以下、本発明に係る空気調和機について、壁掛型の空気調和機を例にして説明する。まず、空気調和機の全体構成について図1〜図3を用いて説明する。図1は空気調和機の構成図である。図2は空気調和機室内機の断面図である。図3は室内機の正面図である。
図1に示す空気調和機1は、室内機2と室外機3とを接続配管4で繋いで構成される。室内機2は、別体のリモートコントローラ(以下「リモコン」という。)5からの赤外線の操作信号を受信する室内送受信部16を備える。
図2に示すように、室内機2は、筐体ベース6の中央部に熱交換器7を備える。熱交換器7の空気流下流には熱交換器7の幅と略等しい長さの横流ファン方式の室内送風機8を配置する。また、熱交換器7の下方には露受皿9を配置する。熱交換器7及び室内送風機8等は、化粧枠10で覆われるとともに、化粧枠10の前面にはフロントパネル11が取り付けられる。
室内機2上方には、室内空気を吸込む空気吸込口12を備える。室内機2下方には、温湿度が調整された空気を吹出す空気吹出口13を備える。室内送風機8により、空気吸込口12から吸込まれた室内空気は、熱交換器7及び室内送風機8を通って室内送風機8の長さに略等しい幅の吹出風路8aに流れ込む。その後、吹出風路8aの空気は、吹出風路8aに位置する左右風向板14により左右方向が偏向され、空気吹出口13に位置する上下風向板15により上下方向が偏向されて、空気吹出口13から室内に吹出される。
上下風向板15の奥には、焦電型赤外線センサ17,サーモパイルを使用した輻射センサ18、及びマイクロフォン等を使用した音センサ19を搭載する。
次に、焦電型赤外線センサと音センサとを組み合わせて、在室者の活動量を細分化して検知する方法について、図4〜図15を用いて説明する。本実施例においては、焦電型の赤外線センサと音センサを組み合わせて、在室者の活動をこれまでより細分化し、在室者の快適性に配慮しながら、さらなる省エネ運転をする。
焦電型赤外線センサを使用して在室者の活動量を検出し、活動量が大きい場合は室温を低めに調節し、活動量が小さい場合は室温を高めに調節することにより、在室者の快適性に配慮しながら、省エネ運転をすることができる。しかしながら、焦電型赤外線センサのみを用いて在室者の活動量を多段階に分類するのは、検出誤差やセンサに向かう方向の動きに対してセンサの感度が鈍くなるという特性等から、センサの数を増加させる必要があり、コストアップとなる。
図4は活動内容と活動量の関係である。人の活動量を表す単位としてMETを用いており、活動内容とその活動内容に対応するMET値を示している。図4の左欄に、焦電型赤外線センサを1個のみを使用した場合の活動量の区分例を示す。このように、焦電型赤外線センサを1個のみ使用した場合、活動量の区分は細分化できても大,中,小の3区分程度である。これ以上細分化しても、上述の理由により精度は低い。図4の右欄に、本発明の方法による活動量の区分例を示す。本発明によれば、活動量をより細分化できるので、在室者の活動量に応じた空調により快適性に配慮しつつ、さらなる省エネ運転が可能となる。尚、本発明による活動量の区分の方法については後述する。
次に、本発明の空気調和機の制御の概要について、図5を用いて説明する。図5は室内機の制御部ブロック図である。
図5において、空気調和機1は内部に制御部20を備え、各種センサからの情報やリモコン5からの指示に応じて、室内機2及び室外機3を制御する。室内900からの情報は、室温センサ25,湿度センサ26,輻射センサ18,リモコン周囲温度センサ27,リモコン位置センサ28,焦電型赤外線センサ17,音センサ19等により制御部20内部のマイコン(図示せず)に取込まれる。これらのマイコンに取込まれた情報に基づいて、空気調和機1が制御される。
焦電型赤外線センサ17及び音センサ19の情報から、活動量判定部35は、在室者の活動量を図4の右欄に例示したように多段階に区分して、温度シフト値設定部36に伝える。
温度シフト値設定部36は、活動量判定部35からの活動量情報の他、上述の各種センサや制御部20内部に備えられたカレンダー機能29からの情報に基づいて温度シフト値を演算し、目標室温設定部37に伝える。
目標室温設定部37は、温度シフト値設定部36からの温度シフト値情報と室温設定部38からの設定室温情報に基づいて目標室温を演算し、空調能力制御部45に伝える。
空調能力制御部45は、目標室温設定部37からの目標室温や室温センサ25からの吸込空気温度情報等から、圧縮機回転数設定部46,室内送風機回転数設定部47,室外送風機回転数設定部48で圧縮機回転数,室内送風機回転数,室外送風機回転数を設定し、圧縮機,室内送風機8,室外送風機56を制御する。
空気調和機の暖房能力及び冷房能力は、空気調和機の吸込空気温度と設定温度に基づいて制御される。しかしながら、一般に、室内の高所に据付けられた空気調和機の吸込空気温度は、使用者が位置する室内の床から顔の高さまでの居住空間の温度より高くなる。従って、この温度差を補正するため、設定温度に所定値(温度シフト値)を上乗せした上乗せ設定温度を目標温度にして、吸込空気温度が、上乗せ設定温度(目標温度)に近づくように空気調和機を制御する。所定値としては、空気調和機の構造や運転モード(暖房/冷房/除湿)により相違するが、−1〜5度程度である。
空気調和機は室内の温度(及び湿度)を制御することにより快適性を保持する。人の温熱感覚は温度,湿度,気流,輻射,着衣量及び活動量の影響を受ける。室内に居る人の行動が変わると、湿度,気流,輻射,着衣量等の条件が同じでも、その人の温熱感覚は変わる。従って、快適性を維持するためには、温度(及び湿度)等をその人の行動に応じて変える必要がある。
空気調和機が備える人検知機能から在室者の活動量の情報を得ることができる。この在室者の活動量の情報に応じて室温を変更することにより、在室者の快適性を維持することができる。家庭用の空気調和機では、在室者の動きを検知する人検知機能として、焦電型の赤外線センサが採用されている。
焦電型の赤外線センサとは、誘電率の大きな結晶体や樹脂が温度変化によって電荷を生じる焦電効果を利用したセンサであり、人から発する赤外線を非接触で検知することができる。焦電型赤外線センサの前にフレネルレンズを設置し、赤外線を断続的にセンサに入力することで、人の動きを検出することができる。従って、焦電型赤外線センサのみで人検知を行った場合は、在室者に動きが生じるとセンサの出力が変化して、在室者が動いたことを検知する。一方、在室者に動きが無い場合は、センサの出力が変化しないため、在室者に動きが無いことを検知する。
しかしながら、在室者の動きの有無だけでは、在室者がどの程度の活動量であるかを判別することはできない。そこで、在室者の活動量を判別するために、焦電型赤外線センサを複数個設け、在室者の動きが大きい場合は、複数の焦電型赤外線センサが反応し、在室者の動きが小さい場合は、一つのセンサのみが反応することで、在室者の活動量の大,小を判別する方法がある。
しかしながら、このような方法では、焦電型赤外線センサが複数個必要であり、コストアップの要因となる。また、センサが複数個あっても、在室者の動きがセンサの検知可能な動きよりも小さい場合や、同じ様な動作の場合は、活動量の判別ができないという問題がある。つまり、焦電型赤外線センサのみで人検知を行った場合は、活動量の判別に限界があることがわかる。
本実施例の空気調和機では、近年採用されている焦電型の赤外線センサを用いて在室者の動きを検知すると共に、室内等で発生している音を音センサで検知する。在室者が動くと、一般にはその動きに伴った音が発生する。これを、空気調和機が据付けられた室内の種々の情景を予測しておくことで、赤外線センサの検出結果と音センサの検出結果から、在室者の活動量をより正確に把握することが可能となる。
空気調和機を運転している室内で発生する音には種々のものがある。具体的には、空気調和機自身の音,在室者同士が会話している音,在室者がデスクワークや裁縫,軽い片付け等に伴う音,掃除機,調理器,理美容器等の機器操作により発生する音,テレビジョン,ラジオ,オーディオ機器等の音声,音楽,効果音等、また、時計,鑑賞魚水槽のポンプの音等無人の場合でも発生する音等がある。
これらの音は、在室者の活動に伴う音と在室者の活動に関係の無い音に分けることができる。在室者の活動に関係の無い音には、空気調和機自身の音,テレビジョン,ラジオ,オーディオ機器の音声,音楽,効果音,時計,鑑賞魚水槽のポンプの音等がある。在室者の活動に伴う音には、会話,デスクワーク,裁縫,軽い片付け,掃除機,調理器,理美容器等の音がある。
在室者の活動に関係の無い音のうち、時計,鑑賞魚水槽のポンプの音等、無人の場合でも発生する音は、空気調和機を据付けた部屋の環境音ともいうべき音である。このような部屋の環境音に空気調和機自身の運転音を加えた音は、他の音と区別する必要がある。
在室者の活動に関係の無い音のうち、テレビジョン,ラジオ,オーディオ機器の音声,音楽,効果音も、空気調和機自身の音とは別の在室者の活動に関係の無い音として他の音と区別する必要がある。
また、在室者の活動に伴う音のうち掃除機を使うとき等の重家事用機器群を使う場合は、在室者が活発に動いている。従って、適正な空気調和をする必要から、このような音は他の音と区別する必要がある。
一方、在室者の活動に伴う音のうち会話の音は、音センサを使用して在室者の活動量をきめ細かく区分する要となるものである。つまり、会話の声が小さければ静かに休養している状態と判断でき、会話の声が大きく途切れなく続く場合は、在室者の活動量も増えるという傾向を活用できるので、他の音と区別して把握する必要がある。
在室者の活動に伴う音のうち調理機器,理美容機器,デスクワーク用機器等の軽家事用機器群を使う場合は、在室者は軽く動きながら軽家事用機器群を使用する。従って、重家事用機器群を使う場合や、静かな声で会話しながら休養している時とは区別する必要がある。
以上から、判別すべき音源の種類は空気調和機自身,テレビジョン等の放送受信機器群,掃除機等の重家事用機器群,調理機器等の軽家事用機器群、及び在室者の会話となる。これらに判別できない音源は中間的な動きと音を有しているので軽家事用機器群に区分する。
これらの音源の種類と図4に記載の活動量METの値との関係は以下の通りである。つまり、テレビ・音楽鑑賞…1.0MET,屋内の掃除…3.0METs,調理…2.0METs,会話・電話…1.0〜1.8METs(会話・電話について図4に記載はないが、他の資料を参照した。)。空気調和機自身は在室者の活動量に変化を与えないので、音源の種類による在室者の活動量の大小は、「重家事用機器群≧軽家事用機器群≧会話≧放送受信機器群≧空気調和機自身」の順になる。
次に、音センサと焦電型赤外線センサとにより在室者の活動量を判定する方法について説明する。まず、本実施例においては、在室者の行動とその時の室内の音を次の2パターンに分ける。
1:在室者が活動していて、活動に伴う音が発生している場合は、体内発熱の変化が大きくなる。以下、この活動に伴う音を発する音源の種類を「温感変動大音源」という。
2:在室者の活動はあるが、活動に伴う音がほとんど発生していない場合は、体内発熱の変化が小さい。以下、この活動に伴わない音を発する音源の種類を「温感変動小音源」という。
室内の音が温感変動小音源によるものである場合は、焦電型の赤外線センサの検出結果を複数の段階に区分し、段階に応じて在室者の活動量を判定して空気調和機を制御する。また、室内の音が温感変動大音源によるものである場合は、音の量が大きければ、活動が活発になっていると判断し、温感変動小音源の場合に赤外線センサの検出結果から判定した在室者の活動量よりも大きい活動量であると判定して、空気調和機を制御する。このように、音センサの検出結果に基づいて、室内の音源を温感変動小音源の集団と温感変動大音源の集団に分けることで、在室者の活動量をより多くの区分に細分化できる。従って、よりきめ細かな制御で、快適性に考慮しながら空気調和機を節電することができる。
温感変動小音源としては、上述のように、空気調和機自身やテレビジョン,ラジオ等の放送受信機器群の集団が挙げられる。在室者の動きを伴う温感変動大音源としては、在室者自身が相互に交わす会話の他、家事を支援する掃除機,健康促進機器やジューサー,ミキサーなどの調理器具、ドライヤー,シェーバー等の理容機器等の集団が挙げられる。この場合、空気調和機自身や会話は単独の音源であるが、説明の便宜上、空気調和機自身や会話も群と表現する。
これらの温感変動大音源の集団は総じて内部に電動機を備え、使用者の力,速さ等を支援する。これらの中でも、使用者の力を必要とする掃除機,健康促進機器等の重家事用機器群は、使用者自体も大きな活動を強いられ、持続時間も比較的長い。重家事用機器群以外の使用者に大きな活動を強いない機器群と前述した音源の群以外のものを便宜上、軽家事用機器群と言うこととする。
このように、空気調和機自身と放送受信機器群を温感変動小音源の集団とし、会話,重家事用機器群や軽家事用機器群を温感変動大音源の集団とすることで、音センサの検出結果に基づいて、室内の音源の群を判定し、判定した音源の群に応じて、音源を温感変動小音源の集団と温感変動大音源の集団に分けることができる。これにより、在室者の活動量をより多くの区分に細分化し、よりきめ細かな制御で、快適性に考慮しながら空気調和機を節電することができる。
このことから、音を周波数によって複数の周波数帯に区分して、各周波数帯で音の大きさ,連続性,不規則性,規則性,断続の間隔等を適切な指標で評価することで、比較的安価に、簡単な方法で音源の種類を推定できることがわかる。
在室者の活動に伴う音の例として、掃除機の音と人の声を周波数分析した結果を図6(b)及び図7(a)に示す。掃除機の音は、低い周波数の音から高い周波数の音まで満遍なく含むことがわかる。また、人の声は、高い周波数の音が小さく、1kHz付近の低い周波数の音が他の部分より大きいことがわかる。この他、掃除機の音は連続的であり、人の会話は不規則かつ断続的であることがわかる。
在室者の活動に関係の無い音の例として、空気調和機自身の音とテレビジョンの声を周波数分析した結果を図6(a)及び図7(b)に示す。空気調和機自身の音は低い周波数の音も高い周波数の音も総じて小さいことがわかる。また、テレビジョンの音は、低い周波数の他に高い周波数の音も含み、人の声の場合に比べて、4kHz以上の高い周波数の音が特に大きいことがわかる。
以下に、各音源群の特徴を考慮した各音源群の判別方法について述べる。まず、在室者の活動に伴う音が発生しない場合、無人の室内でも発生する柱時計の音,観賞魚水槽の循環ポンプの音,空気調和機自身の音等のみが検知され、室内の音の大きさは最小となる。この場合、低い周波数の音も、高い周波数の音も低いレベルで連続的かつ規則的に検出される。従って、室内の音を音センサで検出した結果が、所定のレベル未満でかつ規則的に連続する場合は、音源の群を空気調和機自身と判定する。
在室者が掃除機により清掃中等の場合、室内の音は会話の声もテレビジョンの音も聞こえず掃除機だけの音が聞こえる。この場合、低い周波数の音も、高い周波数の音も、高いレベルで連続的かつ規則的であり、音のレベルの変化がほとんどない。従って、室内の音を音センサで検出した結果が、所定のレベル以上でかつほぼ同じレベルで規則的に連続する場合は、音源の群を重家事用機器群と判定する。
人の会話には不規則性があり、また、低い周波数の音が多く、更に、長い中断があるのが一般的である。従って、在室者がテレビジョンやラジオ等を視聴している場合や在室者同士で会話をしている場合、上述の空気調和機自身や重家事用機器群の音と区別することが可能となる。一方、音源がテレビジョンやラジオ等の放送受信機器群のものか、在室者同士の会話であるかの判別は困難である。しかしながら、テレビジョンやラジオ等からの音源の場合、現実の会話と違って、長い間沈黙が続くことはない。また、途中に入るコマーシャルや効果音等で現実の会話には登場しない高い周波数の音が入る。従って、これらの特徴を組み合わせることにより、放送受信機器群と会話とを判別することができる。
また、上述したように、以上の判別手順により空気調和機自身,重家事用機器群,放送受信機器群又は会話の何れにも判別されなかった音源は、軽家事用機器群と判別する。
本実施例における具体的な音源の判別手法は上述の考察を考慮して、次の通りとなる。
1.空気調和機に備えられた音センサにより、空気調和機の運転中に、室内の音を、低い周波数帯の音と高い周波数帯の音に分離して抽出する。
2.分離した音を、周波数帯毎に、所定のサンプリング周期で所定時間サンプリングする。低い周波数帯での音の検出回数の割合(BP)と高い周波数帯での音の検出回数の割合(HP)とを算出し、サンプリング結果とする。
3.上記サンプリングを複数回(m回、実施例では10回)行い、各回のサンプリング結果BP1〜BPm,HP1〜HPmを得る。
4.音のレベルは、BP1〜BPm,HP1〜HPmの大きさで判断する。
5.音の連続性は、全てのサンプリング結果が音源の群毎に定めた所定の閾値以上であるか否かで判断する。上記4の判定法に変えてこの判定法を用いてもよい。
6.音の規則性は、サンプリング結果の上限,下限とサンプリング結果の平均値との差が、音源の群毎に定めた判定幅以内であるか否かで判断する。
7.音の不規則性は、サンプリング結果が音源の群毎に定めた所定の判定閾値以上である回数が、音源の群毎に定めた所定の下限回数閾値以上、且つ、上限回数閾値以下で、更に、判定閾値以上である回の連続が途中で中断するか否かで判断する。
8.音の長い中断があるか否かは、サンプリング結果が音源の群毎に定めた所定の閾値BT,HT以上である回数が、音源の群毎に定めた所定の上限回数閾値BJ,HJ以下で且つ、閾値BT,HT以上である回の連続が途中で中断するか否かと、サンプリング結果の上限,下限とサンプリング結果の平均値との差が音源の群毎に定めた所定の判定幅閾値BX,HXを超えるか否かで判断する。
以上の手順を組み合わせて、音源の種類を判定する。例えば、1,2の手順で得たサンプリング結果を基に、3でBP1〜BPm,HP1〜HPmの大きさが全て空気調和機判定閾値BPa,HPa未満であれば、音源を空気調和機自身と判定し、BP1〜BPm,HP1〜HPmの値の大きさが全て重家事用機器判定閾値BPh,HPh以上であれば、音源の種類を重家事用機器群の候補とする。次に、4で音源の種類が重家事用機器群の候補となり、6でサンプリング結果の上限,下限とサンプリング結果の平均値との差が、重家事用機器群の判定幅BWc,HWc以内であれば、音源の種類を重家事用機器群と判定する。尚、図では重家事用機器群の代表として電気掃除機を例に挙げている。4,6で空気調和機自身でも重家事用機器群でもないと判定された場合は、次に、7でサンプリング結果が放送受信機器判定閾値BPt,HPt以上である回数が、放送受信機器群の下限回数閾値BLt,HLt以上で且つ上限回数閾値BHt,HHt以下で、更に、放送受信機器判定閾値BPt,HPt以上である回の連続が途中で中断している場合は、音源の種類を放送受信機器群と判定する。尚、図では放送受信機器群の代表としてテレビジョンを例に挙げている。7で放送受信機器でもないと判定された場合は、次に、同じ7の手順でサンプリング結果が会話判定閾値BPs,HPs以上である回数が、会話の下限回数閾値BLs,HLs以上で且つ上限回数閾値BHs,HHs以下で、更に、会話判定閾値BPs,HPs以上である回の連続が途中で中断している場合は、音源の種類を会話と判定する。以上で会話でもないと判定された場合は、音源の種類を軽家事用機器群と判定する。尚、図では軽家事用機器群をその他と記載している。
次に、上記の各音源を判別する方法について図8〜図11を用いて詳細に説明する。図8は音源判定ブロック図である。図9は一次判定前段説明図である。図10は一次判定要部説明図である。
音源の種類の判定は、一次判定と二次判定の2段階で行われる。室内の音信号は音センサ19のマイクロフォンで捉えられ、電気信号に変換され、増幅されて複数の周波数帯(実施例では2つの周波数帯)に分離される。電気信号に変換され増幅された信号は、周波数5kHz以下の低い周波数の音を通過させるバンドパスフィルター(又はローパスフィルタ)と4kHz以上の高い周波数の音を通過させるハイパスフィルター(又はバンドパスフィルター)で分離され、デジタル化されて制御部に内蔵されるマイコンに伝達される。
次に、上記の音検出結果を使用した一次判定のフローについて図11を用いて説明する。図11は一次判定の要部フロー図である。重家事用機器群を電気掃除機,放送受信機器群をテレビジョン,軽家事用機器群をその他とした。以下同様である。
ステップS10で一次判定を開始し、ステップS12で電気信号に変換され、デジタル化された音信号をマイコン内に取り込む。ステップS13で、マイコンは、このデジタル信号を、所定のサンプリング周期(実施例では500μs)で、所定のサンプリング区間(実施例では2秒間)、サンプリングする。ステップS15でサンプリング区間が終了する。その後、ステップS16で、サンプリングしたデータ中の音検出データの割合を周波数帯毎に演算し、低い周波数帯の音検出割合BPnと高い周波数帯の音検出割合HPnのサンプリング結果を得る。ステップS20でサンプリング期間が終了するまで、サンプリング結果を得ることを所定回数(実施例では10回)繰返し、低い周波数帯のサンプリング結果BP1〜BPmと高い周波数帯のサンプリング結果HP1〜HPm(mは所定の複数回中のサンプリング区間の数)を得る。
ステップS20で所定の複数回のサンプリング区間が終了すると、ステップS25で音源が空気調和機であるか否かを判定する。具体的にはサンプリング結果BP1〜BPm,HP1〜HPmと空気調和機判定閾値BPa,HPaを比較する。比較の結果、低い周波数帯のサンプリング結果BP1〜BPmが全て、低い周波数帯の空気調和機判定閾値BPa未満で、且つ、高い周波数帯のサンプリング結果HP1〜HPmが全て、高い周波数帯の空気調和機判定閾値HPa未満の場合は、ステップS26で音源の種類を空気調和機自身と一次判定する。ステップS46でこの判定結果が蓄積され、ステップS50で一次判定を終了する。
ステップS25で音源が空気調和機自身と判定されなかった場合は、ステップS30に進み、音源が重家事用機器であるか否かを判定する。具体的にはサンプリング結果BP1〜BPm,HP1〜HPmと重家事用機器判定閾値BPh,HPhとを比較する。比較の結果、低い周波数帯のサンプリング結果BP1〜BPmが全て、低い周波数帯の重家事用機器判定閾値BPh以上で、且つ、高い周波数帯のサンプリング結果HP1〜HPmが全て、高い周波数帯の重家事用機器判定閾値HPh以上の場合は、ステップS31に進み判定処理を続行する。
ステップS31では周波数帯毎にサンプリング結果BP1〜BPm,HP1〜HPmの平均値BPmean,HPmeanを求める。更に、周波数帯毎のサンプリング結果BP1〜BPm,HP1〜HPmの最大値BPmax,HPmaxと最小値BPmin,HPminを抽出する。抽出したBPmax,HPmaxが平均値BPm,HPmに重家事用機器判定幅BWh,HWhを加えた値以下で、抽出したBPmin,HPminが平均値BPm,HPmから重家事用機器判定幅BWh,HWhを減じた値以上である場合は、ステップS32で音源を重家事用機器群と一次判定する。ステップS46でこの判定結果が蓄積され、ステップS50で一次判定を終了する。
ステップS30又はステップS31で重家事用機器群と判定されなかった場合は、ステップS35に進み、音源が放送受信機器であるか否かを判定する。具体的にはサンプリング結果BP1〜BPm,HP1〜HPmと放送受信機器判定閾値BPt,HPtとを比較する。比較の結果、周波数帯毎に、サンプリング結果BP1〜BPm,HP1〜HPmが、放送受信機器判定閾値BPt,HPt以上の回数NBPt,NHPtが、放送受信機器の下限回数閾値BLt,HLt以上で、且つ、放送受信機器の上限回数閾値BHt,HHt以上の場合は、ステップS36に進み判定処理を続行する。ステップS36では周波数帯毎に、放送受信機器判定閾値BPt,HPt以上である回の連続が途中で中断しているか否かを判定し、この判定基準を満たす場合は、ステップS37で音源を放送受信機器群と一次判定する。ステップS46でこの判定結果が蓄積され、ステップS50で一次判定を終了する。
ステップS35又はステップS36で放送受信機器群と判定されなかった場合は、ステップS40に進み、会話判定を行う。具体的にはサンプリング結果BP1〜BPm,HP1〜HPmと会話判定閾値BPs,HPsを比較する。比較の結果、周波数帯毎に、サンプリング結果BP1〜BPm,HP1〜HPmが、会話判定閾値BPs,HPs以上で有る回数NBPs,NHPsが、会話の下限回数閾値BLs,HLs以上で、且つ、会話の上限回数閾値BHs,HHs以上の場合は、ステップS41に進み判定処理を続行する。ステップS41では周波数帯毎に、会話判定閾値BPs,HPs以上である回の連続が途中で中断しているか否かを判定する。ステップS46でこの判定結果が蓄積され、ステップS50で一次判定を終了する。
ステップS40又はステップS41で会話と判定されなかった場合はステップS45に進み、音源を軽家事用機器群と一次判定する。ステップS46でこの判定結果が蓄積され、ステップS50で一次判定を終了する。尚、会話の声が大きく、また、話し声が途切れなく続くと、ステップS40又はステップS41で会話と判定されなくなるが、このような場合、会話をしている人の活動量も増え、調理機器,理美容機器,デスクワーク用機器等の軽家事用機器群を使う場合と同程度の活動量になるので、音源を軽家事用機器群の使用とすることができる。
次に、音源の二次判定フローについて図12,図13を用いて説明する。図12は二次判定説明図である。図13は二次判定の要部フロー図である。一次判定(ステップS10〜S50)を複数回(実施例では3回)繰返し、その後の二次判定により音源を確定する。図13は、一次判定処理の抜粋と二次判定処理を含めた音源判定の手順を示す。
ステップS1で音源の判定を開始する。ステップS10〜S50で一次判定を行い、ステップS55で最終の一次判定が終了したか否かを判断する。最終の一次判定が終了していない場合は、ステップS10に戻って一次判定を繰り返す。最終の一次判定が終了している場合は、ステップS56に進んで二次判定を開始する。
まず、ステップS57で、二次判定では複数回の一次判定の結果から、出現頻度が最大の音源を抽出する。次に、ステップS60で出現頻度が最大の音源が複数あるか否かを判断する。出現頻度が最大の音源が複数ない場合、ステップS61に進んで、出現頻度が最大の音源を室内の音源と二次判定する。その後、ステップS70で二次判定を終了し、ステップS80で音源判定を終了する。
出現頻度が最大の音源が複数ある場合は、ステップS62に進んで、予め定めてある音源選択の優先度に基づいて、出現頻度が最大の音源の中から最も優先度の高い音源を室内の音源と二次判定する。その後、ステップS70で二次判定を終了し、ステップS80で音源判定を終了する。この場合、音源選択の優先度は空気調和機自身,重家事用機器群,放送受信機器群,会話,軽家事用機器群の順に定める。このように優先度を定めることにより、発明者の検討結果から、音源群選択の精度が向上することがわかった。特に、放送受信機器群を会話より優先させることで、大半の音源選択が適正になされ音源群選択の精度がより向上することが明らかになった。
なお、本実施例においては、一次判定の結果から出現頻度が最大の音源を室内音源として二次判定した。しかしながら、一次判定の結果に適切な重み付け(例えば、時系列的に近い順に重み付けする等)をして積算し、積算結果が最大となる音源群を室内音源として二次判定してもよい。
サンプリング結果から音源を判定するための判定閾値について図14,図15を用いて説明する。図14は周囲音による補正説明図である。図15(A)は周囲音による補正説明図、図15(b)は判定閾値の補正例である。
在室者が静かにしているときでも、室内には、時計,鑑賞魚水槽のポンプの音等様々な音が発生する。従って、音センサからの信号に基づいて空気調和機を制御する場合は、在室者が静かにしているとき音と空気調和機自身の音を合わせた音の影響を考慮する必要がある。このため、本実施例の空気調和機では、運転開始時に、在室者が静かにしているとき音を前述の方法で判定する。
サンプリング結果の平均を“初期値”とし、空気調和機自身に定めてある“基準値”(同様な環境で運転したときのサンプリング結果の平均値に略一致する)と比較する。「基準値<初期値」の場合で、音源の判定結果が空気調和機自身の場合は、室内を静かにしていても空気調和機自身の音以外の室内の環境音が判定結果に影響していると考え、各音源の判定閾値を補正する。音源の判定結果が空気調和機自身以外の音源群の場合は、空気調和機自身や環境音とはいえない有意な音が発生していると判断し、各音源の判定閾値は補正しない。初期値と基準値を比較した結果が「基準値≧初期値」の場合は、現在の判定閾値で各音源を識別して判定できるので、各音源の判定閾値は補正しない。
次に、図14を用いて音源判定閾値の補正について説明する。ステップS100で空気調和機の運転を開始する。ステップS101で、空気調和機を据付けて最初の運転と判断した場合は、静粛な状態で運転又は停止して音センサで基準環境音を測定する基準環境音測定期間(実施例では静粛な状態で運転又は停止して1分間)に測定し、空気調和機の記憶装置に時間帯毎に記憶されている当初値を基準値に代入する。
ステップS105で、音源判定閾値の補正を開始する。ステップS106で、基準環境音測定期間に音センサで基準環境音を測定して初期値とする。ステップS107で現在の時間帯の基準値を読み出し、ステップS108で基準値と初期値とを比較する。初期値が基準値以下の場合(基準値≧初期値)は、ステップS111で現時間帯の基準値に当初値を代入し、判定閾値を補正しないで、ステップS120で音源判定閾値補正を終了する。
ステップS108で初期値が基準値を超えた場合(基準値<初期値)は、ステップS115に進んで、基準環境音測定期間に音センサで測定して得たサンプリング結果から、音源の種類が空気調和機自身であるか判定する。音源の種類が空気調和機自身以外であると判定された場合は、図15(a)のように、判定閾値を補正しないで、ステップS120で音源判定閾値補正を終了する。ステップS115で音源の種類が空気調和機自身であると判定した場合は、ステップS116に進み、図15(a)のように、判定閾値を補正する。ステップS117に進んで、図15(b)のように、現時間帯の基準値に初期値を代入し、ステップS120で音源判定閾値補正を終了する。
次に、焦電型赤外線センサの働きについて、図16を用いて説明する。図16は反応検出区分判定説明図である。
焦電型赤外線センサはフレネルレンズとともに用いられ、室内からの赤外線量の変化を捕らえる。室内で活発な動きがあるときは焦電型赤外線センサの反応量は大きく、静かな動きのときには反応量は小さい。焦電型赤外線センサからの信号は、人の動きを抽出するバンドパスフィルターを通して増幅され、デジタル化されて制御部に内蔵されるマイコンに伝達される。
マイコンはこのデジタル信号を所定のサンプリング周期(実施例では10ms)でサンプリング区間(実施例では60秒間)の間、サンプリングする。サンプリングしたデータ中の反応検出データの割合を演算し、反応検出割合Pxを得る。この反応検出割合Pxが室内での動きの量が小さいかどうかを判別する静判定閾値Pb未満の場合は、反応の検出区分を反応小に区分する。反応検出割合Pxが室内の動きの量が大きいかどうかを判別する動判定閾値Pv以上の場合は、反応の検出区分を反応大に区分する。反応検出割合Pxが静判定閾値Pb以上で、動判定閾値Pv未満の場合は、反応の検出区分を反応中に区分する。
次に、焦電型赤外線センサと音センサとの組み合わせで、活動量を細分化して判定する方法について図17,図18を用いて説明する。図17は組み合わせ活動量判定図である。図18は活動量判定説明図である。
活動量判定部は、同じ時刻に得られた上述の反応の検出区分と音源判定の結果を組み合わせて、図17のように在室者の活動量を細分化する。このように、反応の検出区分が同じでも、音源が在室者の活動に伴う温感変動大音源集団の場合は、音源が在室者の活動に関係のない温感変動小音源集団の場合よりも活動量を大きく判定する。これにより、活動量の区分は従来の3段階から5〜6段階になるので、従来よりもきめ細かい制御とすることができる。
図17の例では、焦電型赤外線センサによる反応の検出区分が反応大で、音源の種類が重家事用機器群,会話及び軽家事用機器群からなる温感変動大音源集団の場合、活動量を最大とする。また、焦電型赤外線センサによる反応の検出区分が反応静で、音源が空気調和機自身及び放送受信機器群からなる温感変動小音源集団の場合、活動量を最小とする。マトリックスの他の部分は、マトリックス中の同じ反応検出区分での活動量の大小が「温感変動小音源集団≦温感変動大音源集団」であって、同じ音源集団での活動量の大小が「反応静<反応中<反応大」の関係となるように活動量を定める。このように、活動量を細分化して、在室者の活動量を推定し、きめ細かく、空気調和機を制御することで、快適性に配慮しながら、空気調和機を省エネ運転することができる。
このような活動量の判定を、図18に示すように、複数回繰り返す。この複数回の判定結果に対して、時系列的に近い回ほど大きく重み付けして積算する。積算結果に基づいて、最大となる活動量の区分を在室者の活動量と判定する。
図17では、活動量の細分化を2段階にして、簡略に判定する方法を採用した。しかしながら、例えば、温感変動大音源集団中を更に細分化し、同じ反応検出区分での活動量の大小を「温感変動小音源集団≦会話≦軽家事用機器群≦重家事用機器群」と順序付け、より多くの活動量の区分に分けてもよい。各種センサから在室者の温熱感覚をどの程度正確に推定できるかによって、細分化の程度を決定する。
上述のように、細分化された活動量の情報に基づいて空気調和機を制御する。つまり、冷房時に在室者の活動量が小さい場合、在室者が静かにしていて、代謝が不活発な状態なので、体内発熱が少なくなり、在室者の温熱感覚も寒い側に変化する。この場合、室温を若干上げても、快適性は許容範囲内に留まるので、室温を若干上げた分、省エネ運転になる。一方、暖房時に在室者の活動量が大きい場合、在室者が活発に動いていて、代謝が活発な状態なので、体内発熱が多くなり、在室者の温熱感覚も暑い側に変化する。この場合、室温を若干下げても、快適性は許容範囲内に留まるので、室温を若干下げた分、省エネ運転になる。
次に、吸込空気温度の調整について図19を用いて説明する。図19は温度シフト値の例である。
空気調和機の使用者の周囲をスポット的に空調し省エネをはかるため、使用者の近くに置かれているリモコンの位置で温度を検知し、その周囲の使用者の居る空間を中心に空調することができる。このとき、空気調和機の吸込空気温度と設定温度に基づいて、空気調和機の暖房能力及び冷房能力が制御される。しかし、室内の高所に据付けられた空気調和機の吸込空気温度は、使用者が居る室内の床から顔の高さまでの居住空間の温度より高くなる。この温度差を補正するため、吸込空気温度が設定温度に所定の値(温度シフト値)を上乗せした上乗せ設定温度に近づくように空気調和機を制御する。所定の値としては空気調和機の構造や、暖房,冷房等の運転モードにより相違するが、−1〜5度程度である。
しかしながら、一般的に、居住空間であっても、部屋の中央と窓際では温度が異なる。従って、上述のように、上乗せ設定温度に吸込空気温度を近づけるように空気調和機を制御しても、使用者の周囲が快適にならない場合がある。このような場合は、使用者がリモコンを用いて設定温度を上下させることにより、快適な状態(温度)を模索し、選定する必要がある。
室内が快適な状態から不快な状態に変化すると、使用者は、許容できる快適の範囲を外れたと認識し、空気調和機の設定を設定しなおす。しかし、その都度、空気調和機の設定を変えなければならず、煩雑である。また、その際、空気調和機の設定を必要以上に変更する(冷房時の設定温度を低くしすぎる/暖房時の設定温度を高くしすぎる)と、消費電力が増加し、省エネ運転にならない。他方、不快な状態から快適な状態に変化しても、快適な範囲に入った時点で、快適な範囲であると認識することは困難であり、結局、室内が快適な状態から不快な状態に変化してしまう場合がある。
本発明では、焦電型赤外線センサと音センサの検出結果から在室者の活動量を従来以上に細分化し、細分化した活動量に応じて、在室者の快適性に配慮しながら、上記の温度シフト値をきめ細かに修正する。これにより、在室者がその都度設定を変える手間も省いて、さらに、空気調和機の省エネ運転を可能にする。
次に、輻射センサの働きについて図20を用いて説明する。図20(a)は輻射量判定説明図、図20(b)は輻射量判定ブロック図である。輻射センサとしてサーモパイルを使用し、室内の床,壁等からの赤外線量を計測し、輻射温度を得る。室内の壁,床等が日光で暖められたり、他の暖冷房機等により温度が室温と乖離すると、在室者の温熱感覚が変わるので、室温を変化させて、省エネ運転を行う。
輻射センサからの信号を適宜に増幅、バンドパスフィルターを通し、デジタル化してマイコンに伝達する。マイコンはこのデジタル信号を所定のサンプリング周期でサンプリング区間の間、サンプリングし、室温センサからの信号と組み合わせて、輻射温度と室温との温度差を演算する。このサンプリング及び演算を複数回行い、複数回の平均値を演算して輻射温度差とする。
冷房時に、輻射温度差が負となった場合は、壁や床の温度が室温より低く、在室者の温熱感覚が寒い側に変わる。従って、その分、室温を若干上げても快適性を維持でき、また、室温を若干上げた分、省エネ運転になる。暖房時に、輻射温度差が正となった場合は、壁や床の温度が室温より高く、在室者の温熱感覚が暑い側に変わる。従って、その分、室温を若干下げても快適性を維持でき、室温を若干下げた分、省エネ運転になる。
一方、人の温熱感覚には、気流も大きな影響を及ぼす。同じ温度でも、気流が強い場合は弱い場合よりも温熱感覚が増大され、気流を涼しく感じるときはより涼しく感じ、気流を暖かく感じるときにはより暖かく感じる。
本実施例の空気調和機は、リモコンの位置を検出する機能を備え、空気調和機とリモコンとの距離を認識することができる。この機能を利用して、使用者の居るリモコン近くの気流の状態を推定する。リモコンの位置が空気調和機から遠い場合は、空気調和機からの気流は弱く、リモコンの近くに居る使用者も空気調和機からは弱い気流を感じる。反対に、リモコンの位置が空気調和機から近い場合は、空気調和機からの気流は強く、リモコンの近くに居る使用者も空気調和機からは強い気流を感じ、空気調和機からの冷温風を強く感じる。つまり、冷房の場合は室温を若干上げても快適性は許容範囲内に留まり、また、暖房の場合は室温を若干下げても快適性の許容範囲内に留まるので、冷房,暖房ともに、空気調和機は省エネ運転になる。
本実施例の空気調和機のリモコン位置の検出機能を活用して、リモコンが位置する方向に向けて空調された空気を送る機能と、リモコンが位置する方向以外の方向に風を向ける機能を更に備える。これにより、外の非空調空間から部屋に入室した当初、集中的に冷風・温風にあたりたいというニーズに応えることができる。また、直接風に当たるのは回避したいが、リモコンが位置する領域の周囲の緩やかな風で、穏やかな空調を望む人々のニーズにも応えることができる。
また、本実施例の空気調和機は、リモコンに温度センサを設け、リモコン周囲の温度を検出し、リモコン周囲温度が設定温度になるように制御される。この場合、冷暖房負荷が小さい条件で運転したときには、リモコン周囲温度が設定温度を通り過ぎて冷え過ぎ、又は暖め過ぎの状態になる場合がある。これは、空気調和機の据付け位置や家具等の配置,風向の設定、あるいは、局部的な冷たい又は暖かい隙間風や熱負荷等で、空気調和がバランスよく行われなくなったときに生じる。このようなときにも、冷房時に、リモコン周囲温度が設定温度より低すぎるときには、室温を若干上げても快適性は許容範囲に留まるので、室温を若干上げて空気調和機を省エネ運転にする。また、暖房時に、リモコン周囲温度が設定温度より高すぎる時には、室温を若干下げても快適性は許容範囲に留まるので、室温を若干下げて空気調和機を省エネ運転にする。
なお、在室者の活動量が大きい場合は、在室者が室内を動き回っていて、リモコンの近くに居ない可能性が高い。一般に、活動量は体内発熱に直接関係するので、温熱感覚への影響が大きい。しかし、気流は、体内で発熱した熱量の発散に影響するだけであり、空気調和のような1m/s程度の風速では、温熱感覚への影響は、活動量の影響に比べて小さい。また、室温も体内で発熱した熱量の発散に影響するだけであり、空気調和のように数度以内の室温の変化では、温熱感覚への影響は、活動量の影響に比べて小さい。このため、活動量が所定の区分以上(実施例では、活動量「大」以上)である場合は、リモコン位置やリモコン周囲温度と設定温度との温度差に応じて、目標室温を変えるように制御することはあまり意味がない。
本実施例の空気調和機は、在室者の動き量を検出する赤外線センサと、室内の音を検出する音センサと、室内の設定温度を設定する設定部と、運転を制御する制御部とを備え、赤外線センサの検出結果及び音センサの検出結果に応じて、在室者の活動量を判定する活動量判定部を有し、活動量判定部で判定された在室者の活動判定量を基に、設定温度に基づいて定められた目標値を変更する。これにより、音センサの検出結果を基に音源の種類を判定し、判定した音源の種類と在室者の動きの量を組み合わせて在室者の活動量を判定することで、在室者の活動量を精度よく判定できる。従って、在室者の活動量に応じてより適正に空気調和機を制御できるので、在室者の快適性を考慮しつつ、空気調和機をより省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、在室者の動き量を検出する赤外線センサと、室内の音を検出する音センサと、室内の設定温度を設定する設定部と、運転を制御する制御部とを備え、赤外線センサの検出結果、及び音センサの検出結果に基づいて判定された音源の種類に応じて、在室者の活動量を判定する活動量判定部を有し、活動量判定部で判定された在室者の活動判定量を基に、設定温度に基づいて定められた目標値を変更する。これにより、音源の種類を温感変動大音源か温感変動小音源かに判定することができ、判定された音源の種類と在室者の動きの大小に応じて、在室者の活動量を精度よく判定できる。従って、在室者の活動量に応じてより適正に空気調和機を制御できるので、在室者の快適性を考慮しつつ、空気調和機をより省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、圧縮機と室内送風機と空気調和機の吸込空気温度を検出する吸込温度検出部とを有し、暖房時、活動判定量が大きいほど目標温度をより低い温度に変更し、冷房時、活動判定量が小さいほど、目標温度をより高い温度に変更し、吸込空気温度が目標温度となるように、少なくとも圧縮機の回転数又は送風機の回転数を制御する。音センサの検出結果と赤外線センサの検出結果を基に、活動量を多段階に判別し、在室者の活動量が大きい場合は活動シフト値を小さくし、在室者の活動量が小さい場合は活動シフト値を大きくする。これを温度シフト値として設定温度に上乗せし、吸込空気温度が上乗せ設定温度である目標温度になるように、圧縮機回転数,送風機回転数を変化させ、圧縮機能力,吹出温度,吹出風量等を調整する。これにより、暖房時は活動量が大きいほど吸込空気温度が設定温度より低めに調整され、冷房時は活動量が小さいほど吸込空気温度が設定温度より高めに調整される。従って、在室者の活動量に応じてより適正に空気調和機を制御できるので、在室者の快適性を考慮しつつ、空気調和機をより省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、在室者の動き量を検出する赤外線センサと、室内の音を検出する音センサと、室内の設定温度を設定する設定部と、運転を制御する制御部とを備え、赤外線センサの検出結果に基づいて区分された赤外線センサの反応区分、及び音センサの検出結果に基づいて判定された音源の種類に応じて、在室者の活動量を判定する活動量判定部を有し、活動量判定部で判定された在室者の活動判定量を基に、設定温度に基づいて定められた目標値を変更する。室内から焦電型赤外線センサに到達する赤外線を、所定のサンプリング周期で所定時間サンプリングし、赤外線の検出回数の割合(Px)を算出し、サンプリング結果とする。このサンプリング結果が静判定閾値未満の場合、反応の検出量の区分(反応の検出区分)を「反応静」と区分する。サンプリング結果が静判定閾値以上の場合は、サンプリング結果を強判定閾値と比較する。サンプリング結果が強判定閾値以上の場合は、反応の検出区分を「反応強」と区分する。サンプリング結果が強判定閾値未満の場合は、反応の検出区分を「反応中」と区分する。更に、音源の種類を温感変動大音源か温感変動小音源かに判定する。判定した音源の種類と在室者の反応検出区分を組み合わせて在室者の活動量を他段階に判別する。これにより、在室者の活動量に応じてより適正に空気調和機を制御できるので、在室者の快適性を考慮しつつ、空気調和機をより省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、圧縮機と、室内送風機と、空気調和機本体と双方向に通信可能なリモコンと、を有し、圧縮機を運転することなしに、リモコンの位置が空気調和機から近いほど、且つ、在室者の活動判定量が小さいほど、室内送風機の回転数を小さくして、このリモコンに向けて送風運転する。冷房するほどではないが、少し風にあたりたいときなどに、例えば、リモコンの特定ボタンを押すだけで、空気調和機がリモコン位置を検知し、リモコン位置に向けて、空気調和機から遠いほど強い風を送り、且つ、使用者の活動量が大きいほど強い風を送る。このように制御することで、送風だけの省エネ運転で、使用者の活動に応じた適度の涼感を提供することができる。
また、本実施例の空気調和機は、活動量判定部における在室者の活動量の判定を複数回繰り返し、各回で判定した在室者の活動量に対して時系列的に近い回ほど大きく重み付けし、重み付けされた各回の判定結果を積算した積算値に基づいて、在室者の活動量を二次判定する。これにより、活動量判定部における在室者の活動量の判定を複数回繰り返すので、室内の長期的な変化を反映でき、短期的な変化に基づく誤動作を回避できる。また、一次判定区間毎に一次判定して室内の状況を把握するので、室内の情報を平準化して、情報の偏りがなく正確に捉えることができる。また、一次判定区間内でのデータは一次判定にしか使われず、一次判定では唯一の結果を選択する。従って、一次判定区間内で複数の一次判定候補のデータが拮抗していて、一次判定の結果が変わる場合にも、複数の一次判定の結果を基にした二次判定は、優勢な一次判定候補に安定して維持される。このように、判定の精度を向上させつつ、且つ、判定期間をより長くするので(短時間で繰り返し判定結果が変更されることがないので)、室内の快適性が損なわれることがない。また、現在から一番近い一次判定結果が最も重視されるので、一時的に新しい活動をしたが、直ぐに別の活動をした場合は、重み付けされた現在の活動での一次判定結果が積算されて二次判定となる。このように、活動量変化の傾向を確実に捉え、適切に在室者の活動量を把握し、きめ細かな制御で快適性に配慮しながら省エネ運転をすることができる。
また、本実施例の空気調和機は、活動量判定部は音源の種類を温感変動大音源の集団と温感変動小音源の集団に分け、音源の種類が温感変動大音源の集団に属する場合の活動判定量を、赤外線センサの反応区分が同一の区分であって音源の種類が温感変動小音源の集団に属する場合の活動判定量以上とする。在室者の活動が活発になると活動に伴う音が増加することを考慮し、赤外線センサの検出結果に基づいて区分された在室者の動き量が同一の区分であっても、温感変動大音源の場合は、在室者の活動が活発になって温熱感覚が暑い方に移るので、活動判定量を大きめにして、空調温度をより低めにする。これにより、快適性に配慮しつつ、きめ細かな運転で省エネすることができる。
また、本実施例の空気調和機は、温感変動小音源の集団に空気調和機自身及び放送受信機器群を含み、温感変動大音源の集団に重家事用機器群及び会話を含む。つまり、在室者の活動を伴わない空気調和機自身及び放送受信機器群の場合は、音源の種類を温感変動小音源に区分する。在室者の大きな活動を伴う掃除機,健康促進機器等の重家事用機器群、在室者の大きな活動は伴わないジューサー,ミキサーなどの調理器具、ドライヤー,シェーバー等の理容機器などの軽家事用機器群や在室者同士の会話の場合は、音源の種類を温感変動大音源に区分する。このように区分することで、在室者の活動量を適切に判定して、きめ細かな制御で快適性に配慮しながら、省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、放送受信機器群にテレビジョン,ラジオを含み、重家事用機器群に電気掃除機を含む。
在室者が静かにテレビジョンやラジオを聴いているときは、室内の音は在室者の活動を伴わない。従って、テレビジョンやラジオの音に応じて空気調和機を制御する必要はない。このため、テレビジョンやラジオの音は温感変動小音源集団の放送受信機器群に区分する。また、在室者が掃除機を使用しているときは、在室者は大きな活動をしているので、空気調和機を適切に制御する必要がある。このため、掃除機を温感変動大音源集団の重家事用機器群に区分する。このように区分することで、在室者の活動量を適切に判定して、きめ細かな制御で快適性に配慮しながら、省エネ運転することができる。
また、実施例の空気調和機は、活動量判定部は、音センサの検出結果を複数の周波数帯に分離し、周波数帯毎の検出回数及び周波数帯の組み合わせに基づいて、音源を判定する。これにより、音源の種類を確実に判定でき、在室者の動き量を検出する赤外線センサの検出結果と組み合わせて、在室者の活動量の判定精度をさらに向上させることができる。従って、在室者の活動量に合わせて、空気調和機をよりきめ細かく制御することができる。
また、本実施例の空気調和機は、複数の周波数帯として1〜4kHzの周波数帯及び5〜12kHzの周波数帯を含む。低い周波数(1〜4kHz)の音が多く含まれる人の声と、高い周波数(5〜12kHz)の音が多く含まれる掃除機等の機械音とを区別することができ、音源の種類を確実に判定することが可能となる。これにより、音源の種類を確実に判定でき、在室者の動き量を検出する赤外線センサの検出結果と組み合わせて、在室者の活動量の判定精度をさらに向上させることができる。従って、在室者の活動量に合わせて、空気調和機をよりきめ細かく制御することができる。
また、本実施例の空気調和機は、活動量判定部は、音センサの検出結果を複数の周波数帯に分離し、所定のサンプリング周期で所定時間サンプリングし、サンプリング結果として音の検出回数の割合を周波数帯毎に求めることを複数回行い、これらの複数回のサンプリング結果に基づいて音源の種類を判定する。これにより、低い周波数の音が多く含まれる人の声と、高い周波数の音が多く含まれる掃除機等の機械音とを区別することができ、音源の種類を確実に判定することが可能となる。また、サンプリングを複数回実施するので、室内の音源の種類の長期的な変化を反映でき、短期的な変化に基づく誤動作が減少する。また、判定までの時間を複数のサンプリング区間に分け、サンプリング区間毎にサンプリング結果を得て室内の状況を把握するので、室内の情報を平準化して把握できるので、情報の偏りをなくして、情報を正確に把握することができる。また、サンプリング区間内でのデータはその区間のサンプリング結果にしか使われず、1つのサンプリング区間では唯一のサンプリング結果を算出するので、判定までの複数のサンプリング結果の大きさ,バラツキや集中の度合いが音源の種類の特徴を表すようになり、音源の種類の判定に有益な情報を提供する。このように、音源の種類の変化の傾向を確実に把握して、在室者の動き量を検出する赤外線センサの検出結果と組み合わせて、在室者の活動量を適切に判定し、在室者の活動量に合わせて、空気調和機をよりきめ細かく制御し、快適性に配慮しながら、省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、全ての周波数帯で、全てのサンプリング結果が周波数帯毎に定めた空気調和機判定閾値未満の場合は、音源の種類を空気調和機自身と判定する。これにより、予め、空気調和機自身だけを運転した時のサンプリング結果より、少し大きい値を空気調和機判定閾値として用いることで、室内で発生している音が、空気調和機自身が発生している音以外に、少しばかりの環境音(時計や鑑賞魚水槽のポンプの音等)であることがわかり、音源を空気調和機自身と判定することができる。これにより、音源を正確に把握して、赤外線センサの検出結果と組み合わせて、在室者の活動量を適切に判定できる。従って、在室者の活動量に合わせて、空気調和機をよりきめ細かく制御し、快適性に配慮しながら、省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、周波数帯毎に、全てのサンプリング結果が重家事用機器判定閾値以上で、サンプリング結果の平均値と各サンプリング結果との差が重家事用機器判定幅以内の場合は、音源の種類を重家事用機器群と判定する。これにより、使用者の力や速さを支援するため、運転音が比較的大きく、また、一定の大きさで連続した音を発する掃除機等の重家事用機器を判別することができる。このように、室内で一定以上の大きな音がしていて、その音が一定で連続している場合は、在室者が掃除機等のモータを応用した機器を使用して、室内で動きの大きい家事をしていると推定する。予め、掃除機等大きな音のサンプリング結果より少し小さい値を重家事用機器判定閾値として用い、その音のバラツキの程度で重家事用機器判定幅を決める。これにより、音源の種類を正確に把握して、赤外線センサの検出結果と組み合わせて、在室者の活動量を適切に判定できる。従って、在室者の活動量に合わせて、空気調和機をよりきめ細かく制御し、快適性に配慮しながら、省エネ運転することができる。なお、本実施例では、音が一定の大きさであることを、サンプリング結果の平均値と各サンプリング結果との差が重家事用機器判定幅以内であることで判定している。しかしながら、他の判定法として、例えば、突発的な音で誤判定を招かないように、サンプリング結果の平均値とサンプリング結果の最小値との差が重家事用機器判定幅以内で、サンプリング結果の平均値が重家事用機器平均閾値以下であるように定めてもよい。
また、本実施例の空気調和機は、周波数帯毎に、サンプリング結果が放送受信機器判定閾値以上である回数が、放送受信機器の下限回数閾値以上、且つ、放送受信機器の上限回数閾値以下であって、サンプリング結果が放送受信機器判定閾値以上である回の連続が、途中で中断する場合は、音源の種類を放送受信機器群と判定する。これにより、テレビジョン等の放送受信機器の音声や在室者同士の会話において発生する数秒以上の中断によって、重家事用機器や軽家事用機器と区別することができる。なお、放送受信機器の音声には、在室者同士の会話では発生しない、高い周波数の音(音楽や効果音等)が含まれる。従って、これにより、放送受信機器の音声と在室者同士の会話とを判別することができる。また、在室者同士の会話では数十秒の長い中断があるのが普通で、放送受信機器の音声ではこのような長い中断はないこと等を考慮するので、音判別の精度をさらに向上させることができる。このように、放送受信機器判定閾値,下限回数閾値,上限回数閾値を適切に定め、判定閾値以上である回の連続が、途中で中断することを検知することで、音源の種類を正確に把握して、赤外線センサの検出結果と組み合わせて、在室者の活動量を適切に判定し、在室者の活動量に合わせて、空気調和機をよりきめ細かく制御し、快適性に配慮しながら、省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、周波数帯毎に、サンプリング結果が会話判定閾値以上である回数が、会話の下限回数閾値以上、且つ、会話の上限回数閾値以下であって、サンプリング結果が会話判定閾値以上である回の連続が、途中で中断する場合は、音源の種類を会話と判定する。これにより、会話判定閾値,下限回数閾値,上限回数閾値を放送受信機器とは異なる適切な値に定めることで、放送受信機器と会話を識別する。このように、音源の種類を正確に把握することで、赤外線センサの検出結果と組み合わせて、在室者の活動量を適切に判定し、在室者の活動量に合わせて、空気調和機をよりきめ細かく制御し、快適性に配慮しながら、省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、活動量判定部は音源の判定を複数回繰返し、複数回の判定において出現頻度が最大の音源群を室内の音源と判定する。これにより、最終的な二次判定までの時間を長くしたので、室内の長期的な変化を反映でき、短期的な変化に基づく誤動作が減少する。また、二次判定までの時間を複数の一次判定区間に分け、一次判定区間毎に一次判定して室内の状況を把握するので、室内の情報を平準化して把握でき、情報の偏りをなくして、情報を正確に把握することができる。また、一次判定区間内でのデータは一次判定にしか使われず、一次判定では唯一の結果を選択する。従って、一次判定区間内で複数の一次判定候補のデータが拮抗していて一次判定の結果が変わる場合にも、複数の一次判定の結果を基にした二次判定は優勢な一次判定候補に安定して維持される。このように、確実な判定ができる十分な判定区間と、室内の快適性を損なわない穏やかな変化を確保できる制御間隔とが両立する時間間隔で二次判定を行うので、室内の快適性が損なわれることはない。きめ細かな制御で快適性に配慮しながら省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、活動量判定部は、音源の判定を複数回繰返し、この判定結果に重み付けし、その重み付けした結果を音源の群毎に積算し、積算値が最大の音源の群を室内の音源の種類と判定する。これにより、前述のように、室内の情報を平準化して把握でき、情報の偏りをなくして、情報を正確に把握することができる。また、各回の判定結果に適宜な重み付けをすることで、より適切に空気調和機を制御することができる。例えば、時系列的に近い回ほど大きく重み付けした場合、現在から一番近い一次判定結果が最も重視される。従って、一時的に新しい活動をしたが、直ぐに別の活動をした場合は、重み付けされた現在の活動での一次判定結果が積算されて二次判定となる。このように、活動量変化の傾向を確実に捉え、適切に在室者の活動量を把握し、きめ細かな制御で快適性に配慮しながら省エネ運転をすることができる。
また、本実施例の空気調和機は、活動量判定部は、複数の音源の群に選択順位を定め、出現頻度又は積算値が最大の音源の群が複数の場合には、選択順位の高い音源の群を室内の音源の種類と判定する。これにより、空気調和機の制御が滞ることなく連続して省エネ運転が行われ、空調が中断して、快適性が損なわれることが無い。
また、本実施例の空気調和機は、活動量判定部が判定する室内の音源の群として、空気調和機自身,重家事用機器群,放送受信機器群、及び会話を含む。このように音源の種類を判別することで、在室者の活動をより詳細且つ正確に把握することができる。従って、快適性と省エネ性に配慮して空気調和機を運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、放送受信機器群の選択順位を会話の選択順位より高く設定する。放送受信機器群と会話で出現頻度又は積算値が同点で最大となった場合は、放送受信機器群を音源の種類と判定する。放送受信機器群による人の会話と現実の会話とを区別することは難しい。しかしながら、出現頻度又は積算値が同点である場合は、現実の会話では生じない高い周波数帯の音(音楽や効果音)を含む可能性があり、この場合、音源の種類を放送受信機器群と判定するのが合理的である。このように、選択順位を定めることにより、合理的に音源の種類を判定できるので、赤外線センサの検出結果と組み合わせて在室者の活動量を把握し、きめ細かな制御で快適性に配慮しながら省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、在室者の動き量を検出する赤外線センサと、室内の音を検出する音センサと、室内の設定温度を設定する設定部と、運転を制御する制御部とを備え、音センサの検出結果を基に、音源の種類を判定する判定閾値を設け、空気調和機を据付けた室内での基準環境音測定期間における音センサの検出結果である基準環境初期値に応じて判定閾値を補正する閾値補正部と、赤外線センサの検出結果、及び音センサの検出結果に応じて、在室者の活動量を判定する活動量判定部を有し、活動量判定部で判定された在室者の活動判定量を基に、設定温度に基づいて定められた目標値を変更する。これにより、空気調和機を据付けた部屋で、空気調和機を運転又は停止時に発生する音を把握することができる。空気調和機運転時には、空気調和機自身の音と、使用者がいないときでも音を発生する時計や観賞魚水槽の循環ポンプ音等が検出される。また、空気調和機停止時には、時計や観賞魚水槽の循環ポンプ音等が検出される。具体的には、空気調和機運転開始から所定時間又は空気調和機停止中の所定時間(例えば1分間)の音センサの検出値(以下「基準環境初期値」という。)を基準値と比較する。空気調和機据付後、最初の運転又は停止である場合、基準値として、製造段階で制御部の記憶素子に記録した運転時又は停止時の音センサの検出値(以下「基準環境当初値」という。)を用いる。通常、基準値<初期値となる。「基準環境当初値≧基準環境初期値」の場合は、判定閾値を補正しない。空気調和機運転時の結果から判定閾値を補正する場合、更に、音源の種類が空気調和機自身であることを音センサのサンプリング結果が示している場合は、音源の種類を判定する判定閾値を補正する。音源の種類が空気調和機自身以外であることを音センサのサンプリング結果が示している場合は、空気調和機自身以外の会話やテレビジョンの音等が検出されていることを示し、静粛な状態での運転ではないので判定閾値は補正しない。また、空気調和機停止中の結果から判定閾値を補正する場合、更に、「基準環境初期値≦基準環境当初値+標準環境音差」の場合に、音源の種類を判定する判定閾値を補正する。ここで、標準環境音差とは、環境音のバラツキの幅を示す値であり、予め、製造段階で制御部の記憶素子に記録する。「基準環境当初値+標準環境音差<基準環境初期値」の場合、空気調和機自身以外の会話やテレビジョンの音等が検出されており、静粛な状態での運転ではないので、判定閾値は補正しない。このように、音源の種類を判定する判定閾値を補正することで、空気調和機を据付けた部屋の音環境に合わせて、音源の種類を温感変動大音源の種類か温感変動小音源の種類かに適切に判定することができる。従って、赤外線センサの検出結果と組み合わせて在室者の活動量を精度よく判定し、きめ細かな制御で快適性に配慮しながら、省エネに貢献できる。
また、本実施例の空気調和機は、基準環境初期値が所定の基準値以上であり且つ音源の種類が空気調和機自身と判定される場合、又は、基準環境初期値がこの基準値に所定の標準環境音差を加えた値以下である場合に、判定閾値を補正する。静粛な状態での運転又は停止中の音センサの検出結果を得ることができるので、音源の種類を判定するための判定閾値を適正に補正できる。これにより、空気調和機を据付けた部屋の音環境に合わせて、音源の種類を適切に判定することができる、従って、赤外線センサの検出結果と組み合わせて在室者の活動量を把握し、きめ細かな制御で快適性に配慮しながら省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、判定閾値を補正した場合は基準値を基準環境初期値に変更して新しい基準値とする。空気調和機が据付けられている部屋の音環境が変化した場合でも、変化した音環境に適合するように、新しい基準値が決まる。この基準値を記憶装置に記憶し、次回の運転開始時には前回の基準値に代わり新しい基準値を用いる。この新しい基準値に基づいて音源の種類を判定する判定閾値を補正することで、音源の種類を適切に判定することができる。従って、赤外線センサの検出結果と組み合わせて在室者の活動量を把握し、よりきめ細かな制御で快適性に配慮しながら省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、1日を複数の時間帯に区分し、基準環境初期値が検出された時間帯における基準値のみを基準環境初期値に変更して、この時間帯における新しい基準値とする。空気調和機を据付けてある部屋の音環境が時間帯により変化した場合でも、変化した音環境に適合するように判定閾値が補正され、音源の種類を適切に判定することができ、赤外線センサの検出結果と組み合わせて在室者の活動量を把握し、きめ細かな制御で快適性に配慮しながら省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、吸込空気温度を検出する吸込温度検出部を備え、活動量判定部で判定された在室者の活動判定量を基に設定温度に基づいて定められた目標値を変更し、吸込空気温度が目標温度になるように制御する。室内から焦電型赤外線センサに到達する赤外線を、所定のサンプリング周期で所定時間サンプリングし、赤外線の検出回数の割合(Px)を算出し、サンプリング結果とする。このサンプリング結果が静判定閾値未満の場合、反応の検出量の区分(反応の検出区分)を「反応静」と区分する。サンプリング結果が静判定閾値以上の場合は、サンプリング結果を強判定閾値と比較する。サンプリング結果が強判定閾値以上の場合は、反応の検出区分を「反応強」と区分する。サンプリング結果が強判定閾値未満の場合は、反応の検出区分を「反応中」と区分する。更に、音源の種類を温感変動大音源か温感変動小音源かに判定する。判定した音源の種類と在室者の反応検出区分を組み合わせて在室者の活動量を他段階に判別する。暖房時は活動量が大きいほど、吸込空気温度を設定温度より低めに調整し、冷房時は活動量が小さいほど、吸込空気温度を設定温度より高めに調整する。これにより、在室者の活動量に応じてより適正に空気調和機を制御できるので、在室者の快適性を考慮しつつ、空気調和機をより省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、活動判定量に応じて活動シフト値を定め、活動シフト値を温度シフト値として、吸込空気温度が設定温度に温度シフト値を上乗せした上乗せ設定温度になるように制御する。活動量を音センサの検出結果と赤外線センサの検出結果を基に、例えば、大きい順に、最大,大,中,小及び最小のように多段階に判別し、活動量が大きいほど小さい活動シフト値として定め、これを温度シフト値として設定温度に上乗せし、吸込空気温度が上乗せ設定温度になるように制御する。これにより、暖房時は活動量が大きいほど吸込空気温度が設定温度より低めに調整され、冷房時は活動量が小さいほど吸込空気温度が設定温度より高めに調整される。従って、快適性に配慮しつつ、きめ細かく空気調和機を制御することで省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、在室者の動き量を検出する赤外線センサと、室内の音を検出する音センサと、室内の設定温度を設定する設定部と、運転を制御する制御部と、圧縮機と、送風機と、吸込空気温度を検出する吸込温度検出部と、空気調和機本体と双方向に通信可能なリモコンとを備え、リモコンと空気調和機本体との相対位置が検出可能に構成され、赤外線センサの検出結果に基づいて区分された赤外線センサの反応区分と、音センサの検出結果に基づいて判定された音源の種類に応じて、在室者の活動量を判定する活動量判定部を有し、活動量判定部で判定された在室者の活動判定量に応じて活動シフト値を定め、リモコンの位置に応じて位置シフト値を定め、活動シフト値及び位置シフト値を設定温度に上乗せして吸込空気温度の目標温度とし、吸込空気温度が目標温度になるように制御する。室内から焦電型赤外線センサに到達する赤外線を、所定のサンプリング周期で所定時間サンプリングし、赤外線の検出回数の割合(Px)を算出し、サンプリング結果とする。このサンプリング結果が静判定閾値未満の場合、反応の検出量の区分(反応の検出区分)を「反応静」と区分する。サンプリング結果が静判定閾値以上の場合は、サンプリング結果を強判定閾値と比較する。サンプリング結果が強判定閾値以上の場合は、反応の検出区分を「反応強」と区分する。サンプリング結果が強判定閾値未満の場合は、反応の検出区分を「反応中」と区分する。また、活動量を音センサの検出結果と赤外線センサの検出結果を基に、例えば、大きい順に、最大,大,中,小及び最小のように多段階に判別し、活動量が大きいほど小さい活動シフト値として定め、これを温度シフト値として設定温度に上乗せし、吸込空気温度が上乗せ設定温度になるように制御する。これにより、暖房時は活動量が大きいほど吸込空気温度が設定温度より低めに調整され、冷房時は活動量が小さいほど吸込空気温度が設定温度より高めに調整される。更に、空気調和機からリモコンまでの距離を検出し、冷房時は、空気調和機からリモコンまでの距離が近い程大きい位置シフト値を温度シフト値に加えて吸込空気温度を調節する。また、暖房時は、空気調和機からリモコンまでの距離が近い程小さい位置シフト値を温度シフト値に加えて吸込空気温度を調節する。空気調和機の使用者はリモコンで空気調和機を操作した後に、リモコンを近くに置くので、リモコンが置いてある位置の近くに使用者が居ることが多く、空気調和機からの距離が近ければ、空気調和機からの風を強く感じ、空気調和機からの距離が遠ければ、空気調和機からの風をほとんど感じない。このことは、温熱感覚に影響する気流の強弱を感じているということであり、気流の強弱に応じて温度シフト値に上述の位置シフト値を加えた値を温度シフト値としていることになり、空気調和機からの距離が変わっても、温熱感覚が快適範囲に近づくように空気調和機が制御されることになる。このように、快適性に配慮しつつ、空気調和機からの距離に応じて、きめ細かく、より適正に室温を上下するように空気調和機を制御することで、省エネ運転に貢献できる。
また、本実施例の空気調和機は、リモコンの位置を検出し、自動的に吹出風向をリモコン位置に向ける第1制御と、自動的に空気調和機の吹出風向をリモコン位置から外す第2制御とを有し、第1制御では、冷房運転時は空気調和機からの距離が近いほど位置シフト値を大きくし、暖房運転時は空気調和機からの位置が遠いほど位置シフト値を大きくする。自動的に空気調和機の吹出風向をリモコン位置に向ける第1の制御の場合、室外から入室した際に、集中的に冷風・温風に当たりたいというニーズに応えることができる。また、自動的に空気調和機の吹出風向をリモコン位置から外す第2の制御の場合、直接風に当たるのは回避したいが、周辺からの緩やかな風で、穏やかな空調を望む人々のニーズに応えることができる。また、第1の制御の場合、空気調和機からの距離が近ければ、空気調和機からの風を強く感じ、空気調和機からの距離が遠ければ、空気調和機からの風をほとんど感じない。このことは、温熱感覚に影響する気流の強弱を感じているということであり、気流の強弱に応じて温度シフト値に冷房運転時は空気調和機からの距離が近いほど、暖房運転時は空気調和機からの位置が遠いほど大きな位置シフト値を加えた値を温度シフト値とすることになり、空気調和機からの距離が変わっても、温熱感覚が快適範囲に近づくように空気調和機が制御されることになる。このように、空気調和機からの距離に応じて、きめ細かな制御を行うことで、省エネ運転をはかることができる。
また、本実施例の空気調和機は、活動量が所定値より大きい場合は位置シフト値を0とする。音センサの検出結果と赤外線センサの検出結果を基にした在室者の活動量が、例えば、最大,大の時には、リモコン位置に応じた位置シフト値を0にする。これは、在室者の活動量が大きいときは在室者が室内を動き回っていて、リモコンの位置にじっとしていない可能性が高い。このように、活動量が所定値より大きく在室者がリモコンの位置に存在しないと判断される場合には、リモコン位置に応じた位置シフト値を与える必要がない。なお、位置シフト値を0にするかわりに、活動量が小さい場合の位置シフト値よりも絶対値が小さい位置シフト値とするようにしてもよい。このようにすることで、活動量が大きい時の在室者の動きに応じた現実的な位置シフト値で空気調和機を運転し、快適性に配慮しながら、省エネ運転をはかることができる。
また、本実施例の空気調和機は、室温が低いほど大きな補正シフト値とし、この補正シフト値を温度シフト値に加える。これにより、暖房運転時は室温が高いほど吸込空気温度が設定温度より低めに調整され、冷房運転時は室温が低いほど吸込空気温度が設定温度より高めに調整される。従って、快適性に配慮しながら、省エネ運転をはかることができる。
また、本実施例の空気調和機は、室内の湿度を検出する湿度センサを備え、湿度が低いほど大きな補正シフト値とし、この補正シフト値を温度シフト値に加える。これにより、暖房運転時は湿度が高いほど吸込空気温度が設定温度より低めに調整され、冷房運転時は湿度が低いほど吸込空気温度が設定温度より高めに調整される。従って、快適性に配慮しながら、省エネ運転をはかることができる。
また、実施例の空気調和機は、室内の床面温度及び壁面温度を検出する輻射温度センサを備え、「輻射温度−(マイナス)室内温度」が小さいほど大きな輻射シフト値とし、輻射シフト値を温度シフト値に加える。例えば、輻射温度−室内温度の値により「温度差正」,「温度差小」,「温度差負」に分け、輻射温度−室内温度が大きいほど小さい値を輻射シフト値とし、この輻射シフト値を温度シフト値に加える。これにより、暖房時は輻射温度が高いほど吸込空気温度が設定温度より低めに調整され、冷房時は輻射温度が低いほど吸込空気温度が設定温度より高めに調整される。従って、快適性に配慮しながら、省エネ運転をはかることができる。温熱感覚に影響する輻射温度を空気調和機の制御に取入れることにより、輻射温度−室内温度の違いに応じて輻射シフト値を変えることで、よりきめ細かな制御により省エネ運転をはかることができる。
また、本実施例の空気調和機は、室内の温度を検出する室温センサ,室内の湿度を検出する湿度センサ,室内の床温及び壁温を検出する輻射センサ、及びカレンダー情報機能の少なくとも何れかを備え、室温,湿度,輻射温度−室温、及びカレンダー情報の少なくとも何れかに応じて、冷房運転時は正の補正シフト値を温度シフト値に加えるとともに、暖房運転時は負の補正シフト値を温度シフト値に加える。これにより、暖房運転時は湿度又は輻射温度が高いほど吸込空気温度が設定温度より低めに調整され、冷房運転時は湿度又は輻射温度が低いほど吸込空気温度が設定温度より高めに調整される。従って、快適性に配慮しながら、省エネ運転をはかることができる。
また、本実施例の空気調和機は、カレンダー機能に基づいて、厳寒期(例えば2月)に近いほど着衣の量が多く、盛夏(例えば8月)に近いほど着衣の量が少ないと判断する。このとき、着衣量が多いほど小さい値の補正シフト値を温度シフト値に加える。従って、快適性に配慮しながら、省エネ運転をはかることができる。
また、本実施例の空気調和機は、冷房運転時の温度シフト値は正の値としその上限を定め、暖房運転時の温度シフト値は負の値としその下限を定める。冷房運転時の温度シフト値に上限を設けることにより、省エネ運転を追及するあまり、設定温度から極端に室温が上がり過ぎて快適な空調から逸脱することを防ぐ。暖房運転時も温度シフト値に下限を設けることにより、設定温度から極端に室温が下がり過ぎて快適な空調から逸脱することを防ぐ。これらは、各々の補正シフト値を温度シフト値に加えると、温度シフト値が大きくなりすぎて、設定温度から乖離する可能性があるためである。このように、快適性に配慮しながら、冷房運転時は吸込空気温度を高めに調整し、暖房運転時は吸込空気温度を低めに調節することにより、省エネ運転をはかる。
また、本実施例の空気調和機は、温度シフト値の冷房運転時の上限値及び暖房運転時の下限値は、共に活動量が大きいほど小さく定める。省エネ運転を追及するあまり、在室者の活動量に応じて温度シフト値の上限及び下限を定めることにより、室温が設定温度から極端に乖離して快適な空調から逸脱することを防ぐ。このように、快適性に配慮しながら、冷房運転時は吸込空気温度を高めに調整し、暖房運転時は吸込空気温度を低めに調節することにより、省エネ運転をはかる。
また、本実施例の空気調和機は、自動的に空気調和機の吹出風向をリモコン位置に向けるように制御する場合は、ゾーンシフト値を温度シフト値に加える。空調された快適な風を受けているときには、冷房運転時は吸込空気温度を上げ、暖房運転時は吸込空気温度を下げて、省エネ運転する。このように、快適な時だけ、省エネ運転するので快適性に配慮した省エネ運転をすることができる。
また、本実施例の空気調和機は、赤外線を通信媒体として空気調和機本体と双方向に通信可能なリモコンを備え、このリモコンはリモコン周囲温度を検出するリモコン周囲温度センサを備える。在室者の近くに置かれたリモコンの周囲温度情報が空気調和機本体に送信され、在室者の近くのリモコン周囲の温度を設定室温に調整することができる。これにより、在室者の周囲がスポット的に快適になり、余分な空調エネルギーを消費することがなく省エネ運転をはかることができる。
また、本実施例の空気調和機は、リモコン周囲温度から設定温度を減じた値に応じたリモコン温度シフト値を温度シフト値に加える。暖房運転時はリモコン周囲温度が高いほど吸込空気温度が設定温度より低めに調整され、冷房運転時はリモコン周囲温度が低いほど吸込空気温度が設定温度より高めに調整される。従って、リモコンの近くにいる在室者の快適性に配慮しつつ、きめ細かく空気調和機を制御することで省エネ運転することができる。
また、本実施例の空気調和機は、冷房運転時の活動シフト値は正の値としその上限を定め、暖房運転時の活動シフト値は負の値としその下限を定める。温熱感覚に影響する活動量,室温,湿度,輻射,着衣量,気流の要素を取込んで、更に、ゾーンシフト値,リモコン温度シフト値も加えて、冷房運転時は快適状態な設定室温より吸込空気温度を高めに調節して省エネ運転をはかる。暖房運転時は快適状態な設定室温より、同様に快適性に配慮しながら、吸込空気温度を低めに調節して省エネ運転をはかる。また、省エネ運転を追及するあまり、設定温度から極端に室温が乖離して快適な空調から逸脱することを防ぐ。このため、快適性を考慮しつつ、節電をはかる空気調和機を提供することができる。
また、本実施例の空気調和機は、温度シフト値を所定回算出し、算出された所定回の温度シフト値の平均値である確定温度シフト値に応じて、吸込空気温度が目標温度になるように制御し、温度シフト値を複数回算出する際に、今回の活動判定量と前回活動判定量との差が所定以上となった場合は、温度シフト値の所定回の算出が完了する前であっても、確定温度シフト値に代えて、今回の活動判定量に対応する温度シフト値に応じて、吸込空気温度が目標温度になるように制御する。制御の変更までの時間を長くして室内の長期的な変化を捉えるので、短期的な変化に基づく温度シフト値の誤変動がなくなる。また、制御の変更までの時間を複数の温度シフト演算区間に分け、温度シフト演算区間毎に温度シフトを演算して室内の状況を把握するので、室内の情報を平準化して捉えることで、情報の偏りがなく情報を正確に捉えることができる。また、温度シフト演算区間内でのデータは温度シフト演算にしか使われず、温度シフト演算では唯一の結果となる。従って、温度シフト演算区間内で複数の温度シフト演算のデータが拮抗して、温度シフト演算の結果が変わる場合にも、複数の温度シフト演算の結果を基にした確定温度シフト値演算では、優勢な温度シフト演算の結果に安定して維持される。また、任意の温度シフト演算区間での温度シフト値が明らかに増加したときには、その温度シフト演算区間に続く温度シフト演算区間が省略され、温度シフト値が明らかに増加した温度シフト演算区間での出力を基に確定温度シフト値を演算する。従って、制御の変更までの時間が短縮され、制御の即応性が確保される。通常は確実性に重きを置いて確実に室内状況を把握できる十分な制御の変更までの時間と、室内の快適性を損なわない穏やかな変化を確保できる制御間隔とが両立する時間間隔で制御の変更を行うので、室内の快適性が損なわれることがない。他方、制御の変更までの時間を複数に分割した温度シフト演算区間の出力が明らかに増加した時には、直ちに制御の変更を行うので、即応性も確保される。このように、通常の穏やかな制御で室内の快適性を維持しながらも、必要に応じて最終判定までの時間を短縮して空気調和機を適時に制御するので、快適性に配慮しながら省エネ運転をはかることができる。
また、本実施例の空気調和機は、吹出空気の吹出方向を制御する風向板を備え、輻射温度センサの検知範囲に風向板が存在する場合、風向板の角度に基づいて、輻射温度センサにより検出された輻射温度を補正する。輻射温度センサにより所定の検出範囲内の輻射温度を検出する際に、輻射温度センサの位置によっては、検出範囲内に空気調和機本体の風向板が存在することがある。空気調和機本体の風向板は、空気調和機の吹出口付近に存在しているため、風向板の温度は空気調和機の吹出空気温度の影響を受ける。一般に、暖房運転時においては、空気調和機の吹出空気温度は室温よりも高い温度となるが、床面や壁面の温度は室温よりも低くなる。ここで、輻射温度センサの検知範囲内に風向板が存在する場合、本来の床面や壁面の温度よりも風向板の温度が高いため、輻射温度が高いと検知してしまう。さらに、輻射温度センサの検知範囲内に占める風向板の割合が大きくなれば、風向板の温度の影響は大きくなる。そこで、空気調和機本体の風向板が輻射温度センサの検出範囲内に存在した場合は、風向板の位置に応じて、検出した輻射温度を補正することで、輻射温度の検知の誤差を補正することが可能となる。
また、本実施例の空気調和機は、吹出空気の吹出方向を制御する風向板を備え、輻射温度センサの検知範囲に風向板が存在する場合、輻射温度センサの検知範囲外に風向板を移動させてから、輻射温度センサにより輻射温度を検出する。空気調和機本体の風向板が輻射温度センサの検出範囲内に存在する場合は、輻射温度を検出する際に、風向板を一旦輻射温度センサの検出範囲の外に移動させることで、風向板の温度の影響を受けることなく、輻射温度を検出することが可能となる。
また、本実施例の空気調和機は、在室者の動き量を検出する赤外線センサと、室内の音を検出する音センサと、室内の設定温度を設定する設定部と、空気調和された空気を室内に吹き出す室内送風機と、運転を制御する制御部とを備え、赤外線センサの検出結果及び音センサの検出結果に基づいて判定された音源の種類に応じて在室者の活動量を判定する活動量判定部を有し、音センサで判定された音源の種類に応じて室内送風機の回転数を変更する。また、赤外線センサに基づく前記在室者の動き量と音センサに基づく音源の種類との組み合わせに応じて、室内送風機の回転数を変更する。また、音源の種類が会話又は放送受信機器群と判定された場合は、室内送風機の回転数を下げる。また、音源の種類が重家事機器群と判定された場合は、室内送風機の回転数を上げる。なお、音源の判別は前述した手法を採用することができる。
音源の種類に応じて室内送風機の回転数を変化させることで、省エネ運転以外に、空気調和機自身の騒音低減や快適性の向上が可能である。例えば、音センサにより判別された音源が会話や放送受信機器群である場合は、室内送風機の回転数を下げることで、空気調和機自身の騒音が低減し、在室者が会話や放送を聞き取り易くなる。この場合、音源の判別によって頻繁に室内送風機の回転数が変動すると、空気調和機自身の騒音が変動し、在室者が不快に感じる。従って、室内送風機回転数を変化させた場合、所定期間は室内送風機回転数を変更しない。
また、在室者の動き量と音源の組み合わせに基づいて、室内送風機回転数を変化させることが可能である。室内から焦電型赤外線センサに到達する赤外線を所定のサンプリング周期で所定時間サンプリングし、赤外線の検出回数の割合(Px)を算出し、サンプリング結果とする。このサンプリング結果が静判定閾値未満の場合、反応の検出量の区分(反応の検出区分)を「反応静」と区分する。サンプリング結果が静判定閾値以上の場合は、サンプリング結果を強判定閾値と比較する。サンプリング結果が強判定閾値以上の場合は、反応の検出区分を「反応強」と区分する。サンプリング結果が強判定閾値未満の場合は、反応の検出区分を「反応中」と区分する。焦電型赤外線センサの反応が「反応静」又は「反応中」で、音源が会話又は放送受信機器群で合った場合は、在室者が静かに会話又は放送受信機器を視聴している状態であるので、室内送風機回転数を下げることで、在室者が会話や放送を聞き取り易くする。このように室内の音源を判別することで、在室者の快適性をさらに向上することができる。