以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。
図1(a)及び図1(b)を参照して、本発明の実施の形態に関わるロッカー装置1の外観構成を説明する。ロッカー装置1は、ロッカー装置1の本体を形成する筺体と、筺体の上半側を個々独立した複数の室に仕切って区画形成した複数のロッカーと、筺体の下半部に形成して内部に電源部2や制御部5を収装した機器設置部と、利用者と制御部5との間で情報のやり取りを行うためのユーザインターフェース部とを備える。
各ロッカーは、扉7を有するボックスと、扉7の施錠に用いられる電気錠とを備え、利用者は扉7を開けてボックス内の棚板16の上に物品を収納して、電気錠の操作により扉を施錠することで、物品を保管することができる。各ロッカーの扉7には、扉7を開く際に手を掛ける取手8と、当該ロッカーを識別するためのロッカー番号が印字されたナンバーシール9と、当該ロッカーが使用中であるか空いているかを表示する表示ランプ10とが設けられている。例えば、ロッカーが使用中である場合に表示ランプ10を点灯させ、ロッカーが空いている場合に表示ランプ10を消灯させ、ロッカーが使用できないエラー状態である場合に表示ランプ10を点滅させる。
ユーザインターフェース部には、液晶パネルのような表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせたタッチパネル6と、ID媒体に格納されているID情報を読取るID読取部の一例としてのICカードリーダ17と、利用者の身体的特徴の情報を読取る生体情報読取部の一例としての指紋リーダ4と、管理者操作ロック14とが設けられている。例えば、管理者操作ロック14を解除することにより、管理者による操作が可能となる管理者操作モードに移行させることができる。
機器設置部の前面には制御部扉11が設けられ、制御部扉11の外面には制御部扉11を施錠する制御部扉ロック12が設けられている。制御部扉ロック12を解除することにより、制御部扉11を開いて、電源部2や制御部5へアクセスすることができる。
図2(a)及び図2(b)を参照して、図1(a)のユーザインターフェース部の構成を説明する。タッチパネル6は、斜め上方にその表示/入力面を向けて設置されている。タッチパネル6の下にはICカードリーダ17が設置され、ICカードリーダ17の左脇に隣接してスピーカ15が設けられている。図2(b)に示すように、ICカードリーダ17の下には凹みが形成され、凹みの中に管理者操作ロック14及び指紋リーダ4が設置されている。指紋リーダ4は、利用者の指紋を読取る際に利用者の指を乗せる読取り面を有する。この読取り面を水平よりも正面側へ少し傾斜させることで、利用者へ読取り面を見やすくして指紋リーダ4に対する安心感を与え、利用者が読取り面に指を乗せやすくしている。これにより、指紋リーダ4は利用者の指紋の情報を正しく読取れるようになる。
図3を参照して、図1(a)に示したロッカー装置1の制御構成を説明する。ロッカー装置1は、前述したように、各ロッカーの扉7の施錠に用いられる電気錠E1〜Enと、利用者の指紋の情報を読取る指紋リーダ4と、ID媒体の一例としてのICカードに格納されているID情報を読取るICカードリーダ17と、利用者による情報の入力を受付け、且つ利用者に対する情報を提示するための様々な画面を表示する表示部の一例としてのタッチパネル6と、利用者に対する情報を提示するための音声を出力するスピーカ15と、ロッカー装置1全体を制御する制御部5とを備える。
制御部5は、電気錠E1〜Enの解錠・施錠動作や、指紋リーダ4及びICカードリーダ17の読取り動作、タッチパネル6の入力受付け動作や表示動作、及びスピーカ15の音声出力動作を制御する。
例えば、制御部5は、利用者による暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力画面をタッチパネル6に表示する。これにより、タッチパネル6は、利用者による暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力部、或いは利用者による暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力画面を表示する表示部として機能する。
図4を参照して、図3の制御部5の詳細な構成を説明する。制御部5は、情報の処理演算機能を有するマイクロコンピュータ21と、情報を記憶するメモリ22とを備える。メモリ22は、タッチパネル6から入力された暗証番号の情報、指紋リーダ4により読取られた指紋の情報、及びICカードリーダ17により読取られたID情報を記憶する識別情報記憶部29と、所定のアプリケーションプログラムを記憶するプログラム記憶部30とを備える。マイクロコンピュータ21は、プログラム記憶部30に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを読み出して実行することにより、アプリケーションプログラムに規定された情報処理を実行する。
具体的に、マイクロコンピュータ21は、上記したアプリケーションプログラムに従って、指紋リーダ4により読取られた指紋の情報を予め登録する識別情報登録部25、識別情報登録部25により登録されたID情報及び指紋の情報と、登録後にICカードリーダ17により読取られたID情報及び登録後に指紋リーダ4により読取られた指紋の情報とをそれぞれ照合することにより利用者本人であることを認証する本人認証部26、及び指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取ったか否かを判断する読取成否判断部27して機能する。
識別情報登録部25は、指紋リーダ4により読取られた指紋の情報を識別情報記憶部29に記憶させることにより指紋の情報を登録する。本人認証部26は、識別情報登録部25により登録された指紋と登録後に指紋リーダ4により読取られた指紋との一致度を算出し、算出された一致度が所定のしきい値以上であるか否かを判断する。また、識別情報登録部25により登録されたID情報と登録後にICカードリーダ17により読取られたID情報とが一致するか否かを判断する。
算出された一致度が所定のしきい値以上であり、且つ識別情報登録部25により登録されたID情報と登録後にICカードリーダ17により読取られたID情報とが一致する場合に限り、本人認証部26は、利用者本人であることを認証する。それ以外、すなわち、算出された一致度が所定のしきい値未満である場合、または識別情報登録部25により登録されたID情報と登録後にICカードリーダ17により読取られたID情報とが一致しない場合、本人認証部26は、利用者本人であることを認証しない。
読取成否判断部27は、少なくとも、指紋リーダ4が読取った情報が指紋の情報として不適切である場合と、読取った指紋の情報量が本人認証に十分な情報量を有していない場合に、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと判断する。指紋リーダ4が読取った情報が指紋の情報として不適切である場合には、例えば、人間の指紋以外(例えば、指や掌の静脈や人体以外など)の情報を読取った場合が含まれる。
識別情報登録部25は、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと読取成否判断部27が判断した場合に限り、暗証番号の登録を可能とする。例えば、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと読取成否判断部27が判断した場合に限り、タッチパネル6に暗証番号入力画面を表示して、暗証番号入力画面から入力された暗証番号を識別情報記憶部29に記憶させる。一方、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取ったと読取成否判断部27が判断した場合、識別情報登録部25は暗証番号を登録しない。例えば、この場合、タッチパネル6に暗証番号入力画面を表示しない。よって、暗証番号は入力されず、識別情報記憶部29に記憶されることもない。
本人認証部26は、識別情報登録部25が暗証番号を予め登録した場合に限り、識別情報登録部25により登録されたID情報及び暗証番号と、登録後にICカードリーダ17により読取られたID情報及び登録後に利用者により入力された暗証番号とをそれぞれ照合することにより利用者本人であることを認証する。
このように、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと読取成否判断部27が判断した場合に限り、識別情報登録部25は、指紋の情報の代りに暗証番号を登録可能とし、識別情報登録部25が暗証番号を予め登録した場合に限り、本人認証部26は、指紋の情報の代りに暗証番号を用いて本人認証を行う。
なお、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと読取成否判断部27が判断した場合に、暗証番号を登録するか、或いは指紋の情報を引き続き登録するかをユーザに選択させてもよい。例えば、図8(a)に示すように、暗証番号を登録するか、或いは指紋の情報を引き続き登録するかのユーザによる選択を受付ける登録方法選択画面をタッチパネル6に表示させればよい。この場合、タッチパネル6は、暗証番号を登録するか、或いは指紋の情報を引き続き登録するかのユーザによる選択を受付ける登録方法選択部として機能する。そして、識別情報登録部25は、タッチパネル6が暗証番号の選択を受付けた場合に限り、暗証番号を登録する、すなわち、例えば、図8(c)に示すように、タッチパネル6に暗証番号入力画面を表示して、暗証番号入力画面から入力された暗証番号を識別情報記憶部29に記憶させる。
また、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと読取成否判断部27が判断した場合に、例えば、図8(b)に示すように、暗証番号の登録を選択することをユーザに対して促す暗証番号推奨画面をタッチパネル6に表示させてもよい。この場合、タッチパネル6は、暗証番号の登録を選択することをユーザに対して促す案内を報知する報知手段として機能する。ここで、上記した暗証番号推奨画面は、登録方法選択画面と同時或いは登録方法選択画面よりも前に表示する。
図5〜図7を参照して、図4に示したマイクロコンピュータ21の制御動作の一例を説明する。図5〜図7に示す制御動作は、図4のプログラム記憶部30に記憶されている所定のアプリケーションプログラムに従って実行される。
先ず、図5を参照して、「保管時」の処理フローを説明する。
(イ)ロッカー装置の主電源を投入して制御部5の起動が完了すると、図5のS01段階において、タッチパネル6に、例えば「ICカードをICカードリーダ(17)に近づけてください。」という案内画面を表示し、ロッカー装置を所定の待機状態とする。待機状態において、ユーザがICカードをICカードリーダ17に近づけると、ICカードリーダ17はICカードに格納されているID情報を読取り、S03段階に進み、ICカードリーダ17により読み取れたID情報を受信する。なお、ロッカー装置は、その待機状態において、各ロッカーの扉7に取付けられた電気錠E1〜Enを施錠して待機する。これを「施錠待機」と呼ぶ。
(ロ)S05段階に進み、ICカードリーダ17により読み取れたID情報が、識別情報登録部25により既に登録されているID情報と同じであるか否か、具体的には、識別情報記憶部29に記憶されているID情報と同じであるか否かを判断する。識別情報登録部25により既に登録されているID情報と同じでない場合(S05でNO)、利用者が物品を預け入れる時、即ち「保管時」の処理フローを実行するためにS07段階に進む。一方、識別情報登録部25により既に登録されているID情報と同じである場合(S05でYES)、保管中の物品を取り出す時、即ち「取出時」の処理フローを実行するために図6のS41段階に進む。
(ハ)「保管時」の処理フローから説明する。S07段階において、タッチパネル6に、例えば「扉番号3桁を入力してください。」という案内と0〜9の各数字のボタンとを併記したボックス番号入力画面を表示する。タッチパネル6が利用者によるボックス番号の入力を受付けると、S09段階において、利用者により入力されたボックス番号の情報を受信して、利用者により入力されたボックス番号が正しいか否かを判断する。例えば、実在しないボックス番号、他の利用者が使用中のボックス番号、エラー状態のボックス番号などが入力された場合、利用者により入力されたボックス番号は正しくないと判断し、これら以外のボックス番号を正しいと判断すればよい。なお、ボックス番号入力画面を表示してから所定の時間が経過した時(タイムアウト時)、S01段階に戻りロッカー装置を待機状態とする。
(ニ)利用者により入力されたボックス番号は正しくないと判断した場合(S09でNO)S11段階に進み、タッチパネル6に、例えば「入力された扉番号は存在しません。最初からやり直してください。」、「入力された扉番号はただいま使用中です。表示ランプ(10)が消えている扉番号を選んでください。」或いは「使用できません。表示ランプ(10)が消えている扉番号を選んでください。」という案内画面を表示する。その後、S01段階に戻りロッカー装置を待機状態とする。
(ホ)一方、利用者により入力されたボックス番号は正しいと判断した場合(S09でYES)S13段階に進み、指紋リーダ4を用いて利用者の指紋の情報を読取り、読取った指紋の情報を登録する指紋登録処理フローを実行する。指紋登録処理フローについては、図7を参照して後述する。
(へ)指紋の情報の登録が完了した後に、S15段階に進み、S09段階で受信したボックス番号の電気錠Eを解錠して、タッチパネル6に、例えば「扉番号***の扉を開いてください。」という案内と、扉7が開く様子を示すアニメーションや静止画面を併記して表示する。その後、S17段階に進み、扉7或いはボックスの開口部に取付けた開閉センサを用いて、扉7が開いている状態を検知する。扉7が開いている状態を検知した場合(S17でYES)S25段階に進み、タッチパネル6に、例えば、扉7が開いた状態で荷物をボックス内に入れている様子を示すアニメーションや静止画面を表示する。その後、S27段階に進む。
(ト)扉7が開いている状態を検知しない場合(S17でNO)、S19段階に進み、タッチパネル6の戻るボタンが押下げられたか否かを判断する。戻るボタンが押下げされた場合(S19でYES)S23段階に進み、S09段階で受信したボックス番号の電気錠Eを施錠して、S01段階に戻る。戻るボタンが押下げられない場合(S19でNO)S21段階に進み、電気錠Eを解錠してから所定時間(例えば30秒)が経過したか否かを判断する。所定時間が経過した場合(S21でYES)S23段階に進み、所定時間が経過していない場合(S21でNO)S17段階に戻る。
(チ)S27段階において、扉7が閉じている状態を検知した時(S27でYES)、S33段階に進み、S09段階で受信したボックス番号の電気錠Eを施錠して、S35段階に進み、S03段階で受付けたID情報、S09段階で受信したボックス番号の情報、S13段階で登録した指紋の情報をリンクさせて登録する。すなわち、識別情報記憶部29に記憶する。S35段階を実行することで「保管時」の処理フローは終了する。
(リ)一方、扉7が閉じている状態を検知しない時(S27でNO)、S29段階に進み、扉7が開いてから所定時間(例えば3分)が経過したか否かを判断する。所定時間が経過した場合(S29でYES)S31段階に進み、当該ロッカーがエラー状態であると判断してエラーボックスとして登録し、S01段階に戻る。所定時間が経過していない場合(S29でNO)S27段階に戻る。
ここで、図7を参照してS13段階の指紋登録処理フローについて説明する。
(1)図7のS301段階において、タッチパネル6に、例えば「登録する指を図に従って指紋リーダ(4)の読取り位置に置いて下さい。」という案内と、指紋リーダ4に指を置く様子を示すアニメーションや静止画面を併記して表示する。S303段階に進み、指紋リーダ4の読取り位置に指が置かれたか否かを判断する。指紋リーダ4の読取り位置に指が置かれた場合(S303でYES)、S305段階に進み、指紋の情報を読取る。
(2)S307段階に進み、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っているか否かを判断する。具体的には、少なくとも、指紋リーダ4が読取った情報が指紋の情報として不適切であるか否か、読取った指紋の情報量が本人認証に十分な情報量を有しているか否かをそれぞれ判断する。指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていると判断した場合(S307でYES)、S309段階に進み、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと判断した場合(S307でNO)、S311段階に進む。
(3)S309段階において、指置きの回数を確認する。指置きの回数は、S307でYESと判断される回数に相当する。指置きの回数として1回または2回を予め設定することができる。ここでは、指置きの回数として1回を設定した場合について説明する。よって、S307でYESと一度判断されているので、S309段階では、指置きの回数が1回であると判断され(S309でYES)、S327段階に進み、指紋リーダ4が読取った指紋の情報を登録する。すなわち、指紋リーダ4が読取った指紋の情報を識別情報記憶部29に記憶する。S327段階を実行することで指紋登録処理フローは終了する。
(4)指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと判断した場合(S307でNO)、S311段階に進み、リトライ回数が3回であるか否かを判断する。リトライ回数とは、S303〜S307を行った回数に相当する。リトライ回数が3回である場合(S311でYES)、S313段階に進む。リトライ回数が3回に満たない場合(S311でNO)、S315段階に進み、タッチパネル6に、例えば「指紋の情報を登録できませんでした。」というNG画面を表示し、S301段階に戻る。
(5)S313段階において、タッチパネル6に、例えば、図8(a)に示すように、暗証番号を登録するか、或いは指紋の情報を引き続き登録するかのユーザによる選択を受付ける登録方法選択画面を表示させる。これにより、タッチパネル6を、暗証番号を登録するか、或いは指紋の情報を登録するかのユーザによる選択を受付ける登録方法選択部として機能させることができる。
(6)なお、S313段階において、例えば、図8(b)に示すように、暗証番号の登録を選択することをユーザに対して促す暗証番号推奨画面をタッチパネル6に表示させてもよい。これにより、タッチパネル6を、暗証番号の登録を選択することを利用者に対して促す案内を報知する報知手段として機能させることができる。また、暗証番号推奨画面と同時に、或いは暗証番号推奨画面の代りに、暗証番号の登録を選択することを利用者に対して促す音声案内をスピーカ15から出力してもよい。これにより、スピーカ15を、暗証番号の登録を選択することを利用者に対して促す案内を報知する報知手段として機能させることができる。
(7)ユーザが暗証番号の登録を選択して、タッチパネル6が暗証番号の選択を受付けた場合(S317でYES)、S319段階に進み、タッチパネル6に、例えば、図8(c)に示すように、「暗証番号4桁を入力して下さい。」という案内と0〜9の各数字のボタンとを併記した暗証番号入力画面を表示する。その後、S321段階に進む。一方、ユーザが指紋の情報の登録を選択して、タッチパネル6が指紋の選択を受付けた場合(S317でNO)、S301段階に戻る。
(8)タッチパネル6が利用者による暗証番号の入力を受付けると、S321段階において、入力された暗証番号が予め定めた規定に適合しているか否かを判断する。例えば、1〜3桁、5桁以上の数列の入力を受付けた場合、規定に適合していないと判断して(S321でYES)、S325段階に進み、タッチパネル6に、例えば「入力された数列が適切ではありません。」というNG画面を表示し、S301段階に戻る。
(9)規定に適合していると判断した場合(S321でNO)、S323段階に進み、タッチパネル6が受付けた暗証番号の情報を登録する。すなわち、タッチパネル6が受付けた暗証番号の情報を識別情報記憶部29に記憶する。S323段階を実行することで指紋登録処理フローは終了する。
次に、図6を参照して、「取出時」の処理フローを説明する。「取出時」の処理フローは、識別情報登録部25により既に登録されているID情報と同じである場合(S05でYES)に開始される。
(い)先ず、図6のS41段階において、「保管時」に登録した本人認証のための情報が、指紋の情報であるか、暗証番号の情報であるかを判断する。すなわち、図7の指紋登録処理フローにおいて、指紋の情報を登録したか(S327)、或いは暗証番号の情報を登録したか(S323)を判断する。具体的には、S03で受信したID情報にリンクして識別情報記憶部29に記憶されている情報が、指紋の情報であるか、暗証番号の情報であるかを判断すればよい。
(ろ)指紋の情報が登録されている場合(S41でYES)、S43段階に進み、タッチパネル6に、例えば「登録した指を図に従って指紋リーダ(4)の読取り位置に置いて下さい。」という案内と、指紋リーダ4に指を置く様子を示すアニメーションや静止画面を併記して表示する。S45段階に進み、指紋リーダ4の読取り位置に指が置かれたか否かを判断する。指紋リーダ4の読取り位置に指が置かれた場合(S45でYES)、指紋の情報を読取り、S47段階に進む。
(は)S47段階において、「保管時」において登録したID情報及び指紋の情報と、「取出時」にICカードリーダ17により読取られたID情報及び指紋リーダ4により読取られた指紋の情報とをそれぞれ照合する。ID情報及び指紋の情報の両方が照合した場合(S47でYES)、利用者本人であることを認証して、S63段階に進む。ID情報及び指紋の情報の少なくとも一方が照合しない場合(S47でNO)、利用者本人であることを認証せずに、S51段階に進む。
(に)S51段階において、タッチパネル6に、例えば「認証できませんでした。指紋データが異なります。再認証願います。」という案内と再認証ボタンとを併記して表示する。利用者による再認証ボタンの押下げ操作を受付けた場合(S49でYES)S45段階に戻り、利用者による再認証ボタンの押下げ操作を受付けない場合(S49でNO)S01段階に戻る。
(ほ)S63段階において、S03で受信したID情報にリンクして識別情報記憶部29に記憶されているボックス番号の電気錠Eを解錠して、タッチパネル6に、例えば「扉番号***の扉を開いてください。」という案内と、扉7が開く様子を示すアニメーションや静止画面を併記して表示する。その後、S65段階に進み、扉7或いはボックスの開口部に取付けた開閉センサを用いて、扉7が開いている状態を検知する。扉7が開いている状態を検知した場合(S65でYES)S67段階に進み、タッチパネル6に、例えば、扉7が開いた状態で荷物をボックス内から取り出している様子を示すアニメーションや静止画面を表示する。その後、S75段階に進む。
(へ)扉7が開いている状態を検知しない場合(S65でNO)、S69段階に進み、タッチパネル6の戻るボタンが押下げられたか否かを判断する。戻るボタンが押下げされた場合(S69でYES)S73段階に進み、S03で受信したID情報にリンクして識別情報記憶部29に記憶されているボックス番号の電気錠Eを施錠して、S01段階に戻る。戻るボタンが押下げられない場合(S69でNO)S71段階に進み、電気錠Eを解錠してから所定時間(例えば30秒)が経過したか否かを判断する。所定時間が経過した場合(S71でYES)S73段階に進み、所定時間が経過していない場合(S71でNO)S65段階に戻る。
(と)S75段階において、扉7が閉じている状態を検知した時(S75でYES)、S81段階に進み、S03で受信したID情報にリンクして識別情報記憶部29に記憶されているボックス番号の電気錠Eを施錠して、S03段階で受付けたID情報、S09段階で受信したボックス番号の情報、S13段階で登録した指紋の情報を削除する。すなわち、識別情報記憶部29からこれらの情報を消去する。S81段階を実行することで「保管時」の処理フローは終了する。
(ち)一方、扉7が閉じている状態を検知しない時(S75でNO)、S77段階に進み、扉7が開いてから所定時間(例えば3分)が経過したか否かを判断する。所定時間が経過した場合(S77でYES)S79段階に進み、当該ロッカーがエラー状態であると判断してエラーボックスとして登録し、S01段階に戻る。所定時間が経過していない場合(S77でNO)S75段階に戻る。
(り)図6のS41段階において、「保管時」に登録した本人認証のための情報が、暗証番号の情報である場合(S41でNO)、S53段階に進み、タッチパネル6に、例えば、図8(c)に示すように、「暗証番号4桁を入力して下さい。」という案内と0〜9の各数字のボタンとを併記した暗証番号入力画面を表示する。タッチパネル6が利用者による暗証番号の入力を受付けると、S55段階において、「保管時」において登録したID情報及び暗証番号の情報と、「取出時」にICカードリーダ17により読取られたID情報及び利用者により入力された暗証番号とをそれぞれ照合することにより利用者本人であることを認証する。
(ぬ)ID情報及び暗証番号の情報の両方が照合した場合(S55でYES)、利用者本人であることを認証して、S63段階に進む。ID情報及び暗証番号の情報の少なくとも一方が照合しない場合(S55でNO)、利用者本人であることを認証せずに、S57段階に進む。S57段階において、タッチパネル6に、例えば「認証できませんでした。ID情報または暗証番号が異なります。再入力願います。」という案内を表示する。
(る)S59段階に進み、S55段階の照合を行った回数(リトライ回数)が所定回数(例えば10回)であるか否かを判断する。リトライ回数が10回に満たない場合(S59でNO)、S53段階に戻って暗証番号入力画面を表示して暗証番号の入力を受付ける。リトライ回数が10回に達した場合(S59でYES)、暗証番号及びID情報の照合に連続して10回失敗したことになるので、S61段階に進み、S03で受信したID情報について一定時間(例えば30秒間)だけ利用者の操作を受付けない状態(システムロック状態)にして、タッチパネル6に、例えば「システムロック中 防犯上の理由により操作を停止しました。」という案内を表示する。そして、一定時間経過後に、S01段階に戻る。
なお、ID情報及び暗証番号の情報の両方が照合した場合(S55でYES)におけるS81段階は、上述した「指紋の情報」を「暗証番号の情報」と読み替えて実施すればよい。
また、S81段階において、S03段階で受付けたID情報、S09段階で受信したボックス番号の情報、S13段階で登録した指紋の情報或いは暗証番号の情報を削除したが、削除するか否かを利用者の選択に委ねても構わない。例えば、S81段階において、タッチパネル6に、例えば「下記のいずれかの項目を選択してください。」という案内と、「荷物を取り出して終了」及び「継続して利用する」の2つのボタンを併記して表示する。利用者により「荷物を取り出して終了」ボタンが押下げられた場合、互いにリンクしているID情報、ボックス番号の情報、指紋の情報または暗証番号の情報を削除すればよい。一方、「継続して利用する」ボタンが押下げられた場合、これらの情報を削除しない。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば以下の作用効果が得られる。
指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと読取成否判断部27が判断した場合に限り、識別情報登録部25は暗証番号を登録する。指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていると読取成否判断部27が判断した場合は、識別情報登録部25は暗証番号を登録しない。そして、本人認証部26は、識別情報登録部25が暗証番号を予め登録した場合に限り、識別情報登録部25により登録された暗証番号と、利用者により入力された暗証番号とをそれぞれ照合することにより利用者本人であることを認証する。そして、暗証番号が予め登録されていない場合は、識別情報登録部25により登録された指紋の情報と、登録後に指紋リーダ4により読取られた指紋の情報とを照合することにより利用者本人であることを認証する。
これにより、指紋の情報を正しく読取ることができない場合であっても、暗証番号の入力及び登録が可能となり、暗証番号によって本人認証を行うことができるので、指紋の情報を正しく入力できない利用者であってもロッカー装置を利用することができる。よって、ロッカー装置の対応率を向上させることができる。また、指紋の情報を正しく読取らせるための利用者に対する指導など、ロッカー装置の管理者の負担を軽減することができる。
また一方で、指紋の情報を正しく読取ることができた場合は、暗証に比べて盗難(盗み見)・紛失(失念)等の危険性が低い利用者の指紋を用いて本人認証を行うことができるので、第3者による不正使用のリスクを回避して、ロッカー装置のセキュリティ性を向上させることができる。
また、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと読取成否判断部27が判断した場合に、暗証番号を登録するか、或いは指紋の情報を登録するかをユーザに選択させ(S313)、暗証番号の選択を受付けた場合(S317でYES)に限り、暗証番号を登録する(S323)。これにより、ロッカー装置の対応率を向上させるか、ロッカー装置のセキュリティ性を向上させるかをユーザに選択させることができ、ロッカー装置の利便性を向上させることができる。
また、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと読取成否判断部27が判断した場合(S311でYES)に、図8(b)に示すように、暗証番号の登録を選択することをユーザに対して促す案内画面をタッチパネル6に表示する。これにより、ユーザは暗証番号の登録を選択することにより物品の保管というロッカー装置の本来の目的を達成することができるので、ロッカー装置の対応率を向上させることができる。なお、暗証番号の登録を選択することをユーザに対して促す案内画面の表示と同時に、或いは案内画面の代りに、スピーカ15を用いても暗証番号の登録を選択することをユーザに対して促す案内音声を出力しても構わない。
また、S47段階においてICカードのID情報及び指紋の情報が共に照合しない限り本人認証に成功しないので、ロッカー装置のセキュリティ性を更に向上させることができる。また、識別情報登録部25が暗証番号を予め登録した場合であっても、ICカードのID情報及び暗証番号が共に照合しない限り本人認証に成功しないので、ロッカー装置のセキュリティ性を向上させることができる。
また、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っていないと読取成否判断部27が判断した場合に限り、タッチパネル6は図8(c)に示す暗証番号入力画面を表示し、識別情報登録部25は暗証番号入力画面から入力された暗証番号を登録する。よって、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取ったと読取成否判断部27が判断した場合は、タッチパネル6は暗証番号入力画面を表示しない。したがって、利用者は暗証番号を入力することができず、識別情報登録部25は暗証番号を登録しない。そして、識別情報登録部25が暗証番号を予め登録した場合に限り、タッチパネル6は暗証番号入力画面を表示し、本人認証部26は、識別情報登録部25により登録された暗証番号と、登録後に利用者により入力された暗証番号とをそれぞれ照合することにより利用者本人であることを認証する。よって、暗証番号が予め登録されていない場合は、タッチパネル6は暗証番号入力画面を表示しない。
このように、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取ったと読取成否判断部27が判断した場合、及び暗証番号が予め登録されていない場合、タッチパネル6に暗証番号入力画面は表示されず、暗証番号の入力が必要な場合に限り表示される。よって、指紋リーダ4が指紋の情報を正しく読取っている限りにおいて、ロッカー装置が暗証番号による本人認証機能を有していることを察知する術が無いため、暗証番号の盗み見等を抑制することができる。よって、第3者による不正使用のリスクを回避して、ロッカー装置のセキュリティ性を向上させることができる。
(変形例)
変形例では、図7のS309段階における指置きの回数を2回に設定して、2つの指紋の情報を正しく読取る場合について説明する。なお、第1回目の指置きで読取る指紋の情報を「第1の指紋の情報」とし、第2回目の指置きで読取る指紋の情報を「第2の指紋の情報」とする。
S309段階において、指置きの回数が2回に達していない場合(S309でNO)、制御部5(特徴監視部28)は、指紋リーダ4の読取り位置から第1の指紋の情報に関わる身体部分である第1の指が離れることを監視する。第1の指が離れることを確認した後に、S301段階に戻り、S303段階において指紋リーダ4の読取り位置に第2の指が置かれたか否かを判断する。
指置きの回数が2回に達した場合(S309でYES)、S327段階に進む。S327段階において、制御部5(識別情報登録部25)は、指紋の情報として、第1回目の指置きにおいて読取られた第1の指紋の情報と、第2回目の指置きにおいて読取られた第2の指紋の情報を個別に登録する。
図6のS47段階において、制御部5(本人認証部26)は、S327段階で登録された第1の指紋の情報及び第2の指紋の情報の少なくともいずれか一方と、S45段階で読取られた指紋の情報とが一致するか否かを判断する。少なくともいずれか一方と一致すると判断した場合(S47でYES)、利用者本人であることを認証して、S63段階に進む。いずれとも一致しないと判断した場合(S47でNO)、利用者本人であることを認証せずに、S51段階に進む。
なお、第1の指紋の情報に関わる身体部分(第1の指)と第2の指紋の情報に関わる身体部分(第2の指)とを同じ指(例えば、右手の人差し指)で登録しても良いし、異なる指で登録しても構わない。
変形例によれば、以下の作用効果が得られる。
異なるタイミングで指紋の情報の読取りを2回行って第1及び第2の指紋の情報を登録し、本人認証部26は、登録されている第1及び第2の指紋の情報の少なくともいずれか一つと「取出時」に読取られた指紋の情報とが一致した場合に利用者本人であることを認証する。これにより、指紋の情報が一致する確率が高くなるので、指紋を正しく読取り登録することができたが認証に成功しないといったことが回避され、ロッカー装置の対応率を向上させることができる。
例えば、第1及び第2の指紋が利用者の異なる指の特徴である場合、登録後であって認証前に一方の指を怪我して正しく読取ることができなくても、他方の指の特徴で認証に成功することができる。逆に、第1及び第2の指紋が利用者の同じ指の特徴であっても、指の置き方により読取られる指紋の情報が変ってくる。よって、1本の指について指紋の特徴の幅が拡がり、指紋の情報が一致する確率が高くなる。なお、指紋の情報の数は2に限らず、3以上であってもよい。すなわち、第3の指紋、第4の指紋、・・・の情報を登録して認証しても構わない。
また、指紋リーダ4が第1の指紋の情報を読取った後に、指紋リーダ4の読取り位置から第1の指が離れることを監視し、第1の指が離れたことを特徴監視部28が確認した後に、第2の指紋の情報を読取る。これにより、第1の指紋の情報の読取りと第2の指紋の情報の読取りの間に、第1の指が離れたことを確認する処理を行うことができる。よって、1回目と2回目とで異なる指紋の情報を読取ることができる。例えば、第1及び第2の指紋が利用者の同じ指の特徴である場合、指の置き方により読取られる指紋の情報が変ってくるので、指離しを確認することで、同じ指であっても異なる指紋の情報を読取ることができる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は、1つの実施形態及びその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
上記した実施形態及び変形例では、ID情報及び指紋の情報に基づく二重認証を行い、指紋の情報の正しい読取りができない場合にはID情報及び暗証番号の情報に基づく二重認証を行うロッカー装置について説明した。しかし、本発明は二重認証に限定されるものではなく、指紋の情報のみに基づく本人認証を行い、指紋の情報の正しい読取りができない場合には暗証番号の情報に基づく本人認証を行うロッカー装置に対しても適用することができる。更に第3の認証手段、第4の認証手段、・・・を有するロッカー装置に対しても適用可能であることは言うまでもない。
「身体的特徴」の一例として、皮膚の表皮及び真皮に形成される紋様を含む指紋の特徴について説明したが、これの代りに、指や掌の静脈、虹彩、網膜などの人体の各器官の特徴であっても構わない。
「パスワード」の一例として、数字のみの文字列からなる暗証番号について説明したが、これの代りに、PINや、複数の数字及び文字を組み合わせて羅列したものであっても構わない。
「ID媒体」の一例として、ICチップを埋め込んだカード(ICカード)について説明したが、これの代りに、ICチップを埋め込んだリストバンド及びタグ、或いは磁気カードなど、ID情報を含む各種情報の記録、伝達、保管などに用いられるその他の物や装置であっても構わない。
上記した実施形態及び変形例では、利用者の身体的特徴の情報によって利用者本人を認証して解錠を行うロッカー装置について説明したが、本発明は、ロッカー装置に限らず、利用者の身体的特徴の情報によって利用者本人を認証して解錠を行う電気錠装置、利用者の身体的特徴の情報によって利用者本人を認証する生体認証装置に対しても適用することができる。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。