JP5325356B1 - 伸線機及び伸線方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 通過する金属線の径を縮小して当該金属線を伸線する、第1の伸線ダイスと、第1の伸線ダイスを通過する金属線の第1のバックテンションを制御するバックテンション制御部と、第1の伸線ダイスを通過する金属線を、第1のフロントテンションで第1の伸線ダイスからノンスリップで引き抜く第1のキャプスタンと、第1のフロントテンションを測定する第1のフロントテンション測定部と、測定された第1のフロントテンションに基づいて、第1のキャプスタンの回転トルクを制御する、第1のキャプスタン制御部と、伸線された金属線を巻き取る巻取部とを備えた伸線機。
Description
図1は、本発明の一実施形態に係る伸線機100の構成を示す模式図である。また、図2は、該実施形態に係る伸線機100を制御する制御ユニット200の構成を示すブロック図である。
巻出ユニット20は、巻出ボビン22と、ガイドローラ24、26、28及び30と、ダンサ部32とを有して構成される。巻出ユニット20において、金属線10は、巻出ボビン22、ガイドローラ24、ガイドローラ26、ダンサローラ34、ガイドローラ26、ガイドローラ28の順に、これらにわたって所定の張力がかかった状態で掛け渡されている(以下「張架」という。)。
本実施形態において、伸線機100は、巻出ユニット20と巻取ユニット60との間に、n段の伸線ユニット40−1〜n及び最終段の伸線ユニット90を有して構成される。巻出ユニット20、伸線ユニット40−1〜n及び90、並びに巻取ユニット60は、連結して設けられている。そして、巻出ユニット20から送り出された金属線10は、伸線ユニット40−1、40−2、・・・40−n、90の順番に通過して伸線される。伸線ユニット90において伸線された金属線10は、巻取ユニット60に送り出される。なお、本実施形態において、伸線ユニット40−1〜nは、同一の構成を有するので、以下、伸線ユニット40−1〜nを個々に特定しない限り、伸線ユニット40−1〜nを「伸線ユニット40」と総称して説明する。また、伸線ユニット40−1〜nに含まれる各構成についても、同様に総称して説明する。
伸線ユニット90は、伸線ダイス92と、ガイドローラ94及び96と、駆動キャプスタン98とを有して構成される。伸線ユニット90において、金属線10は、ガイドローラ94、伸線ダイス92、ガイドローラ96、駆動キャプスタン98にわったって張架されている。
巻取ユニット60は、ガイドローラ66、68及び70と、ダンサ部72と、巻取ボビン80とを有して構成される。巻取ユニット60において、金属線10は、ガイドローラ66、ダンサローラ74、ガイドローラ66、68、70、巻取ボビン80の順に張架されている。
次に、以上のように構成された伸線機100が、金属線10を伸線する動作を、図1及び図2に基づいて説明する。なお、以下の例においては、n段の伸線ユニット40のうち、i段目の伸線ユニット40の伸線ダイス42によって伸線される金属線10のバックテンションをBTi、フロントテンションをFTi、駆動キャプスタン50の回転トルクをCTiとする(iはn以下の正の整数)。
第1実施例では、各伸線ユニット40における金属線10のフロントテンションに基づいて、駆動キャプスタン50の回転トルクを制御して、金属線10を伸線する。具体的には、巻出ユニット20、伸線ユニット40及び巻取ユニット60の各構成に金属線10を張架した後に、各構成を以下のとおり制御して、金属線10を伸線する。
まず、巻出ユニット20は、金属線10を、巻出ユニット20から略一定の速度で送り出す。すなわち、巻出ユニットコントローラ120は、巻出ユニット20から金属線10が送り出される速度(以下、金属線10が通過経路の各位置において送られる速度を「線速度」という。)が、駆動キャプスタン90から金属線10が送り出される速度に応じた、略一定の速度に維持されるように、巻出モータ122の回転数を制御する。
次に、各伸線ユニット40が、巻出ユニット20から送り出された金属線10を伸線する動作について説明する。
CT1=FT1−BT2
従って、第1段のフロントテンションFT1を測定できれば、第1段の回転トルクCT1を制御して、第2段のバックテンションBT2を所定の値に制御することができる。本実施例では、伸線ユニットコントローラ140は、ガイドローラ46−1に設けられた歪みゲージ156によって測定された、金属線10のフロントテンションFT1に基づいて、第2段のバクッテンションBT2が所定の値となるように、駆動キャプスタン50−1の回転トルクCT1を制御する。すなわち、伸線ユニットコントローラ140は、フロントテンションFT1に基づいて、回転トルクCT1をフィードフォワード制御する。これにより、金属線10は、駆動キャプスタン50−1によって伸線ダイス42−1から、フロントテンションFT1の引き抜き力で、ノンスリップで引き抜かれるとともに、バックテンションBT2が付与された状態で、伸線ユニット40−2にノンスリップで送り出される。例えば、バックテンションBT2は、伸線ダイス42−1から引き抜かれた金属線の降伏応力の10%程度である。
CT2=FT2−BT3
CT(i)=FT(i)−BT(i+1)
これにより、金属線10は、駆動キャプスタン50iによって伸線ダイス42iから、フロントテンションFTiの引き抜き力で、ノンスリップで引き抜かれるとともに、バックテンションBTi+1が付与された状態で、伸線ユニット40i+1(又は伸線ユニット90)にノンスリップで送り出される。なお、上式において、i=nの場合、伸線ユニット90の伸線ダイス92によって伸線される金属線10のバックテンションをBT(i+1)とする。
びフロントテンション)に引き継がれ、累積されることがない。また、バックテンションの設定値と実際値との間で誤差が発生する要因は、駆動キャプスタン50における機械的な誤差に過ぎない。従って、本実施例によれば、バックテンションの設定値と実際値との間の誤差がきわめて少ない伸線機を提供することができる。
次に、伸線ユニット90が、伸線ユニット40−nから送り出された金属線10を伸線する動作について説明する。なお、以下では、伸線ユニット40の動作と異なる点を中心に、伸線ユニット90の動作について説明する。
巻取ユニット60は、巻出ユニット20から送り出され、各伸線ユニット40において伸線された金属線10の線速度が略一定となるように、該金属線10を巻き取る。すなわち、巻取ユニットコントローラ160は、巻取ユニット60に供給される金属線10の線速度が略一定に維持されるように、巻取モータ180の回転数を制御する。
第2実施例では、各伸線ユニット40において駆動キャプスタン50を速度制御で回転させたときに測定された、金属線10のフロントテンションの値(以下「サンプル値」という。)を予め取得し、それに基づいて、駆動キャプスタン50を速度制御ではなくトルク制御で回転させて、金属線10を伸線ダイス42から引き抜いて、伸線する。
本実施例では、まず、巻出ユニット20において金属線10を張架した後に、伸線ユニット40−1において、金属線10を、ガイドローラ44−1、伸線ダイス42−1、ガイドローラ46−1に張架する。そして、伸線ユニットコントローラ140は、駆動キャプスタン50−1を速度制御により略一定の速度で回転させて、金属線10を所定の長さ(又は一定時間)駆動キャプスタン50−1に巻きつける。伸線ユニットコントローラ140は、このときに、ガイドローラ46に設けられた歪みゲージ156において検出された、金属線10のフロントテンションFT1を、フロントテンションFT1のサンプル値FT1’として記憶する。FT1’は、該フロントテンションFT1の瞬間値であってもよく、平均値であってもよい。
第1段の伸線ユニット40−1は、予め取得された、フロントテンションFT1のサンプル値FT1’に基づいて、駆動キャプスタン50−1の回転トルクCT1を制御して、金属線10を伸線する。本実施例において、FT1’は、金属線10のバックテンションとして設定値BT1が付加された状態で取得されたサンプル値である。従って、伸線ダイス42−1の引抜加工力のサンプル値DT1’は、以下に基づいて算出できる。
DT1’=FT1’−BT1
CT1=FT1−BT2
また、フロントテンションFT1、バックテンションBT1及び引抜加工力DT1は、以下の関係を有する。
FT1=BT1+DT1
従って、本実施例において、駆動キャプスタン50−1の回転トルクCT1は、バックテンションBT1及びBT2(共に設定値)並びに引抜加工力DT1’(サンプル値)に基づいて、以下のとおりとなる。
CT1=BT1+DT1’−BT2
CT2=BT2+DT2’−BT3
CT(i)=BT(i)+DT(i)’−BT(i+1)
これにより、金属線10は、駆動キャプスタン50iによって伸線ダイス42iから、FTi’の引き抜き力で、ノンスリップで引き抜かれるとともに、設定上、バックテンションBTi+1が付与される状態で、伸線ユニット40i+1(又は伸線ユニット90)にノンスリップで送り出される。なお、上式において、i=nの場合、伸線ユニット90の伸線ダイス92によって伸線される金属線10のバックテンションをBTi+1とする。
第3実施例では、第2実施例に加えて、さらに金属線10のバックテンションBTを測定する。そして、本実施例では、所定段における駆動キャプスタン50の回転トルクを、同段のフロントテンションFT及び次段のバックテンションBTに基づいてフィードフォワード制御する。また、本実施例では、測定されたバックテンションBTが所定の値となるようにフィードバック制御する。
第1段の伸線ユニット40−1は、予め取得された、フロントテンションFT1のサンプル値FT1’に基づいて、駆動キャプスタン50−1の回転トルクCT1を制御して、金属線10を伸線する。本実施例において、FT1’は、金属線10のバックテンションとして測定値BT1’が付加された状態で取得されたサンプル値である。従って、伸線ダイス42−1の引抜加工力のサンプル値DT1’は、以下に基づいて算出できる。
DT1’(サンプル値)=FT1’(サンプル値)−BT1’(測定値)
CT1=FT1−BT2
伸線ユニットコントローラ140は、上式によって、駆動キャプスタン50−1の回転トルクCT1をフィードバック制御する。すなわち、伸線ユニットコントローラ140は、バックテンションBT2の測定値が設定値に近づくように、駆動キャプスタン50−1の回転トルクCT1を制御する。
FT1=BT1+DT1
本実施例において、駆動キャプスタン50−1の回転トルクは、さらにフィードフォワード制御されており、そのフィードフォワード量CT1’は、バックテンションBT1及びBT2(共に設定値)並びに引抜加工力DT1’(サンプル値)に基づいて、以下のとおりとなる。
CT1’=BT1(設定値)+DT1’(サンプル値)−BT2(設定値)
本実施例において、伸線ユニットコントローラ140は、上式によって、バックテンションBT1の設定値及び予め取得された引抜加工力のサンプル値DT1’に基づいて、バックテンションBT2が所定の値となるように、駆動キャプスタン50−1の回転トルクCT1をフィードフォワード制御する。これにより、金属線10は、駆動キャプスタン50−1によって伸線ダイス42−1から、FT1’の引き抜き力で、ノンスリップで引き抜かれるとともに、設定上、バックテンションBT2が付与される状態で、伸線ユニット40−2にノンスリップで送り出される。
CT2=BT2+DT2’−BT3
CT(i)=BT(i)+DT(i)’−BT(i+1)
これにより、金属線10は、駆動キャプスタン50iによって伸線ダイス42iから、FTi’の引き抜き力で、ノンスリップで引き抜かれるとともに、設定上、バックテンションBTi+1が付与される状態で、伸線ユニット40i+1(又は伸線ユニット90)にノンスリップで送り出される。なお、上式において、i=nの場合、伸線ユニット90の伸線ダイス92によって伸線される金属線10のバックテンションをBTi+1とする。
Claims (4)
- 通過する金属線の径を縮小して当該金属線を伸線する、第1の伸線ダイスと、
前記第1の伸線ダイスを通過する前記金属線の第1のバックテンションを制御するバックテンション制御部と、
前記第1の伸線ダイスを通過する前記金属線を、前記第1の伸線ダイスからノンスリップで引き抜く第1のキャプスタンと、
前記第1のキャプスタンの回転トルクを制御して、前記金属線を前記第1の伸線ダイスから引き抜く第1のキャプスタン制御部と、
伸線された前記金属線を巻き取る巻取部と
を備え、
前記第1のキャプスタン制御部は、
前記第1のキャプスタンを速度制御で回転させて前記金属線を前記第1の伸線ダイスから引き抜いたときにおける、当該金属線の第1のフロントテンションを予め記憶しており、
当該第1のフロントテンションに基づいて、前記第1のキャプスタンの回転トルクを制御して、前記金属線を前記第1の伸線ダイスから引き抜く、伸線機。 - 前記第1のキャプスタン制御部は、前記第1のキャプスタンを速度制御で所定の期間回転させて前記金属線を前記第1の伸線ダイスから引き抜いたときの当該第1のキャプスタンの平均トルクを、前記第1のフロントテンションとして記憶する、請求項1記載の伸線機。
- 前記第1のキャプスタンと前記巻取り部との間に設けられ、前記第1のキャプスタンによって引き抜かれた前記金属線が通過し、通過した当該金属線の径を縮小して当該金属線を伸線する、第2の伸線ダイスと、
前記第2の伸線ダイスを通過する前記金属線の第2のバックテンションを測定するバックテンション測定部と
をさらに備え、
前記第1のキャプスタンは、前記金属線をノンスリップで前記第2の伸線ダイスに送り出し、
前記第1のキャプスタン制御部は、測定された前記第2のバックテンションが所定の値となるように、前記第1のキャプスタンの回転トルクを制御する、請求項1記載の伸線機。 - 伸線ダイスを通過させて金属線の径を縮小して、当該金属線を伸線する伸線方法であって、
前記伸線ダイスを通過する前記金属線のバックテンションを制御するステップと、
キャプスタンを用いて、前記伸線ダイスを通過する前記金属線を、前記伸線ダイスからノンスリップで引き抜くステップと、
前記キャプスタンの回転トルクを制御する制御ステップと
を備え、
前記制御ステップは、
前記キャプスタンを速度制御で回転させて前記金属線を前記伸線ダイスから引き抜いたときにおける、当該金属線のフロントテンションを予め記憶するステップと、
前記フロントテンションに基づいて、前記キャプスタンの回転トルクを制御して、前記金属線を前記第1の伸線ダイスから引き抜くステップと
を含む、伸線方法。
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