JP5312890B2 - インバート部の掘削管理方法 - Google Patents
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Description
また、このようにインバート部を掘削する際は、例えば、インバート部の断面方向に沿って水糸を水平に張り、この水糸からの掘削深度をスタッフ等によって測量しながら行っている。この時、インバート部の測量点を水糸に沿って細分化することによって、インバート部を精度良く掘削できるようになっている。
そこで、例えばトータルステーション等の測量機器を用いて、インバート部を精度良く測量しながら、掘削を行いたいという要望がある。しかしながら、測量を行うトータルステーションが、光波を反射するターゲットであるプリズムを必要とするものであった場合、精度良く測量を行うためには、このプリズムを多数の測量点にいちいち設置したり、作業者がプリズムを持って測量点間を移動したりしなければならず、手間である。また、これによって、測量の際は、掘削作業を長時間にわたって中断しなければならないという問題があった。
少なくともトンネルのインバート部の設計断面座標データが入力された演算装置と、
この演算装置による演算結果を出力する出力手段と、前記インバート部の設計断面に沿って任意に設定されるとともに前記トータルステーションで前記インバート部を測量する際の基準となる複数の測量基準点の位置情報を入力する入力手段とを有する携帯情報端末と、を互いにデータの送受信が可能な状態で接続してなり、
前記携帯情報端末の入力手段によって、前記複数の測量基準点の位置情報を入力した後、これら複数の測量基準点の位置情報に基づき、前記トータルステーションで前記インバート部を測量し、得られた測量点データを前記演算装置に送信して該測量点の3次元座標をそれぞれ求めるとともに、該3次元座標と前記測量基準点の座標との離れ距離から該測量基準点におけるインバート部の掘削深度を演算して導き出し、さらに、この演算結果を前記携帯情報端末の出力手段によって出力する測量システムによって、予め前記携帯情報端末が搭載された工事車両の操縦者が前記インバート部の掘削状況を確認して前記インバート部を測量しながら、工事車両によって前記インバート部の掘削を行うインバート部の掘削管理方法であって、
前記トータルステーションを、前記工事車両の作業範囲外であるとともに前記インバート部を測量可能な所定の位置である、前記インバート部の上方に位置するトンネルの天端に固定された設置台に設置してから、前記複数の測量基準点の位置情報に基づき、前記測量システムによって、掘削前の前記インバート部を測量し、
その後、前記工事車両によって前記インバート部の掘削を開始し、この工事車両による前記インバート部の掘削の途中に、前記複数の測量基準点の位置情報に基づき、前記測量システムによって、掘削途中の前記インバート部を任意の回数測量し、
前記工事車両によって前記インバート部の掘削が終了した後、前記複数の測量基準点の位置情報に基づき、前記測量システムによって、掘削後の前記インバート部を測量するものであり、
掘削の途中で前記インバート部を測量するに際し、前記測量システムを、前記トータルステーションから出射されるレーザー光が前記工事車両に照射されても、この工事車両からの反射光が測量データとして認識しないように設定しておくようにし、
この工事車両からの反射光を測量データとして認識しないように設定する方法は、レーザー光の反射態様が工事車両と地山とで異なることを利用する方法、または、一定以上の速度で動作するものを除外して測量を行う方法であることを特徴とする。
しかも、インバート部の設計断面に沿って任意に設定される複数の測量基準点に基づき、トータルステーションによってインバート部を測量するとともに、少なくとも掘削前と、掘削の途中と、掘削後のインバート部を測量するので、インバート部を精度良く測量することができる。
さらに、掘削の途中におけるインバート部の測量回数を複数回行うことによって、インバート部の測量をより精度良く行うことができる。
その上、インバート部の設計断面座標データが演算装置に入力され、このインバート部の設計断面に沿って複数の測量基準点が設定されており、これら複数の測量基準点に基づいて、トータルステーションによる測量が行われるので、掘削前から掘削後の複数回にわたってインバート部の測量を行っても、測量精度が低下することがなくなり、インバート部を常に精度良く測量を行うことができる。
また、少なくとも掘削前と、掘削の途中と、掘削後のインバート部を精度良く測量するとともに、携帯情報端末の出力手段に出力される演算結果を確認しながら、インバート部を掘削することができるので、工事車両によるインバート部の掘削精度が低下することを防ぎ、インバート部を必要以上に深く掘削する過掘り部が形成されてしまうことを極力防ぐことができる。これによって、インバート部に打設するコンクリートの量が多くなることを確実に防ぐことが可能となる。
そして、本実施の形態における測量システムは、前記トータルステーション10と、演算装置20と、携帯情報端末30と、を互いにデータの送受信が可能な状態で接続してなるものである。なお、これらトータルステーション10と、演算装置20と、携帯情報端末30との接続は有線通信または無線通信である。
また、前記インバート部2は、前記トンネル1の底部を指すものであり、前記トンネル1の側壁基部間を結ぶ逆アーチ型のものである。このようなインバート部2を備えることによって前記トンネル1は、覆工コンクリートを閉合断面として耐力を増加させ、沈下・変状を防止することができる。
そして、本実施の形態において、前記インバート部2は、トンネル1の坑口から切羽へと向かう方向に沿って掘削とコンクリート覆工とを繰り返して施工されてなり、コンクリートを覆工した既設コンクリート部2bと、掘削対象部2aと、未掘削部2cとを備えている。また、このインバート部2は、油圧ショベル等の工事車両3によって掘削される。
特に、このトータルステーション10は、視準点に前記レーザー光を照射し、戻ってくる僅かな乱反射光を使って視準点までの距離を測定することで、従来のような測距光を反射するターゲットであるプリズムを必要としないノンプリズム型のものである。
また、このトータルステーション10は、上述のように旋回駆動手段を備えているので、レーザー光を、図4に示すように、順々に照射したり、往復させて照射したり、水平方向および鉛直方向との組み合わせによる斜め方向や円方向へと照射したりすることができる。
これにより、前記トータルステーション10の設置場所は、図1および図3に示すように、前記トンネル1内において予め座標が既知とされる少なくとも2点にプリズム11を設置するとともに、これら2点のプリズム11を視準可能な位置に前記トータルステーション10を据え付け、前記2点のプリズム11を視準して得た測距・測角データを前記演算装置20に伝送し、後方交会法により前記トータルステーション10の設置点の3次元座標を求めることにより設定される。
また、このトータルステーション10の設置場所は、後方交会法によって得られた前記設置点であるだけでなく、前記工事車両3の作業範囲外であるとともに前記インバート部2を測量可能な位置であるように設定されている。
この設計断面座標データは掘削設計値であり、前記インバート部2は、この設計断面座標データに基づいて掘削されるようになっている。すなわち、前記インバート部2の掘削対象部2aを前記工事車両3によって、どの程度の高さまで掘削すればよいかを判断するための判断材料となる。なお、この設計断面座標データは、掘削設計値だけでなく、既設コンクリートの仕上げ面までの高さを示すデータを含むものでもよい。
その他、この演算装置20には、前記トンネル1全体の設計断面座標データや各種データが入力され、トンネル1全体の施工管理を行うものとしてもよい。
ここで、測量基準点10aとは、前記トータルステーション10から出射されるレーザー光の照射目標点であり、上述のように前記インバート部2の設計断面に沿って設定されるものである。したがって、前記インバート部2の設計断面座標データに基づく測量基準点10aの座標と、前記トータルステーション10によって実際に測量されて演算装置20によって導き出される座標とが略等しい場合は、工事車両3による掘削作業が設計通りに行われたことを示すこととなる。
したがって、トンネル1内において、例えばSTA108+6.05454とは、起点より2166.05454mの位置にあることを示している。
本例の計算式は以下のとおりである。
式)108×20+6.05454=2160+6.05454 単位m
そして、本実施の形態においては、それぞれのステーションに、000、001、002…等の番号が付されている。
したがって、前記トンネル1の延在方向(x方向)に沿う所定の掘削範囲を、前記携帯情報端末30に入力する際は、例えば、ステーションの番号を適宜入力する。
そして、前記複数の測量基準点10aは、前記インバート部2の設計断面(設計断面座標データ)に沿って、この仮想格子の交差点に配設されることとなる。
このように前記複数の測量基準点10aをランダムに配設する場合は、前記トンネル1の延在方向に沿う所定の掘削範囲と、前記インバート部2の幅の値(例えば、メートル)を適宜入力する。さらに、所定の範囲内で測量基準点10aをランダムに配設するプログラムを前記携帯情報端末30内に設定しておいてもよいし、測量基準点10aを配設すべき位置を、タッチパネル等によって作業者が適宜入力するようにしてもよい。
この掘削深度は、図1に示すように、前記測量点10bの3次元座標(x1,y1,z1)と、前記インバート部2の設計断面座標データに基づく測量基準点10aの座標(x,y,z)との差分を演算することによって導き出されている。
そして、このA−A線断面図である第1表示部31aには、前記インバート部2の断面方向に沿って配置される複数の測量基準点10aと測量点10bとの離れ距離から導き出される掘削深度を数値化したものが表示されている。
なお、掘削深度の数値「0」とは、前記インバート部2の設計断面座標データに基づく測量基準点10aの座標と、前記トータルステーション10によって実際に測量されて演算装置20によって導き出される座標とが略等しい場合を示している。
すなわち、図5に示すように、例えば、前記インバート部2の設計断面に対する管理値Zを設定しておき、以下の測定結果により適宜色分けを行う。
・10≦Z:掘削不足:赤色
・−10<Z<10:設計値クリア:緑色
・Z≦−10:過掘り:黄色
これにより、前記工事車両3の操縦者が、掘削深度の数値を確認しなくても表示された色を認識するだけで、瞬時に掘削状況を把握できる。
なお、各数値は適宜変更可能であり、例えば以下のようにしてもよい。
・0<Z:掘削不足:赤色
・−10<Z≦0:設計値クリア:緑色
・Z≦−10:過掘り:黄色
なお、本実施の形態では、予め前記携帯情報端末30を前記工事車両3に搭載しておき、この工事車両3の操縦者が前記インバート部2の掘削状況を確認しながら掘削作業を行うようにする。
これによって、前記トータルステーション10の設置位置を固定して正確な測量を行えるとともに、前記工事車両3の作業を妨げることなく、前記インバート部2を確実に測量することができる。
これによって、前記工事車両3の操縦者は、掘削前の前記インバート部2の掘削対象部2aの状況を把握することができ、この掘削対象部2aをそれだけ掘削すればよいか、おおよその予測をもって作業を開始することができる。
その後、前記工事車両3による前記インバート部2の掘削の途中に、前記複数の測量基準点10aの位置情報に基づき、前記測量システムのトータルステーション10によって、掘削途中の前記インバート部2を任意の回数測量する。
これによって、前記掘削対象部2aの掘削状況を把握することができるので、例えば掘削不足部分が形成されていれば、その部分を前記工事車両3で掘削して調整したり、過掘り部が形成されていれば、その部分に掘削不足部分から出た土砂を埋め込んだりして、前記掘削対象部2aを均すことができる。
また、このように前記掘削対象部2aを均した後に、前記トータルステーション10によって最終的に前記インバート部2を測量してもよいものとする。
さらに、このように最終的に前記インバート部2を測量することで、この測量によって得られた測量データを基に、前記インバート部2に打設するコンクリートの量を、その打設前に正確に求めることができるので、前記インバート部2におけるコンクリートの打設管理も容易となる。
しかも、前記インバート部2の設計断面に沿って任意に設定される複数の測量基準点10aに基づき、前記トータルステーション10によって前記インバート部2を測量するとともに、少なくとも掘削前と、掘削の途中と、掘削後の前記インバート部2を測量するので、前記インバート部2を精度良く測量することができる。
さらに、掘削の途中における前記インバート部2の測量回数を複数回行うことによって、前記インバート部2の測量をより精度良く行うことができる。
その上、前記インバート部2の設計断面座標データが前記演算装置20に入力され、このインバート部2の設計断面に沿って前記複数の測量基準点10aが設定されており、これら複数の測量基準点10aに基づいて、前記トータルステーション10による測量が行われるので、掘削前から掘削後の複数回にわたって前記インバート部2の測量を行っても、測量精度が低下することがなくなり、前記インバート部2を常に精度良く測量を行うことができる。
また、少なくとも掘削前と、掘削の途中と、掘削後の前記インバート部2を精度良く測量するとともに、前記携帯情報端末30の出力手段31に出力される演算結果を確認しながら、前記インバート部2を掘削することができるので、前記工事車両3による前記インバート部2の掘削精度が低下することを防ぎ、前記インバート部2を必要以上に深く掘削する過掘り部が形成されてしまうことを極力防ぐことができる。これによって、前記インバート部2に打設するコンクリートの量が多くなることを確実に防ぐことが可能となる。
1a 天端
2 インバート部
2a 掘削対象部
2b 既設コンクリート部
2c 未掘削部
3 工事車両
10 トータルステーション
10a 測量基準点
10b 測量点
11 プリズム
12 設置台
20 演算装置
30 携帯情報端末
31 出力手段
31a 第1表示部(仮想A−A線断面)
31b 第2表示部(仮想B−B線断面)
31c 第3表示部(仮想C−C線断面)
31d 第4表示部(仮想D−D線断面)
31e 第5表示部(仮想E−E線断面)
Claims (1)
- ノンプリズムで測距・測角が可能なトータルステーションと、
少なくともトンネルのインバート部の設計断面座標データが入力された演算装置と、
この演算装置による演算結果を出力する出力手段と、前記インバート部の設計断面に沿って任意に設定されるとともに前記トータルステーションで前記インバート部を測量する際の基準となる複数の測量基準点の位置情報を入力する入力手段とを有する携帯情報端末と、を互いにデータの送受信が可能な状態で接続してなり、
前記携帯情報端末の入力手段によって、前記複数の測量基準点の位置情報を入力した後、これら複数の測量基準点の位置情報に基づき、前記トータルステーションで前記インバート部を測量し、得られた測量点データを前記演算装置に送信して該測量点の3次元座標をそれぞれ求めるとともに、該3次元座標と前記測量基準点の座標との離れ距離から該測量基準点におけるインバート部の掘削深度を演算して導き出し、さらに、この演算結果を前記携帯情報端末の出力手段によって出力する測量システムによって、予め前記携帯情報端末が搭載された工事車両の操縦者が前記インバート部の掘削状況を確認して前記インバート部を測量しながら、工事車両によって前記インバート部の掘削を行うインバート部の掘削管理方法であって、
前記トータルステーションを、前記工事車両の作業範囲外であるとともに前記インバート部を測量可能な所定の位置である、前記インバート部の上方に位置するトンネルの天端に固定された設置台に設置してから、前記複数の測量基準点の位置情報に基づき、前記測量システムによって、掘削前の前記インバート部を測量し、
その後、前記工事車両によって前記インバート部の掘削を開始し、この工事車両による前記インバート部の掘削の途中に、前記複数の測量基準点の位置情報に基づき、前記測量システムによって、掘削途中の前記インバート部を任意の回数測量し、
前記工事車両によって前記インバート部の掘削が終了した後、前記複数の測量基準点の位置情報に基づき、前記測量システムによって、掘削後の前記インバート部を測量するものであり、
掘削の途中で前記インバート部を測量するに際し、前記測量システムを、前記トータルステーションから出射されるレーザー光が前記工事車両に照射されても、この工事車両からの反射光が測量データとして認識しないように設定しておくようにし、
この工事車両からの反射光を測量データとして認識しないように設定する方法は、レーザー光の反射態様が工事車両と地山とで異なることを利用する方法、または、一定以上の速度で動作するものを除外して測量を行う方法であることを特徴とするインバート部の掘削管理方法。
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