JP5304522B2 - 加工性に優れた高強度鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、均一伸び、穴広げ性などの加工性に優れた高強度鋼板及びその製造方法に関するものである。
自動車の燃費向上および安全性向上を達成するため、自動車用鋼板の高強度化が強く求められている。自動車用鋼板には部位によって様々な加工、例えば、曲げ加工、プレス加工、バーリング加工、伸びフランジ加工などが施される。したがって、素材である熱延鋼板及び冷延鋼板には、強度に加えて、延性及び穴広げ性が要求される。
強度及び延性を高めた材料として、軟質のフェライトと硬質のマルテンサイトとからなる複相鋼板が開発されている。しかし、複相鋼板では、軟質組織と硬質組織との硬度差に起因して、穴広げ性が低下する。これは、マルテンサイト近傍のフェライトに大きく歪が集中し、ボイド生成を助長させるためである。
これまで、穴広げ性を向上させるために、フェライトとマルテンサイトとの硬度差を軽減した複相鋼板が提案されている(例えば、特許文献1〜4、参照)。
特許文献1に提案された鋼板は、耐衝撃特性を向上させるためにマルテンサイトの硬度を高めたものであるが、穴広げ性を確保するため、マルテンサイトの硬さとフェライトの硬さの比を制限している。特許文献2及び3には、マルテンサイトの分率、粒径や、マルテンサイトの硬さとフェライトの硬さの比、固溶C量を制御し、穴広げ性を向上させた複相鋼板が提案されている。更に、特許文献4に提案された複相鋼板では、特に、マルテンサイトとフェライトとの界面へのCの濃化を抑制している。
また、複相鋼板に焼戻しを施す方法が提案されている(例えば、特許文献5、6、参照)。
特許文献5に提案された方法は、焼戻しによってセメンタイトを析出させ、マルテンサイトの硬さを低下させるものである。特許文献6には、Alの添加によって炭化物の生成を抑制し、機械特性のばらつきを低減させる方法が提案されている。
特開平10−147838号公報 特開2001−303186号公報 特開2001−303187号公報 特開2008−63604号公報 特開2007−302918号公報 特開2007−138262号公報
プレス加工では、張出し成形性を高めるため、均一伸びの向上が要求される。均一伸びを高めるには、軟質のフェライトの体積率を増加させることが好ましい。しかし、従来の穴広げ性を向上させた複相鋼板は、マルテンサイトの硬度を低下させており、フェライトの体積率を高めると、強度の低下が懸念される。特に、焼戻しによって、フェライトとマルテンサイトとの硬度差を軽減する場合は、鋼板の強度の確保が難しくなる。
また、焼付硬化性を利用してフェライトの強度を確保する場合は、常温での時効による延性の低下が懸念される。更に硬質相であるベイナイトを利用して、強度を確保する場合は、延性が劣化する。したがって、硬質相によって強度を確保する場合は、フェライトの体積率を高め、均一伸びを向上させることが困難である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、590MPa以上の引張強度を有し、均一伸びと穴広げ性とを同時に向上させた、加工性に優れる高強度鋼板及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、焼戻しによってマルテンサイトの強度を低下させ、軟質相と硬質相との強度差を低減するとともに、フェライトの体積率を90%以上として均一伸びを確保し、更に、フェライトを安価な元素であるSi、Mnで固溶強化し、均一伸び及び穴広げ性を高め、鋼板の強度を確保することに成功した。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.04〜0.10%、Si:0.8〜2.0%、Mn:0.5〜2.6%を含有し、Cの含有量とSiの含有量との比[C/Si]が0.04以上、0.10未満であり、Al:0.150%以下、P:0.04%以下、S:0.010%以下、N:0.010%以下に制限し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、金属組織が、体積率で、90〜95%のフェライトと5〜10%の焼戻しマルテンサイトとからなることを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板。
(2) 質量%で、REM:0.0100%以下、Ca:0.0100%以下の一方又は双方を含有することを特徴とする上記(1)に記載の加工性に優れた高強度鋼板。
(3) 引張強度が590〜650MPaであり、均一伸びが17%以上であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の加工性に優れた高強度鋼板。
(4) 上記(1)又は(2)に記載の化学成分を有する鋼片を、1050〜1300℃に加熱し、仕上温度を850〜1000℃として熱間圧延を行い、600〜750℃の範囲内まで一次水冷し、3〜15s空冷した後、350℃以下まで二次水冷し、更に、480〜700℃の範囲内で30s以下保持する焼戻処理を施すことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
(5) 上記(1)又は(2)に記載の化学成分を有する鋼片を、1050〜1300℃に加熱し、仕上温度を850〜1000℃として熱間圧延を行い、600〜750℃の範囲内まで一次水冷し、3〜15s空冷した後、350℃以下まで二次水冷し、更に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、480℃以上で合金化処理を施すことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
(6) 上記(1)又は(2)に記載の化学成分を有する鋼片を、熱間圧延して、冷間圧延し、下記(式1)によって求められるAc〜Ac+100[℃]に加熱し、60〜180s保持する焼鈍を行い、20℃/s以下の冷却速度で600〜700℃の範囲内に一次冷却した後、350℃以下まで20℃/s以上の冷却速度で水冷する二次冷却を行い、更に、480〜700℃の範囲内で30s以下保持する焼戻処理を施すことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
Ac=723−10.7Mn+29.1Si ・・・ (式1)
(式1)において、Mn及びSiは各元素の含有量[質量%]である。
(7) 上記(1)又は(2)に記載の化学成分を有する鋼片を、熱間圧延して、下記(式1)によって求められる冷間圧延し、Ac〜Ac+100[℃]に加熱し、60〜180s保持する焼鈍を行い、20℃/s以下の冷却速度で600〜700℃の範囲内に一次冷却した後、350℃以下まで20℃/s以上の冷却速度で水冷する二次冷却を行い、更に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、480℃以上で合金化処理を施すことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
Ac=723−10.7Mn+29.1Si ・・・ (式1)
(式1)において、Mn及びSiは各元素の含有量[質量%]である。
(8) 上記(1)又は(2)に記載の化学成分を有する鋼片を、1050〜1300℃に加熱し、仕上温度を850〜1000℃として熱間圧延を行い、600〜750℃の範囲内まで一次水冷し、3〜15s空冷した後、350℃以下まで二次水冷し、更に、480℃以上の溶融亜鉛めっき浴に浸漬することを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
(9) 上記(1)又は(2)に記載の化学成分を有する鋼片を、熱間圧延して、冷間圧延し、下記(式1)によって求められるAc〜Ac+100[℃]に加熱し、60〜180s保持する焼鈍を行い、20℃/s以下の冷却速度で600〜700℃の範囲内に一次冷却した後、350℃以下まで20℃/s以上の冷却速度で水冷する二次冷却を行い、更に、480℃以上の溶融亜鉛めっき浴に浸漬することを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
Ac=723−10.7Mn+29.1Si ・・・ (式1)
(式1)において、Mn及びSiは各元素の含有量[質量%]である。
(10) 更に、合金化処理を行うことを特徴とする上記(8)又は(9)に記載の加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
本発明によれば、高価な元素を添加することなく、590MPa以上の引張強度を有し、加工性、特に均一伸び及び穴広げ性に優れる高強度鋼板及びその製造方法を提供することが可能になり、産業上の貢献が極めて顕著である。
Cの含有量とSiの含有量との比[C/Si]と穴広げ率との関係を示す図である。
本発明者らは、高強度鋼板の均一伸び及び穴広げ性を向上させる成分、組織について検討を行った。その結果、均一伸びを高めるためには、フェライトの体積率を90%以上にすることが有効であることがわかった。一方、穴広げ性を高めるには硬質マルテンサイトの強度を低下させることが有効であることがわかった。すなわち両特性を同時に満たすためには、高強度鋼板のフェライト体積率を90%とし、かつマルテンサイトの強度を低下させることが重要である。
従来、マルテンサイトやベイナイトなどの硬質組織の硬度を低下させて穴広げ性を向上させた複相鋼板では、強度を確保するために硬質組織の体積率を高めていた。そのため、穴広げ性は向上するものの、均一伸びが劣化していた。
そこで、本発明者らは、マルテンサイトの体積率を低減し、焼戻しを施し、かつ、フェライトを固溶強化して、強度を確保する方法を検討した。
C:0.04〜0.10%、Si:0.8〜2.0%、Mn:0.5〜2.6%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、フェライトの体積率が90〜95%、残部が焼戻しマルテンサイトからなる金属組織を有する熱延鋼板及び冷延鋼板を製造し、焼戻しを施した。得られた熱延鋼板及び冷延鋼板の穴広げ率を、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の試験方法に準拠して評価した。結果を図1に示す。
その結果、高強度鋼板の穴広げ性を高めるには、焼戻しマルテンサイトの強度への寄与が大きいCの含有量と、フェライトの固溶強化への寄与が大きいSiの含有量との比[C/Si]が、重要であり、図1に示すように、C/Siを0.04以上、0.10未満にすることで、穴広げ率を80%以上に高めることができることがわかった。
これは、Siの含有量の増加に伴いフェライトは強化され、一方、Cの含有量の低減に伴いマルテンサイトの強度は低下するためであると考えられる。したがって、C/Siが低いほどフェライト−焼戻しマルテンサイト間の強度差が低減され、C/Siが0.10未満になると穴拡げ性が向上する。一方、C/Siが低すぎると、Siの過剰添加によりフェライトが硬く、脆くなり、C/Siが0.04未満になると穴広げ性が低下する。
また、本発明の複相鋼板では、フェライトを強化するために、Mo、Nbなどの元素を添加する必要がない。特に、Moは非常に高価であるし、材質のばらつきの原因にもなる。これに対し、本発明の高強度鋼板では、安価な元素であるSi、Mnによる固溶強化を利用しているため、コスト面で優れており、かつ、材質のばらつきの抑制が可能になる。
以下、本発明の高強度鋼板の含有成分について詳細に説明する。
Cは、均一伸び及び穴広げ性に影響を及ぼすマルテンサイトの生成及び硬化に寄与する元素である。焼戻しマルテンサイトの体積率を5%以上とし、強度を確保するために、Cの含有量の下限を0.04%以上とする。一方、焼戻しマルテンサイトの強度を低下させ、焼戻しマルテンサイトの体積率を10%以下に制限するため、Cの含有量の上限を0.10%以下とする。
Siは、フェライトの固溶強化に寄与し、本発明において重要な元素である。フェライトを固溶強化し、590MPa以上の引張強度を確保するには、0.8%以上のSiを添加することが必要である。一方、Siの含有量が過剰になるとフェライトが硬化して、均一伸びが低下するため、Siの含有量の上限を2.0%以下とする。
Mnは、マルテンサイトの生成とフェライトの固溶強化に寄与する重要な元素である。フェライトを固溶強化するためには、0.5%以上のMnを添加することが必要である。一方、Mnの含有量が過剰になると、焼戻しマルテンサイトの体積率が増加するため、Mnの含有量の上限を2.6%以下とする。
Cの含有量とSiの含有量との比[C/Si]は、穴広げ性及び均一伸びに影響を及ぼす重要な指標である。C/Siを0.04以上にすると、フェライトと焼戻しマルテンサイトとの強度差が低減され、穴広げ性が向上する。一方、フェライトの脆化を抑制し、穴広げ性及び均一伸びを確保するには、C/Siを0.10未満にすることが必要である。
Alは、脱酸元素であるが、アルミナ等の介在物を形成し、穴広げ性を劣化させるため上限を0.150%以下とする。Alの含有量の下限は、特に限定しないが、0.0005%以下に低減させることは困難である。
Pは、不純物元素であり、0.04%を超えると溶接部の脆化が顕著になるため、上限を0.04%以下とする。Pの含有量の下限値は特に定めないが、0.0001%未満とすることは、経済的に不利である。
Sは、不純物元素であり、溶接性、鋳造時及び熱延時の製造性に悪影響を及ぼすことから、上限を0.010%以下とする。また、Sを過剰に含有すると、粗大なMnSを形成し、穴広げ性を低下させることから、穴広げ性向上のためには、含有量を低減することが好ましい。Sの含有量の下限は特に定めないが、0.0001%未満とすることは、経済的に不利であることからこの値を下限値とすることが好ましい。
Nは、不純物元素であり、含有量が0.010%を超えると、粗大な窒化物を形成し、曲げ性や穴広げ性を劣化させることから、上限を0.010%以下とする。また、Nの含有量が増加すると、溶接時のブローホール発生の原因になることから低減することが好ましい。下限は、特に定めないが、N含有量を0.0005%未満とするには、製造コストが上昇する。
更に、介在物の形態を制御するため、Ca、REMの一方又は双方を添加してもよい。
Ca、REMは、酸化物や硫化物の形態の制御に有効な元素であり、好ましい下限値は、それぞれ、0.0005%以上である。一方、過剰に添加すると成形性を損なうことがあるため、Ca、REMの含有量の好ましい上限は、それぞれ、0.0100%以下である。なお、本発明において、REMとは、La及びランタノイド系列の元素を指すものであり、ミッシュメタルにて添加されることが多く、LaやCe等の系列の元素を含有する。金属LaやCeを添加してもよい。
以下、本発明の高強度鋼板の金属組織について詳細に説明する。
フェライトは、延性を高める組織である。フェライトの体積率が90%未満では、延性、特に、均一伸びを確保することができない。一方、フェライトの体積率が95%超になると、硬質の焼戻しマルテンサイトが少ないため、強度を確保することができない。したがって、フェライトの体積率は、90〜95%とする。
焼戻しマルテンサイトは、強度を高めるために必要な組織である。焼戻しマルテンサイトの体積率が5%未満では、590MPa以上の引張強度を確保することができない。一方、焼戻しマルテンサイトの体積率が10%を超えると、軟質のフェライトの体積率が減少し、均一伸びが低下する。したがって、焼戻しマルテンサイトの体積率を5〜10%とする。
また、焼戻しマルテンサイトは、加熱によって炭化物を生じて軟化したマルテンサイトである。したがって、焼戻しマルテンサイトは、焼戻しされたマルテンサイトだけでなく、溶融亜鉛めっき浴への浸漬や、亜鉛めっき後の合金化処理によって加熱されたマルテンサイトを含む。
なお、フェライト及び焼戻しマルテンサイトの体積率は、ナイタールエッチングした試料の金属組織写真を光学顕微鏡で撮影し、画像解析処理によって求める。また、焼戻しマルテンサイトと、焼戻し前のマルテンサイトは、レペラーエッチングした試料の金属組織を光学顕微鏡で観察することによって判別できる。レペラーエッチングした試料では、焼戻し前のマルテンサイトは白色部として認識できる。
本発明の高強度鋼板は、軽量化が要求される自動車用鋼板として好適に使用するために、引張強度が590〜650MPaの範囲であることが好ましい。また、自動車用鋼板には、特に、プレス成形性などの加工性が要求されることから、本発明の高強度鋼板の均一伸びは、張出し成形性に優れたものとするために、17%以上であることが好ましい。
以下、本発明の加工性に優れた高強度鋼板の製造方法について説明する。
はじめに、熱延鋼板の製造方法について説明する。
まず、常法により、鋼を溶製し、鋳造して、上記の化学成分を有する鋼片を製造する。鋳造は、生産性の観点から、連続鋳造が好ましい。
熱延鋼板の場合、鋼片を1050〜1300℃に加熱し、熱間圧延を行う。加熱温度が1050℃未満では、変形抵抗が高く、製造上の負荷が大きくなる。一方、加熱温度が1300℃を超えると鋼板の組織が粗粒になり、強度が低下する。
熱間圧延の仕上げ温度は850〜1000℃とする。仕上げ温度が850℃未満では圧延後に再結晶が進まず、強い変態集合組織を持ち、穴広げ性を劣化させてしまう。一方、仕上げ温度が1000℃を超えると再結晶後の粒成長が著しく、鋼板の組織が粗粒になり、強度が確保できない。
熱間圧延後、600〜750℃の範囲内まで一次水冷し、3〜15s空冷する。
一次水冷の停止温度が750℃を超えると、空冷時にオーステナイトからフェライトへの変態が不十分になる。そのため、二次水冷した際にマルテンサイトが増加し、90%以上のフェライトを確保することができない。一方、一次水冷の停止温度が600℃未満になると、フェライト変態が不十分なままベイナイト変態が起こってしまい、90%以上のフェライトを確保することができない。
空冷時間は、3s未満では、空冷時のフェライトの生成が不十分になり、90%以上のフェライトを確保することができない。一方、空冷時間が15sを超えると、パーライトが生成し、強度を確保できず、穴広げ性が低下する。
空冷後、更に、二次水冷する。二次水冷の冷却速度は規定しないが、通常は、20℃/s以上である。空冷すると、パーライトが生成し、マルテンサイトの体積率が低下する。二次水冷の停止温度は、ベイナイトの生成を避けるため、350℃以下とする。二次水冷の停止温度の下限値は特に限定せず、室温でもよい。
得られた熱延鋼板に、焼戻処理を施し、マルテンサイトを軟化させる。焼戻し後のマルテンサイトを焼戻しマルテンサイトという。
焼戻処理は、480〜700℃で行う。焼戻し温度が480℃未満では、マルテンサイトの軟化が不十分であり、フェライトとの強度差が低減しないため、穴広げ性は向上しない。また、焼戻し温度が700℃を超えると、焼戻しマルテンサイトが大きく軟化し、強度を確保することができない。
焼戻しの保持時間は、30sを超えると、焼戻しマルテンサイトが大きく軟化し、強度を確保することができなくなる。焼戻しの保持時間の下限値は、特に限定せず、480〜700℃の範囲内の温度に到達した後、そのまま冷却してもよい。
熱延鋼板に、焼戻処理を施す代わりに、溶融亜鉛めっきを施し、更に、合金化処理を施してもよい。この場合は、合金化処理でマルテンサイトを焼戻す。マルテンサイトを軟化させるためには、合金化処理を480℃以上で行うことが必要である。溶融亜鉛めっき浴の温度は特に規定しないが、通常、430〜500℃である。合金化処理の温度の上限は規定しないが、通常、600℃以下で行う。
また、熱延鋼板に、焼戻処理を施す代わりに、480℃以上の溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、マルテンサイトを軟化させて焼戻しマルテンサイトとしてもよい。めっき浴の温度の上限は特に規定しないが、通常、500℃以下である。更に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬して得られた亜鉛めっき鋼板に、合金化処理を施してもよい。この場合は、めっき浴への浸漬によって亜鉛めっき鋼板のマルテンサイトが軟化されているため、合金化処理は440〜600℃で行えばよい。
冷延鋼板を製造する場合、鋼の溶製及び熱間圧延の条件は特に限定せず、常法で行う。上記の化学成分を有する鋼片を熱間圧延後、常法で冷間圧延し、焼鈍を行う。焼鈍温度及びその後の冷却条件は、金属組織を制御するため、重要である。
焼鈍は、フェライトからオーステナイトへの変態温度であるAc1[℃]以上で行うことが必要である。焼鈍温度がAc未満であると、焼戻しマルテンサイトの生成が不十分になり、強度が低下する。なお、再結晶を促進させるためには、焼鈍温度を750℃以上にすることが好ましい。一方、焼鈍温度がAc+100℃を超えると、フェライトの体積率が低下するため、上限をAc+100℃以下とする。Ac[℃]は、Mn及びSiの含有量から、下記(式1)によって求める。
Ac1 =723−10.7Mn+29.1Si ・・・ (式1)
(式1)において、Si、Mnは各元素の含有量[質量%]である。
冷延鋼板の焼鈍では、Ac+Ac+100[℃]に到達した後、60s以上保持することが必要である。これは、熱間圧延によって生じた炭化物を固溶させるためである。保持時間は、長すぎると生産性を損なうため、180s以下とする。
焼鈍後、600〜700℃の範囲内まで20℃/s以下の冷却速度で一次冷却する。これは、焼鈍後の冷却中にフェライトを生成させるためである。
冷却速度が20℃/sを超えると、マルテンサイトの体積率が増加し、フェライトの体積率が低下する。
一次冷却の停止温度は、700℃を超えると、その後の二次冷却によって、マルテンサイトの体積率が増加し、フェライトの体積率が低下する。一方、一次冷却を600℃未満の温度で停止すると、パーライトが生成する。
一次冷却後、ベイナイトの生成を避けるため、350℃以下まで二次冷却する。二次冷却の冷却速度は、通常、20℃/s以上である。二次冷却の停止温度の下限値は特に限定せず、室温でもよい。
得られた冷延鋼板に、焼戻処理を施し、マルテンサイトを軟化させる。
焼戻処理は、480〜700℃で行う。焼戻し温度が480℃未満では、マルテンサイトの軟化が不十分であり、フェライトとの強度差が低減しないため、穴広げ性は向上しない。また、焼戻し温度が700℃を超えると、焼戻しマルテンサイトが軟化し、強度を確保することができない。
焼戻しの保持時間は、30sを超えると、焼戻しマルテンサイトが軟化し、強度を確保することができなくなる。焼戻しの保持時間の下限値は、特に限定せず、480〜700℃の範囲内の温度に到達した後、そのまま冷却してもよい。
焼鈍、一次冷却、二次冷却後の冷延鋼板に、焼戻処理を施す代わりに、溶融亜鉛めっきを施し、更に、合金化処理を施してもよい。この場合は、合金化処理でマルテンサイトを焼戻す。マルテンサイトを軟化させるためには、合金化処理を480℃以上で行うことが必要である。溶融亜鉛めっき浴の温度は特に規定しないが、通常、430〜500℃である。合金化処理の温度の上限は規定しないが、通常、600℃以下で行う。
また、焼鈍、一次冷却、二次冷却後の冷延鋼板に、焼戻処理を施す代わりに、480℃以上の溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、マルテンサイトを軟化させて焼戻しマルテンサイトとしてもよい。めっき浴の温度の上限は特に規定しないが、通常、500℃以下である。更に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬して得られた亜鉛めっき鋼板に、合金化処理を施してもよい。この場合は、めっき浴への浸漬によって亜鉛めっき鋼板のマルテンサイトが軟化されているため、合金化処理は440〜600℃で行えばよい。
「実施例1」
表1に示す化学成分を有する鋼を溶解し、鋳造して得られた鋼片を表2に示す加熱温度に加熱し、表2に示す仕上温度で熱間圧延を行い、表2に示す停止温度まで一次水冷し、表2に示す空冷時間で空冷した後、室温から350℃以下の温度まで二次水冷し、更に、表2に示す焼戻し温度で表2に示す焼戻し時間保持する焼戻処理を行った。表2のFT[℃]は仕上温度、MT[℃]は一次水冷の停止温度、tAC[s]は空冷時間である。
Figure 0005304522
Figure 0005304522
得られた熱延鋼板から試料を採取し、光学顕微鏡を用いて金属組織の観察を行った。試料の調整として、圧延方向の板厚断面を観察面として研磨し、ナイタール試薬又はレペラー試薬にてエッチングした。得られたミクロ組織を画像解析して、フェライト、焼戻しマルテンサイトの面積率を求めた。また、フェライト、焼戻しマルテンサイト以外の残部の組織を確認した。なお、焼戻しマルテンサイトの炭化物の析出状態は、走査型電子顕微鏡によって確認した。その結果を表3に示す。表3において、fα[%]はフェライトの体積率、f[%]は焼戻しマルテンサイトの体積率であり、残部はフェライトと焼戻しマルテンサイト以外の組織である。したがって、残部の空欄は、フェライト及び焼戻しマルテンサイトの体積率の合計が100%であることを意味する。
Figure 0005304522
得られた熱延鋼板の引張強度、均一伸び、破断伸び、穴広げ率を調べた。
引張強度及び破断伸びは、JIS Z 2201の5号試験片を用いて、JIS Z 2241に準拠して評価した。均一伸びは、最高荷重に達した際の公称伸びである。穴広げ試験は日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の試験方法に準拠して評価した。結果を表3に示す。表3のTS[MPa]は引張強度、uEL[%]は均一伸び、tEL[%]は破断伸び、λ[%]は穴広げ率である。
製造No.1〜10は、本発明例であり、590MPa以上の引張強度を有し、均一伸びが17%以上で破断伸びに優れ、穴広げ率が80%以上と高く、強度及び加工性が確保されている。
一方、製造No.11はCの含有量とSiの含有量との比[C/Si]が少ないため、焼戻しマルテンサイトが軟化して、鋼板の強度が低くなっている。また、製造No.11は、引張強度が低いため、C/Siは0.035未満であるが、穴拡げ性が高くなっている。
製造No.12、13はCの含有量が多く、C/Siが大きいため、焼戻しマルテンサイトが十分に軟化せず、フェライトとの硬度差が大きくなり、穴広げ性が低くなっている。
製造No.14はSiの含有量が少なく、C/Siが大きく、フェライトの強化が不十分であるため、焼戻しマルテンサイトとフェライトとの硬度差が軽減されず、穴広げ性が低くなっている。
製造No.15、16は、C/Siが低く、フェライトが硬化して、穴広げ性が低下している。
製造No.17はC/Siが高く、フェライトの強化が不十分であるため、焼戻しマルテンサイトとフェライトとの硬度差が軽減されず、穴広げ性が低くなっている。
また、製造No.18は、Siの含有量が多く、フェライトが硬化して、均一伸びが低くなっている。
製造No.19は、一次水冷の停止温度が高く、空冷時にフェライト変態が十分に進行しないため、フェライトの体積率が減少し、延性が低くなっている。
製造No.20は空冷時間が長く、パーライトが生成し、強度および穴広げ性が低くなっている。
製造No.21は焼戻し温度が低いため、焼戻しマルテンサイトの軟化が不十分であり、穴広げ性が低くなっている。
製造No.22は焼戻し温度が高く、強度が低くなっている。
「実施例2」
表1に示す化学成分を有する鋼を溶解し、鋳造して得られた鋼片を1150℃に加熱した後、常法で熱間圧延、冷間圧延を施した。更に、表4に示す焼鈍温度に加熱して表4に示す保持時間で保持した後、表4に示す冷却速度1[℃/s]で表4に示す中間温度まで一次冷却し、更に、室温から350℃以下の温度まで水冷し、更に、表4に示す焼戻し温度で表4に示す焼戻し時間保持する焼戻処理を行った。表4に示す冷却速度1[℃/s]は一次冷却の冷却速度であり、中間温度[℃]は一次冷却を終了して、二次冷却(水冷)を開始した温度である。
Figure 0005304522
得られた冷延鋼板の金属組織の観察及び体積率の測定、引張強度、均一伸び、破断伸び、穴広げ率の評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表5に示す。表5において、fα[%]はフェライトの体積率、f[%]は焼戻しマルテンサイトの体積率であり、残部はフェライトと焼戻しマルテンサイト以外の組織である。表5のTS[MPa]は引張強度、uEL[%]は均一伸び、tEL[%]は破断伸び、λ[%]は穴広げ率である。
Figure 0005304522
製造No.23〜32は、本発明例であり、590MPa以上の引張強度を有し、均一伸びが17%以上で破断伸びに優れ、穴広げ率が80%以上と高く、強度及び加工性が確保されている。
一方、製造No.33はCの含有量とSiの含有量との比[C/Si]が少ないため、焼戻しマルテンサイトの強度が不足し、鋼板の強度が低くなっている。また、製造No.33は、引張強度が低いため、C/Siは0.035未満であるが、穴拡げ性が高くなっている。
製造No.34、35はCの含有量が多く、C/Siが大きいため、焼戻しマルテンサイトの軟化が不十分で、フェライトとの硬度差が大きくなり、穴広げ性が低くなっている。
製造No.36はSiの含有量が少なく、C/Siが大きく、焼戻しマルテンサイトとフェライトとの硬度差を軽減できず、穴広げ性が低くなっている。
製造No.37は、C/Siが低く、フェライトが硬化して、穴広げ性が低下している。
製造No.38は、焼鈍温度が低く、C/Siが低く、フェライトが硬化して、穴広げ性が低下している。
製造No.39はC/Siが高く、焼戻しマルテンサイトとフェライトとの硬度差を軽減できず、穴広げ性が低くなっている。
また、製造No.40は、Siの含有量が多く、フェライトが硬化して、均一伸びが低くなっている。
製造No.41は、焼鈍温度が高く、フェライト変態が遅延し、フェライトの体積率が減少し、焼戻しマルテンサイトが増加して、延性が低くなっている。
製造No.42は、一次冷却の停止温度が高いため、焼戻しマルテンサイトが増加し、延性が低下している。
製造No.43は焼戻し温度が低く、焼戻しマルテンサイトの軟化が十分ではなく、フェライトとの強度差が低減されていないため穴拡げ性が低い。
製造No.44は一次冷却の停止温度が低く、パーライトが生成しており、強度および穴広げ性が不足している。
製造No.45は焼戻し温度が高く、製造No.46は焼戻しの時間が長く、強度が低くなっている。
製造No.47は一次冷却の冷却速度が速く、フェライト変態が進まず、マルテンサイトの体積率が高く、延性が低下している。
「実施例3」
表1に示す化学成分を有する鋼No.Eを溶解し、鋳造して得られた鋼片を表6に示す加熱温度に加熱し、表6に示す仕上温度で熱間圧延を行い、表6に示す停止温度まで一次水冷し、表6に示す空冷時間で空冷した後、室温から350℃以下の温度まで二次水冷し、更に、表6に示すめっき浴温度で溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、得られた亜鉛めっき鋼板の一部に、表6に示す合金化処理温度および合金化処理時間で合金化処理を施した。表6のFT[℃]は仕上温度、MT[℃]は一次水冷の停止温度、tAC[s]は空冷時間である。
Figure 0005304522
得られた熱延鋼板の金属組織の観察及び体積率の測定、引張強度、均一伸び、破断伸び、穴広げ率の評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表7に示す。表7において、fα[%]はフェライトの体積率、f[%]は焼戻しマルテンサイトの体積率であり、残部はフェライトと焼戻しマルテンサイト以外の組織である。表7のTS[MPa]は引張強度、uEL[%]は均一伸び、tEL[%]は破断伸び、λ[%]は穴広げ率である。
Figure 0005304522
製造No.48〜51は、本発明例であり、590MPa以上の引張強度を有し、均一伸びが17%以上で破断伸びに優れ、穴広げ率が80%以上と高く、強度及び加工性が確保されている。
表6及び表7に示したように、溶融亜鉛めっきまたは合金化処理によってマルテンサイトを焼戻すことで、焼戻しと同様、強度及び加工性が確保されている。
「実施例4」
表1に示す化学成分を有する鋼No.Eを溶解し、鋳造して得られた鋼片を1150℃に加熱した後、常法で熱間圧延、冷間圧延を施した。更に、表8に示す焼鈍温度に加熱して表8に示す保持時間で保持し、表8に示す冷却速度1[℃/s]で表8に示す中間温度まで一次冷却した後、室温から350℃以下の温度まで水冷し、更に、表8に示すめっき浴温度で溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、得られた亜鉛めっき鋼板の一部に、表8に示す合金化処理温度および合金化処理時間で合金化処理を施した。表8に示す冷却速度1[℃/s]は一次冷却の冷却速度であり、中間温度[℃]は一次冷却を終了して、二次冷却(水冷)を開始した温度である。
Figure 0005304522
得られた冷延鋼板の金属組織の観察及び体積率の測定、引張強度、均一伸び、破断伸び、穴広げ率の評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表9に示す。表9において、fα[%]はフェライトの体積率、f[%]は焼戻しマルテンサイトの体積率であり、残部はフェライトと焼戻しマルテンサイト以外の組織である。表9のTS[MPa]は引張強度、uEL[%]は均一伸び、tEL[%]は破断伸び、λ[%]は穴広げ率である。
Figure 0005304522
製造No.52〜55は、本発明例であり、590MPa以上の引張強度を有し、均一伸びが17%以上で破断伸びに優れ、穴広げ率が80%以上と高く、強度及び加工性が確保されている。
表8及び表9に示したように、溶融亜鉛めっきまたは合金化処理によってマルテンサイトを焼戻すことで、焼戻しと同様、強度及び加工性が確保されている。

Claims (10)

  1. 質量%で、
    C:0.04〜0.10%、
    Si:0.8〜2.0%、
    Mn:0.5〜2.6%
    を含有し、Cの含有量とSiの含有量との比[C/Si]が0.04以上、0.10未満であり、
    Al:0.150%以下、
    P:0.04%以下、
    S:0.010%以下、
    N:0.010%以下
    に制限し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、金属組織が、体積率で、90〜95%のフェライトと5〜10%の焼戻しマルテンサイトとからなることを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板。
  2. 質量%で、
    REM:0.0100%以下、
    Ca:0.0100%以下
    の一方又は双方を含有することを特徴とする請求項1に記載の加工性に優れた高強度鋼板。
  3. 引張強度が590〜650MPaであり、均一伸びが17%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工性に優れた高強度鋼板。
  4. 請求項1又は2に記載の化学成分を有する鋼片を、1050〜1300℃に加熱し、仕上温度を850〜1000℃として熱間圧延を行い、600〜750℃の範囲内まで一次水冷し、3〜15s空冷した後、350℃以下まで二次水冷し、更に、480〜700℃の範囲内で30s以下保持する焼戻処理を施すことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の化学成分を有する鋼片を、1050〜1300℃に加熱し、仕上温度を850〜1000℃として熱間圧延を行い、600〜750℃の範囲内まで一次水冷し、3〜15s空冷した後、350℃以下まで二次水冷し、更に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、480℃以上で合金化処理を施すことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載の化学成分を有する鋼片を、熱間圧延して、冷間圧延し、下記(式1)によって求められるAc〜Ac+100[℃]に加熱し、60〜180s保持する焼鈍を行い、20℃/s以下の冷却速度で600〜700℃の範囲内に一次冷却した後、350℃以下まで20℃/s以上の冷却速度で水冷する二次冷却を行い、更に、480〜700℃の範囲内で30s以下保持する焼戻処理を施すことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
    Ac=723−10.7Mn+29.1Si ・・・ (式1)
    (式1)において、Mn及びSiは各元素の含有量[質量%]である。
  7. 請求項1又は2に記載の化学成分を有する鋼片を、熱間圧延して、冷間圧延し、下記(式1)によって求められるAc〜Ac+100[℃]に加熱し、60〜180s保持する焼鈍を行い、20℃/s以下の冷却速度で600〜700℃の範囲内に一次冷却した後、350℃以下まで20℃/s以上の冷却速度で水冷する二次冷却を行い、更に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、480℃以上で合金化処理を施すことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
    Ac=723−10.7Mn+29.1Si ・・・ (式1)
    (式1)において、Mn及びSiは各元素の含有量[質量%]である。
  8. 請求項1又は2に記載の化学成分を有する鋼片を、1050〜1300℃に加熱し、仕上温度を850〜1000℃として熱間圧延を行い、600〜750℃の範囲内まで一次水冷し、3〜15s空冷した後、350℃以下まで二次水冷し、更に、480℃以上の溶融亜鉛めっき浴に浸漬することを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  9. 請求項1又は2に記載の化学成分を有する鋼片を、熱間圧延して、冷間圧延し、下記(式1)によって求められるAc〜Ac+100[℃]に加熱し、60〜180s保持する焼鈍を行い、20℃/s以下の冷却速度で600〜700℃の範囲内に一次冷却した後、350℃以下まで20℃/s以上の冷却速度で水冷する二次冷却を行い、更に、480℃以上の溶融亜鉛めっき浴に浸漬することを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
    Ac=723−10.7Mn+29.1Si ・・・ (式1)
    (式1)において、Mn及びSiは各元素の含有量[質量%]である。
  10. 更に、合金化処理を行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。
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