しかしながら、上記の先行技術では扉部材が閉じていると、表示画面がその背後に隠れてしまうため、遊技者に対して何らかの演出画像を見せることは視認性の面で困難である。この場合、扉部材を用いた演出態様は、その背後に表示画面を完全に隠してしまうか、もしくは隠さずに表示画面を遊技者に見せるかのいずれかでしかなく、演出の多様性に欠けるという問題がある。
そこで本発明は、より多様な演出を実現できる技術の提供を課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するため以下の手段を採用する。
解決手段1:本発明の遊技機は、遊技者に相対する表示画面にて画像を表示する画像表示装置の表示画面の前面側に重なる閉位置と表示画面を開放する開位置との間を変位可能に設けられ、閉位置にある状態で前記表示画面に表示される画像をその前面側の位置から視認可能とする第1の光透過性を有する第1の扉と、遊技者からみて第1の扉よりも奧で表示画面の前面側に重なる閉位置と表示画面を開放する開位置との間を変位可能に設けられ、第1の光透過性とは異なる第2の光透過性を有した第2の扉とを備える。特に本発明の遊技機は、第1の扉及び第2の扉がともに閉位置にある状態では、表示画面にて表示される画像が第1の扉及び第2の扉の両方を透過することで前面側から視認可能である。すなわち本発明の遊技機では、画像表示装置の表示画面の前面に、第1の扉及び第2の扉が遊技者側から画像表示装置に向かって順に設けられており、これら第1の扉及び第2の扉は、それぞれ遊技者からみて表示画面の前面側に重なる閉位置と表示画面を開放する開位置との間を変位することができる。特に本発明では、第1の扉が第1の光透過性を有しており、そして第2の扉が第1の光透過性とは異なる第2の光透過性を有するものである。
上記の画像表示装置は、その表示画面上にて様々な画像を表示し、遊技の進行に伴う演出を実行することができる。このような画像を用いた演出は、遊技の進行を促進したり、遊技者の意欲減退を防止したり、興趣の低下を抑制したりすることに寄与する。なお「画像」には、各種の動画像やアニメーション画像、背景画像上にスプライトを表示した画像、静止画像、何らかの文字情報、メッセージ等を含む画像その他の多数のものが該当し、特に1種類に限定されない。「画像」については、これ以降の解決手段においても同様である。
第1の扉及び第2の扉がともに開位置にある場合、表示画面の前面が開放された状態となるので、遊技者からは特段の介在物が存在しない状態で良好に表示画面の画像が視認可能となる。一方、第1の扉及び第2の扉のいずれかが閉位置にある場合、表示画面の前面には第1の扉又は第2の扉(あるいは両方)が重なった状態となり、遊技者からみると、表示画面との間に扉が介在した状態となる。このとき、第1の扉及び第2の扉はそれぞれ光透過性を有しているので、遊技者には扉を透過して表示画面上の画像を視認させることができる。
本発明の構成により、例えば以下のように多様な演出態様を実現することができる。
(1)第1の扉及び第2の扉の両方がともに開位置にある状態で、画像表示装置を用いた演出画像を遊技者に視認させる演出態様。この場合、遊技者から見ると第1及び第2の扉のいずれも表示画面との間に介在しておらず、直接的に画像の存在が認められることになる。このため、遊技者に対して視覚的な開放感を与え、より明確に画像を用いた演出を訴求させることができる。
(2)第1の扉だけが閉位置にあり、第2の扉は開位置にある状態で、画像表示装置を用いた演出画像を遊技者に視認させる演出態様。この場合、遊技者に最も近い位置で扉が閉じた状態にあり、そこから間隔を置いてさらに奥まった位置に画像の存在が認められる(第2の扉は開位置にあり、遊技者と表示画面との間には介在していない。)。このため、第1の扉と表示画面との間に介在する空間の存在を遊技者に意識させることで、立体的な奥行き感のある演出を実現することができる。
(3)上記(2)とは逆に、第2の扉だけが閉位置にあり、第1の扉が開位置にある状態で、画像表示装置を用いた演出画像を遊技者に視認させる演出態様。この場合、遊技者に最も近い位置では扉が開いた状態にあり、その奧では表示画面に最も近い位置で閉じた状態の扉を透過して画像の存在が認められる。したがって、遊技者からは第1の扉が開かれている分、視覚的に表示画面との距離感が縮まるため、それだけ臨場感のある演出を実現することができる。
(4)第1の扉及び第2の扉の両方がともに閉位置にある状態で、画像表示装置を用いた演出画像を遊技者に視認させる演出態様。この場合、遊技者から見ると両方の扉を透過してさらに奧の位置に画像の存在が認められることになり、表示画面が空間的な奥行きを持つ印象を与える。このため、2次元の画像を用いて演出を行っていても、遊技者に対して視覚的な立体感を抱かせることができ、それだけ演出の訴求力を高めることができる。
さらに、本発明において第1の扉及び第2の扉はそれぞれ、表示画面に沿って左右方向へ直線移動することで閉位置又は開位置に変位する左右一対の扉ユニットから構成されていてもよい。なお一対の扉ユニットは、それぞれ第1の光透過性、第2の光透過性を有するものである。この場合、さらに以下の演出態様が追加される。
(5)第1の扉及び第2の扉について、いずれか一方(左側又は右側)の扉ユニットがともに閉位置にあり、他方の扉ユニットがともに開位置にある状態で、画像表示装置を用いた演出画像を遊技者に視認させる演出態様。この場合、遊技者から見ると、表示画面の左右いずれか半分の領域では両方の扉ユニットを透過してさらに奧の位置に画像の存在が認められるとともに、もう半分の領域では直接的に画像の存在が認められることになる。このため、上記(1)及び(4)の演出態様を組み合わせて実現することができる。
(6)第1の扉についてのみ、いずれか一方(左側又は右側)の扉ユニットが閉位置にあり、他方の扉ユニットは開位置にあって、第2の扉については左右ともに扉ユニットが開位置にある状態で、画像表示装置を用いた演出画像を遊技者に視認させる演出態様。この場合、遊技者から見ると、表示画面の左右いずれか半分の領域では遊技者に最も近い位置で扉(左右いずれかの扉ユニット)が閉じた状態にあり、そこから間隔を置いてさらに奥まった位置に画像の存在が認められ、もう半分の領域では直接的に画像の存在が認められることになる。このため、上記(1)及び(2)の演出態様を組み合わせて実現することができる。
(7)上記(6)とは逆に、第2の扉についてのみ、いずれか一方(左側又は右側)の扉ユニットが閉位置にあり、他方の扉ユニットは開位置にあって、第1の扉については左右ともに扉ユニットが開位置にある状態で、画像表示装置を用いた演出画像を遊技者に視認させる演出態様。この場合、遊技者から見ると、表示画面の左右いずれか半分の領域では遊技者に最も近い位置で扉ユニットが開いた状態にあり、その奧では表示画面に最も近い位置で閉じた状態の扉ユニットを透過して画像の存在が認められ、もう半分の領域では直接的に画像の存在が認められることになる。このため、上記(1)及び(3)の演出態様を組み合わせて実現することができる。
(8)第1の扉については、いずれか一方(左側又は右側)の扉ユニットが閉位置にあり、他方の扉ユニットは開位置にある。そして第2の扉については、他方(第1の扉について閉位置にある扉ユニットと反対側)の扉ユニットが閉位置にあり、一方の扉ユニットは開位置にある状態で、画像表示装置を用いた演出画像を遊技者に視認させる演出態様。この場合、遊技者から見ると、表示画面の左右いずれか半分の領域では遊技者に最も近い位置で扉ユニットが閉じた状態にあり、そこから間隔を置いてさらに奥まった位置に画像の存在が認められ、もう半分の領域では遊技者に最も近い位置で扉ユニットが開いた状態にあり、その奧では表示画面に最も近い位置で閉じた状態の扉ユニットを透過して画像の存在が認められることになる。このため、上記(2)及び(3)の演出態様を組み合わせて実現することができる。
また本発明の遊技機は、遊技中に何らかの障害(例えば、遊技に使用する遊技媒体の詰まり、払出用の遊技媒体の欠乏等)が生じた場合、その旨を画像表示装置により文字情報として表示する障害情報表示手段を備えていてもよい。この場合、本発明には以下の効果が追加される。
例えば、遊技中に障害が発生すると、上記の障害情報表示手段により「障害発生」の旨を表す文字情報が画像表示装置により表示される。このとき、たとえ第1の扉及び第2の扉が両方とも閉位置にあったとしても、両方の扉がそれぞれ光透過性を有しているため、遊技者や遊技場関係者(ホール係員)等に対して確実に文字情報を視認させることができる。したがって、障害が発生したことに遊技者や遊技場関係者がいつまでも気付かず、遊技が長期間にわたり滞ってしまう事態を未然に防止することができ、それだけ遊技機の稼働率低下を抑制することができる。
あるいは、本発明の遊技機は、遊技の進行に関する情報を画像表示装置により文字情報として表示する遊技情報表示手段を備えていてもよい。この場合、本発明には以下の効果が追加される。
例えば、遊技を進行する上で遊技者に何らかの操作を求める必要がある場合、上記の遊技情報表示手段によりその旨を表す文字情報が画像表示装置により表示される。文字情報は、例えば回胴式遊技機であれば、リールの回転を停止させないまま長時間(例えば1分程度)が経過した場合、遊技者に対して「リールを停止させてください」等の操作を要求する文字情報を表示することが考えられる。あるいは、リールの回転中に特定の図柄を狙って停止操作を促す(アシストする)場合、「『赤7』の図柄を狙ってください」等の操作を要求する文字情報を表示することが考えられる。またパチンコ遊技機であれば、遊技の進行状況によって遊技領域(遊技盤面)内の特定位置(例えば右側)にある入賞口に遊技球を入賞させることを案内する場合、遊技者に対して「右側を狙って球を発射してください」等の操作を要求する文字情報を表示することが考えられる。いずれにしても、このとき第1の扉及び第2の扉が両方とも閉位置にあったとしても、両方の扉がそれぞれ光透過性を有しているため、遊技者に対して確実に文字情報を視認させることができ、それだけ遊技の円滑な進行を促進することができる。
さらに本発明の遊技機は、第1の扉及び第2の扉をそれぞれ閉位置と開位置との間にて個別に移動させる駆動機構と、この駆動機構による第1の扉及び第2の扉の移動態様を個別に制御する駆動制御手段とを備えていてもよい。この場合、本発明には以下の効果が追加される。
例えば、画像表示装置により演出用の画像を表示しつつ、その前面側で第1の扉又は第2の扉を移動させることで、表示画面上の画像と各扉の動作とを関連させた演出態様を実現することができる。また扉の移動態様には、これを比較的高速に移動させる態様と、比較的低速でゆっくり移動させる態様とでは遊技者に与える視覚的な効果が違ってくるため、各扉の移動速度に変化を持たせることで多様な演出態様を実現することもできる。あるいは、各扉を小刻みに震えるようにして移動させたり、開位置と閉位置との間を素早く往復させたりする演出態様を実現することもできる。いずれの態様も、遊技者に与える視覚的な印象、インパクトが異なるため、それだけ演出の多様性が増し、それによって遊技意欲の減退を効果的に抑えることができる。
解決手段2:解決手段1において、第1の扉は、閉位置にある状態であっても表示画面にて表示される画像をその前面側の位置から透視可能とする透明部材を有しており、第2の扉は、透明部材よりも光透過性が低い白濁半透明部材を有するものである。すなわち解決手段2では、上記の解決手段1における第1の扉が光透過性の高い透明部材を有しており、第2の扉はこれよりも光透過性の低い白濁した半透明部材を有する構成である。透明部材は、第1の扉が閉位置にある状態であっても、表示画面にて表示される画像をその前面側の位置から透視可能とするため、遊技者に対して画像の内容を明確(又は具体的、明瞭、鮮明、クリア)に視認させることができる。一方、白濁半透明部材は透明部材ほどの光透過性は有していないものの、依然としてある程度の光透過性を有している。したがって、第2の扉が閉位置にある状態であっても、白濁半透明部材は、遊技者に対して画像の内容を明確に視認させるまでにはいかないが、ある程度の透過性をもって半ば明確(又は抽象的、半明瞭、半鮮明、曖昧)に視認させることができる。
この場合、表示画面には通常、全ての扉を開放している時と同様に、キャラクター画像等の画像が遊技者から明確に認識できるように表示されており、その表示の下で、遊技者からは、白濁半透明部材の背後にある画像(キャラクター画像等)がシルエット状に見えたり、画像がぼやけて見えたりする。このため、全ての扉を開放している時と同じ画像を表示画面上に表示していても、透明部材を透過して見た場合とは異なる印象を遊技者に与えることができ、それだけ演出の多様性を確保することができる。もちろん、演出の内容によっては、あえて白濁透明部材の背後にある画像をぼやけた状態(全扉を開放した状態でもぼやけて見える状態)で表示している場合もある。これにより、元々ぼやけて表示されている画像の前に白濁透明部材が重なることで、さらに変化に富んだ演出表示を可能にしている。
解決手段3:解決手段2において、第1の扉は、閉位置にある状態で表示画面の中央位置を含む主要表示領域の前面側に重なる部位に透明部材を有している。すなわち、解決手段2において上記の透明部材は、第1の扉が閉位置にある状態で表示画面の中央位置を含む主要表示領域の前面側に重なる部位に設けられていてもよい。この場合、第1の扉は透明部材の部位だけが透明性を有し、その他の部位は画像が視認不能となる程度に光透過性が低い(ほとんど光透過性がない)形態であることが好ましい。
透明部材そのものは高い光透過性を有するものであるため、それだけでは視覚的な存在感を発揮しにくくなる傾向にあるが、解決手段3では、第1の扉が部分的に透明部材を有する形態であるため、透明部材がある部位とその他の部位とのコントラストにより、第1の扉全体として視覚的な存在感が高まる。また、このような形態であっても、遊技者は透明部材を透過してその奧(第2の扉や表示画面)を視認することができる。
一方、画像表示装置は、その表示画面のほぼ全域にて画像を表示することができるが、通常、遊技者の視線は自然とその中央付近に集まる傾向にある。また、演出を行う上で特に遊技者に訴求させたい内容は、表示画面内の片隅のような注目されにくい位置ではなく、中央付近の注目されやすい位置に表示する態様が極めて自然である。
そこで解決手段3では、第1の扉が閉位置にある状態で、表示画面の中央付近の前面側に透明部材が重なる構成により、通常、遊技者の視線が集まりやすい位置での視認性を妨げないようにしている。さらに、第1の扉が閉位置にある状態では、遊技者は透明部材の部位を透過してその奧の画像を視認可能であり、その他の部位では視認性が低くなることから、このとき遊技者の注意を自然と画面の中央付近に引きつけることができる。したがって、第1の扉を閉位置に移動させた状態で、表示画面の中央付近に特に遊技者に注目させたい画像を表示することにより、遊技者に対して画像の内容を強く訴求することができる。
解決手段4:解決手段2又は3において、第1の扉は、透明部材の光透過性を部分的に低下させることで形成された模様状の部位を有する。すなわち、解決手段2又は3において、第1の扉には、透明部材の光透過性を部分的に低下させることで模様が形成されていてもよい。ここで「模様」は、遊技者が視覚を通じて認識することができる絵柄や図案、図形等である。なお「模様」については、これ以降の解決手段においても同様である。このような模様を形成するために透明部材の光透過性を低下させる手段としては、例えば透明部材の外面に模様を印刷するもの、模様を印刷したシートを透明部材に貼付するもの、透明部材に模様を描くようにして凹凸部分を形成するもの等が挙げられる。透明部材に模様状の凹凸部分を形成すると、その部分で光が屈折(拡散)して光透過性が低下するので、その他の透明部分との光透過性の違いによって遊技者からは模様として視認される。
透明部材に模様が形成されていれば、第1の扉や第2の扉を閉位置に移動させたとき、遊技者に対して単に透明部材を透過してその奧の画像を見せるだけでなく、その上に重なった模様を絡めて多様な演出を実現することができる。また、透明部材に模様を形成することで、第1の扉全体としての装飾性を高めることができ、それだけ演出用の部材としての存在感や機能性を高めることができる。
解決手段5:本発明の遊技機は、解決手段4において、画像表示装置とともに第1及び第2の扉を支持し、かつ、少なくとも遊技者に相対する前面に所定のゲームコンセプトに基づく装飾が施された支持体と、画像表示装置を駆動して表示画面にゲームコンセプトに基づく演出画像を表示させる表示手段とをさらに備え、第1の扉は、ゲームコンセプトに基づく装飾として透明部材に模様状の部位を有している構成である。すなわち、解決手段4において、画像表示装置とともに第1の扉と第2の扉が支持体に支持されており、この支持体には遊技機のゲームコンセプトに基づく装飾が施されている。そして画像表示装置の表示画面には、遊技機のゲームコンセプトに基づく演出画像が表示される。この場合、透明部材の模様は、遊技機のゲームコンセプトに基づく装飾として形成されていることが好ましい。
この種の遊技機には、一般に「ゲームコンセプト」(又は「テーマ」、「主題」)という製品開発上の中心となる思想(又はモチーフ)が存在する。ゲームコンセプトは、その遊技機がどのような開発思想の上に成り立っているかを端的に表すものである。例えば遊技機のゲームコンセプトとして、音楽やゲーム、スポーツ、公営競技等の娯楽、芸能等を採用したり、ミュージシャンや俳優、アイドル、アスリート等の芸能・競技・興業関係者を採用したり、著作物(古典、文学作品、映画、ドラマ、漫画、劇画、アニメーション作品等)を採用したり、著作物上の登場人物(キャラクター)や歴史上の人物、空想上の生き物、怪物、動植物、乗り物等を採用したり、あるいは、自然環境(例えば海、空、山、河)や国土、特定の地方、地域(例えば沖縄地方、北海道地方)等を採用したりする例がある。
このようなゲームコンセプトは、例えば遊技機の機種名に端的に表白されていることが多い。さらには、ゲームコンセプトを遊技機の外観上に表現するため、その前面にはゲームコンセプトに基づく装飾を施すことが一般に行われている。特に、パチンコ遊技機であればセル板の装飾、遊技盤面に設置される装飾物(役物)等がそうであり、回胴式遊技機であれば、筐体前面の装飾物(パネル)をはじめ、リールに付されている図柄にもゲームコンセプトが反映されていることがある。
その上で、解決手段5では画像表示装置や各扉を支持している支持体の前面にゲームコンセプトに基づく装飾が施されている態様である。また画像表示装置には、ゲームコンセプトに基づく演出画像が表示される。この場合、演出画像はゲームコンセプトの元(素材)となった対象から発せられたものとなっている。例えば、ゲームコンセプトの元がスポーツであれば、そのスポーツの1シーンである。またゲームコンセプトの元が著作物であれば、その著作物で用いられた映像等が演出画像に採用されることがある。
いずれにしても、解決手段5では透明部材に形成された模様がゲームコンセプトに基づく装飾の一環となるため、第1の扉が開位置にある状態であっても、その模様が他の装飾や演出画像との視覚的、装飾的な統一感をもたらすことに寄与する。また、第1の扉が閉位置に移動した状態では、その背後に表示される演出画像との間に関連性を発揮することができる。
本発明によれば、第1の扉及び第2の扉(又はそのいずれか)が閉位置にある状態でも、その奧にある表示画面の視認性を妨げることがなく、興趣の低下を抑えることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
〔スロットマシンの構成〕
図1は、回胴式遊技機の一例であるスロットマシン1を示す斜視図である。このスロットマシン1は、例えば遊技メダルを媒体として遊技を行うタイプのものであり、いわゆる「パチスロ機」と称されているものである。この他に、遊技球を媒体として遊技を行うタイプの回胴式遊技機(いわゆる「パロット機」)もあり、こちらも本発明の実施形態として好適である。先ず、スロットマシン1の構成について説明する。
スロットマシン1は箱形状の筐体2を備え、スロットマシン1は、この筐体2を介して遊技場(ホール)の島設備に釘打ち等によって設置される。図1中、左斜め下方はスロットマシン1の正面に相当し、通常、ホール内で遊技者はスロットマシン1に正面から相対するようにして着席する。筐体2は正面側が開口しており、この開口は前面扉4により開閉可能となっている。図1には前面扉4が閉じた状態で示されているが、前面扉4は、例えばその左側端部が図示しないヒンジ機構を介して筐体2に連結されている。また前面扉4の右側端部には、その内側(裏側)に図示しない施錠装置が設けられており、これに対応して筐体2の右側の内壁面にも図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように前面扉4が閉じた状態で、その施錠装置は筐体2の施錠具とともに前面扉4の開放を不能にしている。
前面扉4の右側縁部にはシリンダ錠4aが設けられており、例えば、遊技場の管理者が専用キーを用いてシリンダ錠4aを時計回りに捻ると、施錠装置が作動して前面扉4の開放が可能な状態となる。なおシリンダ錠4aを反時計回りに捻ると、スロットマシン1において発生したエラー状態(例えばメダル切れ等)を解除することができる。
前面扉4の奥、つまり筐体2の内部には、表示体として3つのリール6,8,10が設置されている。リール6,8,10はいずれも円環状に成形されており、その周囲には複数の図柄(図示されていない)が間隔をおいて一列に付されたリール帯が巻かれている。図柄には複数の種類があり、例えば数字の「7」やアルファベットの「BAR」等の文字列をデザインしたもの、「ベル」等の縁起物をデザインしたもの、「チェリー」や「スイカ」等の青果類をデザインしたものの他、スロットマシン1のゲームコンセプトに基づいてデザインされたキャラクターの図柄、あるいは当選種類の1つである「リプレイ」を意味する図柄等が挙げられる。なお、ここでは図柄の種類を例示しているに過ぎず、特にこれらに限定されない。
前面扉4の縦方向でみて、その中央から上側の位置にパネル部12が配置されており、このパネル部12には、スロットマシン1のゲームコンセプトに基づく装飾が施されている。また、パネル部12の中央位置には矩形状の表示窓(表示部)14が形成されており、この表示窓14は透明な板状部材によって構成されている。表示窓14は、リール6,8,10の図柄を明確に視認可能とする程度の光透過性を有する。前面扉4が閉じた状態で、表示窓14はちょうど3つのリール6,8,10の前面側に位置する。この状態で、遊技者は表示窓14の板状部材を透過してリール6,8,10の図柄を視認することができる。通常、表示窓14内では、各リール6,8,10について縦方向に3つの図柄を遊技者が有効に視認することができる(図柄は図示されていない)。なお表示窓14は、各リール6,8,10に対応して3分割されている形態であってもよい。
表示窓14内で横方向に並んだ3つのリール6,8,10同士の間では、例えば水平方向及び斜め方向にみた図柄の組み合わせ態様が構成されている。水平方向については、3つのリール6,8,10につき、上段・中段・下段の各位置で図柄を3つずつ組み合わせた態様が構成される。また斜め方向については、左リール6の上段位置、中リール8の中段位置、右リール10の下段位置で図柄を3つ組み合わせた態様が構成されるほか、左リール6の下段位置、中リール8の中段位置、右リール10の上段位置で図柄を3つ組み合わせた態様が構成される。なお、図柄の組み合わせ態様は一例に過ぎず、水平方向と斜め方向とを合成した方向に図柄の組み合わせ態様が構成されてもよい。
パネル部12には、例えば表示窓14の左側に3つのベット数表示部12aが設けられている。これらベット数表示部12aは、1回ごとの遊技で遊技者が投じたメダルの枚数(「ベット数」、「掛け数」等と称する。)を表示するためのものである。前面扉4の裏面側には、ちょうどベット数表示部12aの背後に図示しない照明器具(白熱ランプ又はLEDを備えたもの)が設置されており、ベット数表示部12aでは、照明器具による透過光を用いてベット数の表示(発光表示)が行われるものとなっている。遊技者は、ベット数表示部12aの表示から現在のベット数を知るとともに、表示窓14内での図柄の組み合わせ態様に関する有効ラインの数を知ることができる。例えば、ベット数が3枚の場合、水平方向で上段・中段・下段の3本の有効ラインに加えて、斜め方向で右上がりの有効ラインと右下がりの有効ラインが形成される。なお、有効ラインの数や形態は一例に過ぎず、これより多くても少なくてもよい。
前面扉4には、表示窓14の直ぐ右下方にメダル投入口16が設けられている。遊技者が投入したメダルはメダル投入口16を通じて1枚ずつ受け入れられ、遊技に投じた枚数として計上される。なお1回の遊技に投じることができる最大枚数(例えば3枚)を超えてメダルが投入されると、その分はクレジットとして貯留される。パネル部12の表示窓14の下方にクレジット表示部12bが設けられており、クレジットとして貯留されたメダルの枚数は、このクレジット表示部12bにて数値表示される。なおクレジットは、例えば最大で50まで貯留することができる。
前面扉4の裏側には、メダル投入口16から筐体2の内部に延びる案内路(図示されていない)が形成されており、投入されたメダルは案内路に沿って1列で(1枚ずつ)案内される。メダルの投入を受け付け可能な状態であれば、投入されたメダルは筐体2の内部で払出装置(図1には示されていない)のホッパに受け止められる。クレジット数が上限を超えると、それ以上のメダルを投入しても受け付けられなくなる。前面扉4の下部中央にはメダル排出口26が形成されており、さらに前面扉4の下縁部にはメダル受皿28が形成されている。なおメダルの投入が受け付けられない状態であれば、メダル投入口16から投入されたメダルはメダル排出口26を通じてメダル受皿28に返却される。
また前面扉4には、パネル部12の左下方にスタートレバー18が設置されている。このスタートレバー18は、各リール6,8,10の回転を開始(始動)させるために遊技者によって操作(押下)される。遊技にメダルを投じた状態でスタートレバー18が操作されると、各リール6,8,10が一斉に回転を始める。
また、クレジット表示部12bの右横にはスタートランプ12c、インサートランプ12d及びリプレイランプ12eが配置されている。このうちスタートランプ12cは、遊技に投じたメダルがそのとき必要な最少枚数(例えば1〜3)を満たすと点灯し、スタートランプ12cの点灯は、スタートレバー18の操作が可能な状態になったことを意味する。またインサートランプ12dは、遊技に投じるためのメダルの投入が可能な状態で点灯する他、追加のメダルを投入することでクレジットの貯留が可能な状態でも点灯する。リプレイランプ12eは、遊技の結果が再遊技、つまり「リプレイ」に該当する場合に点灯する。
メダル投入口16の奧には、案内路の上流位置に切り替え機構(図示されていない)が設けられており、この切り替え機構は、例えばソレノイドを用いてメダルの案内先を案内路又はメダル排出口26のいずれかに切り替える動作を行う。クレジット数が上限に達した場合は、切り替え機構が作動してメダルの案内先をメダル排出口26に切り替え、それ以上のメダルの投入を受け付けなくする。また、1回の遊技でスタートレバー18が操作されると、リール6,8,10が停止するまで切り替え機構が作動し、それ以上のメダルの受け付けを不能にする。なおリール6,8,10の停止後でも、遊技の結果が「リプレイ」であった場合は切り替え機構が作動して、次回の遊技ではメダルの投入を受け付けない。
前面扉4には、スタートレバー18の右側に3つの停止ボタン20,22,24が横並びに配置されている。これら停止ボタン20,22,24は、順番にそれぞれ左・中・右のリール6,8,10に対応している。リール6,8,10が一定速度で回転している状態で遊技者が停止ボタン20,22,24を1つずつ操作(押下)すると、対応するリール6,8,10の回転が個別に停止する。
〔スロットマシン遊技の概要〕
上記のようにメダルのベット及びスタートレバー18の操作を経てリール6,8,10が回転中に遊技者により停止ボタン20,22,24が操作され、全てのリール6,8,10が回転を停止すると、表示窓14内で表示された図柄の組み合わせ態様から遊技の結果が判定される。例えば、有効ライン上に「ベル」や「スイカ」等の同種の図柄が3つ揃う組み合わせ態様が表示された場合、それぞれ「ベル」又は「スイカ」という小役に入賞したと判定され、各小役について予め決められた枚数のメダルが払い出される。小役に対応する図柄の組み合わせ態様には、3つのリール6,8,10で同種の図柄を組み合わせるものの他、例えば左リール6に「チェリー」の図柄があれば、他のリール8,10の図柄は何でもよい組み合わせ態様(「チェリー」−「ANY」−「ANY」)もある。このような組み合わせ態様は実質的に単独の図柄だけで構成されているため、2本の有効ラインが交差する位置(上段又は下段の位置)で「チェリー」の図柄が停止していた場合、複合入賞となって払い出し枚数が加算される。
表示窓14の下方には、上記のクレジット表示部12bとは別に払出枚数表示部12fが設けられており、ここには1回ごとの入賞時に払い出されたメダルの枚数が表示される。なおクレジットモードの場合、その最大数に達するまでの間は払い出された枚数分がクレジットに加算される。また、クレジットモード中にメダルの払い出しによってクレジット数が上限を超えると、その分はクレジットの増加としてではなく実際のメダルとしてメダル排出口26から払い出され、メダル受皿28に蓄えられる。
この他、3つのリール6,8,10の停止時に上述した「リプレイ」に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されていれば、その遊技の結果は再遊技と判定される。遊技の結果が再遊技であれば、新たにメダルを投じることなく、今回の遊技に投じたメダルの枚数(ベット数又は掛け数)と同じ条件で次回の遊技を実行、つまりリプレイすることができる。なお、遊技の結果が再遊技と判定されると、上記のリプレイランプ12eが点灯して再遊技が可能であることを表示する。またベット数表示部12aでは、前回の遊技に投じたメダル枚数の表示が復元される。
一方、有効ライン上に例えば赤色の「7」−「7」−「7」等の図柄の組み合わせ態様が表示されると、いわゆる「ビッグボーナスゲーム」等の特別遊技状態に移行する利益が遊技者に与えられる。あるいは、有効ライン上に例えば白色の「7」−「7」−「7」等の図柄の組み合わせ態様が表示されると、いわゆる「レギュラーボーナスゲーム」等の特別遊技状態に移行する利益が遊技者に与えられる(メダルは払い出されない)。特別遊技状態に移行すると、遊技者に有利な条件で遊技が進行し、例えば、通常よりも高頻度に「ベル」や「スイカ」等の小役に入賞する機会が得られたり、入賞に対する払い出し枚数が増加したり、通常では入賞することがない種類の小役に入賞したりすることが可能になる。また場合によっては、特別遊技状態の終了後、高確率で上記の「リプレイ」の結果が得られる状態(リプレイタイム)に移行する利益が遊技者に与えられることもある。
パネル部12には、表示窓14の右側に遊技状態表示部12hが形成されている。パネル部12の裏面側には、ベット数表示部12aと同様に照明器具が設置されており、上記のように特別遊技状態に移行するか、もしくは特別遊技状態への移行が可能な状態(内部抽選で当選した状態)になると、照明器具によって遊技状態表示部12hが点灯表示される。なお、特に有効ライン上に図柄の組み合わせ態様が表示されていなければ、その遊技の結果は入賞や再遊技、特別遊技状態への移行等はなかったものと判定される。
上記のようにして1回ごとに遊技の結果が判定されると、遊技者により改めて次回の遊技に投じるメダルの枚数が決定される。払出枚数表示部12fの左側には3つのベットランプ12gが設けられており、これら3つのベットランプ12gは、その回の遊技に投じるメダルの必要枚数に応じた数を点灯表示する。例えば、その回の遊技に3枚のメダルを投じる必要があれば、3つのベットランプ12gが全て点灯する。このときメダル投入口16を通じて遊技者が3枚のメダルを投入する操作を行えば、それによって遊技に投じるメダルの枚数(3枚掛け、3ベット)が決定される。なお必要枚数は、1回の遊技あたり2枚(2枚掛け、2ベット)又は1枚(1枚掛け、1ベット)でもよい。
また、表示窓14の左下方にはベットボタン30及びMAXベットボタン32がそれぞれ設置されており、遊技者はこれらボタン30,32を操作することで、クレジットの残数を用いて遊技に投じるメダルの枚数を決定することもできる。ベットボタン30が1回押下されるとクレジットの数が1ずつ減り、その分が遊技に投じたメダルの枚数として充当される。最大枚数に達するまで繰り返しベットボタン30が押下されると、それぞれ押下された回数分だけクレジット数が減り、代わりにベット数が加算される。また、充分なクレジットの残数(3以上)があれば、遊技者がMAXベットボタン32を1回操作することで、その回の遊技に投じることができる最大枚数(例えば3枚)をクレジット残数から差し引き、その分を遊技に投じたメダルの枚数として充当することができる。
ベットボタン30の左側には精算ボタン34が設けられており、クレジットの残数がある場合、遊技者が精算ボタン34を操作することにより、その残数を精算してメダルの返却を受けることができる。精算ボタン34が押下されると、メダル排出口26を通じてメダル受皿28にメダルが返却される。
前面扉4の下部分で、メダル受皿28よりも上側には装飾パネル36が設置されている。この装飾パネル36には、スロットマシン1の製品機種名が表示されているほか、そのゲームコンセプトに基づく装飾が施されている。
〔ゲームコンセプト〕
ここで、スロットマシン1のゲームコンセプトの例について説明する。本実施形態では、例えば伝統的な民俗楽器である「太鼓」そのものや、「太鼓」を用いて演奏される楽曲等がゲームコンセプトとして採用されている。このため図1に示されているように、上記のパネル部12や装飾パネル36には、それぞれ「太鼓」の外観や「太鼓」の皮(革)の面に付された「三つ巴の紋様」等の絵柄が装飾として付されている。また図示されていないが、各リール6,8,10に付された図柄の中にも、「太鼓」の外観や、「太鼓」の皮(革)面に慣用的に施される「三つ巴の紋様」を模したものが含まれている。この場合、スロットマシン1における遊技の内容そのものとして、例えば上記の「ベル」や「スイカ」の他に「太鼓」や「三つ巴」等の小役を設けてもよい。また、スロットマシン1の製品機種名を例えば「太鼓の超名人」等としてこれを装飾パネル36に装飾的に施し、そのゲームコンセプトを端的に表すこともできる。
いずれにしても、本実施形態のスロットマシン1では、そのゲームコンセプトに基づく装飾やリール6,8,10の図柄、あるいは製品機種名等に遊技者が接することで、そこから「太鼓」や「太鼓による楽曲」、「太鼓にちなんだ伝統芸能」という系統だった観念が想起されることになる。
またスロットマシン1では、上記のゲームコンセプトに基づく演出が行われる。演出は、画像の表示によるものや、音響(効果音、音声、BGM等)の出力によるもの等である。このような画像や音響の内容は、スロットマシン1のゲームコンセプトに基づくものとなる。例えば、「太鼓」そのものや「太鼓の演奏場面」の画像が表示されたり、これら画像に合わせて「太鼓の演奏」が音響として出力されたりする。
スロットマシン1には、演出を行うための装備が設けられている。例えば前面扉4には、その上縁部に横長の演出ユニット105が設置されている。演出ユニット105は、その上部の中央がトップランプ37として形成されているほか、上部の左右端部がそれぞれ、左トップランプ38、右トップランプ39として形成されている。これら各ランプ37,38,39は、例えば内蔵するLEDから発する光を拡散して発光し、遊技に伴う演出を実行することができる。また演出ユニット105には、その内部の中央に画像表示装置44が装備されている。この画像表示装置44は、前面側に向いた表示画面上にて画像や文字情報等を表示し、遊技に伴う演出を実行することができる。また演出ユニット105には、その左右両側部に図示しない高音スピーカが内蔵されている。これら高音スピーカは、効果音や音声、BGM等を出力することで遊技に伴う演出を実行することができる。
さらに演出ユニット105には、表示画面の前面側に前扉ユニット81及び後扉ユニット82が装備されている。これら前扉ユニット81及び後扉ユニット82は、画像表示装置44の前面側で前後に2重をなしており、このうち前扉ユニット81が手前側に位置し、その奥側に後扉ユニット82が位置している。また各扉部材81,82はいずれも左右で一対をなし、各一対の扉部材81,82は画像表示装置44の表示画面に沿って引き扉のように左右方向にスライド可能となっている。なお、演出ユニット105の詳細についてはさらに後述する。
その他に前面扉4には、パネル部12の左右両側縁部に沿って左パネルランプ40及び右パネルランプ42が設置されている。さらに筐体2の内部には、例えばその背面側の板材に低音スピーカ(図示されていない)が設置されており、この低音スピーカは、上記の高音スピーカとともに効果音や音声、BGM等を出力することで遊技に伴う演出を実行することができる。
〔演出ユニットの構成〕
図2は、斜め前方から見た演出ユニット105の分解斜視図である。また図3は、斜め後方から見た演出ユニット105の分解斜視図である。以下、これら図2,図3を適宜参照しつつ説明する。
先ず、演出ユニット105内部の構成及び配置について概略的に説明する。
演出ユニット105は、その最も前面の位置にフロントカバー106を有している。このフロントカバー106は、例えば合成樹脂製のパーツを組み合わせて構成されており、その上縁部には上記のトップランプ37や左右のトップランプ38,39が一体的に形成されている。またフロントカバー106の中央部には、横長の矩形窓106aが形成されているほか、左右両側部にも一対の音響口106bが形成されている。矩形窓106aには透明板が嵌め込まれており、また音響口106bには網目(又は多孔)の板が嵌め込まれている。
前面側から見て、フロントカバー106の奧には上記の前扉ユニット81及び後扉ユニット82が順番に重なるようにして配置されている。さらに、これら前扉ユニット81と後扉ユニット82の間にガイド部材109が挟み込まれるようにして配置されている。このガイド部材109は、左右一対の前扉ユニット81及び後扉ユニット82をそれぞれ左右方向へスライド自在に案内する機能を有する。
一方、演出ユニット105は、その最も奧の位置に上記の画像表示装置44を有している。画像表示装置44は例えば液晶ディスプレイ(LCD)であり、その表示画面71がほぼ前面(正面)に向けられている。画像表示装置44は、演出ユニット105の内部でベース部材111の背面に固定される。ベース部材111は横長の矩形状をなしており、その中央には表示画面71のサイズに合わせて矩形の開口111aが形成されている。またベース部材111には、開口111aの両側に上記の高音スピーカ114が取り付けられている。
続いて、各部の詳細について説明する。
ガイド部材109は、その上下縁部にそれぞれ横長の上側ガイド91及び下側ガイド92を有しており、これら上側及び下側ガイド91,92は、左右一対の連結板93を介して相互に連結されている。
上側ガイド91には、上下方向に並んで平行な前扉用上部レール911及び後扉用上部レール912が形成されている。これら上部レール911,912は、それぞれ前扉ユニット81及び後扉ユニット82の上縁部を左右方向にスライド自在に案内するものである。このため、各上部レール911,912はフロントカバー106の内部を左右方向に延びており、その全長は表示画面71の横幅よりも長くなっている。また各上部レール911,912は縦断面形状が下向きに開口したコ字型をなしており、その内側には案内溝が形成されている。なお前扉用上部レール911は、後扉用上部レール912の上側に位置している。
一方の下側ガイド92には、前後方向に並んで平行な前扉用下部レール921及び後扉用下部レール922が形成されている。これら下部レール921,922もまた、前扉ユニット81及び後扉ユニット82の下縁部を左右方向にスライド自在に案内するものである。同様に、各下部レール921,922はフロントカバー106の内部を左右方向に延び、その全長は表示画面71の横幅よりも長い。また各下部レール921,922は縦断面形状が上向きに開口したコ字型をなしており、その内側には案内溝が形成されている。なお前扉用下部レール921は、後扉用下部レール922の前側に位置している。
左右の連結板93は、画像表示装置44の表示画面71を遮蔽しない程度に間隔を置いて配置されている。各連結板93は、その上端部が後扉用上部レール912の前面に取り付けられており、一方、その下端部は前扉用下部レール921と後扉用下部レール922との間に挟み込まれるようにして取り付けられている。なお、左右の連結板93は、光透過性をほとんど有しない装飾板である。
左右の前扉ユニット81は、大きく分けて透明部材811及び装飾部材812から構成されている。このうち透明部材811は合成樹脂製の透明板(透明アクリル板)であり、前面の遊技者からは透明部材811を透過して背後の存在(後扉ユニット82、表示画面71、連結板93等)が良好に視認可能である。本実施形態では、透明部材811はリール6,8,10の表示窓14と同程度の透明性(光透過性)を有するものとすることができる。
一方、装飾部材812は光透過性をほとんど有しない合成樹脂製のパーツである。透明部材811は、それぞれ外形が半円形状をなしており、左右の透明部材811を互いに突きあわせると、ちょうど1つの円形状になる。また装飾部材812は、透明部材811に対応する部位が半円形状に切り欠かれており、その内側には透明部材811がぴったり収まっている。なお透明部材811は、その周縁を装飾部材812の裏面に重ね合わせた状態で取り付けられている。
また左右の前扉ユニット81には、装飾部材812の上下縁部に沿って上スライド部813及び下スライド部814が形成されている。これら上下のスライド部813,814が上記の前扉用上部レール911、前扉用下部レール921にそれぞれ嵌め合わせられると、前扉ユニット81が表示画面71及び連結板93の前面に沿って左右方向にスライド自在に支持された状態となる。
次に、左右の後扉ユニット82は、大きく分けて半透明部材823及びフレーム体820から構成されている。このうち半透明部材823は合成樹脂製の白濁半透明板(磨硝子に近いもの)である。半透明部材823は矩形状をなしており、左右の半透明部材823を互いに突きあわせると、ちょうど表示画面71を覆う大きさの矩形状となる。このような半透明部材823は、透明部材811よりも低い光透過性を有するものであり、表示画面71の前面に重なった状態であっても、前面の遊技者からは表示画面71上に表示された画像を半ば明瞭(透明部材811ほどに明瞭ではない)に視認可能とする。なお、半透明部材823は上記の透明部材811よりも光透過性が低い。
また本実施形態では、左右の半透明部材823のうち、これらが互いに突き合わせられる内端縁に沿って縦長の突条部824が一体的に形成されている。この突条部824は、半透明部材823の内端縁から表示画面71に向けてほぼ直角に突出している。演出ユニット105の内部で、後扉ユニット82そのものはベース部材111よりも前面側に配置されているが、突条部824はベース部材111の開口111a内まで進入し、表示画面71の直前にまで到達している。このような突条部824は、半透明部材823全体の曲げ剛性を高めるとともに、表示画面71と後扉ユニット82の内端縁との間の隙間を小さくしている。
左右のフレーム体820は、合成樹脂製(又は金属製)の成形パーツであり、それぞれ半透明部材823に対応する部位が内向きに開口したコ字型をなしている。半透明部材823は、その周縁をフレーム体820の裏面に重ね合わせた状態で取り付けられている。
また左右の後扉ユニット82には、フレーム体820の上下縁部に沿って上スライド部821及び下スライド部822が形成されている。これら上下のスライド部821,822が上記の後扉用上部レール912、後扉用下部レール922にそれぞれ嵌め合わせられると、後扉ユニット82が表示画面71及び連結板93の前面に沿って左右方向にスライド自在に支持された状態となる。
次に、左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82を個別にスライドさせる駆動機構について説明する。
演出ユニット105の内部には、左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82にそれぞれ対応して、左右の前扉用駆動ユニット110A及び後扉用駆動ユニット110Bが設けられている。このうち左右の前扉用駆動ユニット110Aは、左右の前扉ユニット81を個別に左右方向へ移動させるものであり、ベース部材111の裏面では上部の左右に分かれて配置される。また左右の後扉用駆動ユニット110Bは、左右の後扉ユニット82を個別に左右方向へ移動させるものであり、ベース部材111の裏面では下部の左右に分かれて配置される。
前扉用駆動ユニット110A及び後扉用駆動ユニット110Bは、それぞれ駆動源としてステッピングモータ103A,103Bを有しており、これらステッピングモータ103A,103Bは、それぞれ上下のブラケット102A,102Bを介してベース部材111の裏面に取り付けられる。またブラケット102A,102Bには、それぞれピニオン101A,101Bが設置されており、これらピニオン101A,101Bは、各ステッピングモータ103A,103Bの動力を受けて垂直軸線回りに回転する。
ここで、左右の前扉ユニット81には、それぞれ上スライド部813の背面にラック816が形成されている。また左右の後扉ユニット82には、それぞれ下スライド部822の背面にラック825が形成されている。一方、ベース部材111には、上部の左右及び下部の左右(合計4箇所)にそれぞれ横長のスリット112,113が形成されている。演出ユニット105を組み立てた状態(完成状態)では、各ピニオン101A,101Bがそれぞれ対応するスリット112,113を通じてベース部材111の表面側へ部分的に露出する。
この状態で、左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82がガイド部材109を介してベース部材111の表面に取り付けられると、各ラック816が上側のピニオン101Aと噛み合い、また各ラック825が下側のピニオン101Bと噛み合う。これにより、各ステッピングモータ103A,103Bの両方向への回転(CW/CCW)を左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82に対して個別に伝達し、これらを左右方向へ移動させることが可能となる。
〔閉位置及び開位置〕
図4は、前扉ユニット81及び後扉ユニット82をガイド部材109に取り付けた状態を示す正面図である。また、図5はその斜視図である。
図4及び図5では、左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82がともに開位置にある。この状態では、表示画面71が前面側へ向けて大きく開放されており、フロントカバー106の透明板(矩形窓106a)を透過して直に表示画面71が遊技者から視認可能である。
一方、図4及び図5に示される状態から上記の前扉用駆動ユニット110A及び後扉用駆動ユニット110Bを作動させることで、左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82をともに閉位置に移動させることができる。このとき前扉ユニット81及び後扉ユニット82の左右方向への移動は、それぞれ対応する上部レール911,912及び下部レール921,922に案内される。閉位置では、左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82がともに表示画面71の前面に重なった状態となる。このため遊技者から見ると、表示画面71との間に前扉ユニット81及び後扉ユニット82の両方が介在した状態となる。
なお図4に示されているように、本実施形態では前扉ユニット81の透明部材811に模様(図中参照符号P)が付されている。この模様は、例えば透明部材811の裏面(又は表面)に金色又は銀色のミラーインクを用いてシルクスクリーン印刷された線図であり、そのデザインは上記のゲームコンセプトに基づいている。具体的には、「太鼓」の縁に皮(革)を留めるための鋲が円形状に配列された様子が模様としてデザインされている。そして、前扉ユニット81のみが閉じられている状態において、ミラーインクが表示画面71からの光に照らされて輝き、演出を盛り上げる構成となっている。
〔演出態様の例〕
次に、上記の演出ユニット105を用いた演出態様の例について説明する。
〔第1例〕
図6は、演出態様の第1例を示す正面図である。この演出態様は、左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82の両方が開位置にある状態で、演出画像(図中参照符号Im)を遊技者に視認させるものである。なお図6中、装飾部材812が不透明であることを表現するため、装飾部材812にはグレーの着色を施している(以下、図7〜図11において同じ。)。
第1例では、遊技者から見ると前扉ユニット81及び後扉ユニット82のいずれも表示画面71との間に介在していない。このため、表示画面71上の表示領域(図中参照符号A)内に演出画像Imが表示されると、遊技者からは直接的にその演出画像Imの存在が明瞭に認められる。また、遊技者から見ると左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82が両側に大きく開いた状態にあることから、それだけ視覚的な開放感を遊技者に与え、演出画像Imを用いた演出の内容を明確に訴求させることができる。
なお、このとき表示画面71上に表示されている演出画像Imもまた、上記のゲームコンセプトに基づいてデザインされたものであり、具体的には「三つ巴の紋様」をイメージしたものである。このような演出画像Imは、スロットマシン1のパネル部材12や装飾パネル36に施された装飾と調和し、演出内容と装飾との間に視覚的な統一感をもたらす。
〔第2例〕
次に図7は、演出態様の第2例を示す正面図である。この演出態様は、左右の前扉ユニット81だけが閉位置にあり、左右の後扉ユニット82は開位置にある状態で、演出画像Imを遊技者に視認させるものである。第2例では、遊技者から見ると前扉ユニット81が閉じた状態にあり、表示画面71との間に左右の前扉ユニット81が介在した状態となっている。
この状態で表示画面71上に演出画像Imが表示されると、遊技者からは透明部材811を透過してその奧の位置にある演出画像Imが明確に視認される。このとき透明部材811は、表示画面71の中央付近の前面側に重なっており、この位置で左右の前扉ユニット81の中央に円形状の窓を形成している。その他の装飾部材812は、ほとんど光透過性を有しないため、このとき遊技者から視認可能な範囲は透明部材811の部位だけとなる。したがって、遊技者からは表示画面71の中央位置を含む主要な表示領域だけが視認されるため、この主要な表示領域に遊技者を注目させることができる。またこのとき、遊技者からは演出画像Imの前面に模様Pが重なって視認されるため、遊技者に対して第1例とは異なった視覚的印象を与えることができ、それだけ演出態様を多様化することができる。
図8は、演出態様の第2例を向かって右斜め前方から見た斜視図である。また図9は、演出態様の第2例において前扉ユニット81と表示画面71との位置関係を示した分解斜視図である。演出ユニット105の構造上、前扉ユニット81と表示画面71との間にはある程度の間隔があるため、例えば図8に示されているように、表示画面71の真正面から横方向にずれた角度から演出態様を視認した場合、演出画像Imが透明部材811よりも奥まった位置に存在していることが容易に見て取れる。このように演出態様の第2例では、前扉ユニット81と表示画面71との間に空間が介在していることを遊技者に意識させることで、立体的な奥行き感のある演出を実現することができる。
〔第3例〕
図10は、演出態様の第3例を示す正面図である。この演出態様は、第2例とは逆に左右の後扉ユニット82だけが閉位置にあり、左右の前扉ユニット81は開位置にある状態で、演出画像Imを遊技者に視認させるものである。第3例では、遊技者から見ると前扉ユニット81が開放された状態にあるが、その奧では後扉ユニット82が閉じた状態にあり、表示画面71との間には左右の後扉ユニット82が介在した状態となっている。
このとき半透明部材823は、表示画面71の直前の位置でその表示領域Aをほぼ全て覆うようにして重なっている。この状態で表示画面71上に演出画像Imが表示されると、遊技者からは半透明部材823を透過してその直ぐ背後にある演出画像Imが半ば明瞭に(又は演出画像Imの輪郭が判る程度に半ば明確に、あるいはぼんやりと、あるいはうっすらと)視認される。この場合、前扉ユニット81が開放されている分、遊技者からは視覚的に表示画面71との距離感が縮まることから、それだけ臨場感のある演出を実現することができる。その一方で、前後の扉ユニット81,82を全て開放している時(第1例)と同様に、表示画面71に遊技者から明確に認識できるように演出画像Imが表示されている場合、その表示の下で、半透明部材823を透過して半ば明確に演出画像Imを視認させることにより、遊技者に対して遊技者に対して第1例及び第2例とはいずれも異なった視覚的印象を与えることができ、それだけ演出態様を多様化することができる。また、遊技者に対して「果たしてどのような画像が表示されているのか?」といった探求心や好奇心を抱かせ、演出に対する注意を大きく引きつけることができる。また第3例において、演出の内容によっては、あえて演出画像Imをぼやけた状態(前後の扉ユニット81,82をともに開放した状態でもぼやけて見える状態)で表示する場合もある。このような場合、元々ぼやけて表示されている演出画像Imの前に後扉ユニット82(白濁透明部材)が重なることで、さらに変化に富んだ演出表示を可能にする。
〔第4例〕
図11は、演出態様の第4例を示す正面図である。この演出態様は、第1例とは逆に左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82の両方が閉位置にある状態で、演出画像Imを遊技者に視認させるものである。
この第4例では、遊技者から見ると前扉ユニット81及び後扉ユニット82がともに表示画面71との間に介在している。このため、表示画面71上の表示領域A内に演出画像Imが表示されると、遊技者からは透明部材811に加えて半透明部材823を透過し、さらにその奧の位置に演出画像Imの存在が視認されることになる。このため、第2例と同様に表示画面71上の主要な表示領域に遊技者の注目を集めることができることに加えて、表示画面71が空間的な奥行きを持つような印象を遊技者に与えることができる。また、半透明部材823を介して演出画像Imを視認させることで、さらに違った印象を遊技者に与えることができる。さらに、第3例とは違って、より限られた範囲内(透明部材811の部位)だけでしか演出画像Imが視認できないため、より深く遊技者の探求心や好奇心、興味を引きつけることができる。
上記第1〜第4例に加えて、本実施形態では以下の演出態様をも実現可能である(特に図示はしていない)。
〔第5例〕
演出態様の第5例は、前扉ユニット81及び後扉ユニット82について、左右のいずれか一方がともに閉位置にあり、他方がともに開位置にある状態で、演出画像Imを遊技者に視認させるものである。この場合、表示画面71の左右いずれか半分の領域では透明部材811及び半透明部材823を介して演出画像Imが視認され、もう半分の領域では演出画像Imがそのまま視認されることになる。
〔第6例〕
演出態様の第6例は、前扉ユニット81についてのみ、左右のいずれか一方が閉位置にあり、他方は開位置にあって、後扉ユニット82については左右ともに開位置ある状態で、演出画像Imを遊技者に視認させるものである。この場合、表示画面71の左右いずれか半分の領域では透明部材811だけを介して演出画像Imが視認され、もう半分の領域では演出画像Imがそのまま視認されることになる。
〔第7例〕
演出態様の第7例は、上記の第6例とは逆に、後扉ユニット82についてのみ、左右のいずれか一方が閉位置にあり、他方は開位置にあって、前扉ユニット81については左右ともに開位置ある状態で、演出画像Imを遊技者に視認させるものである。この場合、表示画面71の左右いずれか半分の領域では半透明部材823だけを介して演出画像Imが視認され、もう半分の領域では演出画像Imがそのまま視認されることになる。
〔第8例〕
演出態様の第8例は、前扉ユニット81についは、左右のいずれか一方が閉位置にあり、他方は開位置にあり、このとき後扉ユニット82については、前扉ユニット81と反対の左右いずれか一方が閉位置にあって、他方は開位置にある状態で、演出画像Imを遊技者に視認させるものである。この場合、表示画面71の左右いずれか半分の領域では透明部材811だけを介して演出画像Imが視認され、もう半分の領域では半透明部材823だけを介して演出画像Imが視認されることになる。
以上が演出ユニット105の構成とその動作の概要である。さらに、本実施形態のスロットマシン1には、演出ユニット105の動作を制御する制御ユニット(図示されていない)が装備されており、制御ユニットは、例えば筐体2の内部又は前面扉4の裏側等に設置されている。以下、制御ユニットの構成とその動作について概略的に説明する(特に図示していない)。
〔駆動制御〕
制御ユニットは、例えばCPU(中央演算処理装置)を備えており、このCPUにより左右の前扉用駆動ユニット110A,後扉用駆動ユニット110Bの動作を個別に制御することができる。各ステッピングモータ103A,103Bにはモータ駆動用ICが接続されており、ステッピングモータ103A,103Bの駆動パルスは各モータ駆動用ICから個別に出力される。CPUは、各前扉ユニット81,後扉ユニット82の移動方向及び移動量(左方向又は右方向へどれだけ移動させるか)を個別に制御するプログラムを実行し、これに伴い、各モータ駆動用ICに対して駆動信号を出力する。CPUがモータ駆動用ICに駆動信号を出力すると、これを受け取ったモータ駆動用ICは駆動信号に基づいて駆動パルスを生成し、対応するステッピングモータ103A,103Bに印加する。これにより、各ステッピングモータ103A,103Bの回転方向及び回転角度が正しく制御される結果、各前扉ユニット81,後扉ユニット82の移動方向及び移動量が制御される。
〔表示制御〕
制御ユニットは例えばVDP(画像表示プロセッサ)を備えており、このVDPにより画像表示装置44の表示動作を制御することができる。VDPにはROM、VRAM等の半導体メモリが内蔵されており、このうちROM上に演出画像Imの画像データが格納されている。VDPはROMから画像データを読み出すと、これをVDPのフレームバッファ領域に展開し、1フレームごとに画像表示装置44を駆動する。これにより、上述した演出態様の第1〜第4例のように表示画面71上に演出画像Imが表示される。
〔メッセージ表示〕
また制御ユニットのCPUは、VDPに対して表示信号を出力し、画像表示装置44により文字情報を表示させることができる。例えば、スロットマシン1の遊技中に何らかの障害(例えば、メダル投入口16の奧でのメダル詰まり、払出装置のメダル切れ等)が発生した場合、図示しない主制御装置(主制御CPU)からエラー情報コマンドが出力される。制御ユニットのCPUがエラー情報コマンドを受け取ると、CPUはVDPに対してエラー情報を表示する指令を出力する。この場合、画像表示装置44の表示画面71上には「メダルのエラーです。係員を呼んでください。」等の文字情報が表示される。
あるいは、スロットマシン1の遊技において、リール6,8,10が回転中のまま長時間(例えば数分)が経過した場合、図示しない主制御装置(主制御CPU)から注意情報コマンドが出力される。制御ユニットのCPUが注意情報コマンドを受け取ると、CPUはVDPに対して注意情報を表示する指令を出力する。この場合、画像表示装置44の表示画面71上には「リールを停止させてください」等の文字情報が表示される。
その他、スロットマシン1の遊技において、リール6,8,10の回転中に停止ボタン20,22,24の停止操作に関する情報を提供する場合、図示しない主制御装置(主制御CPU)からアシスト情報コマンドが出力される。制御ユニットのCPUがアシスト情報コマンドを受け取ると、CPUはVDPに対してアシスト情報を表示する指令を出力する。この場合、画像表示装置44の表示画面71上には「左リールに『赤7』を狙ってください」等の文字情報が表示される。
その上で本実施形態では、左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82がともに閉位置にある状態(図11参照)であっても、透明部材811及び半透明部材823を透過して表示画面71の表示内容(ここでは文字情報)を遊技者に対して視認させることができる。したがって、遊技中に左右の前扉ユニット81及び後扉ユニット82がともに閉じている状態でエラーが発生したり、何らかの情報を遊技者に提供する必要が生じたりした場合であっても、その文字情報を確実に遊技者に視認させることができる。
以上のように本実施形態によれば、各前扉ユニット81及び後扉ユニット82の開閉状態に応じて多様な演出態様を実現することができる。また、前扉ユニット81、後扉ユニット82のいずれも、それぞれ透明部材811、半透明部材823によって光透過性が確保されているので、両方が閉じた状態であっても、表示画面71を完全に隠してしまうことがなく、それだけ演出の幅を広く確保することができるし、遊技者に対して確実に情報を伝えることができる。
〔その他の実施形態〕
本発明は上述した一実施形態に制約されることなく、種々の変形を伴って実施することができる。一実施形態で挙げた演出画像Imや模様Pはあくまで好ましい例示であり、これ以外の演出画像や模様を用いることは当然に可能である。
また、スロットマシン1のゲームコンセプトは実施形態のものに限らず、既に述べたとおり、多種多様なものをゲームコンセプトとして採用する余地がある。
その他、一実施形態であげた前扉ユニット81や後扉ユニット82の具体的な形状、構造等はあくまで一例に過ぎず、これらは適宜変形してもよい。
本発明は、パチンコ遊技機として実施することもできる。パチンコ遊技機の場合、前面から見て遊技盤面(遊技領域)のほぼ中央位置で、遊技板(ベニヤ板)の後方に画像表示装置が設置される。また、画像表示装置の表示画面より前面に前後2重の扉ユニットを配置して、これらを開閉可能に支持する。このとき、前後の扉ユニットにそれぞれ光透過性を持たせ、互いの光透過性を異ならせればよい。