JP5307753B2 - 凍結乾燥食品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、凍結乾燥食品及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻してカレー、シチュー、ポタージュ、ココア飲料、チョコレート飲料、抹茶飲料、甘酒、しょうが湯などとするために用いられる凍結乾燥食品及びその製造方法に関するものである。
凍結乾燥食品は、飲食品を、水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻して手軽に調理し食することができるという形態で提供するものである。熱による香り、色、栄養成分などの劣化が生じにくいので、もとの飲食品の風味を保持していることが多く、また、軽くて携帯性があり、外出時に利用するのにも便利であるので、製品として人気の高い形態である。
このような凍結乾燥食品に求められる一般的性質としては、(i)凍結時に均一に凍結が完了すること、(ii)凍結乾燥時に形状の変化が生じないこと、(iii)輸送に耐えうる強度があること、(iv)溶解性が良好であること、などが挙げられる。
一方、凍結乾燥食品の形態を適用する飲食品としては、個々の飲食品にそれぞれ求められる性質が異なることはもちろんであるが、例えば甘味系飲料であれば、配合する甘味料による甘味、風味、濃厚感や呈味感などにおいて良好であることが望まれる。
ところで、飲食品に広く適用でき、甘味料としての性質が良好であるものとしては、砂糖などの糖質甘味料を挙げることができるが、糖質甘味料を含む液体を凍結乾燥した場合、凍結乾燥工程において形状の変化が生じてしまい、形状がいびつになってしまったり、凍結乾燥用の容器からあふれてしまったりするという問題があった。
このような問題に対して、下記特許文献1には、糖質甘味料の一部をアスパルテームなどの高甘味度甘味料に置き換えることで、甘味を付与しつつ糖質を減らし、凍結乾燥時の形状の変化を抑制する方法が記載されている。しかしながら、高甘味度甘味料のみでは、風味面で濃厚感や呈味感が満足する品質にはならなかった。また、品質面では、固形分不足により、凍結乾燥品の骨格が形成されにくく、脆いブロックとなってしまう傾向があった。
また、カレー、ポタージュなどのように濃厚感やコクを良好なものとする要請のある食品では、濃厚感を付与するため、増粘剤としてコーンスターチや小麦粉などを配合することが行われるが、凍結乾燥品においては、このような増粘剤を添加することで、凍結乾燥後の溶解性が著しく低下してしまうという問題があった。
このような問題に対して、下記特許文献2には、凍結乾燥してなる固型化ポタージュスープに微小繊維状セルロースを含有させる方法が記載され、下記特許文献3には、フリーズドライ食品の製造法において、澱粉組織の分解を促す澱粉分解酵素を用いて酵素処理を行うことが記載され、下記特許文献4には、フリーズドライ食品にDE5以下のデキストリンを配合する方法が記載され、下記特許文献5には、通常よりも濃度が高いスープのベースを作り、必要であれば澱粉、デキストリン、ガム類等の増粘剤で所望する粘度をつけ、加熱した後ベースを十分冷却し、その中へ未変性の澱粉、デキストリン、ガム類等の増粘剤を均一に分散させることにより、凍結乾燥後に従来にない高粘度の凍結乾燥即席スープが得ることが記載されている。
しかしながら、これらの方法では、手間やコストがかかるわりには効果が不十分であり、満足する溶解性と濃厚感を得られなかった。

特許第3734802号公報 特開平7−327645号公報 特開2001−008614号公報 特開2006−109786号公報 特開平07−147943号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、凍結乾燥工程における形状の変化が抑制され、得られる凍結乾燥物の形状がいびつになってしまったり、凍結乾燥用の容器からあふれてしまったりすることを防ぐことができ、水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻すときの溶解性にも優れ、濃厚感のある飲食品にも広く適用することができる凍結乾燥食品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の凍結乾燥食品は、細胞澱粉を含有した食品調理液を凍結乾燥してなることを特徴とする。
本発明の凍結乾燥食品によれば、細胞澱粉を含有した食品調理液を凍結乾燥してなるものであるので、その細胞澱粉が、凍結乾燥したときに起こる形状の変化を抑制し、得られる凍結乾燥物の形状がいびつになってしまったり、凍結乾燥用の容器からあふれてしまったりすることを防ぐことができる。また、その細胞澱粉は含有量を多くしても、水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻すときの溶解性を損なうことがなく、その含有量に応じた濃厚感(コク)を付与できる。
本発明の凍結乾燥食品においては、前記食品調理液は、該食品調理液の乾燥固形分100質量部中に、前記細胞澱粉を、該細胞澱粉の乾燥固形分換算で5.6〜54.1質量部含有するものであることが好ましい。これによれば、凍結乾燥に供される食品調理液中で細胞澱粉の効果をより十分に発揮させることができる。
本発明の凍結乾燥食品においては、前記凍結乾燥食品100質量部に対して、400〜3,000質量部の水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻して用いられることが好ましい。
また、水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻してカレー、シチュー、ポタージュ、ココア飲料、チョコレート飲料、抹茶飲料、甘酒、しょうが湯とするために用いられることが好ましい。
一方、本発明の凍結乾燥食品の製造方法は、細胞澱粉を含有した食品調理液を調製し、これを凍結乾燥することを特徴とする。
本発明の凍結乾燥食品の製造方法によれば、細胞澱粉を含有した食品調理液を調製し、これを凍結乾燥するので、その細胞澱粉が、凍結乾燥したときに起こる形状の変化を抑制し、得られる凍結乾燥物の形状がいびつになってしまったり、凍結乾燥用の容器からあふれてしまったりすることを防ぐことができる。また、その細胞澱粉は含有量を多くしても、水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻すときの溶解性を損なうことがなく、その含有量に応じた濃厚感(コク)を付与できる。
本発明の凍結乾燥食品の製造方法においては、前記食品調理液の乾燥固形分100質量部中に、更に、糖質甘味料を、該糖質甘味料の乾燥固形分換算で30〜90質量部含有せしめることが好ましい。これによれば、濃厚感や呈味感を付与し、品質を向上させることができる。
本発明の凍結乾燥食品の製造方法においては、前記糖質甘味料が、単糖類、二糖類、3〜9糖類のオリゴ糖類、糖アルコール類、及びこれらを含む組成物からなる群から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
本発明によれば、凍結乾燥に供される食品調理液中の細胞澱粉が、凍結乾燥したときに起こる形状の変化を抑制し、得られる凍結乾燥物の形状がいびつになってしまったり、凍結乾燥用の容器からあふれてしまったりすることを防ぐことができる。また、その細胞澱粉は含有量を多くしても、水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻すときの溶解性を損なうことがなく、その含有量に応じた濃厚感(コク)を付与できる。したがって、高品質な凍結乾燥食品を提供することができる。
本発明で用いられる細胞澱粉とは、主に豆類に由来する澱粉にみられる形態の澱粉であって、澱粉粒が、主としてセルロースからなる袋状の細胞膜内に複数個内蔵した形態をしているものをいう。すなわち、小豆、いんげん豆などの豆類からの澱粉を調製する通常の製法では、水に浸漬後、十分量の水と共にゆっくりと加熱(この工程を「煮熟」という。)した後、磨砕して、種皮等を篩別して、水晒し後、脱水するという工程を経る。このとき、浸漬、煮熟の過程で、最初に浸透した水分が澱粉粒やそれを囲んだ蛋白質と水和し、澱粉粒をしだいに膨潤させ豆全体の容積も増大する。この膨潤豆澱粉は、加熱とその加熱時間の経過によってα化し、一方、澱粉粒を囲んだ蛋白質は凝固し安定化して、細胞膜内に澱粉粒が固定された細胞澱粉の形態となる。また、磨砕、水晒し、脱水の過程で、余分な親水性蛋白質などは洗い流される。この細胞澱粉は、凝固蛋白質に包囲されたうえ最外部は細胞膜に覆われているので、加水加熱されても内包澱粉粒の漏洩がない。そして、個々の細胞澱粉は粒径がある程度揃えられた粒子状となっていて、その最外部を覆う細胞膜は延伸性に富むので、乾燥させるとサラサラとしており、又一度乾燥させたものを水で戻したり加熱したりしても、劣化せずに濃厚な独特のテクスチャーを呈する。なお、このような細胞澱粉のテクスチャー特性の一部は、従来からある小豆餡に利用されていることに気づくことができる。
本発明で用いられる細胞澱粉は、上記の構造的特性を有した澱粉であればよく、そのような細胞澱粉の由来としては、小豆類、いんげん豆類(金時豆、大福、手芒、うずら豆、虎豆等)、花豆類、えんどう、そら豆、ひよこ豆、又はレンズ豆などを挙げることができるが、これらに限られるわけではない。なお、豆類でも大豆や落花生にはそもそも澱粉が少なく、これらから通常の方法で調製された澱粉は、細胞澱粉の形態をとっていないので本発明には適さない。また、春雨の原料に用いられる緑豆澱粉などは、その製造工程で細胞壁の剥離工程を経ており、その工程で細胞澱粉の形態が破壊されているので、これも本発明には適さない。
本発明の凍結乾燥食品は、食品調理液を凍結乾燥してなる凍結乾燥食品であり、これを水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻すことによって、例えば、カレー、シチュー、ポタージュ、ココア飲料、チョコレート飲料、抹茶飲料、甘酒、しょうが湯等の飲食品に復元することができるというものである。したがって、凍結乾燥に供される上記食品調理液は、本発明を適用しようとする飲食品に応じて適宜それらの原料を含有せしめて調製すればよく、復元させるべき飲食品そのものであってもよい。
ただし、本発明においては、上記食品調理液中に上記細胞澱粉を含有させておく必要がある。すなわち、上記食品調理液中に上記細胞澱粉を含有させておき、これを凍結乾燥に供して凍結乾燥食品を得る。後述の実施例で示されるように、その細胞澱粉が、凍結乾燥したときに起こる形状の変化を抑制し、得られる凍結乾燥物の形状がいびつになってしまったり、凍結乾燥用の容器からあふれてしまったりすることを防ぐことができる。また、その細胞澱粉は含有量を多くしても、水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻すときの溶解性を損なうことがなく、その含有量に応じた濃厚感(コク)を付与できる。このとき、その食品調理液の乾燥固形分100質量部中に、上記細胞澱粉を、その細胞澱粉の乾燥固形分換算で5.6〜54.1質量部含有するものであることが好ましく、7〜30質量部含有するものであることがより好ましく、10〜15質量部含有するものであることが最も好ましい。
凍結乾燥の方法は公知の方法で行うことができる。好ましい態様としては、例えば、上記食品調理液を、所定の大きさの、例えばポリプロピレン製等の容器に注ぐ。これを、−15〜−80℃で12〜48時間凍結させる。この凍結物をフリーズドライ装置に供し、減圧開始から0.1〜1時間かけて1Torr以下に減圧後、品温が30〜80℃となるように加温し、12〜48時間その加温状態を維持する。その後、常温、常圧に戻すことにより、前記容器に型取られたブロック状凍結乾燥物を得ることができる。
本発明の凍結乾燥食品においては、その形状に特に制限はなく、直方体状、円柱状、星状、ハート状などであることができるが、製造の簡便性の観点からは、直方体状、円柱状であることが好ましい。特に、縦20〜100mm×横20〜100mm×高さ10〜30mmの直方体状であることが好ましい。これによれば、調理中の取り扱いにおいて、作業性に優れている。
本発明においては、上記食品調理液を殺菌処理してから凍結乾燥に供することが好ましい。これによれば、得られる凍結乾燥食品の保存性を高めることができる。その殺菌処理は、50〜140℃の温度で加熱殺菌することが好ましく、70〜100℃の温度で加熱殺菌することがより好ましい。
本発明の凍結乾燥食品は、その使用時に、例えば、凍結乾燥食品100質量部に対して、400〜3,000質量部の水、お湯、又は牛乳等の水性可食液体に戻すことで、目的とする飲食品に復元することができる。本発明の凍結乾燥食品を適用することができる飲食品としては、カレー、シチュー、ポタージュ、スープ、味噌汁、ココア飲料、チョコレート飲料、乳飲料、抹茶飲料、茶飲料、紅茶飲料、コーヒー飲料、野菜飲料、果汁飲料、甘酒、葛湯、しょうが湯、カリン湯、ゆず茶、スポーツ飲料、健康飲料、機能性飲料などが挙げられる。
本発明においては、適用しようとする飲食品が、例えば甘味系飲食品であるときに、上記食品調理液中に甘味料を含有せしめることもできる。甘味料としては、砂糖のほか、その他の糖質甘味料として、例えば、グルコース、フラクトース、キシロース、ソルボース、ガラクトースなどの単糖類、マルトース、ラクトース、パラチノースなどの二糖類、カップリングシュガー、ネオシュガーなどのオリゴ糖類(3〜9糖類のものをいう)、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、パラチニットなどの糖アルコール類、さらにはこれらを含有する組成物などを挙げることができる。これらの糖質甘味料は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、甘味料として高甘味度甘味料を含有せしめることもできる。例えば砂糖の約200倍の甘味をもつアミノ酸系甘味料のアスパルテーム、砂糖の約200倍の甘味をもつステビア抽出品、蔗糖を原料とし、三つの水酸基を選択的に塩素に置換してなる、砂糖の約600倍の甘味をもつスクラロース、砂糖の約200倍の甘味をもち、耐酸性、耐熱性、耐酵素性に優れるアセスルファムカリウムなどを挙げることができる。これらの高甘味度甘味料は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、糖質甘味料と組合わせて用いてもよい。
甘味料が、砂糖などの糖質甘味料であるときには、その糖質甘味料により良質な甘味、風味、濃厚感や呈味感などを付与することができるのであるが、本発明においては、その含有量として、上記食品調理液の乾燥固形分100質量部中に、その糖質甘味料の乾燥固形分換算で30〜90質量部含有せしめることが好ましく、40〜90質量部含有せしめることがより好ましく、50〜90質量部含有せしめることが最も好ましい。
ここで、後述の実施例でも示すように、細胞澱粉は、凍結乾燥工程で生じる形状の変化を抑制する効果がある。その効果を有効に発揮させるためには、上記食品調理液が糖質甘味料を含有する場合には、上記細胞澱粉と上記糖質甘味料との固形分換算での質量比が1:1〜1:20であるように調製することが好ましく、1:2〜1:10であるように調製することがより好ましい。
本発明の凍結乾燥食品は、予め定められた、1人前、1カップ分、1皿分などの単位の目的分量のものを、1包装ごとに分包して提供されることが好ましい。これによれば、調理時に簡単に包装から取り出して、使用することができる。
以下に例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
<試験例1>(種々の澱粉の比較)
種々の澱粉の添加が、糖質混合調製液の凍結乾燥に与える影響を比較した。そのために、表1に示す各配合に従い、澱粉原料として馬鈴薯澱粉を含む原料を混合した後、300rpmの攪拌速度で攪拌させながら85℃で5分間加熱して、澱粉-糖質混合調製液を調製した。この調製液を30gずつトレイに充填し凍結乾燥した。より具体的には、縦47mm×横36mm×高さ20mmのポリプロピレン製容器に注ぎ、−25℃で24時間予備凍結した。この凍結物をフリーズドライ装置に供し、0.03〜0.3Torrに減圧後、品温が50℃となるように加温し、その後、減圧開始から24時間後に常温、常圧に戻して、例1〜例4のブロック形状凍結乾燥物を得た。
また、表2に示す各配合に従い、澱粉原料としてコーンスターチ(日本製粉株式会社製)を用いた以外は上記と同様にして、例5〜例8のブロック形状凍結乾燥物を得た。
また、表3に示す各配合に従い、澱粉原料としてタピオカ澱粉(松谷化学工業株式会社製)を用いた以外は上記と同様にして、例9〜例12のブロック形状凍結乾燥物を得た。
また、表4に示す各配合に従い、澱粉原料として小麦粉(日東富士製粉株式会社製)を用いた以外は上記と同様にして、例13〜例16のブロック形状凍結乾燥物を得た。
また、表5に示す各配合に従い、澱粉原料として小豆澱粉(株式会社 ナニワ製)を用いた以外は上記と同様にして、例17〜例20のブロック形状凍結乾燥物を得た。
得られた例1〜例20のブロック形状凍結乾燥物について、その保形性を評価した。保形性の評価は、凍結乾燥前の充填時の液面の高さを100%として、凍結乾燥後の膨化時の高さを測定することにより行った。また、得られた例1〜例20のブロック形状凍結乾燥物について、その溶解性を評価した。溶解性の評価は、凍結乾燥物を100gの冷水に投入し1分間攪拌した時の不溶物の長径を測定することにより行った。更に、水に戻した後の濃厚感(コク)について官能評価を行った。評価結果は、下記表6に示す各評価項目毎の基準で、○;△;×の別に区分した。上記表1〜5の下段には、評価項目のうち保形性と溶解性の結果を表示した。
その結果、いも類澱粉である馬鈴薯澱粉及びタピオカ澱粉、穀類澱粉であるコーンスターチ及び小麦粉を配合した場合では、澱粉の配合量が少ないと、凍結乾燥工程で膨化が起こり、凍結乾燥物のブロック形状がいびつなものとなってしまった。逆に澱粉の配合量が多いと、凍結乾燥工程での膨化は抑制されたが、水に戻したときに溶け残りのダマが生じてしまった。したがって、保形性と溶解性を両立することはできなかった。
一方、豆澱粉である小豆澱粉を配合した場合では、凍結乾燥工程での膨化は抑制され、澱粉の配合量を増やしても溶解性は低下せず、保形性と溶解性を両立することができた。また、澱粉の配合量が増加するに従い、濃厚感(コク)も増していった。
<試験例2>(豆澱粉の比較)
種々の豆澱粉の添加が、糖質混合調製液の凍結乾燥に与える影響を比較した。そのために、表7に示す各配合に従い、澱粉原料としてインゲン豆澱粉を用いた以外は試験例1と同様にして、例21〜例24のブロック形状凍結乾燥物を得た。
また、表8に示す各配合に従い、澱粉原料として緑豆澱粉を用いた以外は試験例1と同様にして、例25〜例28のブロック形状凍結乾燥物を得た。
得られた例21〜例28のブロック形状凍結乾燥物について、試験例1と同様にして、その保形性、溶解性、濃厚感を評価した。
その結果、豆澱粉であるインゲン豆澱粉を用いた例21〜例24では、凍結乾燥工程での膨化は抑制され、澱粉の配合量を増やしても溶解性は低下せず、保形性と溶解性を両立することができた。また、澱粉の配合量が増加するに従い、濃厚感(コク)も増していった。
一方で、豆澱粉であっても、緑豆澱粉を用いた例25〜例28では、澱粉の配合量が少ないと、凍結乾燥工程で膨化が起こり、凍結乾燥物のブロック形状がいびつなものとなってしまった。逆に澱粉の配合量が多いと、凍結乾燥工程での膨化は抑制されたが、水に戻したときに溶け残りのダマが生じてしまった。したがって、保形性と溶解性を両立することはできなかった。
以上の試験例1及び試験例2の結果を合わせると、次のとおり考察することができた。すなわち、砂糖等の糖質甘味料を含有する凍結乾燥物を製造するにあたっては、小豆澱粉やインゲン豆澱粉などの豆澱粉を配合することで、糖質による膨化を防ぎ、配合量を多くしても溶解性を保ちつつ、配合量に応じた濃厚感(コク)を付与できることが明らかとなった。これに対し、同じ澱粉でも、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、小麦粉などの澱粉では、保形性と溶解性を両立することはできなかった。一般に、小豆澱粉やインゲン豆澱粉などの豆澱粉では、豆を煮熟した後、磨砕し、篩別後に水に晒して水洗するというような温和条件で精製することができ、その澱粉粒を包む細胞膜が壊されない状態にある細胞澱粉の形態で調製されている。したがって、上記の結果は、澱粉でも、特に、細胞澱粉の形態のものが、その効果を発揮していることを示す結果であると考えられた。このことは、豆澱粉であっても、その澱粉の精製工程で細胞膜が壊されて細胞澱粉形態をとらない緑豆澱粉を用いた場合には効果が得られないことからも、裏付けられた。
<試験例3>(細胞澱粉の過剰添加)
細胞澱粉の過剰添加が、糖質混合調製液の凍結乾燥に与える影響を比較した。そのために、表9に示す各配合に従い、澱粉原料として小豆澱粉を用い、澱粉-糖質混合調製液の乾燥固形分100質量部中に、小豆澱粉を乾燥固形分換算で46.9質量部又は54.1質量部配合した以外は試験例1と同様にして、例29〜例30のブロック形状凍結乾燥物を得た。
また、表10に示す各配合に従い、澱粉原料としてインゲン豆澱粉を用い、澱粉-糖質混合調製液の乾燥固形分100質量部中に、インゲン豆澱粉を乾燥固形分換算で46.9質量部又は54.1質量部配合した以外は試験例1と同様にして、例31〜例32のブロック形状凍結乾燥物を得た。
得られた例29〜例32のブロック形状凍結乾燥物について、試験例1と同様にして、その保形性、溶解性、濃厚感を評価した。
その結果、細胞澱粉である小豆澱粉及びインゲン豆澱粉を過剰に添加した場合においても、溶け残りのダマは生じず、冷水に完全に溶解することができた。
<試験例4>(カレー)
カレーの凍結乾燥物を調製して、細胞澱粉の効果を検証した。そのために、表11〜表17に示す各配合に従い、試験例1と同様にして、例33〜例60のブロック形状凍結乾燥物を得た。なお、カレーの原料に用いた「スパイスミックス」とは、市販のスパイスミックス(ハチ食品株式会社製カレー粉)である。また、カレーの原料には糖質甘味料は含まれていない。
得られた例33〜例60のブロック形状凍結乾燥物について、試験例1と同様にして、その保形性、溶解性、濃厚感を評価した。なお、溶解性及び濃厚感を評価する際には冷水ではなくお湯に戻した。
その結果、全てのサンプルにおいて保形性には問題がなかったが、馬鈴薯澱粉を用いた例33〜例36、コーンスターチを用いた例37〜例40、タピオカ澱粉を用いた例41〜例44、小麦粉を用いた例45〜例48では、ブロック状凍結乾燥物がお湯に溶け切らずに大きなダマを生じてしまった。
これに対して、細胞澱粉である小豆澱粉を用いた例49〜例52、及び細胞澱粉であるインゲン豆澱粉を用いた例53〜例56では、澱粉の添加量を増やして濃厚感を増していっても、溶解性は低下せず、お湯に容易に溶解させることができた。また、澱粉の配合量が増加するに従い、カレーの濃厚感(コク)も増していった。
一方で、豆澱粉であっても、細胞澱粉でない緑豆澱粉を用いた例57〜例60では、ブロック状凍結乾燥物がお湯に溶け切らずに大きなダマを生じてしまった。
<試験例5>(コーンポタージュ)
コーンポタージュの凍結乾燥物を調製して、細胞澱粉の効果を検証した。そのために、表18に示す配合に従い、試験例1と同様にして、例61〜例63のブロック形状凍結乾燥物を得た。
得られた例61〜例63のブロック形状凍結乾燥物について、試験例1と同様にして、その保形性、溶解性、濃厚感を評価した。なお、溶解性及び濃厚感を評価する際には冷水ではなくお湯に戻した。
その結果、澱粉を配合しない例61では、凍結乾燥時に膨化がおこり凍結乾燥物のブロック形状がいびつなものとなってしまった。また、溶解性は良好であったが、濃厚感に欠ける仕上がりであった。
小麦粉を配合した例63では、膨化が抑制され保形性は良好であったが、ほとんどお湯に溶けず大きなダマが残ってしまった。
これに対して、インゲン豆澱粉を配合した例62では、保形性、溶解性、濃厚感の全てにおいて良好な仕上がりであった。
<試験例6>(甘酒)
甘酒の凍結乾燥物を調製して、細胞澱粉の効果を検証した。そのために、表19に示す配合に従い、試験例1と同様にして、例64〜例66のブロック形状凍結乾燥物を得た。
得られた例64〜例66のブロック形状凍結乾燥物について、試験例1と同様にして、その保形性、溶解性、濃厚感を評価した。なお、溶解性及び濃厚感を評価する際には冷水ではなくお湯に戻した。
その結果、澱粉を配合しない例64では、凍結乾燥時に膨化がおこり凍結乾燥物のブロック形状がいびつなものとなってしまった。また、溶解性は良好であったが、濃厚感に欠ける仕上がりであった。
馬鈴薯澱粉を配合した例66では、膨化が抑制され保形性は良好であったが、ほとんどお湯に溶けず大きなダマが残ってしまった。
これに対して、インゲン豆澱粉を配合した例65では、保形性、溶解性、濃厚感の全てにおいて良好な仕上がりであった。
<試験例7>(ココア)
ココアの凍結乾燥物を調製して、細胞澱粉の効果を検証した。そのために、表20に示す配合に従い、試験例1と同様にして、例67〜例69のブロック形状凍結乾燥物を得た。
得られた例67〜例69のブロック形状凍結乾燥物について、試験例1と同様にして、その保形性、溶解性、濃厚感を評価した。なお、溶解性及び濃厚感を評価する際には冷水ではなく冷たい牛乳(4℃)に溶解させ評価した。
その結果、澱粉を配合しない例67では、凍結乾燥時に膨化がおこり凍結乾燥物のブロック形状がいびつなものとなってしまった。また、溶解性は良好であったが、濃厚感に欠ける仕上がりであった。
馬鈴薯澱粉を配合した例69では、膨化が抑制され保形性は良好であったが、ほとんどお湯に溶けず大きなダマが残ってしまった。
これに対して、小豆澱粉を配合した例68では、保形性、溶解性、濃厚感の全てにおいて良好な仕上がりであった。

Claims (8)

  1. 食品調理液の乾燥固形分100質量部中に、細胞澱粉を、該細胞澱粉の乾燥固形分換算で5.6〜54.1質量部含有し、糖質甘味料を、該糖質甘味料の乾燥固形分換算で30〜90質量部含有する該食品調理液を、所定形状の容器に入れてその所定形状に型取られたブロック状に凍結乾燥してなることを特徴とする凍結乾燥食品。
  2. 前記糖質甘味料が、単糖類、二糖類、3〜9糖類のオリゴ糖類、糖アルコール類、及びこれらを含む組成物からなる群から選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の凍結乾燥食品。
  3. 前記凍結乾燥食品100質量部に対して、400〜3,000質量部の水性可食液体に戻して用いられる請求項1又は2記載の凍結乾燥食品。
  4. 水性可食液体に戻してカレー、シチュー、ポタージュ、ココア飲料、チョコレート飲料、抹茶飲料、甘酒、しょうが湯とするために用いられる請求項1〜3のいずれか1つに記載の凍結乾燥食品。
  5. 前記食品調理液は、キサンタンガムを含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の凍結乾燥食品。
  6. 乾燥固形分100質量部中に、細胞澱粉を、該細胞澱粉の乾燥固形分換算で5.6〜54.1質量部含有し、糖質甘味料を、該糖質甘味料の乾燥固形分換算で30〜90質量部含有する食品調理液を調製し、これを所定形状の容器に入れてその所定形状に型取られたブロック状に凍結乾燥することを特徴とする凍結乾燥食品の製造方法。
  7. 前記糖質甘味料が、単糖類、二糖類、3〜9糖類のオリゴ糖類、糖アルコール類、及びこれらを含む組成物からなる群から選ばれた1種又は2種以上である請求項6記載の凍結乾燥食品の製造方法。
  8. 前記食品調理液は、キサンタンガムを含有する請求項6又は7記載の凍結乾燥食品の製造方法。
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