JP5316048B2 - 水晶基板の加工方法および音叉型水晶振動片の製造方法 - Google Patents

水晶基板の加工方法および音叉型水晶振動片の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水晶基板の加工方法および音叉型水晶振動片の製造方法に関するものである。
従来より、水晶振動子が様々な電子機器の発振回路に周波数制御素子として採用されている。特に、小型で壊れにくく、正確に振動する省電力の水晶振動子として音叉型振動子が用いられている。このような音叉型振動子は、特にクロック源として時計を含む各種電子機器に発振回路とともに内蔵され、印加された電圧に伴って、逆電圧減少により振動する。
このような音叉型振動子を製造する方法として、エッチング方法が挙げられる。水晶X板(水晶Y軸に回転して得られた基板を含む)をエッチングによって加工しようとした場合、X面のエッチングレートは殆どないのでエッチングすることができない。そのため、以下に示すようなレーザーで加工する方法が提案されている。
特許文献1では、レーザー波長に大きな吸収を有する液体層(例えば、色素を含有する有機溶液など)を加工対象に接触させた状態で、基板の背面方向からナノ秒紫外レーザーを照射し、液体層と基板との界面でアブレーションを起こして微細表面加工を行う方法を提案している。
また、特許文献2,3では、ガラス基板に対してレーザーを集光照射することにより内部に変質層を形成した後、変質層の一部を液相エッチングにより除去することによって溝を形成する方法を提案している。
特開2000−94163号公報 特開2006−256933号公報 特開2002−210730号公報
上記した加工方法は、溝の形成などのような微細加工のみに用いられ、基板の薄型化や比較的大きな面積の加工に用いられるようなものではなかった。一般的に、基板の薄型化には研削や研磨が用いられており、薄型化する基板に接着材やワックスを介してサポート基板を貼り合せた状態で処理を行っていた。このような方法は基板全体を薄型化するには適しているものの、水晶基板における広範囲な面積を部分的に加工するのは難しい。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、水晶X板に対する広範囲な面積の加工が容易に行うことが可能な水晶基板の加工方法および音叉型水晶振動片の製造方法を提供することを目的としている。
本発明の水晶基板の加工方法は、上記課題を解決するために、水晶X板のエッチング領域に対してレーザーを照射して水晶とは異なる組織構造を有する変質層を水晶のY軸方向に沿って形成する工程と、前記変質層を起点として前記エッチング領域をエッチングする工程と、を有する。
本発明の水晶基板の加工方法によれば、水晶X板のエッチング領域に対してレーザーを照射して変質層を形成することで、エッチング処理においてまず変質層が先にエッチングされ、その後、変質層を起点としてエッチングが周囲(±Z方向)に進行し、エッチング領域全体がエッチングされる。このように、従来ウェットエッチングによる加工が困難であった水晶X板のエッチング加工が可能となる。したがって、水晶X板のエッチング領域に予め変質層を形成しておくことによって、効率よく基板加工することが可能となる。
また、本発明によれば、水晶のY軸方向に延びる変質層を形成することにより、Z軸方向に比べてエッチングレートの遅いY軸方向のエッチングが可能である。また、変質層以外の領域でZ軸方向よりも先にY軸方向へエッチングされることはほとんどない。
また、水晶のZ軸方向に複数の前記変質層を配列させることが好ましい。
本発明によれば、複数の変質層を起点としてZ軸方向(±Z方向)にエッチングが進行するので、少ないレーザー照射で水晶X板の広範囲な加工が可能となる。
また、水晶X板の−X面側から+X方向にエッチングすることが好ましい。
本発明によれば、水晶X板の−X面側から+X方向にエッチングすることによって、水晶の異方性の影響を受けることなく底面を平坦にエッチングして残すことが可能となる。
また、レーザーが、フェムト秒パルスレーザーであることが好ましい。
本発明によれば、透過性を有する水晶基板に対して変質部を確実に形成することができる。また、変質部(レーザー照射領域)の周囲に損傷を及ぼすおそれがない。また、水晶とは組織構造の異なる状態の変質層を形成することができる。このような変質層は、エッチングレートが高いので、エッチング処理を短時間で行うことが可能となる。
また、レーザーの出力を、300nJ以上500nJ未満とすることが好ましい。
本発明によれば、変質部分を目視で確認できるので、変質部を所定領域に確実且つ容易に形成することができる。また、レーザー照射後、水晶基板に亀裂が入ることを防止できる。
また、エッチング液としてフッ酸を主成分とする溶液を用いることが好ましい。
本発明によれば、フッ酸が含有された溶液を用いることにより、高エッチングレートで薄型加工することが可能である。
本発明の音叉型水晶振動片の製造方法は、第1水晶X板および第2水晶X板を、互いのX軸を平行にするとともにX軸の正負の方向が互いに逆向きとなるように貼り合わせる工程と、第1水晶X板および第2水晶X板における各々の−X面側からレーザーを照射して各エッチング領域に変質層を形成する工程と、変質層を起点としてエッチングすることによってエッチング領域をエッチングする工程と、振動片本体上に電極を形成する工程と、を有する。

本発明によれば、水晶X板の表面および裏面が第1水晶X板および第2水晶X板におけるそれぞれの−X面となるので、水晶X板の表面および裏面側からそれぞれレーザーを照射して変質層を形成することによって、第1水晶X板および第2水晶X板の変質層を同時にエッチングすることが可能となる。したがって、水晶X板のエッチング領域に予め変質層を形成しておくことによって、効率よく基板加工することが可能となる。
本実施形態の音叉型水晶振動片の製造方法によって製造される振動片本体の概略構成図。 音叉型水晶振動片の製造フロー図。 加工基板を示す斜視図。 振動片の製造方法における各工程毎における振動片の断面図。 振動片の製造方法における各工程毎における振動片の断面図。 振動片の製造方法における各工程毎における振動片の断面図。 (a)Xカット板における+X方向のエッチング状態を示す断面図、(B)はXカット板における−X方向のエッチング状態を示す断面図。 加工装置の概略構成図。 本実施形態の製造方法によって得られた音叉型水晶振動片の概略構成図。 図9のE−E断面図。 本発明に係る水晶基板の加工方法を示す工程図。 本発明に係る水晶基板の加工方法を示す工程図。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
水晶により構成される基板は、異方性を有しており、エッチングを行う際にその結晶軸の軸方向によって異なる速度でエッチングが進行する。各結晶軸のエッチング速度において、Y軸方向及びX軸方向はZ軸方向に比べて非常に遅くなる。Y軸、X軸はほとんどエッチングされない。また、近年、音叉型水晶振動子の小型化の要望が高まっており、例えば、1枚の水晶基板からエッチングによって音叉型水晶振動片を得ようとすると、各軸方向のエッチング速度差によって高精度な加工を施すことがむずかしい。そこで、本願発明者は以下の方法を提案する。
(音叉型水晶振動片の製造方法)
本発明の音叉型水晶振動片の製造方法の一例について述べる。図1は、本発明の製造方法によって得られる振動片本体を示す概略構成図であって、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A’断面図、(c)は(a)のB−B’断面図、(d)は(a)のC−C’断面図、図2は音叉型水晶振動片の製造フロー図、図3は加工基板を示す斜視図、図4〜図6は振動片の製造方法における各工程毎における振動片の断面図を示す。
まず、図1(a)に示すような音叉型水晶振動片の主体となる振動片本体120を製造する。振動片本体120は、図1(b)〜(d)に示すように、基部110と、基部110から突出する3本の音叉腕3a,3b,3cとを有してなり、基部110に対して音叉腕3a,3b,3cの厚みが非常に薄く形成されている。
初めに、図3に示すように、主面が結晶軸(XYZ)のX軸に直交した2枚のXカット水晶片(第1水晶X板)10及びXカット水晶片(第2水晶X板)11を直接接合することにより加工基板30を形成する(S1)。ここで、Xカット水晶片10およびXカット水晶片11を切り出す水晶としては、同一結晶系であれば、右手系水晶あるいは左手系水晶のいずれを用いても良い。各Xカット水晶片10,11の厚さは約100μmである。Xカット水晶片10およびXカット水晶片11は、結晶軸(XYZ)において互いの結晶のZ軸(Y軸)が平行するとともに(ある若干の角度ずれが存在していても良い)、接合方向においてX軸の正負の方向が互いに反転するように重ね合わせて接合する。本実施形態では、Xカット水晶片10,11同士をフッ酸接合やプラズマ接合などを用いて直接接合している。
次に、図8に示すレーザー照射装置20の多軸ステージ28上に加工基板30を載置する。そして、図4(a),(b)に示すように加工基板30の両主面101a,111aにおける各エッチング領域A1,A2に対してフェムト秒レーザー照射を行うことによって複数の変質ライン150を形成し、これらを含む変質層151,152を形成する(S2)。レーザー光を照射すると、その熱エネルギーなどによって照射領域における結晶の相移転などが生じて水晶とは異なる組織構造となる。
本実施形態の製造方法に用いるレーザー照射装置20は、図8に示すようにレーザー光源23、光学系、多軸ステージ28を基本として構成されており、レーザー光源23から発せられたレーザー光が、ハーフミラー26を経て対物レンズ27に入射された加工基板30に照射されることになる。ここで、フェムト秒レーザーとは、パルス幅がフェムト秒(fs:10−15)台のパルスレーザーであって、極めて短時間に高エネルギーが照射部位に集中するため、その主意に熱伝導が生じる前に加工が進行し、集光領域のみの加工が誘起される。このため、照射部位の周囲には影響が殆ど及ばない、また、フェムト秒レーザーを使用することで、水晶のような透明部材に対しても集光照射が可能である。
本実施形態では、フェムト秒レーザーとして、例えば波長800nm、パルス幅130fs、周波数5kHzのチタン−サファイヤレーザーを使用する。レーザー光線の集光スポット径は0.5〜1μm程度である。
また、レーザー出力は150nJ〜450nJ、好ましくは200nJ〜400nJであって、本実施形態では300nJに設定する。なお、レーザー出力を100nJとした場合には変質部分を目視で確認することができず、出力を300nJにすることで変質部分を目視で確認することが可能となる。また、出力を500nJまで高めた場合には変質部分を目視で確認できるものの、加工基板30に亀裂が入ってしまうおそれがある。
加工基板30に対するレーザー光の照射位置の走査は、加工基板30を載置した多軸ステージ28を移動させることによって行う。この多軸ステージ28は、X方向、Y方向、Z方向のいずれにも移動できるように構成されている。この多軸ステージ28は、ドライバ9を介してコンピューター装置8によって制御されて移動する。すなわち、コンピューター装置8は、多軸ステージ28を所定のプログラムに従って駆動させることにより、加工基板30において、レーザー光の集光点が任意の予定された軌跡上を走査されるようにする。さらに、多軸ステージ28の上方には、多軸ステージ28上に載置される加工基板30のアライメントの整合をとるためのCCDカメラ21が備えられており、このCCDカメラ21の映像に基づいて加工基板30に対するレーザー光の照射位置等定めることとする。
本実施形態では、まず、Xカット水晶片10側を表向きにして加工基板30を多軸ステージ28上に載置させ、図5(a)に示すように加工基板30の所定のエッチング領域A1に対してその表面、つまりXカット水晶片10の主面101a(−X面)側からレーザーを照射する。このとき、多軸ステージ28を一方向に移動させることで、加工基板30のY軸方向に沿った直線状の変質ライン150を形成する。本実施形態では、上述した多軸ステージ28の移動速度を毎秒2.5mm、レーザー光の照射間隔を5kHzとすることでスポット間隔を0.5μmにし、変質部位同士が繋がるように加工する。さらに、板厚100μmの加工基板30の厚み方向に焦点距離を5μmずつ変えて、厚さ方向における所定範囲を変質させる。そして、Xカット水晶片10の全面にZ軸方向に配列する複数本の変質ライン150をストライプ状に形成する。このとき、隣り合う変質ライン150同士の間隔が10μmとなるようにレーザーを照射するとともに、Xカット水晶片10の底部に厚さ2μm程度の単結晶層が残るように照射制御を行うことによって、所定のエッチング領域A1に複数の変質ライン150を有する変質層151を形成する。
次に、加工基板30を裏返してXカット水晶片11側を表向きにし、所定のエッチング領域A2に対して主面111a(−X面)側からレーザー照射を行うことによって複数本の変質ライン150をストライプ状に形成し、変質層152を形成する。
次に、図5(b)に示すように加工基板30の表面全体に保護膜31を形成する(S3)。保護膜31としては、Cr層上にAu層を積層したものからなり、例えばスパッタ法や蒸着法を用いて成膜される。この後、保護膜31の表面にレジストを塗布し、フォトリソ工程を経て所望のレジストマスク32Aを形成した後(S4)、このレジストマスク32Aの形状に従って図5(c)に示すように保護膜31をパターン形成する。
次に、図5(d)に示すように、加工基板30を水晶を溶解するエッチング溶液に浸漬させ、パターン化された保護膜31をマスクとしてウェットエッチングを行うことにより変質層151,152を除去し(S5)、加工基板30を部分的に薄型化する。エッチング溶液としては、フッ化水素水溶液50%とフッ化アンモニウム溶液50%を1:1で混合したものを用いた。変質層151,152の組織構造は水晶の結晶性が変化して粗な状態となっているため常温のままでも素早く溶けるが、変質層151,152内には変質ライン150間に単結晶層が混在している。このため、エッチング液を25℃程度に加熱して処理を行うことによって、まず変質層151,152を溶解除去するとともにZ軸方向にも同じ速度でエッチングを進行させる。
既述の通り、加工基板30は、Xカット水晶片10,11のX軸の正負の向きが互いに反転するように貼り合わせたものであるため、その表裏から厚さ方向(+X方向)に同一の速度でエッチングが進行する。
また、保護膜31に覆われた部分はエッチングされずに残る。本実施形態では、フッ酸系のエッチング液を用いることから、エッチング液のダメージを防ぐためにエッチング領域以外の残す部分を覆うようにして保護膜31を設けたが、使用する液の温度によっては保護膜を必要としない場合もある。
次に、加工基板30上からレジストマスク32Aおよび保護膜31を剥離した後、図6(e)に示すように再びレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによってレジスト膜Reをパターン化することで、図6(f)に示すような振動片本体の外形に対応したレジストマスク32Bを形成する(S6)。
次に、レジストマスク32Bを介して加工基板30をエッチングすることにより、図6(g)に示すような振動片本体120を得る(S7)。ここで、水晶のエッチングには、水晶の組織がSiOであるため、フッ素系のガス、CFガスなどを用いたドライエッチングを行う。このようにして振動片本体120が形成される。
次に、レジストマスク32Bを剥離し、加工基板30の表面全体にスパッタ等によりCr膜およびAu膜をこの順で成膜して電極膜35を形成する。例えば、Cr膜を100Å、Au膜を500Åで形成する。続けて、図6(h)に示すようにフォトレジストを電極膜35上の全面に塗布した後、フォトリソグラフィーによってレジスト膜をパターン化することで、電極パターンに対応したレジストマスク32Cを形成する。その後、このレジストマスク32Cを介して電極膜35のエッチングを行うことにより、図6(i)に示すように振動片本体102上に複数の電極(駆動電極4a,4b,4c,5b,5a,5cおよび電極7A,7B)を形成する(S8)。
その後、振動片本体102上からレジストマスク32Cを除去することによって音叉型水晶振動片1が得られる。
本実施形態の製造方法では、加工基板30に対してフェムト秒レーザー照射を行うことによってそのエッチング領域A1,A2に変質層151,152を形成している。水晶にフェムト秒レーザーを照射すると、レーザーが照射された部分が溶解して再結晶化した非結晶状態、少なくともアモルファス、多結晶、水晶、空洞などが入り混じった状態となって水晶の結晶性が変化する。つまり、変質層151,152は、空隙等が含まれるなどして水晶とは異なる組織構造を有することになる。
このような変質層では水晶の異方性がなくなってしまうため、水晶自体をエッチングする場合に比べてエッチングレートが非常に速くなる。レーザーが照射されてエッチングレートが速くなった理由は水晶の単結晶構造が破壊されたためと思われる。例えばアモルファス構造のガラスと水晶ではエッチングレートはガラスのほうが桁違いに速いことからも推察される。
Xカット板は、X軸方向のエッチング速度が非常に遅くほとんどエッチングすることができない。例えば、上記したHF水溶液50%とNHF水溶液50%の混合液からなるエッチング液を80℃で加熱してエッチングした場合、Z軸方向は1時間で80μm程度エッチングできるのに対して、X軸方向は1μmエッチングできるかどうかである。また、Y軸方向もZ軸方向に比較してエッチングレートは非常に遅い。
そこで、本実施形態のように、Xカット水晶片10,11における互いのX軸を一致させるとともに正負の向きを逆方向にして接合した加工基板30のエッチング領域A1,A2に対して、予めレーザー照射による変質層151,152を形成した上でウェットエッチングを行うこととした。これにより、まず変質層151,152が溶解し、そこからZ軸方向にエッチングが進行する。ところが、X軸方向およびY軸方向にはほとんどエッチングは進まない。このため、加工基板30におけるエッチング領域A1,A2にレーザーを照射してその部分における水晶を部分的に変質させることによって、変質部分からエッチングレートの早いZ軸方向にエッチングが進行して加工基板30を薄型化することが可能となる。
また、Xカット水晶片10,11における互いのX軸の正負の向きを逆向きにして接合し、加工基板30の両主面101a,111aが−X面となるようにした。これにより、図7(a)に示すようにエッチングが+X方向へと進行することとなり、平坦なエッチング面が得られる。ところが、Xカット水晶板に対して−X方向のエッチングを行うと水晶の異方性の影響を受けて、図7(b)に示すようにエッチング面が山型となりやすい。そこで、本実施形態では、エッチング時に水晶の異方性の影響を受けにくい−X面側から+X方向へ向かってエッチングが行えるように、Xカット水晶片10,11における互いのX軸の正負の向きを逆向きにして接合し、加工基板30を構成した。
本実施形態の製造方法によれば、水晶X板からなる加工基板30のエッチング領域A1,A2に対してレーザーを照射して複数の変質ライン150を形成しておくことにより、エッチング処理においてまず変質ライン150が先にエッチングされ、その後、変質ライン150を起点としてエッチングが周囲(±Z方向)に進行し、変質層151,152全体が除去されることとなる。このようにして、加工基板30のエッチング領域A1,A2の全体がエッチングされる。したがって、従来ウェットエッチングによる加工が困難であった水晶X板のエッチング加工が可能となる。したがって、加工基板30のエッチング領域A1,A2に予め変質層151,152を形成しておくことによって、効率よく基板加工することが可能となる。
このように、水晶の異方性とレーザーアシストエッチングとの組み合わせによって、従来、ウェットエッチングによる加工が困難であった水晶X板のウェットエッチング加工が可能となる。また、少ないレーザー照射によって比較的大きな面積を加工することができるため、作業に手間がかからず生産効率が良い。
また、本実施形態においてはフェムト秒レーザーを用いている。これにより、透明な水晶基板に変質層を必要な箇所に必要な数だけ確実且つ容易に形成することが可能である。
以上、本実施形態の製造方法を用いれば、発振周波数を決定する膜厚を、高い加工精度にて薄く形成することが可能であるため、小型化な音叉型水晶振動片1を容易に形成することができる。
なお、本実施形態においては、3本の音叉腕から構成される振動片の製造方法について示したが、2本以上の複数本で構成される振動片とすることが可能であり、その本数は限定しない。
上述した本実施形態の製造方法を用いて製造された音叉型水晶振動片の概略構成について図9を参照して述べる。なお、図10は図9のE−E断面図である。
音叉型水晶振動片1は、基部片10B,11Bからなる基部110と、振動片10a,11aからなる音叉腕3a、振動片10b,11bからなる音叉腕3b、振動片10c,11cからなる音叉腕3cの3つの音叉腕3a,3b,3cとから構成される振動片本体を有している。また、各音叉腕3a,3b,3cには、X軸方向に垂直な面の上面に駆動電極4a,4b,4cが形成され、下面に5a,5b,5cがそれぞれ形成されている。そして、これら駆動電極4a,4b,4cが基部110の上面110aに形成された電極7Aと電気的に接続され、駆動電極5a,5b,5cが同じく基部110の上面110aに形成された電極7Bと電気的に接続されている。
このような構成による、例えば、X軸方向に振動する場合、音叉腕3aにおいて、駆動電極4aに印加される電圧が駆動電極5aより高い場合、電界の方向が駆動電極4aから駆動電極5aへ向かうため、振動片10aが伸張し、振動片11aが収縮することになり、図10の下部方向に振動する。また、駆動電極4aに印加される電圧より、駆動電極5aに印加される電圧が低い場合、電界の方向が駆動電極5aから駆動電極4aへ向かうため、振動片10aが収縮し、振動片11aが伸張するため、図10の上部方向に振動する。
したがって、矩形波の交番電圧が各音叉腕の駆動電極間に印加されることにより、X軸方向に音叉腕3aが振動することになる。他の音叉腕3b及び音叉腕3cも同様である。
また、上述したように、隣接する音叉腕間にて駆動電圧として、交番電圧の位相が互いに逆となるように接続されているため、隣接する音叉腕はX軸に沿って、互いに逆方向、すなわち一方が上部に振動すると他方が下部に移動して振動を行う。
このような音叉型水晶振動片1は、Xカット水晶片10,11を直接接合などで接合することにより、音叉腕3a,3b,3cが形成されているため、X軸方向に垂直な上面および下面にそれぞれ形成した駆動電極4a,4b,4cと駆動電極5a,5b,5cに位相の異なる電圧を印加することにより上下振動を行わせることができる。つまり、隣接する音叉腕3a,3b,3cがX軸に沿って各々逆方向に振動することにより、基部110に伝達する振動エネルギーを打ち消し合うことにより抑制するため、振動片の固定バラツキの影響により音叉腕3a,3b,3cの振動が不安定になることを抑制することができる。したがって、Q値の特性値を維持させつつ小型化することができる。
次に、本発明に係る水晶基板の加工方法について述べる。図11及び図12は水晶X板に対して変質層を形成した場合の斜視図である。
水晶X板を加工する場合、図11(a),図12(a)に示すように、水晶X板171,172の所定のエッチング領域に対してその−X面側からY軸に沿う方向にレーザーを照射することによって、Z軸方向にストライプ状に配列された複数の変質ライン170を形成する。これにより、エッチング液に浸したときに各変質ライン170を起点として±Z方向へとエッチングが進行し、図11(b),図12(b)に示すような所望形状に加工することが可能となる。なお、水晶X板171,172に対するレーザーの焦点深度を調整することによって、水晶X板171,172の厚さ方向全体に変質ライン170を形成することができるので、溝等を形成するだけでなく、貫通孔も形成することが可能である。
このように、水晶X板171,172に対し、そのY軸方向に延びる変質ライン170をZ軸方向へ複数形成することによって、広範囲な領域をウェットエッチングにより加工することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、先の実施形態では、加工基板30の両主面101a,111aのそれぞれからレーザーを照射するとしたが、2ビームのレーザー集光位置等を調整するなど、条件によっては片面側からのレーザー照射によって変質層151,152を形成することも可能である。これにより、加工基板30を裏返すなどの手間が省けるので効率が良い。
また、先の実施形態では、ドライエッチングにより振動片本体102を形成したが、加工基板30における振動片の外形に沿った抜き取り部分に対してレーザーを照射して変質層を形成しておき、ウェットエッチングによりこの変質層を除去することによって振動片本体102を形成してもよい。
1…音叉型水晶振動片、10…Xカット水晶片(第1水晶X板)、11…Xカット水晶片(第2水晶X板)、A1,A2…エッチング領域、151,152…変質層、101a,111a…主面(−X面側)、102…振動片本体、4a,5a…駆動電極、7A,7B…電極

Claims (7)

  1. 水晶X板のエッチング領域に対してレーザーを照射して水晶とは異なる組織構造を有する変質層を水晶のY軸方向に沿って形成する工程と、
    前記変質層を起点として前記エッチング領域をエッチングする工程と、を有することを特徴とする水晶基板の加工方法。
  2. 水晶のZ軸方向に複数の前記変質層を配列させることを特徴とする請求項1に記載の水晶基板の加工方法。
  3. 水晶X板の−X面側から+X方向にエッチングすることを特徴とする請求項1または2に記載の水晶基板の加工方法。
  4. 前記レーザーが、フェムト秒パルスレーザーであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の水晶基板の加工方法。
  5. 前記レーザーの出力を、300nJ以上500nJ未満とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の水晶基板の加工方法。
  6. エッチング液としてフッ酸を主成分とする溶液を用いることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の水晶基板の加工方法。
  7. 第1水晶X板および第2水晶X板を、互いのX軸を平行にするとともに前記X軸の正負の方向が互いに逆向きとなるように貼り合わせる工程と、
    前記第1水晶X板および前記第2水晶X板における各々の−X面側からレーザーを照射して各エッチング領域に変質層を形成する工程と、
    前記変質層を起点としてエッチングすることによって前記各エッチング領域をエッチングする工程と、
    前記振動片本体上に電極を形成する工程と、を有することを特徴とする音叉型水晶振動片の製造方法。
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