JP5313523B2 - 結石診断・破砕装置および赤外波長可変レーザーを用いた結石診断・破砕方法 - Google Patents
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Description
近年、低侵襲な治療法として、超音波を用いる破砕療法、レーザーを用いる破砕療法が注目されている。特に内視鏡下でレーザーを用いる破砕治療は結石を直接かつ確実に破砕する有力な治療法である。内視鏡下でのレーザー破砕治療は、症例の蓄積と各種器材の進歩により、比較的安全で低侵襲な治療法として認められ、近年、治療現場で採用されることも多く、また、従来有効な治療法がなかった膵石に対する治療としても試みられ始めている。
レーザー破砕治療に用いられるレーザー光は人体組織にはほとんどダメージを与えずに結石のみにエネルギーを集中して破砕することができるため、これからも発展してゆく治療法になると期待が寄せられている。
現在の治療では、レーザー破砕治療前の診断として、腹部超音波検査(US)、超音波内視鏡検査(EUS)、腹部CT検査、内視鏡的逆行性胆管管造影(ERCP)、核磁気共鳴断層撮影(3D−MRC)などの様々な方法での撮影画像を得て結石の存在を確認し、生体内の場所や形などから結石の主成分が何であるかを推定しているケースが多い。この撮影画像からある程度結石の主成分の推定ができる場合が多いが、推定が難しい場合も多く、レーザー光波長の適切な選択を含めた診断は困難である。
結石破砕用レーザー光を結石に照射して破砕する赤外波長可変レーザーと、
先端に集光レンズを備え、前記赤外波長可変レーザーから照射された結石破砕用レーザー光を生体内の結石に導く第1の光ファイバーと、
照射手段により前記結石に向けてスペクトル測定用照射光を照射し、受光手段により前記結石からの反射光を受け取り前記結石のスペクトル分光解析を行うスペクトル測定装置と、
前記スペクトル測定装置の前記照射手段から照射されたスペクトル測定用照射光を生体内にある前記結石に導く第2の光ファイバーと、前記結石からの反射光を前記スペクトル測定装置の前記受光手段に導く第3の光ファイバーを備え、
前記スペクトル測定装置による前記生体内にある前記結石のスペクトル分光解析結果に基づいて前記結石の吸収率が大きいレーザー光となるように前記赤外波長可変レーザーで照射する前記結石破砕用レーザー光の波長を選択し、前記結石に対して照射せしめて破砕する結石診断・破砕装置である。
上記構成により、結石破砕用レーザー光を照射する前に、スペクトル測定用照射光を結石に照射してその反射光を分析することによりスペクトル分光解析結果を得て、問題となっている結石の吸収スペクトルから結石ごとに最適なレーザー波長を知ることができ、赤外波長可変レーザーにより結石に強く吸収される最適な波長のレーザー光を照射して結石を破砕することができる。
上記構成により、スペクトル測定用照射光を結石表面面で効率的に反射させることができ、スペクトル解析に充分なレベルの反射光を得やすくなる。
つまり、本発明の第2の結石診断・破砕装置は、前記第2の光ファイバーと前記第3の光ファイバーを一本の第1の兼用光ファイバーで兼用する構成とし、前記第1の兼用光ファイバーは、前記結石との対向面において前記全反射プリズムを備え、前記対向面から前記スペクトル測定装置までの経路上において前記スペクトル測定用照射光を前記照射手段から前記結石に向かう経路に導くとともに前記結石からの反射光を前記受光手段に向かう経路に導く分光器を備えた構成としたものである。
上記構成により、スペクトル測定用照射光と反射光が通る光ファイバーを1本化することができ、全体の光ファイバー本数を2本で構成することができる。
つまり、本発明の第3の結石診断・破砕装置は、前記第1の光ファイバーと前記第2の光ファイバーと前記第3の光ファイバーを一本の第2の兼用光ファイバーで兼用する構成とし、
前記第2の兼用光ファイバーは、前記結石との対向面において前記集光レンズと前記全反射プリズムとを切り替え可能な構成にて備え、前記対向面から前記スペクトル測定装置までの経路上において前記レーザー光および前記スペクトル測定用照射光を前記照射手段から前記結石に向かう経路に導くとともに前記結石からの反射光を前記受光手段に向かう経路に導く分光器を備え、
前記赤外波長可変レーザーから照射されたレーザー光のうち前記スペクトル測定照射光を照射する場合には前記全反射プリズムに切り替え、
前記赤外波長可変レーザーから照射されたレーザー光のうち前記結石破砕用レーザー光を照射する場合には前記集光レンズに切り替える構成としたものである。
上記構成により、装置で用いる光ファイバーを1本で構成することができる。
上記構成により、結石成分の分子間結合を徐々に切断するように結石を破砕してゆくことができ、結石が崩れるように切削できるので破砕片が微小粒子となり人体組織を損傷するおそれが低減するとともに再発を招くような大きな破砕片が残存することもない。
吸収の強い波長は結石の種類や状態により異なるが、赤外波長可変レーザーが、5〜10μmの中赤外線波長領域で波長を選択することができれば、スペクトル分光解析の結果に基づいて決められた最適なレーザー光波長に調整する汎用性のあるレーザー破砕治療を行うことができる。
白色光であればスペクトル分光解析に必要な波長領域のスペクトル測定用照射光として使用ができる。
また、上記の第1から第3の結石診断・破砕装置において、前記赤外波長可変レーザーが前記スペクトル測定用照射光として照射するスキャンレーザー光が2〜15μmの中赤外線波長領域であることが好ましい。
2〜15μmの中赤外線波長領域においてスペクトル分光解析ができれば、ほとんどの結石における吸収スペクトルの解析に必要なデータを得ることができる。
前記赤外波長可変レーザーを用いて結石破砕用レーザー光を前記結石に対して照射し、前記結石を破砕する際、前記スペクトル測定装置による前記生体内にある前記結石のスペクトル分光解析結果に基づいて前記結石の吸収率が大きいレーザー光となるように前記赤外波長可変レーザーの前記結石破砕用レーザー光の波長を選択する方法である。
図1(a)は、本発明の実施例1に係る結石診断・破砕装置100の構成例を模式的に示す図である。併せて生体内の結石200も示している。なお、内視鏡装置は図示を省略しているが結石診断・破砕装置100が備える光ファイバーは内視鏡装置の導きにより先端部40が結石200まで導入されるものである。図1(b)は先端部40および内部に組み込まれている構成要素を模式的に拡大して図示した図である。
結石破砕に用いるレーザー光は、5〜10μmの中赤外線波長領域のレーザー光であり、後述するように結石に対して吸収率が大きな波長を持つように調整されている。後述するように結石に対して吸収率が大きい波長がほとんどこの5〜10μmの中赤外線波長領域にあるため、5〜10μmの中赤外線波長領域で可変選択的にレーザー光を照射することができるものが好ましい。また、後述するように、結石破砕レーザーは、パルス時間幅を短くしたパルスレーザー光であることが好ましい。
なお、赤外波長可変レーザー10は、レーザー照射手段、波長調整手段などを備えている(図示は省略している)。
ここで、スペクトル測定用照射光は、例えば白色光を用いることができる。白色光は幅広い波長の光を含んでいるので白色光を結石200に対して照射するとその反射を分光することにより必要なスペクトル分光解析ができる。
第2の光ファイバー31は、スペクトル測定装置20から照射されたスペクトル測定用照射光を生体内にある結石200に導く光路を提供する媒体であり、その先端には後述する全反射プリズム60が配されている。
第3の光ファイバー32は、結石200からの反射光をスペクトル測定装置20の受光手段に導く光路を提供する媒体であり、その先端には後述する全反射プリズム60が配されている。
まず、内視鏡装置等の操作により結石診断・破砕装置100の先端部40を生体内の結石200に接するまで導く(図3ステップ31)。後述する結石の吸収スペクトルを精度良く分析するには全反射プリズム60を結石に接するように配置することが好ましい。
図2(a)はコレステロール石に属する3つの結石の吸収スペクトル分光結果を示し、図2(b)は炭酸カルシウム石に属する3つの結石の吸収スペクトル分光結果を示し、図2(c)はその他結石に分類される3つの結石の吸収スペクトル分光結果を示している。図2(c)は具体的には燐酸カルシウムが主成分のもの(図中上)とその他成分等であるもの(図中中と下)が示されている。
図2(a)から図2(c)に見るように、結石の吸収スペクトルはその構成成分の種類に応じて特徴的なパターンを備えており、吸収率が大きなピークが存在することが分かる。
また、図2(b)に示す炭酸カルシウム石では、6.5〜7μm付近に大きなピークがある。この波長の赤外レーザーを用いることにより効率的にレーザー光エネルギーが結石200に吸収されるため効率的に結石200を破砕することが可能となる。
また、図2(c)上に示す燐酸カルシウム石では、6〜6.5μm付近と9〜9.5μm付近に大きなピークがある。これら波長のいずれかの赤外レーザーを用いることにより効率的にレーザー光エネルギーが結石200に吸収されるため効率的に結石200を破砕することが可能となる。また、図2(c)中と下に示すその他成分の結石では、6〜6.5μm付近に大きなピークがある。この波長の赤外レーザーを用いることにより効率的にレーザー光エネルギーが結石200に吸収されるため効率的に結石200を破砕することが可能となる。
図4は、本発明の実施例2に係る結石診断・破砕装置100aを模式的に示す図である。実施例2に係る結石診断・破砕装置100aは、スペクトル測定装置20aで用いるスペクトル測定用照射光の照射手段を赤外波長可変レーザー10aのレーザー照射手段によって兼用する構成として装置簡略化の工夫を図ったものである。
赤外波長可変レーザー10aから照射されるレーザー光の光路を切り替える機構(図示せず)が内蔵されており、赤外波長可変レーザー10aからスキャンレーザー光を照射する際には第2の光ファイバー31aに導かれ、結石破砕用レーザー光を照射する際には第1の光ファイバー30aに導かれるように切り替えられる構造となっている。
赤外波長可変レーザーがスペクトル測定用照射光として照射するスキャンレーザー光は2〜15μmの中赤外線波長領域であることが好ましい。概ねこの波長領域の吸収率を所定サンプリング間隔で収集すれば、結石200の吸収スペクトル解析に利用できる。
なお、図4の構成において、スペクトル測定装置20aで用いるスペクトル測定用照射光の照射手段を赤外波長可変レーザー10aのレーザー照射手段によって兼用する構成に係る構成部分以外の他の構成部分は、実施例1で説明したものと同様であるのでここでの説明は省略する。
まず、内視鏡装置等の操作により結石診断・破砕装置100aの先端部40aを生体内の結石200に接するまで導く(図5ステップ51)。
図6(a)は、本発明の実施例3に係る結石診断・破砕装置100bを模式的に示す図である。実施例3に係る結石診断・破砕装置100bは、第2の光ファイバーと第3の光ファイバーを1本の第1の兼用光ファイバー33bで兼用する構成として装置の簡略化の工夫を図ったものである。
つまり、スペクトル測定装置20bから照射されるスペクトル測定用照射光は第1の兼用光ファイバー33bを介して結石200に導かれ、また、結石200からの反射光も再び第1の兼用光ファイバー33bを介してスペクトル測定装置20の受光手段に戻る構造となっている。図6(a)では反射光をスペクトル測定用照射光の光路からの分光はスペクトル測定装置20bの内部で行われており、分光器の図示は省略している。
まず、内視鏡装置等の操作により結石診断・破砕装置100bの先端部40bを生体内の結石200に接するまで導く(図8ステップ81)。
まず、内視鏡装置等の操作により結石診断・破砕装置100cの先端部40cを生体内の結石200に接するまで導く(図10ステップ101)。
図11(a)は、本発明の実施例5に係る結石診断・破砕装置100dを模式的に示す図である。実施例5に係る結石診断・破砕装置100dは、第1の光ファイバーと第2の光ファイバーと第3の光ファイバーを1本の第2の兼用光ファイバー34dで兼用する構成となっている。また、スペクトル測定装置20dで用いるスペクトル測定用照射光の照射手段を赤外波長可変レーザー10dのレーザー照射手段によって兼用する構成として装置を簡略化した構成となっている。
本実施例5では、スペクトル測定用照射光の光路と反射光の光路と結石破砕レーザー光の光路が1本の第2の兼用光ファイバー34dで兼用されているため、以下の工夫が必要となる。
まず、内視鏡装置等の操作により結石診断・破砕装置100dの先端部40dを生体内の結石200に接するまで導く(図12ステップ121)。
20 スペクトル測定装置
30 第1の光ファイバー
31 第2の光ファイバー
32 第3の光ファイバー
33 第1の兼用光ファイバー
34 第2の兼用光ファイバー
40 先端部
41 回転コマ
50 集光レンズ
60 全反射プリズム
100 結石診断・破砕装置
200 結石
Claims (9)
- 結石破砕用レーザー光を結石に照射して破砕する赤外波長可変レーザーと、
先端に集光レンズを備え、前記赤外波長可変レーザーから照射された結石破砕用レーザー光を生体内の結石に導く第1の光ファイバーと、
前記赤外波長可変レーザーから波長スキャンレーザー光を前記結石に向けてスペクトル測定用照射光として照射し、受光手段により前記結石からの反射光を受け取り前記結石のスペクトル分光解析を行うスペクトル測定装置と、
前記スペクトル測定装置の照射手段から照射された前記スペクトル測定用照射光を生体内にある前記結石に導く第2の光ファイバーと、
前記赤外波長可変レーザーから照射されるレーザー光のうち、前記スキャンレーザー光を照射する際には前記第2の光ファイバーに導き、前記結石破砕用レーザー光を照射する際には前記第1の光ファイバーに導く切替手段と、
前記結石からの反射光を前記スペクトル測定装置の前記受光手段に導く第3の光ファイバーを備え、
前記スペクトル測定装置による前記生体内にある前記結石のスペクトル分光解析結果に基づいて前記結石の吸収率が大きいレーザー光となるように前記赤外波長可変レーザーで照射する前記結石破砕用レーザー光の波長を選択し、前記結石に対して照射せしめて破砕する結石診断・破砕装置。 - 前記第2の光ファイバーを通って前記結石に向けて照射された前記スペクトル測定用照射光が前記結石において反射して前記反射光として前記第3の光ファイバーに入射しやすいように、前記第2の光ファイバー及び第3の光ファイバーの前記結石との対向面に全反射プリズムを備えたことを特徴とする請求項1に記載の結石診断・破砕装置。
- 前記第2の光ファイバーと前記第3の光ファイバーを一本の第1の兼用光ファイバーで兼用する構成とし、
前記第1の兼用光ファイバーは、前記結石との対向面において前記全反射プリズムを備え、前記対向面から前記スペクトル測定装置までの経路上において前記スペクトル測定用照射光を前記照射手段から前記結石に向かう経路に導くとともに前記結石からの反射光を前記受光手段に向かう経路に導く分光器を備えたことを特徴とする請求項2に記載の結石診断・破砕装置。 - 前記スペクトル測定装置で用いる前記スペクトル測定用照射光の前記照射手段を、前記赤外波長可変レーザーによって兼用する構成とし、前記スペクトル測定用照射光を前記赤外波長可変レーザーから照射する波長スキャンレーザー光とし、前記赤外波長可変レーザーから照射されるレーザー光のうち、前記スキャンレーザー光を照射する際には前記第1の兼用光ファイバーに導き、前記結石破砕用レーザー光を照射する際には前記第1の光ファイバーに導くことを特徴とする請求項3に記載の結石診断・破砕装置。
- 前記第1の光ファイバーと前記第2の光ファイバーと前記第3の光ファイバーを一本の第2の兼用光ファイバーで兼用する構成とし、
前記第2の兼用光ファイバーは、前記結石との対向面において前記集光レンズと前記全反射プリズムとを切り替え可能な構成にて備え、前記対向面から前記スペクトル測定装置までの経路上において前記レーザー光および前記スペクトル測定用照射光を前記照射手段から前記結石に向かう経路に導くとともに前記結石からの反射光を前記受光手段に向かう経路に導く分光器を備え、
前記赤外波長可変レーザーから照射されたレーザー光のうち前記スペクトル測定照射光を照射する場合には前記全反射プリズムに切り替え、
前記赤外波長可変レーザーから照射されたレーザー光のうち前記結石破砕用レーザー光を照射する場合には前記集光レンズに切り替える構成とした請求項2に記載の結石診断・破砕装置。 - 前記赤外波長可変レーザーが、前記結石破砕用レーザー光を照射する場合にはパルス時間幅を短くしたパルスレーザー光とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の結石診断・破砕装置。
- 前記赤外波長可変レーザーが、5〜10μmの中赤外線波長領域でレーザー光を選択的に照射できる請求項1から6のいずれか1項に記載の結石診断・破砕装置。
- 前記スペクトル測定装置で用いる前記スペクトル測定用照射光が白色光であることを特徴とする請求項1に記載の結石診断・破砕装置。
- 前記赤外波長可変レーザーが前記スペクトル測定用照射光として照射するスキャンレーザー光が2〜15μmの中赤外線波長領域であることを特徴とする請求項1に記載の結石診断・破砕装置。
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