JP5331393B2 - 複合材料および医療用チューブ - Google Patents

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Description

本発明は、複合材料および医療用チューブに関する。
従来、医療用チューブは、例えば、内視鏡のチャンネル管を通じて体内の処置部に挿入される処置具チューブ(シース)などとして用いられている。このような医療用チューブは、例えば、内視鏡のチャンネル管などに対する摺動抵抗を小さくして、挿入力量を低減することが求められている。
例えば、特許文献1には、1またはそれ以上の熱可塑性ポリエステルから本質的になるポリマーマトリックスおよび微粉砕潤滑性粒状材料を含む複合材料、およびこの複合材料によって体内に挿入管部材を形成したカテーテルが記載されている。
特許文献1では、例えば、グラファイトや二硫化モリブデンなどからなる微粉砕潤滑性粒状材料を熱可塑性ポリエステルからなるポリマーマトリックスに混ぜることにより、材料の摩擦係数を下げて処置具チューブの挿入性を向上させている。
特表平10−503103号公報
しかしながら、上記のような従来の複合材料および医療用チューブには、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、微粉砕潤滑性粒状材料を混合することで、ポリマーマトリックスに比べて低摩擦の複合材料が得られるものの、粒子形状を制御していないため摩擦係数の低下は限定的である。かつ、特許文献1によれば、この複合材料の摩擦係数は約0.03〜約0.20であり、大きなばらつきを有している。
このように、摩擦係数がばらついて、摩擦係数が大きくなると医療用チューブを挿通させていく際の挿入力量もばらつくという問題がある。
医療用チューブは、体内に迅速に挿入したり、挿入後も処置位置に応じて挿入位置を術者の操作により微調整したりする必要があるため、挿入力量をさらに低減することが強く求められている。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、無機粒子をベースマトリックスに混練した複合材料における表面の摩擦特性を向上することができる複合材料および医療用チューブを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の複合材料は、1種以上の高分子材料からなるベースマトリックスと、該ベースマトリックス100重量部に対して15重量部以上75重量部以下の配合比で混練された、平均粒径0.1μm以上30μm以下、かつ円形度0.90以上1.0以下の1種以上の無機粒子とを含む構成とする。
この発明によれば、混練される無機粒子の配合比、平均粒径、および円形度をそれぞれ、15重量部以上75重量部以下、0.1μm以上30μm以下、円形度0.90以上1.0以下の条件に設定することで、表面摩擦係数を低減することができる。
無機粒子の配合比が15重量部未満では、配合量が少ないためベースマトリックス表面および表面近傍の無機粒子の数が少なくなりすぎるため、複合材料としての表面摩擦係数が増大してしまう。また、無機粒子の配合比が75重量部を超えると無機粒子が多すぎて凝集が起こりやすくなり、これにより複合材料の表面での凹凸が増大し、表面が荒れた状態となるため、複合材料としての表面摩擦係数が大きくなってしまう。
また、無機粒子の平均粒径が0.1μm未満では、無機粒子の表面エネルギーが大きくなりすぎるため、混練しても無機粒子同士が凝集した状態になりやすい。このような凝縮部分では機械強度が著しく低下してしまう。また、無機粒子の平均粒径が30μmを超えると平均粒径が大きいことから複合材料の表面の凹凸が大きくなり、表面が荒れた状態となるため、複合材料としての表面摩擦係数が大きくなってしまう。
また、無機粒子の円形度が0.90未満であると、無機粒子の表面に先鋭な角部が多くなりすぎる。これらの先鋭な角部がベースマトリックス表面に露出することで、接触抵抗が大きくなるため、複合材料としての表面摩擦係数が大きくなってしまう。
本明細書で言う円形度eは、フロー式粒子像分析装置(シスメックス(株)製)を用いて測定され、以下のように定義される。
e=(粒子投影像の面積と同じ面積を有する円の周長)/(粒子投影像の周長)
・・・(1)
このフロー式粒子像分析装置によれば、無機粒子の拡大画像を取得し、その画像処理を行うことで無機粒子の面積、周長が求められ、上記式(1)に基づいて円形度が算出される。
例えば、真円の円形度は1である。また正多角形の例では、正六角形は0.952、正五角形は0.930、正方形は0.886、正三角形は0.777となる。
また、本発明の複合部材では、前記無機粒子は、黒鉛型構造、または硫化モリブデン型構造の結晶構造を有することが好ましい。
この場合、無機粒子が、黒鉛型構造、または硫化モリブデン型構造の結晶構造を有し、これらの結晶構造は、層状結晶構造であるため、複合材料の表面の無機粒子が外力によってせん断されやすくなる。これにより、複合材料の表面の滑り性を向上することができる。
また、本発明の複合部材では、前記無機粒子は、酸化アルミニウム(Al)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化タングステン(WO)、タングステン(W)、酸化ビスマス(BiO)、および炭化ケイ素(SiC)のいずれかであることが好ましい。
この場合、Al、BaSO、WO、W、BiO、SiCは、化学的に安定であるため、無機粒子とベースマトリックスとの界面での結合力が小さいので、無機粒子が外力を受けるとベースマトリックスに対してすべりが発生し、複合材料の表面の滑り性を向上することができる。
また、本発明の複合部材では、前記ベースマトリックスは、シリコーンをグラフト重合してなる熱可塑性樹脂が、前記100重量部のうち2重量部以上10重量部以下配合されていることが好ましい。
この場合、ベースマトリックスに、低摩擦性を有するシリコーンが含まれることで、複合材料の表面に現れるシリコーンによって、複合材料の表面の摩擦を低減することができる。
シリコーンをグラフト重合してなる熱可塑性樹脂が2重量部未満では、配合量が少なすぎるため、ベースマトリックス表面のシリコーンが少なくなり、複合材料の表面を低摩擦化することができない。また、シリコーンをグラフト重合してなる熱可塑性樹脂が10重量部を超えると、複合材料を成形する際に寸法安定性が悪くなるため、表面に凹凸が発生しやすくなり、複合材料の表面の摩擦を低減することができない。
また、本発明の複合部材では、前記ベースマトリックスは、脂肪酸アミドが、前記100重量部のうち1重量部以上20重量部以下配合されていることが好ましい。
この場合、ベースマトリックスに、半固体性の親油性物質であるため低摩擦性を有する脂肪酸アミドが含まれることで、複合材料の表面の摩擦を低減することができる。
脂肪酸アミドが1重量部未満では、配合量が少なすぎるため、ベースマトリックス表面の脂肪酸アミドが少なくなり、複合材料の表面を低摩擦化することができない。また、脂肪酸アミドが20重量部を超えると、複合材料を成形する際に溶融状態の粘度が低くなるため寸法安定性が悪くなる。このため、表面に凹凸が発生しやすくなり、複合材料の表面の摩擦を低減することができない。
本発明の医療用チューブは、本発明の複合材料を用いた構成とする。
この発明によれば、本発明の複合材料を用いるので、本発明の複合材料と同様な作用を備える。
本発明の複合材料および医療用チューブによれば、無機粒子をベースマトリックスに混練した複合材料において、円形度が良好な無機粒子を含むことにより、表面の摩擦特性を向上することができるという効果を奏する。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態に係る複合材料および医療用チューブについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医療用チューブの概略構成を示す軸方向に沿う模式的な断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る医療用チューブの表面近傍の模式的な断面図である。なお、図1、2は模式図であり、寸法比、数、および形状は誇張されている(以下の図面も同じ)。
本実施形態の医療用チューブ1は、図1に示すように、チューブ本体が、内径d、外径d、長さLの円筒形状に形成された可撓性を有するチューブであり、例えば、内視鏡のチャンネル管に挿入して患部の処置や病変部の摘出の補助を行うカテーテルなどに用いることができるものである。内径d、外径d、長さLとしては、例えば、d=1.7(mm)、d=2.4(mm)、L=2000(mm)といった寸法を採用することができる。
医療用チューブ1のチューブ本体は、図2に示すように、1種以上の高分子材料からなるベースマトリックス10Aに無機粒子10Bが混練された本実施形態の複合材料10を、上記のチューブ形状に成形してなるものである。
ベースマトリックス10Aとしては、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン(PUR)樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、各種ジエン系樹脂、フッ素系樹脂(例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)など)、ポリアミド(PA)系樹脂の中から選んだ1種類もしくは2種以上の組み合わせを採用することができる。
本実施形態のベースマトリックス10Aは、一例として、例えば、Pebax(登録商標)6333SN01(アルケマ(Arkema)社製)を採用している。このPebax(登録商標)6333は、ハードセグメントがPA、ソフトセグメントがポリエーテルからなるポリエーテルブロックアミド共重合体であって、高い可撓性と反発弾性とを有する熱可塑性のPA系エラストマーである。
無機粒子10Bとしては、平均粒径0.1μm以上30μm以下、かつ円形度0.90以上1.0以下のものを、ベースマトリックス10Aが100重量部に対して15重量部以上75重量部以下の配合比で混練する。
無機粒子10Bの材質としては、層状結晶構造を有する適宜の無機粒子を採用することができる。このような層状結晶構造としては、黒鉛型構造、硫化モリブデン型構造を挙げることができ、これらの層状結晶構造を有する無機粒子を1種類以上含むことが好ましい。
黒鉛型構造を有する物質としては、例えば、グラファイト(C)、窒化ホウ素(BN)、ホウ化マグネシウム(MgB)、二ホウ化マグネシウム(MgB)、LiBC、HBC、CBなどを挙げることができる。
硫化モリブデン型構造を有する物質としては、二硫化タングステン(WS)、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化タンタル(TaS)などを挙げることができる。
本実施形態の無機粒子10Bの材質は、一例として、MoSを採用している。
このような構成の医療用チューブ1によれば、ベースマトリックス10Aが100重量部に対して、無機粒子10Bを15重量部以上75重量部以下の配合比で混練した複合材料10を成形しているため、医療用チューブ1の内部で無機粒子10Bが分散され、図2に示すように、無機粒子10Bの一部が外表面1aに露出される。また、特に図示しないが、同様に内表面1bでも無機粒子10Bが露出される。なお、以下では、外表面1a、内表面1bは、ベースマトリックス10Aの表面に露出した無機粒子10B等を含む表面を指すものとする。
これにより、医療用チューブ1を、例えば内視鏡チャンネル管などに挿入したり、医療用チューブ1の内部にワイヤなどを挿通したりする場合に、チャンネル管内面やワイヤ表面と、外表面1aおよび内表面1bにそれぞれ分散して露出された無機粒子10Bとが接触して滑るため、医療用チューブ1としての表面摩擦係数を低減することができる。
また、無機粒子10Bは、平均粒径0.1μm以上30μm以下、かつ円形度0.90以上1.0以下の寸法、および形状のものを採用しているため、無機粒子10Bが露出しても外表面1aおよび内表面1bが微細な凹凸状態に保たれるため、円滑な接触が可能となり、医療用チューブ1としての表面摩擦係数を低減することができる。
また、無機粒子10Bの材質には、層状結晶構造である黒鉛型構造のMoSを有するため、接触物から応力を受けると、無機粒子10Bにせん断すべりが発生する。したがって、このようなせん断すべりが発生しない同形状の無機粒子に比べて、接触部分での摩擦力が低減される。
無機粒子10Bの配合比が15重量部未満では、配合量が少ないため外表面1a、内表面1bに露出する無機粒子10Bが少なくなりすぎ、外表面1aおよび内表面1bにおける摩擦係数が、ベースマトリックス10Aの材質の摩擦係数で略決まってしまう。このため、医療用チューブ1の表面摩擦係数をベースマトリックス10Aの材質で決まる摩擦係数からあまり低減することができない。
無機粒子10Bの配合比が75重量部を超えると、複合材料10中の無機粒子10Bが多すぎて、無機粒子10Bの間で凝集が起こりやすくなり、外表面1aおよび内表面1bに露出する無機粒子10Bの見かけ上の粒子径が大きくなる。このため外表面1aおよび内表面1bの凹凸が増大し、外表面1aおよび内表面1bが荒れた状態となるため医療用チューブ1としての表面摩擦係数が大きくなってしまう。
無機粒子10Bの平均粒径が0.1μm未満では、無機粒子の表面エネルギーが大きくなりすぎるため、混練しても無機粒子同士が凝集した状態になりやすい。このような凝縮部分では機械強度が著しく低下してしまう。また、無機粒子10Bの平均粒径が30μmを超えると平均粒径が大きいことから外表面1aおよび内表面1bでの凹凸が大きくなり、外表面1aおよび内表面1bが荒れた状態となるため表面摩擦係数が大きくなってしまう。
また、無機粒子10Bの円形度が0.90未満であると、無機粒子10Bの表面に先鋭な角部が多くなりすぎる。これらの先鋭な角部が外表面1aおよび内表面1bに露出することで、接触抵抗が大きくなるため、表面摩擦係数が大きくなってしまう。
ここで、円形度は、粒子の真円度合いの評価尺度であり、上記式(1)から算出される円形度eを意味する。
このように、本実施形態の複合材料10は、表面の摩擦特性が向上されているため、これを用いる医療用チューブ1の外表面1aおよび内表面1bの表面摩擦係数が低減される。これにより、医療用チューブ1を内視鏡チャンネル管に挿入したり、医療用チューブ1内にワイヤを挿通させたりする場合に、これらの挿入、挿通の際の力量を低減することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る医療用チューブについて説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る医療用チューブの表面近傍の模式的な断面図である。
本実施形態の医療用チューブ1Aは、上記第1の実施形態の医療用チューブ1と同様の形状を有し、チューブ本体を、複合材料10に代えて複合材料11を用いて成形したものである。
複合材料11は、図3に示すように、1種以上の高分子材料からなるベースマトリックス11Aに、無機粒子11Bが混練されたものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ベースマトリックス11Aの材質としては、上記第1の実施形態のベースマトリックス10Aに採用することができる材質はすべて採用することができる。本実施形態では、高密度ポリエチレン(HDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とが90/10の配合比で配合されたPE樹脂からなるマトリックス樹脂11aと、シリコーン11cをグラフト重合してなる熱可塑性樹脂11bとからなるものを採用している。
熱可塑性樹脂11bの配合比は、ベースマトリックス11A100重量部のうち、2重量部以上10重量部以下としている。
このようなベースマトリックス11Aの一例としては、例えば、HDPEがHB130R(商品名;日本ポリエチレン(株)製)、LLDPEがUE320(商品名;日本ポリエチレン(株)製)からなるマトリックス樹脂11a、シリコーン11cをグラフト重合した熱可塑性樹脂11bとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)にシリコーンをグラフト重合してなるBY27−202H(商品名;東レ・ダウコーニング(株)製)である構成を採用することができる。
ただし、熱可塑性樹脂11bは、上記のようなオレフィン系樹脂に限定されるものではなく、上記第1の実施形態に例示したベースマトリックス10Aに採用できる熱可塑性樹脂であれば、どの樹脂を用いてもよい。
無機粒子11Bは、上記第1の実施形態の無機粒子10Bと同様に、平均粒径0.1μm以上30μm以下、かつ円形度0.90以上1.0以下のものを、ベースマトリックス10Aが100重量部に対して15重量部以上75重量部以下の配合比で混練する。
また、無機粒子11Bの材質は、上記第1の実施形態の無機粒子10Bに採用できるものは、すべて同様に採用することができる。
本実施形態では、一例として、黒鉛型構造の結晶構造を有するBNを採用している。
このような構成の医療用チューブ1Aによれば、ベースマトリックス11Aが100重量部に対して、無機粒子11Bを15重量部以上75重量部以下の配合比で混練した複合材料11を成形しているため、上記第1の実施形態と同様に、医療用チューブ1Aとしての表面摩擦係数を低減することができる。
さらに、本実施形態の医療用チューブ1Aは、ベースマトリックス11Aにシリコーン11cをグラフト重合した熱可塑性樹脂11bが2重量部以上10重量部以下配合されているため、ベースマトリックス11Aに、低摩擦性を有するシリコーン11cが含まれ、外表面1aおよび内表面1bにシリコーン11cが露出する。これによっても、医療用チューブ1Aの外表面1aおよび内表面1bのベースマトリックス11Aの表面摩擦係数が低減される。その結果、無機粒子11Bによる摩擦特性の向上と相俟って、さらに摩擦特性が向上される。
熱可塑性樹脂11bが2重量部未満では、配合量が少なすぎるため、外表面1aおよび内表面1bのシリコーン11cが少なくなり、複合材料11の表面を低摩擦化することができない。また、熱可塑性樹脂11bが10重量部を超えると、複合材料11を成形する際に寸法安定性が悪くなるため、外表面1aおよび内表面1bに凹凸が発生しやすくなり、外表面1aおよび内表面1bの摩擦を低減することができない。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る医療用チューブについて説明する。
図4は、本発明の第3の実施形態に係る医療用チューブの表面近傍の模式的な断面図である。
本実施形態の医療用チューブ1Bは、上記第1の実施形態の医療用チューブ1と同様の形状を有し、チューブ本体を、複合材料10に代えて複合材料12を用いて成形したものである。
複合材料12は、図4に示すように、1種以上の高分子材料からなるベースマトリックス12Aに、無機粒子11Bが混練されたものである。
以下、上記第1、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ベースマトリックス12Aは、上記第2の実施形態のマトリックス樹脂11aに、半固体性の親油性物質である脂肪酸アミド12bを配合してなる。
脂肪酸アミド12bの配合比は、ベースマトリックス12A100重量部のうち、1重量部以上20重量部以下としている。
このような脂肪酸アミド12bの一例としては、カオーワックス85P(商品名;花王(株)製)を採用することができる。
このような構成の医療用チューブ1Bによれば、ベースマトリックス12Aが100重量部に対して、無機粒子11Bを15重量部以上75重量部以下の配合比で混練した複合材料12を成形しているため、上記第1の実施形態と同様に、医療用チューブ1Bとしての表面摩擦係数を低減することができる。
さらに、本実施形態の医療用チューブ1Bは、ベースマトリックス12Aに、半固体性の親油性物質であるため低摩擦性を有する脂肪酸アミド12bが1重量部以上20重量部以下配合され、ベースマトリックス12Aの外表面1aおよび内表面1bに脂肪酸アミド12bが露出する。これによっても、医療用チューブ1Bの外表面1aおよび内表面1bのベースマトリックス12Aの表面摩擦係数が低減される。その結果、無機粒子11Bによる摩擦特性の向上と相俟って、さらに摩擦特性が向上される。
脂肪酸アミド12bが1重量部未満では、配合量が少なすぎるため、外表面1aおよび1bの脂肪酸アミド12bが少なくなり、複合材料12の表面を低摩擦化することができない。また、脂肪酸アミド12bが20重量部を超えると、複合材料12を成形する際に溶融状態の粘度が低くなるため寸法安定性が悪くなる。このため、外表面1aおよび内表面1bに凹凸が発生しやすくなり、外表面1aおよび内表面1bに摩擦を低減することができない。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る医療用チューブについて説明する。
本実施形態の医療用チューブ1Cは、上記第1の実施形態の医療用チューブ1と同様の形状を有し、チューブ本体を、複合材料10に代えて複合材料13を用いて成形したものである。
複合材料13は、図2に示すように、上記第1の実施形態の複合材料10の無機粒子10Bに代えて、無機粒子13Bを用いたものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
無機粒子13Bとしては、平均粒径0.1μm以上30μm以下、かつ円形度0.90以上1.0以下のものを、ベースマトリックス10Aが100重量部に対して15重量部以上75重量部以下の配合比で混練する。
無機粒子13Bの材質としては、酸化アルミニウム(Al)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化タングステン(WO)、タングステン(W)、酸化ビスマス(BiO)の無機粒子を1種類以上含むものを採用することができる。
このような構成の医療用チューブ1Cによれば、ベースマトリックス10Aが100重量部に対して、無機粒子13Bを15重量部以上75重量部以下の配合比で混練した複合材料13を成形しているため、上記第1の実施形態と同様に、医療用チューブ1Cの外表面1aおよび内表面1bに無機粒子13Bが露出する。
このような無機粒子13Bは、化学的に安定であるため、ベースマトリックス10Aに対する界面での結合力は小さく、外表面1aおよび内表面1bに露出した無機粒子13Bに対して、外表面1aおよび内表面1bに沿う外力が作用すると、ベースマトリックス10Aに対して無機粒子13Bのすべりが発生する。この結果、外表面1aおよび内表面1bの摩擦特性が向上する。
以下では、上記各実施形態の実施例について、比較例とともに説明する。
図5は、複合材料の表面摩擦係数測定に用いた測定装置および測定方法について説明する模式説明図である。図6は、医療用チューブの挿入力量の測定装置および測定方法について説明する模式説明図である。図7は、各実施例、各比較例の表面摩擦係数および挿入力量の測定結果を示す棒グラフである。横軸は、実施例、比較例の番号をそれぞれ実1、比1等として示す。縦軸は、表面摩擦係数および挿入力量(N)を示す。
[第1の実施形態の実施例1〜7]
第1の実施形態の実施例1〜7の医療用チューブ1のベースマトリックス10A、無機粒子10Bの構成について、比較例1〜6の医療用チューブのベースマトリックス、無機粒子の構成とともに、表1に示す。
なお、製作した各医療用チューブの形状は共通であり、内径d、外径d、長さLが、それぞれ、d=1.7(mm)、d=2.4(mm)、L=2000(mm)としている(以下の各実施例、各比較例にも共通)。
Figure 0005331393
表1に示すように、実施例1〜7は、いずれもベースマトリックス10A(樹脂1)にPebax(登録商標)6333SN01(アルケマ(Arkema)社製)、無機粒子10BにMoSを採用している。
実施例1〜3では、それぞれ共通に、ベースマトリックス10Aの100重量部に対する無機粒子10Bの配合比を15重量部とし、無機粒子10Bの円形度は0.90とした。ただし、無機粒子10Bの平均粒径は、実施例1、2、3で、それぞれ、0.10μm、20μm、30μmとした。
実施例4、5では、それぞれ共通に、ベースマトリックス10Aの100重量部に対する無機粒子10Bの配合比を15重量部とし、無機粒子10Bの平均粒径を30μmとした。ただし、無機粒子10Bの円形度は、それぞれ1.00、0.95とした。
実施例6では、ベースマトリックス10Aの100重量部に対する無機粒子10Bの配合比を40重量部とし、無機粒子10Bの平均粒径、円形度を、それぞれ30μm、0.90とした。
実施例7では、ベースマトリックス10Aの100重量部に対する無機粒子10Bの配合比を75重量部とし、無機粒子10Bの平均粒径、円形度を、それぞれ30μm、0.90とした。
ここで、平均粒径は、粒度分布測定装置SALD−7100((株)島津製作所製)によって測定した値を採用した。また、円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス(株)製)を用いて測定した値を採用した。この平均粒径、円形度の測定方法は、他の各実施例および各比較例にも共通である。
比較例1は、ベースマトリックス10Aのみでチューブ本体を成形したものである。
比較例2〜4では、それぞれ共通に、ベースマトリックス10Aの100重量部に対する無機粒子10Bの配合比を15重量部とした。ただし、無機粒子10Bの平均粒径は、比較例2、3、4で、それぞれ、50μm、0.05μm、30μmとした。また、無機粒子10Bの円形度は、比較例2、3、4で、それぞれ、0.90、0.90、0.80とした。
比較例5では、ベースマトリックス10Aの100重量部に対する無機粒子10Bの配合比を5重量部とし、無機粒子10Bの平均粒径、円形度を、それぞれ30μm、0.90とした。
比較例6では、ベースマトリックス10Aの100重量部に対する無機粒子10Bの配合比を90重量部とし、無機粒子10Bの平均粒径、円形度を、それぞれ10μm、0.90とした。
すなわち、比較例1は無機粒子10Bを含まない点で、比較例2、3は無機粒子10Bの平均粒径の大きさの点で、比較例4は無機粒子10Bの円形度の大きさの点で、比較例5、6は無機粒子10Bの配合比の点で、それぞれ本発明の範囲に含まれない例になっている。
これら各実施例、各比較例の評価は、複合材料の表面摩擦係数と、各複合材料で成形されたチューブ本体を屈曲された管内に挿入する際の挿入力量とを測定することにより行った。なお、これらの測定方法は、以下の他の実施例、比較例の測定でも同様である。
表面摩擦係数の測定は、図5に示すように、測定サンプルを固定して往復移動する移動台51と、測定サンプルに対して一定荷重で測定相手部材52を押圧するためのおもり52と、測定相手部材52に作用する測定サンプルからの摩擦力を測定する荷重変換器54とを備える摩擦係数測定器50を用いて行った。本測定での摩擦係数測定器50はHEIDON(商品名;新東科学(株)製)を用いた。
本測定では、移動台51に、複合材料から製作されたサンプル基材60を固定し、おもり52によって、測定相手部材52をサンプル基材60に押圧した状態で、移動台51を往復駆動し、荷重変換器54によって、サンプル基材60から測定相手部材52に作用する摩擦力を測定する。この摩擦力の変化から動摩擦係数を算出し、サンプル基材60の表面摩擦係数を評価した。
ここで、測定相手部材52の材質は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いている。
挿入力量の測定には、図6に示す応力測定装置70を用いた。
応力測定装置70は内径3.2mm、外径4.4mm、長さ400mmの円筒状のPTFEからなるチャンネル管74が屈曲形状を有するチャンネルガイド75に嵌め込まれ、チャンネル管74に対向して、各医療用チューブの測定サンプルSを押し出すチューブ固定金属棒77を有する応力感知用測定器78が配置されたものである。
ここで、チャンネル管74は、実際に内視鏡において用いられるものを用いている。
チャンネルガイド75は、管径が5mmで、入口側から長さ105mmの直線部75a、曲線部75b、および長さ125mmの直線部75cから構成される。曲線部75bの外側の曲率半径(図6のR)は、50mmであり、この外側の曲線部分の長さは39.25mmである。これにより、直線部75a、75cが、図示紙面内で、90°屈曲されている。
まず、測定サンプルSとして、各実施例、各比較例の医療用チューブを切断して長さを400mmに調整した。そして、測定サンプルSの後端側をチューブ固定金属棒77の先端に固定して、チャンネル管74に挿入し、初期状態で直線部75aの入口から20mmだけ侵入させたチューブ設置位置76にセットする。
この状態から、測定サンプルSを移動ストローク300mm、移動速度50mm/secで、チャンネル管74内に10往復の繰返し挿入を行う。
測定サンプルSは、チャンネル管74内に進出すると、先端Saがチャンネルガイド75の曲線部5bに位置するチャンネル管74の内壁と接触するなどして、挿入抵抗が発生する。
そして、この繰り返し挿入における最大挿入力を、チューブ固定金属棒77が接続された応力感知用測定器78によって検出し、それぞれ10回の平均値をとって挿入力量とした。
これらの測定結果および判定結果は、表1中および図7に示した。表面摩擦係数の判定は、0〜0.13の範囲を、挿入力量の判定は、0N〜0.45Nの範囲を、それぞれの許容範囲とし、○(良好)、×(許容範囲外)で結果を示した(以下の表も同じ)。
以下では、表面摩擦係数を記号μsf、挿入力量を記号Fで表し、測定値を(μsf,F)のように表す場合がある。例えば、(0.06,0.30N)は、μsf=0.06、F=0.30(N)を意味するものとする。
表1によれば、μsf、Fの最大値は、比較例1の場合で、(0.33,0.78N)であった。
実施例1〜3の測定結果は、(0.06,0.30N)、(0.07,0.33N)、(0.08,0.34N)であった。実施例1〜3は、無機粒子10Bの最小の配合比(15重量部)、最小の円形度(0.90)で、平均粒径を0.10μmから30μmまで変えているため、μsf、Fともに、平均粒径の増大とともに増大しているが、最大の実施例3でも、比較例1に対して、μsfが約0.24倍、Fが約0.44倍であった。
実施例4、5の測定結果は、(0.05,0.28N)、(0.07,0.32N)であった。実施例4、5は、無機粒子10Bの最小の配合比(15重量部)、最大の平均粒径(30μm)で、円形度を1.00、0.95に変えている。実施例3の結果と合わせると、実施例3、5、4の順に、円形度を0.90から1.00まで増大させた場合の測定例となっており、これらの測定結果から円形度の増大とともにμsf、Fが減少していることが分かる。すなわち、この3例では実施例3のμsf、Fが最も大きい。
実施例6、7の測定結果は、(0.07,0.33N)、(0.10,0.39N)であった。実施例6、7は、無機粒子10Bの最小の円形度(0.90)、最大の平均粒径(30μm)で、配合比を40重量部、70重量部に変えている。実施例3の結果と合わせると、実施例3、6、7の順に、配合比を15重量部から75重量部まで増大させた場合の測定例となっており、これらの測定結果から無機粒子10Bの配合比が最大の実施例7でμsf、Fが最大になっている。また、実施例7は、実施例1〜7中でも最大となっているが、比較例1に対して、μsfが約0.30倍、Fが約0.5倍であった。
以上の実施例1〜7の測定結果は、いずれも許容範囲内の良好な結果であった。
また、実施例1〜7のμsfのバラツキは、0.05(=0.10−0.05)と極めて小さくなっている。
また、比較例2、3の測定結果は、(0.30,0.75N)、(0.25,0.71N)であった。比較例2、3は、無機粒子10Bの最小の配合比(15重量部)、最小の円形度(0.90)で、平均粒径をそれぞれ50μm、0.05μmとした場合の例である。これらの測定結果は、実施例3に対して、μsfがそれぞれ約3.8倍、約3.1倍、Fがそれぞれ約2.2倍、約2.1倍となっている。すなわち平均粒径が30μmより大きくても、0.10μmより小さくても、μsf、Fが格段に増大して許容範囲外となっている。また、実施例1〜3よりも、無機粒子10Bを配合していない比較例1により近い値を示しており、摩擦力の低減効果が乏しいことが分かる。
また、比較例4、5は、それぞれ、円形度、配合比を、0.80、5重量部とした場合の例であり、比較例6は、平均粒径、配合比を、それぞれ10μm、90重量部とした場合の例である。比較例4〜6の測定結果は、(0.26,0.72N)、(0.27,0.74N)、(0.25,0.72N)であった。これらは、無機粒子10Bの平均粒径、円形度、配合比のいずれかが、本発明の範囲外となっているため、実施例7に対して、μsfがそれぞれ約2.5倍、約2.7倍、約2.5倍、Fが約1.8倍、約1.9倍、約1.8倍と格段に増大して許容範囲外となっている。
[第2の実施形態の実施例8〜10]
第2の実施形態の実施例8〜10の医療用チューブ1Aのベースマトリックス11A、無機粒子11Bの構成について、比較例7、8の医療用チューブのベースマトリックス、無機粒子の構成とともに、表2に示す。
Figure 0005331393
表2に示すように、実施例8〜10、比較例7、8は、いずれもマトリックス樹脂11aに、HB130R(商品名;日本ポリエチレン(株)製)、UE320(商品名;日本ポリエチレン(株)製)を90/10の割合で配合したものを、シリコーン11cをグラフト重合した熱可塑性樹脂11b(樹脂2)に、BY27−202H(商品名;東レ・ダウコーニング(株)製)を採用している。また、無機粒子11Bは、材質がBN、平均粒径は30μm、円形度は0.90、ベースマトリックス11Aの100重量部に対する配合比は15重量部とした。
そして、比較例7、実施例8、9、10、比較例8におけるベースマトリックス11A内のシリコーン11cおよび熱可塑性樹脂11bの配合比を、それぞれ、1重量部、2重量部、5重量部、10重量部、15重量部に変化させた。
これらの測定結果および判定結果は、表2中および図7に示した。
表2によれば、比較例7、実施例8、9、10、比較例8の測定結果は、それぞれ(0.16,0.53N)、(0.07,0.28N)、(0.05,0.26N)、(0.08,0.36N)、(0.17,0.58N)であった。
これら実施例8〜10の測定結果より、熱可塑性樹脂11bが2重量部以上10重量部以下では、μsf、Fがいずれも良好と判定されることが分かる。また、無機粒子の材質以外の条件が同じ実施例3の測定結果に比べても略同等あるいはより良好な結果である。
また、実施例8〜10のμsfのバラツキは、0.03(=0.08−0.05)と極めて小さくなっている。
また、比較例7、8の測定結果より、熱可塑性樹脂11bの配合比が2重量部未満、10重量部を超える範囲では、許容範囲外になることが分かる。比較例7、8は、実施例8〜10の中で最大の測定結果が得られる実施例10に対して、μsfがそれぞれ約2倍、約2.1倍、Fがそれぞれ約1.5倍、約1.6倍となり、格段に増大しており、比較例1の測定結果の方により近いことが分かる。
[第3の実施形態の実施例11〜13]
第3の実施形態の実施例11〜13の医療用チューブ1Bのベースマトリックス12A、無機粒子11Bの構成について、比較例9の医療用チューブのベースマトリックス、無機粒子の構成とともに、表3に示す。
Figure 0005331393
表3に示すように、実施例11〜13、比較例9は、いずれもマトリックス樹脂11aに、HB130R(商品名;日本ポリエチレン(株)製)、UE320(商品名;日本ポリエチレン(株)製)を90/10の割合で配合したものを、脂肪酸アミド12b(樹脂2)に、カオーワックス85P(商品名;花王(株)製)を採用している。無機粒子11Bは、材質がBN、平均粒径は30μm、円形度は0.90、ベースマトリックス12Aの100重量部に対する配合比は15重量部とした。
そして、実施例11、12、13、比較例9におけるベースマトリックス12A内の脂肪酸アミド12bの配合比を、それぞれ、1重量部、15重量部、20重量部、30重量部に変化させた。
これらの測定結果および判定結果は、表3中および図7に示した。
表3によれば、実施例11、12、13、比較例9の測定結果は、それぞれ(0.07,0.27N)、(0.06,0.26N)、(0.09,0.37N)、(0.20,0.62N)であった。
これら実施例11〜13の測定結果より、脂肪酸アミド12bが1重量部以上20重量部以下では、μsf、Fがいずれも良好と判定されることが分かる。また、無機粒子の材質以外の条件が同じ実施例3の測定結果に比べても略同等あるいはより良好な結果である。
また、実施例11〜13のμsfのバラツキは、0.03(=0.09−0.06)と極めて小さくなっている。
また、比較例9の測定結果より、熱可塑性樹脂11bの配合比が20重量部を超える範囲では、許容範囲外になることが分かる。比較例9は、実施例11〜13の中で最大の測定結果が得られる実施例13に対して、μsfが約2.2倍、Fが約1.7倍となり、格段に増大しており、比較例1の測定結果の方により近いことが分かる。
[第4の実施形態の実施例14〜19]
第4の実施形態の実施例14〜19の医療用チューブ1Cのベースマトリックス10A、無機粒子13Bの構成について、表4に示す。
Figure 0005331393
表4に示すように、実施例14〜19は、いずれもベースマトリックス10A(樹脂1)にPebax(登録商標)6333SN01(アルケマ(Arkema)社製)を採用している。また、無機粒子13Bは、平均粒径は30μm、円形度は0.90、ベースマトリックス10Aの100重量部に対する配合比は15重量部とした。
そして、実施例14、15、16における無機粒子13Bの材質を、それぞれ、Al、BaSO、SiC、WO、W、BiOとした。
これらの測定結果および判定結果は、表4中および図7に示した。
表4によれば、実施例14、15、16、17、18、19の測定結果は、それぞれ(0.11,0.42N)、(0.10,0.40N)、(0.12,0.43N)、(0.11,0.41N)、(0.13,0.45N)、(0.12,0.42N)であった。
これら実施例14〜19の測定結果より、やや大きいものの、許容範囲内の良好な結果であった。
また、実施例14〜19のμsfのバラツキは、0.02(=0.12−0.10)と極めて小さくなっている。
また、比較例1に対して、μsfがそれぞれ約0.33倍、約0.30倍、約0.36倍、約0.33倍、約0.39倍、約0.36倍、Fが約0.53倍、約0.51倍、約0.55倍、約0.53倍、約0.58倍、約0.54倍となり、格段に低減されていることが分かる。
なお、上記の各実施形態に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
本発明の第1の実施形態に係る医療用チューブの概略構成を示す軸方向に沿う模式的な断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る医療用チューブの表面近傍の模式的な断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る医療用チューブの表面近傍の模式的な断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る医療用チューブの表面近傍の模式的な断面図である。 複合材料の表面摩擦係数測定に用いた測定装置および測定方法について説明する模式説明図である。 医療用チューブの挿入力量の測定装置および測定方法について説明する模式説明図である。 各実施例、各比較例の表面摩擦係数および挿入力量の測定結果を示す棒グラフである。
符号の説明
1、1A、1B、1C 医療用チューブ
1a 外表面
1b 内表面
10、11、12、13 複合材料
10A、11A、12A ベースマトリックス
10B、11B、13B 無機粒子
11a マトリックス樹脂
11b 熱可塑性樹脂
11c シリコーン
12b 脂肪酸アミド

Claims (6)

  1. 1種以上の高分子材料からなるベースマトリックスと、
    該ベースマトリックス100重量部に対して15重量部以上75重量部以下の配合比で混練された、平均粒径0.1μm以上30μm以下、かつ円形度0.90以上1.0以下の1種以上の無機粒子とを含むことを特徴する複合材料。
  2. 前記無機粒子は、黒鉛型構造、または硫化モリブデン型構造の結晶構造を有することを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記無機粒子は、酸化アルミニウム(Al)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化タングステン(WO)、タングステン(W)、酸化ビスマス(BiO)、および炭化ケイ素(SiC)のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
  4. 前記ベースマトリックスは、シリコーンをグラフト重合してなる熱可塑性樹脂が、前記100重量部のうち2重量部以上10重量部以下配合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合材料。
  5. 前記ベースマトリックスは、脂肪酸アミドが、前記100重量部のうち1重量部以上20重量部以下配合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合材料。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合材料を用いた医療用チューブ。
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