JP5313569B2 - 固体高分子電解質膜、および固体高分子電解質膜の製造方法 - Google Patents

固体高分子電解質膜、および固体高分子電解質膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体高分子電解質膜、これを用いた燃料電池、および固体高分子電解質膜の製造方法に関する。
燃料電池は、発電効率が高く、有害ガスの発生も極めて少ないため、注目されており、活発に研究・開発されている。燃料電池には、水素等の気体燃料を用いるものとメタノール等の液体燃料を用いるものとがある。気体燃料を用いる燃料電池は燃料ボンベ等を搭載する必要があるため、小型化するには限界がある。このため、携帯電話やノート型パソコン等の小型携帯機器の電源としては、改質器等を必要としないダイレクトメタノール型燃料電池の採用が有望視されている。
ダイレクトメタノール型燃料電池の場合、燃料極および酸化剤極で生じる電気化学反応は、それぞれ下記反応式(1)および(2)で表される。
燃料極:CHOH+HO→CO+6H+6e (1)
酸化剤極:O+4H+4e→2HO (2)
一般的に、液体燃料を使用する燃料電池においては、電解質として固体高分子イオン交換樹脂からなる固体高分子電解質膜が用いられる。ここで、燃料電池が機能するためには、水素イオンがこの膜中を燃料極から酸化剤極へ移動することが必要であるが、この水素イオンの移動には水の移動が伴うことが知られており、当該膜には一定の水分が含まれていることが必要である。
しかし、水に対して親和性の高いメタノール等の液体燃料を用いる場合、当該液体燃料は水分を含んだ固体高分子電解質膜に拡散し、さらには、酸化剤極まで到達する(クロスオーバー)という克服すべき課題を有していた。このクロスオーバーは、本来燃料極において電子を提供すべき液体燃料が酸化剤極側で酸化されてしまい、燃料として有効に使用されないことから、電圧や出力の低下、燃料効率の低下を引き起こす。
特許文献1には、イオン導電性を維持しながらメタノールのクロスオーバーを抑制することを可能にするイオン導電性膜に関する技術が開示されている。ここでは、ナフィオン(登録商標)等のフッ素樹脂を基本構造とするイオン導電性膜の表面層を電子線照射等により改質して導電性が内部の導電性に比較して低くなるようにしている。
特開2001−167775号公報
しかし、従来の方法で処理した膜は、イオン伝導性およびクロスオーバーの観点から、改善の余地があった。
上記事情に鑑み、本発明は、簡便な方法で、固体高分子電解質膜のイオン伝導性を維持しつつ、クロスオーバーを低減させることのできる技術を提供することを目的とする。
本発明によれば、フッ素を含まないポリマーからなる固体高分子電解質膜に水を湿潤させる工程と、固体高分子電解質膜に水を湿潤させた状態で、当該固体高分子電解質膜に圧力を印加する工程と、を含むことを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法が提供される。
このような処理を行うことにより、固体高分子電解質膜の3次元構造が変化し、膜が緻密化し、膜のイオン伝導度および含水率を制御することができる。
本発明によれば、固体高分子電解質膜に水を湿潤させる工程と、固体高分子電解質膜に水を湿潤させた状態で、当該固体高分子電解質膜に処理を施し、当該固体高分子電解質膜の含水率を低下させる工程と、を含むことを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法が提供される。
ここで、処理とは、上述したヒートプレスの他、電子線、紫外線、ガンマ線、赤外線等を照射することとすることができる。このような処理を行うことにより、固体高分子電解質膜の3次元構造が変化し、膜が緻密化し、膜のイオン伝導度および含水率を制御することができる。
本発明の固体高分子電解質膜の製造方法において、固体高分子電解質膜は、芳香族を含むポリマーにより構成することができる。
本発明の固体高分子電解質膜の製造方法において、固体高分子電解質膜は、プロトン酸基を含むことができる。
本発明によれば、上記固体高分子の製造方法により製造された固体高分子電解質膜を用いた燃料電池の製造方法が提供される。
本発明によれば、フッ素を含まないポリマーからなる固体高分子電解質膜であって、水を湿潤させた状態で、圧力を印加して得られたことを特徴とする固体高分子電解質膜が提供される。
本発明の固体高分子電解質膜は、プロトン酸基を含むことができる。
本発明によれば、プロトン酸基を含む固体高分子電解質膜であって、含水率が15%以下であることを特徴とする固体高分子電解質膜が提供される。
含水率をこのような範囲とすることにより、メタノール等の液体燃料が膜を透過するクロスオーバーを低減することができる。また、含水率の下限はとくに制限されないが、たとえば5%とすることができる。
本発明の固体高分子電解質膜において、固体高分子電解質膜は、芳香族を含むポリマーにより構成することができる。
本発明によれば、上記いずれかに記載の固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜に配された燃料極および酸化剤極と、を含むことを特徴とする燃料電池が提供される。
本発明によれば、簡便な方法で、固体高分子電解質膜のイオン伝導性を維持しつつ、クロスオーバーを低減させることができる。これにより、電池特性の向上および電池の信頼性の向上を実現することができる。
図1は、本発明の実施の形態における燃料電池の製造工程を示すフローチャートである。
本実施の形態において、まず、市販の固体高分子電解質膜を準備し、その固体高分子電解質膜を充分に水に湿潤させる(S100)。
固体高分子電解質膜としては、種々のものを用いることができるが、イオン伝導性の高い材料を用いることが好ましい。固体高分子電解質膜を燃料電池に組み込む場合、固体高分子電解質膜は、燃料極と酸化剤極とを隔てるとともに、両者の間で水素イオン等を移動させる役割を有する。このため、固体高分子電解質膜は、水素イオンの伝導性が高いことが好ましい。また、化学的に安定であって機械的強度が高いことが好ましい。
固体高分子電解質膜としては、たとえば、スルホン酸基、スルホアルキル基、リン酸基、ホスホン基、ホスフィン基、カルボキシル基、スルホンイミド基等のプロトン酸基を含むものを用いることができる。このようなプロトン酸基が結合する対象の基体のポリマーとしては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド等の膜を用いることができる。また、メタノール等の液体燃料のクロスオーバーを低減する観点からは、ポリマーとしては、フッ素を含まない炭化水素系の膜を用いることができる。さらに、本実施の形態においては、基体のポリマーとして、芳香族を含むポリマーを用いることが好ましい。このような材料を用いることにより、後述するヒートプレスによる効果をより良好に享受することができる。
また、プロトン酸基が結合する対象の基体のポリマーとしては、
ポリベンゾイミダゾール誘導体、ポリベンゾオキサゾール誘導体、ポリエチレンイミン架橋体、ポリサイラミン誘導体、ポリジエチルアミノエチルポリスチレン等のアミン置換ポリスチレン、ジエチルアミノエチルポリメタクリレート等の窒素置換ポリアクリレート等の窒素または水酸基を有する樹脂;
シラノール含有ポリシロキサン、ヒドロキシエチルポリメチルアクリレートに代表される水酸基含有ポリアクリル樹脂;
パラヒドロキシポリスチレンに代表される水酸基含有ポリスチレン樹脂;
等を用いることもできる。
また、上記したポリマーに対して、適宜、架橋性の置換基、例えば、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、シンナモイル基、メチロール基、アジド基、ナフトキノンジアジド基を導入したものを用いることもできる。また、これらの置換基が架橋されたものを用いることもできる。
具体的には、固体高分子電解質膜として、たとえば、
スルホン化ポリエーテルエーテルケトン;
スルホン化ポリエーテルスルホン;
スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン;
スルホン化ポリスルホン;
スルホン化ポリスルフィド;
スルホン化ポリフェニレン;
スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルホン化ポリベンゾイミダゾール等の芳香族含有高分子;
スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン;
スルホアルキル化ポリエーテルスルホン;
スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン;
スルホアルキル化ポリスルホン;
スルホアルキル化ポリスルフィド;
スルホアルキル化ポリフェニレン;
スルホン酸基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(旭化成社製)等);
カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオン(登録商標)S膜(旭硝子社製)等);
ポリスチレンスルホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、架橋アルキルスルホン酸誘導体、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素含有高分子等の共重合体;
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなアクリルアミド類とn−ブチルメタクリレートのようなアクリレート類とを共重合させて得られる共重合体;
等を用いることができる。
また、下記式で示した芳香族ポリエーテルエーテルケトンや芳香族ポリエーテルケトンを用いることもできる。
プロトン酸基含有芳香族ポリエーテルエーテルケトン
Figure 0005313569
プロトン酸基含有架橋性芳香族ポリエーテルケトン
Figure 0005313569

上記式中、m及びnはそれぞれ繰り返し単位構造の比を示す。
つづいて、固体高分子電解質膜に水を湿潤させた状態で、固体高分子電解質膜をヒートプレスする(S102)。
膜に加える温度は、たとえば、100℃以上とすることができる。これにより、膜の3次元構造を変化させ、膜のイオン伝導度および含水率を制御することができる。また、膜に加える温度の上限は180℃以下とすることができる。これにより、膜の変性や変質を抑えて、膜のイオン伝導度および含水率を制御することができる。より好ましくは、膜に加える温度の上限は、175℃未満とすることができる。これにより、骨格構造の変性を防ぐことができる。また、膜に印加する圧力は、たとえば10kg/cm以上とすることができる。これにより、膜の3次元構造を変化させ、膜のイオン伝導度および含水率を制御することができる。また、膜に加える圧力の上限は、150kg/cm以下とすることができる。これにより、膜が破壊されることなく、膜の三次元構造をより変化させることができる。
その後、このようにして作製した固体高分子電解質膜を用いて、燃料電池を作製する(S104)。
図2は、燃料電池の構造を模式的に示した断面図である。
単位セル101は、燃料極102、酸化剤極108および固体高分子電解質膜114から構成される。燃料極102は基体104および触媒層106から構成される。酸化剤極108は基体110および触媒層112から構成される。
上記複数の単位セル101が、燃料極側セパレータ120および酸化剤極側セパレータ122を介して電気的に接続され、燃料電池100が作製される。
基体104および基体110としては、燃料極102、酸化剤極108ともにカーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属等の多孔性基体を用いることができる。基体104および基体110表面は撥水処理してもよい。基体の撥水処理にはポリテトラフルオロエチレン等の撥水剤を用いることができる。
また燃料極102の触媒としては、白金、白金とルテニウム、金、レニウム等との合金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム、金、銀、ニッケル、コバルト、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウム等が例示される。一方、酸化剤極108の触媒としては、燃料極102の触媒と同様のものを用いることができ、上記例示物質を使用することができる。なお、燃料極102および酸化剤極108の触媒は同じものを用いても異なるものを用いてもよい。
また、触媒を担持する炭素粒子としては、アセチレンブラック(デンカブラック(登録商標、電気化学工業社製)、XC72(Vulcan社製)等)、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等が例示される。
燃料極102または酸化剤極108を構成する固体高分子電解質の微粒子は、固体高分子電解質膜114を構成する固体高分子電解質を含む構成とすることが好ましい。これにより、燃料極102および酸化剤極108と、固体高分子電解質膜114との密着性を高めることができる。
本発明の実施の形態における燃料極102および酸化剤極108の作製方法は特に制限がないが、たとえば以下のようにして作製することができる。
まず、一般的に用いられている含浸法によって炭素粒子に触媒を担持させる。次に触媒を担持させた炭素粒子と固体高分子電解質の微粒子を溶媒に分散させ、ペースト状としたのち、親水性コート剤または疎水性コート剤による表面処理を行った基体104または基体110に塗布する。基体104または基体110へのペーストの塗布方法についてはとくに制限がないが、たとえば、刷毛塗り、スプレー塗布、およびスクリーン印刷法等の方法を用いることができる。ペーストを塗布した後、使用した固体高分子電解質の微粒子の種類に応じた加熱温度および加熱時間で加熱し、燃料極102および酸化剤極108が作製される。加熱温度および加熱時間は、たとえば、加熱温度100℃〜250℃、加熱時間30秒間〜30分とすることができる。
次に、上述したステップ100およびステップ102(図1)の処理を施した固体高分子電解質膜114を、燃料極102および酸化剤極108で挟み、ヒートプレスすることにより、単セル構造101を得る。このとき、触媒層106および触媒層112が固体高分子電解質膜114と接するようにする。たとえば、固体高分子電解質膜114や触媒層106および触媒層112中の固体高分子電解質の微粒子を有機高分子で構成する場合、ヒートプレスの条件は、これらの有機高分子の軟化温度やガラス転位温度を超える温度とすることができる。具体的には、たとえば、温度100〜250℃、圧力1〜100kg/cm、時間10秒〜300秒とする。
他の例として、図1のステップ100およびステップ102の処理を施していない固体電解質膜114を水で湿潤させた状態で、燃料極102および酸化剤極108で挟み、ヒートプレスすることにより、単セル構造101を得ることもできる。このような方法によっても、膜の3次元構造を変化させ、膜のイオン伝導度および含水率を制御することができる。
以上のようにして、単セル構造101が形成される。また、得られた単セル構造101を積み重ねることにより、複数の単セル構造101が直列に接続された燃料電池セルスタックを含む燃料電池を得ることができる。
以上のように構成された燃料電池において、各単位セル101の燃料極102には、燃料極側セパレータ120を介して燃料124が供給される。燃料124としては、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、または他のアルコール類、あるいはシクロパラフィン等の液体炭化水素等の有機液体燃料を用いることができる。有機液体燃料は、水溶液とすることができる。また、各単位セル101の酸化剤極108には、酸化剤極側セパレータ122を介して空気あるいは酸素等の酸化剤126が供給される。
以下に本発明の固体高分子電解質膜およびそれを用いた燃料電池について実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、以下の実施例において、含水率、メタノール透過性、および抵抗は以下のようにして求めた。
含水率:
各固体高分子電解質膜を100℃で2時間乾燥させた被験試料の重量をA、各固体高分子電解質膜を純水に24時間浸漬させた被験試料の重量をBとし、(B−A)/A×100から含水率(%)を得た。
メタノール透過量:
容器を各固体高分子電解質膜で隔て、片側に所定濃度のメタノールを50cc、容器の他方に純水50ccをそれぞれ注入し、これらの液体が蒸発しないように密封した。被験試料である固体高分子電解質膜を隔てて純水中に透過してきたメタノールの濃度の時間変化をガスクロマトグラフィーにより測定し、メタノール透過量を得た。
抵抗:
両面に電極が取り付けられた固体高分子電解質膜を被験試料とし、容器を各固体高分子電解質膜で隔てた。容器の両側に1M硫酸水溶液を注入し、液が漏れないように密封した。電極間のインピーダンス測定によって各固体高分子電解質膜の面直方向に対する抵抗を求めた。
(例1)
上記式(4)に示す構造の固体高分子電解質膜を被験試料とした。
膜厚50μmの固体高分子電解質膜を2×2cmに切り出し、純水に充分湿潤させた後、耐熱性高分子シートに挟み、所定の温度(115℃、125℃、135℃、150℃、および175℃)で加熱するとともに、0.4tの圧力で5分間加圧した。得られた膜の厚さを確認したが、膜厚はほとんど変化していなかった。この結果から、膜の骨格構造が機械的に変質していないことがわかる。得られた膜について、上述した方法で、含水率、メタノール透過量(メタノール濃度が10体積%、15体積%、および20体積%)、および抵抗をそれぞれ測定した。
図3〜図5に結果を示す。図3は、上記各温度でヒートプレスを行った膜のヒートプレスを行っていない未処理の膜に対するメタノール透過量の変化率を示す図である。図4は、上記各温度でヒートプレスを行った膜のヒートプレスを行っていない未処理の膜に対する抵抗の変化率を示す図である。図5は、上記各温度でヒートプレスを行った膜のヒートプレスを行っていない未処理の膜に対する含水率の変化率を示す図である。
図4に示すように、膜に水を膨潤させた状態でヒートプレスを行うことにより、膜の抵抗が低減した。この結果から、膜のイオン伝導性が改良されたことがわかる。ヒートプレス時の処理温度を175℃とした場合、抵抗が増加しているが、これは、ヒートプレス時の処理温度が高いために、膜の変性が生じたことが原因と考えられる。
また、図3に示すように、ヒートプレス時の処理温度を125℃〜135℃とした場合、メタノール透過量が増加した。しかし、このような処理温度の範囲においても、メタノール透過量の増加率に比べて抵抗の低減率が大きかった。クロスオーバーとイオン伝導性の両側面を考慮すると、水を膨潤させた状態でヒートプレスを行うことにより、膜の性能が改善された。
ヒートプレス時の処理温度を150℃とした場合、抵抗を大幅に低減することができるとともに、メタノール透過量も低減することができた。このように、ヒートプレス時の処理温度を適切な温度とすることにより、未処理のものに比べて、抵抗を低減することができるとともに、メタノール透過量を低減することもできる。また、ヒートプレス時の処理温度を150℃で行った膜の表面をSEM(走査電子顕微鏡)写真で観察したところ、膜の構造が変化していることが確認できた。
図5に示すように、膜に水を膨潤させた状態でヒートプレスを行うことにより、膜の含水率が低下した。とくに、ヒートプレス時の処理温度を150℃とした場合、含水率が大幅に低下した。本例において、膜に水を膨潤させた状態でヒートプレスを行うことにより、膜の含水率が低下し、それとともに膜のメタノール透過量も低減した。また、このような処理により、膜の抵抗は低減しており、イオン伝導性が増加した。
ここで、本例における膜のヒートプレス前の含水率は約20%であった。これを各処理温度でヒートプレスした結果、膜の含水率は、11.8%(処理温度115℃)、10.7%(処理温度125℃)、13.9%(処理温度135℃)、6.1%(処理温度150℃)、5.7%(処理温度175℃)となった。
本例において、膜としては、炭化水素系の膜を用いている。このような膜は、基体となるポリマーの骨格にイオン伝導性のプロトン酸基が3次元的に連なった構造を有する。そのため、水を膨潤させて骨格構造を維持した状態でヒートプレスを行うことにより、膜の3次元構造を変化させ膜の含水率およびイオン伝導度を制御することができたと考えられる。これにより、膜の特性を向上させることができた。
(参照例1)
例1で用いたのと同じ固体高分子電解質膜に水を膨潤させずに、例1に示した条件と同様に150℃で加熱および加圧を行った。得られた膜は、変色および変形していた。また、抵抗は大幅に増加した。これは、膜に含まれるスルホン酸基が分解する等して膜の骨格構造が変質したことが原因と考えられる。
(参照例2)
例1で用いたのと同じ固体高分子電解質膜を用い、ヒートプレス時の温度を190℃とした以外、例1と同様にヒートプレスを行った。得られた膜は、変色および変形していた。これは、膜に含まれるスルホン酸基が分解する等して膜の骨格構造が変質したことが原因と考えられる。
(例2)
例1で得られた膜(ヒートプレス時の処理温度150℃)を固体高分子電解質膜として用い、図2を参照して説明したのと同様にして燃料電池を作製した。本例に係る燃料電池の作製方法について図2を参照して説明する。
本例においては、燃料極102、酸化剤極108ともに貴金属触媒として白金−ルテニウム触媒を用いた。まず、燃料極102および酸化剤極108において触媒となる白金−ルテニウムを3%含有するジニトロジアミン白金硝酸溶液500gにアセチレンブラック10g(デンカブラック(登録商標);電気化学工業社製)を混合させて撹拌後、還元剤として98%エタノール60mlを添加した。この溶液を約95℃で8時間攪拌混合し、触媒物質と白金微粒子をアセチレンブラック粒子に担持させた。そして、この溶液をろ過、乾燥して触媒担持炭素粒子を得た。白金−ルテニウムの担持量はアセチレンブラックの重量に対し50%程度であった。
次に、触媒担持炭素粒子200mgとデュポン社製ナフィオン溶液8mlとを混合攪拌し、触媒および炭素粒子表面にナフィオンを吸着させた。こうして得られた分散液を50℃にて3時間超音波分散器で分散することによりペースト状とした。
このようにして得られたペーストを、カーボンペーパー(東レ社製:TGP−H−120)である基体104および基体110にスクリーン印刷法で塗布した後、100℃にて加熱乾燥して燃料極102および酸化剤極108を得た。
これらの電極で固体電解質膜114を挟み、温度150℃、圧力50kg/cm(300秒間)の条件でヒートプレスすることにより電極−電解質接合体を作製した。さらに、この電極−電解質接合体を燃料電池の単セル測定用装置にセットして単セルを作製した。
この単セルに、10体積%メタノール水溶液および酸素(1.1気圧、25℃)を燃料としてセルの電流電圧特性を測定した。その結果、加熱および加圧処理を行っていない未処理の膜を用いた場合に比べ、カソード電極の電位増加および出力の増加が確認された。また、カソード電極側の温度が低下し、メタノールの透過が抑制されていることが確認された。
(例3)
上記式(4)に示す構造の固体高分子電解質膜を純水で充分湿潤させた後、この膜を例2と同様にして得られた電極で挟み、温度150℃、圧力10kgf/cm(10秒間)の条件でヒートプレスすることにより電極−電解質接合体を作製した。さらに、この電極−電解質接合体を燃料電池の単セル測定用装置にセットして単セルを作製した。
この単セルに、10体積%メタノール水溶液および酸素(1.1気圧、25℃)を燃料としてセルの電流電圧特性を測定した。その結果、純水で湿潤させずに同条件でヒートプレスを行った場合に比べ、カソード電極の電位増加および出力の増加が確認された。また、カソード電極側の温度が低下し、メタノールの透過が抑制されていることが確認された。
また、上記例1では、加熱および加圧を同時に行ったが、加熱および加圧を単独で行った場合にも、このような処理を行わない場合に比べて膜の性能が改善された。
たとえば、圧力を印加しない点を除いて例1と同様に140℃、160℃、および180℃で処理した膜は、未処理のものに比べてメタノール透過量が低下した。この場合、例1の圧力を印加した場合に比べて、膜の構造を変化させるのにより高い温度が必要であった。このように、加熱のみを行うことによっても膜の性能を改善することができるが、加熱と加圧を同時に行うことにより、より効果的に膜の性能を改善することができると考えられる。
また、処理温度を150℃とし、圧力を100kg/cmとした場合、同温度で圧力を50kg/cmとした場合に比べて、メタノール透過量が20%低下した。SEM観察により、圧力を100kg/cmとした場合、膜の表面がより緻密化していた。
以上のように、本発明によってメタノール透過によるクロスオーバーを低減しつつ、高いイオン伝導度を有する燃料電池が得られたことが確認された。これにより、従来の燃料電池よりも高いメタノール濃度で燃料電池を運転することが可能となった。また、長時間運転も可能になった。
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明した。この実施の形態および実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、固体高分子電解質膜に水を湿潤させた状態で、電子線、紫外線、ガンマ線、赤外線等を照射することにより、当該固体高分子電解質膜の含水率を低下させる処理を行うこともできる。
本発明の実施の形態における燃料電池の製造工程を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における燃料電池の構造を模式的に示した断面図である。 実施例の結果を示す図である。 実施例の結果を示す図である。 実施例の結果を示す図である。
符号の説明
101 単位セル
102 燃料極
104 基体
106 触媒層
108 酸化剤極
110 基体
112 触媒層
114 固体高分子電解質膜
120 燃料極側セパレータ
122 酸化剤極側セパレータ
124 燃料
126 酸化剤

Claims (2)

  1. 下記式(1)に示す構造のフッ素を含まないポリマーからなる固体高分子電解質膜に水を湿潤させる工程と、
    燃料極及び酸化剤極を密着させない状態で、かつ前記固体高分子電解質膜に水を湿潤させた状態で、当該固体高分子電解質膜に圧力を印加するとともに、135℃を越え、175℃未満の温度に加熱して、前記固体高分子電解質膜の含水率を低下させる工程と、
    を含むことを特徴とするダイレクトメタノール型燃料電池において使用する固体高分子電解質膜の製造方法。
    Figure 0005313569
  2. 請求項1記載の製造方法で製造された、ダイレクトメタノール型燃料電池にお
    いて使用する固体高分子電解質膜。
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