JP5303421B2 - 木質系複合材料およびその製造方法 - Google Patents
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しかし、この木質系複合材料は、吸水性や吸湿性が高く、吸水や吸湿により膨張し、寸法安定性が悪いという問題を有している。
一般式(1)
で表されるメチロール化フェノール単量体の1種以上を含有することを特徴とする木質系複合材料が提供される。
で表されるメチロール化フェノール単量体の1種以上を含有することを特徴とする木質系複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明方法によれば、木質系複合材料を、樹皮付き木材を原料材としても従来のような多大のコストをかけることなく、簡易に製造することができる。
破砕された木質チップは、その厚さが不揃いの場合は、一定範囲の厚さの木質チップに分級するのがよい。分級方法は、一定範囲の厚さで分級できるものであれば特に限定されないが、例えば、ウェーブローラー方式、バースクリーン方式等の分級機を用いて分級する方法が挙げられる。なお、ウェーブローラー方式、バースクリーン方式の分級機は、チップの厚さを基準に連続的に分級する装置である。
なお、木質チップは、その長さについて完全には分別できるものではないため、その重量比で、70%以上、好ましくは80%以上に、所定長さのものが含有されていれば十分効果が発揮される。
また、木質チップは、比重が0.3〜0.6であることが好ましい。
また、木質チップは、含水率を一定にすることが好ましい。含水率を一定にすることで生産時の木質系複合材料の品質バラツキがなくなる。好ましい含水率としては、0〜10%である。含水率を一定にする方法としては、例えば、温調したオーブン中に一定時間木質チップを放置する方法が挙げられる。因みに、105℃のオーブンに24時間放置すると、含水率はほぼ5%以下に保たれる。
で表されるメチロール化フェノール単量体の1種以上を含有するもの、中でもモノメチロールフェノール、ジメチロールフェノールおよびトリメチロールフェノール(C)から選ばれた1種以上のものが挙げられる。
低分子フェノール系溶液の含浸量は、木質チップに対し、低分子フェノール系物質(固形分)換算で25−50kg/m3の範囲とするのがよい。
メチロール化フェノール単量体の合成条件により、未反応フェノールやフェノール類の重合体が含まれていることがあるが、微少量であれば(一般的には10モル%以下)メチロール化フェノール単量体の機能に実質的な影響を与えることはない。また、木材処理剤の調製に際しては、弱酸性ないしは中性とすることにより、ホルムアルデヒドは存在しても極めて少量であるので、ホルムアルデヒドによる通常のフェノール樹脂の架橋形成反応は殆ど起こらないと考えてよい。
無機塩系薬剤液としては、無機塩系薬剤を水溶液や水性溶液に調製してなるものが好ましく使用される。無機塩系薬剤の水溶液や水性溶液中の無機塩系薬剤の濃度は、50重量%以下、好ましくは15〜45重量%の範囲とするのがよい。
無機塩系薬剤としては、例えば硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、塩酸塩などが挙げられ、具体的には、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリ等)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリ等)、塩化アンモニウムなどが好ましく用いられる。
無機塩系薬剤は1種のみを使用してもよいし、また、複数種を併用してもよい。
無機塩系薬剤液の含浸量は、木質チップに対し、無機塩系薬剤換算で(固形分)100〜200kg/m3の範囲とするのがよい。
また、フッ化ナトリウムは、従来使用されていたCCA等の有害物質を含む保存剤と異なり、地球環境への影響を充分に考慮した安全性の高い薬剤であるので好ましい。
防腐性金属塩は、上記薬剤処理に用いられる薬液のいずれか一方または両方に0.001〜0.5重量%の濃度で配合使用される。
天然物由来の接着剤としては、具体的には、ゼラチン、カゼイングルー、大豆グルー、にかわ、アルブミン等のタンパク質系接着剤、でんぷん、デキストリン、米糊、グルコマンナンなどのデンプン系接着剤、キチン・キトサンなどの動物系接着剤、セルロース系接着剤、リグニン系接着剤、タンニン系接着剤などが挙げられる。
これらの結合剤は、一種単独で用いてもよいし、また、又は複数種を併用してもよい。
また、結合剤は、液状でも粉末状でも構わないが、液状の場合は一般に木質チップに噴霧したり、木質チップと撹拌混合して予め木質チップに担持させた状態で、フォーミング型に供給され、粉末状の場合は、一般に木質チップと均一に混合した状態で、フォーミング型に供給され、フォーミング型により木質チップは長さ方向に略揃えて積層される。
特に、タンニン系接着剤は、天然木材からの抽出成分であるので木質チップとの親和性が良く、また、適度の粘着性を有し、更に、硬化すると高強度になるので好ましい。タンニン系接着剤はタンニン単独使用で加熱等によって硬化させてもよいが、耐久性が要求される用途においては、アルデヒド系化合物やイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物などの架橋剤を併用することが好ましい。タンニン系接着剤を抽出する樹種は特に限定されないが、ラジアータパインやブラックワトル、ミモザ、ケブラチョ、チェスナッツから採取されるものが好ましい。木材から抽出したタンニンが固体の場合には、必要に応じて水や有機溶媒に溶解又は分散させて使用することができる。
結合剤は、木質チップに対し、質量基準で1〜20重量%の範囲で用いるのが好ましい。この結合剤の用量が少なすぎると、接着が不十分となるし、また、多すぎても材料コストが嵩む割に接着性能が上がらず、外観や釘打ち性能が低下する、外観が木質的でなくなるなどの問題がある。
熱圧成形は、蒸気により加熱しつつ圧縮することによって行うのが好ましい。
この木質系複合材料において、硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質は細胞壁に浸透している。
熱圧成形は、蒸気により加熱しつつ圧縮することによって行うのが好ましい。
この木質系複合材料において、硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質は細胞壁に浸透している。
このようにして、硬化、樹脂化したフェノール系物質が細胞壁に浸透し、且つ無機塩系薬剤が細胞壁に付着した木質系複合材料が得られる。
難燃レベルおよび準不燃レベルに合格するためには、コーンカロリーメーターによる発熱性試験(ISO5660−1準拠)において、以下の3つの基準をそれぞれ必要な時間(難燃レベルでは5分間、準不燃レベルでは10分間)にわたってクリアすることが必要である。
(1)総発熱量が8MJ/m2以下であること。
(2)200KW/m2を超える発熱速度が10秒以上継続しないこと。
(3)防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないこと。
以下のプロセスにより、木質系複合材料を作成した。
(フェノール系薬剤含浸処理)
すなわち、先ず、森林組合から購入したスギチップにフェノール系薬剤を含浸させる。
なお、含浸方法は以下の通りである。
スギチップを外径20cm×長さ1mのステンレス製注薬缶内に投入し、注薬缶内を減圧排気してスギチップ内の空気を除いたのち、下記に示す組成の処理剤溶液(10重量%水溶液)を注薬缶内に充満させる。注薬缶内を加圧し、スギチップ内部に処理剤溶液を注入することにより、フェノール系薬剤を約40kg/m3(固形分)の含浸量で含浸させる。
上記減圧排気操作は650mHgの減圧下で10分間行い、加圧操作は、0から2kgf/cm2昇圧に1分かけ、2kgf/cm2で9分間保持し、2〜6kgf/cm2昇圧に1分かけ、6kgf/cm2で9分間保持し、6〜10kgf/cm2昇圧に1分かけ、10kgf/cm2で9分間保持することにより合計30分間かけて実施した。
1)未反応フェノール 5〜7.8 (モル%)
2)モノメチロールフェノール 23〜25 (モル%)
3)ジメチロールフェノール 32〜35 (モル%)
4)トリメチロールフェノール 32〜37 (モル%)
5)重合体(フェノール換算) 0〜1.5 (モル%)
以上のようにして得られた含浸チップを24時間風乾した後、蒸気式乾燥機により2日間乾燥を行うことにより、割れの生じていない含水率約40%の処理チップを得た。蒸気式乾燥機による乾燥操作は、0〜12時間において乾球温度30℃(乾湿球温度差3℃)、12〜30時間において乾球温度45℃(乾湿球温度差7℃)、および30〜48時間において乾球温度60℃(乾湿球温度差10℃)になるように行った。
次に上記のように乾燥したチップを高温型乾燥機により105℃で24時間硬化処理した。
続いて、フェノール系薬剤を含浸、乾燥、硬化させたスギチップに硫酸アンモニウム系処理剤を含浸させる。
なお、含浸方法は以下の通りである。
フェノール系薬剤を含浸、乾燥、硬化させたスギチップを外径20cm×長さ1mのステンレス製注薬缶内に投入し、注薬缶内を減圧排気してフェノール系薬剤を含浸、乾燥、硬化させたスギチップ内の空気を除いたのち、下記に示す組成の硫酸アンモニウム系処理剤液(30重量%水溶液)を注薬缶内に充満させる。注薬缶内を加圧し、フェノール系薬剤を含浸、乾燥、硬化させたスギチップ内部に硫酸アンモニウム系処理剤液を注入することにより、硫酸アンモニウム系処理剤を約180kg/m3(固形分)の含浸量で含浸させる。
上記減圧排気操作は650mHgの減圧下で10分間行い、加圧操作は、0から2kgf/cm2昇圧に1分かけ、2kgf/cm2で9分間保持し、2〜6kgf/cm2昇圧に1分かけ、6kgf/cm2で9分間保持し、6〜10kgf/cm2昇圧に1分かけ、10kgf/cm2で9分間保持することにより合計30分間かけて実施した。
1)硫酸アンモニウム 55質量%
2)りん酸アンモニウム 31質量%
3)炭酸カリウム 7質量%
4)重炭酸ナトリウム 7重量%
以上のようにして得られた含浸チップを24時間風乾した後、蒸気式乾燥機により2日間乾燥を行うことにより、割れの生じていない含水率約40%の処理チップを得た。蒸気式乾燥機による乾燥操作は、0〜12時間において乾球温度30℃(乾湿球温度差3℃)、12〜30時間において乾球温度45℃(乾湿球温度差7℃)、および30〜48時間において乾球温度60℃(乾湿球温度差10℃)になるように行った。
次に上記のように乾燥したチップを高温型乾燥機により105℃で24時間硬化処理した。
こうして結合剤の塗布された木質チップを、配向装置を用いて、配向及び積層を行った。配向装置の配向金型は、厚さ2mmの鋼板を、間隔方向が木質チップの搬送方向と平行となるように、25mm間隔に並列に立設し、全体を縦500mm、横500mm、高さ160mmとなるように配置したものである。この上から上記木質チップを投入して、コール板上に、厚さ160mmの配向された積層木質マットを得た。
次いで、加圧熱盤を冷却後、上側加圧熱盤を上方に移動して、木質系複合材料を得た。
硫酸アンモニウム系処理剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして木質系複合材料を得た。
薬剤処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして木質系複合材料を得た。
上記実施例1、比較例1および比較例2の各木質系複合材料を450×450×35mmの寸法の板材に切り出し、これらを試験片1〜3として用いた。
Claims (13)
- 結合剤の付された細長い木質チップを、長さ方向に略揃えて積層し、これを熱圧成形して作製される木質系複合材料において、木質チップを、それに、加熱により硬化、樹脂化される低分子フェノール系物質を含浸させ、適宜乾燥したのち、さらに硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩および塩酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機塩系薬剤を含浸させ、適宜乾燥してなる被薬剤処理加工物として用いることを特徴とする木質系複合材料。
- 無機塩系薬剤が、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩または塩化アンモニウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の木質系複合材料。
- さらに被薬剤処理加工物に防腐性金属塩を含有させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の木質系複合材料。
- 熱圧成形を、蒸気により加熱しつつ圧縮することによって行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の木質系複合材料。
- 硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質が細胞壁に浸透していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の木質系複合材料。
- コーンカロリーメーターによる発熱性試験において難燃レベル以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の木質系複合材料。
- コーンカロリーメーターによる発熱性試験において準不燃レベル以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の木質系複合材料。
- 結合剤の付された細長い木質チップを、長さ方向に略揃えて積層し、これを熱圧成形して木質系複合材料を製造する方法において、木質チップとして、原木やリサイクル木材のチップに加熱により硬化、樹脂化される低分子フェノール系物質を含浸させ、適宜乾燥したのち、さらに硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩および塩酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機塩系薬剤を含浸させ、適宜乾燥してなる被薬剤処理加工物を用いることを特徴とする木質系複合材料の製造方法。
- 無機塩系薬剤が、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩または塩化アンモニウムであることを特徴とする請求項9または10に記載の木質系複合材料の製造方法。
- 熱圧成形を、蒸気により加熱しつつ圧縮することによって行うことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の木質系複合材料の製造方法。
- 硬化、樹脂化した低分子フェノール系物質が細胞壁に浸透していることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の木質系複合材料の製造方法。
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