JP5316507B2 - 導電性熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
更に、重縮合触媒を失活させたポリエチレンテレフタレート樹脂により、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂のエステル交換反応が抑制されるため、該複合樹脂組成物のモルフォロジーが安定し、この結果、導電性フィラーであるカーボンブラックの分散状態も安定するため、射出成形等による成形品の導電性能のバラツキが小さく、品質の安定した製品が得られるだけでなく、成形品の表面外観も良好なものとなり、更にはポリエチレンテレフタレート樹脂の結晶性低下が抑制されることから、射出成形時にポリエチレンテレフタレート樹脂の結晶化収縮が効果的に行われるので、金型からの離型性が比較的良好に維持されることをも見出した。
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/T …(1)
(ここで、[η]sは、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素気流下210℃で3時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)であり、[η]mは、窒素気流下210℃で2時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)である。Tは1(時間)である。)
体積抵抗率変化=[Rx]/[Ro] ・・・(2)
(但し、上記式(2)に於いて、[Rx]は樹脂組成物を280℃の射出成形機内で20分滞留させた後に射出成形した成形品の体積抵抗率を、[R0]は樹脂組成物を該射出成形機に注入後直ちに射出成形した成形品の体積抵抗率を、各々示す。)
また、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は、自動車用外装部品の他、例えば、電気・電子・OA機器をはじめとした導電性が必要とされる用途にも好適に使用できる。例えば、半導体に使われるICチップ、ICトレーや、ウエハー、コンピュータに使われるハードディスクの内部部品などの、帯電防止性を付与して塵やほこりの付着を防止するためや、静電気による誤作動を防止する目的等に使用することができる。また、電磁波シールド性の付与のために導電性が要求される用途、例えば、ノートバソコンのハウジング、PDAのハウジング、パチンコ部品の基板、カメラシャッター、携帯電話のハウジング等にも使用することができる。
本発明の樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂(A)としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられるが、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂である。
さらに、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の分子中に3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール等を分岐化剤として少量併用することもできる。
これらの芳香族ジヒドロキシ化合物のなかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」とも言い、「BPA」と略記することもある。)が好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂(B)とは、全構成繰り返し単位に対するテレフタル酸及びエチレングリコールからなるオキシエチレンオキシテレフタロイル単位(以下「ET単位」と称す場合がある。)の比率(以下「ET比率」と称す場合がある。)が好ましくは90当量%以上であるポリエチレンテレフタレート樹脂であり、本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂はET単位以外の構成繰り返し単位を10当量%未満の範囲で含んでいてもよい。本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸又はその低級アルキルエステルとエチレングリコールとを主たる原料として製造されるが、他の酸成分及び/又は他のグリコール成分を併せて原料として用いてもよい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂を熱水(蒸気)処理してポリエチレンテレフタレート樹脂中のゲルマニウム触媒を失活させる方法。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を容器に充填し、70〜150℃、例えば約100℃の水蒸気をポリエチレンテレフタレート樹脂に対して毎時1〜100重量%の量で5〜6000分間通蒸して、蒸気処理を行った後乾燥する。
ポリエチレンテレフタレート樹脂を容器内でポリエチレンテレフタレート樹脂の0.3〜10重量倍の蒸留水に浸漬させ、次に、ポリエチレンテレフタレート樹脂及び蒸留水が入った容器を外部より加熱し、内温を70〜110℃にコントロールし、3〜3000分間保持して熱水処理を行なった後、脱水し、乾燥する。
上記乾燥は、通常、窒素等の不活性ガス中、120〜180℃で3〜8時間行われる。
ポリエチレンテレフタレート樹脂にリン化合物を添加して、ポリエチレンテレフタレート樹脂中のチタニウム触媒を失活させる。この場合、リン原子の添加量は、ポリエチレンテレフタレート樹脂の重量を基準として7〜145ppmの範囲であることが好ましい。リン化合物の添加量が7ppmに満たない場合、触媒の失活が不十分であり、本発明の目的とする効果が得られない場合がある。リン原子の添加量が145ppmを超える場合、リン化合物自体が粗大凝集粒子となり、外観不良や耐衝撃性の低下といった問題が生じる。
(式中、R1及びR2は炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−又は−CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R1及びR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/T …(1)
ここで、[η]sは、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素気流下210℃で3時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)であり、[η]mは、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素気流下210℃で2時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)である。Tは1(時間)である。即ち、本発明では、窒素気流下210℃にて3時間保持した後の固有粘度を[η]s、そして同条件下で2時間保持した後の固有粘度を[η]mとし、これらの値を用いて、上述した(1)式により算出した固相重合速度Ksを、固相重合速度Ksとした。そしてTは1時間となる。
本発明に係る樹脂成分は、前述のポリカーボネート樹脂(A)の1種又は2種以上の95〜51質量%と、上述の失活PET(B)の1種又は2種以上の5〜49質量%とからなる。
逆に、ポリカーボネート樹脂(A)の割合が上記下限よりも少なく、失活PET(B)の割合が上記上限よりも多いと、ポリカーボネート樹脂本来の特性が損なわれ、耐衝撃性や荷重熱撓み温度が低下し、さらにカーボンブラックを添加した際の導電性発現効果が十分に得られないため好ましくない。
本発明で導電性フィラーとして用いるカーボンブラック(C)とは、一般に比表面積が大きく、2次凝集体(ストラクチャー)の発達した導電性カーボンブラックであり、好ましくは比表面積(BET式窒素吸着法)が30〜1500m2/gの範囲のもので、中でも50〜1300m2/g、更には70〜900m2/g、特に100〜850m2/gであることが好ましい。比表面積が1500m2/gを超えると、得られる樹脂組成物の流動性と外観が悪化する傾向があり、30m2/g未満では、導電性が発現しにくくなるおそれがある。
本発明の樹脂組成物は、上述の樹脂成分に対してリン系熱安定剤及び/又はヒンダードフェノール系熱安定剤を含んでいてもよく、これらの特定の熱安定剤(D)を含むことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)として失活PETを用いることによる滞留熱劣化の抑制効果をより一層顕著に高め、耐滞留熱劣化性に優れた樹脂組成物を実現することができる。即ち、リン系熱安定剤は、過酸化物の分解作用により、また、ヒンダードフェノール系熱安定剤は過酸化物ラジカルを捕捉する作用により、熱劣化を抑止することができる。
本発明の樹脂組成物は、更にゴム性重合体(E)を含んでいてもよく、ゴム性重合体(E)の配合で、耐衝撃性、成形性の改善を図ると共に、熱滞留時の樹脂組成物の増粘を抑制することができる。即ち、好適なゴム性重合体を適当な配合量で配合することにより、熱滞留時のゴム性重合体の凝集を抑制して、ゴム性重合体の凝集による増粘を抑制し、これにより、樹脂組成物の成形安定性を改良とすることができる。
本発明の樹脂組成物は、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有することが必須であるが、該樹脂組成物の寸法安定性、耐熱性、及び剛性を改良する目的で、さらに(C)成分以外の無機充填材を含有することができる。
フィラー研究会編、大成社、1994)等に記載されている。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述のポリカーボネート樹脂(A)及び失活PET(B)と、カーボンブラック(C)、熱安定剤(D)、ゴム性重合体(E)、及び無機充填材の他、通常のポリカーボネート樹脂組成物に含有される他の種々の添加剤を含有していてもよい。
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、失活PET(B)、カーボンブラック(C)、必要に応じて用いられる熱安定剤(D)、ゴム性重合体(E)、その他の添加剤を用いて、従来公知の任意の方法を適宜選択して製造することができる。
本発明の樹脂組成物は、失活PETを用いたことによる滞留熱劣化の抑制及び導電性及びその安定性に優れ、その好ましいものは、下記式(2)で算出される体積抵抗率変化が3以下の良好な特性を示す。
体積抵抗率変化=[Rx]/[Ro] ・・・(2)
(但し、上記式(2)に於いて、[Rx]は樹脂組成物を280℃の射出成形機内で20分滞留させた後に射出成形した成形品の体積抵抗率を、[R0]は樹脂組成物を該射出成形機に注入後直ちに射出成形した成形品の体積抵抗率を、各々示す。)
本発明の組成物のMVRが上記上限値以下であることにより、耐衝撃性や耐湿熱性が良好となり、上記下限値以上であることにより、流動性が良好となり、残留歪みを抑えて、耐薬品性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の樹脂組成物から成形品を製造する方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に採用されている成形法、すなわち一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、多色射出成形法、ガスアシスト射出成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱冷却金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などを採用することができる。また、各種射出成形法においてはホットランナー方式を用いた成形法を選択することもできる。
以下の実施例及び比較例において用いた原料成分は次のとおりである。
(1)PC−A:
界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロン(登録商標)E−2000」、粘度平均分子量:28,000、末端ヒドロキシル基含有量:150ppm
界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロン(登録商標)S−3000」、粘度平均分子量:22,000、末端ヒドロキシル基含有量:150ppm
界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロン(登録商標)H−3000」、粘度平均分子量:18,000、末端ヒドロキシル基含有量:150ppm
(1)未処理PET−1:
重縮合触媒として二酸化ゲルマニウム触媒を用いたポリエチレンテレフタレート 三菱化学(株)製「GG500S」、固有粘度[η]:0.76dl/g、末端カルボキシル基濃度AV:28μeq/g、ET比率:97.8当量%、固相重合速度Ks:0.0085dl/g・hr(物性値はいずれも後述の測定方法による。)
重縮合触媒としてチタン系触媒を用いたポリエチレンテレフタレート 三菱化学(株)製「ノバペックス(登録商標)RF543DE」、固有粘度[η]:0.74dl/g、末端カルボキシル基濃度AV:8.4μeq/g、ET比率:97.6当量%、固相重合速度Ks:0.0078dl/g・hr(物性値はいずれも後述の測定方法による。)
上記未処理PET−1に対して、以下の重縮合触媒の失活処理を施したもの、固有粘度[η]:0.75dl/g、末端カルボキシル基濃度AV:30μeq/g、ET比率:97.8当量%、固相重合速度Ks:0.0031dl/g・hr(物性値はいずれも後述の測定方法による。)
<失活処理方法>
未処理PET−1 50kgを100℃の蒸留水50kg中で1時間煮沸処理した後、脱水し、窒素雰囲気中、120℃で6時間時間乾燥した。
上記未処理PET−2に対して、以下の重縮合触媒の失活処理を施したもの、固有粘度[η]:0.73dl/g、末端カルボキシル基濃度AV:12μeq/g、ET比率:97.6当量%、固相重合速度Ks:0.0042dl/g・hr(物性値はいずれも後述の測定方法による。)
<失活処理方法>
未処理PET−2 100質量部に対して、以下のリン系熱安定剤a(アデカスタブAX−71)を0.01質量部と以下のリン系熱安定剤b(イルガフォス168)を0.03質量部添加し、タンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダー温度270℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hrにてバレルより押出機にフィードし、溶融混練することにより失活PET−2のペレットを作製した。
リン系熱安定剤a:ADEKA社製「アデカスタブAX−71」(モノ又はジ−ステアリルアシッドホスフェート)
リン系熱系安定剤b:チバ・スペシャルティ・ケイミカルズ社製「イルガフォス168」(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)
(1)CB−1
三菱化学(株)製品 「三菱カーボンブラック#3400B」、比表面積(BET式窒素吸着法):165m2/g、ジブチルフタレート(DBP)吸収量:175cm3/100g
三菱化学(株)製品 「三菱カーボンブラック#3030B」、比表面積(BET式窒素吸着法):32m2/g、ジブチルフタレート(DBP)吸収量:130cm3/100g
電気化学工業(株)製品 「デンカブラック」、比表面積(BET式窒素吸着法):69m2/g、ジブチルフタレート(DBP)吸収量:160cm3/100g
三菱化学(株)製品 「ケッチェンブラックEC−300J」、比表面積(BET式窒素吸着法):800m2/g、ジブチルフタレート(DBP)吸収量:360cm3/100g
ポリアクリル酸アルキル(コア)/アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合物(シェル)からなるコア/シェル型グラフト共重合体 ローム・アンド・ハース・ジャパン社製「パラロイドEXL2315」
(1)熱安定剤−1(リン系熱安定剤)
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト チバ・スペシャルティ・ケイミカルズ社製「イルガフォス168」
オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製「イルガノックス1076」
<PETの末端カルボキシル基濃度>
樹脂チップ0.5gを精秤し、195℃のベンジルアルコール25ml中に溶解し、氷水中で数十秒間冷却した後エチルアルコール2mlを加え、自動滴定装置(東亜電波製「AUT−301」)を用いて、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で中和滴定した。測定滴定量A(ml)、ブランク滴定量B(ml)、NaOHベンジルアルコールの力価F、及び、試料の秤量値W(g)より、下記式により、末端カルボキシル基量AV(μeq/g)を求めた。
AV=(A−B)×0.01×F×1000/W
凍結粉砕したPET試料0.50gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、濃度(c)を1.0g/dlの溶液を調製した。ここで試料溶解条件は120℃で30分間で溶解させた。この溶液を30℃にてウベローデ型粘度計を用いて、溶媒のみ(c=0)に対する相対粘度(ηrel)を測定し、この相対粘度(ηrel)−1を比粘度(ηsp)とし濃度(c)との比(ηsp/c)を求めた。同様にして濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとして、それぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度[η](dl/g)として求めた。
樹脂試料を重水素化トリフルオロ酢酸に常温で溶解させた3重量%溶液を用いて、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−EX270型」)にて1H−NMRを測定し、各ピークを帰属し、その積分比からテレフタル酸、及びテレフタル酸以外のジカルボン酸成分、並びに、エチレングリコール、及びそれ以外のジオール成分の割合を求め、オキシエチレンオキシテレフタロイル単位の含有率(ET比率)を算出した。
1粒当りの平均粒重が24mgとなるようにカットされたPETチップ10gを直径30mmφ、高さ30mmのステンレス製メッシュで作成した容器に入れ、イナートオーブン(ESPEC社製「IPHH−201型」)中で、40リットル/分の窒素気流下160℃で4時間乾燥させた。その後、窒素流通を保持した状態で160℃から210℃まで1時間かけて昇温し、210℃で保持後3時間後の固有粘度[η]s、2時間後の固有粘度[η]mから、以下の(1)式により算出した。
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/1 …(1)
<実施例1〜15及び比較例1〜6の樹脂組成物の調製>
上記原料成分を使用し、下記表1,2に示す割合で含有する導電性熱可塑性樹脂組成物を以下のように調製した。
表2に示すカーボンブラック以外の各成分を表2に示す割合にて、タンブラ−ミキサ−で均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製「TEX30XCT」)にフィードし、カーボンブラックは、表2の割合となるよう同上押出機の途中からサイドフィードし、溶融混練した樹脂組成物を、水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化して樹脂組成物のペレットを得た。また、サイドフィードから直下の混練ゾーンまでの到達時間(搬送工程の時間)は5秒とした。
上記で得られた樹脂組成物について、以下の評価を行って、結果を表1,2に示した。
樹脂組成物のペレットを120℃で5時間以上乾燥した後、ファナック製「α100iA型」射出成形機を使用して、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒の条件で、ISO引張試験片(厚さ4.0mm)を射出成形した。ISO179に準拠して、この試験片から厚さ4.0mmのノッチ付試験片(通常試験片)を作製し、23℃の環境下において、ノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。
尚、滞留後のノッチ付きシャルピー衝撃強度の測定については、後述(2)の方法で得られた20分滞留後の試験片から上記と同様にノッチ付き試験片(滞留後試験片)を作製し、23℃の環境下において、ノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。
上記(1)と同様にして樹脂組成物のペレットを120℃で5時間以上乾燥した後、ファナック製「α100iA型」射出成形機を使用して、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で、射出成形に十分な計量を行った後、シリンダー内に20分間保持した後に射出成形し、滞留後のISO引張試験片(厚さ4.0mm)を作製した。
得られた滞留後の試験片の外観を、以下の4段階で評価した。
◎:表面にシルバーストリークなし
○:表面にわずかにシルバーストリークあり
△:表面にシルバーストリークあり
×:表面のシルバーストリークが著しい
上記(1)の方法で得られた通常試験片と滞留後試験片について、それぞれ平行部分を、長さ50mmとなるように両端を切断し、切断により生じた両端面に銀ペーストを全面塗布し、室温で乾燥した後に、テスターで該両端面間の抵抗値(RL:単位Ω)を測定し、体積抵抗率R(単位:Ωcm)を、次式より算出した。
R=RL×AL/L
(式中、ALは、試験片の断面積(単位:cm2)を、Lは、試験片の長さ(単位:cm)を意味する。)
測定された通常試験片の体積抵抗率[Ro]と滞留後試験片の体積抵抗率[Rx]から、その変化割合を次式により算出した。
体積抵抗率変化=滞留後試験片の体積抵抗率[Rx]/通常試験片の体積抵抗率[Ro]
上記(1)において、樹脂組成物のペレットを120℃で5時間以上乾燥した後、ファナック製「α100iA型」射出成形機を使用して、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒の条件で、ISO引張試験片(厚さ4.0mm)を射出成形する際、試験片の金型からの離型抵抗を、以下の4段階で評価した。
◎:離型性特に問題なし
○:離型時にやや抵抗あり(目視)
△:離型時にやや試験片の変形あり
×:離型不良(離型せず、試験片の変形大)
上記(1)の方法で得られた通常試験片と滞留後試験片について、それぞれMVR(メルトボリュームレート)をJIS K7210に準拠し、温度300℃、荷重11.8Nで測定した。
表1,2より次のことが分かる。
ポリエチレンテレフタレート樹脂として失活PETではなく未処理PETを用いた比較例3,4では、体積抵抗率変化が大きく、導電性能の安定性が劣り、また、耐衝撃性、滞留後外観も劣る。
カーボンブラックの配合量が多過ぎる比較例5では、導電性は良好であるが、流動性、耐衝撃性、滞留後外観に劣る。
カーボンブラックの配合量が少な過ぎる比較例6では、実用的な導電性を示さない。
Claims (7)
- ポリカーボネート樹脂(A)95〜51質量%と、ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)5〜49質量%とからなる樹脂成分100質量部に、カーボンブラック(C)0.5〜10質量部を配合してなり、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂(B)が、重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂組成物。
- 重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基濃度が5〜40μeq/g、固有粘度[η]が0.6〜1.5dl/g、全構成繰り返し単位に対するオキシエチレンオキシテレフタロイル単位の比率が90当量%以上であり、下記式(1)で算出される固相重合速度Ksが0.006(dl/g・hr)以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/T …(1)
(ここで、[η]sは、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素気流下210℃で3時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)であり、[η]mは、窒素気流下210℃で2時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)である。Tは1(時間)である。) - カーボンブラック(C)の比表面積(BET式窒素吸着法)が30〜1500m2/g、且つジブチルフタレート(DBP)吸収量が100〜500cm3/100gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- 更に、ポリカーボネート樹脂(A)とポリエチレンテレフタレート樹脂(B)の合計100質量部に対して、熱安定剤(D)として、リン系熱安定剤0.01〜0.5質量部及び/又はヒンダードフェノール系熱安定剤0.01〜1質量部を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- 更に、ポリカーボネート樹脂(A)とポリエチレンテレフタレート樹脂(B)の合計100質量部に対して、ゴム性重合体(E)1〜15質量部を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
- 下記式(2)で算出される体積抵抗率変化が3以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
体積抵抗率変化=[Rx]/[Ro] ・・・(2)
(但し、上記式(2)に於いて、[Rx]は樹脂組成物を280℃の射出成形機内で20分滞留させた後に射出成形した成形品の体積抵抗率を、[R0]は樹脂組成物を該射出成形機に注入後直ちに射出成形した成形品の体積抵抗率を、各々示す。) - 請求項1乃至6のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物を射出成形してなる樹脂成形品。
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