JP5315085B2 - 車両のフロントピラー構造 - Google Patents
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Description
中空支柱部材の前部に設けたアウターパネルは、中空支柱部材の前部から車体前方に膨出されている。アウターパネルにウインドシールド(フロントウインドガラス)が支えられている。
加えて、アウターパネルが中空支柱部材の前部から車体前方に膨出されている。
このように、中空支柱部材の車幅方向への張出量を抑え、アウターパネルを中空支柱部材の前部から車体前方に膨出させることで、フロントピラーの死角範囲を小さく抑えることが可能になる(例えば、特許文献1参照。)。
フロントピラーの強度を高める方法として、中空支柱部材の断面形状を大きくすることが考えられる。
しかし、中空支柱部材の断面形状を大きくした場合、フロントピラーの死角範囲を小さく抑えることが難しくなる。
このため、車外から目視されるアウターパネルの部位が比較的幅狭になり、フロントピラー構造が外観的に頼りなく見えることが考えられる。
よって、略長方形断面の短辺を、概ね車幅方向に沿わせて配置することができる。
これにより、中空支柱部材の車幅方向の寸法(すなわち、幅寸法)を小さく抑えることが可能になり、フロントピラー構造の死角範囲を小さく抑えることができる。
よって、長辺は、長辺に対して直交する荷重(すなわち、長辺を曲げ変形させる荷重)より大きな荷重を支えることができる。
この中空支柱部材をフロントピラーに備えることで、フロントピラーの強度(剛性)を高めることができる。
ところで、中空支柱部材の前部は後部より車幅方向外側に設けられている。
よって、中空支柱部材の前部を、車室側の死角境界線に対して比較的大きく離すことができる。
これにより、樹脂ガーニッシュの防水シール部を、中空支柱部材の前部から車室側の死角境界線まで大きく張り出して、防水シール部の張出量を十分に確保することができる。
防水シール部の張出量を十分に確保することで、防水シール部およびウインドシールド間に備えるドリップ溝の溝深さ寸法を大きく確保することができる。
ここで、ドリップ溝とは、雨天時やウインドウォッシャー液の使用時に、ウインドシールドの水滴を下方に導く(案内する)溝をいう。
すなわち、ドリップ溝の溝深さ寸法を大きく確保することで、ウインドシールドの水滴を下方に良好に導く(案内する)ことができ、水はけ性能の向上を図ることができる。
また、請求項1に係る発明では、装飾ガーニッシュに樹脂ガーニッシュを積層することで、装飾ガーニッシュおよび樹脂ガーニッシュの厚さ寸法を小さく抑えることができる。
これにより、装飾ガーニッシュをウインドシールド側に近づけることが可能になり、走行風の流れを車体後方に効率よく流すことができ、空力性能や燃費性能を向上させることができる。
この断面略コ字状の規制部に中空支柱部材の前部を収納することで、規制部の車幅方向の幅寸法を中空支柱部材の前部より大きくできる。
これにより、断面略コ字状の規制部の強度(剛性)を、車幅方向の曲げに対して高めることができる。
これにより、装飾ガーニッシュの車幅方向の幅寸法を大きく確保してフロントピラーの外観を太く見せることが可能になり、フロントピラーの強度(剛性)について外観的にも安心感を与えることができる。
これにより、特に、サッシュレスドアの車両の場合には、フロントピラーの外観を太く見せて、フロントピラーの強度(剛性)について外観的にも安心感を与えることは重要である。
これにより、走行風の流れを車体後方に効率よく流すことができ、空力性能や燃費性能を向上させることができる。
よって、内装部材を取り付けるために、従来必要とされているインナーパネルを不要とすることができる。
これにより、部品点数を減らして軽量化やコスト低減を図ることができる。
さらに、アウターパネルの外フランジでウエザーストリップを支え、ウエザーストリップおよび樹脂ガーニッシュ間の間隔をシール状態に保つようにした。
これにより、車外側と車室側とを樹脂ガーニッシュで遮蔽することができ、車室側に水漏れが生じることを防止できる。
これにより、車体剛性(具体的には、フロントピラー剛性)を向上させ、かつ、アウターパネルおよび中空支柱部材の擦れによる騒音(擦れ音)の発生を抑えることができる。
これにより、装飾ガーニッシュの意匠などについて設計(表現)の自由度を高めることができる。
図1に示すように、車両10は、左右のフロントサイドフェンダ11の車体後方にそれぞれ左右のフロントサイドドア12が設けられ、左右のフロントサイドフェンダ11間にエンジンフード13が設けられ、エンジンフード13の車体後方に左右のフロントピラー構造(車両のフロントピラー構造)15が車体後方に向けて上り勾配で設けられ、左右のフロントピラー構造15にフロントウインドガラス(ウインドシールド)16が支えられたコンバーチブル車である。
ここで、左右のフロントサイドドア12は、ドア窓枠を備えていないサッシュレスドアが用いられている。
この中空支柱部材21は、一対の長辺(内側壁部24、外側壁部25)および一対の短辺(前壁部22、後壁部23)で略長方形断面に形成されている。
また、一対の短辺は、中空支柱部材21の前壁部22および後壁部23で構成される部位である。
すなわち、中空支柱部材21は、詳しくは、略平行四辺形に形成されている。
また、車外側の死角境界線36とは、フロントピラー構造15の車外側部15bで遮られて、乗員のアイポイント(目の位置)から車外を見ることができない境界線をいう。
複数の後取付孔39に複数の後取付クリップ42をそれぞれ係止することで、内装部材32が複数の後取付クリップ42で中空支柱部材21の後壁部23に取り付けられている。
パネル前壁部51には、複数のパネル取付孔51aがパネル前壁部51の長軸方向に沿って形成されている。
複数のパネル取付孔51aは、複数の前取付孔38に対してそれぞれ同軸上に設けられている。
ここで、パネル前壁部51は、中空支柱部材21の前壁部22に接着剤55(図4も参照)で接合(結合)されている。
中空支柱部材21の前壁部22にパネル前壁部51を設けることで、中空支柱部材21の前壁部22が断面略コ字状の規制部45内に収納されている。
これにより、断面略コ字状の規制部45の強度(剛性)を、車幅方向の曲げに対して高めることができる。
これにより、車体剛性(具体的には、フロントピラー剛性)を向上させ、かつ、アウターパネル27および中空支柱部材21の擦れによる騒音(擦れ音)の発生を抑えることができる。
アウターパネル27は、規制部45、内フランジ46および外フランジ47で断面略ハット状に形成されている。
左側辺16aは、後述する装飾ガーニッシュ72の車幅方向中心側の内側端72b側の側辺である。
フロントウインドガラス16の左側辺16aにガラスモール61を備えている。
ガラスモール61は、積層ガーニッシュ28にモールリップ部62が当接されている。
ウエザーストリップ31は、内装部材32に後リップ部66が当接されている。
積層ガーニッシュ28は、パネル前壁部51に設けられた樹脂ガーニッシュ71と、樹脂ガーニッシュ71の表面(具体的には、ウインドモール本体75の表面)75cに積層された装飾ガーニッシュ72とを備えている。
前取付クリップ41は、ウインドモール本体75の裏面75bのうち、車幅方向の略中央部にベース41aが、一例としてインサート成形で埋設されている。
この前取付クリップ41は、前取付孔38およびパネル取付孔51aにそれぞれ同軸上に設けられている。
この状態で、ウインドモール本体75が防水用のシール78(図3参照)を介してパネル前壁部51に接着されている。また、パネル前壁部51が接着剤55を介して中空支柱部材21の前壁部22に接着されている。
よって、ウインドモール本体75の車幅方向幅寸法を、パネル前壁部51の車幅方向幅寸法に対して大きく設定することができる。
ここで、ガラスモール61は、前述したようにフロントウインドガラス16の左側辺16aに備えられている。
これにより、車外側91と車室側92とを樹脂ガーニッシュ71、ガラスモール61やフロントウインドガラス16で遮蔽することができ、車室側92に水漏れが生じることを防止できる。
ここで、ウエザーストリップ31は、図2に示すように、後リップ部66が内装部材32に当接されている。
さらに、積層ガーニッシュ28(具体的には、樹脂ガーニッシュ71)および内装部材32(図2参照)との間の間隔がウエザーストリップ31で塞がれている(シール状態に保たれている)。
これにより、車外側91と車室側92とを樹脂ガーニッシュ71やウエザーストリップ31で遮蔽することができ、車室側92に水漏れが生じることを防止できる。
このため、車体側の部材(複数の前取付クリップ41、内係止部位85および外係止部位86)を装飾ガーニッシュ72に設ける必要がない。
よって、装飾ガーニッシュ72の形状を簡素化することができる。
すなわち、樹脂ガーニッシュ71は装飾ガーニッシュ72を補強する機能を備えている。
これにより、装飾ガーニッシュ72の意匠などについて設計(表現)の自由度を高めることができる。
防水シール部76は、フロントウインドガラス16の左側辺(フロントウインドガラス16のうち装飾ガーニッシュ72側の側辺)16aに沿って車幅方向内側に張り出されている。
これにより、中空支柱部材21の前壁部22から車室側の死角境界線35まで大きく張り出して、防水シール部76の張出量L1を十分に確保することができる。
ここで、ドリップ溝94とは、雨天時やウインドウォッシャー液の使用時に、ウインドシールドの水滴を下方に導く(案内する)溝をいう。
なお、ドリップ溝94の溝深さ寸法Dを大きく確保した理由については図5で詳しく説明する。
さらに、防水シール部76は、その裏面76bがウインドモール本体75の裏面75bに対して車体前方側に段差H2(図3参照)分だけ凹状に形成されている。
図3に示すように、防水シール部76の表面76aがウインドモール本体75の表面75cに対して車体前方側に段差H1分だけ膨出されている。
よって、装飾ガーニッシュ72の表面72cは、防水シール部76の表面76aに対して略面一に配置されている。
よって、装飾ガーニッシュ72をフロントウインドガラス16側に近づけることが可能になる。
よって、ウインドモール本体75が車外から目視できないように、ウインドモール本体75を装飾ガーニッシュ72で覆うことができる。
これにより、装飾ガーニッシュ72の車幅方向の幅寸法L2を大きく確保してフロントピラー構造15の外観を太く見せることができ、フロントピラー構造15の強度(剛性)について外観的に安心感を与えることができる。
よって、フロントピラー構造15の外観を太く見せることで、車両10の強度(剛性)について外観的にも安心感を与えることができる。
内装部材32は、車体後方に向けて膨出するように断面略U字状に形成され、内面32aに複数の補強リブ101が形成され、後部32bから中空支柱部材21の後壁部23に向けて取付部102が膨出され、取付部102の座部103に複数の後取付クリップ42が長手方向に所定間隔をおいて設けられている。
さらに、複数の後取付クリップ42は、後壁部23に対して略直交するように設けられるとともに、複数の後取付孔39に対して同軸上に設けられている。
よって、内装部材32を取り付けるために、従来必要とされているインナーパネルを不要とすることができる。
これにより、部品点数を減らして軽量化やコスト低減を図ることができる。
図5に示すように、中空支柱部材21の内側壁部24および外側壁部25の延長線34(外側壁部25の延長線34のみを示す)が車室側の死角境界線35や車外側の死角境界線36に交差し、中空支柱部材21の前壁部22が後壁部23より車幅方向外側に設けられている。
また、中空支柱部材21の後壁部23(すなわち、略長方形断面の後短辺)は、前壁部22と同様に、概ね車幅方向に沿わせて設けられている。
したがって、フロントピラー構造15で遮られて、乗員のアイポイント(目の位置)105から車外を見ることができない死角範囲θを小さく抑えることができる。
これにより、中空支柱部材21の短辺(すなわち、車幅方向)の寸法をさらに小さく抑えることが可能になり、フロントピラー構造15の死角範囲θを一層小さく抑えることができる。
まず、車体前方側からフロントピラー構造15に荷重が作用する例について説明する。
なお、荷重が作用した際の理解を容易にするために内側壁部24のみに荷重が作用すると仮定して説明する。
車体前方からフロントピラー構造15に伝わった荷重F1は、一部が内側壁部24に沿った荷重F2(すなわち、内側壁部24を座屈変形させる荷重)として作用する。
これにより、内側壁部24に対して直交する荷重(すなわち、内側壁部24を曲げ変形させる荷重)が作用した場合と比較して、内側壁部24で大きな荷重を支えることができる。
なお、荷重が作用した際の理解を容易にするために外側壁部25のみに荷重が作用すると仮定して説明する。
車体側方からフロントピラー構造15に伝わった荷重F4は、一部が外側壁部25に沿った荷重F5(すなわち、外側壁部25を座屈変形させる荷重)としてそれぞれ作用する。
これにより、外側壁部25に対して直交する荷重(すなわち、外側壁部25を曲げ変形させる荷重)が作用した場合と比較して、外側壁部25で大きな荷重を支えることができる。
したがって、中空支柱部材21を備えたフロントピラー構造15の強度(剛性)を高めることができる。
図7に示すように、防水シール部76の張出量L1を十分に確保することで、防水シール部76およびフロントウインドガラス16間に備えるドリップ溝94の溝深さ寸法Dを大きく確保することができる。
そして、ドリップ溝94で受け入れた水滴108を、ドリップ溝94に沿って下方に良好に導く(案内する)ことができ、水はけ性能の向上を図ることができる。
図7に示すように、防水シール部76の表面76aがウインドモール本体75の表面75cに対して車体前方側に段差H1(図3参照)分だけ凸状に形成されている。
よって、装飾ガーニッシュ72の表面72cは、防水シール部76の表面76aに対して略面一に配置されている。
よって、装飾ガーニッシュ72をフロントウインドガラス16側に近づけることが可能になる。
例えば、前記実施例で示した車両のフロントピラー構造15、フロントウインドガラス16、中空支柱部材21、前壁部22、後壁部23、内側壁部24、外側壁部25、アウターパネル27、積層ガーニッシュ28、内装部材32、後取付孔39、前取付クリップ41、規制部45、内フランジ46、外フランジ47、樹脂ガーニッシュ71、装飾ガーニッシュ72および防水シール部76などの形状は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
Claims (8)
- 中空支柱部材が車体後方に向けて上り勾配で設けられ、前記中空支柱部材でウインドシールドを支える車両のフロントピラー構造において、
前記中空支柱部材が略長方形断面に形成され、
前記略長方形断面の長辺が前記フロントピラー構造の死角境界線と交差し、かつ、前記中空支柱部材の前部が後部より車幅方向外側に位置するように前記中空支柱部材が設けられ、
前記中空支柱部材の前部にアウターパネルが設けられ、
前記アウターパネルの前部に積層ガーニッシュが設けられ、
積層ガーニッシュは、
前記アウターパネルの前部に設けられた樹脂ガーニッシュと、樹脂ガーニッシュの表面に積層された装飾ガーニッシュと、を備え、
前記樹脂ガーニッシュは、
前記装飾ガーニッシュの裏面に設けられたウインドモール本体と、前記ウインドモール本体の内辺から車幅方向内側に張り出された防水シール部と、を備え、
前記防水シール部は、
該防水シール部の表面が前記ウインドモール本体の表面に対して車体前方側に所定段差分だけ凸状に形成され、かつ、前記防水シール部の裏面が前記ウインドモール本体の裏面に対して車体前方側に所定段差分だけ凹状に形成され、
前記防水シール部が前記ウインドシールドの車体前方側に配置されたことを特徴とする車両のフロントピラー構造。 - 前記アウターパネルは、
前記中空支柱部材の前部を収納可能な断面略コ字状の規制部と、
前記規制部の車幅方向内側の内端縁から車幅方向内側に向けて折り曲げられた内フランジと、
前記規制部の車幅方向外側の外端縁から車幅方向外側に向けて折り曲げられた外フランジと、
を有することを特徴とする請求項1記載の車両のフロントピラー構造。 - 前記装飾ガーニッシュは、車両外装と同色であり、前記樹脂ガーニッシュの表面に沿って前記中空支柱部材の前部の両側に張り出させたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両のフロントピラー構造。
- 前記ウインドモール本体の表面に前記装飾ガーニッシュが設けられることで、前記装飾ガーニッシュの表面が前記防水シール部の表面に対して略面一に配置されたことを特徴とする請求項1項記載の車両のフロントピラー構造。
- 前記中空支柱部材に、前記中空支柱部材を覆う内装部材を取り付けるための取付孔を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両のフロントピラー構造。
- 前記アウターパネルおよび前記樹脂ガーニッシュが取付クリップで前記中空支柱部材にそれぞれ取り付けられ、
前記アウターパネルの前記内フランジで前記ウインドシールドが支えられるとともに、前記ウインドシールドおよび前記防水シール部間の間隔をシール状態に保ち、
前記アウターパネルの前記外フランジでウエザーストリップが支えられるとともに、前記樹脂ガーニッシュおよび前記アウターパネル間の間隔をシール状態に保つことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載の車両のフロントピラー構造。 - 前記中空支柱部材に前記アウターパネルが接着剤で接合されたことを特徴とする請求項1記載の車両のフロントピラー構造。
- 前記装飾ガーニッシュが車体外側に設けられ、前記樹脂ガーニッシュが車体内側に設けられたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の車両のフロントピラー構造。
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