JP5298656B2 - 強密着ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、食品、医薬品、精密電子部品等の包装材料として用いられるガスバリア性フィルムに関する。
食品、医薬品、精密電子部品等の包装に用いられる包装材料は、ガスバリア性を備えることが求められている。ガスバリア性包装材料は、包装材料を透過する酸素、水蒸気等を遮断し、例えば食品においては蛋白質や油脂等の酸化、変質を抑制して、食品の風味や鮮度を保持する。
また、医薬品においては、無菌状態を保持し、有効成分の変質を抑制し、効能を長期間にわたって維持する。さらに精密電子部品においては、金属部分の腐食、絶縁不良等を防止する。
ガスバリア性包装材料としては、従来より、塩化ビニリデン樹脂をコートしたポリプロピレンフィルム(KOP)、又はポリエチレンテレフタレートフィルム(KPET)、或いはエチレンビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)など一般にガスバリア性が比較的高いといわれる高分子樹脂組成物を用いた包装フィルム(特許文献1)や、アルミニウム箔などの金属箔、あるいは、単独では高いガスバリア性を有していない高分子樹脂組成物にアルミニウムなどの金属を蒸着した金属蒸着フィルムが一般的に使用されてきた。
上述の高分子樹脂組成物を用いた包装フィルムは、アルミニウム箔などの金属箔や、金属または金属化合物の蒸着層を形成した金属蒸着フィルムに比べるとガスバリア性に劣る。また、温度及び湿度の影響を受けやすく、その変化によってはさらにガスバリア性が劣化することがある。
一方、金属箔や金属蒸着フィルムは、温度、湿度などの影響を受けることは少なく、ガスバリア性に優れるが、包装体の内容物を透視して確認することができないという本質的な欠点を有していた。
そこで、ガスバリア性と透明性とを両立した包装材料として、最近では金属酸化物、珪素酸化物等のセラミック薄膜を、透明性の高分子材料からなる基材上に、蒸着などの形成手段により形成した蒸着フィルムが上市されている。
しかしながら、これらの蒸着フィルムは、ガスバリア層に用いられるセラミック薄膜が可撓性に欠けており、揉みや折り曲げに弱く、また基材との密着性が悪いため、取り扱いに注意を要し、とくに印刷、ラミネート、製袋など包装材料の後加工の際に、クラックを発生しガスバリア性が著しく低下するという問題があった。
そのため、上記問題に対して、特許文献2に記載されたように、基材に金属アルコキシドの被膜を形成してなるガスバリア材が提案されている。このガスバリア材は、ある程度の可撓性を有するとともに、液相コーティング法による製造ができるため、コスト的にも安価とすることができる。しかしながら、前記ガスバリア材は、基材単体の場合に比べて、ガスバリア性が向上するとは言えるが、顕著なガスバリア性の向上をもたらすとは言えないものであった。
さらに、特許文献3に記載されるように、ガスバリア性の付与された樹脂成形品の製造方法として、基材に酸化珪素(SiOx )の蒸着薄膜を形成し、その蒸着薄膜上にSiO 粒子と水溶性樹脂あるいは水性エマルジョンの混合溶液をコーティングした後、乾燥する方法が提案されている。この製造方法による樹脂成形品は、外部応力による変形の際に、SiOx 蒸着薄膜上にコーティングされたSiO 粒子と樹脂との混合層がSiOx 蒸着薄膜に生じるマイクロクラックの広がりを抑え、クラック部位を保護することにより、ガスバリア性の低下を抑制することができるものである。
しかしながら、この構成からなる樹脂成形品は、SiOx 蒸着薄膜に生じるマイクロクラックの広がりを抑え、ガスバリア性の低下を抑制するのみであり、その効果は単なる蒸着薄膜の保護層としての役割に過ぎない。上記構成の樹脂成形品のガスバリア性は蒸着層の上に形成されるコーティング層が単なるSiO 粒子と樹脂の混合被膜であるため、基材に単に蒸着薄膜を形成した蒸着フィルムのガスバリア性を示す程度であり、より高いガスバリア性を得ることは不可能であった。
また、食品、医薬品、精密電子部品等の包装材料として用いられる透明蒸着ガスバリア性フィルムは、延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリアミド(ONy)フィルムを蒸着膜の基材フィルムとして使用したものは存在するが、安価で腰強度が強い延伸ポリプロピレン(OPP)は実用化できていない状況である。
その原因の一つとして、OPPと蒸着膜の密着強度が弱いため、内容物の重量が重いもの、液体、または耐性を求めるものには、OPPを基材フィルムとしたものは実用化できていないことが現実である。
特開平7−108655号公報 特開昭62−295931号公報 特開平5−9317号公報
本発明は、可撓性を有するとともに酸素、水蒸気などに対するガスバリア性と密着性に優れ、耐熱性、耐湿性、耐水性を有し、かつ製造が容易なガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、基材フィルムと金属または金属酸化物の薄膜層の間に厚み0.5nm〜5.0nmの金属酸化物のアンカーコート層を積層し、しかも、アンカーコート層が基材フィルム上に直接積層されており、
前記基材フィルムが延伸ポリプロピレンフィルムであり、
前記金属酸化物のアンカーコート層の形成が、基材フィルムの表面処理と同時に行われており、かつ、この工程が、チタン、銅、アルミニウムのうち少なくとも1つの金属を使用したカソード電極を用いると共に、酸素又は二酸化炭素のガスを導入した雰囲気中で、グロー放電を利用して、E値が50W・min/m以上の条件で行ったものであり、
更にアンカーコート層の上に金属または金属酸化物の薄膜層がスパッタリング法により形成されたことを特徴とする強密着ガスバリア性フィルムである。
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本発明によれば、食品、医薬品、精密電子部品等の包装材料として使用可能な、高いガスバリア性と密着性に優れ、耐熱性、耐湿性、耐水性並びに変形に耐えられる可撓性を有する透明ガスバリア性フィルムが、安価なコストで得られる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明に係るバリア性フィルム10の最も基本的な実施形態を示す断面説明図である。図1に示すように基材フィルムである高分子フィルム基材1の表面に、金属酸化物アンカーコート層2、金属または金属酸化物薄膜層3が設けられている。
高分子フィルム基材1の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド等が用いられ、延伸、未延伸のどちらでも良く、用途に応じて機械的強度や寸法安定性等の特性を考慮して適当な材料が選択される。またこの高分子フィルム基材1には、周知の種々の添加剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、安定剤、滑剤などが添加されていても良い。
高分子フィルム基材1の厚さはとくに制限を受けるものではないが、包装材料としての適性や、他の層を積層する場合の加工性等を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲であり、一般的には6〜30μmとすることが好ましい。また量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できるように連続長尺フィルム状とすることが望ましい。
次に、金属酸化物のアンカーコート層2について説明する。金属酸化物のアンカーコート層2は高分子フィルム基材1上に設けられ、厚さを0.5nm〜5.0nmにすることで、高分子フィルム基材1と後述する金属または金属酸化物薄膜層3との間の密着性を高め、ボイル殺菌やレトルト殺菌、オートクレーブ殺菌や屈曲などから生じるデラミなど防止することができる。
また、金属酸化物のアンカーコート層2は高分子フィルム基材1の表面に存在することで高分子フィルム基材1の表面の低分子量物、添加剤などの金属または金属酸化物薄膜層3の成膜に邪魔する物質を遮断することで、金属酸化物薄膜層3は欠陥が少ない膜となる。そのため、バリア性が優れる。
この金属酸化物のアンカーコート層2は、例えば酸化チタン、酸化銅、酸化アルミニウムからなる。これらの何れか1つの金属を使用したものであれば良い。それらが混合した材料でも良い。膜厚は0.5nm以下の膜厚であれば良い。5.0nmを越えると金属酸化物のアンカーコート層2の内部応力が強くなり、密着性が悪くなる傾向がある。
また金属酸化物のアンカーコート層2の成膜方法としてはスパッタリングまたはグロー放電プラズマを用いた成膜方法などが好ましい。スッパッタリングによる金属酸化物のアンカーコート層2の成膜には、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波マグネトロンスパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法等の従来公知の技術を用いることができる。例えば、直流マグネトロンスパッタリング法による場合は、カソードターゲットにチタン、銅、アルミニウムなどの金属を用い、チャンバー内には酸化性の酸素ガスまたは二酸化炭素ガス、または、それらとアルゴンガス等の不活性ガスの混合ガスを導入し、カソードターゲットのチタン、銅、アルミニウムなど金属電極に直流電圧を印可することにより、チタン、銅、アルミニウムなどからなる金属原子が酸化性ガスと酸化反応して、金属酸化物のアンカー層2を高分子フィルム基材1に成膜することができる。
直流スパッタリングの場合は、コンパクトなユニットになるため、金属または金属酸化物薄膜層3を成膜する蒸着工程とインラインでできる。
グロー放電による成膜では、金属酸化物が高いエネルギーをもって成膜されてゆくため、基材と薄膜の密着性が非常に良い。
特に、延伸ポリプロピレンに対しては、非常に優れた密着性をもたらすことができる。
更に密着性を増強する目的で、高分子基材フィルムの表面をプラズマ処理することができる。その処理条件を、プラズマ電力(W)÷高分子基材フィルムの送り速度(m/min)÷カソード幅(m)、で定義されるE値を50W・min/m以上にすることで、高分子基材フィルムの表面処理と同時にカソードターゲットと同じ金属の酸化物薄膜を形成することができる。これは、高分子フィルム基材のプラズマ処理の為の放電電力を強くすることにより、同じ真空ユニットでスパッタリングする際にカソードの金属、金属酸化物などがプラズマ処理中にスパッタされ、高分子基材フィルムに堆積するものと考えられる。プラズマ処理の条件としては、E値のほかに、使用するガス、ガスの圧力などを設定する。特に断らない限りは、使用するガスはアルゴンガスと酸素ガス若しくは炭酸ガスの混合ガス(流量比でアルゴンガス10に対して酸素若しくは炭酸ガス2)、ガス圧力は50Paとしたが、これらの条件は、成膜される薄膜の特性に合わせて調整することができる。
次に、金属または金属酸化物薄膜層3について説明する。金属または金属酸化物薄膜層3の材料としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、錫などの金属及びそれらの酸化物を挙げることができる。好ましくは、アルミニウム、酸化アルミニウムや酸化珪素や酸化マグネシウムなどが蒸発安定性の点で好ましい。但しそれらの金属の窒化物、弗化物などが混合していても良好に実施することができる。
金属または金属酸化物蒸着層3は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ
気相成長法(PECVD法)などの真空プロセスによって形成することができる。より具体的には、例えば、アルミニウム、アルミニウム酸化物や珪素酸化物などを減圧下で加熱・蒸発させて高分子フィルム基材1上に堆積させる通常の物理蒸着法(PVD)を利用することができる。
また、アルミニウムや珪素などの金属を酸素などを雰囲気ガスとして僅かに含む減圧下で加熱・蒸発させて、基材フィルム1への堆積前又は同時又は直後に酸素などと反応させることにより、アルミニウム酸化物や珪素酸化物などを堆積させる反応性蒸着法も利用することができる。
さらに、シロキサンなどの反応性ガスを原料ガスとして供給し、高分子フィルム基材1上でそのガスを反応させることにより、酸化珪素などを堆積させるCVD法なども利用することができる。なお、金属または金属酸化物薄膜層3の膜厚はガスバリア性などの観点から、5nm〜50nmの範囲内が好ましい。
次に、本発明の実施形態の一つとして、図2に示したように、高分子フィルム基材1の表面に、金属酸化物のアンカーコート層2、金属または金属酸化物薄膜層3を順次設け、更に有機無機ハイブリッドバリア層4を設けた構成について説明する。
有機無機ハイブリッドバリア層4は、金属または金属酸化物薄膜層3の擦れ傷などによる劣化から保護する目的に加えて、バリア性能を向上させるために設けられる。
有機無機ハイブリッドバリア層4は、水酸基を有する水溶性高分子と、1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物、及び水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を高分子フィルム基材1の表面に塗布し、加熱乾燥することによって形成される。
上記コーティング剤に用いられる水酸基を有する水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。特にPVAを用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるもので、酢酸基が数10%残存している、いわゆる部分鹸化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全鹸化PVAまでを含み、特に限定されるものではない。
金属アルコキシドとしては、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕などの一般式、Si(OR)n(R:CH,C等のアルキル基)で表せる珪素アルコキシドが使用できる。中でもテトラエトキシシランが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
上述した各成分を単独又はいくつかを組み合わせてコーティング剤に加えることができ、さらにコーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を添加することができる。
コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物としては、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有する例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマーあるいは、それらの重合体、誘導体などが好ましい。
コーティング剤の更に好ましい形態としては、前記の水酸基を有する水溶性高分子と、
1種以上の珪素アルコキシド及びその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とする溶液に、下記一般式(RSi(OR)n(但し、RはCH,C,またはCOCH、Rは有機官能基)で表される珪素化合物、及びその加水分解物のうち少なくとも1つを混合したコーティング剤である。
ここで、有機官能基(R)は、ビニル、エポキシ、メタクリロキシ、ウレイド、及びイソシアネート等の非水性官能基であることが好ましい。非水官能基は、官能基が疎水性であるため、バリア性フィルムの耐水性がさらに向上する。
コーティング剤の塗布方法には、ロールコート法、グラビアコート法、キスコート法等、従来公知の手段を用いることができる。被膜の厚さは、コーティング剤の種類や加工条件によって異なるが、乾燥後の厚さが0.01μm以上あれば良いが、厚さが50μm以上では膜にクラックが生じやすくなるため、0.01〜50μmの範囲であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。以下実施例に用いた、コーティング剤の配合処方、設定条件、測定条件等の実験条件を列記する。
<酸化チタンアンカーコート層のスパッタリング方法>
スパッタリング室内においてカソードターゲットとしてチタンを用い、二酸化炭素/アルゴン=8/2の混合ガスを導入し、周波数13.56MHzの高周波電源を用いた高周波マグネトロンスパッタ法により酸化チタン層を約1nmの厚さで成膜した。膜厚の測定には、透過型電子顕微鏡(以後、TEMと呼ぶ。)を用いた。具体的には、アンカーコート層が形成されているフィルム基材を樹脂に埋め込み、ミクロトームを用いて薄膜の断面を含む超極薄の試料を作製することでTEM観察用サンプルを作製し、100万倍前後の拡大倍率にてTEM像を観察することにより膜厚の測定を行った。
<酸化チタンアンカー層のグロー放電方法>
真空蒸着装置の蒸着室手前に設置したDCグロー放電ユニットにおいて、カソードターゲットとしてチタンを用い、二酸化炭素/アルゴン=8/2の混合ガスを導入し、高周波グロー放電法により酸化チタン層を0.3nmの厚さで成膜した。
<アルミニウムの反応性真空蒸着方法>
反応性真空蒸着法により出発材料としてアルミニウムを使用し、真空蒸着装置に導入した酸素ガスや二酸化炭素などの酸化性のガスとの化学反応を起こさせ、基材に酸化アルミニウム膜を成膜することができる。マイクロ波などを用いて真空容器中に酸素ガスプラズマをつくり、アルミニウムの酸化を促進することもできる。
<有機無機ハイブリッドバリア層用コーティング剤の配合処方>
(A液):テトラエトキシシラン(Si(OC、以下TEOSと称す)17.9gと、メタノール10gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間撹拌し、加水分解させた固形分5%(重量比SiO換算)の加水分解溶液。
(B液):ポリビニルアルコールの5%(重量比)、水/メタノール=95/5(重量比)水溶液。
(C液):β−(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランのIPA溶液に塩酸(1N)を徐々に加え、30分間撹拌し、加水分解させた後、さらに水/IPA=1
/1溶液で加水分解を行い、固形分5%(重量比RSi(OH)換算)に調整した加水分解溶液。
準備した有機無機ハイブリッドバリア層用コーティング剤は下記の2種類である。配合比はすべて固形分重量比率である。
コーティング剤1・・・A/B =60/40
コーティング剤2・・・A/B/C=70/20/10
<酸素透過度測定方法>
MOCON社製OX−TRAN2/20を使用し、23℃−65%RH条件で測定する。
<水蒸気透過度測定方法>
MOCON社製PERMATRAN2/20を使用し、40℃−90%RH条件で測定する。
<密着強度測定方法>
得られた強密着ガスバリアフィルムを二液硬化型ウレタン接着剤を3g/mのせ、ポリエチレンフィルム30μmと貼り合せ、エージング硬化終了後に、このラミネートフィルム(15mm幅)を常温で90゜剥離したときの強度で示した。
高分子フィルム基材1として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用し、この片面に、スパッタリング方法による酸化チタンのアンカー層を厚さ1.0nmとなるように形成した。次いで酸化チタンアンカーコート層上に酸化アルミニウム蒸着層を、厚さ15nmに形成した。更にその上に有機無機ハイブリッドバリア層として、コーティング剤1をグラビアコーターで塗布、乾燥し、厚さ0.3μmに形成し、ガスバリア性フィルムを得た。
得られたガスバリアフィルムの評価は、酸素透過度、水蒸気透過度を測定し、何れも良好なバリア性を示した
また、密着評価としてCPPと貼り合せてラミネート強度を測定し、強い密着性を示した。
蒸着膜として金属アルミニウムを成膜し、有機無機ハイブリッドバリア層を設けなかった以外、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
実施例2で得られたガスバリア性フィルムについては、実施例1と同様に良好なガスバリア性と密着性を示した。
高分子フィルム基材として、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し有機無機ハイブリッドバリア層として、コーティング剤2を使用した以外、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
実施例3で得られたガスバリア性フィルムは、実施例1同様にバリア性、密着性は良好な性能を示した。
高分子フィルム基材として、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用した以外、実施例2と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
実施例4で得られたガスバリア性フィルムについては、実施例1と同様に良好なガスバリア性と密着性を示した。

<参考例1> 酸化チタンアンカーコート層をDCグロー放電を用いた高分子フィルム基材の表面処理をE値50W・min/mで行うことにより、同時に酸化チタンが成膜する方法で厚み約0.3nmなるように形成した以外、実施例4と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
参考例1で得られたガスバリア性フィルムは、バリア性、密着性は良好な性能を示した。

<参考例2> E値500W・min/mで処理した以外は、実施例4と同様にして実施した。参考例2で得られたガスバリア性フィルムは、バリア性、密着性は良好な性能を示した。

<比較例1> 酸化チタンのアンカー層を設けなかった以外、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。比較例1で得られたガスバリア性フィルムのバリア性、密着性は、悪い結果となった。

<比較例2> 酸化チタンのアンカーコート層を設けなかった以外、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。比較例2で得られたバリア性フィルムのバリア性、密着性は、悪い結果となった。

<比較例3> 酸化チタンのアンカーコート層を設けなかった以外、実施例3と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。比較例3で得られたバリア性フィルムのバリア性、密着性は、悪い結果となった。

<比較例4> 酸化チタンのアンカーコート層を設けなかった以外、実施例4と同様にして、バリア性フィルムを得た。比較例4で得られたガスバリア性フィルムのバリア性、密着性は、悪い結果となった。
以上の結果をまとめて表1示す。
Figure 0005298656
表中の略号は、以下の通りである。
AC:アンカーコート層
VM:蒸着層
OC:有機無機ハイブリッドバリア層
O2TR:酸素透過度(cc/m/day/atm)
WVTR:水蒸気透過度(g/m/day/atm)
本発明に係るガスバリア性フィルムの基本的な構成を示す断面説明図。 本発明に係るガスバリア性フィルムの実施形態の一例を示す断面説明図。
1・・・高分子フィルム基材
2・・・金属酸化物アンカーコート層
3・・・金属または金属酸化物薄膜層
4・・・有機無機ハイブリッドバリア層
10、11・・・ガスバリア性フィルム

Claims (1)

  1. 基材フィルムと金属または金属酸化物の薄膜層の間に厚み0.5nm〜5.0nmの金属酸化物のアンカーコート層を積層し、しかも、アンカーコート層が基材フィルム上に直接積層されており、
    前記基材フィルムが延伸ポリプロピレンフィルムであり、
    前記金属酸化物のアンカーコート層の形成が、基材フィルムの表面処理と同時に行われており、かつ、この工程が、チタン、銅、アルミニウムのうち少なくとも1つの金属を使用したカソード電極を用いると共に、酸素又は二酸化炭素のガスを導入した雰囲気中で、グロー放電を利用して、E値が50W・min/m 以上の条件で行ったものであり、
    更にアンカーコート層の上に金属または金属酸化物の薄膜層がスパッタリング法により形成された
    ことを特徴とする強密着ガスバリア性フィルム。
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