JP5333424B2 - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents
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Description
ところで、従来式の副室式燃料噴射装置を備えたエンジン(IDIディーゼルエンジン)に比べ,直噴式コモンレール燃料噴射装置を備えたエンジン(DIコモンレール式ディーゼルエンジン)は、通常、リターン燃料温度が高いことが知られている。更に、エンジンの高圧燃料ポンプへ供給する燃料の温度は高圧燃料ポンプ側要求燃料温度以下に抑える必要がある。このため、戻し管路(リターンフューエルライン)に燃料クーラーを装着する等の工夫で燃料を冷やしている。
ここでは燃料クーラーの上流側分岐部に流路切換え用のサーモスタットを設け、このサーモスタットが余剰燃料の温度が高いと燃料クーラーに燃料を流して燃料の過度の高温化を抑制し、温度が低いとバイパス管路に燃料を流して燃料の過冷却を防止し燃料中に含まれるワックスの析出やエンジンへの燃料供給不足の発生を防止している。
一方、雰囲気温度が低い場合、例えば図8に示すように、燃料クーラー170の上流位置のサーモスタット190が燃料温度の低下を検出し、これに応じて燃料をバイパス路200に流して燃料クーラーによる過冷却を避け、余剰燃料(低温軽油)が過度に冷却されることを防止し、燃料中に含まれるワックス成分の析出に伴う流動抵抗急増によりエンジンの燃料供給不足が発生することを抑制している。
このため、従来装置では高圧ポンプからサーモスタットに達した余剰燃料の温度に応じて余剰燃料を燃料クーラーに流すか、バイパス路に流して保温性を維持するかの切換を行っており、燃料クーラー通過後の燃料温度が雰囲気温度の影響でどの程度低下するかは考慮していない。
図1は本発明の内燃機関の燃料供給装置M1の全体構成を示し、図2には要部概略構成図を示した。
この内燃機関の燃料供給装置M1は内燃機関としてのディーゼルエンジン(以後エンジンと記す)1と、エンジン1に供給する燃料を貯蔵するための燃料タンク2と、燃料タンク2からの燃料をエンジン1の燃料噴射装置3に供給する供給管路4と、燃料噴射装置3からの余剰燃料を燃料タンク2へ戻す戻し管路5とを備え、図2に示すように、燃料供給路R1は概略的に環状を成すように形成される。
流路切換え手段11は合流部8に配備されたサーモスタット45と、
合流部8を通過する燃料の温度を検知する温度センサ13と、サーモスタット45の切換え状態(不図示のリミットスイッチの出力)を検出し、ラジエーターシャッター、燃料クーラーシャッター、エンジン余剰燃料増量減量制御、エンジン出力制限を制御する制御手段14とを有する。
また、図1に2点差線で示すように、低圧燃料ポンプ18有り仕様の場合は、電動の低圧燃料ポンプ18からフィルタ30を備える供給管路4を介して燃料を吸引し、その低圧燃料が高圧燃料ポンプ15で吸引され供給される。
コモンレール16の一端には燃料圧を検知する燃圧センサ21が配備され、他端には燃圧調整弁20が配備され、燃圧調整弁20にはコモンレール16からの余剰燃料を燃料タンク2へ戻す戻し管路5が接続される。ここでは燃圧センサ21の燃圧信号に応じて制御手段14が高圧燃料ポンプ15の駆動及び燃圧調整弁20、余剰燃料量を調整してコモンレール圧を所定値に保持するよう制御している。
ここで、戻し管路5は分岐部7と戻し管路5のとの間にバイパス管路9と燃料クーラー6の管路を並列に配備し、特に、合流部8にサーモスタット45を配備した構成を採る。
収容ボックス24にはバイパス管路9と連通するバイパスポートh1と、燃料クーラー6の管路と連通するクーラーポートh2と、これらと対向する位置に配備された流入ポートh3が形成され、更に、流入ポートh3は連絡路rhを介して弁摺動穴47の燃料流動室471に連通する。更に、燃料流動室471は連絡路rh側と離れた部位より下流側戻し管路501に連通している。
この感温部49は燃料流動室471を流動する燃料の温度に応じて内筒部材492に対し外筒部材491が伸縮変位し、これに応じて外筒部材491と一体の弁体48が戻しばね51の弾性力に抗して上下に摺動する。ここで、内筒部材492に対し外筒部材491が縮小変位し、上端の第1位置d1に保持されると下弁部482がバイパスポートh1を流入ポートh3に連通させ、クーラーポートh2を閉じる状態を保持する。一方、内筒部材492に対し外筒部材491が伸長変位し、下端の第2位置d2に保持されると上弁部481によりクーラーポートh2が流入ポートh3に連通され、バイパスポートh1を閉じる状態を保持する。
ここで、車両の走行初期にエンジン1の暖気前には、燃料温度の比較的低温(低温側第一温度Tfc)以下であり、サーモスタット45はその感温部が燃料流動室471の燃料温度が低いので、収縮し、上端の第1位置d1に保持され、下弁部482がバイパスポートh1と流入ポートh3を連通し、保温状態を保持するバイパス管路9より燃料を燃料タンク2側に導く。
これにより、たとえ高温地域走行でも、燃料クーラー6の冷却作用により、高圧燃料ポンプ30の入口での燃料温度が高圧燃料ポンプ側要求燃料温度Tk、例えば、80℃を上回り過度に高温化することを防止するという制御目標を達成できエンジン出力低下を防止できる。
この第2実施形態は、第1実施形態と対比し、流路切換え手段11aが合流部8に設けられた三方切換え弁12である点、及びこの制御部を付加した点以外は同一構成部が多く、ここでは同一部材には同一符号を付し、重複説明を略す。
図4に示すように、ここでの合流部8に設けた流路切換え手段11aは収容ボックス24a内に配備される。この収容ボックス24aはその側壁に常開の導風口25が設けられ、導風口25の奥側に燃料クーラー6画配備される。
合流部8に配備された三方切換え弁12は第1流入ポートp1が燃料クーラー6に連通し、第2流入ポートp2がバイパス管路9に連通し、流出ポートp3が燃料タンク2に達する下流側戻し管路501に連通している。
このような第2実施形態の内燃機関の燃料供給装置M2の作動を、図3の温度変動特性線図及び図5の燃料供給制御ルーチンのフローチャートを用いて説明する。
一方、燃料供給制御が図4の燃料供給制御ルーチンに沿って行われる。
ここで、ステップs1に達すると、最新の合流部8(図3には燃料クーラー出口と同一位置として概略的に示した)の燃料温度を温度センサ13により余剰燃料温度であるリターン燃料温度Tfnとして検知し、記憶処理する。
ステップs4に達すると、オン出力を三方切換え弁12に発して、燃料クーラー6と燃料タンク2を遮断し、バイパス路9と燃料タンク2を連通させる。
このため、バイパス路9を通過して過度の低温化が防止され、本来、図3に示す符号Lb1(燃料タンク入口での温度c1がTcを下回る状態)に沿って温度変動していた燃料は燃料クーラー6の影響を受けない状態に保持でき、図3に示す細い2点鎖線La1に沿って変位し、燃料タンク2入口に達する位置での温度はc2を保持し、過冷却温度Tcを下回ることを防止される。
更に、たとえ、燃料タンク2にワックス等の析出物が生じていても、燃料タンク2中に流入した燃料温度の上昇によりタンク内でワックスを溶融させることができる。このため、再度、タンク内の燃料が供給管路4に流動するとしても、各フィルタ181、30の目詰まりや低圧燃料ポンプ18の作動不良を防止でき、エンジンの燃料供給不足が発生することを確実に防止できる。
低温域を走行でステップs8に達すると、走行中の燃料のリターン燃料温度Tfnが過冷却状態を判定する低温側第二温度(過冷却温度)Tc以下の低温であるか否か判断する。
なお、燃料タンク2内の燃料が過冷却によりワックス等の析出物を生じる温度、例えば、−2℃に基づき設定され、ここでは、低温判定値Tf1は燃料タンク内のワックス等の析出物を溶融するに足る燃料温度およびばらつき修正のため、補正値を付けて20℃として予め設定される。
なお、ステップs8で、この過冷却温度Tcより高温であるとNo側に進み、この回の制御を終了し、メインルーチンにリターンする。
なお、高温所定温度(高温側第一温度Tf2:60℃)は、高圧燃料ポンプ側要求燃料温度Tk、例えば、80℃を上回ることを防止する制御を確実に行うことで、ここでは制御でのゆとり幅を持たせて高温所定温度(高温側第一温度Tf260℃)を適宜設定したが、これに代えて当該要求燃料温度Tk以下の他の温度を設定してもよい。
一方、合流部8での燃料温度が高温判定値Tf2を上回るとステップs10に達し、切換え燃料温度出力を三方切換え弁12に発して、バイパス路9と燃料タンク2を遮断し、燃料クーラー6と燃料タンク2を連通させる。
このような高温走行域でステップs10より、ステップs11、s12に達すると、ここでは、再度、最新のリターン燃料温度Tfnを読み取り、これが高温判定値Tf2(60℃)を上回るか否か判断し、それより低いとこの制御周期の制御をリターンさせ、外気温が比較的高く、燃料の昇温が更に進む傾向にあり、高圧燃料ポンプ側要求燃料温度Tkに到達する場合、ステップs13に進む。
ステップs15に達すると、エンジンの一定値以上の高出力発生を制限する出力制御指令信号S3を不図示のメインルーチン側に出力し、この回の制御を終了してメインルーチンにリターンする。
この第3実施形態は、第2実施形態と対比し、燃料クーラーシャッター33及びラジエーターシャッター37を設け、これらの制御を付加した点で相違し、それ以外、例えば、第3実施形態の流路切換え手段は第2実施形態で用いた流路切換え手段11aと同一の構成のものを採用しており、ここでは同一部材には同一符号を付し、重複説明を略す。
燃料クーラーシャッター33は矩形枠部材331と、その矩形枠部材331に支持され上下方向に複数並列配備のシャッター板34と各シャッター板34をその回転軸回りに開閉作動させるリンク部材35と、リンク部材35を介して複数並列配備のシャッター板34を開閉駆動するモータ36とで構成され、モータ36の開閉駆動制御が制御手段14により行われる。
ラジエーターシャッター37は矩形枠部材371と、その矩形枠部材371に支持され上下方向に複数並列配備のシャッター板38と各シャッター板38をその回転軸回りに開閉作動させるリンク部材39と、リンク部材39を介して複数並列配備のシャッター板38を開閉駆動するモータ41とで構成され、モータ41の開閉駆動制御が制御手段14により行われる。
ここで、図7の燃料供給制御ルーチンの各制御ステップは図5の燃料供給制御ルーチンと比較し、同一ステップ構成が多く、ここでは重複ステップ説明を簡略化する。
図7の燃料供給制御ルーチンでは、ステップa1、a2で最新の合流部8のリターン燃料温度Tfnを検知し、これが低温判定値Tf1(20℃)以上であるとステップa3に進み、低温域を走行と判断するとステップa4に進む。
ステップa4に達すると、寒冷地走行でオン出力を三方切換え弁12に発して、バイパス路9と燃料タンク2を連通させ、次いで、ステップa5に進んでリターン燃料温度Tfnを検知する。
ステップa7において余剰燃料増量指令信号S1を受けたメインルーチン側では高圧燃料ポンプ15の吐出量を所定量増量修正し、加熱された余剰燃料が増えて燃料タンク2の燃料温度の昇温が進み、例えば、図3に符号Lb1で示す温度変位より符号L1で示す昇温側に接近する。更に、燃料タンク2内の燃料中のワックス等の析出物を溶融させることができ、各フィルタ181、30の目詰まりや低圧燃料ポンプ18の作動不良を防止でき、エンジンの燃料供給不足が発生することを確実に防止できる。
これにより、各シャッター板38を閉じてラジエータ37の冷却風を遮断してエンジン1の水温上昇を図り、エンジン本体に接近する燃料の昇温化を図る。更に、収容ボックス24bの導風口25の各シャッター板34を閉じてその内部の燃料クーラー6とバイパス管路9への走行風の流動を遮断してバイパス管路9より燃料タンク2に向かう燃料の冷却を防止し、保温を図る。
一方、合流部8での燃料温度が高温判定値Tf2を上回りステップa11に達すると、切換え燃料温度出力を三方切換え弁12に発して、燃料クーラー6と燃料タンク2を連通させ、例えば、図3に符号Lhで示す高温走行域であるとすると、燃料クーラー6での冷却を図る。更に、このような高温走行域で、ステップa12、a13に達すると、最新のリターン燃料温度Tfnが高温判定値Tf2(60℃)を上回るか否か判断し、それより低いとこの制御周期の制御をリターンさせ、燃料の昇温が更に進む傾向にあると、ステップa14に進む。
余剰燃料減量指令信号S2を受けたメインルーチン側では、高圧燃料ポンプ15の吐出量を所定量減量し、これにより加熱された余剰燃料が減量され、燃料タンク2の燃料温度の昇温が抑制される。
ステップa14において余剰燃料減量指令信号S2が出力され、エンジンの高出力発生が抑制されることで、低温化が進むと、やがて図3に符号Lhの温度変位より符号Lmで示す温度変位側に達する。
次いで、ステップa15、a16に進む。ここでは最新のリターン燃料温度Tfnを取り込み、これが過度の高温化に伴う高圧燃料ポンプ側要求燃料温度Tk(80℃)を上回るか,否か判定し、それより低いとこの制御周期の制御をリターンさせ、燃料の昇温が更に進む傾向にあると、ステップa17、a18に進む。
これにより、各シャッター板38を開いてラジエータ37に冷却風を通してエンジン1の冷却を図り、エンジン本体に接近する燃料の昇温を阻止する。更に、収容ボックス24bの導風口25の各シャッター板34を開いてその内部の燃料クーラー6へ走行風を導入して燃料タンク2に向かう燃料の冷却を促進する。
ステップa20に達すると、エンジンの一定値以上の高出力発生を制限する出力制御指令信号S3を不図示のメインルーチン側に出力し、この回の制御を終了してメインルーチンにリターンする。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
2 燃料タンク
3 燃料噴射装置
4 供給管路
5 戻し管路
6 燃料クーラー
7 分岐部
8 合流部
9 バイパス路
11 流路切換え手段
12 三方切換え弁
13 温度センサ
14 制御手段
45 サーモスタット
Tf1 低温判定値
Tf2 高温判定値
Tfn 燃料温度
Tk 高圧燃料ポンプ側要求燃料温度(高温側第二温度)
Tc 過冷却温度(低温側第二温度)
M1,M2,M3 内燃機関の燃料供給装置
Claims (5)
- 燃料タンクからの燃料をエンジンの燃料噴射装置に供給する供給管路と、前記燃料噴射装置からの余剰燃料を燃料クーラーで冷却して前記燃料タンクへ戻す戻し管路と、該戻し管路を流動する燃料を前記燃料クーラーの上流側の分岐部より下流側の合流部に燃料クーラーを迂回して流動させるバイパス路と、前記合流部を通過する燃料の温度に応じて前記戻し管路又は前記バイパス路のどちらか一方と前記燃料タンクとを連通させる流路切換え手段を備え、
前記流路切換え手段は、前記合流部を通過する燃料温度が高温側第一温度より高温であると前記燃料クーラーと燃料タンクを連通させ、該燃料温度が低温側第一温度以下の低温であると前記バイパス路と燃料タンクを連通させるように切換えるサーモスタットであり、
前記燃料噴射装置からの余剰燃料量を制御する余剰燃料制御手段を備え、
前記余剰燃料制御手段は、前記燃料温度が前記低温側第一温度より低温の低温側第二温度を下回ると前記余剰燃料量を増量することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 前記バイパス路は車体下部に支持された収容ボックス内に保持されたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 前記バイパス路は前記燃料クーラーと共に車体下部に支持された収容ボックス内に保持されたことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 前記収容ボックスは前記燃料クーラーに外気を導くシャッターを備え、前記制御手段は該シャッターを前記燃料温度が前記高温側第一温度を上回ると開放状態に切換え、前記低温側第二温度を下回ると閉鎖状態に切換えることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 前記内燃機関が発生する出力を制御する出力制御手段を備え、
前記出力制御手段は、前記燃料温度が前記高温側第一温度より高温の高温側第二温度を上回ると前期内燃機関からの所値以上の高出力発生を制限することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料供給装置。
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