JP5312125B2 - インクジェット記録用油性インク - Google Patents

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Description

本発明は、アゾ顔料を含有するインクジェット記録用油性インクに関する。
インクジェット記録方式は、圧力、熱、電界などを駆動源として液状のインクをノズルから記録媒体に向けて吐出させ、記録するものである。このようなインクジェット記録方式は、ランニングコストが低く、高画質化が可能なことより、近年、オフィス用のみならず民生用としても急速に普及している。
インクジェット記録用のインクとしては、水溶性染料を水性媒体に溶解した水性染料インクが、着色力が大きい、あるいはヘッドオリフィスでの目詰まりが少ない等の理由により広く使用されている。ところが、この水性染料インクは、耐水性及び耐候性が充分でないという問題を抱えている。
一方、近年では、A−0サイズにも対応できる大型のインクジェットプリンターが開発され、屋外用ポスターなどの屋外用途での使用形態が増大し、また、デジタルカメラの普及により、長期間保存する用途も増加している。このような背景のもと、耐水性及び耐候性に優れた顔料インクの開発が盛んに行なわれる状況となっている。
顔料インクの中でも、水を溶媒とした水性顔料インクは、安全性、取り扱い易さの点から、コンシューマー向けインクジェットプリンター用途を中心として、近年広く用いられるようになってきた。その中でも、インクジェット記録用の水性顔料インクでは、イエロー顔料として例えばC.I.ピグメントイエロー74等のアゾ系顔料が色相の観点で好ましいとして使用されている(例えば、特許文献1参照)。
水性顔料インクを用いた場合、普通紙に記録した際にコックリング(紙が波打つ現象)が起こる。また、水性インク用に販売されている媒体は、耐水性に欠けるものが多く、また、一般に使用されるC.I.ピグメントイエロー74等の顔料は耐光性の観点で特に悪いため、ラミネートなどの特殊な加工が施されない限り、屋外用途には適さない等の欠点がある。
これに対し、溶媒に有機溶剤を用いた油性顔料インクを用いた場合には、普通紙、マット紙などを用いてもコックリングなく記録が行なえ、また、塩化ビニル樹脂製のフィルムなどの幅広い媒体に記録が可能である。さらに、有機溶剤を用いた油性顔料インクは、水性顔料インクに比べて、記録物の耐水性に優れており、また、一般にインクジェット記録用の油性顔料インクに使用されるイエロー顔料であるアゾ金属錯体(C.I.ピグメント・イエロー150等)は耐光性に優れており、屋外専用の媒体に記録した記録物はラミネート加工等せずとも屋外で使用が可能である。
従来の油性顔料インクでは、有機溶剤として、一般に、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサンや灯油等の脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、あるいはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が使用されている。
油性顔料インクの例として、顔料と分散媒体としてオレイルアルコールとを用いたジェットプリンタ用溶剤系顔料インク(例えば、特許文献2参照)や、顔料と分散媒体としてノルマルパラフィン類、イソパラフィン類もしくはそれらの混合物を溶媒とした溶剤系のインクジェットインク(例えば、特許文献3参照)など、油性顔料インクの主溶媒として、脂肪族炭化水素や脂肪族炭化水素と長鎖アルコールの混合溶媒において、炭化水素の分子数が大きいものを用いたものが開示されている。
特開2000−239594号公報 特開2000−38533号公報 特開2001−329193号公報
しかしながら、脂肪族炭化水素やケトン類、エステル類など一般に使用されている有機溶剤を用いた上記従来の油性顔料インクを使用して記録する場合、記録媒体としてポリ塩化ビニル基材を用いると、画像品質、画像部の乾操性の点で満足できるものではない。特に、上記のようなNi等の重金属を含むアゾメチンNi錯体顔料(例:C.I.ピグメント・イエロー150)等のアゾ金属錯体をはじめとするイエロー顔料は、耐光性には優れるとされているものの、分散させた際の分散性やその後の安定性が悪く、安定したインク性能や吐出性、吐出終了後の再吐出性(吐出回復性)が得られにくく、ポリ塩化ビニル等の樹脂媒体に記録した際には、インクの密着性が悪い。
油性顔料インクの主溶剤に炭化水素の分子数が大きいものを用いた上記の特許文献2〜3の顔料インクでは、引火点が高く危険性が下がり、コックリングをある程度少なくし得ると考えられるが、記録物の密着性が不十分でインクが擦れやすい。
また、一般的に、例えば有機溶剤の沸点や引火点が低いと、乾燥が速い等のためにノズルは詰まりやすくなる。油性インクは、インク保存容器やプリンタなどの装置や部品に使用されているプラスチック(例えばポリスチレン樹脂やABS樹脂等)に対する溶解・膨潤性の点からプリンタ仕様にコストがかからないことが望まれる。これらのことから、溶媒に有機溶剤を用いた場合にも、引火などの危険性や排気設備の設置などの取り扱いへの配慮が改善されれば、有機溶剤を用いた油性顔料インクは記録用材料として有用である。
本発明は、上記の事情に照らし成されたものであり、ポリ塩化ビニル基材への記録適性を有すると共に、インクの安定性及び吐出性(吐出停止後の再吐出性を含む)に優れたインクジェット記録用油性インクを提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表されるアゾ顔料、分子内にポリエステル鎖を有する高分子分散剤、分子内にポリエステル鎖を有さず、かつアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する樹脂、及び有機溶媒を少なくとも含むインクジェット記録用油性インクである。

前記一般式(1)において、Zは5〜8員の含窒素ヘテロ環に由来する2価の基を表し、Y、Y、R11、及びR12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、G及びGは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、W及びWは、それぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。
<2> 前記一般式(1)中のW、Wが、それぞれ独立に、総炭素数3以下のアルコキシ基、アミノ基、又は総炭素数3以下のアルキルアミノ基であることを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録用油性インクである。
<3> 前記一般式(1)中のG、Gが、それぞれ独立に、総炭素数3以下のアルキル基であることを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載のインクジェット記録用油性インクである。
<4> 前記一般式(1)中のZが、6員の含窒素ヘテロ環であることを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用油性インクである。
<5> 前記有機溶媒の少なくとも1種が、下記一般式(α)で表されるポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルであることを特徴とする前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用油性インクである。
21−(OC−OR22 ・・・一般式(α)
〔一般式(α)中、R21、R22は、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよく、nは2〜4の整数を表す。〕
<6> 前記有機溶媒の少なくとも1種が、下記一般式(β)で表されるポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテル、下記一般式(γ)で表されるポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びクエン酸トリエチルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用油性インクである。
31−(OC−OH ・・・一般式(β)
〔式中、R31は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは3〜6の整数を表す。〕
41−(OC−OH ・・・一般式(γ)
〔式中、R41は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3の整数を表す。〕
<7> 前記有機溶媒の少なくとも1種が、炭化水素系溶剤及びラクトン系溶剤の少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用油性インクである。
<8> 前記分子内にポリエステル鎖を有さず、かつアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する樹脂が、(メタ)アクリル樹脂であることを特徴とする前記<1>〜前記<7>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用油性インクである。
<9> 前記(メタ)アクリル樹脂が、メチルメタクリレートの単独重合体もしくはメチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの共重合体であることを特徴とする前記<8>に記載のインクジェット記録用油性インクである。
本発明によれば、ポリ塩化ビニル基材への記録適性を有すると共に、インク安定性及び吐出性(吐出停止後の再吐出性(吐出回復性)を含む)に優れたインクジェット記録用油性インクを提供することができる。
これにより、普通紙に吐出して記録する場合に、コックリングの発生を抑えて画像の記録が行なえ、画像品質、画像安定性、乾燥性をも向上させることができる。また、有機溶媒として、引火点が70℃以上、沸点が150℃以上(好ましくは、20℃における蒸気圧が5mmHg以下)である溶剤を用いた構成では、有機溶媒を使用したインクに不可避とされていた安全性をも改善することができる。
以下、本発明のインクジェット記録用油性インクについて詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用油性インクは、以下に示す一般式(1)で表されるアゾ顔料より選ばれる少なくとも1種と、分子内にポリエステル鎖を有する高分子分散剤の少なくとも1種と、分子内にポリエステル鎖を有さず、かつアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する樹脂の少なくとも1種と、有機溶媒の少なくとも1種とを少なくとも用いて構成されたものである。本発明のインクジェット記録用油性インクは、これら成分のほか、必要に応じて、さらに他の成分が含まれてもよい。
本発明においては、着色成分として、Ni等の重金属を含まない特定構造を有するアゾ系のイエロー顔料を用いることで、従来のNi等の重金属を含む顔料に比べ、分散した際の分散性及びその後の安定性に優れる。これにより、インクとした場合に高いインク安定性が得られるとともに、記録時の吐出を安定して行なえ、吐出停止後に再吐出する際にも安定した吐出性を保つことができる。また、普通紙に記録した際には、コックリング(波打ち状の媒体変形)を抑えた記録が可能になり、ポリ塩化ビニル等の樹脂媒体への記録も可能である。
特に、引火点が70℃以上、沸点が150℃以上(好ましくは、20℃における蒸気圧が5mmHg以下)である有機溶媒を用いた構成では、安全性をも向上する。
本発明における油性インクとは、主溶媒として脂肪族炭化水素や脂肪族炭化水素と長鎖アルコールの混合溶媒を用いたインクをいい、好ましくは、分散安定性の点で水含量が1質量%以下であるものである。
−アゾ顔料−
本発明のインクジェット記録用油性インクは、着色剤として、下記一般式(1)で表されるアゾ顔料の少なくとも1種を含有する。このアゾ顔料は、一般式(1)で表される構造であっても、その互変異性体であってもよく、それらの塩及び水和物であってもよい。
下記一般式(1)で表される化合物は、その特異的な構造により分子間相互作用を形成しやすく、水又は有機溶媒等に対する溶解性が低く、アゾ顔料とすることができる。顔料は、水や有機溶媒等に分子分散状態で溶解させて使用する染料とは異なり、溶媒中に分子集合体等の固体粒子として微細に分散させて用いるものである。
一般式(1)中、Zは5〜8員の含窒素ヘテロ環に由来する2価の基を表し、Y、Y、R11、R12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、G、Gは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、W、Wはそれぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。
一般式(1)において、Zは5〜8員の含窒素ヘテロ環に由来する2価の基を表す。好ましい含窒素ヘテロ環を、置換位置を限定せずに例示すると、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダン環である。より好ましくは、6員含窒素ヘテロ環であり、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、S−トリアジン環が挙げられる。Zとして特に好ましくは、ピリミジン環に由来する2価の基である。
Zが6員含窒素ヘテロ環の場合、色素分子の分子内、分子間作用が、水素結合性、分子の平面性の点からもより向上しやすい点で好ましい。
尚、Zで表される5〜8員の含窒素ヘテロ環に由来する2価の基は、さらに縮環していてもよい。
及びYが置換基を表す場合の例としては、ハロゲン原子、アルキル基(直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基であり、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えば、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基等のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す)、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。これらの具体例については、下記のR11,R12で表される置換基の例示として列挙されたものと同様のものを挙げることができる。
及びYとして特に好ましくは、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基)、アリール基(例えば、フェニル基)、ヘテロ環基(例えば2−ピリジル基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、フェニル基、メチルチオ基であり、その中でも水素原子が最も好ましい。尚、Y及びYは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)において、R11及びR12は水素原子又は置換基を表す。R11及びR12が置換基を表す場合の置換基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル)、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基(例えば、ベンジル)、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基(例えば、ビニル)、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基(例えば、エチニル)、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル)、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
一般式(1)において、好ましいR11及びR12は、置換もしくは無置換の総炭素数1〜8のアシルアミノ基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のヘテロ環基であり、より好ましくは、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基であり、更にメチル基又はt−ブチル基が好ましく、その中でも特にt−ブチル基が最も好ましい。尚、R11及びR12は同一であっても異なっていてもよい。
及びGは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、特に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基が好ましく、更に水素原子、メチル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基が好ましく、その中でもメチル基、2−ピリジル基、2,6−ピリミジニル基、2,5−ピラジニル基が好ましい。
またG及びGがアルキル基を表す場合、総炭素数5以下のアルキル基であることが好ましく、総炭素数3以下のアルキル基であることがより好ましく、メチル基が最も好ましい。尚、G及びGは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)において、W及びWはアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。
及びWで表されるアルコキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。
及びWで表されるアミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
及びWで表されるアルキル基としては、それぞれ独立に直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基が挙げられ、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。
具体的には、アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられる。ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
及びWで表されるアリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
その中でも好ましいW及びWは、アルコシキ基、アミノ基又はアルキル基であり、より好ましくはアルコキシ基、又はアミノ基であり、さらに好ましくは、総炭素数5以下のアルコキシ基、アミノ基(−NH基)、総炭素数5以下のアルキルアミノ基であり、特に好ましくは、総炭素数3以下のアルコキシ基又は総炭素数3以下のアルキルアミノ基であり、その中でも特にメトキシ基が最も好ましい。尚、W及びWは同一であっても異なっていてもよい。
及びWが、総炭素数5以下のアルコキシ基、アミノ基、又は総炭素数5以下のアルキルアミノ基の場合、色素分子が分子内及び分子間で相互作用を強固に形成しやすくなり、より安定な分子配列の顔料を構成しやすくなることで、良好な色相、高い堅牢性(耐光・ガス・熱・水・薬品)の点で好ましい。
本発明において、Z、Y、Y、R11、R12,G、G、W、及びWが、更に置換基を有する場合の置換基としては、下記の置換基を挙げることができる。
例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
本発明におけるアゾ顔料は、一般式(1)で表されるアゾ顔料の互変異性体もその範囲に含むものである。一般式(1)は、化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示しているが、記載された構造以外の互変異性体であってもよく、複数の互変異性体を含有した混合物として用いてもよい。
例えば、一般式(1)で表されるアゾ顔料には、下記一般式(1’)で表されるアゾ−ヒドラゾンの互変異性体が考えられる。
本発明は、一般式(1)で表されるアゾ顔料の互変異性体である以下の一般式(1’)で表される化合物もその範囲に含むものである。
一般式(1’)中、R11、R12、W、W、Y、Y、G、G及びZは、一般式(1)中のR11、R12、W、W、Y、Y、G、G及びZとそれぞれ同義である。
尚、前記一般式(1)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(1)で表されるアゾ顔料として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ホ)の少なくとも1つを含むものである。
(イ)W、Wはそれぞれ独立に、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基)、アミノ基(例えば、−NH基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロプロピル基)又はアリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基)が好ましく、その中でもアルコシキ基、アミノ基又はアルキル基が好ましく、アルコキシ基、アミノ基がより好ましく、さらに好ましくは、総炭素数5以下のアルコキシ基、アミノ基(−NH基)、総炭素数5以下のアルキルアミノ基であり、特に好ましくは、総炭素数3以下のアルコキシ基、アミノ基(−NH基)、総炭素数3以下のアルキルアミノ基であり、その中でも特にメトキシ基(−OCH基)が最も好ましい。
(ロ)R11、R12はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換基(例えば、置換もしくは無置換の総炭素数1〜8のアシルアミノ基、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のヘテロ環基)が好ましく、より好ましくは、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基であり、更にメチル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基が好ましく、その中でも特にtert−ブチル基が最も好ましい。
(ハ)Zは、5〜8員の含窒素ヘテロ環基に由来する2価の基を表し、それらは更に縮環していてもよい。Zにおける含窒素ヘテロ環としては、5又は6員の置換もしくは無置換の含窒素ヘテロ環、例えば、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環が好ましく、特に好ましくは、炭素数3から10の6員含窒素ヘテロ環基である。更に好ましいヘテロ環の例は、ピリジン環、ピリミジン環、S−トリアジン環、ピリダジン環、ピラジン環であり、より好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、S−トリアジン環、ピリダジン環、ピラジン環であり、更に好ましくは、ピリミジン環、S−トリアジン環であり、その中でも特にピリミジン環が最も好ましい。
(ニ)G、Gはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、特に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基が好ましく、更に水素原子、メチル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基が好ましく、その中でもメチル基、2−ピリジル基、2,6−ピリミジニル基、2,5−ピラジニル基が好ましい。
またG、Gで表されるアルキル基としては、総炭素数5以下のアルキル基がより好ましく、総炭素数3以下のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
(ホ)Y、Yはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基)、アリール基(例えば、フェニル基)、ヘテロ環基(例えば2−ピリジル基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)であり、好ましくは水素原子、メチル基、フェニル基、メチルチオ基であり、その中でも水素原子が特に好ましい。
本発明における上記一般式(1)で表されるアゾ顔料のうち、好ましくは下記一般式(2)で表されるアゾ顔料である。
上記一般式(2)中のG、G、R11、R12、W、W、Y及びYは、上記一般式(1)中のG、G、R11、R12、W、W、Y及びYとそれぞれ同義である。
11、X12は、それぞれ独立に上記一般式(1)中のZで表される含窒素ヘテロ環化合物に由来する2価の基(Het.)中のヘテロ原子を表す。
本発明において、上記一般式(1)で表されるアゾ顔料においては多数の互変異性体が考えられる。
また、本発明において、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、分子内水素結合又は分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましい。本発明における一般式(1)で表されるアゾ顔料は、少なくとも1個以上の分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましく、少なくとも3個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有することがより好ましく、少なくとも3個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有し、且つ、それらの水素結合の少なくとも2個が分子内交叉水素結合を形成する置換基を有する場合が特に好ましい。
一般式(1)で表されるアゾ顔料のうち、前述したように特に好ましいアゾ顔料の一般式の例としては、上記一般式(2)で表されるアゾ顔料を挙げることができる。
この構造が好ましい要因としては、一般式(2)で示すようにアゾ顔料構造に含有するヘテロ環を構成する窒素原子、水素原子及びヘテロ原子(アゾ基又はその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子とカルボニル基の酸素原子又はアミノ基の窒素原子)が少なくとも1個以上の分子内の交叉水素結合(分子内水素結合)を容易に形成し易いことが挙げられる。
これらの構造が好ましい要因としては、上記一般式(2)で示すように、アゾ顔料が含有するヘテロ環基を構成する窒素原子、アミノ基の水素原子及びヘテロ原子(例えば、アゾ基又はその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子、カルボニル基の酸素原子又はアミノ基の窒素原子)が少なくとも4個以上の分子内水素結合を容易に形成し易く、且つ、少なくとも2個以上の分子内の交叉水素結合を容易に形成し易いことが挙げられる。
その結果、分子の平面性が上がり、更に分子内・分子間相互作用が向上し、例えば一般式(2)で表されるアゾ顔料の結晶性が高くなり(高次構造を形成し易くなり)、顔料としての要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、最も好ましい例となる。
また、本発明におけるアゾ顔料においては、一般式(1)で表される化合物中に同位元素(例えば、H、H、13C、15N)を含有していてもよい。
以下に前記一般式(1)で表されるアゾ顔料の具体例として、Pig.−1〜Pig.−48を示すが、本発明に用いられるアゾ顔料は、下記の例に限定されるものではない。また、以下の具体例の構造は化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示されているが、記載された構造以外の互変異性体構造のものであってもよいことは言うまでもない。
本発明における一般式(1)で表されるアゾ顔料は、化学構造式が一般式(1)又はその互変異性体であればよく、その結晶形態についても特に制限はない。例えば、多形(結晶多形)とも呼ばれるいかなる結晶形態の顔料であってもよい。
結晶多形は、同じ化学組成を有するが、結晶中におけるビルディングブロック(分子又はイオン)の配置が異なる結晶のことを言う。結晶多形においては、その結晶構造によって化学的及び物理的性質が決定され、各結晶多形は、レオロジー、色相、及び他の色特性によってそれぞれ区別することができる。また、異なる結晶多形は、X-Ray Diffraction(粉末X線回折測定結果)やX-Ray Analysis(X線結晶構造解析結果)によって確認することもできる。
本発明における一般式(1)で表されるアゾ顔料に結晶多形が存在する場合、その結晶型はどの多形であってもよく、また2種以上の多形の混合物であってもよいが、結晶型が単一のものを主成分とすることが好ましい。すなわち結晶多形の混入が少ないものが好ましく、単一の結晶型を有するアゾ顔料の含有量はアゾ顔料全体に対し70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更に好ましくは95%〜100、特に好ましくは100%である。
単一の結晶型を有するアゾ顔料を主成分とすることで、色素分子の配列に対して規則性が向上し、分子内・分子間相互作用が強まり高次な3次元ネットワークを形成しやすくなる。その結果として色相の向上・光堅牢性・熱堅牢性・湿度堅牢性・酸化性ガス堅牢性及び耐溶剤性等、顔料に要求される性能の点で好ましい。
アゾ顔料における結晶多形の混合比は、単結晶X線結晶構造解析、粉末X線回折(XRD)、結晶の顕微鏡写真(TEM)、IR(KBr法)等の固体の物理化学的測定値から確認できる。
本発明において、一般式(1)で表されるアゾ顔料が酸基を有する場合には、酸基の一部あるいは全部が塩型のものであってもよく、塩型の顔料と遊離酸型の顔料が混在していてもよい。上記の塩型の例としてNa、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。有機アミンの例として、低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換低級アルキルアミン、カルボキシ置換低級アルキルアミン及び炭素数2〜4のアルキレンイミン単位を2〜10個有するポリアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。
更に、本発明で使用するアゾ顔料の構造において、その1分子中に酸基が複数含まれる場合は、その複数の酸基は、それぞれ独立に塩型あるいは酸型であり、互いに異なるものであってもよい。
本発明において、前記一般式(1)で表されるアゾ顔料は、結晶中に水分子を含む水和物であってもよく、また結晶中に含まれる水分子の数にも特に制限はない。
次に上記一般式(1)で表されるアゾ顔料の製造方法の一例について説明する。例えば、下記一般式(A)で表されるヘテロ環アミンを酸性条件でジアゾニウム化し、下記一般式(B)で表される化合物とカップリング反応を行い、常法による後処理を行って上記一般式(1)で表されるアゾ顔料を製造することができる。
一般式(A)及び(B)中、Wは一般式(1)におけるW及びWと同義であり、Gは一般式(1)におけるG及びGと同義であり、R11、R12、及びZは一般式(1)におけるR11、R12、及びZとそれぞれ同義である。
上記一般式(A)で表されるヘテロ環アミンは、一般的には公知慣用の方法、例えば、Helv.Chim.Acta,41,1958,1052〜1056やHelv.Chim.Acta,42,1959,349〜352等に記載の方法、及び、それに準じた方法で製造することができる。
また、上記一般式(B)で表される化合物は、国際公開第06/082669号や特開2006−57076号公報に記載の方法、及び、それに準じた方法で製造することができる。
上記一般式(A)で表されるヘテロ環アミンのジアゾニウム化反応は、例えば、硫酸、リン酸、酢酸、塩酸、メタンスルホン酸などの酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等の試薬を15℃以下の温度で10分〜6時間程度反応させることで行うことができる。
カップリング反応は、上述の方法で得られたジアゾニウム塩と上記一般式(B)で表される化合物とを40℃以下、好ましくは、25℃以下で10分〜12時間程度反応させることで行うことができる。
このようにして反応させたものは、結晶が析出している場合もあるが、一般的には、反応液に水、あるいはアルコール系溶媒を添加し、結晶を析出させ、結晶を濾取することができる。また、反応液にアルコール系溶媒、水等を添加して結晶を析出させて、析出した結晶を濾取することができる。濾取した結晶を必要に応じて洗浄・乾燥して、一般式(1)で表されるアゾ顔料を得ることができる。
上記の製造方法によって、上記一般式(1)で表されるアゾ顔料は粗アゾ顔料(クルード)として得られるが、本発明の顔料として用いる場合、後処理を行うことが望ましい。この後処理の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の磨砕処理、溶媒加熱処理などによる顔料粒子制御工程、樹脂、界面活性剤及び分散剤等による表面処理工程が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表されるアゾ顔料は後処理として溶媒加熱処理及び/又はソルベントソルトミリングを行うことが好ましい。
溶媒加熱処理に使用される溶媒としては、例えば、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性非プロトン性有機溶媒、氷酢酸、ピリジン、又はこれらの混合物等が挙げられる。上記で挙げた溶媒に、さらに無機又は有機の酸又は塩基を加えてもよい。溶媒加熱処理の温度は所望する顔料の一次粒子径の大きさによって異なるが、40〜150℃が好ましく、60〜100℃がさらに好ましい。また、処理時間は、30分〜24時間が好ましい。
ソルベントソルトミリングとしては、例えば、粗アゾ顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練磨砕を行うことが挙げられる。上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。当該無機塩の使用量は、粗アゾ顔料に対して3〜20質量倍とするのが好ましく、5〜15質量倍とするのがより好ましい。有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好適に使用できるが、混練時の温度上昇により溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。
このような水溶性有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール又はこれらの混合物が挙げられる。当該水溶性有機溶剤の使用量は、粗アゾ顔料に対して0.1〜5質量倍が好ましい。混練温度は、20〜130℃が好ましく、40〜110℃が特に好ましい。混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー等が使用できる。
本発明のインクジェット記録用油性インク中における前記一般式(1)で表されるアゾ顔料及びその互変異性体並びにそれらの塩及び水和物の含有量は、画像濃度とインク安定性の観点から、0.5〜12質量%の範囲が好ましく、1〜10質量%の範囲がより好ましく、2〜8質量%の範囲が更に好ましい。
分子内にポリエステル鎖を有する高分子分散剤)
本発明のインクジェット記録用油性インクは、分子内にポリエステル鎖を有する高分子分散剤の少なくとも1種を含有する。高分子の分散剤を用いることにより、顔料の分散安定性などがより向上する。分子内にポリエステル鎖を有する高分子分散剤としては、油性インクに一般に用いられている分散剤を任意に用いることができる。なお、本発明における「高分子」とは、重量平均分子量が3000以上の樹脂であることをいう。本明細書において分子内にポリエステル鎖を有する高分子分散剤を適宜高分子分散剤と称する。
高分子分散剤は、分子内に疎水基を含むものが好ましく、水に不溶性であるものがより好ましい。疎水基を含む高分子分散剤は、記録物の耐水性をより向上させることができる。
高分子分散剤、分子内にポリエステル鎖を有する。柔軟なポリエステル鎖を含むことにより、顔料に対する吸着性が増し分散性が向上する。具体的には、例えば、特開昭54−37082号公報、特開昭61−174939号公報などに記載のポリアルキレンイミンとポリエステル化合物を反応させた化合物、特開平9−169821号公報に記載のポリアリルアミンの側鎖のアミノ基をポリエステルで修飾した化合物、特開平9−171253号公報に記載のポリエステル型マクロモノマーを共重合成分とするグラフト重合体、特開昭60−166318号公報に記載のポリエステルポリオール付加ポリウレタン等が好適に挙げられる。
高分子分散剤としては、例えば前記ポリエステル系分散剤として、例えば、日本ルーブリゾール社製の「SOLSPERSE」(例えば、ソルスパース17000、24000GR、28000、32000、38500)、ビックケミー社製の「DISPERBYK」(例えば、Disperbyk−161、162、167、168)、エフカアディティブズ社製の「EFKA」(例えば、EFKA4047、4050)、味の素ファインテクノ社製の「アジスパー」(例えば、アジスパーPB711、PN411、PA111、PB821、PB822)などが挙げられ、いずれも上市されている。
高分子分散剤としては、上記の市販品以外にも、塩基性基を含有するカチオン性モノマーと酸性基を有するアニオン性モノマーと疎水基を有するモノマーと必要によりノニオン性モノマーや親水基を有するモノマーなどの他のモノマーとを共重合させて合成したものを用いることができる。カチオン性モノマー、アニオン性モノマー、疎水基を有するモノマー、及びノニオン性モノマーや親水基を有するモノマーなどの他のモノマーの詳細については、特開2004−250502号公報の段落番号[0034]〜[0036]に記載のモノマーを挙げることができる。
本発明のインクジェット記録用油性インク中における高分子分散剤の含有量としては、顔料や溶媒の種類、分散条件などにもよるが、前記一般式(1)で表される顔料等に対して、10〜100質量%の割合が好ましく、20〜80質量%の割合がより好ましい。高分子分散剤の含有量が前記割合であると、分散粒子径を小径にでき、より分散性を安定化させることができる。
(有機溶媒)
本発明のインクジェット記録用油性インクは、有機溶媒の少なくとも1種を含有する。有機溶剤としては、例えば、アルコール系化合物、ケトン系化合物、エステル系化合物、アミン系化合物、グリコール系化合物、グリコールエーテル系化合物、芳香族系化合物などの溶剤や、炭化水素系溶剤、ラクトン系溶剤などを挙げることができる。
好ましい有機溶媒としては、ノズル部やチューブ内等の機器内における油性インクの揮発抑制、固化防止、また、固化した際の再溶解性に優れ、普通紙のコックリング抑制の点で、ポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。具体的には、下記一般式(α)で表されるポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルが好ましい。
21−(OC−OR22 ・・・一般式(α)
前記一般式(α)において、R21、R22は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基を表し、R21とR22とは同一でも異なっていてもよい。nは、2〜4の整数を表す。
21、R22で表される炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば、メチル、エチル、プロピルなどが挙げられる。
一般式(α)で表されるポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルの具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−iso−プロピルエーテル等が挙げられる。中でも、好ましくは、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルである。
また、好ましい有機溶媒として、ノズル部やチューブ内等の機器内における油性インクが固化した際の再溶解性に優れる点で、ポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。具体的には、下記一般式(β)で表されるポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテル、及び/又は、下記一般式(γ)で表されるポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
31−(OC−OH ・・・一般式(β)
41−(OC−OH ・・・一般式(γ)
前記一般式(β)において、R31は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは3〜6の整数を表す。R31で表される炭素数1〜6のアルキル基の中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。前記一般式(β)で表されるポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
また、前記一般式(γ)において、R41は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3の整数を表す。R41で表される炭素数1〜4のアルキル基の中でも、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。前記一般式(γ)で表されるポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
上記のほか、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物が挙げられる。具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノエチルエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノブチルエステル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノエチルエステル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノエチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノブチルエステル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル等が例示される。
これらの中では、ジ又はトリエチレングリコール系化合物に比べ、ジ又はトリプロピレングリコール系化合物の方が、より安全性が高い点で好ましく、インク溶媒として特に好適である。
前記ポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルは、沸点が大気圧下で150℃以上が好適であり、より好ましくは180℃以上のものである。上限値は、特に制限はないが、インクジェット記録用としての機能上240℃程度である。また、20℃での密度は0.9g/cm以上のものが好ましく、インクとした際のレベリング性、乾燥性が(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物より優れることから、主溶媒としてより好適である。
前記ポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテルは、沸点が大気圧下で200〜305℃が好適であり、より好ましくは240〜305℃のものであり、揮発抑制性をインクに付与することができる。
前記ポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルは、沸点が大気圧下で170〜245℃が好適であり、より好ましくは180〜240℃のものであり、揮発抑制性をインクに付与することができる。
上記のほか、揮発抑制性をインクに付与する点では、クエン酸トリエチルも好ましい有機溶媒として用いることができる。
有機溶媒としては、油性インクの引火点を70℃以上とする観点から、その引火点が70℃以上のものを使用するのが望ましい。危険物第四類、第三石油類又はそれ以上に設計することで、引火などの危険性が低減し、比較的容易に取り扱いできる。油性インクの引火点は、70℃以上とすると、消防法の法別表に掲げられる危険物第四類、第三石油類又はそれ以上に分類され、製造、貯蔵、運搬などの際に取り扱いやすくなる。また、漏洩などのトラブルの際、引火などの危険も抑制される。有機溶媒の引火点が70℃未満であると、引火点の高い溶媒を他に加えてもインク全体の引火点を70℃以上にしにくいが、主溶媒の引火点が70℃以上であれと、これに引火点が70℃未満の他の溶媒が添加された場合でも、その添加量を調整することでインク全体の引火点を容易に70℃以上に設計できる。
また、引火点が70℃以上である主溶媒は、その沸点が150℃以上、20℃における蒸気圧が5mmHg以下であり、作業環境にも優れる。
〜炭化水素系溶剤〜
本発明においては、上記の有機溶媒に加えあるいはそれとは別に、炭化水素系溶剤を用いることができる。有機溶媒と親和性のある顔料分散剤や樹脂などは、炭化水素系溶剤を添加することにより、溶媒に対する溶解力が多少低下し、顔料への吸着力が向上し、インクの流動性が増し、保存安定性を高めることができる。このような効果を有する炭化水素系溶剤を用いる場合、好ましくは、インクの引火点が70℃未満とならないようにその量を決め、通常は全有機溶媒に対して1〜30質量%とするのが好ましく、より好ましくは3〜20質量%とする。
炭化水素系溶剤は、炭素原子と水素原子だけでできた化合物であり、通常は単一の成分又は混合物からなる天然又は合成の炭化水素混合物からの留出物であり、その分子構造によりアルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、芳香族炭化水素などが含まれる。このような炭化水素系溶剤としては、例えば、ノルマルパラフィンやイソパラフィンなどのパラフィン、ナフテン、パラフィン/ナフテン混合系などが挙げられる。炭化水素系溶剤の性状は、流動状でも固体状でもよい。これらの中でも、イソパラフィン系溶剤、ノルマルパラフィン系溶剤、流動パラフィン系溶剤、パラフィン/ナフテン系溶剤などが好ましく、これらは市販品として容易に入手可能である。
具体的には、エクソン化学社製のイソパラフィン系溶剤であるアイソパーG,H,L,M、ノーパー12,13,15、パラフィン/ナフテン混合系溶剤であるエクソノールD110,D130、出光石油化学社製のイソパラフィン系溶剤であるIPソルベント1620,2028、日本石油化学社製のノルマルパラフィン系溶剤であるノルマルパラフィンSL,L,M,H,O型ソルベントL,M,H、イソパラフィン系溶剤であるアイソゾール300,400、ナフテン系溶剤であるAF−4,AF−7,AF−5,AF−6、テクリーンN16,N20,N22、パラフィン系溶剤であるドライソルベント、ドライソルベントハイソフト、クレンゾル、ミネラルスピリットA、Aソルベント、ハイアロム2S、丸善石油化学社製のイソパラフィン系溶剤であるマルカゾールR、出光興産社製のパラフィン系溶剤である出光スーパゾルLA25,LA30,LA35,LA41,FP20,FP25,FP30,FP38,CA25、ダイアナフレシアP02,P05,S02、シェルジャパン社製のイソパラフィン系溶剤であるシェルゾール71,72、パラフィン/ナフテン混合系溶剤であるシェルゾールD100、松村石油研究所社製の流動パラフィン系溶剤であるモレスコホワイトP−40,P−55,P−60,P−70,P−80,P−100,P−120,P−150,P−200,P−230,P−260,P−300,P−350P、モレスコバイオレスなどが挙げられる。
炭化水素系溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。
これらの炭化水素系溶剤は、分子量が低いものをインクに添加することにより、流動性を増大させることができ、逆に分子量が高いものをインクに添加することにより、引火点が高くなり安全性を高めることができる。炭化水素系溶剤は、引火点が安全性を保ち得る程度に低くなり過ぎないようにし、乾燥性向上によるヘッド目詰まりを抑えたインク吐出性、顔料分散剤や樹脂の溶解性、分散性の観点から、インクの流動性を損なわない程度に分子量が高く、安全性のために引火点が70℃以上のものが好ましい。
本発明における有機溶媒としては、ポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルに、水や、アルコール系化合物、ケトン系化合物、エステル系化合物、アミン系化合物、グリコール系化合物、グリコールエーテル系化合物、芳香族系化合物などの他の一般的な溶媒を併用した混合溶媒としてもよい。この場合、併用する水やアルコール系化合物等の量は、各物性、安全性などを熟知した上で、各溶媒に応じて適宜選択すればよい。
〜ラクトン系溶剤〜
更に、ラクトン系溶剤を用いることができる。ラクトン系溶剤は、エステル結合による環状構造を持つ化合物であり、5員環構造のγ−ラクトンや6員環構造のδ−ラクトン、7員環構造のε−ラクトン等がある。ラクトン系溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−ヘプタラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、ε−カプロラクタムが挙げられる。
ラクトン系溶剤の中でも、ポリ塩化ビニル基材に対する浸透性に優れる点で、5員環構造のγ−ラクトンが好ましく、さらに好ましくはγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンである。
上記の有機溶媒にラクトン系溶剤を併用した混合溶媒とする場合、混合溶媒中のそれぞれの割合は、前記一般式(α)で表されるポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテル1質量部に対して、ラクトン系溶剤を0.02〜4質量部、好ましくは0.05〜2質量部とするとよい。
本発明のインクジェット記録用油性インク中における有機溶媒の含有量としては、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。有機溶媒の割合が前記範囲内であると、顔料の分散安定性がより良好になるとともに、ポリ塩化ビニル基材への浸透性、レベリング性、画像部の乾燥性に優れる。
分子内にポリエステル鎖を有さず、かつアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する樹脂)
本発明のインクジェット記録用油性インクは、分子内にポリエステル鎖を有さず、かつアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する樹脂の少なくとも1種を含有する。分子内にポリエステル鎖を有さず、かつアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する樹脂を含有することにより、画像の耐擦過性をより向上させることができる。本明細書において分子内にポリエステル鎖を有さず、かつアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する樹脂を適宜、樹脂と称する。
樹脂としては、アニオン性樹脂が挙げられる。アニオン性樹脂は、酸価が5〜150mgKOH/gが好ましく、より好ましくは20〜100mgKOH/gであり、更に好ましくは30〜80mgKOH/gである。酸価は、5mgKOH/g以上であると顔料や媒体表面との親和性が良好になり、150mgKOH/g以下であると、インク粘度を抑えながら、耐擦過性の向上効果が効果的に得られる。
前記アニオン性樹脂は、重量平均分子量が5,000〜100,000が好ましく、より好ましくは8,000〜60,000であり、更に好ましくは10,000〜30,000である。分子量は、5,000以上であると、インク中で顔料粒子にアニオン性樹脂が吸着した際に立体反発の効果が得られ易く、保存性の向上効果が高くなると共に、画像部の強度が向上し、また、100,000以下であると、インク粘度を抑えてインクの流動性を保つことができる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算分子量として求められる。
前記アニオン性樹脂は、アクリロイル基やメタクリロイル基を有する樹脂、並びにポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造の少なくとも1つを含むポリエーテル構造を有する樹脂が好ましい。アクリロイル基やメタクリロイル基を有する樹脂は、(メタ)アクリル樹脂であり、ポリ塩化ビニル基材に対する顔料分散体の密着性に優れる点で、メチルメタクリレートの単独重合体、又はメチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの共重合体が好ましい。
また、前記ポリエーテル構造は、前記有機溶媒との親和性がよく、顔料の分散安定性に優れており、記録物の定着性を高めることができる。このようなアニオン性樹脂としては、ポリエーテル構造を有するマクロモノマーと、アニオン性モノマーと、必要に応じてカチオン性モノマー、ノニオン性モノマー、疎水性モノマー、親水性モノマーなどの他のモノマーとを共重合させて合成されたものを用いることができる。ポリエーテル構造を有するマクロモノマーには、アクリロイル基やメタクリロイル基に直接又はアルキル基を介してメトキシポリエチレングリコールやメトキシポリプロピレングリコールが結合したマクロモノマーが好適に用いられ、また、アニオン性モノマーなどの他のモノマーには、前記高分子分散剤を合成するためのモノマーとして例示したのと同様のものが好適に用いられる。前記アニオン性樹脂としては、これらモノマーを共重合してなる(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
前記ポリエーテル構造を有するマクロモノマーとしては、市販品として、日本油脂社製のPE−200,PE−350,AE−200,AE−350,AP−400,AP−550,AP−800,70PEP−350B,10PEP−550B,AEP,50POEP−800B,50AOEP−800B,PLE,ALE,PSE,ASE,PNE,ANE,PNP,ANP,PNEP−600,PME−200,PME−400,PME−1000,AME−400,PP−500,PP−800,PP−1000、新中村化学社製のAMP−10G,AMP−20G,AMP−60G,AM−90G,大阪有機化学工業社製のビスコート#355HP,ビスコート#310,ビスコート#310HP,ビスコート#310HG,ビスコート#312,ビスコート#700、共栄社化学社製のライトアクリレートEHDG−A,ライトアクリレートEC−A,ライトアクリレートMTG−A,ライトアクリレート130A,ライトアクリレートP−200A,ライトアクリレートNP−4EA,ライトアクリレートNP−8EA,ライトエステルMC,ライトエステル130MA,ライトエステル041MA、新中村化学工業社製のNKエステルM−20G,NKエステルM−40G,NKエステルM−90G、旭電化工業社製のアデカリアソープNE−10,アデカリアソープNE−20,アデカリアソープNE−40などが挙げられる。
樹脂のインクジェット記録用油性インク中における含有量としては、前記一般式(1)で表される顔料等を含む顔料合計量に対して、10〜200質量%が好ましく、より好ましくは15〜150質量%であり、更により好ましくは20〜100質量%である。樹脂の含有量は、10質量%以上であると、顔料との比率が良好で良好な定着性が得られ、200質量%以下であると、インク粘度を抑えられる。
本発明のインクジェット記録用油性インク中における樹脂及び顔料等からなるインク固形分は、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜15質量%である。
本発明のインクジェット記録用油性インクは、上記した成分に加え、必要に応じて、界面活性剤、表面調整剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、pH調整剤、電荷付与剤、殺菌剤、防腐剤、防臭剤、電荷調整剤、湿潤剤、皮はり防止剤、香料、顔料誘導体などの公知の添加剤を任意成分として添加してもよい。
本発明のインクジェット記録用油性インクの調製方法としては、特に制限はなく、各成分を、ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミルなどの高速回転ミル、攪拌槽型ミルなどの媒体攪拌ミル、ディスパーなどの簡単な分散機により撹拌、混合し、分散させることにより調製することができる。各成分の添加順序については任意である。好ましくは、前記一般式(1)で表されるアゾ顔料、高分子分散剤及び有機溶媒をプレミックスした後に分散処理し、得られた分散物を樹脂(例えばアニオン性樹脂)と有機溶剤とともに混合する。この場合、添加時や添加後、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパー、ホモジナイザーなどの簡単な攪拌機にて均一に混合する。ラインミキサーなどの混合機を用いて混合してもよい。また、分散粒子をより微細化するために、ビーズミルや高圧噴射ミルなどの分散機を用いて混合してもよい。また、顔料や高分子分散剤の種類によっては、顔料分散前のプレミックス時にアニオン性樹脂を添加するようにしてもよい。
本発明のインクジェット記録用油性インクは、25℃における表面張力が20〜40mN/mであるのが好ましい。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。また、粘度は、1〜20mPa・sが好ましく、より好ましくは3〜15mPa・sである。粘度は、VISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。
また、油性インク中の顔料粒子の分散平均粒子径としては、体積基準平均粒径D50で50〜150nmが好ましく、60〜100nmがより好ましい。D50は、50nm以上であると、記録物の耐光性の点で適当であり、150nm以下であると、吐出性が良好であり、より解像度の高い精細な記録物が得られる。
これらは、前記有機溶媒の選択や他の成分の種類や量を適宜調整することにより容易に調整することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(顔料の合成)
[合成例1]
〜例示化合物(Pig.−1)の合成〜
前記一般式(1)で表される化合物のうち、既述の例示化合物(Pig.−1)の合成スキームを以下に示す。
(1)中間体(a)の合成
シアノ酢酸メチル29.7g(0.3モル)にオルトギ酸トリメチル42.4g(0.4モル)、無水酢酸20.4g(0.2モル)、p−トルエンスルホン酸0.5gを加えて110℃(外温)に加熱し、反応系から生じる低沸点成分を留去しながら20時間攪拌した。この反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行ない、前記中間体(a)14.1g(黄色粉末、収率30%)を得た。得られた中間体(a)のNMR測定結果は以下の通りである。
1H-NMR(300MHz、CDCl3):7.96(s,1H), 4.15(s,3H), 3.81(s,3H)
(2)中間体(b)の合成
メチルヒドラジン7.4mL(141ミリモル)にイソプロパノール150mLを加えて15℃(内温)に冷却し、この混合液に中間体(a)7.0g(49.6ミリモル)を徐々に添加した後、50℃に加熱して1時間40分攪拌した。この反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行ない、前記中間体(b)10.5g(白色粉末、収率50%)を得た。得られた中間体(b)のNMR測定結果は以下の通りである。
1H-NMR(300MHz、CDCl3):7.60(s,1H), 4.95(brs,2H), 3.80(s,3H), 3.60(s,3H)
(3)中間体(c)の合成
ヒドラジン1水和物130mLにメタノール100mLを加えて10℃(内温)に冷却し、この混合液に4,6−ジクロロピリミジン50.0g(336ミリモル)を徐々に添加(内温20℃以下)した後、50℃に加熱して4時間30分攪拌した。反応液から析出した結晶をろ取、イソプロパノールでかけ洗い後、乾燥を行ない、前記中間体(c)43.1gを得た(白色粉末、収率92%)。得られた中間体(c)のNMR測定結果は以下の通りである。
1H-NMR(300MHz、d6-DMSO):7.82(s,1H), 7.55(s,2H), 5.96(s,1H), 4.12(s,4H)
(4)中間体(d)の合成
中間体(c)35.0g(0.25モル)、ピバロイルアセトニトリル68.8g(0.55モル)に水900mLを加えて室温で攪拌した。この懸濁液に1M塩酸水をpH3になるように滴下した後、50℃に加熱して8時間攪拌した。この反応液に8M水酸化カリウム水溶液を滴下してpH8に調整して、更に1M塩酸水を滴下してpH6に調整して析出した結晶をろ取、イソプロパノールでかけ洗い後、乾燥を行ない前記中間体(d)83.0gを得た(白色粉末、収率94%)。得られた中間体(d)のNMR測定結果は以下の通りである。
1H-NMR(300MHz、d6-DMSO):8.73(s,1H), 7.97(s,1H), 6.88(s,4H), 5.35(s,2H), 1.22(s,18H)
(5)例示化合物(Pig.−1)の合成
濃硫酸4.1mLに酢酸18.5mLを加えて氷冷で攪拌し、40%ニトロシル硫酸3.85g(12.1ミリモル)を滴下した。この混合液に中間体(b)1.71g(11.0ミリモル)を徐々に添加(内温0℃以下)した後、0℃で2時間攪拌した。この反応液に尿素150mgを添加し、さらに0℃で15分攪拌して、ジアゾ液Aを調製した。
中間体(d)にメタノール50mLを加えて加熱溶解させた後、氷冷で攪拌した混合液に前記ジアゾ液Aをゆっくり滴下した(内温10℃以下)。この反応液を室温で2時間攪拌した後、析出した結晶をろ取、メタノールでかけ洗いして前記例示化合物(Pig.−1)の粗結晶を得た。さらに前記粗結晶に水を加えて攪拌した後、この懸濁液を水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整し、さらにジメチルアセトアミド20mLを加えて、80℃で2時間攪拌した。析出した結晶をろ取、さらにメタノールで懸濁洗浄し得られた結晶をろ取、乾燥して例示化合物(Pig.−1)2.0gを得た(黄色粉末、収率79%)。
[合成例2]
更に、前記一般式(1)で表される化合物として、前記合成スキームと同様にして、既述の例示化合物(Pig.−5)、例示化合物(Pig.−18)、例示化合物(Pig.−19)、及び例示化合物(Pig.−52)を合成した。
(実施例1)
−イエロー顔料分散体の調製−
以下の組成中の諸成分を混合し、ディゾルバーで均一になるまで攪拌し、得られた予備分散液を、さらに縦型ビーズミル(アイメックス(株)製のレディーミル)で0.1mmφジルコニアビーズを用いて3〜6時間分散し、イエロー顔料分散体YP−1を調製した。
<イエロー顔料分散体YP−1の組成>
・例示化合物(Pig.−1;一般式(1)で表されるアゾ顔料)・・・20.0部
・ソルスパーズ32000 ・・・12.0部
(ルブリソール社製、ポリエステル系化合物)
・ジエチレングリコールジエチルエーテル ・・・68.0部
−イエロー分散体の粒子径の測定−
得られたイエロー顔料分散体YP−1について、光散乱回折式の粒度分布測定装置LA910〔(株)堀場製作所製〕を用い、体積基準平均粒径D50を測定し、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:D50が100nm未満であった。
B:D50が100nm以上、150nm未満であった。
C:D50が150nm以上であった。
−油性インクの調製−
次に、得られたイエロー顔料分散体YP−1を用い、下記組成の諸成分を混合して油性インクYI−1を調製した。
<油性インクYI−1の組成>
・前記イエロー顔料分散体YP−1 ・・・25.0部
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・18.0部
(引火点74℃、沸点190℃)
・ジエチレングリコールジエチルエーテル ・・・30.5部
(引火点71℃、沸点189℃)
・テトラエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・6.5部
(引火点143℃、沸点278℃)
・γ−ブチロラクトン(ラクトン系溶剤) ・・・15.0部
(引火点98℃、沸点203℃)
・Elvacite 2013(樹脂) ・・・5.0部
(デュポン社製、メチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体)
−評価−
得られた油性インクYI−1について、下記の測定、評価を行なった。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。
(1.インク安定性)
得られた油性インクYI−1を、PET製容器に入れて密栓し、60℃恒温槽中で14日間保存し、保存後の粘度及び平均粒子径を測定した。また、同様の方法で保存前の油性インクYI−1の粘度及び平均粒子径も測定した。粘度は、R100型粘度計(東機産業社製)により25℃、コーンの回転数20rpmの条件にて測定した。平均粒子径は、光散乱回折式の粒度分布測定装置LA910〔(株)堀場製作所製〕を用い、体積基準平均粒径D50を測定した。それぞれの測定値を指標にして、下記の評価基準にしたがってインク安定性の評価をした。評価結果は下記表1に示す。
<評価基準>
A:粘度及び平均粒子径ともに、保存前の値の±6%以内であった。
B:粘度及び平均粒子径いずれかの値が、保存前の値の±6%を超えるものであった。
(2.吐出回復性)
得られた油性インクYI−1を、PET製容器に入れて密栓し、60℃恒温槽中で14日間保存した。記録媒体として富士フイルム社製の「画彩 写真仕上げPro」を、インクジェット記録装置として、600dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを備えたインクジェット装置を用意した。60℃恒温槽中で14日間保存して得た油性インクYI−1をインクジェット装置に装填し、ヘッドから30分間吐出した後、メンテナンス作業として、15KPaの圧力で10秒間加圧した後にクリーンワイパーFF−390c〔(株)クラレ製〕でワイプを行なった後、さらに5分間吐出を継続し、5分経過した後に前記記録媒体(画彩写真仕上げPro)上にベタ記録及び細線記録して得られた画像(5cm×5cm)を観察した。そして、観察した画像を下記の評価基準にしたがって目視により評価した。
<評価基準>
A:白抜けの発生等によるドット欠けの発生が認められず、良好な画像が得られた。
B:白抜けの発生等によるドット欠けなどの画像故障が僅かに認められたが、実用上支障を来さない程度であった。
C:白抜けの発生等によるドット欠けなどの画像故障が多く認められた。
(3.塩化ビニル樹脂シートへの密着性)
前記「2.吐出回復性」の評価と同様に、インクジェット記録装置として、600dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを備えたインクジェット装置を用意し、これに得られた油性インクYI−1を装填して、ポリ塩化ビニルフィルム(ビューカル900:リンテック社製)に記録を行なった。その記録面(記録画像)に対して、ラビングテスター(テスター産業(株)製、型式AB301)を用い、試験用布片(金巾3号)にて加重200g、50往復の条件で擦過試験を行ない、下記の評価基準にしたがって目視によりインキの剥がれの有無を評価した。評価結果は表1に示す。
<評価基準>
A:インクの剥がれは認められなかった。
B:僅かにインクの剥がれが認められたが、実用上支障を来さない程度であった。
C:インクの剥がれが目立ち、実用上支障を来す程度であった。
(4.普通紙の耐水性)
前記「2.吐出回復性」の評価と同様に、インクジェット記録装置として、600dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを備えたインクジェット装置を用意し、これに得られた油性インクYI−1を装填して、富士フイルム社製の「画彩 写真仕上げPro」に細線を記録した後、40℃のイオン交換水中に24時間浸漬した。浸漬後、細線の滲みの有無を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は下記表1に示す。
<評価基準>
A:滲みは認められなかった。
B:僅かに滲みが認められたが、実用上支障を来さない程度であった。
C:滲みが認められた。
(コックリング)
前記「2.吐出回復性」の評価と同様に、インクジェット記録装置として、600dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを備えたインクジェット装置を用意し、これに得られた油性インクYI−1を装填して、富士フイルム社製の「画彩 写真仕上げPro」にベタ記録を行なった。乾燥後、ベタ画像部のコックリング(波打ち)の有無を目視により観察した。観察した画像を下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は下記表1に示す。
<評価基準>
A:コックリング(波打ち)の発生は認められなかった。
B:コックリング(波打ち)の発生が僅かに認められたが、実用上支障を来さない程度であった。
C:コックリング(波打ち)の発生が目立ち、実用上支障を来す程度であった。
(実施例2)
実施例1において、顔料を例示化合物(Pig.−1)から既述の例示化合物(Pig.−18;一般式(1)で表される化合物)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、油性インクを調製し、評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、顔料を例示化合物(Pig.−1)から既述の例示化合物(Pig.−47;一般式(1)で表される化合物)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、油性インクを調製し、評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、「イエロー顔料分散体YP−1の組成」中の分散溶媒であるジエチレングリコールジエチルエーテル(引火点71℃、沸点189℃)をトリエチレングリコールジエチルエーテル(引火点111℃、沸点216℃)に代えてイエロー顔料分散体YP−4を調製し、得られたイエロー顔料分散体YP−4を用い、下記組成の油性インクYI−4を調製すると共に、油性インクYI−1を油性インクYI−4に代えたこと以外は、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
<油性インクYI−4の組成>
・イエロー顔料分散体YP−4 ・・・25.0部
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・18.0部
(引火点74℃、沸点190℃)
・トリエチレングリコールジエチルエーテル ・・・30.5部
(引火点111℃、沸点216℃)
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル ・・・6.5部
(引火点138℃、沸点249℃)
・γ−バレロラクトン(ラクトン系溶剤) ・・・15.0部
(引火点81℃、沸点205−208℃)
・Elvacite 2013(樹脂) ・・・5.0部
(デュポン社製、メチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体)
(実施例5)
実施例1において、「イエロー顔料分散体YP−1の組成」の分散溶媒であるジエチレングリコールジエチルエーテル(引火点71℃、沸点189℃)をトリプロピレングリコールジメチルエーテル(引火点104℃、沸点215℃)に代えてイエロー顔料分散体YP−5を調製し、得られたイエロー顔料分散体YP−5を用い、下記組成の油性インクYI−5を調製すると共に、油性インクYI−1を油性インクYI−5に代えたこと以外は、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
<油性インクYI−5の組成>
・イエロー顔料分散体YP−5 ・・・25.0部
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・18.0部
(引火点74℃、沸点190℃)
・トリプロピレングリコールジメチルエーテル ・・・30.5部
(引火点104℃、沸点215℃)
・クエン酸トリエチル ・・・6.5部
(引火点151℃、沸点294℃)
・ε−カプロラクタン(ラクトン系溶剤) ・・・15.0部
・Elvacite 2013(樹脂) ・・・5.0部
(デュポン社製、メチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体)
(実施例6)
実施例1において、「イエロー顔料分散体YP−1の組成」の分散溶媒であるジエチレングリコールジエチルエーテル(引火点71℃、沸点189℃)をエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル(引火点83℃、沸点192℃)に代えてイエロー顔料分散体YP−6を調製し、得られたイエロー顔料分散体YP−6を用い、下記組成の油性インクYI−6を調製すると共に、油性インクYI−1を油性インクYI−6に代えたこと以外は、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
<油性インクYI−6の組成>
・イエロー顔料分散体YP−6 ・・・25.0部
・エチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル ・・・60.0部
(引火点83℃、沸点192℃)
・スーパゾルFP30(炭化水素系溶剤) ・・・10.0部
(出光興産社製、ノンアロマパラフィン系溶剤)
・Elvacite 2013(樹脂) ・・・5.0部
(デュポン社製、メチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体)
(実施例7)
実施例1において、油性インクYI−1を下記の油性インクYI−7に代えたこと以外は、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。なお、油性インクYI−7は、下記組成の諸成分を混合して調製した。
<油性インクYI−7の組成>
・前記イエロー顔料分散体YP−1 ・・・25.0部
・ジエチレングリコールジエチルエーテル・・・34.0部
(引火点71℃、沸点189℃)
・プロピレンカーボネート(炭化水素系溶剤) ・・・36.0部
(引火点132℃、沸点242℃)
・Elvacite 2013(樹脂) ・・・5.0部
(デュポン社製、メチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体)
(実施例8)
実施例1において、「イエロー顔料分散体YP−1の組成」の分散溶媒であるジエチレングリコールジエチルエーテル(引火点71℃、沸点189℃)をプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル(引火点46.5℃、沸点146℃)に代えてイエロー顔料分散体YP−8を調製し、得られたイエロー顔料分散体YP−8を用い、下記組成の油性インクYI−8を調製すると共に、油性インクYI−1を油性インクYI−8に代えたこと以外は、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
<油性インクYI−8の組成>
・イエロー顔料分散体YP−8 ・・・25.0部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル ・・・60.0部
(引火点46.5℃、沸点146℃)
・スーパゾルFP30(炭化水素系溶剤) ・・・10.0部
(出光興産社製、ノンアロマパラフィン系溶剤)
・Elvacite 2013(樹脂) ・・・5.0部
(デュポン社製、メチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体)
(実施例9)
実施例1において、油性インクYI−1を下記の油性インクYI−9に代えたこと以外は、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。なお、油性インクYI−9は、下記組成の諸成分を混合して調製した。
<油性インクYI−9の組成>
・前記イエロー顔料分散体YP−1 ・・・25.0部
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・21.8部
(引火点74℃、沸点190℃)
・ジエチレングリコールジエチルエーテル ・・・40.4部
(引火点71℃、沸点189℃)
・テトラエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・7.8部
(引火点143℃、沸点278℃)
・Elvacite 2013(樹脂) ・・・5.0部
(デュポン社製、メチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体)
(実施例10)
実施例1において、顔料を例示化合物(Pig.−1)から既述の例示化合物(Pig.−5;一般式(1)で表される化合物)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、油性インクを調製し、評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
(実施例11)
実施例1において、顔料を例示化合物(Pig.−1)から既述の例示化合物(Pig.−19;一般式(1)で表される化合物)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、油性インクを調製し、評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、顔料を例示化合物(Pig.−1)からYELLOW PIGMENT E4GN(バイエル社製、ニッケル錯体アゾ顔料)に代え、ソルスパーズ32000をソルスパーズ17000(ルブリソール社製)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、油性インクを調製し、評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、油性インクYI−1を下記の油性インクYI−11に代えたこと以外は、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。なお、油性インクYI−11は、下記組成の諸成分を混合して調製した。
<油性インクYI−11の組成>
・前記イエロー顔料分散体YP−1 ・・・25.0部
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・19.3部
(引火点74℃、沸点190℃)
・ジエチレングリコールジエチルエーテル ・・・33.8部
(引火点71℃、沸点189℃)
・テトラエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・6.9部
(引火点143℃、沸点278℃)
・γ−ブチロラクトン(ラクトン系溶剤) ・・・15.0部
(引火点98℃、沸点203℃)
(比較例3)
実施例1において、油性インクYI−1を、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM−4000専用のイエローインク(水性顔料インク)に代え、実施例1と同様にして評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
前記表1に示すように、実施例では、粒子径の小さい 分散安定性の高い顔料分散体が得られ、これを用いて調製した油性インクは、安定性に優れており、良好な吐出性を保つことができた。また、ポリ塩化ビニル樹脂への記録が行なえ、このときの画像の密着性も良好であり、普通紙を用いた場合には、画像の耐水性が良好でコックリングの発生も抑えられた。これに対し、比較例1では、顔料分散体とした際の分散性及びその安定性が悪く、油性インクとしたときのインク安定性、吐出性に劣っていた。また、比較例2では塩化ビニルに対する記録適性が悪く、水性顔料インクを用いた比較例3では、ポリ塩化ビニル樹脂への記録は難しく、普通紙を用いた場合には画像の耐水性、コックリングの点で劣っていた。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されるアゾ顔料、分子内にポリエステル鎖を有する高分子分散剤、分子内にポリエステル鎖を有さず、かつアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する樹脂、及び有機溶媒を少なくとも含むインクジェット記録用油性インク。



    〔一般式(1)中、Zは5〜8員の含窒素ヘテロ環に由来する2価の基を表し、Y、Y、R11、及びR12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、G及びGは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、W及びWは、それぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。〕
  2. 前記一般式(1)中のW、Wが、それぞれ独立に、総炭素数3以下のアルコキシ基、アミノ基、又は総炭素数3以下のアルキルアミノ基であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用油性インク。
  3. 前記一般式(1)中のG、Gが、それぞれ独立に、総炭素数3以下のアルキル基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用油性インク。
  4. 前記一般式(1)中のZが、6員の含窒素ヘテロ環であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク。
  5. 前記有機溶媒の少なくとも1種が、下記一般式(α)で表されるポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク。
    21−(OC−OR22 ・・・一般式(α)
    〔一般式(α)中、R21、R22は、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよく、nは2〜4の整数を表す。〕
  6. 前記有機溶媒の少なくとも1種が、下記一般式(β)で表されるポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテル、下記一般式(γ)で表されるポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びクエン酸トリエチルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク。
    31−(OC−OH ・・・一般式(β)
    〔式中、R31は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは3〜6の整数を表す。〕
    41−(OC−OH ・・・一般式(γ)
    〔式中、R41は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3の整数を表す。〕
  7. 前記有機溶媒の少なくとも1種が、炭化水素系溶剤及びラクトン系溶剤の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク。
  8. 前記分子内にポリエステル鎖を有さず、かつアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する樹脂が、(メタ)アクリル樹脂であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用油性インク。
  9. 前記(メタ)アクリル樹脂が、メチルメタクリレートの単独重合体もしくはメチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの共重合体であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録用油性インク。
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