JP5327817B2 - 内圧試験装置および内圧試験方法 - Google Patents
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Description
このような観点から材料の内圧疲労を測定する試験装置の提案がなされている。該試験装置では、人工亀裂などを形成した被試験筒体をチャンバ内に配置し、前記被試験筒体内に水素ガスを封入するとともに、チャンバ内で被試験筒体外側に水圧を加え、この水圧の増減によって亀裂の進展を模擬している。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、被試験筒体に所望の内圧を付与し、また十分な圧力変動を加えて内圧試験を行うことができる内圧試験装置を提供することを目的とする。
この被試験筒体内を伝播する音波を検出することで、被試験筒体の疲労、亀裂生成、亀裂進展などの特性変化を測定することができる。該音波の検出は、アコーステックエミッションによる検出や、超音波発信探触子で発信した超音波を超音波受信探触子で受信する方法により行うことができる。検出結果によって被試験筒体の特性変化を評価する方法は、既知の方法で行うことができる。
本発明で試験の対象となる被試験筒体の材質などは特に限定をされるものではなく、試験目的に沿って種々の材料を対象にすることができる。特に、圧入ガスとして水素を用い、該水素による脆化を測定する材料に好適に用いることができる。また、材料に人工の傷や亀裂を形成しておき、内圧に伴う亀裂の進展等を測定するものに好適に用いることができる。
また、圧力調整ピストンの駆動は、ピストンロッドなどを用いて行うことも可能であるが、圧力調整用筒体の開口部が位置する空間に対し圧力調整ピストンを介して反対側となる筒体内空間に液圧を付加し、該液圧の増減によって圧力調整ピストンの往復動を行うことが望ましい。この場合、圧力調整ピストンは、液圧がガス圧よりも大きいことで、開口部側に移動してガスを圧縮する。また、液圧を減ずれば、圧縮されたガスが膨張し、ガス圧と液圧とがバランスするまでガス圧を低下させる。したがって、液圧の増減によってガス圧を設定することができ、所望の圧力変動を生じさせることもできる。
液圧によって圧力調整ピストンを駆動させる場合、機械的な振動が発生しにくく、したがって、被試験筒体を伝播する音波を測定する際に、機械的な振動に伴う雑音の発生を回避でき、正確な音波測定が可能になる。特にアコーステックエミッションを測定する際には、測定精度を高めることができる。
試験装置1は、床部に設置されたフレーム2に、円筒形状の保護筒3が縦にして取り付けられている。保護筒3の下部に下部蓋部4が気密に取り付けられ、該保護筒3の上部に上部蓋部5が気密に取り付けられており、上部蓋部5がブラケット6によってフレーム2に固定されている。
上記下部蓋部4には保護筒3内に連通するように窒素ガス導入管7が接続されており、前記上部蓋部5には保護筒3内に連通するように排気管8が接続されている。これによって保護筒3内が窒素ガス導入管7から排気管8を通して通気が可能になっている。
被試験筒体10の上端開口には、該開口の内周側に嵌め込む突部を有する上部プラグ11が取り付けられており、該上部プラグ11を覆うように被試験筒体10の上端外周に上部キャップ12が螺合によって取り付けられて上端開口が封止されている。上部キャップ12は、前記上部蓋部5にブラケット13を介して取り付けられており、被試験筒体10は、該ブラケット13によって垂下された状態にある。なお、前記した排気管8は、前記ブラケット13の外周側に位置している。
上記上部プラグ11から上部キャップ12、ブラケット13、上部蓋部5に掛けて水素通路31が形成されており、該水素通路31には、保護筒3外部にある水素配管30の一端が接続されている。水素配管30の他端は、図示しない水素供給源に接続されている。上記水素配管30および水素通路31は、本発明のガス注入部に相当する。
圧力調整ピストン22は、圧力調整ピストン22上方空間および圧力調整ピストン22下方空間の受圧圧力差によって上下動する。なお、圧力調整ピストン22の下面中央部には、丸穴形状の凹部22aが形成されている。
なお、AEセンサの個数、設置箇所は任意であり、本発明としては特に限定されない。この実施形態では、被試験筒体10の上方側外周面に、図5に示すように円周方向に90度間隔で4個のAEセンサ40−1〜40−4と、下方側外周面に周方向に90度間隔で4個のAEセンサ40−5〜40−8を設けている。さらに、中央高さの位置に内周面の亀裂をはさむように、TOFD探触子40−9、10の2個を設けている。なお、ここではTOFD探触子40−9が超音波発信探触子、TOFD探触子40−10が超音波受信探触子の機能を図している。
この実施形態では、図5に示すように試験に先立って被試験筒体10に人工亀裂Aを形成し、圧力変動による亀裂の進展を測定する
先ず、窒素ガス導入管7に図示しない窒素供給源から窒素を導入し、一方、排気管8を排気可能にすることで、試験中、保護筒3内のチャンバG1で窒素ガスを継続して通気する。
水素配管30には、図示しない水素供給源から水素を供給し、水素通路31を通して被試験筒体10内に所定量の水素を供給する。所定量または所定圧で水素を供給した後、水素配管30を図示しないバルブで閉じる。この水素供給によって、被試験筒体10内では、所定の水素圧力が得られており(例えば22.5MPa)、圧力調整用筒体20内の圧力調整ピストン22は上記水素圧力によって下方位置にまで下降している。なお、水素供給源からの水素配管への水素供給を前記制御部28によって制御することもできる。
給水管25に供給された圧力水は、圧力調整用筒体20内の受圧室23に導入される。圧力調整ピストン22では、上部側の水素圧力と受圧室23に加わる水圧とが付加されており、その差圧によって圧力調整ピストン22が上下動する。水圧供給初期では、水素圧力によって圧力調整ピストン22は下方位置にあるが、その後、水が受圧室23に満たされることで、圧力調整ピストン22が差圧によって上方に移動し、水素の収容体積が小さくなることで水素を圧縮する。圧力調整ピストン22が所定位置にまで上昇して水素圧が所定圧力に達すると、開閉弁25aを閉じて給水を停止する。このとき、給水圧力は圧縮された水素圧力と同じか、水素圧力よりも高いことが必要である。給水の停止は、水素圧力を検出して所定圧力に達したことで行ってもよく、また、圧力水の供給量を検出して所定の供給量に達したことで行ってもよい。
制御部28では、AEセンサ40−1〜8によって、人工亀裂の進展によるアコースティックエミッションが測定される。制御部28では、AEセンサおよびTOFD法の測定結果に基づいて被試験筒体10における亀裂の進展状況について判定することができ、水素脆性に伴う亀裂の検出精度を向上させることができる。
また、上記実施形態では、圧力変動に伴う材料の特性評価を行うものとしたが、所望の調整可能な圧力を付加して特性評価を行う試験装置として利用することも可能である。
3 保護筒
7 窒素ガス導入管
8 排気管
10 被試験筒体
20 圧力調整用筒体
22 圧力調整ピストン
23 受圧部
25 給水管
25a 開閉弁
27 排水管
27a 開閉弁
28 制御部
40−1〜8 AEセンサ
40−9、10 TOFD探触子
Claims (10)
- 被試験筒体の内部にガスを充填した状態で試験を行う内圧試験装置であって、
前記被試験筒体の内部に配置され、筒方向一端側が前記被試験筒体内空間に連通するように開口し、他端側が圧力導入部を除いて封止された圧力調整用筒体と、前記封止の内側で前記圧力調整用筒体内で筒方向に沿って往復動可能な圧力調整ピストンと、前記圧力調整ピストンに圧力を導入して移動させる前記圧力導入部と、前記被試験筒体内空間にガスを注入するガス注入部と、前記圧力導入部と前記ガス注入部とを除いて前記被試験筒体内部を封止する蓋部と、前記被試験筒体における伝播音波を検出する音波センサと、を備えることを特徴とする内圧試験装置。 - 前記圧力調整筒体は、その外周面が前記被試験筒体の内周面と小隙間を形成するように前記被試験筒体と同軸に配置されていることを特徴とする請求項1記載の内圧試験装置。
- 前記圧力調整ピストンを所定の間隔で繰り返し往復動させる駆動制御部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の内圧試験装置。
- 前記圧力調整ピストンは、前記圧力調整用筒体内への液圧導入によって前記開口側に向けて移動し、該液圧の減少によって前記開口側から離れるように移動するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内圧試験装置。
- 前記被試験体は、人工亀裂が形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内圧試験装置。
- 前記音波センサが、アコーステックエミッションセンサであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内圧試験装置。
- 前記音波センサが、超音波発信部と超音波受信部とを有する超音波センサであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内圧試験装置。
- 前記ガス注入部で前記被試験体内に注入されるガスが水素であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内圧試験装置。
- 前記被試験筒体は、不活性ガスが通気されるチャンバ内に配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の内圧試験装置。
- 被試験筒体内に、圧力調整用筒体を配置するとともに、該圧力調整用筒体の一部のみを筒方向一旦側で前記被試験筒体内空間に連通させ、前記被試験筒体内をガス注入と圧力導入を除いて封止し、前記空間に所定量のガスを注入した後、前記圧力調整用筒体の他端側で圧力導入を除いて封止された側の内側にある圧力調整ピストンに前記圧力を導入して往復動させることによって前記空間内の前記ガスの圧力を変動させ、該圧力が付与されている前記被試験筒体を伝播する音波を検出することによって前記被試験筒体における特性変化を測定することを特徴とする内圧試験方法。
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