JP5319435B2 - 光反射板用白色フィルム - Google Patents
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Description
本発明の光反射版用白色フィルムは、高ボイド層およびその両面に設けられた支持層からなる。
高ボイド層はポリエステル組成物からなり、このポリエステル組成物は、ボイド形成物質52〜60重量%およびイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート48〜40重量%からなる。
高ボイド層は、フィルム全体厚み100%に対して80〜95%の厚み割合である。高ボイド層の厚み割合が95%を超えると安定した製膜ができず、80%未満であると十分な反射率と輝度を得ることができない。
高ボイド層のボイド形成物質としては、無機粒子、有機粒子のいずれも用いることができる。無機粒子としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素、酸化チタンの粒子を例示することができる。有機粒子としては、シリコーン、アクリルの粒子を例示することができる。ボイド形成物質は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高ボイド層のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートにおけるイソフタル酸共重合量は、好ましくは6〜18モル%、さらに好ましくは8〜16モル%である。この範囲の共重合量であることで、良好な製膜性で高い反射率のフィルムを得ることができる。
支持層はポリエステル組成物からなり、このポリエステル組成物は、不活性粒子0.1〜10重量%およびイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート99.9〜90重量%のポリエステル組成物からなる。支持層のポリエステル組成物の不活性粒子が0.1重量%未満であると十分な滑り性を得ることができず、またエッジライト型のバックライトユニットに組み込んだ場合に導光板との貼り付きが生じる。10重量%を超えると高ボイド層を支える支持層としての強度を保つことができず、フィルムの破断に繋がる。
支持層の不活性粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.5〜3μm、特に好ましくは0.6〜2μmである。0.1μm未満であると粒子の凝集が生じ易く好ましくなく、5μmを超えると粗大突起となりフィルム破断に繋がることがあり好ましくない。
支持層の不活性粒子は、高ボイド層のボイド形成物質として用いることのできる無機粒子と同じ材質であってもよく、同じ平均粒径であってもよい。
支持層のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートに含まれるイソフタル酸成分は0.1〜2.9モル%、好ましくは0.1〜2.5モル%である。0.1モル%未満であると無機粒子の分散性が悪化する。2.9モル%を超えると寸法安定性が不足し、また高ボイド層に十分なボイドを形成させるのに必要な延伸応力が掛からず、十分な反射率が得られない。
支持層の面配向係数(Ns)は0.110〜0.150、好ましくは0.115〜0.145の範囲である。0.110未満であると十分な延伸応力が掛からずに所望の反射率が得られず、0.150を超えると安定した製膜性が得られない。
支持層の面配向係数は下記式で表わされる。
Ns=(nMD+nTD)/2−nZ
本発明の光反射板用白色フィルムの総厚みは175〜300μm、好ましくは180〜280μmである。175μm未満であると反射率が低下する。300μmを超えるとこれ以上厚くしても反射率の上昇が望めず、また安定した製膜性が得られない。
本発明の光反射板用白色フィルムは、少なくとも一方の表面の反射率が、波長400〜700nmの平均反射率で98.6%以上、さらに好ましくは98.7%以上である。反射率が98.6%未満であるとバックライトユニットに組み込んだときに十分な輝度を得ることができない。
本発明の光反射板用白色フィルムは、85℃の熱収縮率が、直交する2方向ともに、好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.4%以下、最も好ましくは0.3%以下である。この範囲の熱収縮率であることで、バックライトユニットに反射板として用いたときに光源の熱で変形することのない、高い耐熱性を備える光反射板用白色フィルムを得ることができる。
以下、本発明の光反射板用白色フィルムを製造する方法の一例を説明する。なお、ガラス転移温度をTg、融点をTmと略することがある。
高ボイド層に用いるボイド形成物質の粒子を含有するポリエステル組成物を得るためには、粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、これらと、粒子を含有しないか少量含有するポリエステルのペレットとを混練して、所定量を含有させる方法を用いることができる。
ここでは、フィルムを逐次二軸延伸法によって延伸する場合を例に詳細に説明したが、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれの方法で延伸してもよい。
(1)フィルム総厚み
フィルムサンプルをスピンドル検出器(安立電気(株)製K107C)にはさみ、デジタル差動電子マイクロメーター(安立電気(株)製K351)にて、異なる位置で厚みを10点測定し、平均値を求めフィルム総厚みとした。
フィルムサンプルを長手方向2mm、幅方向2cmに切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)にて包埋した。包埋されたサンプルをミクロトーム(LEICA製ULTRACUT UCT)で幅方向に垂直に切断、5nm厚の薄膜切片にした。光学顕微鏡を用いて観察撮影し、写真から各層の厚み比を測定し、フィルム全体の厚みから計算して、各層の厚みを求めた。
サンプル約20mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差走査熱量測定装置(TA Instruments社製、2100 DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で290℃まで昇温させ、290℃で3分間保持した後取り出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度、示差走査熱量測定装置に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させてTg(℃)およびTm(℃)を測定した。
縦方向2.5〜3.2倍、横方向3.0〜4.0倍に延伸してフィルムを製膜し、この際に安定して製膜できるか否かを観察し、下記基準で評価した。
◎: 4時間以上安定して製膜できる
○: 1時間以上4時間未満の間に切断が発生するが、比較的安定して製膜できる
×: 1時間未満に切断が発生し、安定して製膜ができない
島津製作所(株)製分光光度計UV−3101PCを用い、JIS−K7105測定法Bに従って全光線反射率を求めた。測定条件は、スキャン速度200nm/秒、スリット幅20nm、サンプリングピッチ2.0nmとし、標準白色板は硫酸バリウムを用いた。波長400nm〜700nmでの光線反射率を、その波長範囲内で平均して全光線反射率とした。フィルムの構成が高ボイド層A/支持層Bの2層の場合、高ボイド層A側から測定を行った。
メトリコン社製レーザー屈折計(モデル2010プリズムカプラ−)を用いて、1枚のサンプルフィルムを内蔵圧力計40目盛の圧力で挟み、波長633nmのレーザー光にて測定を行い、スペクトラムチャートを得た。得られたスペクトラムチャート上で、検知器出力が急激に低下する点を読み取り、この値を屈折率とした。支持層の縦方向屈折率(nMD)、横方向屈折率(nTD)および厚み方向屈折率(nZ)を読み取り、以下の式を用いて面配向係数(Ns)を算出した。
Ns=(nMD+nTD)/2−nZ
JIS規格Z8741に準拠し、日本電色工業(株)製のグロスメーター「VGS−SENSOR」を用いて測定した。入射角、受光角ともに60°にて、3層フィルムの場合はフィルムの片面ずつN=5測定しそれぞれの面の平均値を、2層フィルムの場合は高ボイド層面のみをN=5測定した平均値をそれぞれ用いた。
粒度分布計(堀場製作所製LA−950)にて、粒子の粒度分布を求め、d50での粒子径を平均粒径とした。
高ボイド層のポリマーの密度および無機粒子の密度と、高ボイド層におけるこれらの配合比率から、高ボイド層にボイドがない場合の高ボイド層の計算上の密度を求めた。この計算で用いた密度は、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートが1.39g/cm3、硫酸バリウム粒子が4.5g/cm3である。他方、積層フィルムから高ボイド層のみを分離し、単位体積当たりの重量を計り、高ボイド層の実密度を求めた。ボイド体積率を下記式で算出した。
ボイド体積率(%)=(1−実密度/ボイドがない場合の計算上の密度)×100
テレフタル酸ジメチル132重量部、イソフタル酸ジメチル18重量部(ポリエステルの酸成分に対して12モル%)、エチレングリコール96重量部、ジエチレングリコール3.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し重縮合反応を行った。得られた共重合ポリエステルのジエチレングリコール成分量は2.5重量%、ゲルマニウム元素量は50ppm、リチウム元素量は5ppmであった。この共重合ポリエステルのペレット、この共重合ポリエステルに表1に示す不活性粒子を60重量%の濃度となるように含有させたマスターペレット、およびポリエチレンテレフタレートのペレットを用い、これらのペレットの配合比率を調整することで、表1に示す層Aの組成物および層Bの組成物を得た。
さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを、95℃にて加熱し長手方向(縦方向)に2.8倍で延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.4倍に延伸した。その後テンター内で215℃の温度で熱固定を行い、その後、縦方向に0.5%、横方向に2.0%弛緩を行い、室温まで冷やして、二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの反射板用白色フィルムとしての物性は表1に示すとおりであった。
層Aの組成物および層Bの組成物を表1に示すポリエステル組成および不活性粒子に変更し、さらにフィルムの層構成および製膜条件を表1記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを作成し、評価を行った。得られたフィルムの反射板用白色フィルムとしての物性は表1に示すとおりであった。
層Aの組成物および層Bの組成物を表1に示すポリエステル組成および不活性粒子に変更し、さらにフィルムの層構成および製膜条件を表1記載のとおりに変更し、層Aおよび層BがA/Bとなるような2層フィードブロック装置を用いて製膜した以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを作成し、評価を行った。得られたフィルムの反射板用白色フィルムとしての物性は表1に示すとおりであった。
Claims (2)
- 高ボイド層およびその両面に設けられた支持層からなる白色フィルムであり、高ボイド層がボイド形成物質52〜60重量%およびイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート48〜40重量%からなり、フィルム全体厚み100%に対して80〜95%の厚みを有し、支持層が不活性粒子0.1〜10重量%およびイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート99.9〜90重量%からなり、フィルム全体厚み100%に対して20〜5%の厚みを有し、支持層のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートに含まれるイソフタル酸成分が0.1〜2.9モル%であり、支持層の面配向係数(Ns)が0.110〜0.145であり、フィルムの総厚みが175〜300μmであることを特徴とする光反射板用白色フィルム。
- 反射率が98.6%以上である、請求項1記載の光反射板用白色フィルム。
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