示し、粘弾性測定から得られる貯蔵弾性率は300℃において1×106Pa以上、好ましくは5×106Pa以上である。
また、本発明の硬化体の厚さ0.5mmシ−トにおける水蒸気透過率は、1g/m2・24h以下、好ましくは0.5g/m2・24h以下である。
また、本発明の硬化体の体積抵抗率は、好ましくは1×1010Ω・m以上であり、さらに好ましくは1×1012Ω・m以上である。
本発明の高充填樹脂組成物から得られた硬化体は、その軟質性、耐熱性、熱伝導性から、電子デバイス用絶縁封止材料として好適である。特にその耐熱性と熱伝導性から高温動作パワーデバイス用の封止材、例えば最高温度150℃で動作するシリコン系や、特に最高動作温度200〜250℃の炭化ケイ素(SiC)系のパワーデバイス用の封止材として有用である。このようなデバイスでは、素材−封止材間の熱膨張率の差による応力発生とそれによる界面剥離、そり等が問題になる場合があるが、本硬化体による封止材は、その軟質性によりこのような応力を緩和できる利点がある。
また、上記と同様な理由により、パワ−デバイス等の高温動作環境に耐える配線基板絶縁層として有用である。
本発明の高充填樹脂組成物から得られた硬化体の優れた成形加工性、軟質性、ガスバリア性は、次世代太陽光発電(PV)セルとして期待されるアモルファスシリコン系、化合物系、有機半導体系の薄膜型セルの封止材として有用である。これらは、透明基板やガラス上に形成されたセルとセル裏面と配線を封止する封止材から主に構成される。これら薄膜型太陽光発電セルにおいては、その長期的信頼性を確保するために水蒸気や酸素を高度にバリアする必要があり、本硬化体の高いガスバリア性が生かされると考えられる。セル製造の際には、流動性、充填性に優れた高充填樹脂組成物をセルと透明基板またはガラス、配線上に充填した後に所定の温度、時間加熱硬化することで簡単に封止することが可能であり製造上のメリットが大きい。
カラム:TSK−GEL MultiporeHXL-M φ7.8×300mm(東ソ−社製)を2本直列に繋いで用いた。
カラム温度:40℃
溶媒:THF
送液流量:1.0ml/min.
JIS K−6251に準拠し、フィルムシートを2号1/2号型テストピース形状にカットし、オリエンテック社製テンシロンUCT−1T型を用い、23℃、引張速度500mm/minにて測定した。
動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社RSA−III)を使用し、周波数1Hz、温度領域−60℃〜+300℃の範囲で測定した。厚み約0.1から0.2mmのフィルムから測定用サンプル(3mm×40mm)を切り出した。
溶融したハンダ浴にフィルムを2分間浸漬し、状態の変化を観察した。
○大きな変化無し、△一部変形、×大きく変形
水蒸気透過率は、0.5mm厚さフィルムを用い、JISZ0208 カップ法、に従い、40℃、湿度90%の条件で100時間まで測定した。
厚さ1mmの硬化体シートから切り出して調整したサンプルを用い、NETZSCH社製キセノンフラッシュアナライザーLFA447により熱伝導率を求めた。
0.5mm厚さフィルムを用い、JISK6911に従い室温で測定した。
以下の実施例で用いたジビニルベンゼンは、アルドリッチ社製(ジビニルベンゼンとしての純度80%、メタ体、パラ体混合物のメタ体:パラ体質量比は70:30)である。
以下の実施例では、触媒(遷移金属化合物)として、rac(ラセミ体)−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いた。
電気化学工業(株)製、球状アルミナDAW−100FC(平均粒径28.6ミクロン、比表面積0.3m2/g)を用いた。
信越化学社製シランカップリング剤KBM503
(γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
信越化学社製シランカップリング剤KBM1403
(パラスチリルトリメトキシシラン)
触媒としてrac−ジメチルメチレンビス(4,5ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用い、以下のように実施した。
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。 トルエン2900ml、スチレン400ml、1−ヘキセン300mlおよび新日鉄化学社製のジビニルベンゼン(メタ、パラ混合品、ジビニルベンゼンとして61.5mmol)を仕込み、乾燥窒素ガスを約50Lバブリングして、内温60℃にて加熱攪拌しオ−トクレ−ブ内及び重合液の水分をパージした。次いで、トリイソブチルアルミニウム8.4mmol、メチルアルモキサン(ファイン・ケム社製、MMAO−3Aトルエン溶液)をAl基準で16.8mmol(表1中ではMAOと記載)加え、ただちにエチレンを導入し、内温105℃、圧力0.4MPaで安定した後に、オートクレーブ上に設置した触媒タンクから、rac−ジメチルメチレンビス(4,5ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを20μmol、トリイソブチルアルミニウム約1mmolを溶かしたトルエン溶液約30mlをオートクレーブ中に加えた。内温を80℃、圧力を0.4MPaに維持しながら1時間重合を実施した。得られた重合液に、1−イソプロパノールを投入し、その後、大量のメタノールを投入してポリマーを回収した。このポリマーを、50℃で2昼夜真空乾燥し約400gのポリマーを得た。
ASTM-D-2765-84に従い、ポリマ−を正確に秤量し、SUS製網袋(100メッシュ)に入れ、沸騰キシレン中、12h処理し、網袋残留分質量をゲル分質量としてゲル分質量%を求めたが、合成例1で得られた共重合体のゲル分質量%は0.1質量%未満であった。
合成例1で得られたポリマ−、スチレン、無機充填材球状アルミナDAW−100FC、信越化学社製シランカップリング剤KBM503またはKBM1403を表3に示す配合比で合計約50gをハイブリッドミキサ−(株式会社THINKYAR−250あわとり練太郎)を用い攪拌混合した。さらに、パ−クミルOを樹脂組成物100質量部に対して1質量部加えてさらに攪拌混合し高充填樹脂組成物を得た。配合条件を表3に示す。得られた高充填樹脂組成物をステンレス製型(枠部分長さ10cm、幅10cm、厚さ0.5mm及び1mm、下部にPETシート入り)に入れ、さらにステンレス板で蓋をして、70℃のプレス機を用い、圧力10MPa、1分で成型した。その後、窒素雰囲気の乾燥機中で80℃3時間、その後100℃で7時間加熱処理した。終了後、型から取り出し、シ−トとして本発明の高充填樹脂組成物の硬化体を得た。得られたシ−トを2号1/2号型テストピース形状にカットし、力学物性を測定した結果を表4に示す。粘弾性スペクトル測定により得られた0℃、300℃の貯蔵弾性率、及びハンダ耐熱性、体積抵抗率、水蒸気透過率、熱伝導率の測定結果についても表4に示す。
また、比較例として表3に示す配合比で実施例と同様の手法で組成物を得てその評価を行った。その結果についても表4に示す。
本高充填樹脂組成物は流動性を有するので、シ−ト状や各種形状に成形し硬化することで、様々な形状に成形することが容易であり、特に高温動作電子・電力デバイス用の封止材、絶縁層、あるいは太陽光発電セルの封止材として好適に用いることが出来る。
Claims (13)
- 以下の(1)〜(3)の条件を満たすことを特徴とするエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体10〜90質量部、ラジカル重合性ビニル化合物90〜10質量部の合計100質量部に対して、無機充填材を、500質量部を超えて2000質量部までの範囲で含むことを特徴とする高充填樹脂組成物。
(1)オレフィンが、炭素数3以上20以下のαオレフィン、炭素数5以上20以下の環状オレフィン、炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上である。
(2)炭化水素系ポリエンが、分子内にビニル基及び/又はビニレン基を複数有する炭素数5以上20以下の炭化水素系ポリエンから選ばれる一種以上である。
(3)エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の数平均分子量が1000以上5万以下、重量平均分子量/数平均分子量が1.5以上5以下であり、かつ、炭化水素系ポリエン単位含有量が、数平均分子量あたり1個以上10個未満であることを満足する。 - 無機充填材100質量部当たり、ラジカル反応性を有する表面変性剤を0.01〜30質量部含むことを特徴とする請求項1記載の高充填樹脂組成物。
- エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の初期引張弾性率が10MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の高充填樹脂組成物。
- 下記の一般式(1)又は(2)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いて、エチレン、オレフィン及び炭化水素系ポリエンから製造されたエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体を用いることを特徴とする請求項1記載の高充填樹脂組成物。
式中、A、Bは同一でも異なっていてもよく、非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換インデニル基、非置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、又は非置換もしくは置換フルオレニル基から選ばれる基であり、少なくともA,Bのうち1個は非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換インデニル基から選ばれる基である。ここで置換ベンゾインデニル基、置換インデニル基、置換シクロペンタジエニル基、又は置換フルオレニル基とは、置換可能な水素の1個以上が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR3基、SiR3基、又はPR2基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)で置換されたベンゾインデニル基、インデニル基、シクロペンタジエニル基、又はフルオレニル基である。
YはA、Bと結合を有し、他に置換基として水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基(1〜3個の窒素、酸素、硫黄、燐、珪素原子を含んでもよい)を有するメチレン基、硼素基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Yは環状構造を有していてもよい。
Xは、水素、水酸基、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル基、又は炭素数1〜20の炭化水素置換基を有するアミド基である。2個のXは結合を有しても良い。
Mはジルコニウム、ハフニウム、又はチタンである。
式中、Cpは非置換もしくは置換シクロペンタフェナンスリル基、非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、非置換もしくは置換インデニル基、又は非置換もしくは置換フルオレニル基から選ばれる基である。Y’は、Cp、Zと結合を有し、他に水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基を有するメチレン基、シリレン基、エチレン基、ゲルミレン基、硼素残基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Y’は環状構造を有していてもよい。Zは窒素、酸素、又はイオウを含み、窒素、酸素、又はイオウでM’に配位する配位子でY’と結合を有し、他に水素、炭素数1〜15の置換基を有する基である。
M’はジルコニウム、ハフニウム、又はチタンである。
X’は、水素、ハロゲン、炭素数1−15のアルキル基、炭素数6−10のアリール基、炭素数8−12のアルキルアリール基、炭素数1−4の炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1−10のアルコキシ基、又は炭素数1−6のアルキル置換基を有するジアルキルアミド基である。
nは、1、又は2の整数である。 - 請求項1〜4記載の高充填樹脂組成物をラジカル重合により硬化して得られる高充填樹脂組成物硬化体。
- 熱伝導率が1.5W/m・K以上20W/m・K以下であることを特徴とする請求項5記載の高充填樹脂組成物硬化体。
- 粘弾性測定から得られる貯蔵弾性率が300℃において1×106Pa以上であることを特徴とする請求項5記載の高充填樹脂組成物硬化体。
- 厚さ0.5mmのシ−トにおける水蒸気透過率が、1g/m2・24h以下であることを特徴とする請求項5記載の高充填樹脂組成物硬化体。
- 引張破断伸びが、25℃において3%以上であることを特徴とする請求項5記載の高充填樹脂組成物硬化体。
- 初期引張弾性率が500MPa以下であることを特徴とする請求項5記載の高充填樹脂組成物硬化体。
- 請求項5記載の硬化体を用いた電子デバイス用絶縁封止材料。
- 請求項5記載の硬化体を用いた配線基板絶縁層。
- 請求項5記載の硬化体を用いた太陽光発電セル封止材。
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