JP5322760B2 - プロピレン系表面保護用フィルム - Google Patents
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Description
また、ポリエチレンの耐熱性の問題点を鑑み、かつ、塩素イオンの影響による金属薄膜層の点状欠陥を改良した塩素含有量が5重量ppm以下であるポリプロピレンからなることを特徴とするプロピレン系樹脂を主成分にした表面保護フィルムも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、該特許文献に記載のプロピレン系樹脂においても、ポリエチレンのようなゲル化は起こらないものの、分子量分布が広く、つまり分子量の小さい低分子量のものと、分子量の大きい高分子量のものとが混在しているため、高分子量成分が、フィルムを成形する際に、未溶融の微細なかたまりがフィッシュアイとなってフィルム中に存在してしまい、被保護物に凹みが生じる結果となる。また、柔軟性がエチレン系樹脂を主成分とした表面保護フィルムより劣ったものになる。
(A)プロピレン−エチレンブロック共重合体
(a1)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜95重量%、第2工程で成分(A1)よりも多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜5重量%逐次重合して得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体
(a2)メルトフローレート(MFR:230℃ 2.16kg)が1〜30g/10分
(B)エチレン・α−オレフィン共重合体
(b1)密度[d]が0.860〜0.918g/cm3
(b2)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5以下
(C)熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体
(c1)スチレン含量[St]が5〜60重量%
条件(c):成分(B)の密度[d](g/cm3)と成分(C)のスチレン含量[St](重量%)が下記式(8)を満たす。
640[d]−561.2<[St]<640[d]−539.2 …(8)
(a3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる分子量5,000以下の成分量W(Mw≦5,000)が、全体の0.8重量%以下
(a4)第1工程で得られる成分(A1)が、エチレン含量が0.5〜6重量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体で、ブロック共重合体の全体における割合が30〜85重量%の範囲にあり、第2工程で得られる成分(A2)が(A1)よりも6〜20重量%多くのエチレン含量で、ブロック共重合体の全体における割合が70〜15重量%の範囲にあること
(a5)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピーク温度T(A1)が55℃〜96℃の範囲にあり、低温側に観測されるピーク温度T(A2)が45℃以下にあり、或いはピーク温度T(A2)が観測されず、プロピレン−エチレンブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が98℃以下であること
(a6)第1工程で得られる成分(A1)が、エチレン含量が1.5〜6重量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体で、ブロック共重合体の全体における割合が30〜70重量%の範囲にあり、第2工程で得られる成分(A2)が(A1)よりも8〜15重量%多くのエチレン含量で、ブロック共重合体の全体における割合が70〜30重量%の範囲にあること
(a7)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピーク温度T(A1)が60℃〜88℃の範囲にあり、低温側に観測されるピーク温度T(A2)が40℃以下にあり、或いはピーク温度T(A2)が観測されず、プロピレン−エチレンブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が90℃以下であること
(a8)23℃キシレン可溶分の135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]cxsが1〜2dl/g
(a9)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する
本発明の表面保護用フィルムにおけるプロピレン系樹脂よりなる基材層は、下記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)から構成される。
なお、このようなプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、いわゆるブロック共重合体と通称されているものであるが、成分(A1)と成分(A2)のブレンド状態にあり、双方が重合で結合しているものではない。
(a2)メルトフローレート(MFR:230℃ 2.16kg)が1〜30g/10分
(a3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる分子量5,000以下の成分量W(Mw≦5,000)が、全体の0.8重量%以下
(a4) 第1工程で得られる成分(A1)が、エチレン含量が0.5〜6重量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体で、ブロック共重合体の全体における割合が30〜85重量%の範囲にあり、第2工程で得られる成分(A2)が(A1)よりも6〜20重量%多くのエチレン含量で、ブロック共重合体の全体における割合が70〜15重量%の範囲にあること
(a5)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピーク温度T(A1)が55℃〜96℃の範囲にあり、低温側に観測されるピーク温度T(A2)が45℃以下にあり、或いはピーク温度T(A2)が観測されず、プロピレン−エチレンブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が98℃以下であること
(a6)第1工程で得られる成分(A1)が、エチレン含量が1.5〜6重量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体で、ブロック共重合体の全体における割合が30〜70重量%の範囲にあり、第2工程で得られる成分(A2)が(A1)よりも8〜15重量%多くのエチレン含量で、ブロック共重合体の全体における割合が70〜30重量%の範囲にあること
(a7)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピーク温度T(A1)が60℃〜88℃の範囲にあり、低温側に観測されるピーク温度T(A2)が40℃以下にあり、或いはピーク温度T(A2)が観測されず、プロピレン−エチレンブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が90℃以下であること
(a8)23℃キシレン可溶分の135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]cxsが1〜2dl/g
(a9)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する
以下、特性(a1)〜(a9)について詳細に説明する。
第1工程で製造される成分(A1)は、フィルムのべたつきを抑制し、耐熱性を発現するために、融点が比較的高く、結晶性を有するプロピレン単独重合体、もしくはプロピレン−エチレンランダム共重合体である必要がある。[E]A1は、好ましくは7重量%以下であり、より好ましくは6重量%以下、さらに好ましくは0.5〜6重量である。[E]A1が7重量%を超えると融点が低くなりすぎ、フィルムの耐熱性を悪化させる恐れがある。
なお、成分(A1)はプロピレン単独重合体でも改良された柔軟性や耐熱性を示すが、成分(A1)がプロピレン単独重合体の場合には充分な柔軟性を発揮させるために後述する成分(A2)の割合を極端に増加させる必要が生じ、これにより耐熱性及びベタツキやブロッキングなどの顕著な悪化を招くことが懸念される。
一方、成分(A1)をプロピレン−エチレンランダム共重合体とすると、成分(A1)自体の融点は低下することで耐熱性は悪化するように見えるが、充分な柔軟性を発揮するために必要な成分(A2)の量を抑制できることで、ブロック共重合体全体としての耐熱性はむしろ向上し、かつ、ベタツキやブロッキングの悪化が小さいため好ましい。
さらに融点を低下させられることで、フィルム成形時の成形温度を低下させても充分な押出安定性等が得られることで臭気性などが極めて優れたフィルムを得ることができる。
これらの観点から、成分(A1)中のエチレン含量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1.5重量%以上である
第2工程で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の柔軟性と耐衝撃性を向上させるのに必要な成分である。
ここで、成分(A2)は上記効果を充分発揮するために特定範囲のエチレン含量であることが必要である。すなわち、本発明のブロック共重合体において、成分(A1)に対し成分(A2)の結晶性は低い方が、柔軟性改良効果が大きく、結晶性はプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量で制御されるため、成分(A2)中のエチレン含量[E]A2は、成分(A1)中のエチレン含量[E]A1Eよりも3重量%以上多いことが好ましく、より好ましくは6重量%以上、更に好ましくは8重量%以上、成分(A1)よりも多くのエチレンを含む。
ここで、成分(A1)と成分(A2)のエチレン含量の差を[E]gap([E]A2−[E]A1)と定義すると、[E]gapは、3〜20重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは6〜20重量%、更に好ましくは8〜15重量%である。
[E]gapが、3重量%未満の場合、ゴム弾性が不足し好ましくない。また、20重量%を超えると第1工程で製造される成分(A1)と成分(A2)とのマトリクスとドメインに分かれた相分離構造を取り相溶性が悪くなるため、フィッシュアイが発生する恐れがある。これは、これは元来、ポリプロピレンはポリエチレンとの相溶性が低く、プロピレン−エチレンランダム共重合体においても、エチレン含量が異なるものの相互の相溶性は、エチレン含量の違いが大きくなると低下するためである。
プロピレン−エチレンブロック共重合体を構成する成分(A1)の割合(W(A1))および成分(A2)の割合(W(A2))の含有量比は、W(A1)が30〜95重量%であり、W(A2)が70〜5重量%の範囲にある必要があり、好ましくは、W(A1)の割合が30〜85重量%、更に好ましくは30〜70重量%の範囲である。
W(A1)の割合が30重量%未満であると、フィルムのべたつき発生、耐熱性が低下する恐れがあり、過度の柔軟性によるフィルムの繰り出し性不良が発生する恐れがある。他方、W(A1)の割合が95重量%を超えるとプロピレン−エチレンブロック共重合体の柔軟性や耐衝撃性の改良効果を充分に発揮することができない。
[E]A1と[E]A2及びW(A1)とW(A2)の測定は、製造時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、以下の分析を用いることが望ましい。
(i)温度昇温溶離分別(TREF)によるW(A1)とW(A2)の特定
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布をTREFにより評価する手法は、当該業者によく知られるものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
また、TREF測定温度の下限は、本測定に用いた装置では−15℃であるが、成分(A2)の結晶性が非常に低いあるいは非晶性成分の場合には本測定方法において、測定温度範囲内にピークを示さない場合がある。(この場合には、測定温度下限(すなわち−15℃)において溶媒に溶解した成分(A2)の濃度は検出される。)
このとき、T(A2)は測定温度下限以下に存在するものと考えられるが、その値を測定することが出来ないため、このような場合にはT(A2)を測定温度下限である−15℃と定義する。
ここで、T(C)までに溶出する成分の積算量をW(A2)重量%、T(C)以上で溶出する部分の積算量をW(A1)重量%と定義すると、W(A2)は結晶性が低いあるいは非晶性の成分(A2)の量とほとんど対応しており、T(C)以上で溶出する成分の積算量W(A1)は結晶性が比較的高い成分(A1)の量とほぼ対応している。TREFによって得られる溶出量曲線と、そこから求められる上記の各種の温度や量の算出の方法は図1に例示するように行う。
本発明においては、TREFの測定は具体的には以下のように測定を行う。
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mL BHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
(イ)成分(A1)と成分(A2)の分離
上述のTREF測定により求めたT(C)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(C)にける可溶成分(A2)とT(C)における不溶成分(A1)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecules、21 314〜319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、本発明において以下の方法を用いる。
(ロ)分別条件
直径50mm、高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/mL)200mLを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(C)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(C)に保持したまま、T(C)のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、カラム内に存在するT(C)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次いで10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒(o−ジクロロベンゼン)を20mL/分の流速で800mL流すことにより、T(C)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mLまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーをろ過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
(ハ)13C−NMRによるエチレン含量の測定
上記分別により得られた成分(A1)と(A2)それぞれについてのエチレン含有量はプロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製 GSX−400または、同等の装置(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/mL
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔: 15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules,17 1950(1984)等を参考に行えばよい。
上記条件により測定されたスペクトルの帰属は下表1の通りである。表1中Sαα等の記号はCarmanら(Macromolecules,10 536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
[PPP]=k×I(Tββ) …(1)
[PPE]=k×I(Tβδ) …(2)
[EPE]=k×I(Tδδ) …(3)
[PEP]=k×I(Sββ) …(4)
[PEE]=k×I(Sβδ) …(5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} …(6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。従って、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1
…(7)
である。
また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)は、Tββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここでXはモル%表示でのエチレン含有量である。
[E]W={[E]A1×W(A1)+[E]A2×W(A2)/100 (重量%)
本発明で使用されるプロピレン−エチレンブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)は、1〜30g/10分であり、好ましくは2〜20g/10分であり、より好ましくは4〜15である。MFRが1g/10分未満ではフィルムの表面にシャークスキンやメルトフラクチャと呼ばれる表面あれが発生し外観を著しく損なう。一方で、MFRが30を越えると成形時の安定性が悪化し、フィルムの幅や厚みが変動し製品を得ることができない。
ここで、MFRは、JIS K7210 A法 条件Mに準拠し、加熱温度230℃、荷重21.2Nで測定する値である。
本発明においては、フィルムの相溶性を良好に保ち、また、フィッシュアイの発生を抑制するために、使用するプロピレン−エチレンブロック共重合体を構成する成分(A1)と成分(A2)とが相分離していないことが好ましい。相分離の条件は、エチレン含量のみならず、分子量や組成によっても影響を受けるため、上記のエチレン含量に関する規定に加えて、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線のピークに関する規定が必要となる。
本発明で用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)においては、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することが好ましい。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が相分離構造を取る場合には、成分(A1)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(A2)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは複数となる。この場合には、フィッシュアイが発生しやすくなるという問題が生じる。
相分離構造を取っているかどうかは、固体粘弾性測定におけるtanδ曲線において判別可能であり、耐衝撃性やフィッシュアイの発生を左右する層分離構造の回避は、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することによりもたらされる。
本発明で使用されるプロピレン−エチレンブロック共重合体のゲルパーミエーション(GPC)法により測定される重量平均分子量の5,000以下の成分量は、0.8重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。本発明におけるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、低分子量成分が少ないことを付加的な特徴とし、低分子量成分、特に、その分子量が絡み合い点間分子量に満たない成分は、成形体の表面にブリードアウトし、ベタツキ性や被着体への耐汚染性などを悪化させると考えられる。
なお、ポリプロピレンの絡み合い点間分子量は、Journal of Polymer Science:Part B:Polyer Physics; 37 1023−1033(1999)に記載されるように、約5,000である。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。 F380,F288,F128,F80,F40,F20,F10,F4,F1,A5000,A2500,A1000
各々が0.5mg/mlとなるようにo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2ml注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する、粘度式の [η]=K×Mα は以下の数値を用いる。
PS : K=1.38×10−4 α=0.7
PE : K=3.92×10−4 α=0.733
PP : K=1.03×10−4 α=0.78
なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:WATERS社製 GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製 MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/min
注入量:0.2ml
試料の調製 試料はo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)を用いて1mg/mlの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定により得られた分子量に対する溶出割合のプロットから、分子量5,000以下の成分量も求めることができる。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)において、ベタツキやブリードアウトや被着体への汚染が特に問題となるのは、常温のキシレンに可溶な成分(CXS成分)であるため、固有粘度[η]cxsの測定は、CXS成分に対して行うことが好ましい。
ここで、CXS成分は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)をp−キシレンに130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で12時間放置し、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させることにより得られ、得られたCXS成分の固有粘度[η] cxsを、デカリンを溶媒として用い、温度135℃でウベローデ型粘度計を用いて測定することができる。
このとき、本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、ブリードアウトしやすい分子量5,000以下の成分の生成を増加させることが無いため、従来のチーグラー・ナッタ系触媒では、製造上の問題やブロッキングなどの悪化により実用上問題のあった、CXS成分の固有粘度[η]cxsが2以下の領域であっても、格別な物性の悪化を引き起こすことなく、製造し利用することができる。
このようなCXS成分の固有粘度を下げながら分子量5,000以下の成分を増加させないプロピレン−エチレンブロック共重合体は、引張破断伸びが大きく、引張破断強度が高いという物性面での特徴を持ち、ブツやフィッシュアイと称される外観不良の発生が少なく、更に表面保護フィルムとして用いた場合被着体への耐汚染性に優れるという効果を示す。
各成分の量を特定するために用いたTREF溶出曲線を用いることで、本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体に、結晶性分布において付加的な特徴を見出すことができる。
(i)溶出ピーク温度T(A1)
TREF溶出曲線における成分(A1)の溶出ピーク温度T(A1)が高いほど、成分(A1)は結晶性が高くなるが、このとき、成分(A1)の結晶性が高くなるとプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の柔軟性を改良するために必要な成分(A2)を多くしなくてはならない。
一方で、成分(A2)の割合が多くなり過ぎるとベタツキや耐熱性の悪化が生じるため、柔軟性とのバランスを向上させるためには、T(A1)は高過ぎないほうがよい。さらに、臭気性などは成形温度の上昇と共に悪化する傾向があるが、T(A1)を低下させることで、押出温度を低下させても安定した可塑化が得られる点でも好ましい。
本発明において成分(A1)はプロピレン単独又はプロピレン・エチレンランダム共重合体であるが、T(A1)はエチレン含量の増加により低下させることができる。このとき、充分な柔軟性と耐熱性のバランスを発揮するためには、T(A1)は96℃以下であることが好ましく、最も好ましい範囲は88℃以下であることが好ましい。
一方、ピーク温度T(A1)が55℃未満である場合には、成分(A1)の結晶が融解する温度は低く、ブロック共重合体が充分な耐熱性を発揮することができずブロッキングが悪化するため、本発明においては、ピーク温度T(A1)は55℃以上であることが好ましく、より好ましくは、60℃以上である。
T(A1)が低くとも高結晶側に結晶性分布を持つ場合にはフィッシュアイの悪化が生じる場合がある。この原因は定かではないが、高結晶側に結晶性分布があると溶融押出時、特に低温での押出時に溶融状態と未溶融状態の樹脂が混在するためと推察される。
そこで、TREF溶出曲線において高温側への結晶性の広がりは抑制されることが好ましい。この高結晶側へ結晶性の広がりはTREF測定により評価可能であり、ピーク温度T(A1)に対し、成分プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)全体の溶出終了温度T(A4)(但し、TREF測定における誤差を考えると全て溶出する温度を定義することは困難であるので、本発明においては全体の99wt%が溶出する温度を溶出終了温度T(A4)と定義する)は高くないほうが好ましく、高温側に溶出成分があるとその成分の結晶化度が増加してしまうので、本発明の好ましい要件としてT(A4)は98℃以下、好ましくは90℃以下である。
さらに、溶出ピークから終了までの温度差ΔT(T(A4)−T(A1))は好ましくは5℃以下、より好ましくは4℃以下、さらに好ましくは3℃以下の範囲にあればよい。
成分(A2)の結晶性が充分に低下していないとプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の柔軟性を確保することができないため、T(A2)は好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下である。
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を製造する方法は、メタロセン系触媒の使用を必須とするものである。プロピレン−エチレンブロック共重合体において分子量及び結晶性分布が広いとベタツキやブリードアウトが悪化することは当業者に広く知られるところであるが、本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体においても、ベタツキ及びブリードアウトを抑制するため、かつ、フィルム成形においてより少ないフィッシュアイの発生を達成するために、分子量及び結晶性分布を狭くできるメタロセン系触媒を用いて重合されることが必要であり、チーグラー・ナッタ系触媒では本発明の優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体が得られないのは、後記の実施例と比較例との対比からも明らかである。
成分(x):一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物
成分(y):下記(y−1)〜(y−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分
(y−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体
(y−2)成分(x)と反応して成分(x)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体
(y−3)固体酸微粒子
(y−4)イオン交換性層状珪酸塩
成分(z):有機アルミニウム化合物
成分(x)としては、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物を使用することができる。
Q(C5H4−a−aR1)(C5H4−b−bR2)MeXY …(1)
[ここで、Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を示し、Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属原子を示し、X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。R1及びR2は、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基を示す。a 及びb は置換基の数である。]
X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、このうちで好ましいものとしては、水素、塩素、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基などを例示することができる。X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。
R1及びR2は、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基を表す。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基などが例示される。また、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基などを典型的な例として例示できる。これらの中で、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが特に好ましい。ところで、隣接したR1及びR2は、結合して環を形成してもよく、この環上に炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基からなる置換基を有していてもよい。
Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの中から選ばれる金属原子であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
これらの具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も好適な化合物として例示される。なお、触媒成分は本発明の重要要素ではないので、煩雑な列記を避け、代表的な例示に限定しているが、これにより本発明の有効範囲が制限されることが無いのは自明のことである。
成分(y)としては、上述した成分(y−1)〜成分(y−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分を使用する。これらの各成分は公知のものであり、公知技術の中から適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開2002−284808号公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報、特開2003−105015号公報などに詳細な例示がある。
ここで、成分(y−1)及び成分(y−2)に用いられる微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
上記成分(y)の中で特に好ましいものは、成分(y−4)のイオン交換性層状珪酸塩であり、さらに好ましい物は、酸処理、アルカリ処理、塩処理、有機物処理などの化学処理が施されたイオン交換性層状珪酸塩である。
必要に応じて成分(z)として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、下記一般式
AlRaX3−a
(式中、Rは、炭素数1から20の炭化水素基、Xは、水素、ハロゲン、アルコキシ基、aは0<a≦3の数)
で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム又はジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他に、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
(i)成分(x)と成分(y)を接触させる
(ii)成分(x)と成分(y)を接触させた後に成分(z)を添加する
(iii)成分(x)と成分(z)を接触させた後に成分(y)を添加する
(iv)成分(y)と成分(z)を接触させた後に成分(x)を添加する
(v)三成分を同時に接触させる
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体が単にプロピレンにエチレンを共重合させたランダム共重合体のときには、エチレン含量が少ない場合には柔軟性と耐衝撃性が充分でなく、これらの物性を向上させるためにエチレン含量を増加させると耐熱性が極めて悪化し製造が困難になるばかりでなく、要求される品質の全てを満たすことは困難である。
そこで、本発明においてプロピレン−エチレンブロック共重合体は、第1工程と第2工程でエチレン含量が異なる成分を逐次重合したブロック共重合体であることが柔軟性と耐熱性をバランスさせるために必要である。
また、本発明は成分(A2)として分子量が低く単独ではべたつきやすい共重合体を用いる場合があるので、反応器への付着などの問題を防止するために、成分(A1)を重合した後で成分(A2)を重合する方法を用いることが望ましい。
本発明の成分プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を製造実施するに際しては、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)と低結晶性或いは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を逐次重合することが前述した理由により必要である。
逐次重合を行う際には、バッチ法と連続法のいずれを用いることも可能であるが、一般的には生産性の観点から連続法を用いることが望ましい。
バッチ法の場合には時間と共に重合条件を変化させることにより単一の反応器を用いて成分(A1)と成分(A2)を個別に重合することが可能である。本発明の効果を阻害しない限り、複数の反応器を並列に接続して用いてもよい。
連続法の場合には成分(A1)と成分(A2)を個別に重合する必要から2個以上の反応器を直列に接続した製造設備を用いる必要があるが、本発明の効果を阻害しない限り成分(A1)、成分(A2)のそれぞれについて複数の反応器を直列及び/又は並列に接続して用いても良い。
重合プロセス(重合方法)は、スラリー法、バルク法、気相法など任意の重合方法を用いることができる。バルク法と気相法の中間的な条件として超臨界条件を用いることも可能であるが、実質的には気相法と同等であるため、特に区別することなく気相法に含める。
低結晶性或いは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は炭化水素などの有機溶媒や液化プロピレンに溶け易いため、成分(A2)の製造に際しては気相法を用いることが望ましい。
結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)の製造に対してはどのプロセスを用いても特に問題はないが、比較的結晶性の低い成分(A1)を製造する場合には、付着などの問題を避けるために気相法を用いることが望ましい。
したがって、連続法を用いて、まず結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)をバルク法もしくは気相法にて重合し、引き続き低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体エラストマー成分(A2)を気相法にて重合することが最も望ましい。
重合温度は通常用いられている温度範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜100℃の範囲を用いることができる。重合圧力は選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPaまで、より好ましくは0.1MPa〜50MPaの範囲を用いることができる。この際、窒素などの不活性ガスを共存させることもできる。
第一工程で成分(A1)、第二工程で成分(A2)の逐次重合を行う場合、第二工程にて系中に重合抑制剤を添加することが望ましい。プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造する場合には、第二工程のエチレン−プロピレンランダム共重合を行う反応器に重合抑制剤を添加すると、得られるパウダーの粒子性状(流動性など)やゲルなどの製品品質を改良することができる。この手法については各種技術検討がなされており、一例として特公昭63−54296号、特開平7−25960号、特開2003−2939号などの各公報を例示することができる。本発明にも当該手法を適用することが望ましい。
(イ)成分(A1)について
結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)については、エチレン含量([E]A1)とT(A1)を制御する必要がある。
本発明では、[E]A1を所定の範囲に制御するためには、第1工程における重合槽に供給するプロピレンとエチレンの量比を、適宜調整すればよい。供給比率と得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量の関係は、用いるメタロセン系触媒の種類によって異なるが、供給比率の調整により必要とするエチレン含量[E]A1を有する成分(A1)を製造することができる。例えば、[E]A1を0〜7wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0〜0.3の範囲、好ましくは0〜0.2の範囲とすればよい。
このとき、成分(A1)は結晶性分布が狭く、T(A1)は[E]A1の増加に伴い低下する。そこで、T(A1)が本発明の範囲を満たすようにするためには、[E]A1とこれらの関係を把握し、目標とする範囲を取るよう調整する。
低結晶性或いは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)については、エチレン含量[E]A2とT(A2)と[η]cxsを制御する必要がある。
本発明では、[E]A2を所定の範囲に制御するためには、[E]A1と同様に、第二工程におけるプロピレンに対するエチレンの供給量比を制御すればよい。例えば、[E]A2を5〜20wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0.01〜5の範囲、好ましくは0.05〜2の範囲とすればよい。このとき、成分(A2)もエチレン含量の増加に伴い若干結晶性分布の増加が見られるものの、成分(A1)と同様に、T(A2)は[E]A2の増加に伴い低下する。
そこでT(A2)が本発明の範囲を満たすようにするためには、[E]A2とT(A2)との関係を把握し、[E]A2を所定の範囲になるように制御すればよい。なお、[η]cxsについては、後述する。
成分(A1)の量W(A1)と成分(A2)の量W(A2)は、成分(A1)を製造する第一工程の製造量と成分(A2)の製造量の比を変化させることにより制御することができる。例えば、W(A1)を増やしてW(A2)を減らすためには、第一工程の製造量を維持したまま第二工程の製造量を減らせばよく、それは、第二工程の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたり、重合抑制剤の量を増やしたりすることにより容易に制御することができる。その逆も又同様である。
実際に条件を設定する際には、活性減衰を考慮する必要がある。すなわち、本発明にて実施するエチレン含有量[E]A1及び[E]A2の範囲においては、一般にエチレン含有量を高くするためにプロピレンに対するエチレン供給量比を高くすると重合活性が高くなり、同時に活性減衰が大きくなる傾向にある。したがって、第二工程の活性を維持するために第一工程の重合活性を抑制する必要があり、具体的には、 第一工程にて生産量W(A1)を下げ、必要に応じて、重合温度を下げる及び/又は重合時間(滞留時間)を短くする、あるいは第二工程にてエチレン含有量[E]A2を上げ、生産量W(A2)を上げ、必要に応じて、重合温度を上げる及び/又は重合時間(滞留時間)を長くするような方法で条件を設定すればよい。
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)では、ガラス転移温度Tgは、単一のピークを持つことが好ましい。Tgが単一のピークを持つためには、成分(A1)中のエチレン含有量[E]A1と成分(A2) 中のエチレン含有量[E]A2の差の[E]gap、すなわち[E]A2−[E]A1を20wt%以下、好ましくは18wt%、より好ましくは15wt%以下にし、実際の測定においてTgが単一のピークとなる範囲まで[E]gapを小さくすればよい。
結晶性の共重合体成分(A1)のエチレン含有量[E]A1に応じて、低結晶性或いは非晶性の共重合体成分(A2)のエチレン含量[E]A2を適正範囲に入るよう、成分(A2)の重合時のプロピレンに対するエチレンの供給重量比を設定することで、所定の[E]gapを有する重合体を得ることが可能である。
また、本発明のような相分離構造を取らないブロック共重合体のTgは、成分(A1)中のエチレン含有量[E]A1と成分(A2)中のエチレン含有量[E]A2、及び両成分の量比の影響を受ける。本発明においては、成分(A2)の量は5〜70wt%であるが、この範囲においてTgは成分(A2)中のエチレン含有量[E]A2の影響をより強く受ける。すなわち、Tgは非晶部のガラス転移を反映するものであるが、本発明のブロック共重合体成分(A)において成分(A1)は結晶性を持ち比較的非晶部が少ないのに対し、成分(A2)は低結晶性あるいは非晶性であり、そのほとんどが非晶部であるためである。
したがって、Tgの値は、ほぼ[E]A2によって制御され、[E]A2の制御法は前述したとおりである。
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)では、フィッシュアイの発生を抑制するために結晶性の共重合体成分(A1)と低結晶性或いは非晶性の共重合体エラストマー成分(A2)が相溶していることが好ましいので、成分(A1)の粘度[η]A1、成分(A2)の粘度[η]A2、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)全体の粘度[η]Wを適宜制御することが好ましい。成分(A1)の粘度[η]A1、成分(A2)の粘度[η]A2、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)全体の粘度[η]Wの間には、見かけ上の粘度の混合則が概ね成立する。すなわち、
Log[η]W={W(A1)×Log[η]A1+W(A2)×Log[η]A2}/100
が概ね成立する。一般にMFRと[η]の間には一定の相関があるから、最初に柔軟性や耐熱性などの観点から、[η]A2、W(A1)、W(A2)を設定しておけば、上記の式に従って[η]A1を変化させることによって、MFRを自在に制御することができる。
T(A)は結晶性分布を示す指標である。成分(A1)の結晶性分布が狭いほどT(A4)はT(A1)に近くなるため(低くなり)、(A4)を低く制御することは、成分(A1)と成分(A2)の結晶性分布を狭く制御することに他ならない。
一般的には、メタロセン系触媒を用いることにより、チーグラー・ナッタ系触媒を用いる場合より、結晶性分布の狭いポリマーを得ることができるが、本発明のような逐次重合を行う系においては、結晶性分布を狭くするためにはメタロセン系触媒を用いるだけでは必要充分ではない。
一般的に、メタロセン系触媒を用いることによりチーグラー・ナッタ系触媒の場合より分子量分布の狭いポリマーを得ることができる。しかし、本発明のような逐次重合を行う系においては、分子量分布を狭くするためにはメタロセン系触媒を用いるだけでは必ずしも充分ではない。特に、低分子量成分の生成を防ぐためには、第一工程から第二工程へ移送する時間を短くしたり、移送工程に於いて第一工程に対応するモノマーガス混合物を窒素などの不活性ガスで完全に置換したりすることにより、重合条件とは独立に、W(Mw≦5,000)を小さく制御することができる。
[η]cxsについては、本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)はメタロセン系触媒を用いることで、成分(A1)中に殆んどCXS成分を含まないため、成分(A2)の分子量を変化させる事により制御することができる。[η]cxsを制御するためには、常法通り第二工程におけるモノマーに対する水素の供給量比を制御すればよい。また、一般にメタロセン系触媒は重合温度が高いほど得られるポリマーの分子量が低くなる傾向があるため、重合温度を変化させることによっても[η]cxsを制御することが可能である。また、水素供給量比と重合温度の両方を組み合わせて[η]cxsを制御することもできる。
本発明の表面保護用フィルムは、上記プロピレン系樹脂よりなる基材層の一方の面に粘着層が形成される。粘着層としては、下記エチレン・α−オレフィン共重合体と下記熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体とを含有するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物からなる。
本発明の粘着層で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、メタロセン触媒を用いて重合され、下記(b1)〜(b2)の特性、さらに必要に応じて(b3)〜(b4)の特性を有する。粘着層にこのエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより、基材層と粘着層の少なくとも一方が溶融状態で積層するときは強固に接着し、粘着層と基材層の両方が固体状態で接するロール巻状態から、ロールを解くときにはスムースにはがれるという特性を有する表面保護用フィルムとすることができ、表面保護フィルム製造工程において基材層との剥離強度が向上するとともに、表面保護フィルム使用時には繰り出し性が向上する。
エチレン・α−オレフィン共重合体中のエチレン含量は、50重量%以上が好ましい。エチレン含量が低いと粘着力が弱くなる傾向があるため粘着層としての効果が劣ることがある。α−オレフィンの含有量は求められる密度に応じ適宜調整される。
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度[d]は、0.860〜0.918g/cm3、好ましくは0.865〜0.905g/cm3、より好ましくは0.870〜0.898g/cm3である。密度が0.860g/cm3未満では粘着力が高くなりすぎて、基材層から剥離し被保護物に跡が残る問題がある。また、密度が0.918/cm3を超えるものは、粘着力が弱くなり過ぎて粘着層としての効果が得られない。
なお、密度は、JIS−K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定する値である。
エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、3.5以下、好ましくは1.5〜3.0であり、より好ましくは2.0〜2.5である。上記範囲であれば、べたつきの発生もなく好ましい。
ここで、Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。Mw/Mnの測定方法は、以下の通りである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本[カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.723、logK=−3.407である。
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
エチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は、0.1〜50g/10分が好ましく、より好ましくは1〜30g/10分であり、特に好ましくは2〜15g/10分である。MFRが0.1g/10分未満のものは、押出特性が悪化しやすく、本発明のプロピレン系樹脂製の基材フィルムとの界面荒れが発生し問題がある。50g/10分を超えるものは厚みムラの原因になる。
なお、MFRは、JIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する値である。
エチレン・α−オレフィン共重合体のオルトジクロロベンゼンを溶媒とした昇温溶離分別(TREF)測定おける20℃以下の溶出量は、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体の昇温溶離分別(TREF)による65℃以上の溶出量は、0.5重量%以上、好ましくは2.0重量%以上、より好ましくは5.0重量%以上である。上記範囲であれば、良好な粘着強度が維持できるので好ましい。
まず、ポリマーサンプルを0.5mg/mLのBHTを含むオルトジクロロベンゼン(ODCB)に140℃で完全に溶解した後、この溶液を装置のサンプルループを経て140℃に保持されたTREFカラム(不活性ガラスビーズ担体が充填されたカラム)に注入し、所定の第1溶出温度まで徐々に冷却しポリマーサンプルを結晶化させる。所定の温度で30分保持した後、ODCBをTREFカラムに通液することにより、溶出成分がGPC部に注入されて分子量分別が行われ、赤外検出器(FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器、測定波長3.42μm)によりクロマトグラムが得られる。その間TREF部では次の溶出温度に昇温され、第1溶出温度のクロマトグラムが得られた後、第2溶出温度での溶出成分がGPC部に注入される。以下同様の操作を繰り返すことにより、各溶出温度での溶出成分のクロマトグラムが得られる。測定条件を以下に示す。
装置:ダイヤインスツルメンツ社製CFC−T102L
GPCカラム:昭和電工社製AD−806MS(3本を直列に接続)
溶媒:ODCB
サンプル濃度:3mg/mL
注入量:0.4mL
結晶化速度:1℃/分
溶媒流速:1mL/分
GPC測定時間:34分
GPC測定後安定時間:5分
溶出温度:0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140
データ解析:測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムは、装置付属のデータ処理プログラムにより処理され、総和が100%となるように規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)が求められる。さらに、溶出温度に対する積分溶出曲線が計算される。得られた溶出曲線から20℃以下の溶出量と65℃以上の溶出量を求める。
例えば、密度は、α−オレフィンの供給量を減らす、重合温度を上昇させると大きくなる傾向にある。また、TREF20℃以下の溶出量は、α−オレフィンの供給量を増やす、重合温度を下降させると大きくなる傾向にある。さらに、MFRは、重合圧力を上げると下がる傾向にある。
本発明の粘着層で用いる熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体は、熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物であり、下記(c1)の特性を有する。
熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体のスチレン含量[St]は、5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。スチレン含量が5重量%未満であると、透明性改良効果が顕著に見られず好ましくない。また、60重量%を超えると、プロピレン系樹脂との親和性が著しく低下するので、分散性が低下したり、柔軟性が著しく低下するため好ましくない。
本発明の粘着層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、上記エチレン・α−オレフィン共重合体と熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体と含む組成物であるが、次の条件(c)を満たす必要がある。
条件(c):エチレン・α−オレフィン共重合体の密度[d](g/cm3)と熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体のスチレン含量[St](重量%)が下記式(8)の関係を満たし、
640[d]−561.2<[St]<640[d]−539.2 …(8)
好ましくは、式(8)’を満たし、
640[d]−558.2<[St]<640[d]−539.2 …(8)’
より好ましくは、式(8)”を満たす。
640[d]−555.2<[St]<640[d]−541.2 …(8)”
なお、式(8)は経験的に導かれたもので、理論的意味合いは明らかとされてはいないが、式(8)の範囲内となるエチレン・α−オレフィン共重合体と熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体との組合せにおいては、両成分の親和性が増し、組成物としたときの分散性が高まることや、各成分の屈折率が近づき散乱が減少するためと考えられる。
本発明の粘着層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体と熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体の配合割合は、エチレン・α−オレフィン共重合体50〜95重量%に対して、熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体が5〜50重量%となるようにする。好ましくはエチレン・α−オレフィン共重合体60〜90重量%に対して、熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体が10〜40重量%である。エチレン・α−オレフィン共重合体が95重量%を超過すると、得られるポリエチレン樹脂組成物の十分な透明改良効果が見られない。熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体が50重量%を超過すると、ポリエチレン樹脂組成物からなるシートの圧縮永久歪み等が悪くなり好ましくない。
本発明の表面保護フィルムにおいては、必要に応じて、上記プロピレン系樹脂よりなる基材層の一方に形成される粘着層の他方の面に剥離処理層が形成される。剥離処理層としては、公知のものであれば、特に限定されず、たとえば、シリコーン系又は長鎖アルキル系剥離処理剤にて形成した層やフィルム表面を荒らして凹凸を形成し剥離性を向上させた層、あるいは両者を組み合わせた層を挙げることができるが、透明性の点からシリコーン系又は長鎖アルキル系剥離処理剤にて形成した層であることが好ましい。
例えば、縮合反応型シリコーン系離型剤としては、例えば、分子末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンに、セロルース誘導体やアルキッド樹脂を配合したシリコーン系離型剤が挙げられる。ここで分子末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとしては、側鎖の官能基としてメチル基やエチル基等のアルキル基やフェニル基が導入されたポリシロキサン(例えば、ジメチル・ジフェニルポリシロキサン)を使用することが好ましく、これにより、セルロース誘導体やアルキッド樹脂との相溶性が良好となり、剥離特性が安定した離型剤を得ることができる。またこの分子末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンには、アルコキシ基含有オルガノポリシロキサン等の架橋剤や、ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずジアセテート、ジブヂルすずジオクテート、オクチル酸亜鉛等の触媒を適宜配合してもよい。また必要に応じて第三成分としてアクリル樹脂等の樹脂も適宜配合できる。シリコーン系離型剤中、上記架橋剤は、好ましくは4〜20重量%、触媒は、好ましくは5〜10重量%、第3成分としての樹脂は好ましくは5〜26重量%配合される。
例えば、日東電工株式会社製BPタイプ、アシオ産業株式会社製アシオレジン、一方社油脂株式会社製ピーロイルなどを用いることができる。
また、剥離処理層は、基材層との密着性を考慮しプロピレン系樹脂に剥離処理剤を配合し剥離処理層として使用することができる。プロピレン系樹脂に上記剥離処理剤を配合して使用する場合、プロピレン系樹脂および剥離処理剤の合計を100重量%としたとき、プロピレン系樹脂の含有量が1〜99重量%であり、剥離処理剤の含有量が99〜1重量%である。
本発明におけるプロピレン系樹脂よりなる基材層、粘着層および必要に応じて用いられる剥離処理層には、フィルムの製膜安定性、2次加工時の取り扱い及び表面保護用フィルムとしての品質維持から、本発明の目的が損なわれない範囲で、公知の樹脂配合剤として使用される各種添加剤、例えば、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、核剤、中和剤、光安定剤、帯電防止剤、粘着付与剤等を含有していてもよい。各種添加剤について以下に詳しく述べる。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
これら酸化防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
アンチブロッキング剤の平均粒子径は、1〜7μm、好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは、1〜4μmである。平均粒子径が1μm未満では、得られるフィルムの滑り性、開口性が劣り好ましくない。一方、7μmを越えると、傷つき性が著しく劣り好ましくない。ここで平均粒子径は、コールターカウンター計測による値である。
また、有機系としては、ポリメチルメタクリレート、ホリメチルシリルトセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド(ユリア樹脂)、フェノール樹脂等を用いることができる。
特に合成シリカ、ポリメチルメタクリレートが分散性、耐ブロッキング性、傷つき性のバランスから好適である。
また、アンチブロッキング剤は表面処理されたものを用いてもよく、表面処理剤としては、界面活性剤、金属石鹸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、フッソ樹脂、シランカップリング剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダ等の縮合リン酸塩等を用いることができ、特に有機酸処理なかでもクエン酸処理されたものが好適である。処理方法は特に限定されるものではなく、表面噴霧、浸漬等公知の方法を採用することができる。
アンチブロッキング剤はいかなる形状であってもよく球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状等任意の形状とすることができる。
これらアンチブロッキング剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
スリップ剤としては、モノアマイド類、ビスアマイド類等が挙げられ、これらは置換されたものであってもよい。これらのうち1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
モノアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
不飽和脂肪酸モノアマイドとしては、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等が挙げられる。
モノアマイドのうち置換アマイド類の具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド等が挙げられる。
ビスアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
不飽和脂肪酸ビスアマイドとしては、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
芳香族系ビスアマイドとしては、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイドなどが挙げられる。
これらの中では、特に、脂肪酸アマイドのうち、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイドが好適に使用される。
ビスアマイドのうち置換アマイド類の具体例としては、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物((株)ADEKA製、商品名NA21)等が挙げられる。
上記核剤を配合する場合の配合量としては、基材層、粘着層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して、0.0005〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.005〜0.05重量部である。上記範囲未満では核剤としての効果が得られない。上記範囲を超えると、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学工業(株)製)などを挙げることができる。
中和剤の配合量は、基材層、粘着層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して、0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。中和剤の配合量が前記範囲内では内部滑剤としての効果が向上し、押出機内部の劣化物の掻き出しを抑制する。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が好適に使用され、従来公知のピペリジンの2位および6位の炭素に結合しているすべての水素がメチル基で置換された構造を有する化合物が特に限定されることなく用いられるが、具体的には以下のような化合物が用いられる。
具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
これらのヒンダードアミン系安定剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系安定剤の含有量が、前記範囲内では耐熱性、耐老化性等の安定性が向上する。
帯電防止剤としては、従来から静電防止剤または帯電防止剤として使用されている公知のものであれば特に限定されることなく使用でき、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
粘着性付与剤としては、例えば、脂肪族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、芳香族系石油樹脂、C5系石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、タッキファイヤー等が挙げられ、これらは、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
また、前記に例示した粘着性付与剤以外の粘着性付与剤としては、エチレン・α−オレフィン共重合体、水添スチレン系エラストマーなど、公知の粘着性付与剤が挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体としては、日本ポリエチレン(株)製「カーネル」シリーズや「ハーモレックス」シリーズ、ダウ・ケミカル日本(株)製「アフィニティ」シリーズや「エンゲージ」シリーズ等が例示でき、また、水添スチレン系エラストマーとしてはJSR(株)製「ダイナロン」シリーズ等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、柔軟性を付与する成分としてエラストマーを配合したり、紫外線吸収剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを配合することができ、その配合割合は適宜量である。
一般的には、酸化防止剤や中和剤などの添加剤を配合して、混合、溶融、混練された後、製品に成形され使用される。成形時に本発明の効果を著しく損なわない範囲で他樹脂、或いは、その他の付加的成分(マスターバッチを含む)を添加し使用することも可能である。
本発明の表面保護用フィルムは、公知の積層フィルムの製造方法で製造することができる。
例えば、Tダイキャスト法、水冷インフレーション法、空冷インフレーション法等の公知の技術によって製造する。
Tダイキャスト法としては、押出機で溶融混練された樹脂がTダイから押し出され、水等の冷媒を通したロールに接触させられることにより冷却されて、一般に透明性が良く、厚み精度の良いフィルムを製造することができる。この様な方法はフィルムにとって好ましい製造方法である。
また、粘着層を積層により得る方法として、押出機により、粘着剤を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に押し出し、基材層の片面に積層する方法、あるいは、押出機により、基材層及び粘着剤を加熱溶融させて、基材層と共にTダイよりフィルム状に共押出しする方法などを挙げることができる。
本発明では、粘着層を基材層と共にTダイよりフィルム状に共押出し形成する方法を採用すると、汚染性の問題、経済上の点で有利である。
剥離処理層を塗布により得る方法としては、基材層の片面に対し、トルエン溶液等の有機溶剤に溶かした剥離処理剤をロールコーター等により塗布後、乾燥して剥離処理剤を硬化させて剥離処理層を形成する方法を挙げることができる。その際、基材層と剥離処理層との親和力を向上させるため、基材層の片面(剥離処理層との接着面)に、従来公知のコロナ放電処理、プラズマ放電処理、プライマー処理などが施されていてもよい。
また、剥離処理層を積層により得る方法としては、押出機により、剥離処理層を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に、基材層の片面に積層する方法、あるいは、押出機により、基材層及び剥離処理層を加熱溶融させて、基材層と共にTダイよりフィルム状に共押出しする方法などを挙げることができる。
本発明の表面保護用フィルムの用途としては、公知のあらゆる表面保護を必要とする製品が含まれ、分野別では、例えば、電子部品搬送用保護用フィルムおよびプリント基板用保護フィルム等のエレクトロニクス分野、窓ガラス保護用フィルム、焼付塗装用フィルム、自動車をユーザーにわたるまで保護するためのガードフィルム、表示用マーキングフルム、装飾用マーキングフィルムおよび緩衝・保護・断熱・防音用のスポンジフィルム等の自動車分野、絆創膏や経皮吸収貼付薬等の医療・衛生材料分野、ならびに電気絶縁用、識別用、ダクト工事用、窓ガラス保護用、養生用、包装用、梱包用、事務用、家庭用、固定用、結束用および、補修用の保護フィルム等の住宅・建設分野が挙げられる。
これらの中では、特に合成樹脂板、化粧板、金属板、ガラス板などの建築部材の表面保護用、偏光板や位相差板などの液晶表示の構成部材の表面保護用に好適に用いることができる。
(1)MFR:プロピレン−エチレンブロック共重合体は、JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、荷重21.18N荷重で測定し、ポリエチレン系樹脂は、JIS K−6922−2:1997付属書に準拠し、190℃、荷重21.18N荷重で測定した。
(2)密度:JIS K−6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定した。
(3)融解ピーク温度:示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tmp)を測定した。
(4)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn):基材層および粘着層の説明で述べた方法で測定した。
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)を1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。(イ)装置
(イ−1)TREF部
TREFカラム:4.3mmφ × 150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(イ−2)試料注入部
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(イ−3)検出部
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル 光路長1.5mm 窓形状2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(イ−4)ポンプ部
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
(ロ)測定条件
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)
試料濃度:5mg/ml
試料注入量:0.1ml
溶媒流速 :1ml/分
(7)固体粘弾性測定
試料は、下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
試験片の作成条件
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
成形機:東洋機械金属社製TU−15射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から 80,80,160,200,200,200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
射出圧力:800kgf/cm2
保持圧力:800kgf/cm2
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅30mm 長さ90mm)
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHTを含む)に130℃で溶解させ溶液とした後、23℃で12時間放置する。その後、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥しCXSを回収して、秤量する。得られたCXS成分の極限粘度をウベローデ型粘度計を用いてデカリンを溶媒として用い温度135℃で測定した。
(9)エチレン含有量の算出
基材層の説明で述べた方法で測定した。
(10)引張弾性率:フィルムをISO527に準拠し、下記の条件にて、フィルムの流れ方向(MD)についての引張弾性率を測定した。
得られた数値が低い方がフィルムの剛性が柔軟であるといえ、400MPa以下であることが柔軟な表面保護フィルムとしては好ましく、更に好ましくは300MPa以下である。
サンプル長さ:150mm
サンプル幅:10mm
チャック間距離:100mm
クロスヘッド速度:25mm/min
(11)フィッシュアイ:フィルムの面積1m2よりフィッシュアイの個数を数えた。得られたフィッシュアイを目視にて長径で0.4mm以上(≧0.4mm)、0.4mmより小さく0.2mm以上(<0.4mm〜≧0.2mm)、0.2mmより小さく0.1mm以上(<0.2mm〜≧0.1mm)の各サイズに分類し、それぞれの個数を分けた(単位:個/m2)。
フィッシュアイの数が少ない方が、表面保護フィルムを被保護物に貼付けて段積み保管しても、被保護物に凹みが生じることがなく表面保護フィルムとして良好である。
(12)粘着性:フィルムのタテ方向を長手方向にとり、幅25mm、長さ20cmに切断し、予め60℃に加温したアクリル樹脂板(鏡面状のアクリル板(三菱レイヨン(株)製『アクリライトL001』3mm板)に貼りつけた。貼りつけたフィルムを温度23℃湿度50%の中で12時間エージングした後、JIS Z0237に準拠して引張速度300mm/min、引きはがし角度180℃にて25mm幅あたりの粘着強度を測定した。
数値が高ければ粘着強度が高い。粘着強度は被着体により目標の強度は異なるが、一般的には1〜400g/25mmの範囲で使用される。粘着強度が低すぎると、被着体への貼りあわせができない。また、粘着強度が高すぎると被着体から容易に剥離することができない。
(13)フィルム繰り出し性:通常表面保護フィルムは、一旦紙管に巻き取られ、その後繰り出されて二次加工や製品に接着して使用される。繰り出し性の評価として、成形したフィルムを3インチの紙管に巻き取り、その後繰り出した際にフィルムが伸びて変形しないものを○、伸びて変形し、滑らかに繰り出せないものを×とした。
(14)層間剥離(打抜衝撃強度):東洋精機製の「パンクチャーテスター」試験機を用い、1/2インチの半球ヘッドを用いて打ち抜きを行い、目視で確認し、剥離しないものを○、剥離有無を明確に判断できないものを△、剥離の有るものを×とした。
(15)ヘイズ:フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下にて24時間状態調整した後、JIS−K7136−2000に準拠してヘイズメーターで測定した。
得られた値が小さいほど透明性がよい。本発明の表面保護フィルムとしてはヘイズ値が10以下であることが好ましく、6以下がより好ましく5以下がもっとも好ましい。
(1)基材層樹脂
基材層樹脂のプロピレン−エチレンブロック共重合体として、後述の製造例1〜8で得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(PEB−1〜8)を用いた。重合条件及び重合結果を表3に、物性を表4に示す。
(i)予備重合触媒の調製
(イ)珪酸塩の化学処理
10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm 粒度分布=10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。
(ロ)珪酸塩の乾燥
先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。仕様、乾燥条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状 内径50mm 加温帯550mm(電気炉) かき上げ翼付き回転数:2rpm 傾斜角:20/520 珪酸塩の供給速度:2.5g/分 ガス流速:窒素 96リットル/時間 向流乾燥温度:200℃(粉体温度)
(ハ)触媒の調製
撹拌及び温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換した。ここに、乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1,160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2,000mlに調製した。次に、先に調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71ML)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。平行して、(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2,180mg(0.3mM)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)33.1mlを加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して5,000mlに調製した。
(ニ)予備重合/洗浄
続いて、槽内温度を40℃昇温し、温度が安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを2,400mlデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71ML)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5600ml添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5600ml除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23mモル/リットル、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71ML)のヘプタン溶液を170ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。触媒1g当たりポリプロピレンを2.0g含む予備重合触媒が得られた。
第一工程では、内容積0.4m3の攪拌装置付き液相重合槽を用いてプロピレン−エチレンランダム共重合を実施した。液化プロピレンと液化エチレン、トリイソブチルアルミニウムをそれぞれ90kg/時、4.2kg/時、21.2g/時で連続的に供給した。水素供給量は第一工程のMFRが目標の値となるように調節した。
さらに、上記の予備重合触媒を、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)、6.9g/時となるように供給した。また、重合温度が45℃となるように重合槽を冷却した。
第一工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合を分析したところ、BD(嵩密度)は0.46g/cc、MFRは7.0g/10分、エチレン含有量は3.7wt%であった。
第二工程では、内容積0.5m3の攪拌式気相重合槽を用いてプロピレン−エチレンランダム共重合を実施した。第一工程の液相重合槽より重合体粒子を含んだスラリーを連続的に抜き出し、液化プロピレンをフラッシングした後、窒素で昇圧して気相重合槽へ連続的に供給した。
重合槽は温度が80℃、プロピレンとエチレンと水素の分圧の合計が1.5MPaとなるように制御した。その際にプロピレンとエチレンと水素の分圧の合計に占めるプロピレンとエチレン及び水素の濃度は、それぞれ66.97vol%、32.99vol%、420volppmとなるように制御した。
さらに、活性抑制剤としてエタノールを気相重合槽に供給した。エタノールの供給量は、気相重合槽に供給される重合体粒子に随伴して供給されるTIBA中のアルミニウムに対して、0.3mol/molとなるようにした。
こうして得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体を分析したところ、活性は8.7kg/g−触媒、BDは0.41g/cc、MFRは7.0g/10分、エチレン含有量は8.7wt%であった。
上記で得られたブロック共重合体パウダーにブレンダーに下記の酸化防止剤を添加し、充分に撹拌混合した。
酸化防止剤:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、イルガホス168)0.10重量部
添加剤を加えた共重合体パウダーをヘンシェルミキサーにより750rpmで1分間室温で高速混合した後、スクリュー口径30mmの池貝製作所製PCM二軸押出機にて、スクリュー回転数200rpm、吐出量10kg/hr、押出機温度190℃で溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を、冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することでプロピレン−エチレンブロック共重合体の原料ペレット(PEB−1)を得た。
(i)第一工程
攪拌羽根を有する横型反応器(L/D=6、内容積100リットル)を十分に乾燥し、内部を窒素ガスで十分に置換した。ポリプロピレン粉体床の存在下、回転数30rpmで攪拌しながら、反応器の上流部に製造例1と同様の方法で調整した予備重合触媒を(予備重合パウダーを除いた固体触媒量として)0.444g/hr、トリイソブチルアルミニウムを15.0mmol/hrで連続的に供給した。反応器の温度を65℃、圧力を2.00MPaGに保ち、且つ反応器内気相部のエチレン/プロピレンモル比が0.058、水素濃度が150ppmになるように、モノマー混合ガスを連続的に反応器内に流通させ、気相重合を行った。反応によって生じた重合体パウダーは、反応器内の粉体床量が一定になるように、反応器下流部より連続的に抜き出した。この時、定常状態になった際の重合体抜き出し量は10.0kg/hrであった。
第一工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合を分析したところ、BD(嵩密度)は0.47g/cc、MFRは9.0g/10分、エチレン含有量は1.7wt%であった。
(ii)第二工程
攪拌羽根を有する横型反応器(L/D=6、内容積100リットル)に、第一工程より抜き出したプロピレン−エチレン共重合体を連続的に供給した。回転数25rpmで攪拌しながら、反応器の温度を70℃、圧力を1.88MPaGに保ち、且つ反応器内気相部のエチレン/プロピレンモル比が0.450、水素濃度が300ppmになるように、モノマー混合ガスを連続的に反応器内に流通させ、気相重合を行った。反応によって生じた重合体パウダーは、反応器内の粉体床量が一定になるように、反応器下流部より連続的に抜き出した。この時、重合体抜き出し量が18.0kg/hrになるように活性抑制剤として酸素を供給し、第二工程での重合反応量を制御した。
こうして得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体を分析したところ、活性は40.5kg/g−触媒、BDは0.48g/cc、MFRは7.0g/10分、エチレン含有量は6.3wt%であった。
得られた重合体パウダーから、製造例1と同様の添加剤配合、造粒条件により、(PEB−2)原料ペレットを得た。
製造例1と同様にして重合条件を変化させプロピレン−エチレンブロック共重合体を製造した。
得られた重合体パウダーから、製造例1と同様の添加剤配合、造粒条件により、(PEB−3〜6)原料ペレットを得た。
(i)固体触媒成分の調製
充分に窒素置換したフラスコに、脱水および脱酸素したn−ヘプタン2,000ミリリットルを導入し、次いでMgCl2 を2.6モル、Ti(O−n−C4H9 )4 を5.2モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を320ミリリットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタンを4,000ミリリットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で1.46モル導入した。次いでn−ヘプタン25ミリリットルにSiCl4 2.62モルを混合して30℃において30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでn−ヘプタン25ミリリットルにフタル酸クロライド0.15モルを混合して、70℃において30分間でフラスコへ導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでTiCl4 11.4molを導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して固体成分を得た。この固体成分のチタン含有量は2.0wt%であった。
次いで、撹拌及び温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換し、ここへ、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5,000ミリリットル導入して上記で合成した固体成分を100グラム導入し、SiCl4 0.875molを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに(CH2 =CH)Si(CH3)3 0.15mol、(t−C4H9 )(CH3 )Si(OCH3)2 0.075mol及びAl(C2H5)3 0.4molを順次導入して30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分を得た。このもののチタン含有量は、1.8wt%であった。
(ii)予備重合
撹拌及び温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換した。ここへ、上記で調製した固体触媒成分のn−ヘプタンスラリーを固体触媒成分として100g導入し、更にn−ヘプタンを導入して液レベルを5,000ミリリットルに調整した。次に、槽内温度を15℃に調節し、トリエチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液(10wt%)をAl(C2 H5)3 として0.1mol添加した。その後、プロピレンを50g/時間の速度で2時間供給して予備重合を行った。予備重合終了後、残モノマーをパージし、固体触媒をn−ヘプタンで充分に洗浄した。洗浄終了後、減圧乾燥を行い、予備重合触媒を得た。この予備重合触媒中には、触媒1g当たり2.0gのポリプロピレンが含まれていた。
(iii)重合
こうして得られた予備重合触媒を用い、かつ、トリイソブチルアルミニウムの代わりにトリエチルアルミニウムを10g/時で連続的に供給し、更に、表4に示す重合条件を用いた以外は製造例1と同様にしてプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造を行った。
得られた重合体パウダーから、製造例1と同様の添加剤配合、造粒条件により、(PEB−7)原料ペレットを得た。
製造例1において、第二工程を行わずに第一工程のみを行った点以外は重合製造例1と同様にして重合を実施し、プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造を行った。
得られた重合体パウダーから、製造例1と同様の添加剤配合、造粒条件により、(PEB−8)原料ペレットを得た。
エチレン・α−オレフィン共重合体およびエチレン系樹脂として、メタロセン触媒による製造例9〜11で得られたエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(PE−1〜3)を用いた。表5に物性を示す。
触媒の調製は、特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等倍モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が73重量%となるように40kg/時の割合で連続的に供給した。また、重合温度が127℃を維持するように触媒供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は約2.1kgであった。反応終了後、MFRが3.5g/10分、密度が0.880g/cm3、Mw/Mnが2.0、TREFの20℃以下の溶出量が12.3重量%であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)を得た。
製造例9において、重合温度が144℃、エチレンと1−ヘキセンとの混合物中の1−ヘキセンの組成が63重量%となるように条件を変更して、エチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−2)を得た。表5に物性を示す。
製造例9において、重合温度が156℃、エチレンと1−ヘキセンとの混合物中の1−ヘキセンの組成が54重量%となるように条件を変更して、エチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−3)を得た。表5に物性を示す。
熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体として、表6に示すスチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロック共重合体水添物(SEBS−1)〜(SEBS−3)を用いた。
メタロセン触媒を用いて重合したプロピレン−エチレンブロック共重合体として、PEB−1を原料とし、口径35mmφの押出機、幅330mmTダイス、エアナイフおよび冷却ロールを具備したTダイ法フィルム製造装置を用いて、Tダイのリップクリアランスを0.8mm、押出機のシリンダーの設定温度を230℃、冷却ロール温度を35℃の条件において、製膜引取速度10m/minで成形し、フィルム厚さ40μmのフィルムを得た。得られたフィルムからプロピレン系樹脂フィルム(基材層)の特性を評価した。結果を表7に示す。
実施例1において用いたPEB−1を、PEB−2に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表7に示す。
実施例1において用いたPEB−1を、PEB−3に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表7に示す。
実施例1において用いたPEB−1を、PEB−8に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表7に示す。
実施例1において用いたPEB−1を、PEB−5に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表7に示す。
実施例1において用いたPEB−1を、PEB−6に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表7に示す。
実施例1において用いたPEB−1を、PEB−7に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表7に示す。
35mmφの押出機及び20mmφの押出機、幅300mmのTダイス、エアナイフおよび冷却ロールを具備したTダイ法2層共押出フィルム製造装置を用い、35mmφの押出機に基材層用原料としてプロピレン−エチレンブロック共重合体(PEB−1)を使用、20mmφの押出機に粘着層用原料としてPE−1:80重量%とSEBS−3:20重量%の混合物を使用し、Tダイのリップクリアランスを0.8mm、押出機のシリンダーの設定温度を230℃、冷却ロール温度を35℃の条件において、製膜引取速度10m/minで、基材層厚み40μm、粘着層厚み10μmになるように共押出して2層の未延伸フィルムからなる保護用フィルムを成形した。得られた表面保護用フィルムの評価結果を表8に示す。
基材層に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体としてPEB−2を用いた以外は実施例4と同様の条件にて表面保護フィルムを成形した。得られた表面保護用フィルムの評価結果を表8に示す。
粘着層としてPE−2:80重量%とSEBS−1:20重量%の混合物を用いた以外は実施例4と同様の条件にて表面保護フィルムを成形した。得られた表面保護用フィルムの評価結果を表8に示す。
粘着層としてPE−2:80重量%とSEBS−2:20重量%の混合物を用いた以外は実施例4と同様の条件にて表面保護フィルムを成形した。得られた表面保護用フィルムの評価結果を表8に示す。
粘着層としてPE−1:50重量%とSEBS−3:50重量%の混合物を用いた以外は実施例4と同様の条件にて表面保護フィルムを成形した。得られた表面保護用フィルムの評価結果を表8に示す。
実施例4において、基材層に用いるプロピレン系樹脂としてPEB−3用いた以外は実施例4と同様の条件にて表面保護フィルムを成形した。得られた表面保護用フィルムの評価結果を表8に示す。
粘着層としてPE−3:80重量%とSEBS−3:20重量%の混合物を用いた以外は実施例4と同様の条件にて表面保護フィルムを成形した。得られた表面保護用フィルムの評価結果を表8に示す。
粘着層としてPE−1:80重量%とSEBS−1:20重量%の混合物を用いた以外は実施例4と同様の条件にて表面保護フィルムを成形した。得られた表面保護用フィルムの評価結果を表8に示す。
基材層に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体としてPEB−4を用いた以外は実施例4と同様の条件にて表面保護フィルムを成形した。得られた表面保護用フィルムの評価結果を表8に示す。
基材層に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体としてPEB−7を用いた以外は実施例4と同様の条件にて表面保護フィルムを成形した。得られた表面保護用フィルムの評価結果を表8に示す。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度と熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体のスチレン含量の関係が本発明の範囲外のものは、透明性に劣る(比較例5、6)。
Claims (9)
- プロピレン系樹脂からなる基材層の一方の面に粘着層が形成された表面保護用フィルムにおいて、前記プロピレン系樹脂が、メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(a1)〜(a2)の特性を有するプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)であり、粘着層が、メタロセン触媒を用いて重合され、下記(b1)〜(b2)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)50〜95重量%と下記(c1)の特性を有する熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体(C)5〜50重量%とを含有し、かつ、条件(c)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体組成物からなることを特徴とする表面保護用フィルム。
(A)プロピレン−エチレンブロック共重合体
(a1)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜95重量%、第2工程で成分(A1)よりも多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜5重量%逐次重合して得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体
(a2)メルトフローレート(MFR:230℃ 2.16kg)が1〜30g/10分
(B)エチレン・α−オレフィン共重合体
(b1)密度[d]が0.860〜0.918g/cm3
(b2)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5以下
(C)熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体
(c1)スチレン含量[St]が5〜60重量%
条件(c):成分(B)の密度[d](g/cm3)と成分(C)のスチレン含量[St](重量%)が下記式(8)を満たす。
640[d]−561.2<[St]<640[d]−539.2 …(8) - プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が、さらに下記(a3)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の表面保護用フィルム。
(a3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる分子量5,000以下の成分量W(Mw≦5,000)が、全体の0.8重量%以下 - プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が、さらに下記(a4)〜(a5)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の表面保護用フィルム。
(a4)第1工程で得られる成分(A1)が、エチレン含量が0.5〜6重量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体で、ブロック共重合体の全体における割合が30〜85重量%の範囲にあり、第2工程で得られる成分(A2)が(A1)よりも6〜20重量%多くのエチレン含量で、ブロック共重合体の全体における割合が70〜15重量%の範囲にあること
(a5)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピーク温度T(A1)が55℃〜96℃の範囲にあり、低温側に観測されるピーク温度T(A2)が45℃以下にあり、或いはピーク温度T(A2)が観測されず、プロピレン−エチレンブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が98℃以下であること - プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が、さらに下記(a6)〜(a7)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
(a6)第1工程で得られる成分(A1)が、エチレン含量が1.5〜6重量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体で、ブロック共重合体の全体における割合が30〜70重量%の範囲にあり、第2工程で得られる成分(A2)が(A1)よりも8〜15重量%多くのエチレン含量で、ブロック共重合体の全体における割合が70〜30重量%の範囲にあること
(a7)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピーク温度T(A1)が60℃〜88℃の範囲にあり、低温側に観測されるピーク温度T(A2)が40℃以下にあり、或いはピーク温度T(A2)が観測されず、プロピレン−エチレンブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が90℃以下であること - プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が、さらに下記(a8)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
(a8)23℃キシレン可溶分の135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]cxsが1〜2dl/g - プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が、さらに下記(a9)を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
(a9)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する - 基材層の一方の面に粘着層が形成され、他方の面に剥離処理層が形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
- 合成樹脂板、化粧板、金属板、ガラス板などの建築部材の表面保護用に使用されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
- 偏光板や位相差板などの液晶表示の構成部材の表面保護に使用されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
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