JP5310573B2 - カレンダー表示装置、および時計 - Google Patents
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Description
図7において、一位日車910は、例えばモーターなどの駆動源から伝達される駆動トルクにより駆動される一位歯車911と、十位日車に駆動力を伝達させるための十位駆動歯車912とを備えている。そして、十位日車は、十位歯車913を備え、この十位歯車913は、十位駆動歯車912から駆動力が伝達されることで回転する。
このような時計では、表示される日付の位置ずれを防止するために、一位日車910および十位歯車913は、それぞれ一位ジャンパー(図示略)、および十位ジャンパー914により位置決めされている。したがって、駆動源から一位日車910に伝達する駆動トルクとしては、これらの2つのジャンパーのばね力の和以上の大きな駆動トルクが必要となってしまう。
ここで、駆動源の駆動トルクを低減させる方法として、十位ジャンパー914のばね力を弱めることも考えられるが、この場合、十位ジャンパー914のばね力が十位歯車913にかかる運動エネルギー(以降、十位運動エネルギーと称す)よりも小さくなると、本来図7中Aの位置に十位ジャンパーを係合させて位置決めしたい場合でも、十位歯車913の慣性により十位歯車913の歯が十位ジャンパー914を押し出し、回転してしまう。そして、この慣性による十位歯車913の回転により、図7に示すように、十位ジャンパー914が十位歯車913の歯の先端部を押さえる状態で静止してしまうと、十位歯車913が0.5ステップ分進んだ状態となり、日付がずれて表示されてしまうという問題がある。また、十位運動エネルギーがさらに大きくなると、十位ジャンパー914が図7中Bで示される位置に係合する場合もあり、この場合、誤った日付が表示されてしまう。
すなわち、本発明では、十位歯車に係る十位運動エネルギーを、移動規制部および十位ジャンパーの双方に分散させることができ、移動規制部で十位運動エネルギーを減退させた後、十位ジャンパーで十位歯車を所定位置に位置決めすることができる。このため、移動規制部が設けられていない構成に比べて、十位ジャンパーのばね力を小さくすることができ、これに伴い、十位日車を駆動させるために必要な十位トルクも小さくすることができる。したがって、一位日車および十位日車の双方を回転させるためのトータルの駆動トルクも小さくすることができる。
また、十位日車が慣性力により回転した場合でも、上記のように移動規制部によりその回転が阻害されるため、十位日車がオーバーランすることがない。そして、移動規制部で移動が規制された十位日車は、十位ジャンパーのばね力により、所定位置に戻され、位置決めされる。したがって、十位日車を所望の位置に精度よく位置決めすることができる。
本発明では、一日に一度だけ一位日車を所定角度回転させるための駆動トルクが一位日車に伝達され、この駆動トルクにより一位日車および十位日車が回転され、日付が表示される。この場合、駆動トルクとしては、予め設定された一定の駆動トルクであるため、この駆動トルクに応じたばね力の十位ジャンパーを設けることで、十位日車の慣性によるオーバーランを回避することができるとともに、上述のように、その駆動トルクをも低減することができる。
しかしながら、十位歯車が移動規制部に当接する前に、一位日車が回転してしまうと、十位運動エネルギーを移動規制部により分散させることができず、十位ジャンパーのばね力のみで十位運動エネルギーを受ける必要がある。すなわち、通常、一位日車にも日付の一位数字を所定位置に合わせるための一位ジャンパーが設けられているが、このような一位ジャンパーが設けられていても、りゅうずの回転速度が速い場合では、一位日車がオーバーランする傾向にある。したがって、一位日車がオーバーランしてしまった場合、十位歯車が移動規制部に当接できない不都合が生じる。このため、十位ジャンパーのばね力が弱い場合、十位日車もオーバーランしてしまうという問題が発生する。
これに対して、本発明では、上記のように、カレンダー輪列を減速輪列とするため、りゅうずの回転力が減速されて一位日車に伝達される。したがって、一位日車の回転速度を遅くすることができ、これにより、十位日車にかかる運動エネルギーも低減され、かつ、十位歯車が移動規制部に当接せず、オーバーランしてしまう不都合をも防止することができる。
この発明では、一位日車および十位駆動歯車が合成樹脂により一体成形されているため、製造時に、1つの金型により一位日車および十位駆動歯車を同時に形成することができる。また、一位日車と十位駆動歯車が別体として設けられている場合、表示される日付の一位数字と十位数字との表示位置を合わせるために、一位日車の回転角度に対して十位日車の回転角度がずれないように、精度よく一位日車に十位駆動歯車を連結させる必要がある。この時、一位日車および十位駆動歯車には、それぞれ製造誤差が生じ、これらの製造誤差を考慮して、一位日付と十位日付の表示がずれないように、一位日車と十位駆動歯車を連結させる必要があり、製造工程が煩雑になる。これに対して、一位日車と十位駆動歯車とを一体成形により形成する場合、精度よく金型を製造することで、上記のように、一位日車と十位駆動歯車を連結させる連結工程が不要となり、製造構成を簡略化することができる。また、連結工程における誤差などもないため、表示される日付の一位数字と十位数字との表示位置を精度よく合わせることができる。
このような構成では、移動規制部が単独で形成される形状に比べて、一位日車を形成するための金型の形状を簡単にできる。
また、移動規制部と突出部とが一体に形成される構成では、移動規制部のみが単独で形成される場合に比べて、強度を強くすることができる。特に、本発明のように一位日車が合成樹脂で形成される場合、金属により移動規制部を形成した場合に比べて、強度が弱くなる。したがって、移動規制部が単独で形成される場合、十位歯車の歯が移動規制部に衝突した際に破損してしまったり、移動規制部が撓み、十位歯車の歯が移動規制部上に乗り上げ、メカロックを起こしたりするおそれがある。これに対して、上記のように、移動規制部と突出部とを一体的に形成することで、移動規制部の強度を強くでき、破損や撓みによるメカロックを防止することができる。
この発明では、上記のように、カレンダー表示装置において、十位日車のずれを効果的に防止することができ、かつ、低駆動トルクで駆動させることができる。したがって、このようなカレンダー表示装置を搭載した時計においても、日付の一位数字と十位数字とのずれがない高品質な製品を提供することができるとともに、時計の省電力化を図ることができる。
また、特に腕時計などの小型時計においては、限られた電力で時刻表示手段による時刻表示、およびカレンダー表示装置による日付表示を行う必要がある。このような時計においても、本発明では、上記のように、十位ジャンパーのばね力を大きくする必要がなく、十位日車を駆動させるための駆動トルクを低減させることができるため、効果的に時計の省電力化を図ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る時計全体を示す概略平面図である。
図2は、この時計のカレンダー表示装置の概略を示す平面図である。
図3は、図2において、さらに十位日車の十位日板を取り外した状態を示すカレンダー表示装置の斜視図である。
図1において、時計1は、風防ガラス12を有する外装ケース11と、風防ガラス12から視認可能な文字板13と、外装ケース11に収納されるムーブメント100(図2参照)とを備えている。
文字板13は、円盤状に形成されるとともに、外周縁に沿って、時分表示目盛14が所定間隔で配置されている。また、文字板13には、時計の12時方向に、日付を表示する日付表示窓15が設けられている。この日付表示窓15は、日付の一の位を表示させる一位日付表示孔16と、日付の十の位を表示させる十位日付表示孔17とを備えている。これらの一位日付表示孔16および十位日付表示孔17は、例えば平面視略長方形状に形成されており、これらの表示孔16,17の長辺方向が平行で、かつそれぞれの短辺が一直線上に位置するように、配設されている。このような日付表示窓15では、一位日付表示孔16および十位日付表示孔17の中央部に数字を配置することで、十位数字と一位数字とが横方向に整列した良好な外観のカレンダー表示を行うことができる。
また、本実施形態の時計1は、いわゆるクロノグラフ時計であり、3時方向、6時方向、9時方向に、例えばストップウォッチ、24時表示部、温度計測部、湿度計測部、高度計測部、秒表示部など、各種情報を表示可能な表示部が設けられている。また、時計1には、1/5秒クロノグラフ秒針20が設けられ、1/5秒クロノグラフ表示に用いられる。
指針駆動軸101は、図示は省略するが、時針駆動軸および分針駆動軸を有しており、これらの時針駆動軸および分針駆動軸は、文字板13と風防ガラス12との間で、本発明の時刻表示手段である時針18および分針19を保持している。そして、これら時針駆動軸および分針駆動軸は、指針駆動機構からの駆動力が伝達されることにより回転駆動され、時針18、および分針19を所定の駆動間隔で駆動させる。
また、図2に示すように、時針駆動軸は、本発明の一位日付駆動機構の一部を構成する日回し車103に駆動力を伝達する筒車102を備えている。なお、本実施の形態では、時針駆動軸および筒車102は、12時間で1回転、1日で2回転する。また、日回し車103は、筒車102に対して1/2のギア比に形成され、1日で1回転する。
次に、ムーブメント100に組み込まれる日付表示機構200について説明する。
日付表示機構200は、図2および図3に示すように、一位日車210と、本発明の一位日付駆動機構を構成する日回し車103と、本発明の一位日付駆動機構を構成する一位ジャンパー220と、十位日車230と、本発明の十位日付駆動機構の一部を構成する十位ジャンパー240と、を備えている。
一位日車210は、図2および図3に示すように、ムーブメント100の外周縁に沿う円環状に形成されている。この一位日車210は、文字板13に対向する円環板状の一位日板211と、一位日板211の内周面に形成される十位駆動歯車212および一位歯車213とを備えている。ここで、十位駆動歯車212は、一位日板211の内周面における文字板13側に形成され、一位歯車213は、一位日板211の内周面における裏蓋側に形成されている。そして、これらの一位日板211、十位駆動歯車212、および一位歯車213は、合成樹脂により一体形成されている。
これらの一位目盛214には、図2に示すように、時計回り方向に沿って順に、「1」から「9」までの上旬目盛214A、続いて「0」から「9」までの中旬目盛214B、続いて「0」から「9」までの下旬目盛214C、続いて数字が表示されていない2つの非表示目盛214Dが連続して配置されている。
十位駆動歯212Aは、それぞれ、一位日板211の内周面における、上旬目盛214Aの「1」と「2」との間、中旬目盛214Bの「0」と「1」との間、下旬目盛214Cの「0」と「1」との間、非表示目盛214Dの目盛非表示領域の中間位置、および非表示目盛214Dと上旬目盛214Aの「1」との間に対応する位置に設けられている。
十位駆動歯車212の十位駆動歯212Aは、図4に示すように、一位日板211の内周縁から山形状に突出形成されている。そして、十位駆動歯車212は、正回転方向(反時計回り方向)に回転した際、十位駆動歯212Aの正回転方向側の辺である第一側部212Bが、後述する十位日車230の十位歯車232を押し出すことで、十位日車230を回転させる。
具体的には、移動規制部215は、十位駆動歯212Aの第二側部212Cに連続する段差辺215Aと、段差辺215Aの端部および一位日板211の内周縁を結ぶ傾斜辺215Bとを備える形状に形成されており、段差辺215Aが一位日板の内周縁と略平行する形状に形成されている。そして、一位日板211の内周縁から段差辺215Aまでの寸法が、上述のように、十位駆動歯212Aの突出寸法よりも小さく、かつ傾斜辺215Bが十位歯車232の歯に当接可能な寸法に形成されている。
具体的には、一位歯車213は、日回し車103に形成される後述する日車駆動歯104が、一位駆動歯213Aのうちいずれか1つに係合して回転駆動することにより、この一位駆動歯213Aが押し出されて、反時計回り方向に一つの一位駆動歯213Aの間隔分だけ回転駆動する。これにより、一位日車210も反時計回りに回動し、一位日付表示孔16から表示される一位目盛が隣り合う次の一位目盛に切り替わる。
また、一位歯車213は、後述する修正機構300の第四カレンダー修正車324が、一位駆動歯213Aのうちいずれかに係合して回転駆動することで、一位駆動歯213Aが押し出されて反時計回り方向に回転駆動する。
日回し車103は、地板から突出する軸に回転可能に保持されている。この日回し車103は、時針駆動軸の筒車102に噛合し、この筒車102から駆動力が伝達されて回転駆動される。ここで、日回し車103は、筒車102に対して1/2のギア比に設定されており、筒車102が2回転する間に、この日回し車103は、1回転する。すなわち、日回し車103は、24時間で1回転する。
さらに、日回し車103には、日車駆動歯104と、この日車駆動歯104の反時計回り方向で隣り合う歯との間から、日回し車103の外周縁に沿って時計回り方向に円弧状となる切欠部105が形成されている。これにより、切欠部105の径外側部分の日車駆動歯104が設けられる1片部が弾性を有する。
したがって、例えば後述する修正機構300を用いて日付を手動にて修正する際、一位日車210が回転すると、一位駆動歯213Aが日車駆動歯104に当接するが、日車駆動歯104が径内側に撓むことで、一位日車210の回転力が時針駆動軸にまで伝達せず、日付のみの修正が可能となる。
また、修正機構300を用いて時刻のみを修正する場合、特に、時分針を逆回転させて時刻のみを修正させたい場合、時分針の逆転に伴って日付までも修正されると、再び日付を元に戻す作業が発生し煩雑となる。これに対して、切欠部105を設け、日車駆動歯104に弾性を持たせることで、日回し車103が時計周り方向に回転して日車駆動歯104が一位駆動歯213Aに当接すると、日車駆動歯104が内径側に撓み、一位歯車213が回転されないため、時刻のみを修正することが可能となる。
具体的には、一位係合部221は、一位歯車213の一位駆動歯213Aに向かって山型に突出し、頂点221Aが一位駆動歯213A間に入り込み、頂点221Aを挟む2辺221B,221Cが一位駆動歯213Aに当接することで一位歯車213に係合し、一位日車210を位置決めする。一位日車210に駆動トルクが伝えられて正回転(反時計回り方向への回転)する際には、一位駆動歯213Aが一位係合部221の辺221Bを押すことで一位ジャンパー220が一位歯車213から離れる方向に撓む。そして、駆動トルクがなくなると、一位ジャンパー220のばね力により、一位係合部221の2辺221B,221Cが一位駆動歯213Aを押し込む。これにより、一位日車210が回転した際の一位日車210の位置ずれが修正され、かつこの位置ずれが修正された位置で一位日車210が位置決めされる。
また、時針駆動軸から伝達される駆動トルクによりカレンダーの日付が更新される場合、一位駆動歯213Aが一位係合部221の頂点221Aを乗り越えるタイミングは、指針駆動機構により時分針18,19が0時0分の指針位置に移動されるタイミングと一致するように適宜位置が調整されている。
十位日車230は、略五角形状の板部材である十位日板231と、十位駆動歯車212に係合可能な十位歯車232と、を備えている。
十位日板231は、図2に示すように、文字板13に対向する面に、日付の十位の数字、および月末日(「30日」および「31日」)の一位の数字を示す十位目盛233が配置されている。
具体的には、十位日車230には、5個の十位目盛233が均等に配置されている。この十位目盛233は、通常十位目盛233Aと、月末十位目盛233Bとを備えている。
通常十位目盛233Aは、十位日付表示孔17に対向する領域に「0」、「1」、「2」のいずれかが配置され、一位日付表示孔16に対向する領域に一位表示孔233Cが形成される目盛である。一方、月末十位目盛233Bは、十位日付表示孔17に対向する領域に「3」が配置され、一位日付表示孔16に対向する領域に「0」または「1」が配置される目盛である。そして、十位日車230には、時計回り方向に沿って、通常十位目盛233A、月末十位目盛233Bの順に十位目盛233が配置され、さらに通常十位目盛233Aは、時計回り方向に沿って十位の数字が「0」、「1」、「2」となるように、月末十位目盛233Bは、時計回り方向に沿って一位の数字が「0」、「1」となるように配置されている。
また、5つの係合歯234は、周方向に均等に配置され、これらの係合歯234は、それぞれ、一位日車210の十位駆動歯212Aに係合可能に設けられている。そして、一位日車210の回動により十位駆動歯212Aが係合歯234に噛合することにより十位歯車232が回転駆動し、これにより十位日板231も回転される。
同様にして、一位日車210における非表示目盛214Dと上旬目盛214Aの「1」との間に設けられる十位駆動歯212Aにより、十位歯車232が回動されるタイミングでは、十位日板231の一位が「1」であり、十位が「3」である月末十位目盛233Bが日付表示窓15に対向する位置に移動する。したがって、日付表示窓15の十位日付表示孔17に「3」が表示され、一位日付表示孔16に「1」が表示される。
また、十位歯車232の係合歯234の先端部は、略平面状に形成されており、後述する十位ジャンパー240の切り替えタイミングを調整している。
T=I・α(g・cm) …(1)
α=dθ/dt2
ここで、十位ジャンパー240のばね力としては、駆動トルクよりも小さく設定されているため、一位日車210の十位駆動歯車212から十位歯車232に駆動力が伝達されると、十位歯車232の係合歯234は、十位ジャンパー240を係合歯234から離れる方向に撓ませて、反時計回り方向(正回転方向)に回転する。日付を駆動モーターの駆動トルクにより回転させる場合では、一位日車210の回転速度が遅いため、十位日車230が1ステップ分駆動された後、慣性によりさらに回転することはなく、十位ジャンパー240は、ばね力により十位歯車232の中心軸に向かって撓む。これにより、日付表示窓15に対向する位置で、一位日車210の一位目盛214と平行となる適切な位置に十位目盛233が表示される。
次に、修正機構300の構成について説明する。
図5は、りゅうずが1段階引き出された状態で、りゅうずに正回転方向の回転力が加えられた際の修正機構の拡大平面図である。
図6は、りゅうずが1段階引き出された状態で、りゅうずに逆回転方向の回転力が加えられた際の修正機構の拡大平面図である。
修正機構300は、りゅうず310と、第一〜第三カレンダー修正車321,322,323と、一位歯車213に係合される第四カレンダー修正車324と、図示しない時刻修正輪列とを備えている。ここで、第一〜第三カレンダー修正車321,322,323、第四カレンダー修正車324により、本発明のカレンダー修正輪列320が構成される。また、りゅうず310、カレンダー修正輪列320は、本発明の一位日付駆動機構の1つを構成する。
この巻真311には、図2、図5、図6に示すように、日修正車312が設けられており、りゅうず310が1段階引き出された際、この日修正車312が第一カレンダー修正車321に係合し、りゅうず310の回転力を第一カレンダー修正車321に伝達可能となる。具体的には、図示は省略するが、りゅうず310が1段階引き出されると、巻真311近傍に設けられる図示しないオシドリ、カンヌキなどの切替手段により、日修正車312が第一カレンダー修正車321に付勢されて、第一カレンダー修正車321に係合する。
また、第四カレンダー修正車324は、図3に示すように、時計厚み方向に沿って2段の歯車構成となる。具体的には、第四カレンダー修正車324は、裏蓋側に設けられるカレンダー修正伝え車324Aと、文字板13側に設けられる一位修正車324Bとが一体形成されている。ここで、一位修正車324Bの歯数は、カレンダー修正伝え車324Aの歯数に対して少なく形成されており、例えば本実施形態では、カレンダー修正伝え車324Aの歯数が15であるのに対し、一位修正車324Bの歯数が3となっている。したがって、この第四カレンダー修正車が1回転することで、一位日板211は3ステップだけ移動され、日付表示窓15から表示される日付が3日分修正される。
利用者の操作により、りゅうず310が回転され、一位日車210が回転する場合、駆動モーターにより伝達される一位日車210が回転する場合に比べて、速い回転速度で一位日車210が回転される場合がある。
りゅうず310の回転力がカレンダー修正輪列320を介して一位日車210に伝達されると、一位日車210が正回転方向(反時計周り方向)に回転する。そして、一位日車210の十位駆動歯車212から十位歯車232に駆動力が伝達されると、十位歯車232の係合歯234は、十位ジャンパー240を係合歯234から離れる方向に撓ませて、正回転方向に回転する。
この時、利用者により、りゅうず310が高速に回転されると、十位日車230は、図4の実線で示されるように、十位日車230の慣性力により十位ジャンパー240を押してさらに回転し、係合歯234が十位駆動歯車212の移動規制部215に当接する。これにより、十位日車230の十位運動エネルギーが移動規制部215に分散される。そして、十位ジャンパー240のばね力が十位運動エネルギーよりも大きくなると、十位ジャンパー240は、十位歯車232の中心軸に向かって撓む。これにより、十位係合部241の2辺241B,241Cが係合歯234を押し込み、図4の破線にて示されるように、係合歯234が移動規制部215に当接する状態から、十位ジャンパー240により規定される所定位置まで時計回り方向に戻され、位置ずれが修正される。
本実施形態の時計1は、十位歯車の係合歯234が一位日車210の十位駆動歯車212の移動規制部215に当接することで、十位歯車232の十位運動エネルギーを分散させ、十位ジャンパー240により確実に所望の位置に十位日車230を位置決めするものであるが、上記のように一位日車210が高速で回転する場合、係合歯234が移動規制部215に当接する前に一位日板211が回転してしまい、十位日車230の十位運動エネルギーを分散できなくなるおそれがある。また、一位歯車213が高速回転されると、十位歯車も高速回転し、十位運動エネルギーも増大する。したがって、十位運動エネルギーが十位ジャンパー240のばね力を超え、十位歯車232がオーバーランしてしまう場合がある。
一方、減速比を大きくしすぎると、りゅうず310の操作による日付修正の操作感を損ねる場合がある。
以上のことを考慮して、本実施形態では、上述のように、りゅうず310が1周回した際に、日付が1日動く量に減速比が設定されている。
このような構成とすることで、日付表示窓15から表示される日付を増大させる正回転方向に、一位日車210および十位日車230を回転させると、図5に示すように、第三カレンダー修正車323が時計回り方向(矢印D1)に回転し、第四カレンダー修正軸324Cは、この回転力により、一位歯車213に近接する方向(矢印D2)に揺動する。これにより、第四カレンダー修正車324の一位修正車324Bが一位歯車213に係合する。
なお、りゅうず310が2段階引き出された状態および引き出されない状態では、例えばカンヌキ、オシドリなどの部材により、第四カレンダー修正軸324Cが一位歯車213から離隔する方向に揺動される構成としてもよい。このような構成とすることで、時計の通常駆動時において、時針駆動軸から、筒車102、日回し車103、および一位日車210を介してカレンダー修正輪列320に駆動力が伝達されることがなく、モーターの駆動トルクをより低減させることができ、省電力化を図れる。
上述したように、上記実施形態の時計1では、日付の一位を表示するための一位日車210に十位駆動歯車212が設けられ、この十位駆動歯車212から日付の十位を表示するための十位日車230と一体的に形成される十位歯車232に駆動力が伝達される。そして、十位駆動歯車212の十位駆動歯212Aには、反時計周り方向側の第二側部212Cに隣接して移動規制部215が設けられ、十位歯車232の係合歯234は、この移動規制部215に当接することで十位運動エネルギーを分散させ、かつ十位ジャンパーのばね力により所定位置に位置決めされる。すなわち、移動規制部215および十位ジャンパー240の双方に負荷を分散させることで、十位歯車232のオーバーランが防止されている。
このため、十位日車230を位置決めする際に、十位ジャンパー240のみにより十位歯車232を押さえる構成に比べて、十位ジャンパー240のばね力を小さくすることができる。また、一位日車210および十位日車230を駆動させて日付を変更する際には、駆動モーターの駆動トルクとして、十位ジャンパー240および一位ジャンパー220の双方のばね力の和以上の駆動トルクが必要となるが、上記のように、十位ジャンパー240のばね力を小さくできるため、駆動モーターの駆動トルクとしても小さくすることができ、時計1の省電力化を図ることができる。また、移動規制部215および十位ジャンパー240の双方に、十位歯車232のトルクを分散させて十位日車230を位置決めすることで、十位日車230を所望の位置に正確に位置決めすることができる。したがって、日付表示窓15において、十位日付の表示ずれを防止することができ、精度の高い日付表示を実施することができる。
このため、利用者により、りゅうず310が高速に回転された場合であっても、一位日車210の回転速度を遅くすることができ、一位日車210のオーバーランによって、十位歯車232の係合歯234が移動規制部215に当接せずにオーバーランしてしまう不都合を回避することができる。
したがって、カレンダー修正輪列320の減速比としては、りゅうず3101回転につき、日付が1〜2日変動する程度が好ましく、本実施形態では、りゅうず310を1回転させると、一位日車210が1日(1ステップ)分回転するように減速比が設定されている。このため、りゅうず310の操作感を損なうことなく、りゅうず310の回転による一位日車210および十位日車230のオーバーランを効果的に防止することができる。
合成樹脂により一位日車210を形成することで、一位日車210を安価に製造することができ、時計1の製造コストを低減させることができる。
また、一位日板211、一位歯車213、および十位駆動歯車212を別体として設け、これらを固定する構成とした場合、一位歯車213と十位駆動歯車212との送りタイミングを精度よく合わせる必要があり、各部品の精度も要求される。これに対して、本実施形態では、例えば、予め精度よく成形された金型を用いて射出成形により一位日車210を製造する。このような場合、製造された一位日車210の部品精度にばらつきがなく、一位歯車213と十位駆動歯車212との送りタイミングを合わせる作業等も不要となる。したがって、このような送りタイミングの設定誤差や、各部品の製造誤差による日付表示ずれを防止することができ、精度の高い日付表示を行うことができる。
したがって、移動規制部215および突出部213Bが一体となり、厚み寸法も増大するため、移動規制部215が単独で形成される場合に比べて、強度を強くすることができ、十位歯車232の係合歯234が強く移動規制部215に衝突した場合でも破損しない。また、移動規制部215が単独に形成される場合、係合歯234の衝突により移動規制部215が厚み方向に撓み、係合歯234をロックしてしまうおそれがあるが、突出部213Bと移動規制部215とが一体に形成される構成では、このような撓みを防止することができ、十位歯車232がロックされる不都合をも回避できる。また、突出部213Bが設けられない構成に比べて、一位日車210を形成するための金型の形状を簡単にすることができ、製造プロセス上でも有利となる。
ここで、本実施形態の時計1では、一位日車210および十位日車230は、正回転方向(反時計回り方向)のみに回転可能に設けられている。具体的には、日回し車103に切欠部105を設けられている。このため、例えば、りゅうず310が2段階引き出されて時刻修正が可能な状態となり、日回し車103が時計回り方向に回転された場合でも、日車駆動歯104が内径側に撓み、一位日車210に駆動力が伝達されない。このような構成とすることで、時分針を逆回転させた際に日付まで修正されてしまう不都合が防止され、時刻修正時の操作感を良好にすることができる。
一方、カレンダー修正輪列320の第四カレンダー修正車324は、第四カレンダー修正軸324Cが揺動可能に設けられ、りゅうず310に一位歯車213を逆回転(時計回り方向)させる回転が加わった場合、第四カレンダー修正車324が一位歯車213から離れる方向に移動する。これにより、りゅうず310が1段階引き出されて日付修正が可能となる状態で、一位日車の逆回転が防止される。この場合、一位日車210の逆回転による時分針が変動せず、日付のみを修正することが可能となり、操作感を良好にできる。
以上のように、時刻や日付の修正時の操作感を得るために一位日車210および十位日車230が逆回転しないように構成されている。このような構成では、十位歯車232が回転するのは、反時計周り方向のみとなるため、係合歯234が当接する移動規制部215が設けられる位置としては、十位駆動歯212Aの第二側部212Cに設けられていればよく、このような構成にすることで、十位駆動歯212Aの第一側部212Bにも移動規制部215が設けられる場合に比べて、構成を簡単にすることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
Claims (6)
- 日付の一位を示す一位目盛が複数設けられる一位日車と、
駆動源から伝達される駆動力により前記一位日車を回転駆動させる一位日付駆動機構と、
日付の十位を示す十位目盛が複数設けられる十位日車と、
前記一位日車から前記十位日車に駆動力を伝達して、前記十位日車を回転させる十位日付駆動機構と、を備えたカレンダー表示装置であって、
前記十位日車は、前記十位日付駆動機構から駆動力が伝達される十位歯車を備え、
前記十位日付駆動機構は、前記一位日車と連動して駆動され、前記十位歯車に係合可能な十位駆動歯車、および前記十位歯車に向かって付勢されて前記十位日車を所定位置に位置決めする十位ジャンパーを備え、
前記十位駆動歯車は、
前記十位歯車の回転中心に向かって突出するとともに、前記十位歯車に駆動力を伝達する十位駆動歯と、
当該カレンダー表示装置により表示される前記日付の数字が増大する方向を正回転方向とした際、前記十位駆動歯の正回転方向と反対の逆回転方向側に隣接し、前記十位歯車の回転中心に向かって突出するとともに、前記十位駆動歯よりも突出寸法が小さく、前記十位歯車に当接可能な移動規制部と、を有する
ことを特徴とするカレンダー表示装置。 - 請求項1に記載のカレンダー表示装置において、
回転可能に保持されるりゅうずと、
前記りゅうずの回転駆動力を複数の歯車により前記一位日車に伝達するカレンダー修正輪列と、を備え、
前記カレンダー修正輪列は、前記りゅうずの回転速度を減速させて前記一位日車に伝達する減速輪列である
ことを特徴とするカレンダー表示装置。 - 請求項1または請求項2に記載のカレンダー表示装置において、
前記一位日車および前記十位駆動歯車は、合成樹脂により一体成形される
ことを特徴とするカレンダー表示装置。 - 請求項3に記載のカレンダー表示装置において、
前記一位日車は、
円環板状に形成され前記一位目盛が設けられる一位日板と、
前記一位日板の内周縁に沿い、かつ前記一位日板の厚み方向に沿う一方側に形成されるとともに、前記一位日付駆動機構から駆動力が伝達される複数の一位駆動歯が均等間隔に配設される一位歯車と、
前記一位日板の内周縁に沿い、かつ前記一位日板の厚み方向に沿う他方側に形成される前記十位駆動歯車と、
を備えるとともに、これらの前記一位日板、前記十位駆動歯車、および前記一位歯車が合成樹脂により一体成形され、
前記十位駆動歯車の各十位駆動歯は、平面視において、前記一位駆動歯に重なる位置で、かつ、前記一位駆動歯の外周縁より内側に一体に形成される
ことを特徴とするカレンダー表示装置。 - 請求項4に記載のカレンダー表示装置において、
前記一位歯車は、前記移動規制部が設けられる位置に対応して、平面視において、前記移動規制部と略同形状に形成される突出部を備え、
前記移動規制部は、前記突出部と一体に形成される
ことを特徴とするカレンダー表示装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載のカレンダー表示装置と、
時刻を表示する時刻表示手段と、
を具備した時計。
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