JP5309313B2 - ガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合の予測方法 - Google Patents
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Description
使用する目的・用途に合わせた性能を有する樹脂を合成することが可能なことから、日本におけるプラスチックの生産量は、ここ数年間約1400万トンの量で推移している。 平成16年の日本のプラスチック生産量は約1408万トンに達しており、プラスチック別の生産量ではポリエチレン樹脂(以下、「PE」と記載する。)が最も多く、次に、ポリプロピレン樹脂(以下、「PP」と記載する。)、ポリ塩化ビニル樹脂(以下、「PVC」と記載する。)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、「PET」と記載する。)、ABS樹脂の順で続き、プラスチックの中でこれらの樹脂は、生産量が上位を占める汎用性のあるもので、そして、この汎用性のある熱可塑性樹脂はプラスチックの生産量の約90%を占めている。
地域別では、東アジアの生産の伸びが大きく、日本を含むアジアが35.5%と、ヨーロッパ、北米を抜いて最大の生産地域となっており、中国の急速な経済発展に伴って今後もプラスチック生産量は大きな伸びが予想されている。このように、プラスチックの生産量の約90%を占める熱可塑性樹脂の生産量は、今後も伸びることが予想される状況にある。
その一つの解決策とは、熱可塑性樹脂にガラス粉末を大量に配合、例えば、70重量%のガラス粉末を配合させて押出機で混練し押出して成形用ペレットの製造ができ、その組成物で成形される成形体が従来の樹脂成形体の有しない特性を備えるならば、生活を豊かにする新しい製品を提供することができ、そして、熱可塑性樹脂、即ち、石油の使用量を70重量%削減でき、その成形体の焼却で排出される二酸化炭素の排出量を70重量%削減でき、更に、成形体の焼却で残ったガラス粉末を樹脂に含有させて、再度利用するリサイクルが可能になるというものである。
その不可能な理由を説明する前に、最初に、押出機の構造と熱可塑性樹脂に少量のガラス粉末を混ぜて押出機で混練して押出す工程を説明する。
従来から熱可塑性樹脂に充填剤を混ぜて成形用ペレットを得る場合には、混合機で両材料を混ぜて押出機のホッパーに投入して、シリンダー内でヒーターにより溶融した熱可塑性樹脂中に充填剤を混練して、該押出機の先端部に位置するノズルダイから押出して成形用ペレットを得ている。
このように、プラスチック成形技術の分野では、熱可塑性樹脂の物性の向上を目的として、押出機で熱可塑性樹脂に大量のガラス粉末を配合して混練すると流動性が急激に低下するために、大量のガラス粉末を含有する熱可塑性樹脂のペレットを製造することは不可能なことと認識されている。
第一の原因として、上述したように、固相と液相が混合した半溶融状態が発生することが考えられる。
第二の原因として、上述したガラス粉末にシラン化処理を施す方法として、0.1重量%程度のシラン化合物が含まれる水溶液にガラス粉末を30分の間撹拌しながら、浸漬した後に濾過して100℃で乾燥する浸漬法が一般的に行われている。その処理により複数のガラス粉末同士が接触した状態でシラン化合物により被覆され、ガラス粉末が凝集した状態でフィルター処理されて乾燥されることで、シラン化処理されたガラス粉末の中には凝集した状態、いわゆる複粒化した状態のガラス粉末(以下、「凝集ガラス粉末」という。)の存在が考えられる。
更に、第四の原因として、ガラスと熱可塑性樹脂の比熱の差が大きいこと、例えば、ガラスの比熱は0.670J/(kg・K)であるのに対して、PETのそれは1.5J/(kg・K)であり、ある一定温度に上げるのにガラスよりPETの方が2.2倍の熱量を必要とすること、この比熱の差が大きいことが考えられる。
上記した四つの原因が相互に複雑に作用することで、熱可塑性樹脂中に40重量%以上のガラス粉末を配合して混練すると流動性が急激に低下して、ガラス粉末を含有した成形用ペレットが製造できない原因となっていると考えられる。
例えば、「本発明では、ポリカーボネート樹脂組成物の上記ガラスフィラーの含有量は、10質量%以上40質量%未満であることを特徴とし、15〜35質量%であることが好ましい。10質量%未満では成形品の機械物性が不充分であり、また、40質量%を超えると、樹脂とガラスフィラーとの接触面積が増大して成形品の透明性が低下し、また、成形性が低下するので好ましくない。」と特許文献1の段落[0056]に記載されている。
即ち、上記課題を解決するために、請求項1に係る発明のガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合の予測方法は、溶融状態にある熱可塑性樹脂のペレットに大量のガラス粉末を投入して、該ペレットと該ガラス粉末を混練して押出されてなるガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合の予測方法であって、前記熱可塑性樹脂のペレットがポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群から選ばれる一種からなるペレットであり、前記ガラス粉末が球状の形状で中実であり、10〜40μmの平均粒径であり、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランを0.1重量%含む水を噴霧することによりシラン化合物が該ガラス粉末の表面を全面的に被覆しており、該熱可塑性樹脂中にガラス配合率40〜59重量%の範囲で配合されており、該ガラス配合率xの増加に伴う前記ガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合yが以下に記述される式によるガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合の予測方法。
y=−1.53x2−0.11x+1.00
(x:ガラス配合率、y:メルトフローレート低下割合)
請求項2に係る発明のガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合の予測方法は、該ガラス含有成形用ペレットがブロー成形品、射出成形品、押出成形品、真空成形品、又はプレス成形品のペレットとして用いられることを特徴とする請求項1に記載のガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合の予測方法。
そして、前記ペレットは、今まで地球上に存在しない新素材であるから、その新素材から作製される成形体は、従来のものにはない新たな特性を備えた成形体を作製することが可能となった。
また、本発明のガラス含有成形用ペレットは、熱可塑性樹脂、即ち、石油の使用量を最大で59%削減することができ、地球規模の課題である有限な石油資源の枯渇問題を解決する技術として貢献度が大きい。
更に、球状ガラス粉末の原料は日本に豊富にある資源であり、その材料費は低廉であるので、今日の高騰を続ける石油の代替可能な原料として有望である。
本発明のガラス含有成形用ペレットは、何れの種類の熱可塑性樹脂、何れのメルトフローレートに対しても、40〜59重量%ガラス配合率のガラス粉末を含有させて混練して押出することが可能となり、熱可塑性樹脂が60〜41重量%含有されているので、該ペレットで成形された成形体は、ガラス粉末の融点が1000℃以上であるのに対して、熱可塑性樹脂の融点が300℃程度であるから、焼却する際に、低い焼却発熱量で焼却ができ、焼却炉の負担低減が得られる。
また、上記4種類の樹脂であれば、使用する組成物の用途等に応じたMFR低下割合又はガラス配合率の正確な予測値を決定できることが可能となった。
ガラス含有成形用ペレットの成形工程の概要は以下の通りである。
炉の内部に設けた酸素バーナーで高温加熱された火炎にガラス繊維を粉砕した粉砕物を噴霧して球状化し、噴霧状の球体にシラン化合物を含む水を噴射して、シラン化合物が全面的に被覆された球状ガラス粉末を得る第1の工程と、重量を計量した汎用性熱可塑性樹脂(以下、「熱可塑性樹脂」という。)を押出機内に投入して溶融する第2の工程と、前記熱可塑性樹脂が溶融状態にある領域に、重量を計量して予熱した前記球状ガラス粉末を押出機内に投入して混練する第3の工程と、押出してガラス含有成形用ペレットを得る第4の工程を経てガラス配合率40〜70重量%の範囲のガラス含有成形用ペレットが得られる。
(ガラス含有成形用ペレットの成形工程)
図1の押出機に基づいて、40〜70重量%の範囲の球状ガラス粉末と熱可塑性樹脂を混練して押出して、ガラス含有成形用ペレットを得る工程を説明する。
なお、図1の押出機は、図17の従来の押出機と比べてホッパーの構造を除いて他の構造は同じであるので、図1の押出機の構造を説明することは省略する。
本発明の中実の球状ガラス粉末(以下、「球状ガラス粉末」という。)のガラス質は、SiO2、B2O3、P2O3の1種又は2種以上を骨格成分とする、アルカリガラス、可溶性ガラス、無アルカリガラス、シリカガラス等が挙げられる。そして、その形状を球状にするには、ガラス繊維を粉砕して球状化する方法を用いることで平均粒径の分布をシャープにすることができる。該球状ガラス粉末のアルカリ分が多いと、熱可塑性樹脂の脆化を招きやすいので、アルカリ分の少ない可溶性ガラスが好ましく、更に、アルカリ分のない無アルカリガラスであるEガラスがより好ましい。しかし、何れのガラス質を使用するかはその用途に応じて決まるものであって、本発明の中実の球状ガラス粉末は実施例に限定されるものではない。
シラン化合物としては、以下の式で表されるものを挙げることができる。
R4-n−Si−(OR’)n
(式中、Rは有機基を表し、R’はメチル基、エチル基又はプロピル基を表し、nは1〜3から選ばれる整数を表す)
図3は前記球状ガラス粉末の1000倍の電子顕微鏡写真である。この写真から球状ガラス粉末は、各々のその形状が球状であり中実であり、大小様々な粒径のものが存在していることが観察できる。
図2の球状Eガラス粉末の平均粒径の分布の頻度を示すグラフとこの図3の写真から、熱可塑性樹脂中の球状ガラス粉末は、その形状が真円の球形であり、大小様々な粒径のものが存在しているが、その平均粒径が10〜40μmであることが示されている。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド樹脂及びポリカーボネート樹脂(以下、「PC」という。)を挙げることができる。ポリエステル樹脂には、PET、PEN、PBT、PTTがあり、ポリアミド樹脂には、ナイロン6、ナイロン66等のナイロン樹脂(Ny)がある。
熱可塑性樹脂に着色や光沢の付与の目的で、顔料、酸化チタン、アルミナ、タルク、マイカ、シリカ、炭酸マグネシウム、金属ラメを配合することができる。
図4Bは、前記切断部を100倍に拡大して撮影した電子顕微鏡写真である。
なお、16分割線上に球状ガラス粉末がある場合には、1/2として球状ガラス粉末数の計算を行った。
図4Cの写真は、ペレットの側面は球形の凸状部で覆われており、その球形凸状部が熱可塑性樹脂で前記球状ガラス粉末を被覆していることを表している。
以下に示す実施例は、9種類のペレット状の熱可塑性樹脂(PE、PP、PET、PS、ABS、PVC、PC、PLA及びNy)を対象として、上記した噴霧法でシラン化処理した球状Eガラス粉末と9種類のペレット状の樹脂のうち一つの樹脂の重量配合率が40:60、50:50、60:40及び70:30の4種類の水準のものを用いており、その重量配合率における後述する流動性を示すメルトフローレート(以下、このメルトフローレートを「MFR」という。)が示されている。
前記MFRは、溶融状態にあるポリマーの流動性を示す尺度の一つで、押出式プラストメーターで、一定圧力、一定温度の下に、規定の寸法をもつノズル(オリフィス)から流出する量を測定し、g/10minの単位で表わした指数である。一般にMFRの数値が大きいほど溶融時の流動性や加工性は良好であるとされ、世界的に樹脂の流量状態を表すものとして、このMFRが用いられている。
そして、PLAは植物起源の素材から合成されたもので、石油から合成された高分子化合物ではないが、生分解性プラスチックとして将来的に有用なものと見込まれて、生産量が増えると推測されるので選定した。
比較例1及び2の前記浸漬法とは、球状ガラス粉末をγ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランが0.1重量%含まれる水溶液に30分の間撹拌しながら、浸漬した後に濾過して100℃で乾燥したものである。その処理により複数の球状ガラス粉末同士が接触してシラン化合物が被覆されフィルター処理されて乾燥されるので、シラン化処理されたガラス粉末中に凝集した球状ガラス粉末(以下、「凝集球状ガラス粉末」という。)が存在することになる。
比較例2は第1ホッパーに一つの樹脂のペレットと比較例球体を配合して同時に投入し、比較例球体と一つの樹脂のペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準のものを用いており、その重量配合率における流動性を示すMFRの実験データが以下の表4、6、8、10、12、14、16、18及び20に示されている。
その測定結果は以下の実施例1〜9に示されている。
実施例1は熱可塑性樹脂としてPE(PE)が用いられており、噴霧法でシラン化処理した球状Eガラス粉末とPEの重量配合率が40:60、50:50、60:40、70:30の4種類の水準のものを用いた。
上記した押出機の第1ホッパーよりPE(高密度ポリエチレン)としてHI−ZEX 5100B(商品名:株式会社プライムポリマー製品)の重量を計量して60重量%を投入し、230℃で溶融状態にした中に、第2ホッパーより上記実施例の球状Eガラス粉末の重量を計量して溶融温度230℃と同じか、それに近似した温度に予熱した40重量%を投入して、230℃、スクリュー回転数200回/分で混練し、3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレット状とし実施例1の第1の水準の成形用ペレットを得た。予熱温度は溶融温度230℃と同じであることが最も好ましく、(230℃±10%の温度)が好ましい。
以下同様に、HI−ZEX 5100B50重量%、球状Eガラス粉末50重量%の第2の水準の成形用ペレット、HI−ZEX 5100B40重量%、球状Eガラス粉末60重量%の第3の水準の成形用ペレット、HI−ZEX 5100B30重量%、球状Eガラス粉末70重量%の第4の水準の成形用ペレットを得た。
PEと比較例球体を別々に計量して押出機に投入した。第1ホッパーにPEのペレットを投入し、第2ホッパーに比較例球体を投入した。比較例球体とPEのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PEとしてHI−ZEX 5100B(商品名;株式会社プライムポリマー製品)を用いた。押出機では230℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。なお、第2ホッパーに投入した比較例球体は予熱されていない。
第1ホッパーにPEのペレットと比較例球体を配合して同時に投入し、比較例球体とPEのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PEとしてHI−ZEX 5100B(商品名;株式会社プライムポリマー製品)を用いた。押出機では230℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。
なお、比較例1−1の最初の符号1はPEであること、2番目の符号1は上記した比較例1であることを意味し、同様に、比較例1−2の最初の符号1はPEであること、2番目の符号2は上記した比較例2であることを意味している。以下に述べる比較例2−1及び比較例2−2から比較例9−1及び比較例9−2の各符号は、上記したことを意味している。
なお、以下に記載する他の8種類の熱可塑性樹脂(PP、PET、PS、ABS、PVC、PC、PLA及びNy)に関して、前記6項目条件も同様に、項目の「樹脂」及び「第1ホッパー」に対象とする樹脂を記載して他の項目に記載する内容は同じであるので、上記8種類の熱可塑性樹脂ごとに6項目条件を表にして表すことは省略する。
このグラフにおいて□印は実施例1のMFRを、△印は比較例1−1のMFRを、×印は比較例1−2のMFRを示している。そして、これらの実施例1、比較例1−1及び比較例1−2のMFRの各曲線は、熱可塑性樹脂100%のMFR(以下、「100%MFR」という。)である0.25に対して、ガラス粉末の配合率が増加したときに各々のMFRがどの様な低減傾向になるかを示したものである。そして、PEの100%MFR(0.25)が1/2の値(以下、「1/2MFR」という。)である0.125の時のガラス配合率を示すために、各曲線との交点からX軸に向かって垂線が引かれている。
なお、1/2MFRのガラス配合率を求める理由は以下の表23の説明のときに述べる。
実施例2は熱可塑性樹脂としてPPが用いられており、噴霧法でシラン化処理した球状Eガラス粉末とPPの重量配合率が40:60、50:50、60:40及び70:30の4種類の水準のものを用いた。
上記した押出機の第1ホッパーよりPPとしてノバテックPP MA3(商品名:日本ポリプロ株式会社製品)の重量を計量して60重量%を投入し、220℃で溶融状態にした中に、第2ホッパーより上記実施例の球状Eガラス粉末の重量を計量して溶融温度220℃と同じか、それに近似した温度に予熱した40重量%を投入して、220℃、スクリュー回転数200回/分で混練し、3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレット状とし実施例2の第1の水準の成形用ペレットを得た。予熱温度は溶融温度220℃と同じであることが最も好ましく、(220℃±10%の温度)が好ましい。
以下同様に、ノバテックPP MA3 50重量%、球状Eガラス粉末50重量%の第2の水準の成形用ペレット、ノバテックPP MA3 40重量%、球状Eガラス粉末60重量%の第3の水準の成形用ペレット、ノバテックPP MA3 30重量%、球状Eガラス粉末70重量%の第4の水準の成形用ペレットを得た。
PPと比較例球体を別々に計量して押出機に投入した。第1ホッパーにPPのペレットを投入し、第2ホッパーに比較例球体を投入した。比較例球体とPPのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PPとしてノバテックPP MA3を用いた。押出機では220℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。なお、第2ホッパーに投入した比較例球体は予熱されていない。
第1ホッパーにPPのペレットと比較例球体を配合して同時に投入し、比較例球体とPPのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PPとしてノバテックPP MA3を用いた。押出機では220℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。
なお、表6における実施例2のPP(ノバテックPP MA3)の熱可塑性樹脂配合率が100重量%の時のMFRは、10.0である。
このグラフにおいて□印は実施例2のMFRを、△印は比較例2−1のMFRを、×印は比較例2−2のMFRを示している。そして、これらの実施例2、比較例2−1及び比較例2−2のMFRの各曲線は、100%MFRである10.0に対して、ガラス粉末の配合率が増加したときに各々のMFRがどの様な低減傾向になるかを示したものである。そして、PPの100%MFR(10.0)が1/2MFRである5.0の時のガラス配合率を示すために、各曲線との交点からX軸に向かって垂線が引かれている。
実施例3は熱可塑性樹脂としてPETが用いられており、噴霧法でシラン化処理した球状Eガラス粉末とPETの重量配合率が40:60、50:50、60:40及び70:30の4種類の水準のものを用いた。
上記した押出機の第1ホッパーよりPETとしてバイロンFN305(商品名;東洋紡株式会社製品)の重量を計量して60重量%を投入し、250℃で溶融状態にした中に、第2ホッパーより上記実施例の球状Eガラス粉末の重量を計量して溶融温度250℃と同じか、それに近似した温度に予熱した40重量%を投入して、250℃、スクリュー回転数200回/分で混練し、3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレット状とし実施例3の第1の水準の成形用ペレットを得た。予熱温度は溶融温度250℃と同じであることが最も好ましく、(250℃±10%の温度)が好ましい。
以下同様に、バイロンFN305 50重量%、球状Eガラス粉末50重量%の第2の水準の成形用ペレット、バイロンFN305 40重量%、球状Eガラス粉末60重量%の第3の水準の成形用ペレット、バイロンFN305 30重量%、球状Eガラス粉末70重量%の第4の水準の成形用ペレットを得た。
PETと比較例球体を別々に計量して押出機に投入した。第1ホッパーにPETのペレットを投入し、第2ホッパーに比較例球体を投入した。比較例球体とPETのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PETとしてバイロンFN305を用いた。押出機では250℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。なお、第2ホッパーに投入した比較例球体は予熱されていない。
(比較例3−2)
第1ホッパーにPETのペレットと比較例球体を配合して同時に投入し、比較例球体とPETのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PETとしてバイロンFN305を用いた。押出機では250℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。
このグラフにおいて□印は実施例3のMFRを、△印は比較例3−1のMFRを、×印は比較例3−2のMFRを示している。そして、これらの実施例3、比較例3−1及び比較例3−2のMFRの各曲線は、100%MFRである20.0に対して、ガラス粉末の配合率が増加したときに各々のMFRがどの様な低減傾向になるかを示したものである。そして、PETの100%MFR(20.0)が1/2MFRである10.0の時のガラス配合率を示すために、各曲線との交点からX軸に向かって垂線が引かれている。
実施例4は熱可塑性樹脂としてPSが用いられており、噴霧法でシラン化処理した球状Eガラス粉末とPSの重量配合率が40:60、50:50、60:40及び70:30の4種類の水準のものを用いた。
上記した押出機の第1ホッパーよりPSとしてGPPS HF77(商品名;PSジャパン株式会社製品)の重量を計量して60重量%を投入し、190℃で溶融状態にした中に、第2ホッパーより上記実施例の球状Eガラス粉末の重量を計量して溶融温度190℃と同じか、それに近似した温度に予熱した40重量%を投入して、190℃、スクリュー回転数200回/分で混練し、3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレット状とし実施例4の第1の水準の成形用ペレットを得た。予熱温度は溶融温度190℃と同じであることが最も好ましく、(190℃±10%の温度)が好ましい。
以下同様に、GPPS HF77 50重量%、球状Eガラス粉末50重量%の第2の水準の成形用ペレット、GPPS HF77 40重量%、球状Eガラス粉末60重量%の第3の水準の成形用ペレット、GPPS HF77 30重量%、球状Eガラス粉末70重量%の第4の水準の成形用ペレットを得た。
PSと比較例球体を別々に計量して押出機に投入した。第1ホッパーにPSのペレットを投入し、第2ホッパーに比較例球体を投入した。比較例球体とPSのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PSとしてGPPS HF77を用いた。押出機では190℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。なお、第2ホッパーに投入した比較例球体は予熱されていない。
第1ホッパーにPSのペレットと比較例球体を配合して同時に投入し、比較例球体とPSのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PSとしてGPPS HF77を用いた。押出機では190℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。
このグラフにおいて□印は実施例4のMFRを、△印は比較例4−1のMFRを、×印は比較例4−2のMFRを示している。そして、これらの実施例4、比較例4−1及び比較例4−2のMFRの各曲線は、100%MFRである7.5に対して、ガラス粉末の配合率が増加したときに各々のMFRがどの様な低減傾向になるかを示したものである。そして、PSの100%MFR(7.5)が1/2MFRである3.8の時のガラス配合率を示すために、各曲線との交点からX軸に向かって垂線が引かれている。
実施例5は熱可塑性樹脂としてABSが用いられており、噴霧法でシラン化処理した球状Eガラス粉末とABSの重量配合率が40:60、50:50、60:40及び70:30の4種類の水準のものを用いた。
上記した押出機の第1ホッパーよりABSとしてサンタックUT−61(商品名;日本エイアンドエル株式会社製品)の重量を計量して60重量%を投入し、220℃で溶融状態にした中に、第2ホッパーより上記実施例の球状Eガラス粉末の重量を計量して溶融温度220℃と同じか、それに近似した温度に予熱した40重量%を投入して、220℃、スクリュー回転数200回/分で混練し、3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレット状とし実施例5の第1の水準の成形用ペレットを得た。予熱温度は溶融温度220℃と同じであることが最も好ましく、(220℃±10%の温度)が好ましい。 以下同様に、サンタックUT−61 50重量%、球状Eガラス粉末50重量%の第2の水準の成形用ペレット、サンタックUT−61 40重量%、球状Eガラス粉末60重量%の第3の水準の成形用ペレット、サンタックUT−61 30重量%、球状Eガラス粉末70重量%の第4の水準の成形用ペレットを得た。
ABSと比較例球体を別々に計量して押出機に投入した。第1ホッパーにABSのペレットを投入し、第2ホッパーに比較例球体を投入した。比較例球体とABSのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。ABSとしてサンタックUT−61を用いた。押出機では220℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。なお、第2ホッパーに投入した比較例球体は予熱されていない。
第1ホッパーにABSのペレットと比較例球体を配合して同時に投入し、比較例球体とABSのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。ABSとしてサンタックUT−61を用いた。押出機では220℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。
このグラフにおいて□印は実施例5のMFRを、△印は比較例5−1のMFRを、×印は比較例5−2のMFRを示している。そして、これらの実施例5、比較例5−1及び比較例5−2のMFRの各曲線は、100%MFRである30.0に対して、ガラス粉末の配合率が増加したときに各々のMFRがどの様な低減傾向になるかを示したものである。そして、ABSの100%MFR(30.0)が1/2MFRである15.0の時のガラス配合率を示すために、各曲線との交点からX軸に向かって垂線が引かれている。
実施例6は熱可塑性樹脂としてPVCが用いられており、噴霧法でシラン化処理した球状Eガラス粉末とPVCの重量配合率が40:60、50:50、60:40及び70:30の4種類の水準のものを用いた。
上記した押出機の第1ホッパーよりPVCとしてトリニテイANA 9930T(商品名:リケンテクノス株式会社製品)の重量を計量して60重量%を投入し、230℃で溶融状態にした中に、第2ホッパーより上記実施例の球状Eガラス粉末の重量を計量して溶融温度230℃と同じか、それに近似した温度に予熱した40重量%を投入して、230℃、スクリュー回転数200回/分で混練し、3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレット状とし実施例6の第1の水準の成形用ペレットを得た。予熱温度は溶融温度230℃と同じであることが最も好ましく、(230℃±10%の温度)が好ましい。
以下同様に、トリニテイANA 9930T50重量%、球状Eガラス粉末50重量%の第2の水準の成形用ペレット、トリニテイANA 9930T40重量%、球状Eガラス粉末60重量%の第3の水準の成形用ペレット、トリニテイANA 9930T30重量%、球状Eガラス粉末70重量%の第4の水準の成形用ペレットを得た。
PVCと比較例球体を別々に計量して押出機に投入した。第1ホッパーにPVCのペレットを投入し、第2ホッパーに比較例球体を投入した。比較例球体とPVCのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PVCとしてトリニテイANA 9930Tを用いた。押出機では230℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。なお、第2ホッパーに投入した比較例球体は予熱されていない。
第1ホッパーにPVCのペレットと比較例球体を配合して同時に投入し、比較例球体とPVCのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PVCとしてトリニテイANA 9930Tを用いた。押出機では230℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。
このグラフにおいて□印は実施例6のMFRを、△印は比較例6−1のMFRを、×印は比較例6−2のMFRを示している。そして、これらの実施例6、比較例6−1及び比較例6−2のMFRの各曲線は、100%MFRである3.4に対して、ガラス粉末の配合率が増加したときに各々のMFRがどの様な低減傾向になるかを示したものである。そして、PVCの100%MFR(3.4)が1/2MFRである1.7の時のガラス配合率を示すために、各曲線との交点からX軸に向かって垂線が引かれている。
実施例7は熱可塑性樹脂としてPCが用いられており、噴霧法でシラン化処理した球状Eガラス粉末とPCの重量配合率が40:60、50:50、60:40及び70:30の4種類の水準のものを用いた。
上記した押出機の第1ホッパーよりPCとしてカリバー351−6(商品名:住友ダウ株式会社製品)の重量を計量して60重量%を投入し、300℃で溶融状態にした中に、第2ホッパーより上記実施例の球状Eガラス粉末の重量を計量して溶融温度300℃と同じか、それに近似した温度に予熱した40重量%を投入して、300℃、スクリュー回転数200回/分で混練し、3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレット状とし実施例7の第1の水準の成形用ペレットを得た。予熱温度は溶融温度300℃と同じであることが最も好ましく、(300℃±10%の温度)が好ましい。
以下同様に、カリバー351−6 50重量%、球状Eガラス粉末50重量%の第2の水準の成形用ペレット、カリバー351−6 40重量%、球状Eガラス粉末60重量%の第3の水準の成形用ペレット、カリバー351−6 30重量%、球状Eガラス粉末70重量%の第4の水準の成形用ペレットを得た。
PCと比較例球体を別々に計量して押出機に投入した。第1ホッパーにPCのペレットを投入し、第2ホッパーに比較例球体を投入した。比較例球体とPCのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PCとしてカリバー351−6を用いた。押出機では300℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。なお、第2ホッパーに投入した比較例球体は予熱されていない。
第1ホッパーにPCのペレットと比較例球体を配合して同時に投入し、比較例球体とPCのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PCとしてカリバー351−6を用いた。押出機では300℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。
このグラフにおいて□印は実施例7のMFRを、△印は比較例7−1のMFRを、×印は比較例7−2のMFRを示している。そして、これらの実施例7、比較例7−1及び比較例7−2のMFRの各曲線は、100%MFRである10.0に対して、ガラス粉末の配合率が増加したときに各々のMFRがどの様な低減傾向になるかを示したものである。そして、PCの100%MFR(10.0)が1/2MFRである5.0の時のガラス配合率を示すために、各曲線との交点からX軸に向かって垂線が引かれている。
実施例8は熱可塑性樹脂としてPLAが用いられており、噴霧法でシラン化処理した球状Eガラス粉末とPLAの重量配合率が40:60、50:50、60:40及び70:30の4種類の水準のものを用いた。
上記した押出機の第1ホッパーよりPLAとしてテラマックTP−4030(商品名:ユニチカ株式会社製品)の重量を計量して60重量%を投入し、190℃で溶融状態にした中に、第2ホッパーより上記実施例の球状Eガラス粉末の重量を計量して溶融温度190℃と同じか、それに近似した温度に予熱した40重量%を投入して、190℃、スクリュー回転数200回/分で混練し、3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレット状とし実施例8の第1の水準の成形用ペレットを得た。予熱温度は溶融温度190℃と同じであることが最も好ましく、(190℃±10%の温度)が好ましい。
以下同様に、テラマックTP−4030 50重量%、球状Eガラス粉末50重量%の第2の水準の成形用ペレット、テラマックTP−4030 40重量%、球状Eガラス粉末60重量%の第3の水準の成形用ペレット、テラマックTP−4030 30重量%、球状Eガラス粉末70重量%の第4の水準の成形用ペレットを得た。
PLAと比較例球体を別々に計量して押出機に投入した。第1ホッパーにPLAのペレットを投入し、第2ホッパーに比較例球体を投入した。比較例球体とPLAのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PLAとしてテラマックTP−4030を用いた。押出機では190℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。なお、第2ホッパーに投入した比較例球体は予熱されていない。
第1ホッパーにPLAのペレットと比較例球体を配合して同時に投入し、比較例球体とPLAのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。PLAとしてテラマックTP−4030を用いた。押出機では190℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。
このグラフにおいて□印は実施例8のMFRを、△印は比較例8−1のMFRを、×印は比較例8−2のMFRを示している。そして、これらの実施例8、比較例8−1及び比較例8−2のMFRの各曲線は、100%MFRである4.0に対して、ガラス粉末の配合率が増加したときに各々のMFRがどの様な低減傾向になるかを示したものである。そして、PLAの100%MFR(4.0)が1/2MFRである2.0の時のガラス配合率を示すために、各曲線との交点からX軸に向かって垂線が引かれている。
実施例9は熱可塑性樹脂としてNyが用いられており、噴霧法でシラン化処理した球状Eガラス粉末とNyの重量配合率が40:60、50:50、60:40及び70:30の4種類の水準のものを用いた。
上記した押出機の第1ホッパーよりNyとしてナイロンA1030 BRF(商品名:ユニチカ株式会社製品)の重量を計量して60重量%を投入し、230℃で溶融状態にした中に、第2ホッパーより上記実施例の球状Eガラス粉末の重量を計量して溶融温度230℃と同じか、それに近似した温度に予熱した40重量%を投入して、230℃、スクリュー回転数200回/分で混練し、3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレット状とし実施例9の第1の水準の成形用ペレットを得た。予熱温度は溶融温度230℃と同じであることが最も好ましく、(230℃±10%の温度)が好ましい。
以下同様に、ナイロンA1030 BRF50重量%、球状Eガラス粉末50重量%の第2の水準の成形用ペレット、ナイロンA1030 BRF40重量%、球状Eガラス粉末60重量%の第3の水準の成形用ペレット、ナイロンA1030 BRF30重量%、球状Eガラス粉末70重量%の第4の水準の成形用ペレットを得た。
Nyと比較例球体を別々に計量して押出機に投入した。第1ホッパーにNyのペレットを投入し、第2ホッパーに比較例球体を投入した。比較例球体とNyのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。NyとしてナイロンA1030 BRFを用いた。押出機では230℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。なお、第2ホッパーに投入した比較例球体は予熱されていない。
第1ホッパーにNyのペレットと比較例球体を配合して同時に投入し、比較例球体とNyのペレットの重量配合率を20:80、30:70、40:60の3種類の水準に設定した。NyとしてナイロンA1030 BRFを用いた。押出機では230℃、スクリュー回転数200回/分で混練して3mm径の棒状に押出し、水冷して長さ4mmに切断してペレットにした。
このグラフにおいて□印は実施例9のMFRを、△印は比較例9−1のMFRを、×印は比較例9−2のMFRを示している。そして、これらの実施例9、比較例9−1及び比較例9−2のMFRの各曲線は、100%MFRである4.3に対して、ガラス粉末の配合率が増加したときに各々のMFRがどの様な低減傾向になるかを示したものである。そして、Nyの100%MFR(4.3)が1/2MFRである2.2の時のガラス配合率を示すために、各曲線との交点からX軸に向かって垂線が引かれている。
比較例2に関して、ガラス配合率20重量%の比較例球体を用いた比較例1−2〜9−2は、温度が上昇する等の変化は生じなかったが、配合率30、40重量%の比較例球体を用いた比較例1−2〜9−2は、温度が上昇する変化と共に金属音の発生が見られた。特に40重量%の比較例球体の金属音は30重量%と比べてはるかに大きいものであった。
このことから、比較例1及び2の比較例球体は図5〜図13からみて、比較例球体のMFRが樹脂100の1/2以下になると変化が生じていることが判る。
なお、上記実施例では、押出機内に投入する球状のガラス粉末を溶融温度と同じか、それに近似した温度に予熱する最良の実施形態の例を示したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、溶融状態のペレットに大量のガラス粉末を投入する際に、急激な温度低下を生じさせないために熱可塑性樹脂の溶融温度を上げて制御しておく等の、従来のペレットの成形に用いられている溶融温度(加温、冷却)、スクリュー速度等の制御により成形されたガラス含有成形用ペレットも、本発明のガラス含有成形用ペレットに含まれるものである。
9種類の、球状Eガラス粉末を含有する組成物の実施例、及び、比較例球体を含有する組成物の比較例、この両者のガラス配合率とMFRの関係を図5〜図13のグラフに示したが、この両者のグラフを対比すると、9種類の実施例のグラフは、前記MFRがガラス配合率の増加に伴い100%熱可塑性樹脂のMFRを頂点とする放物線を示しており、100%MFRの1/2の値がガラス配合率50〜60重量の範囲にあるのに対して、9種類の比較例1及び2のグラフは、前記MFRがガラス配合率の増加に伴い100%熱可塑性樹脂のMFRを頂点とする下方へ傾斜するほぼ直線を示しており、比較例1と比較例2の熱可塑性樹脂100%のMFRの1/2の値が、比較例1ではガラス配合率30〜40重量%の範囲にあり、比較例2ではガラス配合率20〜30重量%の範囲にあることを示している。
実施例1〜9のグラフは、比較例のグラフよりガラス配合率の増加に伴うMFRの低下挙動が緩やかであることを示しており、このことは、製造工程で球状ガラス粉末の配合量が仮に変動しても、それに起因するMFRの変動が小さいことが判る。従って、ガラス含有成形用ペレットの製造工程においても品質管理上、有利であることがこれらのグラフで示されている。
表22が示す比較例と実施例のMFRからみて、1/2MFRの時の比較例2のガラス配合率は24〜28重量%の範囲にあり、その時の比較例1のガラス配合率は31〜36重量%の範囲にあり、そして、その時の実施例のガラス配合率は53〜57重量%の範囲にあることから、比較例2は、前記MFRが1/2の値である時に、ガラス配合率24〜28重量%と非常に少ない範囲にあることを示し、比較例1は、その時にガラス配合率31〜36重量%と比較例2より僅かながら多い範囲にあることを示しているが、上記実施例1〜9は、その時に、そのガラス配合率が53〜57重量%と比較例2の約2倍、比較例1の約1.6倍の大量のガラス配合率の範囲にあることを見出した。
上述した前記熱可塑性樹脂の1/2MFRは、ガラス配合率の増加に伴うガラス含有成形用ペレットのMFRの特性を把握するのに有用である。
また、地球温暖化問題及び石油資源の枯渇問題を解決するためには、大量の球状ガラス粉末を配合すればする程効果的であるが、ガラス含有成形用ペレットをブロー成形法、射出成形法、押出成形法等で成形した成形体を大量生産化することを考えると、MFRの低下割合を求めることで如何なる成形法でも成形し易いガラス配合率を検討する必要がある。
そして、ガラス配合率の値とMFRの低下割合との相互の関係が分かれば、選定した熱可塑性樹脂のMFRに応じてガラス配合率を容易に決定することが可能になる。例えば、PEを選定してガラス含有成形用ペレットを成形する場合、PEの100%のメルトフローレートが0.25と小さい値であるから、MFRの低下割合を0.6に抑えて成形するのに、必要なガラス配合率の値を容易に決定できれば便利である。
上述したしたように、上記実施例1〜9の9種類の熱可塑性樹脂の1/2MFRに関する、比較例2、比較例1及び実施例のガラス配合率を表22に示したが、この熱可塑性樹脂の1/2MFRは、熱可塑性樹脂100%に配合する球状ガラスの増加により、ガラス含有成形用ペレットのMFRが熱可塑性樹脂100%の1/2の値になるガラス配合率を示している。例えば、PEは57重量%、PPは54重量%のガラス配合率の時に熱可塑性樹脂100%の1/2の値を示す。このことから、表23で示した実施例1〜9のガラス配合率40、50、60、70重量%のMFRを熱可塑性樹脂100%のMFRで割った値、即ち、ガラス配合率の増加により熱可塑性樹脂100%のMFRがどの程度低下しているかを示すMFRの低下割合を意味している。
表25は表24のガラス配合率40重量%、50重量%、60重量%、そして70重量%に対するMFR低下割合の最大値と最小値を示す表である。
最大値の近似曲線は以下に示す式(1)の通りであり、最小値の近似曲線は以下に示す式(2)の通りである。ここで、xはガラス配合率(0.40≦x≦0.70)を、yはMFR低下割合を示している。
y = −1.3418x2 − 0.0803x + 0.9994 (1)
y = −1.4003x2 − 0.2764x + 0.9985 (2)
式(1)及び式(2)は、熱可塑性樹脂100%に配合する各ガラス配合率に対するMFR低下割合の最大値と最小値から得られた放物線を示すもので、ガラス配合率40〜70重量%の範囲における、何れのガラス配合率に対するMFR低下割合は、式(1)及び式(2)で記述される値の範囲内にあることを意味している。
図16Aのグラフはx軸がガラス配合率(重量%)を、y軸がMFR低下割合を示している。そして、図16Aに示すPP、PVC、PC及びNyの4種類のグラフが重なり合っていることから、この4種類のグラフの形状がほぼ同一形状であることが分かる。
そのために、最初に、PP、PVC、PC及びNyの比較例2のMFRを検討する。この比較例2は、従来のガラス粉末を含有したペレットの製造方法で得られたもので、従来の製造方法ではガラス配合率が40重量%を超えると製造が不可能なことは、比較例2のガラス配合率40重量%のペレットを押出機で混練して押し出す際に、押出機のスクリューの回転数が増すにつれて摩擦熱により溶融温度が上昇することが実験によって確かめられた。比較例2のペレットは実施例の比較対象のために少量生産ではあったが、摩擦熱のために長時間に渡ってガラス配合率40重量%のペレットを製造することができないことが分かった。
30重量%PPの比較例2のMFRは表6に示されており4.0であるから、MFR低下割合は0.40である。同様に、PCの比較例2のMFRは3.5であるから、MFR低下割合は0.35である。また、Nyの比較例2のMFRは1.4であるから、MFR低下割合は0.33である。これらのPP、PVC、PC及びNyのMFR低下割合のうち、最も大きい値である0.40を示すPPのMFR低下割合を用いれば、PE及びPPはその値より小さいMFR低下割合であるので、トラブルの発生の防止ができることは明らかである。
それ故に、MFR低下割合が0.40以上であれば、成形体を成形する際に、トラブルが発生することなく、工業的に長時間に亘る大量生産ができることが判った。
表24のガラス配合率に対するMFR低下割合は、実験データが有する誤差のために、上記の式のxにガラス配合率を代入して得られるMFR低下割合と異なる値が示されているが、この実験データがガラス配合率40、50、60及び70重量%毎にどの位の誤差の範囲にあるか計算を行ってみた。上記平均値近似式にガラス配合率40、50及び60重量%を代入して得られたMFR低下割合は、上記したように、40重量%が0.71で、50重量%が0.56で、60重量%が0.38である。それに対して、表24に示すPP、PVC、PC及びNyのガラス配合率40重量%での誤差が−1.4%、+4.2%、+2.8%、+1.4%であり、ガラス配合率50重量%での誤差が0.0%、0.0%、−1.8%、0.0%であり、ガラス配合率60重量%での誤差が+5.3%、−7.9%、−10.5%、−2.6%である。ここで、MFR低下割合が0.40以上であることを前提として平均値近似式のグラフの検討を行っているので、ガラス配合率70重量%は省略している。
上記したように、ガラス配合率が59重量%以内のペレットを用いれば、MFR低下割合が0.40以上であることから、このペレットにより各種の成形方法で成形体を成形する際に、トラブルが発生することなく、工業的に長時間に亘る大量生産ができることに、このMFR低下割合0.40の技術的意味がある。
このMFR低下割合1/2は、ガラス含有成形用ペレット及びそれから成形する成形体を大量生産化すること、及び、地球温暖化問題及び石油資源の枯渇問題を軽減することを考えると、MFR低下割合が1/2であるガラス配合率54重量%で成形することが好ましい。
Claims (2)
- 溶融状態にある熱可塑性樹脂のペレットに大量のガラス粉末を投入して、該ペレットと該ガラス粉末を混練して押出されてなるガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合の予測方法であって、
前記熱可塑性樹脂のペレットがポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群から選ばれる一種からなるペレットであり、前記ガラス粉末が球状の形状で中実であり、10〜40μmの平均粒径であり、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランを0.1重量%含む水を噴射することにより、シラン化合物が該ガラス粉末の表面を全面的に被覆しており、該熱可塑性樹脂中にガラス配合率40〜59重量%の範囲で配合されており、該ガラス配合率xの増加に伴う前記ガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合yが以下に記述される式によるガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合の予測方法。
y=−1.53x2−0.11x+1.00
(x:ガラス配合率、y:メルトフローレート低下割合) - 前記ガラス含有成形用ペレットがブロー成形品、射出成形品、押出成形品、真空成形品、又はプレス成形品のペレットとして用いられることを特徴とする請求項1に記載のガラス含有成形用ペレットのメルトフローレート低下割合の予測方法。
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