JP5333944B2 - 煙感知器 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような感知器本体内に検煙空間を形成するものでは、設置状態において煙感知器が天井面などから突出した状態になるため意匠上好ましくないという問題や、また検煙空間へ煙を導入するという構造から煙の検出に時間遅れが発生するという問題がある。
この点、特許文献1においては、受光素子による受光信号とその微分値に基づいて、それぞれの信号と予め規定している閾値とを比較して火災の煙による散乱光であるかどうかを判別するようにしている。
また、検煙空間に存在し得る種々の粒子について、予め散乱光による受光強度を調査する必要があり、現実的には実現が困難であるという問題もある。
前記発光部は発光素子で構成され、前記受光部は第1受光素子と第2受光素子によって構成され、前記発光素子から照射される光を偏光する第1偏光フィルタと、前記第1受光素子によって受光される光を前記第1偏光フィルタと同一方向に偏光する第2偏光フィルタとを備え、
前記発光素子は当該煙感知器の設置状態において光軸が真下に向くように配置され、前記第1受光素子と前記第2受光素子は、前記発光素子を中心にして、該発光素子の両側に対称位置に配置され、
前記火災判断部は、前記第2偏光フィルタを透過して入射される前記第1受光素子の受光信号と、前記第2偏光フィルタを透過しないで入射される前記第2受光素子の受光信号との偏光解消度に基づく出力比と予め設定した閾値とにより火災の有無を判断することを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記閾値を0.8〜0.85に設定したことを特徴とするものである。
本実施の形態の煙感知器1は、内部に光学台3を有し外形が扁平な円柱状の筐体5と、光学台3に設置されて筐体5の外部の検煙部50(図7参照)に向けて照射光を発光する発光素子7と、光学台3に設置されて発光部からの照射光が検煙部50に存在する粒子によって生じる散乱光を受光する第1受光素子9及び第2受光素子11と、発光素子7から照射される光と第1受光素子9に入射する光を偏光する偏光フィルタ13と、第1受光素子9及び第2受光素子11によって受光した受光信号に基づいて火災の有無を判断する火災判断部15等が実装されるPC板17とを備えている。
各構成をさらに詳細に説明する。
筐体5は、外形が扁平な円柱状をしており、設置状態で下面となる部分には円形の正面カバー19を備えている。正面カバー19の中央部には、図3、図4に示されるように、円形の3つの開口部が形成されている。3つの開口部は、正面カバー19の中央部に設けられた発光用開口部21と、発光用開口部21を挟んで対称位置に設けられた第1受光用開口部23と、第2受光用開口部25である。
筐体5の内部には光学台3が設けられており、光学台3には発光素子7、第1受光素子9及び第2受光素子11等の光学系部品が設置されている。
発光素子7は、赤外LEDによって構成され、光学台3の略中央に1つ配置され、検煙部50に対して赤外線をパルス発光する。発光素子7の発光部は、正面カバー19の中央に設けられた発光用開口部21に対向配置されている。
発光素子7は、煙感知器1を天井面等に設置した状態においてその光軸が真下に向くように配置されている。
受光素子は、第1受光素子9と第2受光素子11の2つの受光素子から構成されている。第1受光素子9と第2受光素子11は、発光素子7を挟んで対称位置に配置されている。第1受光素子9と第2受光素子11を対称位置に配置したのは、発光素子7によって照射された光が検煙空間を浮遊する散乱体33(図7参照)で散乱した散乱光の光路が第1受光素子9と第2受光素子11で等しくなるようにするためである。したがって、前記光路が等しくなる配置であれば、前記のようは対称配置でなくてもよい。
第1受光素子9及び第2受光素子11は、煙感知器1を天井面等に設置した状態においてその光軸が真下に向くように配置されている。
偏光フィルタ13は、光の振動方向のうち一方向の成分だけを透過する性質を有するフィルタである。偏光フィルタ13は、図1に示されるように、正面カバー19の内側に設置されている。そして、図5に示すように、発光素子7から照射される光と、第1受光素子9に受光される光が透過するように配置されている。つまり、本実施の形態では、発光素子7から検煙部50に照射される光と第1受光素子9に入射する光が1つの偏光フィルタ13を通過するように構成されている。そのため、発光素子7と第1受光素子9に各々別の偏光フィルタ13を設けた場合に比較して、偏光フィルタ13の個体差がないので、その個体差に起因する誤差がなく、正確な検知が可能である。
なお、発光素子7と第1受光素子9に各々別の偏光フィルタ13を設ける場合を排除するものではない。もっとも、発光素子7の前面に第1の偏光フィルタ13を設け、第1受光素子9の前面に第2の偏光フィルタ(図示せず)を設ける場合には、それぞれの偏光方向を同一にする。
PC板17には、図6の回路ブロック図に示すように、発光素子7を駆動する発光制御部27と、第1受光素子9及び第2受光素子11の受光信号を増幅する増幅回路29と、各種の制御を行う制御部31とを備えている。制御部31はCPUが所定のプログラムを実行することで各種の機能、例えば火災判断部15を実現している。
火災判断部15は、第1受光素子9および第2受光素子11のそれぞれの受光信号を増幅した検出信号を、A/D変換して各検出レベルの比を求めることによって、偏光解消度を演算し、この偏光解消度が所定範囲内にあるかどうかによって火災の有無を判断する。
制御部31は、火災判断部15が火災と判断すると、火災信号を図示しない火災受信機に出力する。
他方、散乱体が塵埃の場合には、第2受光素子11に入射する光の強度を100とすれば、第1受光素子9に入射する光の強度は70になり、これらの第1受光素子9と第2受光素子11との各受光信号の出力比は0.7になる。したがって、例えば閾値を0.8〜0.85程度に設定して、火災判断部15は、この閾値を超えた場合には火災であると判断し、閾値未満であれば火災でないと判断するようにすれば、簡易でありながらも確実に火災であるかどうかを判断できる。
<散乱体が煙の場合>
発光制御部27の制御信号に基づいて発光素子7がパルス発光する。発光素子7で発光した光は偏光フィルタ13を透過し、透過の際に偏光される。偏光された透過光が煙によって散乱されるが、この場合には煙粒子が略球形であるので偏光の向きが変わらない。この偏光の向きが変わらない散乱光は偏光フィルタ13を透過して第1受光素子9に入射すると共に偏光フィルタ13を透過することなく第2受光素子11に入射する。第1受光素子9に入射する際、偏光フィルタ13を透過するが、散乱によって偏光の向きに変化がないので、偏光フィルタ13を通過して第1受光素子9に入射する光の強度は、第2受光素子11に入射する光の強度とほぼ同じである。したがって、この場合、火災判断部15は各受光信号の検出レベルの比を演算し、それが閾値を超えているとして、火災であると判断する。
発光素子7で発光した光は偏光フィルタ13を透過し、偏光された透過光が塵埃によって散乱されると、偏光の向きが様々な向きに変わり偏光が解消される。この偏光が解消された散乱光は、偏光フィルタ13を透過して第1受光素子9に入射するが、偏光フィルタ13を透過できるのは偏光フィルタ13の偏光の向きと同一の向きの振動をする光のみであるため、その強度が弱くなる。他方、第2受光素子11に入射する光の強度は、偏光フィルタ13を透過しないので、散乱光がそのまま入射する。したがって、この場合、第1受光素子9と第2受光素子11の受光強度に差が生じる。そして、火災判断部15は、各受光信号の検出レベルの比を演算し、それが閾値未満であるとして、火災でないと判断する。
また、本実施の形態では、前述したように、発光素子7から照射される光と第1受光素子9に入射する光が共通の偏光フィルタ13を透過するようにしたので、偏光フィルタ13の個体差が生ぜず、より正確な検知ができる。
上記の実施の形態においては、発光素子7と第1受光素子9及び第2受光素子11は、図1、図3に示されるように、発光素子7を中心にして、発光素子7の両側に第1受光素子9と第2受光素子11を発光素子7に対して対称位置に配置した。
このような配置によって、上述したように、各素子を煙感知器1の中央部に集約することができ、煙感知器1の小型化が実現されている。
小型化を実現しているのは、発光素子7と第1受光素子9及び第2受光素子11の光軸が平行になるように、つまり全ての素子を近接配置しているからであり、その場合の他の態様として、例えば図8に示すように、煙感知器1を天井面等に設置した状態で、各素子の光軸が真下を向かないような場合であってもよい。
もっとも、煙感知器の小型化のため、第1受光素子9と第2受光素子11の光軸の成す角度θが鋭角になるように配置する。鋭角になるように配置することで、第1受光素子9と第2受光素子11の距離を近づけることが可能となり、煙感知器のコンパクト化が実現できるからである。図1や図8に示した例は、第1受光素子9と第2受光素子11の光軸の成す角度θが0度の場合であると位置づけられる。
3 光学台
5 筐体
7 発光素子
9 第1受光素子
11 第2受光素子
13 偏光フィルタ
15 火災判断部
17 PC板
19 正面カバー
21 発光用開口部
23 第1受光用開口部
25 第2受光用開口部
27 発光制御部
29 増幅回路
31 制御部
33 散乱体
50 検煙部
Claims (5)
- 筐体と、前記筐体の内部に配置され、前記筐体の外部の検煙部に向けて照射光を発光する発光部と、前記筐体の内部に配置され、前記発光部からの照射光が前記検煙部に存在する散乱体によって生じる散乱光を受光し、散乱光の受光量に基づいて受光信号を出力する受光部と、該受光部によって出力された受光信号に基づいて火災の有無を判断する火災判断部とを備える煙感知器において、
前記発光部は発光素子で構成され、前記受光部は第1受光素子と第2受光素子によって構成され、前記発光素子から照射される光を偏光する第1偏光フィルタと、前記第1受光素子によって受光される光を前記第1偏光フィルタと同一方向に偏光する第2偏光フィルタとを備え、
前記発光素子は当該煙感知器の設置状態において光軸が真下に向くように配置され、前記第1受光素子と前記第2受光素子は、前記発光素子を中心にして、該発光素子の両側に対称位置に配置され、
前記火災判断部は、前記第2偏光フィルタを透過して入射される前記第1受光素子の受光信号と、前記第2偏光フィルタを透過しないで入射される前記第2受光素子の受光信号との偏光解消度に基づく出力比と予め設定した閾値とにより火災の有無を判断することを特徴とする煙感知器。 - 前記閾値を0.8〜0.85に設定したことを特徴とする請求項1記載の煙感知器。
- 第1受光素子及び第2受光素子の光軸が前記発光素子の光軸と平行になるように、又は前記第1受光素子と前記第2受光素子の光軸の成す角度が鋭角になるように設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の煙感知器。
- 前記第1偏光フィルタと前記第2偏光フィルタを単一の偏光フィルタで構成し、前記第1受光素子の前面には前記第2偏光フィルタが設けられ、前記第2受光素子の前面には前記第1偏光フィルタ及び前記第2偏光フィルタが設けられず、さらに、前記第1受光素子の受光信号から、前記第2偏光フィルタに内部反射して入射される分を補正する補正手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の煙感知器。
- 前記補正手段は、前記検煙部に前記散乱体が存在しないときの第1受光素子の受光信号から求められる前記第2偏光フィルタに内部反射して入射される分を、前記第1受光素子の受光信号から減算して補正することを特徴とする請求項4記載の煙感知器。
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