JP5303421B2 - 木質系複合材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、木質系複合材料およびその製造方法に関し、さらに詳しくは耐吸水性、耐吸湿性に優れ、少なくとも難燃レベル以上の耐熱性を有し、さらには吸水による膨張度が低減され、良好な寸法安定性を有する木質系複合材料および該木質系複合材料を簡易に製造する方法に関する。
従来、結合剤が付された細長い木質チップを、長さ方向に略揃えて積層し、これを熱圧成形して(例えば、蒸気により加熱しつつ加圧する等して)作製される木質系複合材料が知られている(例えば特許文献1参照)。
しかし、この木質系複合材料は、吸水性や吸湿性が高く、吸水や吸湿により膨張し、寸法安定性が悪いという問題を有している。
特公昭50−17512号公報
本発明の課題は、このような事情の下、耐吸水性、耐吸湿性に優れ、さらには吸水による膨張度が低減され、良好な寸法安定性を有する木質系複合材料および該木質系複合材料を簡易に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、上記木質系複合材料において、原料木質チップについて、未処理の木質チップに特定の低分子フェノール系物質を含浸させ、適宜乾燥したのち、さらに特定の無機塩系薬剤を含浸させ、適宜乾燥してなる被薬剤処理加工物を用いることにより、上記課題が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、結合剤の付された細長い木質チップを、長さ方向に略揃えて積層し、これを熱圧成形して作製される木質系複合材料において、木質チップを、それに、加熱により硬化、樹脂化される低分子フェノール系物質を含浸させ、適宜乾燥したのち、さらに硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩および塩酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機塩系薬剤を含浸させ、適宜乾燥してなる被薬剤処理加工物として用いることを特徴とする木質系複合材料が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、上記低分子フェノール系物質が、
一般式(1)
Figure 0005303421
(式中、mは1、2または3である)
で表されるメチロール化フェノール単量体の1種以上を含有することを特徴とする木質系複合材料が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、無機塩系薬剤が、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩または塩化アンモニウムであることを特徴とする木質系複合材料が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、さらに被薬剤処理加工物に防腐性金属塩を含有させることを特徴とする木質系複合材料が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、熱圧成形を、蒸気により加熱しつつ圧縮することによって行うことを特徴とする木質系複合材料が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質が細胞壁に浸透していることを特徴とする木質系複合材料が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、コーンカロリーメーターによる発熱性試験において難燃レベル以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の木質系複合材料が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、コーンカロリーメーターによる発熱性試験において準不燃レベル以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の木質系複合材料が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、結合剤の付された細長い木質チップを、長さ方向に略揃えて積層し、これを熱圧成形して木質系複合材料を製造する方法において、木質チップとして、原木やリサイクル木材のチップに加熱により硬化、樹脂化される低分子フェノール系物質を含浸させ、適宜乾燥したのち、さらに硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩および塩酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機塩系薬剤を含浸させ、適宜乾燥してなる被薬剤処理加工物を用いることを特徴とする木質系複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、上記低分子フェノール系物質が、一般式(1)
Figure 0005303421
(式中、mは1、2または3である)
で表されるメチロール化フェノール単量体の1種以上を含有することを特徴とする木質系複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第9または10の発明において、無機塩系薬剤が、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩または塩化アンモニウムであることを特徴とする木質系複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第9〜11のいずれかの発明において、熱圧成形を、蒸気により加熱しつつ圧縮することによって行うことを特徴とする木質系複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第9〜12のいずれかの発明において、硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質が細胞壁に浸透していることを特徴とする木質系複合材料の製造方法が提供される。
本発明において、コーンカロリーメーターによる発熱性試験とは、建築基準法における発熱性試験を指称するものである。
本発明の木質系複合材料は、耐吸水性、耐吸湿性に優れ、少なくとも難燃レベル以上の耐熱性(好ましくは準不燃レベル以上の耐熱性)を有し、さらには吸水による膨張度が低減され、良好な寸法安定性を有するという利点がある。
また、本発明方法によれば、木質系複合材料を、樹皮付き木材を原料材としても従来のような多大のコストをかけることなく、簡易に製造することができる。
本発明の木質系複合材料の一例(実施例1)における試験片1の表面SEM写真(400倍)。 比較のための低分子フェノール系物質処理のみの木質系複合材料の一例(比較例1)における試験片2の表面SEM写真(400倍)。 比較のための薬剤未処理の木質系複合材料の一例(比較例2)における試験片3の表面SEM写真(400倍)。
本発明の木質系複合材料は、結合剤の付された細長い木質チップを、長さ方向に略揃えて積層し、これを熱圧成形して作製されるものであって、木質チップを、それに、加熱により硬化、樹脂化される低分子フェノール系物質を含浸させ、適宜乾燥したのち、さらに無機塩系薬剤を含浸させ、適宜乾燥してなる被薬剤処理加工物として用いてなるものである。
木質チップとなる原料材の樹種としては、主に、スギ、ヒノキ、マツ、スプルース、パイン、ファー等の針葉樹、ラワン、アピトン、カメレレ、ポプラ、アスペン等の広葉樹が挙げられるが、これら森林から生産される植物材料だけでなく、竹、コウリャンといった森林以外で生産される植物材料をも含めることができる。原料材に利用できる形態としては、特に限定されないが、例えば、上記樹種の丸太、間伐材等の原木、工場や住宅建築現場で発生する端材、部材輸送後に廃棄される廃パレット材、建築解体時に発生する解体廃材等が挙げられる。
上記原料材を木質チップにする加工方法としては、ロータリーカッターによってベニア加工したものを割り箸状に切断してスティックにする方法、フレーカーの回転刃によって丸太を切削してストランドにする方法、一軸破砕機の表面に刃物のついたロールを回転させて木材を破砕する方法、二軸破砕機、衝撃式破砕機等による方法などを用いることができる。一般にパーティクルボードに使用されているような切削を要素とした小片製造機では、小片が薄く削られたものになり強度が比較的でにくく、破砕を要素とする破砕機により作製された破砕チップは紡錘状になり強度がでやすいので、こちらの方がより好ましい。
破砕された木質チップは、その厚さが不揃いの場合は、一定範囲の厚さの木質チップに分級するのがよい。分級方法は、一定範囲の厚さで分級できるものであれば特に限定されないが、例えば、ウェーブローラー方式、バースクリーン方式等の分級機を用いて分級する方法が挙げられる。なお、ウェーブローラー方式、バースクリーン方式の分級機は、チップの厚さを基準に連続的に分級する装置である。
木質チップは、細長いもの、例えば長さが20mm〜150mmであり、厚さ(短辺)が1mm〜11mmであるものなどが好ましい。長さが20mm未満であると、構造材等として使用する場合、軸方向の強度が不十分となるし、また、150mmを越えると、木質チップを積層したとき、1本の木質チップの積層交点が増えてしまい、十分に圧密化しにくくなる。また、厚さが1mm未満であると、構成材料チップが小さくなりすぎ、多くの結合材が必要となり、十分な強度が発現されないし、また、11mmを越えると、木質系複合材料の厚さ方向への木質チップの積層数が少なくなってしまい、応力伝達が十分に行われず、木質チップの継ぎ目に応力集中を起こしやすく、十分な強度が得られにくくなる。
なお、木質チップは、その長さについて完全には分別できるものではないため、その重量比で、70%以上、好ましくは80%以上に、所定長さのものが含有されていれば十分効果が発揮される。
また、木質チップは、比重が0.3〜0.6であることが好ましい。
また、木質チップの長さと厚さとの比は、特に限定されないが、長さが厚さの10倍以上となることが好ましい。長さが厚さの10倍未満であると、木質系複合材料の軸方向の強度が不十分となる恐れがある。
また、木質チップは、含水率を一定にすることが好ましい。含水率を一定にすることで生産時の木質系複合材料の品質バラツキがなくなる。好ましい含水率としては、0〜10%である。含水率を一定にする方法としては、例えば、温調したオーブン中に一定時間木質チップを放置する方法が挙げられる。因みに、105℃のオーブンに24時間放置すると、含水率はほぼ5%以下に保たれる。
本発明の木質系複合材料においては、木質チップは、それに、加熱により硬化、樹脂化される低分子フェノール系物質を含浸させ、適宜乾燥したのち、さらに無機塩系薬剤を含浸させ、適宜乾燥してなる被薬剤処理加工物として用いられる。
上記低分子フェノール系物質は、加熱により硬化、樹脂化される低分子量のフェノール系物質であれば特に制限されないが、好ましくは一般式(1)
Figure 0005303421
(式中、mは1、2または3である)
で表されるメチロール化フェノール単量体の1種以上を含有するもの、中でもモノメチロールフェノール、ジメチロールフェノールおよびトリメチロールフェノール(C)から選ばれた1種以上のものが挙げられる。
すなわち、低分子フェノール系物質は、従来より接着剤、塗料等として用いられてきた高分子量のフェノール樹脂を多量に含有するものとは異なり、実質的に低分子量の熱硬化性フェノール系物質を含有するもの、中でもメチロール化フェノール単量体のみからなるものである。このような低分子フェノール系物質、中でもメチロール化フェノール単量体は、それを含有する弱酸性ないしは中性、例えばpH3.0〜7.0等の水溶液や水性溶液として調製されて使用される。この水溶液や水性溶液中の低分子フェノール系物質の濃度は、45重量%以下、好ましくは5〜20重量%の範囲とするのがよい。メチロール化フェノール単量体は1種のみを使用してもよいし、また、複数種を併用してもよい。
以上のように調製された低分子フェノール系物質の水溶液や水性溶液(以下、低分子フェノール系溶液ともいう)は、従来の処理剤(薬剤)を用いる場合とは異なり、ワレが発生する前の含水率の高い状態のままの木質チップに注入し、含浸させことができる。ここで、低分子フェノール系物質、中でもメチロール化フェノール単量体は、低分子量のものであるため、木材細胞の微細な空隙にまで浸透することができ、後に加熱されると、例えば、メチロール化フェノール単量体の場合、メチロール基を介して結合し、更に三次元網目状になって硬化し樹脂化して、木材の細胞壁を膨張した状態に固定する。
低分子フェノール系溶液の含浸量は、木質チップに対し、低分子フェノール系物質(固形分)換算で25−50kg/mの範囲とするのがよい。
メチロール化フェノール単量体は、既知の反応を利用して合成することができる。例えば、フェノール:ホルムアルデヒド:NaOH=1:(1.9〜2.0):(0.2〜0.5)のモル比で、30℃において15時間反応させ、次に1時間かけて70℃まで昇温し70℃で30分間反応させた後、冷却し、アルカリを除去することによりメチロール化フェノール単量体混合物として得ることができる。
メチロール化フェノール単量体の合成条件により、未反応フェノールやフェノール類の重合体が含まれていることがあるが、微少量であれば(一般的には10モル%以下)メチロール化フェノール単量体の機能に実質的な影響を与えることはない。また、木材処理剤の調製に際しては、弱酸性ないしは中性とすることにより、ホルムアルデヒドは存在しても極めて少量であるので、ホルムアルデヒドによる通常のフェノール樹脂の架橋形成反応は殆ど起こらないと考えてよい。
低分子フェノール系物質を含浸させた木質チップは、適宜乾燥し、さらに無機塩系薬剤液を含浸させる。
無機塩系薬剤液としては、無機塩系薬剤を水溶液や水性溶液に調製してなるものが好ましく使用される。無機塩系薬剤の水溶液や水性溶液中の無機塩系薬剤の濃度は、50重量%以下、好ましくは15〜45重量%の範囲とするのがよい。
無機塩系薬剤としては、例えば硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、塩酸塩などが挙げられ、具体的には、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリ等)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリ等)、塩化アンモニウムなどが好ましく用いられる。
無機塩系薬剤は1種のみを使用してもよいし、また、複数種を併用してもよい。
無機塩系薬剤液の含浸量は、木質チップに対し、無機塩系薬剤換算で(固形分)100〜200kg/mの範囲とするのがよい。
このように、木質チップは、低分子フェノール系物質や無機塩系薬剤等の薬剤で処理された被薬剤処理加工物とされ、必要に応じ、さらに防腐性金属塩を含有させることもできる。
防腐性金属塩としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、CCA(クロム・銅・ヒ素化合物)等が挙げられ、中でも、フッ化ナトリウムは、木材に対する浸透性に優れ、メチロール化フェノール単量体等の熱硬化性低分子フェノール系物質が硬化、樹脂化すると、該樹脂に被覆された状態で細胞内腔に存在して、万一木材に小さなワレが生じた場合にも防菌効果を発揮するので好ましい。
また、フッ化ナトリウムは、従来使用されていたCCA等の有害物質を含む保存剤と異なり、地球環境への影響を充分に考慮した安全性の高い薬剤であるので好ましい。
防腐性金属塩は、上記薬剤処理に用いられる薬液のいずれか一方または両方に0.001〜0.5重量%の濃度で配合使用される。
本発明の木質系複合材料は、上記の被薬剤処理加工物としての木質チップを用いて、これに結合剤を付着させてなる結合剤の付された細長い木質チップから得られ、この木質チップは長さ方向に略揃えて積層されるものであるが、この結合剤としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の熱硬化型樹脂や熱可塑型樹脂系の接着剤や、天然物成分もしくは天然物から精製、抽出、変性等によって得られる天然物由来の接着剤のような合板やパーティクルボード等に用いられる木材工業用の接着剤が挙げられる。
天然物由来の接着剤としては、具体的には、ゼラチン、カゼイングルー、大豆グルー、にかわ、アルブミン等のタンパク質系接着剤、でんぷん、デキストリン、米糊、グルコマンナンなどのデンプン系接着剤、キチン・キトサンなどの動物系接着剤、セルロース系接着剤、リグニン系接着剤、タンニン系接着剤などが挙げられる。
これらの結合剤は、一種単独で用いてもよいし、また、又は複数種を併用してもよい。
また、結合剤は、液状でも粉末状でも構わないが、液状の場合は一般に木質チップに噴霧したり、木質チップと撹拌混合して予め木質チップに担持させた状態で、フォーミング型に供給され、粉末状の場合は、一般に木質チップと均一に混合した状態で、フォーミング型に供給され、フォーミング型により木質チップは長さ方向に略揃えて積層される。
特に、タンニン系接着剤は、天然木材からの抽出成分であるので木質チップとの親和性が良く、また、適度の粘着性を有し、更に、硬化すると高強度になるので好ましい。タンニン系接着剤はタンニン単独使用で加熱等によって硬化させてもよいが、耐久性が要求される用途においては、アルデヒド系化合物やイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物などの架橋剤を併用することが好ましい。タンニン系接着剤を抽出する樹種は特に限定されないが、ラジアータパインやブラックワトル、ミモザ、ケブラチョ、チェスナッツから採取されるものが好ましい。木材から抽出したタンニンが固体の場合には、必要に応じて水や有機溶媒に溶解又は分散させて使用することができる。
結合剤は、木質チップに対し、質量基準で1〜20重量%の範囲で用いるのが好ましい。この結合剤の用量が少なすぎると、接着が不十分となるし、また、多すぎても材料コストが嵩む割に接着性能が上がらず、外観や釘打ち性能が低下する、外観が木質的でなくなるなどの問題がある。
上記のようにして得られた結合剤付き木質チップをフォーミング型に投入する方法としては、オリエンテッド・ストランド・ボード(OSB)等の既存の木質系成形材料の製造装置で用いられるディスクオリエンター等の公知の配向手段をフォーミング型の上方に配置し、この配向手段により配向させながら投入する方法が使用できるが、上部の投入口から結合剤付き木質チップが投入されスリット状の排出口に向かって幅が縮小する内面形状(嘴形状)の配向部を有するホッパをその排出口が各分割枠部の上部開口を臨むようにフォーミング型の上方に配置し、ホッパを介して投入する方法を用いることが好ましい。その他、幅方向に樋状体を並設させて、凹凸溝形状として、溝を流れることで並べる方法を用いることが可能である。
すなわち、上記のようなホッパを用いることによって、フォーミング型の各分割枠部に効率よく、すなわち、ロスなく結合剤付き木質チップを供給することが可能になる。ホッパの内面形状はフォーミング型の形状により決まってくるが、結合剤付き木質チップが詰まらない形状であれば良い。具体的には、排出口のスリット幅を15mm以上で分割枠部の内幅より小さい形状であることが好ましい。
フォーミング型の形状は、得ようとする木質系複合材料によって適宜決定されるが、例えば、1000×500×30mmの板形状の木質系複合材料を得る場合は、フォーミング型により1000×500×100mm程度の積層マットを形成させるのが好ましい。すなわち、積層マットの縦、横の寸法は、得ようとする木質系複合材料の縦、横と同じ寸法或いは、少し大きめで作製しておき、積層マットの厚さは少なくとも得ようとする木質系複合材料の3倍以上の厚さとすることが好ましい。
また、フォーミング型に一定間隔の分割枠部を形成する方法としては、特に規定されるものではないが、得ようとする木質系複合材料の縦、横と同じ寸法或いは、少し大きめの枠状をした型本体内部を厚さ数mmの金属板を用いて仕切る程度でよい。分割する方向については、木質チップを配向させた方向と配向と直角方向では強度特性が異なるため、必要な成形品により決まる。因みに、上記のような1000×500×30mmの板形状の木質系複合材料を得る場合なら、1000×500×100mmの枠状をしたフォーミング型本体内を高さ100mmの19枚の仕切り板を用いて、幅方向(500mm側)に20mmの一定間隔で仕切ったようなフォーミング型を用いることが好ましい。また、仕切り板は、フォーミング型本体に固定されていても構わないし、着脱自在になっていても構わない。
また、木質チップの厚さと分割枠部の内幅には、高強度の木質系複合材料を得るためにより好ましい関係があり、例えば、木質チップの厚さが1mm〜11mmである場合、フォーミング型の分割枠部の内幅を20mm〜40mmとすることが好ましく、木質チップの厚さが3mm〜5mmである場合、フォーミング型の分割枠部の内幅を20mm〜30mmとすることが好ましい。
分割枠部の内幅が狭過ぎると、分割枠部内にきれいに木質チップが落ちず、自動で生産する場合トラブルになりやすく、分割枠部の内幅が広過ぎると、木質チップが配向しにくくなり、配向方向での必要強度がでなくなる恐れがある。フォーミング型で配向された木質チップからなるマットは、フォーミング型全体を取り外すか、フォーミング型本体を残し仕切り壁となる仕切り板のみを取り外した状態で加圧・加熱可能なプレス機へ投入されてプレスされるが、仕切り板やフォーミング型を取り外した時に、木質チップの積層状態が崩れる場合には、予め、フォーミング型に崩れ防止シートを配置しておき、そのシートごとプレス成形することも可能である。即ち、例えば、崩れ防止シートとして新聞紙をフォーミング型内に敷いておき、フォーミング型を取り外す際、マットを新聞紙でくるみ、紐や粘着テープで固定した状態でプレス成形してもよい。
熱圧成形については加熱加圧するものであれば特に限定されないが、加圧は、通常、プレス機による機械的加圧で圧縮することより行われる。例えば、プレス機であれば、既存の木質系材料成形用の縦型プレス機や連続プレス機を垂直方向動作にしたものを用いることができる。プレス機の温度条件は、通常100〜250℃の範囲が好ましい。圧力条件は、1〜10MPaの範囲が好ましい。プレス時間は、結合剤が硬化する時間であればよい。1MPa未満であると、充分に圧縮できないし、また、10MPaを超えると、プレスのための設備が高価になる。プレス時間は、結合剤が硬化するまでの時間、加熱と圧力を加えればよい。
加熱は、通常100〜250℃の範囲が好ましい。加熱方法としては、特に限定されないが、例えば熱盤のように木質チップの表面から伝熱により内部に熱を伝える方法や、蒸気噴射や高周波加熱等のように内部を直接加熱する方法が挙げられる。加熱と加圧とは、同時に行ってもよいし、加圧をした後に加熱をしてもよいし、加熱した後に加圧してもよい。蒸気で加熱する場合は、例えば0.5〜2MPaの圧力で蒸気を噴射する。0.5MPa未満では、木質チップが軟化しにくく、圧縮しにくくなるし、2MPaを超えると、設備が大型化しすぎて現実的ではない。
さらに、本発明の木質系複合材料を製造する場合、プレス成形後、得られる木質系複合材料の寸法精度や表面性を向上させるために、アニール処理や、切削、サンディング加工を行うことが好ましい。
熱圧成形は、蒸気により加熱しつつ圧縮することによって行うのが好ましい。
この木質系複合材料において、硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質は細胞壁に浸透している。
本発明の木質系複合材料は、結合剤の付された細長い木質チップを、長さ方向に略揃えて積層し、これを熱圧成形する製造法において、木質チップを、それに、加熱により硬化、樹脂化される低分子フェノール系物質を含浸させ、適宜乾燥したのち、さらに無機塩系薬剤を含浸させ、適宜乾燥してなる被薬剤処理加工物として用いることで特徴付けられる方法により、得ることができる。
熱圧成形は、蒸気により加熱しつつ圧縮することによって行うのが好ましい。
この木質系複合材料において、硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質は細胞壁に浸透している。
このような本発明方法において用いられる、木質チップ、低分子フェノール系物質、無機塩系薬剤、結合剤、製造条件等は、本発明の木質系複合材料について既に述べたとおりのものである。
本発明方法をさらに具体的に詳述すると、先ず、木質チップを注薬缶内に搬入する。本発明方法においては、充分に乾燥した木質チップ、及びワレの生じていない含水率の高い状態の木質チップをそのまま処理することもできる。これに対して、従来の方法においては、この工程の前に木質チップを充分に乾燥しておく必要があり、通常は既にワレが生じている木材を注薬缶に搬入していた。
次いで、注薬缶内を減圧排気して木材内の空気を除く。一般に減圧は600mmHg以上とし、また、木材の外周部および木口から薬液(木材処理溶液)の浸潤をよくするために減圧操作は一気に行うことが好ましい
次いで、低分子フェノール系溶液を注薬缶内に充満させる。
次いで、注薬缶内を加圧し、木質チップの内部に低分子フェノール系溶液を注入、含浸させる。この加圧操作は、木質チップの樹種、形状、寸法等を考慮して、徐々に圧力を上げてゆくようにすることが好ましい。
次いで、低分子フェノール系溶液を排出する。
次いで、注薬缶から含浸処理後の木質チップを被薬剤処理加工物として取り出す。以上の注薬缶を用いる各工程を、恒温室内で実施することにより、木材処理剤溶液の変性を防止することができる。
次いで、過剰な水分を除去するため、木材を乾燥する。この乾燥工程は、メチロール化フェノール単量体等の熱硬化性低分子フェノール系物質の硬化樹脂化のムラおよび乾燥初期の割れの発生を防ぐためにゆるやかな乾燥を行うことが重要である。具体的な乾燥条件は、木質チップの樹脂、形状、寸法等を考慮して設定する。一般的には風乾を行った後、乾燥機を用いて、ほぼ、繊維飽和点になるまで乾燥させる。使用可能な乾燥機としては、蒸気式、除湿式、高周波式、減圧式、マイクロ波式乾燥機などが上げられるが、特に好ましいのは蒸気式乾燥機である。
次いで、上記と同様に低分子フェノール系溶液に代え、無機塩系薬剤液を用いて含浸処理し、該薬剤液を排出する。
次いで、注薬缶から含浸処理後の木質チップを被薬剤処理加工物として取り出す。以上の注薬缶を用いる各工程を、恒温室内で実施することにより、木材処理剤溶液の変性を防止することができる。
次いで、過剰な水分を除去するため、木材を乾燥する。この乾燥工程は、無機塩系薬剤含浸ムラおよび乾燥初期の割れの発生を防ぐためにゆるやかな乾燥を行うことが重要である。具体的な乾燥条件は、木質チップの樹脂、形状、寸法等を考慮して設定する。一般的には風乾を行った後、乾燥機を用いて、ほぼ、繊維飽和点になるまで乾燥させる。使用可能な乾燥機としては、蒸気式、除湿式、高周波式、減圧式、マイクロ波式乾燥機などが上げられるが、特に好ましいのは蒸気式乾燥機である。
次いで、所定の含水率になった被薬剤処理加工物としての木質チップに結合材を付着させる。
次いで、結合剤の付された木質チップを、長さ方向に略揃えて積層し、これを熱圧成形する(110〜230℃)。
このようにして、硬化、樹脂化したフェノール系物質が細胞壁に浸透し、且つ無機塩系薬剤が細胞壁に付着した木質系複合材料が得られる。
前記図1の本発明の木質系複合材料は、図2および図3の比較のための木質系複合材料に対し、明らかに細胞壁が厚く膨張していることが理解される。
上記の処理工程により木質チップの細胞内部、細胞間層および細胞壁の空隙に処理液が浸透する。そして、乾燥工程により細胞内部の薬剤は大部分が除かれ、細胞壁の空隙に処理液が残る。このとき細胞壁は膨張した状態である。従来の薬剤では分子量が大きいため細胞壁の空隙に入り込むことができず、細胞内部および細胞間層に浸透するだけであった。
最終的には、加熱により細胞壁内のメチロール化フェノール単量体等の熱硬化性低分子フェノール系物質が硬化し、細胞壁は膨張した状態に固定される。得られる木質系複合材料は、このようなバルキング効果により寸法変化が抑制されてワレ(割れ)を最小限にとどめるとともに、硬化、樹脂化したフェノール系物質が細胞壁を被覆するために腐朽菌による木材成分の分解が防止されるものと解される。
また、本発明の木質系複合材料中に硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質が浸透、存在していることは、当該複合材料の一部をスライスし、ゼフリー試薬でリグニン部を除き、その後、72%硫酸でセルロース部およびヘミセルロース部を加水分解したものの残存物をIRスペクトルで分析することにより確認された。さらに、塩化鉄を塗布しても青色が認められないことからも硬化樹脂化していることが確認された。
本発明の木質系複合材料は、嵩密度が0.6以上であるのが好ましい。嵩密度が0.6未満では木質チップの十分な結合が得られず、構造材として用いる場合、十分な強度を得ることができない恐れがある。さらに、空隙率は、特に限定されないが、10%以下であるのが好ましい。空隙率が10%を越えると、木質系複合材料中の各木質チップ同士の結合が不十分となり、十分な強度を発現しなくなる恐れがある。
本発明の木質系複合材料は、嵩密度が0.6以上であるのが好ましい。嵩密度が0.6未満では木質チップの十分な結合が得られず、構造材として用いる場合、十分な強度を得ることができない恐れがある。さらに、空隙率は、特に限定されないが、10%以下であるのが好ましい。空隙率が10%を越えると、木質系複合材料中の各木質チップ同士の結合が不十分となり、十分な強度を発現しなくなる恐れがある。
本発明の木質系複合材料は、コーンカロリーメーターによる発熱性試験において難燃レベル以上であるのが好ましく、さらには準不燃レベル以上であるのがより好ましい。
難燃レベルおよび準不燃レベルに合格するためには、コーンカロリーメーターによる発熱性試験(ISO5660−1準拠)において、以下の3つの基準をそれぞれ必要な時間(難燃レベルでは5分間、準不燃レベルでは10分間)にわたってクリアすることが必要である。
(1)総発熱量が8MJ/m以下であること。
(2)200KW/mを超える発熱速度が10秒以上継続しないこと。
(3)防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないこと。
本発明の木質系複合材料は、種々の用途に用いられ、例えば、構造材(柱、梁、土台等)、準構造材(間柱(壁芯材)、根太、胴縁、大引、垂木、野縁等)、造作材(建具、階段、枠材、天井、棚板等)、造作芯材(上記の芯材)、(表)面材(床材、壁材、天井材等)などに好適に用いられる。
以下に実施例により、本発明を具体的に詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
本発明の木質系複合材料及び比較のための木質系複合材料を以下のようにして作製し、これについて、下記のとおり評価試験を行った。
(実施例1)
以下のプロセスにより、木質系複合材料を作成した。
(フェノール系薬剤含浸処理)
すなわち、先ず、森林組合から購入したスギチップにフェノール系薬剤を含浸させる。
なお、含浸方法は以下の通りである。
スギチップを外径20cm×長さ1mのステンレス製注薬缶内に投入し、注薬缶内を減圧排気してスギチップ内の空気を除いたのち、下記に示す組成の処理剤溶液(10重量%水溶液)を注薬缶内に充満させる。注薬缶内を加圧し、スギチップ内部に処理剤溶液を注入することにより、フェノール系薬剤を約40kg/m(固形分)の含浸量で含浸させる。
上記減圧排気操作は650mHgの減圧下で10分間行い、加圧操作は、0から2kgf/cm昇圧に1分かけ、2kgf/cmで9分間保持し、2〜6kgf/cm昇圧に1分かけ、6kgf/cmで9分間保持し、6〜10kgf/cm昇圧に1分かけ、10kgf/cmで9分間保持することにより合計30分間かけて実施した。
〔処理剤組成〕
1)未反応フェノール 5〜7.8 (モル%)
2)モノメチロールフェノール 23〜25 (モル%)
3)ジメチロールフェノール 32〜35 (モル%)
4)トリメチロールフェノール 32〜37 (モル%)
5)重合体(フェノール換算) 0〜1.5 (モル%)
(フェノール系薬剤乾燥、硬化処理)
以上のようにして得られた含浸チップを24時間風乾した後、蒸気式乾燥機により2日間乾燥を行うことにより、割れの生じていない含水率約40%の処理チップを得た。蒸気式乾燥機による乾燥操作は、0〜12時間において乾球温度30℃(乾湿球温度差3℃)、12〜30時間において乾球温度45℃(乾湿球温度差7℃)、および30〜48時間において乾球温度60℃(乾湿球温度差10℃)になるように行った。
次に上記のように乾燥したチップを高温型乾燥機により105℃で24時間硬化処理した。
(硫酸アンモニウム系処理剤含浸処理)
続いて、フェノール系薬剤を含浸、乾燥、硬化させたスギチップに硫酸アンモニウム系処理剤を含浸させる。
なお、含浸方法は以下の通りである。
フェノール系薬剤を含浸、乾燥、硬化させたスギチップを外径20cm×長さ1mのステンレス製注薬缶内に投入し、注薬缶内を減圧排気してフェノール系薬剤を含浸、乾燥、硬化させたスギチップ内の空気を除いたのち、下記に示す組成の硫酸アンモニウム系処理剤液(30重量%水溶液)を注薬缶内に充満させる。注薬缶内を加圧し、フェノール系薬剤を含浸、乾燥、硬化させたスギチップ内部に硫酸アンモニウム系処理剤液を注入することにより、硫酸アンモニウム系処理剤を約180kg/m(固形分)の含浸量で含浸させる。
上記減圧排気操作は650mHgの減圧下で10分間行い、加圧操作は、0から2kgf/cm昇圧に1分かけ、2kgf/cmで9分間保持し、2〜6kgf/cm昇圧に1分かけ、6kgf/cmで9分間保持し、6〜10kgf/cm昇圧に1分かけ、10kgf/cmで9分間保持することにより合計30分間かけて実施した。
〔処理剤組成〕
1)硫酸アンモニウム 55質量%
2)りん酸アンモニウム 31質量%
3)炭酸カリウム 7質量%
4)重炭酸ナトリウム 7重量%
(硫酸アンモニウム系処理剤乾燥、硬化処理)
以上のようにして得られた含浸チップを24時間風乾した後、蒸気式乾燥機により2日間乾燥を行うことにより、割れの生じていない含水率約40%の処理チップを得た。蒸気式乾燥機による乾燥操作は、0〜12時間において乾球温度30℃(乾湿球温度差3℃)、12〜30時間において乾球温度45℃(乾湿球温度差7℃)、および30〜48時間において乾球温度60℃(乾湿球温度差10℃)になるように行った。
次に上記のように乾燥したチップを高温型乾燥機により105℃で24時間硬化処理した。
上記のようにして得られた乾燥チップを、ダイナゲージスクリーン式分級機(ウノサワ社製)を用いて、厚さ1〜5.5mmの材片を採取した。次に、上記分級された木質チップをドラムブレンダーに投入し、結合剤としてイソシアネート系接着剤を、木質チップに対して7重量%の割合となるようにブレンダー内に噴霧し、木質チップ表面に塗布した。
こうして結合剤の塗布された木質チップを、配向装置を用いて、配向及び積層を行った。配向装置の配向金型は、厚さ2mmの鋼板を、間隔方向が木質チップの搬送方向と平行となるように、25mm間隔に並列に立設し、全体を縦500mm、横500mm、高さ160mmとなるように配置したものである。この上から上記木質チップを投入して、コール板上に、厚さ160mmの配向された積層木質マットを得た。
積層木質マットを載せたコール板を、プレス成形装置(ジンペルカンプ社製、100トンプレス成形装置、蒸気加熱タイプ)の下側加圧熱盤の上面の所定位置に配置し、上側加圧熱盤を積層木質マット上面に接触させ更に加圧して積層木質マットを圧縮した。下側加圧熱盤の平面寸法は、縦600mm、横600mm、高さ400mmである。
さらに、加熱水蒸気を、上下の加圧熱盤の温度をそれぞれ180℃、加圧圧力を3.0MPaとして加熱、加圧しながら、0.9MPa×180℃の水蒸気を供給して温度を維持し、加圧圧力を1分間継続して保持し、熱圧成形した。
次いで、加圧熱盤を冷却後、上側加圧熱盤を上方に移動して、木質系複合材料を得た。
(比較例1)
硫酸アンモニウム系処理剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして木質系複合材料を得た。
(比較例2)
薬剤処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして木質系複合材料を得た。
(評価試験)
上記実施例1、比較例1および比較例2の各木質系複合材料を450×450×35mmの寸法の板材に切り出し、これらを試験片1〜3として用いた。
これら試験片1〜3への処理剤の含浸状況をSEMにより観察した。それらのSEM写真を、図1〜3にそれぞれ示す。
これら試験片1〜3について、JIS A 5908に準じて、曲げ強さ試験、吸水厚さ膨張率試験、はく離強さ試験、含水率試験、密度試験を以下のとおりの試験方法により測定し、曲げ強さ、曲げ弾性係数、吸水厚さ膨張率、はく離強さ、含水率、密度を測定した。その結果を表1に示す。
(1)曲げ強さ試験 中央1点荷重にて、スパン390mm、荷重速度10mm/minで荷重を加えたときの最大荷重、比例域における荷重―ひずみを測定し、曲げ強さ、曲げ弾性係数を算出した。
(2)吸水厚さ膨張率試験 寸法50×50mmの試験片の中央部の厚さをノギスにて測定し、これを20±1℃の水中に24時間浸した後の厚さを測定し、膨張した厚さの割合を算出した。
(3)はく離強さ試験 寸法50×50mmの試験片の両面にアルミニウムブロックを接着させ、試験片の表面に垂直に引張荷重を加え、はく離破壊時の最大荷重を測定し、はく離強さを算出した。
(4)含水率試験 寸法50×50mmとした試験片の質量を測定し、これを103±2℃の乾燥機に入れて恒量となったときの質量を測定し、その減量を恒量となったときの質量で除したときの割合を求めた。
(5)密度試験 寸法50×450mmの試験片の長さ、幅、厚さ、重量を測定し、密度を算出した。
Figure 0005303421
また、これら試験片1〜3について、建築基準法の防火材料の試験方法(コーンカロリーメーター試験)に準じて、発熱性試験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005303421
本発明は、耐吸水性、耐吸湿性に優れ、少なくとも難燃レベル以上の耐熱性を有し、さらには吸水による膨張度が低減され、良好な寸法安定性を有する木質系複合材料を提供し、また、該木質系複合材料を簡易に製造することができるので、産業上大いに有用である。

Claims (13)

  1. 結合剤の付された細長い木質チップを、長さ方向に略揃えて積層し、これを熱圧成形して作製される木質系複合材料において、木質チップを、それに、加熱により硬化、樹脂化される低分子フェノール系物質を含浸させ、適宜乾燥したのち、さらに硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩および塩酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機塩系薬剤を含浸させ、適宜乾燥してなる被薬剤処理加工物として用いることを特徴とする木質系複合材料。
  2. 上記低分子フェノール系物質が、一般式(1)
    Figure 0005303421
    (式中、mは1、2または3である)
    で表されるメチロール化フェノール単量体の1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の木質系複合材料。
  3. 無機塩系薬剤が、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩または塩化アンモニウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の木質系複合材料。
  4. さらに被薬剤処理加工物に防腐性金属塩を含有させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の木質系複合材料。
  5. 熱圧成形を、蒸気により加熱しつつ圧縮することによって行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の木質系複合材料。
  6. 硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質が細胞壁に浸透していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の木質系複合材料。
  7. コーンカロリーメーターによる発熱性試験において難燃レベル以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の木質系複合材料。
  8. コーンカロリーメーターによる発熱性試験において準不燃レベル以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の木質系複合材料。
  9. 結合剤の付された細長い木質チップを、長さ方向に略揃えて積層し、これを熱圧成形して木質系複合材料を製造する方法において、木質チップとして、原木やリサイクル木材のチップに加熱により硬化、樹脂化される低分子フェノール系物質を含浸させ、適宜乾燥したのち、さらに硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩および塩酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機塩系薬剤を含浸させ、適宜乾燥してなる被薬剤処理加工物を用いることを特徴とする木質系複合材料の製造方法。
  10. 上記低分子フェノール系物質が、一般式(1)
    Figure 0005303421
    (式中、mは1、2または3である)
    で表されるメチロール化フェノール単量体の1種以上を含有することを特徴とする請求項9に記載の木質系複合材料の製造方法。
  11. 無機塩系薬剤が、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩または塩化アンモニウムであることを特徴とする請求項9または10に記載の木質系複合材料の製造方法。
  12. 熱圧成形を、蒸気により加熱しつつ圧縮することによって行うことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の木質系複合材料の製造方法。
  13. 硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質が細胞壁に浸透していることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の木質系複合材料の製造方法。
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