JP5307801B2 - 凍結乾燥フォームによる生物活性材料の防腐 - Google Patents

凍結乾燥フォームによる生物活性材料の防腐 Download PDF

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Description

(関連出願とのクロスリファレンス)
本願は米国仮特許出願第60/930,746号(発明の名称「凍結乾燥フォームによる生物活性材料の防腐(Preservation of Bioactive materials by Freeze Dried Foam)」,発明者Reinhard Vehringら,出願日2007年5月18日)の特典と優先権を主張する。本願は先行出願である米国実用特許出願第10/412,630号(現米国特許第7,135,180号)(発明の名称「凍結乾燥フォームによる生物活性材料の防腐(Preservation of Bioactive materials by Freeze Dried Foam)」,発明者Vu Truong−Le,出願日2003年4月10日)と、同じく先行出願である米国仮出願第60/372,236号(発明の名称「製剤及び製造方法(Formulations and Methods for Preparation)」,発明者Vu Truong−Le,出願日2002年4月11日)の関連出願である。以上の先行出願の全開示内容を本明細書に援用する。
(発明の技術分野)
本発明は保存時の生物材料の防腐の分野に関する。特に、本発明は例えば生物活性分子と生存可能な生物材料を保護乾燥フォームマトリックス内でガラス化により防腐する技術に関する。方法及びシステムはウイルス及び細菌生存率の高度の回復を実現する。
蛋白質、真核細胞、細菌及びウイルス等の生物材料は一般に培地又は他の液体溶液中で保存した場合に不安定である。例えば、卵尿膜腔液から製造した生きたインフルエンザウイルス等のエンベロープウイルスは低温即ち約4℃で保存した場合に組織培養感染量(TCID50)として定義される力価が2〜3週間以内に1log低下する。室温条件(約25℃)と37℃等の中温では、ウイルスは夫々数日から数時間で同等の力価低下を生じる。これらの生物材料を安定化するためには、水性製剤を凍結させた後に昇華により乾燥する凍結乾燥工程が広く使用されている。脱水して糖質等の保護分子で置換すると、化学分解、変性、及び微生物汚染増殖を防止することにより安定性を増すことができる。
凍結乾燥(フリーズドライ)では、一般に生物材料を溶液又は懸濁液として保護剤と混合し、凍結させた後に昇華と二次乾燥により脱水する。凍結と昇華による乾燥の低温は分解反応速度を遅らせることができる。しかし、使用される低温と低い表面積対体積比では乾燥時間を長くする必要がある。従来の凍結乾燥工程は凍結速度が遅く、生物活性材料が長時間凍結状態におかれるため、相当の構造損傷を伴うことが多い。この損傷としては、氷核形成及び成長段階中に形成される氷結晶構造に起因する変性、凝集及び他の有害な物理的ストレスが挙げられる。このため、細胞壁又は脂質膜をもつ生物材料では、ウイルス、細菌及び細胞等の大型で複雑な材料の生物活性を維持することが大きな課題である。
更に、最適凍結乾燥条件下でも二次乾燥段階中に損傷が生じる場合がある。最近の研究によると、凍結乾燥による損傷は主に最終残留量の水分を除去する二次脱水段階中に生じることが示唆されている(Webb,S.D.Effects of annealing lyophilized and spray−lyophilized formulations of recombinant human interferon−gamma..J Pharm Sci 2003 Apr;92(4):715−29)。従って、凍結乾燥工程と二次乾燥工程が例えば蛋白質や細胞に相当の化学的及び物理的変化をもたらすことは十分に立証されている。このような変化の結果として、塩濃度、沈殿/結晶化、剪断応力、pH異常、及び凍結乾燥後の残留水分により蛋白質の活性が低下する恐れがある。
保護剤は凍結中に細胞や分子を保護し、保存中に安定性を増進するために製剤に添加される薬品である。例えば、生ウイルスワクチンの安定剤としては一般に、凍結乾燥及び保存中のウイルス安定性を改善するために高濃度の糖(例えばスクロース、マンニトール、又はソルビトール)が添加されている。しかし、エンベロープウイルスや他の生物材料では、保護剤は膜容積内の活性分子を保護するために十分に浸透することができない。従って、不安定な生物材料に十分な安定性を達成するように最適な乾燥工程及び製剤を開発することは依然として大きな課題である。
凍結乾燥に伴う問題の一部は所定の乾燥フォーム防腐法により解決される。例えば、米国特許第5,766,520号(「フォーム形成による防腐(Preservation by Foam Formation)」,Bronshtein)では、まず中真空下で乾燥して溶媒中の生物溶液又は懸濁液を濃化してから高真空に引いて残留溶媒を起泡沸騰させて安定な乾燥フォームを形成している。通常、このような沸騰は気泡表面に酸化や変性を生じる恐れがあるので生物材料の処理では避けられている。更に、沸騰は真空下でも熱入力が必要であるため、生物活性材料の安定性を損なう恐れがある。Bronshteinでは溶液又は懸濁液に糖質や界面活性剤等の保護剤を添加することによりこれらの問題を少なくしている。この種の乾燥フォーム防腐法は沸騰中の液体の対流とフォーム気泡表面の表面積が大きいために乾燥速度が増すという利点がある。しかし、低含水率まで高温で二次乾燥すると、細胞及びウイルス生存率が90%以上低下する恐れがある。このような乾燥フォームは親水性保護剤の存在とフォーム表面積が大きいために迅速に再構成することができる。再構成時間を更に改善するため、あるいは生物材料を吸入により投与するために乾燥フォームを微粉末に粉砕することができる。
上記乾燥フォーム防腐法は種々の生物材料を保護するにはそのフレキシビリティに限界がある。例えば、この方法はフォームから脱水するための手段として凍結段階(例えばBronstein,第1カラム,第41行−“[f]reezing and other steps of the freeze−drying process are very damaging to many sensitive biological materials.”参照)とその後の氷昇華を排除している。Bronshteinでは凍結を避けているので、フォームを凍結させるために大量の水が潜熱と共に失われないように発泡及び乾燥前に製剤を濃化しなければならない。凍結を避けるには、従来の凍結乾燥又は噴霧凍結乾燥工程サイクルよりも低い真空レベル(7〜24Torr)で工程を実施する必要がある。Bronshteinの沸騰にはフォームの必要な沸騰を得るために相当量の熱入力が必要であり、不安定要因となりかねない。
Bronshteinの乾燥フォーム法は脂質膜をもつ生物材料の防腐にはあまり適していない。例えば、この方法はリポソーム、ウイルス又は生存可能な細胞等の生物材料の防腐にはあまり適していない。脂質膜は保護剤が包囲容積内に浸透するのを妨げたり、包囲容積からの十分な脱水を妨げることが多い。保護剤が十分に浸透しないと、蛋白分解等の酵素プロセスや、酸化及びフリーラジカル攻撃等の化学的プロセスが生物材料の活性又は生存性を損なう恐れがある。膜包囲容積内に残留している低浸透圧液は生物材料の不安定を助長する恐れがある。高温の二次乾燥は細胞を死滅させる恐れがある。
特に凝固点よりも高温で保存時の蛋白質、ビリオン及び細胞等の生物材料を防腐するための方法が依然として必要とされている。高温に暴露せずに十分な乾燥を提供する工程により乾燥フォーム防腐マトリックスを製造する方法が望ましい。保存時にこのような生物材料を保護することができる組成物があれば、医学及び科学研究で有益であろう。本発明はこれらの特徴と、以下の記載に明示する他の特徴を提供する。
本発明は保存時のペプチド、蛋白質、核酸、抗体、ワクチン、細菌、ウイルス、リポソーム、血小板及び/又は細胞懸濁液等の生物活性材料を防腐するための方法、システム及び組成物を包含する。前記方法は一般に、例えば生物活性材料とポリオールの製剤を発泡させてフォームを形成する工程と、フォームを凍結させる工程と、フォームを乾燥して安定な乾燥フォーム組成物を形成する工程を提供する。前記方法は、例えば、乾燥前にフォームを凍結させる段階、製剤に発泡剤を添加する段階、脂質膜の相転移温度に製剤を維持して保護剤の浸透を増進する段階、約200Torr〜25mTorrの圧力で製剤を発泡させる段階、フォームを薄層状に二次乾燥する段階、及び/又は室温以下等の比較的低温でフォームを乾燥する段階を種々に含むことができる。
本発明の方法は一般に、ポリオールを含有する製剤として生物活性材料(例えばペプチド、蛋白質、核酸、抗体、ワクチン、細菌、ウイルス、リポソーム、血小板、及び/又は細胞懸濁液)を準備する段階と、製剤を発泡させてフォームを形成する段階と、フォームを凍結させる段階と、凍結乾燥により乾燥する段階と、低温で残留水分を除去する段階を含む。例えば、生物活性材料の安定な乾燥フォーム組成物の製造方法は生物活性材料とポリオール又はポリマーを溶媒(例えば水)中に含有する製剤を調製する段階と;製剤を発泡させてフォームを形成する段階と;フォームを凍結させる段階と;0℃以下のフォーム温度で蒸発又は昇華によりフォームを一次乾燥する段階と;フォームの残留水分を10%以下まで低下させるために十分な時間にわたって25℃以下の温度の環境でフォームを二次乾燥する段階を含むことができる。前記方法の非必須の変形では、生物活性材料とポリオール又はポリマーを溶媒中に含有する製剤を調製し;製剤を発泡させてフォームを形成し;フォームを凍結させ;フォームが凍結し、フォームのガラス転移温度未満に維持されるような温度で蒸発又は昇華によりフォームを乾燥し;フォームの残留水分を10%以下まで低下させるために十分な時間にわたって25℃以下の環境でフォームを二次乾燥する。脂質膜に包囲された容積を含む生物活性材料では、フォームを発泡する前に2分間以上にわたって生物活性材料の膜転移温度から2℃以内の温度に製剤又はフォームを保持することが好ましいと思われる。
低温乾燥法の好ましい態様では、生物活性材料はペプチド、蛋白質、核酸、抗体、ワクチン、細菌、ウイルス、リポソーム、血小板、及び/又は細胞懸濁液を含む。1態様において、生物活性材料はウイルス又は細菌、例えばリステリア菌又はインフルエンザ株を含む。1態様において、リステリア菌はListeria monocytogenesである。別の態様では、Listeria monocytogenesの弱毒株を使用する。更に別の態様では、抗原性ペプチドを発現するようにワクチンとして遺伝子組換えしたListeria monocytogenesの株を使用する。付加配列を含むリステリア菌ワクチンの構築は夫々2003年12月24日、2004年8月18日、2004年10月1日及び2004年10月7日付けで出願された米国仮特許出願第60/532,696号、60/602,588号、60/615,548号、及び60/617,564号(発明の名称“EphA2 Vaccines”)、2004年3月26日、2004年10月1日及び2004年10月7日付けで出願された米国仮出願第60/556,631号、60/615,470号、及び60/617,544号(発明の名称“Listeria−based EphA2 Vaccines”)、並びに国際公開第WO2005/067460号及びWO2005/037233号に詳細に記載されており、各々その開示内容全体を本明細書に援用する。更に別の態様において、インフルエンザ株はインフルエンザA及びBウイルスである。別の態様において、インフルエンザ株は生ワクチン用として弱毒化されている。
好ましい方法では、例えば25℃以下、20℃以下、15℃以下の低温での二次乾燥を促進するために、フォームの厚みを2mm以下とする。最終製剤の安定性のためには、フォームの残留水分を10%以下、5%以下、3%以下又は1%以下まで低下させるために十分な時間にわたってフォームを乾燥することが好ましい。多くの場合には、二次乾燥温度をフォームポリオールマトリックスのガラス転移温度未満に維持することが好ましい。多くの場合には、一次乾燥及び/又は二次乾燥段階は、例えば低温でのフォームからの脱水を加速するために、100Torr以下、50Torr以下、10Torr以下、1Torr、100mTorr、10mTorr以下の圧力で溶媒を除去する段階を含む。
乾燥後のフォームはシート又は大粒子の形状をとることができる。場合により、乾燥後のフォームを保存用又は吸入投与用に例えば平均粒度約0.1um〜約100umの粉末状に粉砕することができる。場合により、フォームを例えば注射により再構成液として哺乳動物に投与することができる。
本発明は安定な乾燥フォーム組成物の製造方法を有効に実施するためのシステムを包含する。例えば、20℃以下等の比較的低温での迅速な二次乾燥を可能にするシステムはフォームを薄層シート状で高真空に開放暴露することができる。生物活性材料の安定な乾燥フォーム組成物の製造用システムは内部温度と内部圧力の制御機能を提供する環境制御チャンバーと;チャンバー内に配置され、生物活性材料とポリオール又はポリマーを溶媒中に含有するフォームを含むことができる。厚み2mm以下及び/又は縦横比(幅又は長さと厚みの比)10以上;又は厚み1mm以下及び/又は縦横比100以上のフォームを準備することにより乾燥を加速することができる。2日間以下にわたって25℃以下の温度で残留水分10%以下までフォームを乾燥することが好ましい。
上記方法と同様に、前記システムの生物活性材料は任意生物活性材料とすることができる。しかし、前記システムは特にウイルス又は細菌、例えばリステリア菌又はインフルエンザ株の生存率に公知利点を提供する。1態様において、リステリア菌はListeria monocytogenesである。別の態様では、Listeria monocytogenesの弱毒株を使用する。更に別の態様では、抗原性ペプチドを発現するようにワクチンとして遺伝子組換えしたListeria monocytogenesの株を使用する。更に別の態様において、インフルエンザ株はインフルエンザA及びBウイルスである。別の態様において、インフルエンザ株は生ワクチン用として弱毒化されている。
本発明は安定な乾燥フォーム組成物を包含する。例えば、組成物は残留水分10%以下の乾燥フォームマトリックス中にペプチド、蛋白質、核酸、抗体、ワクチン、細菌、ウイルス、リポソーム、血小板、及び/又は細胞懸濁液を含むことができ、前記マトリックスはポリオール及び/又はポリマーを含有しており、前記乾燥フォームは生存率低下が0.5log10未満の生物活性材料の液体製剤から製造されている。このような生存率の維持は残留水分5%以下までフォームを乾燥しても、本明細書に記載するように容易に得ることができる。1態様において、ウイルス又は細菌の生物活性材料は例えばリステリア菌又はインフルエンザ株を含むことができる。1態様において、リステリア菌はListeria monocytogenesである。別の態様では、Listeria monocytogenesの弱毒株を使用する。更に別の態様では、抗原性ペプチドを発現するようにワクチンとして遺伝子組換えしたListeria monocytogenesの株を使用し、例えば前記ペプチドは天然リステリア菌ペプチド以外のものである。更に別の態様において、インフルエンザ株はインフルエンザA及びBウイルスである。別の態様において、インフルエンザ株は生ワクチン用として弱毒化されている。ウイルス又は細菌は例えばリステリア菌又はインフルエンザ株を含むことができる。好ましい態様において、生存率の工程低下は0.5log10未満、0.3log10未満、0.1log10未満であり、例えば本発明の方法及び/又はシステムを使用して達成される。
定義
本発明は特定システム又は方法に限定されず、当然のことながら種々に適用できると理解すべきである。また、本明細書で使用する用語は単に特定態様の説明を目的としており、限定的でないことも理解すべきである。本明細書と特許請求の範囲で使用する単数形はそうでないことが内容から明白である場合を除き、複数の対象も含む。従って、例えば「表面」と言う場合には2個以上の表面の組合せを含み、「細菌」と言う場合には細菌混合物を含み、他の用語についても同様である。
特に定義しない限り、本明細書で使用する全科学技術用語は本発明が属する分野の当業者に一般に理解されている通りの意味をもつ。本発明の実施には過度の実験を要することなしに本明細書に記載するものに類似又は等価の任意方法及び材料を使用することができるが、好ましい材料と方法は本明細書に記載するものである。本発明の記載及び特許請求の範囲において、以下の用語は以下の定義に従って使用される。
「周囲」温度又は条件とは所与環境で任意所与時点のものである。一般に、周囲室温は22℃であり、周囲大気圧及び周囲湿度は容易に測定され、時季、気候条件、高度等により異なる。
「沸騰」とは例えば液体の温度がその沸点よりも高いときに生じる液体から気体への迅速な相転移を意味する。沸点は当業者に周知の通り、液体の蒸気圧が印加圧に等しい温度である。液体がその沸点にあるときに加熱すると、沸騰を特に活発にすることができる。
「緩衝液」とはその酸−塩基共役成分の作用によりpH変化を抑える緩衝溶液を意味する。緩衝液のpHは一般に選択活性材料を安定化するように選択され、当業者により容易に確認可能である。一般に、これは生理的pHの範囲内であるが、蛋白質によってはもっと広いpH範囲(例えば酸性pH)で安定なものもある。従って、好ましいpH範囲は約1〜約10であり、約3〜約8が特に好ましく、約6.0〜約8.0がより好ましく、約7.0〜約7.4が更に好ましく、約7.0〜約7.2が最も好ましい。適切な緩衝液としてはpH7.2リン酸緩衝液とpH7.0クエン酸緩衝液が挙げられる。当業者に自明の通り、多数の使用可能な適切な緩衝液が存在する。適切な緩衝液としては限定されないが、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ヒスチジン、イミダゾール、クエン酸ナトリウム、琥珀酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム及び炭酸塩が挙げられる。一般に、緩衝液は約1mM〜約2Mのモル濃度で使用し、約2mM〜約1Mが好ましく、約10mM〜約0.5Mが特に好ましく、25〜50mMが殊に好ましい。
「脱気」とはガスの分圧が印加圧よりも高いときに液体中の溶液からガスが放出されることを意味する。水を1気圧(約760Torr)の窒素ガスと接触させ、水中の窒素分圧が気相圧と平衡している場合に、ガス圧を下げると、水から窒素が発泡する。これは沸騰ではなく、溶媒を沸騰させる圧力よりも高い圧力で生じることが多い。例えば、瓶詰炭酸飲料はCOガスの分圧が高いため、瓶のキャップを外して圧力を下げると(沸騰ではないが)迅速に発泡する。
「分散度」とは分散した粒子を対象の肺に吸引又は吸入できるように粉末組成物を空気流に分散(即ち懸濁)できる程度を意味する。従って、分散度が20%に過ぎない粉末とは、粒子質量の20%しか肺吸入用に懸濁できないことを意味する。
乾燥フォーム組成物に関して「乾燥」とは残留含水率が約10%未満であることを意味する。乾燥フォーム組成物は通例では残留水分5%以下、又は約3%〜0.1%まで乾燥されている。「乾燥フォーム」は残留含水率10%未満の安定化フォーム、一次乾燥後のフォーム、及び/又は二次乾燥後のフォームとすることができる。吸入用粒子に関して「乾燥」とは組成物がエアゾールを形成するために粒子を吸入装置に容易に分散できるような含水率であることを意味する。本明細書に記載する方法に関して一次乾燥とは、フォームの初期凍結時から二次乾燥が開始する時点まで行われる乾燥を意味する。一般に、一次乾燥の大半は凍結温度での昇華により行われる。本明細書に記載する方法に関して二次乾燥とは、凍結温度(例えば0℃又は凍結製剤の凝固点)よりも高温で行われる乾燥を意味する。典型的な凍結発泡乾燥工程において、二次乾燥段階は残留水分約25%から残留水分値10%以下までのフォームに実施される。
「賦形剤」又は「保護剤」(凍結防止剤及び溶解防止剤を含む)とは一般に噴霧凍結乾燥工程中の治療剤の安定性を確保又は増加し、その後の粉末製剤の長期安定性と流動性を確保するために添加される化合物又は材料を意味する。適切な賦形剤は一般に比較的易流動性の粒状固体であり、水と接触しても濃化又は重合せず、患者が吸入した場合に基本的に無害であり、その生物活性を変化させるような方法で治療剤と有意に相互作用しない。適切な賦形剤については以下の通りであり、限定されないが、ヒト及びウシ血清アルブミン、ゼラチン、イムノグロブリン等の蛋白質;単糖類(ガラクトース、D−マンノース、ソルボース等)、二糖類(ラクトース、トレハロース、スクロース等)、シクロデキストリン、及び多糖類(ラフィノース、マルトデキストリン、デキストラン等)等の糖質;グルタミン酸一ナトリウム、グリシン、アラニン、アルギニン又はヒスチジン、及び疎水性アミノ酸(トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニン等)等のアミノ酸;ベタイン等のメチルアミン;硫酸マグネシウム等の賦形剤塩;3価以上の糖アルコール(例えばグリセリン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びマンニトール)等のポリオール;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニック;界面活性剤;並びにその組合せが挙げられる。
「ガラス」又は「ガラス状態」又は「ガラスマトリックス」とは流動性が低下した液体、即ち粘度が非常に高く、1010〜1014パスカル秒である液体を意味する。これは分子が振動運動するが、回転成分と並進成分が非常に遅い(殆ど測定不能)準安定非晶質系とみなすことができる。準安定系はガラス転移温度よりも十分低温で保存した場合に長期間安定である。ガラスは熱力学的平衡状態にないので、ガラス転移温度又はその付近の温度でガラスを保存すると、平衡まで弛緩し、その高粘度が低下する。その結果、ゴム状又はシロップ状の流動性液体となり、多くの場合には化学的及び構造的に不安定である。ガラスは多数の異なる経路により得ることができるが、経路に関係なくミクロレベルで物理的及び構造的に同一材料であると思われる。しかし、本発明の凍結フォームは例えば従来技術の凍結乾燥材料には見られない発泡開放気泡及び/又は独立気泡マクロ構造を含むことに注目すべきである。本発明の目的でガラスマトリックスを得るために使用される方法は一般に溶媒昇華及び/又は蒸発法である。
「ガラス転移温度」とは記号Tで表され、組成物がガラス状態からシロップ又はゴム状態に変化する温度である。一般に、Tは示差走査熱量分析(DSC)を使用して測定され、標準的には転移点の走査により組成物の熱容量(Cp)変化が開始する温度とみなされる。Tの定義は常に任意であり、現状で国際規約は存在しない。Tは転移の開始点、中間点又は終点として定義するこができ、本発明の目的ではDSCを使用した場合のCp変化の開始を使用する。C.A.Angellの論文“Formation of Glasses from Liquids and Biopolymers”:Science,267,1924−1935(Mar.31,1995)及びJan P.Wolanczykの論文“Differential Scanning Calorimetry Analysis of Glass Transitions”:Cryo−Letters,10,73−76(1989)参照。数学的処理の詳細についてはGibbs and DiMarzio著“Nature of the Glass Transition and the Glassy State”:Journal of Chemical Physics,28,NO.3,373−383(March,1958)参照。これらの論文は本明細書に援用する。
「浸透促進剤」とは薬剤の粘膜又は内層浸透を促進し、一般にこの特徴が望ましい場合に例えば鼻腔内、直腸内、及び膣内で使用することができる表面活性化合物である。
「医薬的に許容可能」な賦形剤(ビヒクル、添加剤)とは使用される活性成分の有効用量を提供するために対象哺乳動物に妥当に投与できるものである。これらは米国食品医薬品局(FDA)が現在までに「一般に安全とみなす(Generally Regarded as Safe(GRAS))」と指定している賦形剤が好ましい。
「医薬組成物」とは活性成分の生物活性を明白に有効に発揮させるような形態であり、組成物を投与する対象に対して毒性となる付加成分を含有しない調製物を意味する。
「ポリオール」とは複数のヒドロキシル基をもつ有機物質であり、例えば糖類(還元性及び非還元性糖類)、糖アルコール及び糖酸が挙げられる。本発明で好ましいポリオールは約600kDa未満(例えば約120〜約400kDa)の分子量をもつ。「還元性糖」とは金属イオンを還元すること、又はリジン及び蛋白質中の他の基と共有的に反応することができるヘミアセタール基を含むポリオールである。「非還元性糖」とは還元性糖のこれらの特性をもたない糖である。還元性糖の例としてはフルクトース、マンノース、マルトース、ラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース及びグルコースが挙げられる。非還元性糖としてはスクロース、トレハロース、ソルボース、メレジトース及びラフィノースが挙げられる。糖アルコールの例としてはマンニトール、キシリトール、エリスリトール、スレイトール、ソルビトール及びグリセロールが挙げられる。糖酸としてはL−グルコン酸とその金属塩が挙げられる。
「粉末」とは比較的易流動性であり、吸入装置に容易に分散することができ、その後、患者が吸引することができ、従って、鼻腔粘膜を含む上気道を介して鼻腔内又は肺投与するのに適した微細に分散した固体粒子から構成される組成物である。
組成物の「推奨保存温度」とは安定した送達用量を確保するように組成物の保存期間にわたって薬剤の安定性を維持するために粉末薬剤組成物を保存できる温度(T)である。この温度はまず組成物の製造業者により決定され、組成物の販売認可に関与する政府機関(例えば米国食品医薬品局)により認可される。この温度は製剤中の活性薬剤及び他の材料の温度感受性に応じて認可薬剤毎に異なる。推奨保存温度は約0〜約40℃であるが、一般には周囲温度即ち約25℃である。通常、薬剤は推奨保存温度以下の温度に維持される。
所与時点における酵素等の生物活性材料の生物活性が例えば結合アッセイで測定した場合に医薬組成物の製造時の生物活性の約10%以内(アッセイの誤差以内)にあるならば、生物活性材料は医薬組成物中で「その生物活性を維持する」。生きたウイルス又は細菌の場合には、組成物のウイルス力価又はコロニーカウントが初期力価又はカウントの1log以内にある場合に生物活性は維持されているとみなすことができる。生細胞の場合には、組成物の生細胞カウントが初期カウントの50%以内にある場合に生物活性は維持されているとみなす。生きたインフルエンザウイルスの力価を測定するために使用されるアッセイは蛍光フォーカスアッセイ(Fluorescent Focus Assay(FFAアッセイ))である。このアッセイからの力価はml当たりの蛍光フォーカス単位の対数(logFFU/ml)として報告される。1log FFU/mlは1log組織培養感染量/ml(log TCID50/ml)にほぼ等しい。他の「生物活性」アッセイについては以下に詳述する。
所与時点における化学的安定性に関して、生物活性材料が本明細書に定義するようにその生物活性を維持するとみなされる程度であるならば、生物活性材料は医薬組成物中で「その化学的安定性を維持する」。化学的安定性は生物活性材料の化学的改変体を検出及び定量することにより推定することができる。化学的改変としてはサイズ改変(例えば蛋白質の短縮)が挙げられ、例えばサイズ排除クロマトグラフィー、SDS−PAGE及び/又はマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間質量分析(MALDI/TOF MS)を使用して測定することができる。他の型の化学的改変としては(例えば脱アミド化の結果として生じる)電荷改変が挙げられ、例えばイオン交換クロマトグラフィーにより測定することができる。
色及び/又は透明度の目視試験、又はUV光散乱もしくはサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した場合に凝集、沈殿及び/又は変性の有意増加を示さないならば、生物活性材料は医薬組成物中で「その物理的安定性を維持する」。
「安定」な製剤又は組成物とはその生物活性材料が保存後にその物理的安定性及び/又は化学的安定性及び/又は生物活性を本質的に維持するものである。安定性を測定するための種々の分析技術が当分野で利用可能であり、例えばPeptide and Protein Drug Delivery,247−301,Vincent Lee Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs.(1991)及びJones,A.Adv.Drug Delivery Rev.10:29−90(1993)に記載されている。安定性は選択温度で選択時間測定することができる。材料を実際に保存する前に予想保存期間を推定するためには傾向分析を使用することができる。生きたインフルエンザウイルスでは、安定性は1log FFU/ml又は1log TCID50/mlの低下に要する時間として定義される。組成物は室温(〜25℃)で少なくとも3カ月、又は40℃で少なくとも1カ月、及び/又は約2〜8℃で少なくとも1年間安定であることが好ましい。更に、組成物は組成物の(例えば−70℃までの)凍結と融解後に安定であることが好ましい。
薬理学的意味では、生物活性材料の「治療有効量」とは疾患の予防又は治療に有効な量を意味し、ここで「疾患」とは生物活性材料の投与が有効となる任意状態である。これは慢性及び急性疾患又は疾病を含み、哺乳動物を該当疾患にかかりやすくする病態も含む。
「治療」とは治療処置と予防処置の両者を意味する。治療を要する対象としては、既に疾患をもつ対象と、疾患を予防すべき対象を含む。
「単位製剤」とは治療有効量の本発明の組成物を収容する容器を意味する。
細菌に関して「生存率」とは、細菌の増殖に適した栄養培地上にコロニーを形成する能力を意味する。ウイルスに関して生存率とは、適切な宿主細胞に感染してこの細胞で繁殖し、その結果として例えば宿主細胞叢上にプラークを形成する能力を意味する。
典型的な発泡乾燥工程中の時間に対する温度と圧力のグラフである。
図2A〜2Dはガラスバイアルで凍結発泡乾燥中の製剤の写真である。
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して測定したFluMist(登録商標)A/シドニーインフルエンザウイルスワクチンの相転移を示す。
10℃、15℃、及び20℃で乾燥を実施した凍結乾燥発泡工程後のB/ハルビンインフルエンザウイルスワクチンの工程活性(ウイルス力価)低下を示す。
10℃、15℃、又は20℃で一次乾燥を実施した凍結乾燥発泡工程後のB/ハルビンインフルエンザウイルスワクチンの安定性傾向を示す。
37℃と50℃で保存時の乾燥B/アンアーバーインフルエンザウイルスフォームの力価の安定性傾向を示す。
製剤AVS53中で乾燥した3種類の異なるインフルエンザウイルス株のワクチンフォームの安定性傾向を示す。
本発明のフォーム組成物の非晶質性を実証するX線回折データと電子顕微鏡写真を示す。
33℃の二次乾燥段階を最終段階とする凍結発泡工程の工程温度と累積生存率低下を示すグラフである。
凍結発泡工程で脱水に伴うリステリア菌生存率のグラフである。低温で二次乾燥を行うと、残留水分5%未満の乾燥フォームにおける生存率は高温で二次乾燥した同一材料よりも10倍良好であった。
典型的な低温凍結発泡乾燥用システムの模式図である。
図12A及びBは中温乾燥に比較して低温二次乾燥が微生物生存率に及ぼす効果を示すグラフである。
段階的二次乾燥温度が非段階的工程に比較して如何に生存率を増加しながら最終含水率を低下できるかを示すグラフである。
微生物凍結発泡乾燥における生存率はフォームマトリックスが非ガラス条件下にあるか否かによって実質的に影響されないことを立証するグラフである。
本発明の方法と組成物は乾燥フォームのガラスマトリックス内に例えばペプチド、蛋白質、核酸、抗体、ワクチン、細菌、ウイルス、リポソーム、血小板、及び/又は細胞懸濁液等の生物活性材料を長期間保存することができる。本発明の方法は例えば(発泡剤の存在下又は不在下で)生物活性材料とポリオール又はポリマーを溶媒中に含有する製剤を調製する段階と、減圧して(脱気、沸騰及び/又は導入した気泡の膨張により)製剤を発泡させてフォームを形成する段階と、(フォームを凍結させるか又は凍結させずに)フォームから溶媒を蒸発又は昇華させることによりフォームを安定化する段階により、乾燥フォーム防腐組成物を提供する。例えば脂質膜を含む生物活性材料の防腐に特に適した方法では、生物活性材料を保護剤と共に懸濁液に調製し、予備冷却し、膜の相転移温度付近の温度に維持して保護剤を膜に浸透させてから製剤を発泡させてフォームを形成し、薄層フォーム状に乾燥し、非常に低圧で乾燥し、低温の二次乾燥温度(例えば室温付近)で乾燥することができる。
発泡乾燥工程における微生物生存率低下は高剪断力、沸騰キャビテーション、発泡の酸化ストレス及び他の表面微小環境ストレス、凍結及び凍結−融解ストレス、温度及び乾燥ストレスが重なって生じると考えられる。意外にも、特に所定のウイルス及び細菌では、特に二次乾燥段階の温度ストレスが対数死亡率の主因となることを本発明者らは発見した。これは、標準的な非発泡凍結乾燥では同一乾燥温度が有害でない場合にも認められた。そこで、本発明者らは凍結発泡凍結乾燥工程の間に生存率を維持するための独自のシステム及び方法を考案した。
安定な乾燥フォームの製造方法
生物活性材料の防腐用の安定な乾燥フォームの製造方法は一般に、例えば溶液又は懸濁液として生物活性材料とポリオール及び/又はポリマーを併有する製剤を調製する段階と、製剤を減圧して発泡を開始する段階と、フォームを凍結させる段階と、凍結乾燥によりフォームを一次乾燥する段階と、約25℃以下の温度で残留水分10%以下までフォームを二次乾燥する段階を含む。
生存可能なウイルス及び/又は微生物(例えば細菌)の防腐用の好ましい態様において、発泡乾燥工程は例えば微生物とポリオールの製剤を微生物膜の相転移温度付近に保持する段階を含む。凝固点から10℃以内まで製剤を冷却後、減圧又は周囲圧力条件を下回る大気圧により製剤を発泡させてフォームを形成する。潜熱損失及び/又は環境冷却によりフォームを凍結させる。フォームを凍結乾燥により固形分約60%又は75%以上まで予備乾燥する。凝固点よりも高温の環境で二次乾燥を行う。二次乾燥段階の全体又は大半の間、フォームを凍結状態及び/又はフォームのガラス転移温度(Tg)未満に維持することが好ましいと思われる。二次乾燥は一般に残留水分が約10%以下、好ましくは水分が約5%まで低下したときに完了する。
例えば1態様では、溶媒中に生物活性材料、ポリオール及び/又はポリマーを含有する製剤を約200Torr〜約25Torrの圧力下で発泡させてフォームを形成した後にフォームを安定化し、乾燥する。この態様は例えば十分なフォーム発泡を得るために高真空(圧力24Torr以下)を必要としない点が上記従来技術と区別される。この態様では、本発明の方法は例えば製剤から飽和ガスの脱気、製剤から高蒸気圧溶媒の沸騰、ガス形成化学反応、及び/又は製剤に注入もしくはトラップした気泡の膨張によりフォーム発泡を行うので、より高圧で十分な発泡を得ることができる。この態様の製剤は例えばフォームの発泡又は乾燥中に予備冷却すること及び/又は実質的潜熱を失わせることができ、その結果、例えば場合によりフォームの凍結及び/又は凍結乾燥が得られる。一次乾燥段階の完了後に、安定化した乾燥フォームを例えば50mTorr未満の圧力で二次乾燥温度に維持し、製剤の乾燥を完了することができる。
別の態様では、例えば沸騰下又は非沸騰下でフォーム発泡及び/又は制御を行うために、発泡剤を製剤に加える。例えば、発泡剤と、生物活性材料と、ポリオール及び/又はポリマーを含有する製剤を減圧して製剤を(発泡剤の作用により)発泡させてフォームを形成し、安定化し、乾燥する。後記製剤の発泡のセクションに記載するように、発泡剤は例えば製剤中に溶存するガス、高蒸気圧(揮発性)溶媒、炭酸塩、活性金属、直流電流、微細気泡懸濁液、及び/又は同等物とすることができる。
本発明の別の態様は例えば生物活性材料の防腐用凍結乾燥フォーム組成物の製造方法を提供する。例えば、生物活性材料とポリオール及び/又はポリマーを含有する製剤を減圧下に発泡させてフォームを形成し、凍結させ、昇華して凍結乾燥フォーム組成物を得ることができる。この態様では例えば製剤からの熱伝導損失及び/又は溶媒蒸発もしくは昇華による潜熱損失により凍結させることができる。
本発明は例えば脂質膜成分を含む生物材料の防腐方法を包含する。脂質膜を含む生物活性材料の防腐方法は例えばポリオール保護剤約2%〜40%を含有する溶液中で生物材料製剤を約45℃〜0℃の膜相転移温度まで約30分間冷却する段階を含むことができる。(保護剤は例えば相転移下の膜を浸透して包囲容積内の生物分子を安定化することができる。膜相転移温度は脂質膜が液(高移動度)相からより剛性のゲル−結晶相に転移する温度である。脂質膜は脂質二重層の特徴的相転移温度で外部媒体の受動拡散を受け易いので、細胞、細菌、又はウイルスに安定剤/保護剤を添加する1つの方法はこのような相転移温度でプレインキュベーションする方法であると予想される。)次に減圧し、例えば製剤を沸騰させてフォームを生成することができる。製剤から潜熱と共に水が迅速に失われる結果として、例えばフォームの凍結を生じる。水は例えば数分間の昇華により失われ続け、実質的に乾燥したフォーム組成物が得られる。昇温し、例えば付加残留水分や水和水を排出し、乾燥フォームの物理的及び/又は化学的安定性を強化することができる。
図1は本発明の典型的な凍結発泡乾燥工程を示す。各種乾燥段階のエンベロープウイルスを含有する製剤の写真を時間に対する真空チャンバーの温度と圧力のグラフに重ね合わせたものである。チャンバー温度線11は凍結発泡工程中の真空チャンバーの温度を示す。浸透段階12、発泡段階13、及び初期(一次)乾燥段階14を通してチャンバー温度をウイルスの相転移温度付近即ち約15℃に維持する。二次乾燥段階15中にチャンバー温度を約33℃の乾燥温度まで勾配上昇させた。チャンバー圧力線16は浸透段階中には大気圧以上に維持され、発泡段階中に約2500mTorrまで低下し、初期乾燥段階中に約250mTorrまで低下し、二次乾燥段階中に約50mTorrまで低下する。バイアル温度線17は工程中に代表的バイアル内の製剤に配置した熱電対から測定した温度を示す。バイアルは浸透段階中に膜相転移温度を維持するが、発泡段階中に製剤から水の蒸発と昇華により潜熱が失われることにより圧力が低下するにつれて急激に冷却される。バイアル温度は二次乾燥段階で残留水分低下速度が漸減するにつれてチャンバー乾燥温度付近まで漸増する。
図2A〜2Dは凍結発泡乾燥段階中の製剤の代表的バイアルの写真を示す。図2Aでは、チャンバー内の圧力が低下し始めるにつれてバイアルの底の液体製剤が沸騰し始めている。図2Bでは、フォーム状マトリックスが水分低下と低温により濃化するにつれて安定化し始めている。図2Cでは、フォームが凍結され、初期乾燥段階の水の大半を失っている。図2Dは二次乾燥段階で相当時間経過後の乾燥フォームガラスマトリックスを示す。
前記方法の1態様では、例えば、製剤は40%スクロース、5%ゼラチン、0.02% Pluronic F68、及びpH7.2リン酸緩衝液の溶液中に生きた弱毒インフルエンザウイルス生物活性材料を含有する。製剤を滅菌10mlシリコンガラスバイアルに分注し、15℃(ウイルス膜の相転移温度付近、図3参照)まで約30分間予備冷却する。約50mTorrまで約30分間急速に減圧し、全体に氷核形成と氷成長を示すフォームを生成する。初期発泡及び凍結後に、氷昇華と蒸発により物理的に安定なフォームを生成する。(製剤に発泡剤を添加する場合には約400Torr〜7.7Torr以下、又は2.5Torr〜約50mTorrの真空下でこのようなフォームを生成することができる)。二次乾燥段階で約2日間温度を約33℃まで上げ、組成物の残留水分を所望レベルまで低下させる。バイアルを滅菌シールし、保存時の安定性のために汚染物質と水分が入らないようにする。
製剤の調製
本発明の製剤は例えばポリオール、ポリマー、発泡剤、界面活性剤、及び/又は緩衝液を含有する溶液又は懸濁液に配合した生物活性材料を含むことができる。当業者に自明の通り、製剤成分は成分に適した方法を使用して順次添加することができる。例えば、ポリマー及び/又は高濃度のポリオールを水溶液に加熱撹拌下に溶解した後に冷却し、生物活性材料と混合することができる。ウイルスや細菌等の生物活性材料を例えば遠心又は濾過により増殖培地から濃縮分離した後に製剤に再懸濁することができる。
生物活性材料は例えば任意生物活性(例えば酵素活性、遺伝情報の保存、アフィニティー相互作用、免疫応答の誘導、細胞操作、感染、細胞増殖の阻害、細胞増殖の刺激、治療効果、薬理効果、抗微生物効果、及び/又は同等効果)を提供する該当材料とすることができる。例えば、生物活性材料は酵素、抗体、ホルモン、核酸、細菌、ウイルス、リポソーム、血小板、他の細胞、及び/又は同等物とすることができる。生物活性材料は例えば生細胞及び/又は生存可能なウイルスとすることができる。生物活性材料は例えばワクチン又は治療剤の送達用ビヒクルとして有用な非生細胞又はリポソームとすることができる。本発明のウイルス生物活性材料は例えばインフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、AAV、アデノウイルス、呼吸器多核体ウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、SARSウイルス、コロナウイルスファミリーメンバー、ヒトメタニューモウイルス、エプスタイン・バールウイルス、及び/又は同等物等の生きたウイルス及び生きた弱毒ウイルスとすることができる。
本発明の方法の保護剤としては例えば種々のポリオールの任意のものが挙げられる。例えば、スクロース等のポリオールは全乾燥工程で生物活性材料を物理的に包囲して分子構造の保持を促進し、乾燥状態のガラスマトリックスに構造剛性を付与することができる。ポリオールの他の機能としては、例えば損傷性の光、酸素、水分、及び/又は同等物との接触からの生物活性材料の保護が挙げられる。例えば、スクロース等のポリオールは生物活性材料を物理的に包囲し、損傷性の光、酸素、水分、及び/又は同等物との接触から保護することができる。ポリオールは例えば乾燥中に失われた水和水に置換し、材料の生体分子の変性を防ぐことができる。本発明の方法では、ポリオールは例えば増粘剤に粘着力を付与し、防腐組成物の乾燥フォーム構造を形成する気泡の形成と安定化を助長することができる。本発明は特定ポリオールに限定されないが、例えばスクロース、トレハロース、ソルボース、メレジトース、ソルビトール、スタキオース、ラフィノース、フルクトース、マンノース、マルトース、ラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース、グルコース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、スレイトール、ソルビトール、グリセロール、L−グルコン酸塩、及び/又は同等物を製剤及びフォーム組成物に添加することができる。殆どのポリオールは例えば約1重量%〜約45重量%、約2重量%〜約40重量%、又は約5重量%〜約20重量%の量を製剤に容易に溶解混合することができる。
本発明の方法の製剤には例えば保護効果及び/又はフォーム構造安定性を付与するためにポリマーを加えることができる。ポリオールと同様に、ポリマーは例えば生物活性材料に物理的及び化学的保護を提供することができる。ポリマーは多くの場合には例えばポリオール単独よりも製剤の重量当たり粘度を増すことができる。直鎖又は分岐鎖ポリマーは例えば本発明の乾燥フォーム組成物に高い構造強度を付与することができる。多くのポリマーは例えば高度に水溶性であるため、乾燥フォームの再構成をさほど妨げない。本発明の方法におけるポリマー保護剤としては例えば加水分解ゼラチン、非加水分解ゼラチン、水溶性ポリマー(例えばポリビニルピロリドン)、オボアルブミン、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、シアル化多糖、アクチン、ミオシン、微小管、ダイニン、カイネチン、ヒト血清アルブミン、及び/又は同等物が挙げられる。
発泡剤は例えば減圧下に製剤を発泡させてフォームを形成することが可能な製剤成分とすることができる。発泡剤は例えば、製剤に懸濁した減圧下に膨張可能な小気泡及び/又は製剤中に気泡を発生することが可能な成分とすることができる。発泡剤は例えば製剤中に溶存するガス、ガス形成薬品、易沸騰性溶媒、トラップもしくは懸濁した気泡、注入気泡、及び/又は同等物とすることができる。
例えば他の製剤成分の溶解度を上げ、発泡中に所定生体分子を表面張力による変性から保護し、気泡を安定化し、より迅速に再構成し、及び/又は同等効果を得るために本発明の方法の製剤に界面活性剤を加えることができる。界面活性剤は例えば適切なイオン性又は非イオン性界面活性剤、Tween界面活性剤、Pluronic界面活性剤、及び/又は同等物とすることができる。
例えば本発明の方法の製剤及び組成物に適切な安定したpHを提供するために本発明の方法の製剤には緩衝液を添加することができる。本発明の典型的な緩衝液としては、例えばリン酸カリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ヒスチジン、イミダゾール、クエン酸ナトリウム、琥珀酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、及び/又は炭酸塩が挙げられる。緩衝液は例えば約pH4〜約pH10の範囲のpH安定性を提供するように適当な酸及び塩として調整することができる。多くの組成物では例えばpH7.2等の中性付近のpHが好ましい。
他の賦形剤も製剤に添加することができる。例えば、アルギニンやメチオニン等のアミノ酸を製剤及び組成物の成分とすることができる。アミノ酸は例えば処理表面及び保存容器上の荷電基をブロックする両性イオンとして機能し、生物活性材料の非特異的結合を防ぐことができる。アミノ酸は例えば酸化剤の捕捉、脱アミド化剤の捕捉、及び蛋白質の配座の安定化により、組成物の安定性を増すことができる。別の例では、例えば乾燥フォーム組成物中でポリオール及び/又は可塑剤として作用するようにグリセロールを本発明の製剤に添加することができる。例えば、有害なフリーラジカル化学反応を開始する可能性のある金属イオンを捕捉するために組成物にEDTAを添加することができる。
製剤の冷却
例えば生物活性の安定化、製剤の濃化、製剤成分の膜浸透促進、及び/又は凍結乾燥前の製剤の凍結等の効果を提供するために、フォーム発泡、フォーム安定化、凍結、及び/又は乾燥前に本発明の製剤を冷却することができる。
冷却は当分野で公知の適当な任意方法により実施することができる。例えば、冷却は冷却ハードウェアとの接触と伝導、冷流体流との接触、潜熱損失、及び/又は同等手段により実施することができる。一般に、温度制御プロセスチャンバー内の金属ラックでガラス容器に製剤を保持し、制御温度に平衡させる。チャンバーは例えば製剤溶媒の蒸発又は昇華による潜熱損失により冷却を誘導できるような圧力制御機能を含むことができる。
保護剤の浸透を促進するために、例えば生物材料に付随する脂質膜の相転移温度まで本発明の製剤を予備冷却することができる。生体膜の脂質二重層と所定のリポソームの単層は主相転移温度(T)よりも高温では液相で存在し、Tよりも低温では結晶相として存在することができる。液相膜と結晶相膜は親水性分子の浸透に対する連続疎水性バリヤーを構成することができる。特定理論に結び付けるものではないが、T付近の温度では脂質膜上の液相と結晶相の領域の境界に膜貫通欠陥が存在するのではないかと考えられる。このような膜貫通欠陥は本発明の多数の保護剤等の親水性分子の浸透性を増すことができる。更に、製剤は固形分濃度が高いので、化学勾配が生じ、保護剤等の溶質は更に膜に侵入する。その後、製剤から水分を除去すると、安定化レベルの保護剤を膜包囲容積内に保持することができる。膜相転移温度(図3参照)で保護剤と接触したウイルスの工程安定性と保存安定性の増加を夫々図4及び5に示す。
多くの脂質膜のTは本発明の製剤の凍結温度とガラス転移温度(T)よりも高い。このため、溶液中の保護剤はそのT付近で脂質膜中に容易に拡散することができる。例えば、スクロースの40%溶液は15℃の典型的膜Tで液体のままであり、細胞に有効に浸透する。溶液中の保護剤は相転移下の膜に対する浸透性が高いので、膜包囲容積内の生体分子を保護することができる。
膜のTは例えばフーリエ変換赤外(FTIR)顕微鏡試験、曲げ剛性法、イオン浸透性試験等により測定することができる。本発明の方法では、脂質膜をもつ生物活性材料の製剤を例えば約0℃〜約70℃、約2℃〜約45℃、約12℃〜16℃、又は約15℃の温度に維持することができる。15℃の推定相転移温度(図3参照)で乾燥した生きたインフルエンザウイルスフォームは工程関連力価低下に対する耐性が高いことが判明し(図4参照)、10℃と20℃で乾燥したフォームよりも有意に良好な長期室温安定性を示した(図5参照)。製剤をTに維持すると保護剤を十分に浸透させることができる。例えば、製剤を脂質膜Tに約10〜約60分間、又は約30分間維持することができる。
製剤の発泡
発泡は例えば製剤から放出されるガスのトラップ及び/又は既存懸濁気泡の膨張により得られる。例えば、製剤の上方のガス圧が低下するにつれて溶媒成分の沸点は製剤の温度未満に低下し、その結果、溶媒の迅速な蒸発又は沸騰が生じる。例えば溶媒中に溶存するガスの分圧よりも減圧して脱気により気泡を生じる場合にも製剤中に有意起泡を生じることができる。化学的に気泡形成を誘導することもできる。あるいは、例えばフリットガラス等により容器の底からガスを導入することにより物理的に起泡を誘導することもできる。
例えば印加圧の低下により製剤内で気泡を膨張させることにより製剤を発泡させてフォームを形成することができる。気泡は例えば既存するものでもよいし、注入及び/又はin situ生成してもよい。気泡は例えば発泡前に製剤内に懸濁してもよいし、発泡前もしくは発泡中に製剤に注入してもよいし、沸騰、脱気、もしくはガス形成化学反応により発生させてもよい。例えば製剤のフォーム発泡を促進するために添加される製剤成分は本発明の発泡剤とすることができる。
製剤の発泡は例えば製剤の沸騰により得られる。沸騰は例えば溶媒の沸点や、製剤溶媒の蒸気圧が周囲圧を超えるときに生じる。沸騰は例えば製剤の温度の調節(温度が高いほど蒸気圧は高い)及び/又は印加圧の調節により制御することができる。一般に、本発明の製剤は生物活性材料の安定性につながり易い低沸点を提供するために減圧(真空又は大気圧未満の圧力)下で沸騰させることができる。低沸点(又は高蒸気圧)の溶媒を含有する製剤はより低温で沸騰することができる。例えば、所定のアルコール、エーテル、フルオロカーボン、及び/又は同等物を添加することにより、本発明の製剤の沸点を下げることができる。
例えば脱気により製剤を発泡させてフォームを形成することもできる。液体中のガスの分圧と周囲大気の間に平衡が成立するまでガスは液体溶媒に拡散及び溶存することができる。周囲大気の圧力が例えば急激に低下するならば、ガスは気泡として液体から迅速に逃げ出すことができる。例えば、大気圧でガスと平衡させた水溶液を低圧に暴露すると、気泡が容器の壁に形成されたり、「フィズ」として溶液から噴出する場合がある。これは沸騰ではなく、溶液からの溶存ガスの放出ないし脱気である。圧力を更に下げると、ガスを溶液から実質的に除去することができる。最終的に、溶媒、温度及び圧力に応じて溶液の溶媒は沸騰し始めることができる。脱気により減圧下で本発明の製剤を発泡させてフォームを形成することができる。製剤を約1気圧(海面で約760Torr)〜約500気圧等の適切な圧力のガスに暴露し、ガスを製剤に導入することができる。ガスが高圧(>1気圧)で製剤と平衡している場合には、発泡を誘導する減圧は真空(<1気圧)である必要はない。ガスが周囲圧以下で製剤と平衡している場合には、気泡の膨張を開始する減圧は例えば真空とすることができる。本発明の発泡剤として機能することができるガスは当分野で公知の任意のものとすることができ、空気、一酸化窒素、窒素、酸素、低分子量炭化水素、不活性ガス、二酸化炭素、及び/又は同等物が挙げられる。
例えばガスを発生する化学反応により製剤を発泡させてフォームを形成することもできる。当業者に自明の通り、本発明の発泡剤は例えばガス発生化学反応に関与する薬品とすることができる。例えば、製剤中の炭酸塩は酸と反応してCOガスを生成することができる。他の反応では、例えばナトリウムやリチウム等の活性金属は水の存在下で反応して水素ガスを発生することができる。直流電流を使用する電気分解反応を使用して例えば水素及び/又は酸素ガスを電極に発生することもできる。製剤内に発生したガスは例えば断熱的又は定圧下に膨張し、製剤を発泡させてフォームを形成することができる。場合により、製剤内に化学的に発生させたガスを印加圧の低下により膨張させ、製剤を発泡させてフォームを形成することもできる。
例えば機械的方法により気泡を製剤に導入することもできる。例えば製剤への気泡の強制導入及び/又は注入した小気泡の減圧下の膨張により製剤を発泡させてフォームを形成することができる。例えば、撹拌、ホイップ、ホモジナイズ、吹き込み、噴射、振盪、音波処理、ボルテックス、ブレンド、及び/又は同等手段により気泡を製剤に導入することができる。例えば本発明の粘性製剤に導入後に、気泡は長期間マトリックス構造に懸濁した状態に維持することができる。懸濁した気泡を例えば減圧により膨張、及び/又は製剤の乾燥もしくは冷却により安定化することができる。1態様では、フィルターメンブレンを介して加圧ガスの力により小気泡(例えば直径0.01〜0.1〜1mm)を製剤に導入することができる。
製剤を減圧することにより発泡を開始又は拡大することができる。発泡は例えば製剤からのガスの脱気、導入した小気泡の膨張及び/又は溶媒の沸騰の結果として得られる。排出するガスを例えば製剤の粘性保護剤及び/又は界面活性剤によりトラップすることができる。発泡段階の結果、例えば製剤の初期乾燥、フォームの濃化及び構造安定化、及び/又は凍結が得られる。
脂質膜を含む生物活性材料の防腐方法は、例えば相転移温度までの予備冷却と製剤を凍結させることが可能な真空条件の併用を含む。凍結は凍結乾燥中の蛋白質(及び膜)損傷の主原因となるので、従来技術は凍結を防ぐために高圧(例えば〜100Torr以上)、濃厚溶液及び/又はより高い初期温度の使用を教示している。本発明の各種凍結防止剤を含有する製剤と工程パラメーターを使用すると、工程のフォーム発泡、フォーム安定化、又は乾燥段階中に凍結が生じても生物活性蛋白質及び/又は膜を凍結防止することができる。
製剤から溶媒を蒸発させると、真空下の製剤の初期乾燥を加速することができる。溶媒の沸騰は例えば製剤からの溶媒の迅速な排出、製剤の対流ターンオーバー、及び表面積の増加により製剤の初期乾燥を加速する。多くの場合には、気泡が大きくなり過ぎたり、製剤が容器から溢れる可能性があるため、製剤を沸騰させないことが望ましい。
蒸発が進むにつれてフォーム構造を安定化することができる。溶媒が製剤から排出されるにつれて溶液中の保護剤は濃縮され、濃厚になる。溶媒蒸発と潜熱損失により製剤を冷却することができる。所定時点で、冷却濃縮された保護剤はそのガラス転移温度に達し、液体としての流動を停止することができる。潜熱損失の結果として製剤を凍結させることができる。一般に、凍結は冷却表面及び/又は冷却雰囲気との接触による熱除去の結果として得られる。ガラス状及び/又は凍結製剤は安定なフォーム構造を維持することができる。例えば保持容器にエッチング加工ガラス底を付けて容器の底の気泡形成を促進することにより、全体に開放気泡フォーム構造が得られる。濃化しつつある製剤中を気泡が上昇すると、開放気泡フォームの相互結合スペースを形成することができる。迅速な乾燥と濃化により無気泡製剤の沈降や製剤上方のシール皮膜形成を防ぐことにより開放気泡フォームを促進することもできる。開放気泡フォームは二次乾燥時間と再構成時間を短縮することができる。
発泡は例えば製剤成分の種類と濃度、製剤温度、印加圧レベル、圧力変化速度、及び/又は同等因子等の条件によって変えることができる。例えば、界面活性剤又は増粘剤を加えると、低密度フォームの気泡を安定化することができる。別の例では、例えばプロセスチャンバーを加熱することにより潜熱損失を補充すると、溶媒の沸騰を延長することができる。別の例では、圧力が低いほど活発又は連続的な沸騰及び/又は発泡を生じることができる。本発明の方法で所望発泡及び/又は凍結を生じるためには例えば約400Torr未満、約200Torr以下、約100Torr〜約25Torr以下、25Torr〜7.7Torr以下、又は2500mTorr〜約50mTorr、又は約25mTorr以下まで圧力を下げることができる。例えば発泡、フォーム安定化、及びフォームの初期乾燥を完了するには、真空を約1時間又は約2時間維持することができる。
本発明の方法における初期(一次)乾燥は例えば凍結乾燥を含むことができる。補充せずに潜熱が失われる場合又は伝導により熱が逃げる場合には、例えば製剤の凍結温度に達することができる。蒸発、接触伝達、及び/又は昇華により更に熱が失われるにつれて、製剤は凍結し、例えばフォーム構造を安定化することができる。初期乾燥は例えば付加溶媒が真空昇華により除去される間持続することができる。昇華及び/又は蒸発は例えば凝縮又は乾燥によりフォーム周囲のガス環境から溶媒(水分)を除去することにより誘導することができる。
二次乾燥
構造的に安定化された初期乾燥フォームを二次乾燥することにより、例えばトラップされた溶媒又は分子水和水を除去し、例えば周囲温度で長期間保存時に安定な組成物を提供することができる。二次乾燥は例えば高真空下で中温に数時間〜数日間加温することにより実施することができる。生きた状態を含む生物活性材料の保護用の好ましい態様において、生存率は二次乾燥段階中の例えば室温以下の温度調節に過度に依存することが判明した。
例えば、初期乾燥フォームを加熱して残留溶媒を除去することができる。フォームの加熱を調節するためには、実質量の付加熱を加えたりフォームの温度を上げるのではなく、例えば蒸発又は昇華の潜熱を補充するように少量の熱を加えればよい。例えば減圧雰囲気を赤外光等で加熱して熱を加えてもよいし、及び/又はシェルフ、トレー、及びガラスバイアル等の接触するハードウェアを介してフォームに熱を伝導させてもよい。乾燥温度はフォーム構造の崩壊を防ぐように例えば残りの組成物のガラス転移温度未満とすることができる。本発明の方法により、非晶質ガラスマトリックス内に少なくとも1種の生物活性材料を含む医薬的に許容可能なガラスマトリックスが得られる。ガラスマトリックスは中空フォーム気泡の周囲により大きな寸法のフォームマトリックス構造の壁を形成する固体材料とすることができる。組成物はほぼ完全に乾燥していることが好ましい。組成物中に多少の水又は他の水性溶媒が残っていてもよいが、一般に残留水分は10重量%以下とする。乾燥温度は約10℃〜約70℃、約25℃〜約45℃、又は約35℃とすることができる。多くの生物活性材料の典型的な二次乾燥工程は、例えば約30℃〜約35℃の乾燥温度まで昇温する段階と、約0.5日〜約5日間保温し、残留水分が0.1%〜約10%、又は約3%の安定な乾燥フォーム組成物を得る段階を含むことができる。微生物及びウイルスの防腐用の好ましい態様において、二次乾燥温度は30℃未満、より好ましくは25℃、20℃以下とする。微生物の二次乾燥の好ましい1態様では、一次乾燥条件から(例えば温度勾配プロファイルに従って)ゆっくりと連続的又は小刻みな段階的に乾燥温度をゆっくりと上昇させる。本明細書で「乾燥」、「乾燥した」、及び「実質的に乾燥した」と言う場合には、水分が約0%〜約5%の組成物を意味する。ガラスマトリックスはカールフィッシャー法を使用して測定した場合に含水率約0.1%〜約3%であることが好ましい。
脱水速度を上げるため及び/又はより低い残留水分レベルまで脱水するために二次乾燥工程で真空に引くことができる。二次乾燥中の真空は例えば400Torr未満、100Torr未満、2.5Torr未満、500mTorr未満、100mTorr未満、50mTorr未満、又は好ましくは約25mTorrとすることができる。微生物の保護用の好ましい態様では、例えば10Torr未満、1Torr未満、500mTorr未満、100mTorr未満、50mTorr未満の比較的低圧を二次乾燥で使用し、利用する低温での乾燥を加速する。生きた状態の材料の防腐には、非常に低い絶対圧で二次乾燥を行い、長時間の高温の二次乾燥温度を避けることが好ましい。
凍結発泡乾燥工程から得られる生成物は一般に非晶質固体(図8参照)であり、ガラス状賦形剤(例えばスクロース)が非晶質ガラス状態であり、生物活性材料を封入しているため、ガラス状組成物内の化合物及び他の分子の移動度は非常に低いので、蛋白質変性を防ぎ、分子相互作用又は交差反応を著しく遅らせる。この工程は非晶質ガラスによる蛋白質の機械的固相化又は蛋白質上の極性荷電基との水素結合即ち水置換により行われるため、乾燥による変性を防ぎ、更に分解性相互作用が進むのを抑えると予想された。ガラス状固体がそのガラス転移温度よりも低温であり、賦形剤中に残存する残留水分が比較的低い限り、脂質膜を含む不安定蛋白質及び/又は生物活性材料は比較的安定に保たれる。但し、活性成分によっては結晶質状態のほうが好都合な場合もあるので、ガラス状態を達成することが必ずしも長期安定性の前提条件になる訳ではない。生物材料は一般に非晶質ガラス状態まで乾燥すると安定化し易いことが広く認められているが、このようなガラス状態が長期防腐に必要でも十分でもない場合もある。生物材料の安定化に関与するメカニズムは多因子であり、活性成分を封入する粉末マトリックスの非晶質性に限定されない点に留意することが重要である。本明細書に記載する工程による安定化には多数の因子が関与しており、限定されないが、蛋白質側鎖の配座移動性及び柔軟性の低下及び/又は封入の結果としての空隙率の低下、マトリックスの構造剛性の改善、活性成分からの賦形剤の相分離の低下、最適水素結合供与体の選択による水置換度の改善が挙げられる。最後の因子は安定化される蛋白質、核酸、糖質、又は脂質の表面に対する賦形剤の親和性及びアビディティに依存する。一般に、固体がガラス転移温度よりも低温であり、賦形剤中に残存する残留水分が比較的低い限り、脂質膜を含む不安定蛋白質及び/又は生物活性材料は比較的安定に保たれる。
充填と投与
製剤は所望に応じて例えば発泡と乾燥前に容器に充填してもよいし、個別容器に分注してもよい。製剤は例えば安定化フォームに加工するための標準ガラス凍結乾燥バイアルに充填することができる。ガラスバイアルは底をエッチング加工し、気密封止ストッパーを取付けて無菌にすることができる。本発明の生物活性材料は例えば再構成溶液もしくは懸濁液の注射、又は粉砕フォーム粉末粒子の吸入により投与することができる。
本明細書に記載する組成物は安定にすることができ、即ち封入された生物活性材料の生物活性を維持し、化学的及び/又は物理的に安定である。高温(例えば37℃)でエージングさせ、製剤の生物活性、化学的及び/又は物理的安定性を測定することにより組成物の安定性を試験した。生きた弱毒インフルエンザウイルスワクチンの1例(FluMist(登録商標))として、これらの試験の結果、これらの製剤に調製したウイルスは50℃で少なくとも1カ月間、37℃で3カ月以上安定であることが判明した(図6参照)。安定性は1log蛍光フォーカス単位/ml(FFU/ml)の力価低下に要する時間として定義される。25℃で、生きたインフルエンザウイルスは1年以上安定であった(図7参照)。このような製剤は高濃度の生物活性材料を使用する場合にも安定である。従って、これらの製剤は室温以上の温度で長期間輸送及び保存できるという利点がある。
乾燥後に得られる非晶質ガラスマトリックスに封入された生物活性材料の安定な組成物(図8参照)は当分野で公知の方法を使用して更に加工することができる。例えば、ガラスマトリックスは裁断、ミリング、又は他の分割法により容易に分割可能である。薬剤の粉砕又は微粉砕法は当分野で周知である。例えば、ハンマーミル、Entoleterミルとして知られる衝撃ミル、ジェットミル、ピンミル、Wileyミル、又は同様のミリング装置を使用することができる。好ましい粒度は約100um未満〜約0.1umであり、50um未満が好ましい。例えば吸入による肺投与には粒度約10um未満の粒子が適しているが、上気道及び鼻部への投与にはもっと大きな粒子が適切であると思われる。粒度は種々の分散及び流動性特徴が得られるように選択することができる。例えば、鼻腔内又は肺送達には易流動性粉末が特に望ましいと思われる。本発明の粉末組成物は水、食塩水、又は他の液体で容易に再水和することができる。
乾燥フォーム組成物は注射又は吸入による投与に適した水性緩衝液で再構成することができる。例えば、本発明の組成物は静脈内、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液内、髄腔内、経口、局所、鼻腔内、及び/又は肺経路により生物活性材料を送達することにより哺乳動物に投与することができる。フォームの表面積が大きく、多数の保護剤の溶解度が高いため、本発明の乾燥フォームは元の製剤よりも低濃度にも高濃度にも再構成することができる。場合により、例えば小容量皮下注射で十分な用量を送達するためには約400mg/mlまで等の高濃度で生物活性材料を再構成することができる。より低濃度の再構成溶液も例えばエアゾールとして吸入により投与することができる。投与経路の選択は例えば作用部位、薬理因子等により異なる。本発明の方法における生物活性材料の典型的用量は約0.01ng/kg〜約15mg/kgである。
生物活性材料の適切な用量(「治療有効量」)は例えば処置する病態、病態の重篤度と過程、生物活性材料を予防目的に投与するのか又は治療目的に投与するのか、治療暦、患者の臨床暦と生物活性材料に対する応答、使用する生物活性材料の種類、及び主治医の裁量により異なる。生物活性材料は患者に単回又は一連の治療で適切に投与することができ、診断後の任意時点で患者に投与することができる。生物活性材料は単剤療法として投与してもよいし、該当病態の治療に有用な他の薬剤又は療法と併用してもよい。
一般案として、投与する生物活性材料の治療有効量は約0.01ng/kg〜約50mg/kg患者体重を1回以上投与し、使用する蛋白質の典型的範囲は約0.05ng/kg〜約20mg/kgであり、約0.1ng/kg〜約15mg/kgを例えば毎日投与するのがより好ましい。しかし、他の投与レジメンが有用な場合もある。この治療の進行は慣用技術によりモニターすることができる。
本発明の別の態様では、本発明の医薬組成物を保持し、場合によりその使用説明書を添付した容器を含む製品を提供する。適切な容器としては例えば瓶、バイアル及びシリンジが挙げられる。容器はガラスやプラスチック等の各種材料から形成することができる。典型的な容器は3〜20cc使い捨てガラスバイアルである。あるいは、多用量製剤では、容器は3〜100ccガラスバイアルとすることができる。容器は製剤を保持し、容器にラベルを添付して使用法を指示することができる。製品には更に、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、注射針、注射器、使用説明書等の商業的及びユーザー観点から望ましい他の材料を加えることができる。
本発明の組成物
本発明の組成物としては生物活性材料とポリオール及び/又はポリマーの乾燥フォーム組成物が挙げられる。組成物は乾燥前に凍結させることにより製造しているため、初期凍結なしに乾燥したフォームとは構造と機能が本質的に異なる。例えば、製剤を単に乾燥する場合と製剤を凍結乾燥する場合とでは、微視的レベルでも相違する。本発明の組成物は例えば本発明の方法により製造することができる。本発明の組成物は例えばポリオールと脂質膜をもつ生物活性材料の製剤を調製し、脂質膜の相転移温度付近の温度まで製剤を冷却し、製剤を減圧してフォームを形成し、フォームを凍結させ、凍結したフォームから水を昇華させて凍結乾燥フォーム組成物を得ることにより製造することができる。フォームを更に乾燥するために二次乾燥条件を利用することができる。本発明の組成物としては例えば水性緩衝液で再構成された乾燥フォームが挙げられる。
1態様では、本発明の組成物は生きた弱毒インフルエンザウイルスのワクチンである。組成物は例えばフォームをガラス転移温度未満の乾燥温度(例えば20℃〜35℃)で6時間〜5日間二次乾燥して残留水分約5%未満の最終組成物を得る段階を含む本発明の方法により製造される。このような組成物は約25℃で保存した場合に1年間以上安定に維持することができる。膜相転移温度(例えば約15℃;図4参照)付近の温度でウイルスを製剤中に保持すること、及び/又は比較的低温(例えば22℃)で二次乾燥することにより、工程中の初期生存率を実質的に改善することができる。
生存可能な生物活性材料に関して、本発明の特定工程は従来技術の発泡乾燥を上回る生存率を維持できることが判明した。膜の相転移温度付近で材料をポリオールにより前処理し、低温で発泡を開始し、昇華により一次乾燥し、二次乾燥中にガラス転移温度未満に維持し、二次乾燥中に約30℃未満に維持し、高真空を利用することにより乾燥を促進し、及び/又は比較的薄いフォームを二次乾燥する操作を組合せると、特にシングルセル微生物及びウイルスに有利であることが判明した。このような方法を使用すると、高レベルの生存率を維持しながら、残留水分10%未満のフォームに封入された生物活性材料から組成物を製造することができる。例えば、腸内細菌ファミリーの細菌をポリオール及び/又はポリマーと配合し、真空に暴露してフォームを形成し、凍結及び凍結乾燥し、約25℃(以下)まで昇温しながら数時間又は数日間二次乾燥し、初期液体製剤中に存在する生存可能なコロニー数の25%、50%、75%、90%以上を維持する組成物を製造することができる。
図5及び6は本発明の乾燥フォーム内で防腐したエンベロープウイルスを25℃、37℃、及び50℃で保存した場合の安定性データのグラフを示す。グラフは時間に対する力価(蛍光フォーカス単位/mL−FFU/mL)を示し、各データ時点をドット又は正方形として示す。傾向線51と95%信頼区間52から明らかなように、25℃で本発明の組成物中に保存したウイルスの予想安定性(力価低下1log以下)は約40か月である。
別の態様では、本発明の組成物としては例えば乾燥フォーム内で生物活性材料として安定保存状態に防腐された血小板が挙げられる。血小板は巨核球由来細胞質フラグメントであり、血管病変部で凝集して出血を防ぎ、修復を開始することができる。外傷、疾病、又は薬剤による機能障害の結果としての循環血小板の欠乏又は不全を補充するために患者への血小板輸血が使用されている。例えば、特発性血小板減少症患者、鎌状赤血球貧血患者、及び縮小性化学療法を受けた患者は血小板輸血で治療することができる。多様な悪性腫瘍に縮小性化学療法を使用することが多くなっているため、血小板補充療法の必要も増している。単離血小板を使用する大きな問題の1つはその保存期間が短いことである。血小板は連邦食品医薬品局(FDA)により承認された液体状態の保存期間が室温で5日間までに過ぎず、この間に機能特性は迅速に低下する。このため、民間及び軍事医療の両面で多くの物流問題を生じる。
血小板防腐用組成物は適切な抗凝血剤に採血した後に当分野で公知の任意方法により多血小板血漿(PRP)を得ることにより製造することができる。血小板を本発明の方法により処理すると、血小板を含む安定な乾燥フォームを得ることができる。血小板はウイルスよりも大きく複雑な構造であるため、その特徴的相転移温度で乾燥することが特に重要である。乾燥した血小板は輸血前に生理的に許容可能な緩衝液に再懸濁することにより再構成することができる。治療用には、緩衝液は無菌とする。緩衝液は適切なpHの任意緩衝液とすることができる。再構成用緩衝液は高コロイド浸透圧を示す物質を含むことが好ましく、このような物質としては、限定されないがポリエチレングリコール(PEG)とヒドロキシエチルスターチ(HES)が挙げられる。緩衝液は1〜5%ヒト血清アルブミン(HSA)を添加した食塩水が好ましい。好ましい態様では、例えば膜相転移温度での保護剤の注入を使用し、低温/高真空二次乾燥を使用し、他の微生物について推奨されているように血小板、リポソーム、動物細胞及び植物細胞を処理することができる。
乾燥フォーム組成物の製造用製剤
本発明の乾燥フォーム組成物の製造用製剤は例えばポリマー、ポリオール、発泡剤、界面活性剤、及び/又は緩衝液を含有することができる。このような製剤は生物活性材料の保存及び投与用の安定な組成物を提供するように本発明の方法により処理することができる。
本発明の生物活性材料としては、例えば生体系で検出可能な生物活性をもつ材料、分析に使用される生体細胞及び分子、医療に使用される生体細胞及び分子、研究に使用される生体細胞及び分子、及び/又は同等物が挙げられる。例えば、本発明の組成物の生物活性材料としてはペプチド、蛋白質、ホルモン、核酸、抗体、ワクチン、細菌、ウイルス、リポソーム、血小板、細胞懸濁液、及び/又は同等物が挙げられる。
組成物中の脂質膜を含む生物活性材料は一般に生きているか、及び/又は弱毒化されているか、生物学的に活性であるか、生存可能であるか、又は非生存性の細胞、ウイルス、微生物(例えば細菌)、及び/又はリポソームである。例えば、生物活性材料としてはワクチン、ウイルス、リポソーム、細菌、血小板、及び/又は細胞が挙げられる。ウイルス性生物活性材料としては例えばインフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、AAV、アデノウイルス、呼吸器多核体ウイルス、単純ヘルペスウイルス、SARSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、コロナウイルスファミリーメンバー、サイトメガロウイルス、及び/又はエプスタイン・バールウイルスが挙げられ、約10TCID50/mL以上、約10TCID50/mL〜約1012TCID50/mL、又は約10TCID50/mL〜約10TCID50/mLの量を本発明の製剤に加えることができる。生物活性材料は一般に約1重量%未満、より好ましくは約0.001重量%未満、最も好ましくは約0.0001重量%の量を加える。
乾燥フォーム組成物の製造用製剤は例えば実質的な総固形分(水等の溶媒を差し引いた成分)を含有することができる。総固形分の主部分は生物活性材料、ポリオール、及び/又はポリマーから構成することができる。例えば、ポリオールは約2重量%〜約50重量%、約5重量%〜約45重量%、又は約20重量%〜約40重量%の濃度で製剤に添加することができる。別の例では、ポリマーは約1重量%〜約10重量%、又は約5重量%の濃度で製剤に添加することができる。製剤は固形分濃度が高いことが好ましく、一般には約5%〜70%、又は約30%〜50%である。本発明の製剤の粘度は一般に5センチポアズ(cP)よりも高く、10cPよりも高いとより好ましい。好ましい1製剤は〜12cPを示す。
本発明のポリオールとしては例えば各種糖類、糖質、及びアルコールが挙げられる。例えば、ポリオールとしては非還元性糖、スクロース、トレハロース、ソルボース、メレジトース、及び/又はラフィノースが挙げられる。ポリオールとしては、例えばマンノース、マルトース、ラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース及びグルコース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、スレイトール、ソルビトール、グリセロール、又はL−グルコン酸塩が挙げられる。製剤が凍結−融解安定性であることが所望される場合には、ポリオールは製剤中の生物活性材料を不安定にするような凍結温度(例えば−20℃)で結晶化しないものが好ましい。結晶の形成を抑えるためには2種類以上の異なるポリオールを加えると有益であると考えられる。
本発明のポリマーとしては、例えば各種糖質、ポリペプチド、直鎖及び分岐鎖親水性分子が挙げられる。例えば、製剤のポリマーとしてはゼラチン、加水分解ゼラチン、オボアルブミン、ポリビニルピロリドン、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、シアル化多糖、アクチン、ミオシン、微小管、ダイニン、カイネチン、又はヒト血清アルブミンが挙げられる。これらの添加剤は必然的に生物活性材料を不活化に対して安定化するだけでなく、凍結乾燥とその後の固体状態保存中に凍結乾燥材料の物理的崩壊を防ぐのに役立つ場合もある。同様に安定剤として機能し得る他のゼラチン代用物としては天然コラーゲンとアルギン酸塩が挙げられる。
ゼラチンを使用することが好ましく、加水分解ゼラチンがより好ましい。「加水分解ゼラチン」とは部分的に加水分解され、約1kDa〜約50kDa、又は約3kDaの分子量をもつ部分加水分解ゼラチンを意味する。このゼラチン加水分解物はゼラチンとほぼ同一のアミノ酸組成をもつ。加水分解ゼラチンの典型的アミノ酸組成は公知である。部分加水分解ゼラチンは多数の商業ソースから入手することができる。部分加水分解ゼラチンは例えばパパイン、キモパパイン、及びブロメリン等の蛋白分解酵素によるゼラチンの酵素加水分解により得ることもできるが、他の公知加水分解手段(例えば酸加水分解)も利用できる。分子量約1kDa〜50kDaのゼラチンを使用することが好ましい。約3kDa以下まで加水分解したゼラチンは全長ゼラチンよりも低アレルギー性であると思われる。ゼラチンはブタ及びウシを含む各種起源に由来するものを利用できる。ヒト化コラーゲンや高度加工コラーゲン(例えば宮城化学工業株式会社から市販されている低アレルギー性製剤用ゼラチンであるフリアラジン)を使用することもできる。この場合にも、製剤中のゼラチンの使用量は製剤の総組成やその所期用途により異なる。一般に、ゼラチン濃度は約1〜約7%であり、約1〜5%がより好ましい。好ましい製剤はゼラチン約5%を含有する。
本発明の組成物の製造用製剤には、例えば製剤成分の溶解度と安定性を助長し、フォームを形成及び安定化し易くするために1種以上の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては例えばモノラウリン酸ポリエチレングリコールソルビタン(Tween 20)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 80)、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー(Pluronic)、及び/又は同等物等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。イオン性界面活性剤を製剤に添加することもできる。本発明の製剤及び組成物には例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールエーテルブロックコポリマー、アルキルアリールスルホナート、フェニルスルホナート、アルキルスルファート、アルキルスルホナート、アルキルエーテルスルファート、アルキルアリールエーテルスルファート、アルキルポリグリコールエーテルホスファート、ポリアリールフェニルエーテルホスファート、アルキルスルホスクシナート、オレフィンスルホナート、パラフィンスルホナート、石油スルホナート、タウリド、サルコシド、脂肪酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグノスルホン酸、スルホン化ナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物、又はスルホン化ナフタレンとホルムアルデヒドとフェノールの縮合物、リグニン−亜硫酸廃液、アルキルホスファート、第4級アンモニウム化合物、アミンオキシド、ベタイン、及び/又は同等物等の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤は約0.001重量%〜約2重量%、又は約0.01重量%〜約1重量%の濃度で本発明の製剤に添加することができる。
例えばpHを制御するため、安定性を増進するため、成分溶解度を変化させるため、投与時の快適さを提供するため等の目的で乾燥フォーム組成物の製造用製剤に緩衝液を添加することができる。製剤pHは約pH4〜約pH10、約pH6〜約pH8、又は約pH7.2に制御することができる。好ましい緩衝液は多くの場合には生物活性材料の特定投与経路に安全であると一般に認められている緩衝液アニオンの酸と塩の対である。本発明の製剤及び組成物で使用される典型的緩衝液としては例えばリン酸カリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヒスチジン、イミダゾール、琥珀酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸塩等が挙げられる。
1態様では、製剤は上記物質(即ち生物活性材料、ポリオール、界面活性剤、及びゼラチン)を含有しており、ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、クロロブタノール、及び塩化ベンゼトニウム等の1種以上の防腐剤を本質的に添加しない。別の態様では、特に製剤が多用量製剤である場合には防腐剤を製剤に添加してもよい。
製剤の所望特徴に悪影響を与えないという条件でRemington’s Pharmaceutical Sciences 16th Edition,Osol,A.Ed.(1980)に記載されているような1種以上の医薬的に許容可能なキャリヤー、賦形剤又は安定剤を製剤に添加してもよい。許容可能なキャリヤー、賦形剤又は安定剤は使用する用量と濃度でレシピエントに非毒性であり、付加的な緩衝剤、補助溶媒、塩形成対イオン(例えばカリウム及びナトリウム)、酸化防止剤(例えばメチオニン、N−アセチルシステイン、又はアスコルビン酸)、キレート剤(例えばEDTAやEGTA)が挙げられる。例えばアルギニンやメチオニン等のアミノ酸を製剤に添加してもよい。アルギニンは約0.1重量%〜約5重量%の量を製剤に添加することができる。メチオニンは約1mM〜約50mM又は約10mMの濃度で製剤に添加することができる。グリセロールは例えば約0.1重量%〜約5重量%、又は約1重量%の濃度で製剤に添加することができる。EDTAは例えば約1mM〜約10mM、又は約5mMの濃度で製剤に添加することができる。
以下、実施例により本発明を例証するが、これにより請求の範囲に記載する発明を限定するものではない。
生きた弱毒ウイルスの防腐
本実施例は37℃で125日間保存後に蛋白質完全性及び安定性を維持した組成物について記載する。
40%スクロース、5%ゼラチン、0.02%Pluronic F68、25mM pH7.2 KPO緩衝液を含有する8.0logFFU/ml力価溶液(〜10μg/mlウイルス原液の総蛋白濃度)として生きた一価弱毒インフルエンザウイルスB/ハルビン(CAZ039ロット)を調製した。次にこの溶液の1mLアリコートを10mLガラス凍結乾燥バイアルに分配し、凍結乾燥ストッパーを部分的に被せ、VirTis Genesis 25EL凍結乾燥機(VirTis,Gardiner,NY製品)を以下のサイクル条件に従って使用して凍結乾燥した。
1)シェルフを15℃まで予備冷却する(凍結乾燥機シェルフに乾燥剤を添加し、コンデンサーを−60℃に設定する);
2)バイアルをセットして30分間平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)60分間維持する;
5)約0.7℃/分で33℃まで昇温する;
6)48時間維持する;
7)バイアルをストッパーで封止する。
得られたフォームは含水率約2.2%(w/w)でT約43℃であった。
製剤
B/ハルビンインフルエンザウイルス又はプラセボを使用して本発明の方法に従って以下の製剤を調製した。製剤のpHは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで調整した。









凍結乾燥後に37℃又は50℃で保存後の上記製剤の熱安定性を測定した。logFFU/ml又はTCID50/mlとして測定した力価低下速度の低下から明らかなように、熱安定性の増加が認められる。本発明の各種製剤についてFFU/mlの1logオーダー低下に要した時間を以下に示す。
発泡乾燥条件
以下の凍結乾燥/乾燥チャンバー条件を使用して製剤を製造した。
サイクル1:
1)シェルフを25℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)30分間維持する;
5)45℃まで昇温する;
6)1時間維持する;
7)温度を37℃に調整して1時間維持する;
8)バイアルをストッパーで封止する。
サイクル2:
1)シェルフを30℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)2時間維持する;
5)37℃まで昇温する;
6)16時間維持する;
7)バイアルをストッパーで封止する。
サイクル3:
1)シェルフを15℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)60分間維持する;
5)37℃まで昇温する;
6)20時間維持する;
7)バイアルをストッパーで封止する。
サイクル4:
1)シェルフを12℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)25分間維持する;
5)33℃まで昇温する;
6)24時間維持する;
7)バイアルをストッパーで封止する。
サイクル5:
1)シェルフを17℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして10分間平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)60分間維持する;
5)37℃まで昇温する;
6)48時間維持する;
7)40℃まで昇温する;
8)48時間維持する;
9)バイアルをストッパーで封止する。
サイクル6:
1)シェルフを20℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)60分間維持する;
5)33℃まで昇温する;
6)72時間維持する;
7)バイアルをストッパーで封止する。
サイクル7:
1)シェルフを15℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)60分間維持する;
5)25℃まで昇温する;
6)72時間維持する;
7)バイアルをストッパーで封止する。
サイクル8:
1)シェルフを7℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)120分間維持する;
5)20℃まで昇温する;
6)72時間維持する;
7)バイアルをストッパーで封止する。
サイクル9:
1)シェルフを15℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして30分間平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)60分間維持する;
5)33℃まで昇温する;
6)48時間維持する;
7)バイアルをストッパーで封止する。
サイクル10:
1)シェルフを15℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして30分間平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)18時間維持する;
5)0.2℃/分で25℃まで昇温する;
7)5時間維持する;
8)0.2℃/分で33℃まで昇温する;
9)19時間維持する;
10)バイアルをストッパーで封止する。
サイクル11:
1)シェルフを7℃まで予備冷却する;
2)バイアルをセットして平衡化させる;
3)50mTorrに真空を設定する;
4)3時間維持する;
5)0.2℃/分で15℃まで昇温する;
6)16時間維持する;
7)0.2℃/分で25℃まで昇温する;
8)2時間維持する;
9)0.2℃/分で33℃まで昇温する;
10)27時間維持する;
11)バイアルをストッパーで封止する。
製剤
実施例1に示した乾燥サイクルを使用して生きたB/ハルビンインフルエンザウイルスを安定化した。25℃で10カ月間保存後にこれらの製剤で観察された安定性プロファイルを下表にまとめる。
高生存率を付与する工程
以前の実験において、本発明者らは同一製剤で標準凍結乾燥よりも凍結発泡乾燥のほうがウイルス及び細菌の工程生存率低下が一般に大きいことに注目した。本発明者らはこの相違が発泡凍結工程では標準凍結乾燥工程に比較して凍結前に発泡段階と沸騰予備乾燥段階を含むという工程間の主な相違に起因すると予想した。処理段階、時間、温度及び乾燥度に伴う生存率の工程低下を調査及び特性決定するために実験を行った。
主要時点で分析用サンプルを抽出しながら、発泡凍結乾燥シーケンスによりListeria monocytogenesをスクロース系製剤に加工した。図9は工程全体のスクロース質量分率(乾燥度レベル)に対するバイアル温度のグラフを示す。圧力と温度を制御したチャンバーにリステリア菌製剤のバイアルを導入した。リステリア菌をスクロース約30%の製剤に加えて15℃で工程を開始した(80)。発泡段階81で製剤を発泡させ、フォームを形成した。次にフォームを凍結させ(82)、蒸発と昇華によりシェルフ温度15℃の一次乾燥段階で脱水した(83)。約25%の水分が残存している場合には、本発明者らの標準非発泡凍結乾燥と同様に、チャンバー温度を約33℃まで迅速に上昇させることにより二次乾燥段階84を加速した。残留水分が約3%になるまで二次乾燥を続けた(85)。リステリア菌コロニー計数工程中の種々の点でサンプルを採取した。
驚くべきことに、発泡凍結工程における生存率低下は凍結発泡工程に固有の初期発泡段階と凍結段階にほとんど起因していなかった。即ち、これらの段階は意外にも発泡凍結乾燥工程と非発泡凍結乾燥工程における生存率の差の実質的原因ではなかった。使用した乾燥温度は業界の多くの凍結乾燥二次乾燥段階に比較して低く、凍結発泡工程でも標準凍結乾燥工程でも同一であったので、乾燥が工程間の生存率差の主因であるとは予想していなかった。しかし、凍結フォームの主な生存率低下は二次乾燥に関係していたので意外であった(約−1.5log10)。本発明者らはこれらの温度が標準凍結乾燥では問題なかったとしても、経時的に熱及び乾燥ストレスが重なって低下に繋がったものと理論付けた。
残留水分を10%未満に低下させるために十分な時間にわたり、一次乾燥のシェルフ温度15℃を二次乾燥段階の間も延長して実験を繰り返した。この場合、残留水分10%に達するには15℃で約4〜5時間を要した。全体では、15℃の一次及び二次乾燥を約16時間続けると、残留水分は約7%に達した。その後、最終乾燥段階として、33℃まで段階的に昇温した。図10に示すように、凍結発泡乾燥に伴う生存率低下は主に10%の残留水分点までの二次乾燥温度の選択に起因する。処理時間と最終乾燥レベルは凍結発泡乾燥工程における生存率に比較的小さな影響しか与えないことが判明した。
凍結発泡乾燥工程と標準凍結乾燥工程の主な違いは、凍結発泡工程では凍結前に発泡及び対流沸騰乾燥を行い、二次乾燥時間を延長する点であった。これらの実験の結果、意外にもこれらの因子は凍結発泡工程と標準凍結乾燥工程を比較した場合に認められる生存率低下の主要因ではないことが分かった。この実験の結果、生存率結果に大きく影響する1つの要素が同定された。凍結発泡乾燥の二次乾燥温度を低下させることにより、標準凍結乾燥と同等の生存率を得られることが分かった。
迅速低温二次乾燥システム
上記のように、凍結発泡防腐工程は二次乾燥段階中に低温を利用することにより改善できる。しかし、その結果、処理時間が長くなり、製造生産性を悪化させる恐れがある。以下の実施例では、本発明の所定の凍結発泡乾燥工程で使用される低温二次乾燥を加速することが可能なシステム要素を同定する。
凍結発泡乾燥した材料の表面積対体積比は例えば多くの凍結乾燥工程又は噴霧乾燥工程に比較して小さくなる可能性がある。この欠点は深さ又は厚みのある凍結フォームを凍結乾燥バイアル等の実質的に閉鎖した容器内で乾燥しようとする場合に特に問題になると思われる。例えば容器による乾燥の妨害を減らすこと及び/又は水がフォームから排出されるために移動する距離を減らすことにより、低温の二次乾燥温度での二次乾燥を実用的な時間で実施することができ、その結果、ウイルス及び微生物の高い生存率が得られると考える。
凍結フォームの低温乾燥を加速するようにシステムを設計することができる。例えば、図11に示すように、例えば内部温度及び圧力の制御機能を提供する環境制御チャンバー110からシステムを構成することができる。チャンバーの内側に発泡及び凍結用の生物活性材料製剤111(溶液及び/又は懸濁液)を導入することができる。製剤を表面112に配置することができる。表面は容器の内面でもよいが、より迅速な乾燥には、容器の内面でないことが好ましい。チャンバーの内圧を下げ、製剤を発泡させ、フォーム113を形成することができる。例えば冷却した内部雰囲気への暴露、蒸発冷却及び/又は表面112の冷却によりフォームを凍結させることができる。好ましい態様では、凍結フォームの厚み114は約10mm未満、5mm未満、2mm未満、約1mm以下とする。容器で妨害されずに内部チャンバー環境に直接暴露された薄層フォームは二次乾燥中に残留水分10%以下まで迅速に進行することができる。
本発明のシステムでは、例えば大型容器、プレート、ベルト又はドラム115の表面でバッチ又は連続式に凍結フォームを凍結乾燥及び二次乾燥することができる。図面の連続処理システムでは、ドラム表面に層を噴霧することにより製剤を塗布することができる。内部真空により層を発泡させてフォーム層を形成することができる。表面でフォームを凍結させることができ、凍結乾燥により一次乾燥を行うことができる。ドラムは回転し、例えば熱交換器、温度制御ガス流、赤外光、熱電素子及び/又は同等物により回転方向の各点で所望に応じて熱を層に付与又は層から排出することができる。例えば、発泡が完了するドラム表面上の点で、ドラム表面を冷却してフォームを凍結させることができる。その後、ドラム回転位置の後続点で表面を加熱し、昇華により失われた熱を補充することができる。ドラム回転方向の更に後続する二次乾燥点で表面に更に熱を加え、例えば約25℃に維持し、残留水分を除去することができる。最後に、凍結発泡乾燥した生物活性材料製剤を例えばスクラッピングによりドラムから回収することができる。
あるいは、塗布、発泡、凍結、一次乾燥、二次乾燥及び回収をプロセス表面全体でバッチシーケンス式に実施することもできる。例えば、プレート又は大型開口容器の底に製剤を注ぐか又は広げ、薄層を形成することができる。シートを環境制御チャンバーに導入し、減圧により製剤を発泡させて薄層フォーム(例えば1mm〜10mm)を形成することができる。フォームからの潜熱損失と熱伝導損失の併用によりフォームを凍結させることができる。温度制御チャンバーの周囲雰囲気から補充された潜熱による昇華により一次乾燥を行うことができる。相対湿度5%を得るために必要な時間にわたってフォームを15〜25℃の雰囲気に暴露することにより二次乾燥を行うことができる。フォームシートを粒状に破砕して従来の保存用容器に注ぐことによりフォームを回収することができる。
低温乾燥延長
二次段階の相当時間又は完了まで低温真空乾燥を延長すると、リステリア菌の生存率は増加した。
図12Aに示すように、Listeria monocytogenesの生存率はチャンバー温度を15℃とする一次及び二次乾燥中に比較的安定に維持された。しかし、二次乾燥の最後に33℃にすると、生存率低下は加速した。
図12Bに示すように、単に15℃の乾燥温度を乾燥終了時まで延長するだけで残留水分レベルが約5%でも高レベルの生存率が維持された。
段階的二次乾燥
低温真空二次乾燥を延長し、段階的昇温を使用して乾燥を完了すると、リステリア菌の生存率は増加した。
図13に示すように、約7℃の一次乾燥と初期二次乾燥後に更に15℃で後期二次乾燥することによりリステリア菌を防腐することができる。この段階的乾燥により、実用的な処理時間で残留水分約7%に達しながら高い生存率が得られた。例えば図12Aに示す33℃の乾燥に比較して、約25℃で後期二次乾燥し、最終的に約33℃とした場合には、生存率は実質的に低下しなかった。このように、最終乾燥段階が33℃でも、高い生存率を維持しながら残留水分5%未満までの乾燥が達成された。
生存率に及ぼす非ガラスマトリックスの影響
マトリックスTgよりも低温と高温で乾燥したポリオールマトリックス内でリステリア菌を防腐したが、微生物の生存率に実質的な変化はなかった。
リステリア菌をスクロース製剤(純Tg34.5℃)とトレハロース製剤(純Tg53.9)中で凍結発泡乾燥した。スクロース製剤のTgよりも高温で且つトレハロース製剤のTgよりも低温に維持したバイアル中で製剤を乾燥した。図14のグラフに示すように、工程段階中と最終乾燥製剤中のリステリア菌の生存率はマトリックスが乾燥工程中にガラス状態に維持されるか否かにさほど影響されなかった。
当然のことながら、本明細書に記載した実施例及び態様は単に例証を目的とし、その記載に鑑みて種々の変形又は変更が当業者に想到され、このような変形又は変更も本願の精神及び範囲と特許請求の範囲に含むものとする。
以上、明確に理解できるように本発明を多少詳細に記載したが、本発明の真の範囲を逸脱することなく形態や細部に種々の変更が可能であることは以上の開示から当業者に自明である。例えば、上記製剤、技術及び装置は種々に組合せて使用することができる。本明細書に引用した全刊行物、特許、特許出願、及び/又は他の文献はその開示内容全体を全目的で援用し、各刊行物、特許、特許出願、及び/又は他の文献を全目的で援用すると個々に記載しているものとして扱う。
米国仮特許出願第60/930,746号 米国特許第7,135,180号 米国仮出願第60/372,236号 米国特許第5,766,520号
Webb,S.D.Effects of annealing lyophilized and spray−lyophilized formulations of recombinant human interferon−gamma..J Pharm Sci 2003 Apr;92(4):715−29。

Claims (13)

  1. 生物活性材料を含有する安定な乾燥フォーム組成物の製造方法であって、
    生物活性材料とポリオール又はポリマーを溶媒中に含有する製剤を調製する段階と;
    製剤を発泡させてフォームを形成する段階と;
    フォームを凍結させる段階と;
    凍結したフォームを0℃以下のフォーム温度で昇華により一次乾燥する段階と;
    フォームの残留水分を10%以下まで低下させるために十分な時間にわたって25℃以下の温度の環境でフォームを二次乾燥する段階を含む前記方法。
  2. 生物活性材料がウイルス又は細菌を含む、或いは、
    生物活性材料がリステリア菌又はインフルエンザ株を含む請求項1に記載の方法。
  3. 製剤をウイルス又は細菌の膜相転移温度から2℃以内に維持する段階を更に含む請求項2に記載の方法。
  4. フォームの厚みが2mm以下である、
    二次乾燥温度がフォームのガラス転移温度未満に維持される、
    一次乾燥又は二次乾燥が100Torr以下の圧力の凍結乾燥を含む、或いは
    フォームの残留水分を5%以下まで低下させるために十分な時間にわたってフォームが乾燥される請求項1に記載の方法。
  5. 乾燥フォームを平均粒度0.1μ〜100μmの粉末まで粉砕する段階を更に含む請求項1に記載の方法。
  6. 生物活性材料を含有する安定な乾燥フォーム組成物の製造方法であって、
    生物活性材料とポリオール又はポリマーを溶媒中に含有する製剤を調製する段階と;
    製剤を発泡させてフォームを形成する段階と;
    フォームを凍結させる段階と;
    フォームが凍結する温度又はフォームのガラス転移温度未満に維持される温度で昇華によりフォームを一次乾燥する段階と;
    フォームの残留水分を10%以下まで低下させるために十分な時間にわたって25℃以下の環境でフォームを二次乾燥する段階を含む前記方法。
  7. 生物活性材料がウイルス又は細菌を含む、或いは、
    生物活性材料がリステリア菌又はインフルエンザ株を含む請求項6に記載の方法。
  8. フォームの発泡前に製剤を生物活性材料の膜転移温度から2℃以内の温度に2分間以上維持する段階を更に含む請求項7に記載の方法。
  9. フォームの厚みが2mm以下である、或いは、
    フォームの残留水分を5%以下まで低下させるために十分な時間にわたってフォームが乾燥される請求項6に記載の方法。
  10. 生物活性材料を含有する安定な乾燥フォーム組成物の製造用システムであって、
    内部温度と内部圧力の制御機能を含む環境制御チャンバーと;
    チャンバー内に配置され、生物活性材料とポリオール又はポリマーを溶媒中に含有するフォームを含み;
    フォームが厚み2mm以下及び/又は縦横比10以上であり;
    前記システムがフォームを0℃以下の温度で昇華により乾燥し、その後、25℃以下の温度で2日間以内に残留水分10%以下まで乾燥することができるように構成される、前記システム。
  11. 生物活性材料がウイルス又は細菌を含む、或いは、
    生物活性材料がリステリア菌又はインフルエンザ株を含む請求項10に記載のシステム
  12. フォームが厚み1mm以下又は縦横比100以上である請求項10に記載のシステム
  13. 請求項5に記載の方法で製造された乾燥フォーム組成物であって、哺乳類に再構成液又は粉砕粉末として投与される組成物。
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