JP5300229B2 - カーペット、及びカーペットの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1のダストコントロールマットの熱収縮性パイル糸では、パイルのへたり易さの防止、滑り易さの解消、ゴミ除去効果の向上といった機能向上を図ることはできない。
しかしながら、特許文献2の防塵マットは、パイル非形成部があるので、パイル形成部のパイルが極めてへたり易く、耐久性に劣る。さらに、該防塵マットは、パイル非形成部においてはゴミ除去効果がなく、十分な防塵性を有しない。
また、第2パイル糸はループパイルであるため、第2パイル領域は柔軟性に優れている。従って、本発明のカーペットは、敷物としての使用感も良好となる。
かかる好ましいカーペットは、第1パイル領域が第2パイル糸を支えるので耐久性に優れる。更に、第2パイル領域は、溶融していないので保水性に優れ、該保水性に優れる第2パイル領域はそのパイル長が高いため、ある程度の量の水分を保持できる。一方、第1パイル領域は、溶融しているので保水性に劣り(つまり、排水性に優れ)、該排水性に優れる第1パイル領域のパイル長が低いので、第2パイル領域において保水しきれない水分は、第1パイル領域を通じてカーペットの縁部へと排出される。従って、上記好ましいカーペットは、過度に水分が溜まることによって滑りやすくなることを防止できる。また、該カーペットは、パイル長が低く且つ溶融した第1パイル領域と、パイル長が高く且つ溶融していない第2パイル領域と、の境界において陰影差が大きくなるので、立体的な外観を呈し、意匠的にも優れている。
なお、従来のカーペットにおいても、パイル長の異なるパイル糸を植設することによって、高いパイル領域と低いパイル領域を形成すれば陰影差が生じるが、高いパイル領域のパイル糸がへたり易く、一方、低いパイル領域のパイル糸は植設時に一部が抜け易いという問題がある。本発明のカーペットは、上記第1パイル領域の第1パイル糸を溶融硬化させているので、第2パイル領域のパイル長を高く形成しても、該領域のパイル糸が溶融硬化した第1パイル糸によって支えられることによってへたり難い。さらに、第1パイル領域の第1パイル糸は熱溶融させることによってパイル長が短くなるので、植設時には、第1パイル糸は比較的長いものを用いることができる。従って、植設時に、第1パイル糸の一部が抜け落ちることも防止できる。
かかる製造方法は、従来のカーペットの製造工程に、第1パイル糸の融点以上且つ第2パイル糸の融点未満の温度で加熱する工程を付加すれば良いので、上記カーペットを簡易に製造することができる。
かかる好ましいカーペットの製造方法によれば、パイル植設基布を加熱した際に、基布が伸縮或いは変形することを防止でき、更に、パイルが抜けることも防止できる。
また、本発明に係るカーペットの製造方法は、防滑性、耐久性及び除塵性に優れたカーペットを簡易に製造することができる。
図1は、本発明のカーペットの一実施形態の部分側面図である。
図1に於いて、1は、基布2とパイル糸3,4とを有するカーペットを示す。
本発明のカーペット1は、床に敷設して使用される。該カーペット1の用途は、特に限定されず、例えば、玄関口などに敷設され且つ主として足裏の泥などを掻き落とすダストコントロールマット、オフィス床などに敷設されるタイルカーペット、階段面などに敷設されるノンスリップマット、脱衣所などの水回り場所に敷設されるマット、などとして使用することもできる。
第1パイル糸3及び第2パイル糸4は、公知のタフティング機などを用いて、基布2に植設されている。
第1パイル糸3及び第2パイル糸4は、基布2の任意に範囲にそれぞれ植設することができる。第1パイル糸3が植設された領域を「第1パイル領域31」といい、第2パイル糸4が植設された領域を「第2パイル領域41」という。
上記カーペット1は、第1パイル糸3が溶融硬化され且つ第2パイル糸4が繊維糸(非溶融)のままなので、硬い領域(第1パイル領域31)と軟らかい領域(第2パイル領域41)を有する。このため、上記カーペット1は、防滑性及び除塵性に優れ、又、第2パイル糸4がへたり難く、耐久性にも優れている。
第1パイル糸3は、図1(a)に示すように、好ましくはカットパイルである。第1パイル糸3がカットパイルである場合、これを溶融硬化させた際、第1パイル糸3の上部が、恰も棒の先端のように尖って突出し、足裏に対する摩擦抵抗が高くなり、更に、足裏の泥などを掻き落とし易い。
また、第2パイル糸4は、好ましくはループパイルである。第2パイル糸4は、溶融硬化されておらず、繊維糸そのものの柔軟性を有する。このため、該第2パイル糸4をループパイルとすることにより、第2パイル領域41は特に柔軟性及びクッション性に優れ、良好な使用感のカーペット1を提供できる。
上記溶融硬化した第1パイル糸3と非溶融の第2パイル糸4のパイル長は、それぞれ、好ましくは2mm〜10mm程度であり、より好ましくは2mm〜7mm程度である。
なお、上記第1パイル糸3のパイル長が、第2パイル糸4のパイル長よりも高い場合、第1パイル糸3のパイル長と第2パイル糸4のパイル長の差は、特に限定されないが、通常、その差は0.5mm〜3mm程度が好ましく、特に、1mm〜3mm程度がより好ましい。前記パイル長の差が1〜3mmの場合には、第1パイル糸3の一部が第2パイル糸4から十分に突出するため、溶融した第1パイル糸3がより足裏に接触しやすくなり、防滑性、除塵性の効果をさらに高めることができる。また、外観上、第1パイル糸3と第2パイル糸4の質感が混在した従来に無い風合いを呈するカーペット1を提供できる。
また、上記第1パイル糸3のパイル長が、第2パイル糸4のパイル長よりも低い場合、第1パイル糸3のパイル長と第2パイル糸4のパイル長の差は、特に限定されないが、通常、その差は0.5mm〜3mm程度が好ましく、特に、1mm〜3mm程度がより好ましい。前記パイル長の差が1〜3mmの場合には、第1パイル糸3の一部が第2パイル糸4によって覆い隠されるため、外観上、第1パイル糸3がぼんやりと視認される。このように、前記ぼんやりとした部分を形成できるので、従来に無い風合いを呈するカーペット1を提供できる。さらに、前記パイル長の差が3.5mm以上、より好ましくは4mm以上の場合には、第1パイル糸3が第2パイル糸4によって十分に覆い隠されため、外観上、非溶融繊維(第2パイル糸4)の質感を強調することができる。従って、外観上において従来のカーペットと同様の質感を維持しつつ、防滑性、耐久性、除塵性に優れたカーペット1を提供できる。
具体的には、第2パイル領域41の第2パイル糸4は、溶融していないので吸水性、保水性に優れている。一方、第1パイル領域31の第1パイル糸3は、溶融しているので保水性が低く、水を排出し易い。該第1パイル領域31のパイル長が低いと、第2パイル領域41との間に段差を生じて前記第1パイル領域31が排水路のような役割を果たし、第2パイル領域41において保水しきれない水分は、第1パイル領域31を通じてカーペット1の縁部へと排出される。従って、第1パイル領域31のパイル長が低い上記カーペット1は、過度に水分が溜まることによって滑りやすくなることを防止できる。上記と同様に、折れ曲がり難い第1パイル糸3が、第2パイル糸4の起立状態を支持するので、柔軟な第2パイル糸4のへたりを防止できる。
さらに、溶融された第1パイル糸3は、非溶融の第2パイル糸4に比して、外観上、光沢感が高い。該第1パイル糸3のパイル長が低く、且つ第2パイル領域41のパイル長が高いと、両領域の境界において陰影差が大きくなるので、上記カーペット1は、意匠的にも優れている。
図2(b)に示すカーペット1は、基布2の幅方向に帯状に延びる第1パイル領域31が、2本略平行に設けられ、第2パイル領域41が、前記2本の第1パイル領域31の非形成範囲の全体に設けられている。
これら帯状の第1パイル領域31が形成されたカーペット1は、例えば、階段面などに敷設することが好適である。この場合、図3に示すように、階段面10の前方角部の近傍に帯状の第1パイル領域31が位置するように、上記カーペット1を敷設すれば、階段面10の滑り防止に特に効果がある。
なお、帯状の第1パイル領域31の幅は、5mm〜50mm程度、好ましくは10mm〜30mmである。第1パイル領域31の幅が、前記範囲に形成されていれば、特に滑り防止効果に優れる。
このストライプ状のカーペット1は、第1パイル領域31が、各第2パイル領域41の側方を支持するので、特に耐久性に優れている。また、ストライプ状のカーペット1において、図2(d)に示すように、第1パイル領域31の幅を、第2パイル領域41の幅よりも十分に広く形成してもよい。かかるカーペット1は、第1パイル領域31におけるキャスター(車輪)の沈み込みが小さいので、キャスター走行性に優れる。また、ストライプ状のカーペット1において、第1パイル領域31の幅を、第2パイル領域41の幅よりも十分に狭く形成してもよい(図示せず)。
図2(f)に示すカーペット1は、第1パイル領域31が、格子状に設けられている。
また、第1パイル領域31と第2パイル領域41が市松模様状に配置されていてもよい(図示せず)。
これらのカーペット1は、全方向において足裏が滑り難く、特に防滑性に優れている。
また、パイル糸の太さは、特に限定されないが、好ましくは、500dtex〜5000dtexである。かかる太さのパイル糸を用いることにより、パイルの立体感、模様形成する際のバランス、及びタフト加工性が良好となる。500dtex未満のパイル糸を用いた場合には タフト加工性や模様を所望の領域に形成できない場合が生じる可能性があり、一方、5000dtexを超えるパイル糸を用いると、製造上支障をきたす場合がある。
なお、ポリエチレンの融点は、その密度の相違などによって上下差はあるものの、概ね100℃〜145℃の範囲である。また、ポリプロピレンの融点は、その分子構造及び分子量などによって上下差はあるものの、概ね150℃〜170℃である。
このような第2パイル糸4は、第1パイル糸3との関係で相対的に決定される。従って、第1パイル糸3としてポリエチレン繊維を用いる場合には、第2パイル糸4としてポリプロピレン繊維を用いることも可能である。中でも、第2パイル糸4は、比較的融点が高い繊維が好ましく、例えば、ナイロン66などのポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの繊維が挙げられる。中でも、比較的高融点を有し、自己復元性や剛性が高いことから、ポリアミド樹脂繊維が好ましい。
ポリアミドの融点は、ナイロン66やナイロン6などの構造の相違によって上下差はあるものの、概ね210℃〜270℃である。
好ましくは、基布2としては、ポリエステル不織布又はポリエステル織布である。ポリエステル不織布又はポリエステル織布は、高融点(通常、260℃〜270℃)であり、基布としての特性にも優れているからである。また、当該基布2には、SBR系、MBR系、PVC系ラテックス、及び/又はEVA系のプレコート剤が塗布されていてもよい。
さらに、本発明のカーペット1は、第1パイル糸3のパイル長と第2パイル糸4のパイル長を適宜調整することにより、従来のカーペットに比して、異なる質感を呈する。さらに、第1パイル糸3のパイル長及び溶融度合いを適宜調整することにより、外観を多様に変化させることが可能である。また、第1パイル糸3の溶融と、繊維自体の明度及び色彩を適宜組み合わせることによって、高級感と立体感のあるバリエーションに富んだ模様を形成することもできる。このように、本発明のカーペット1は、溶融した第1パイル糸3と非溶融の第2パイル糸4によって、様々な模様を付与できる。
上記カーペットは、例えば、下記の方法によって製造することができる。
基布に第1パイル糸及び第2パイル糸を植設する。基布としては、第1パイル糸を溶融させる際の加熱温度で、実質的に伸縮又は変形しないものが用いられる。
第1パイル糸及び第2パイル糸の植設順序は特に限定されず、第1パイル糸又は第2パイル糸の何れを先に植設してもよく、又、両者を同時並行的に植設してもよい。
上記第1パイル糸と第2パイル糸の植設時のパイル長は、特に限定されないが、好ましくは3mm〜10mm程度であり、より好ましくは3mm〜6mm程度である。前記パイル長が3mm未満の場合には、植設時にパイル糸の欠落(抜け)が生じやすくなる。一方、前記パイル長が10mmを超えると、パイルの植設方向の規則性が乱れるなどに起因して製造が困難となる場合があるので、余り好ましくない。なお、熱溶融させた後、第1パイル糸のパイル長が3mm未満となる場合があるが、この場合には、パイル糸が欠落することはないので、何ら支障を来さない。
また、第1パイル糸のパイル長が、第2パイル糸のパイル長よりも高くなるように植設することが好ましい。第2パイル糸が高いと、第2パイル糸に遮られて、第1パイル糸に熱が加わり難いからである。
溶融前にパイル長が高い上記第1パイル糸は、溶融後、第2パイル糸のパイル長よりも高くなり、又は、第2パイル糸のパイル長と同等になり、又は、第2パイル糸のパイル長よりも低くなる。このような溶融後の第1パイル糸のパイル長の調整は、加熱の程度などによって適宜コントロールできる。
加熱温度は、第1パイル糸の融点以上且つ第2パイル糸の融点未満の温度である。例えば、第1パイル糸がポリプロピレンで、第2パイル糸がナイロン66の場合には、加熱温度は、170℃〜190℃が好ましい。
また、加熱時間を適宜調整することにより、第1パイル糸の溶融度合いをコントロールできることは上述の通りである。
オーブンなどの熱媒体は、パイル植設基布のパイル形成面の上方から作用させることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、従来のカーペットの製造工程に、上記加熱工程を付与するだけで、防滑性、耐久性及び除塵性に優れた本発明のカーペットを製造することができる。
(1)基布:
基布は、ポリエステル不織布(ユニチカ(株)製、製品名「MARIX スパンボンド」)を用いた。
(2)パイル糸(P1):
ポリプロピレン繊維(三菱レイヨン(株)製)を用いた。この繊維は、ポリプロピレンマルチフィラメント(総dtex:2555dtex/総フィラメント数:120本)の混繊糸である。
(3)パイル糸(P2):
ポリプロピレン繊維(三菱レイヨン(株)製)を用いた。この繊維は、ポリプロピレンマルチフィラメント(総dtex:2670dtex/総フィラメント数:120本)の撚糸である。
(4)パイル糸(N):
ポリアミド繊維(インビスタ社製)を用いた。この繊維は、ナイロン66マルチフィラメント(総dtex:2490dtex/総フィラメント数:136本)の混繊糸である。
(5)パイル糸(E):
ポリエチレン繊維(萩原工業(株)製)を用いた。この繊維は、370dtexのポリエチレンモノフィラメントを4本、560dtexのポリエチレンモノフィラメントを4本撚った、3720dtexの撚糸である。
上記基布の全体に、1/10Gタフティング機を用いて、上記パイル糸(P1)を複数条直線状に植設した。該パイル糸(P1)は、ループパイルとし、そのパイル長は、3.5mmに設定した。
パイル糸(P1)を植設した基布のパイル形成面の温度が概ね170〜190℃となるようにオーブンを設定し、該パイル形成面をオーブンにて60秒間加熱した。
その後、10分間室温にて放置して放熱させた後、基布の裏面に、厚み約3mmのペースト塩化ビニル樹脂からなるバッキング層を積層した。
最後に、打ち抜き機によって、縦×横=500mm×500mmの正方形状に打ち抜くことによって、実施例1に係るカーペットを作製した。
このカーペットは、パイル糸(P1)が溶融硬化しており、溶融硬化後のパイル糸(P1)のパイル長は、2.5mmとなっていた。
上記基布の全体に、1/10Gタフティング機を用いて、上記パイル糸(P2)とパイル糸(N)を交互に直線状に植設した。該パイル糸(P2)は、カットパイルとし、そのパイル長は、6.0mmに設定した。一方、パイル糸(N)は、ループパイルとし、そのパイル長は、3.5mmに設定した。パイル糸(P2)及びパイル糸(N)は、それぞれ1つの領域に6条ずつ植設した。
上記パイル糸(P2)及びパイル糸(N)を植設した基布のパイル形成面の温度が概ね170〜190℃となるようにオーブンを設定し、該パイル形成面をオーブンにて60秒間加熱した。
その後、10分間室温にて放置して放熱させた後、基布の裏面に、厚み約3mmのペースト塩化ビニル樹脂からなるバッキング層を積層した。
最後に、打ち抜き機によって、縦×横=500mm×500mmの正方形状に打ち抜くことによって、実施例2に係るカーペットを作製した。
このカーペットは、パイル糸(P2)が溶融硬化しており、溶融硬化後のパイル糸(P2)のパイル長は、4.0mmとなっていた。ただし、パイル糸(N)は、外見上及び触感上、変化は見られなかった。
上記基布の全体に、1/10Gタフティング機を用いて、上記パイル糸(P1)とパイル糸(N)を交互に直線状に植設した。該パイル糸(P1)は、ループパイルとし、そのパイル長は、3.5mmに設定した。一方、パイル糸(N)は、ループパイルとし、そのパイル長は、3.5mmに設定した。パイル糸(P1)及びパイル糸(N)は、1条ずつ交互に植設した。
上記パイル糸(P1)及びパイル糸(N)を植設した基布のパイル形成面の温度が概ね170〜190℃となるようにオーブンを設定し、該パイル形成面をオーブンにて60秒間加熱した。
その後、10分間室温にて放置して放熱させた後、基布の裏面に、厚み約3mmのペースト塩化ビニル樹脂からなるバッキング層を積層した。
最後に、打ち抜き機によって、縦×横=500mm×500mmの正方形状に打ち抜くことによって、実施例3に係るカーペットを作製した。
このカーペットは、パイル糸(P1)が溶融硬化しており、溶融硬化後のパイル糸(P1)のパイル長は、2.5mmとなっていた。ただし、パイル糸(N)は、外見上及び触感上、変化は見られなかった。
上記基布の全体に、1/10Gタフティング機を用いて、上記パイル糸(P1)とパイル糸(E)を交互に直線状に植設した。該パイル糸(P1)は、ループパイルとし、そのパイル長は、3.5mmに設定した。一方、パイル糸(E)は、ループパイルとし、そのパイル長は、3.5mmに設定した。パイル糸(P1)及びパイル糸(E)は、1条ずつ交互に植設した。
上記パイル糸(P1)及びパイル糸(E)を植設した基布のパイル形成面の温度が概ね140〜150℃となるようにオーブンを設定し、該パイル形成面をオーブンにて60秒間加熱した。
その後、10分間室温にて放置して放熱させた後、基布の裏面に、厚み約3mmのペースト塩化ビニル樹脂からなるバッキング層を積層した。
最後に、打ち抜き機によって、縦×横=500mm×500mmの正方形状に打ち抜くことによって、実施例4に係るカーペットを作製した。
このカーペットは、パイル糸(E)が溶融硬化しており、溶融硬化後のパイル糸(E)のパイル長は、2.0mmとなっていた。ただし、パイル糸(P1)は、外見上及び触感上、変化は見られなかった。
加熱処理を施さなかったこと以外は、実施例1と同様にして、カーペットを作製した。
パイル糸(P1)に代えてパイル糸(N)を用いたこと、及び、加熱処理を施さなかったこと以外は、実施例1と同様にして、カーペットを作製した。
加熱処理を施さなかったこと以外は、実施例2と同様にして、カーペットを作製した。
加熱処理を施さなかったこと以外は、実施例3と同様にして、カーペットを作製した。
上記実施例1及び比較例1のカーペットについて、除塵性試験を行った。
除塵性試験は、湿らせた10cm角のゴム板(凸凹あり)に、砂(JIS試験用粉体1種)を十分に付着させ、これをカーペットのパイル面に押し付けた。
上記ゴム板の押し付けを1回行った後、カーペットの重量を測定し、カーペットの重量増加分(g)を求めた。
上記砂の付着、ゴム板の押し付け、重量測定を計10回繰り返した。その結果を表2に示す。
表2から明らかな通り、実施例1のカーペットは、砂の掻き落とし効果に優れていることが判る。
上記実施例1、2及び比較例1〜3のカーペットについて、防滑性試験を行った。
防滑性試験は、JIS A 1454に準じて行った。
具体的には、O−Y・PSM試験機(安田精機社製)を用い、滑り片に、ストッキング、スリッパの底、靴の底をそれぞれ貼り付け、該滑り片に載荷重量80kgをかけてカーペットのパイル面に所定時間載置した後、該滑り片を荷重速度80kg/秒で引っ張り、その時の引張最大荷重を測定した。
下記式で表されるC.S.R値を滑り抵抗の評価指標とした。その結果を表3に示す。
式:C.S.R値=最大引張荷重÷載荷重量(80kg)。
表3から明らかな通り、実施例1及び2のカーペットは、C.S.R値が高く、防滑性が高いことが判る。
上記実施例1、3及び比較例1、2、4のカーペットについて、耐久性試験を行った。
耐久性試験は、JIS L 4406に準じて行った。
具体的には、耐久性試験は、カーペットのパイル面に、重量90kgのキャスターを往復2000回走らせた後、パイル糸のパイル長を測定した。なお、実施例3については、溶融していないパイル糸(N)が植設された領域のパイル長を測定した。
下記式で表されるへこみ量及び割合を耐久性の評価指標とした。その結果を表4に示す。
式:へこみ量=キャスター走行前のパイル長−キャスター走行後のパイル長。
式:割合(%)=(へこみ量÷キャスター走行前のパイル長)×100。
表4から明らかな通り、実施例1及び3のカーペットは、へこみ量が低く、耐久性が高いことが判る。
上記実施例1及び比較例1のカーペットについて、キャスター走行性試験を行った。
キャスター走行性試験は、カーペットのパイル面に、重量50kgのショッピングカートを載せ、該カートを引張った。その結果、比較例1のカーペットよりも、実施例1のカーペットの方が、小さな力でカートを動かすことができた。
Claims (5)
- 基布と、前記基布に第1パイル糸を植設した第1パイル領域と、前記基布に第2パイル糸を植設した第2パイル領域と、を有するカーペットであって、
前記第1パイル糸がカットパイルで、前記第2パイル糸がループパイルであり、
前記第1パイル糸が熱可塑性樹脂繊維で形成されており、前記第1パイル糸の繊維形状を維持した状態で第1パイル糸の全体が棒状に溶融硬化されていることを特徴とするカーペット。 - 前記第1パイル領域のパイル長が、前記第2パイル領域のパイル長と同等またはそれ以上である請求項1に記載のカーペット。
- 前記第1パイル領域のパイル長が、前記第2パイル領域のパイル長よりも低い請求項1に記載のカーペット。
- 熱可塑性樹脂繊維で形成された第1パイル糸を基布に植設し、且つ前記第1パイル糸よりも融点が高い繊維で形成された第2パイル糸を基布に植設することにより、カットパイルからなる第1パイル糸とループパイルからなる第2パイル糸とを有するパイル植設基布を得た後、
前記パイル植設基布を、第1パイル糸の融点以上且つ第2パイル糸の融点未満の温度で加熱することにより、前記第1パイル糸の繊維形状を維持しつつ第1パイル糸の全体を棒状に溶融硬化させることを特徴とするカーペットの製造方法。 - 前記基布が、前記加熱温度よりも融点が高い熱可塑性樹脂を含む請求項4に記載のカーペットの製造方法。
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