JP5298639B2 - 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置 - Google Patents

水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5298639B2
JP5298639B2 JP2008136847A JP2008136847A JP5298639B2 JP 5298639 B2 JP5298639 B2 JP 5298639B2 JP 2008136847 A JP2008136847 A JP 2008136847A JP 2008136847 A JP2008136847 A JP 2008136847A JP 5298639 B2 JP5298639 B2 JP 5298639B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
cation exchange
soluble resin
exchange resin
resin component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008136847A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009279561A (ja
Inventor
求 小泉
文彦 大和
拓生 三浦
啓憲 加来
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kurita Water Industries Ltd
Original Assignee
Kurita Water Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kurita Water Industries Ltd filed Critical Kurita Water Industries Ltd
Priority to JP2008136847A priority Critical patent/JP5298639B2/ja
Publication of JP2009279561A publication Critical patent/JP2009279561A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5298639B2 publication Critical patent/JP5298639B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Treatment Of Water By Ion Exchange (AREA)

Description

本発明は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を無害化するための処理方法および装置に係り、詳しくは、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液、特に半導体や電子部品の製造工程で発生するレジスト含有廃液等の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を、安定かつ高度に処理するための方法および装置に関するものである。
半導体や電子部品の製造工程から排出される廃液の一つに、ドライフィルムレジストを使用した製造工程から排出される水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がある。この廃液は、ドライフィルムレジストを貼り付けた基板に回路パターンを露光してレジストを硬化させた後、露光されず硬化していないレジストをアルカリ水溶液で洗浄して除去する際、レジスト中の樹脂成分が水溶性となってアルカリ水溶液に溶解して発生したものである。この種の廃液中の水溶性樹脂成分には、アルカリ性の状態では水溶性であるが、pHが低下し、酸性になると不溶化して不溶性樹脂成分が析出するものがある。
このような水溶性樹脂成分は、生物難分解性物質を主成分とするため、活性汚泥処理等の生物処理では処理することができない。このため、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は焼却、超臨界または亜臨界水熱処理などの加熱を伴う処理で処理されているが、これらの処理に先立って、濃縮による減容化が行われる。この減容化のために、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を蒸発濃縮等により濃縮する場合、アルカリ性の状態では装置に悪影響が及ぶので、通常は酸により中和して濃縮、減容化が行われる。
しかし、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液に単に中和剤として酸を添加して中和すると塩が生成し、酸由来の無機イオンが増加する。このような中和液を濃縮すると、濃縮により塩濃度が高くなりすぎ、このため、濃縮装置や超臨界水酸化処理装置において塩類が析出して閉塞を招くことがある。また、pHが低下したり、塩濃度が高くなることなどにより、水溶性樹脂成分などの溶解成分が不溶化する場合があり、蒸発濃縮装置に析出成分が蓄積したり、粘着性を有する析出物が配管等を閉塞してしまうことがある。このようなことは蒸発濃縮の場合だけではなく、透過膜による濃縮の場合にも、程度の差はあるが、同様のことが起こり得る。
この問題は、廃液に中和剤を添加して中和するのではなく、廃液中のアルカリ成分を除去することによりpHを調整することができれば、回避することができる。廃液中のアルカリ成分は、ナトリウムイオン、カルシウムイオン等のカチオンであり、これらを除去するためには、イオン交換技術が考えられる。イオン交換は水中のイオンのうち、特定のイオンを除去できる代表的な技術であり、用水分野では最も一般的な技術の一つになっている。
イオン交換による水処理方法としては、イオン交換樹脂を充填した樹脂塔に被処理水を通水して、水中のイオンをイオン交換除去するカラム通水方式が一般的である。しかし、H形カチオン交換樹脂を充填した樹脂塔に水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液を通水すると、溶解していた水溶性樹脂成分が不溶化して大量に析出し、析出物が樹脂塔内の特定の部分に付着することにより樹脂塔内の流れが不均一化し、イオン交換処理ができなくなる課題があった。また、このような流れの不均一化を防止するために、通水流速を高めてイオン交換樹脂が流動化している状態で処理しても、同様に析出した樹脂成分が樹脂塔上部に付着・堆積し、処理を継続することができなくなる課題があった。
この課題を解決するために、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁状態で反応させてアルカリ成分をイオン交換により吸着させることにより、水溶性樹脂成分の析出なしに容易にアルカリ成分を除去し、これにより塩類濃度を低下させ、pH調整を行って、塩類および水溶性樹脂成分の析出なしに効率よく水溶性樹脂成分の処理を行う技術が提案されている(特許文献1)。
図2は、特許文献1に記載される水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置の系統図であり、図2において、1は脱アルカリ槽、2は分離再生槽、3は樹脂成分処理装置、4は樹脂槽、5は計量槽、6は再生剤槽である。
この装置では、まず、弁V1、V2を開き、ラインL1、L1’を経て所定量の被処理廃液を脱アルカリ槽1に導入して撹拌機7で混合する。次に、弁V3を開き、樹脂槽4からラインL2を通して計量槽5にH形カチオン交換樹脂を導入して計量し、弁V2を閉じ、弁V4、V5を開き、ラインL1,L3を経て供給される被処理廃液で計量槽5で計量された樹脂をラインL2’,L1’を経て脱アルカリ槽1に移送し、撹拌機7で混合する。こうして、脱アルカリ槽1内で被処理廃液をH形カチオン交換樹脂と混合し、懸濁状態で反応させることにより、被処理廃液からイオン交換によりアルカリ成分を除去する。これにより、水溶性樹脂成分の析出なしに塩類濃度を低下させて、被処理液をpH調整することができる。
撹拌を継続して廃液のpHが安定した段階で、弁V6、V7を開き、脱アルカリ槽1からカチオン交換樹脂を含む脱アルカリ液をラインL4を経て分離再生槽2に導入し、カチオン交換樹脂の分離を行う。分離再生槽2ではストレーナ8で濾過することにより、目的のpHとなった脱アルカリ処理液とカチオン交換樹脂を分離し、分離液はラインL5,L5’を経て樹脂成分処理装置3に送給する。樹脂成分処理装置3においては、分離液が濃縮等で処理された後、必要に応じて分解等の処理が施され、処理物がラインL10より系外へ排出される。
分離再生槽2で分離したカチオン交換樹脂は、この分離再生槽2内で再生する。再生は弁V8〜V11を開き、ラインL6から水を送給すると共に、再生剤槽6からラインL7を通して再生剤(酸)を送り、水で希釈した酸を分離再生槽2に導入し、カチオン交換樹脂層9を通過させて再生を行う。再生廃液はラインL8から系外へ排出する。その後、弁V9を閉じ、水のみを送って、押出し洗浄を行う。再生終了後、V11を閉じ、弁V8、V10、V7、V12、V13を開き、ラインL6,L5,L6’を経て分離再生槽2に水を送り、再生済みのカチオン交換樹脂をラインL9から樹脂槽4に移送する。
特許文献1の技術であれば、このように被処理廃液にカチオン交換樹脂を添加混合して懸濁状態で反応させる方法を採用することにより、水溶性樹脂成分の析出による流れの不均一化や閉塞などの問題が防止される。
即ち、アルカリ成分の除去のために、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液をH形カチオン交換樹脂塔に通水すると、通水初期の処理水はNaイオン等のアルカリ成分が大量に除去されて、pHが3〜4まで低下して酸性になり、溶解していた水溶性樹脂成分が不溶化して大量に析出する。
これに対して、廃液にH形カチオン交換樹脂を混合して懸濁させ、被処理廃液の入れ替えを行うことなくバッチ式でイオン交換反応によりアルカリ成分を除去することにより、過度にpHを低下させることなく、アルカリ成分を除去することができ、これにより水溶性樹脂成分を析出させることなく、脱アルカリ処理することが可能となる。
特開2004−283746号公報
上記特許文献1の技術では次のような課題があった。
半導体や電子部品の製造工程で発生するレジスト含有廃液等のように、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液には、過飽和となって溶解し得なかったレジストフィルムの残渣が固形物として混在している。また、特許文献1の方法であれば、脱アルカリ処理において、水溶性樹脂成分の析出の問題がないとしても、ごく一部の析出は起こり得る。廃液中に含まれるフィルム滓のような固形物や、脱アルカリ工程で析出した水溶性樹脂成分は、脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する際に、分離液側に分離されて排出されずにカチオン交換樹脂層中に取り込まれたまま残されてしまう場合がある。また、脱アルカリ液から分離されたカチオン交換樹脂の粒子表面や樹脂粒子間には、水溶性樹脂成分を含む液が付着、ないし残留している。
脱アルカリ液からのカチオン交換樹脂の分離工程において、カチオン交換樹脂層に残留したフィルム滓やわずかに析出した樹脂成分や廃液由来の水溶性樹脂成分が完全に除去されないまま、カチオン交換樹脂の再生のための酸が通水されると、pHの低下により水溶性樹脂成分が析出し、既に存在する固形分と共に固化する。そして、再生回数を重ねると、このような析出物が蓄積し、大きな塊となり配管を閉塞させることとなる。
また、特許文献1では、カチオン交換樹脂を計量槽5で計量して脱アルカリ槽1に移送する際に、エゼクターを用いて、被処理廃液で計量槽5内のカチオン交換樹脂を押し出して脱アルカリ槽1に移送している。このため、計量槽5から脱アルカリ槽1に移送される間の短い時間ではあるが、移送中の配管内では被処理廃液に対してカチオン交換樹脂が多く存在するため、廃液のpHの低下で液中の水溶性樹脂成分が析出して、送液不良を引き起こす。この際、再生されたカチオン交換樹脂に再生工程で生成した固形分が付着していると、水溶性樹脂成分の析出による送液不良の問題はより一層深刻化する。
本発明は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を混合し、懸濁状態で反応させて脱アルカリ処理した後、脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離し、分離したカチオン交換樹脂を再生して循環使用する前処理を行う廃液処理において、上述のようなカチオン交換樹脂再生時の水溶性樹脂成分の析出や、樹脂への固形分の付着、混入、それによる固形物の系内蓄積に起因する運転障害を防止して、長期に亘り、安定かつ効率的な処理を行う方法および装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、カチオン交換樹脂を脱アルカリ工程に送給する際の水溶性樹脂成分の析出の問題を解決する方法および装置を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、脱アルカリ槽にて、不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液H形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ工程と、該脱アルカリ工程からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離工程と、該分離工程で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理工程と、該分離工程で分離したカチオン交換樹脂を再生して前記脱アルカリ工程へ返送する再生循環工程とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法において、該再生循環工程は、カチオン交換樹脂を水で洗浄する前洗浄工程と、前洗浄後のカチオン交換樹脂を酸と接触させて再生する酸再生工程と、再生したカチオン交換樹脂を前記脱アルカリ槽に返送する返送工程とを有し、該返送工程において、再生したカチオン交換樹脂を、水溶性樹脂成分を含まない水を用いて前記脱アルカリへ返送することを特徴とする。
請求項2の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項1において、前洗浄工程は、カチオン交換樹脂の体積の4体積倍以上の水を用いてカチオン交換樹脂を洗浄する工程であることを特徴とする。
請求項3の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項1又は2において、前記前洗浄工程は、再生容器内のカチオン交換樹脂に水を上向流で通水して洗浄する工程であることを特徴とする。
請求項4の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項3において、前記再生容器の洗浄排水排出管の通水部の開口面積が1cm以上であることを特徴とする。
請求項5の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項3又は4において、前記再生容器内のカチオン交換樹脂層の展開率が1.2倍以上となるような通水速度で、水を通水することを特徴とする。
請求項6の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前洗浄工程で排出される洗浄排水のうち、少なくとも洗浄開始初期の洗浄排水を前記分離液と共に、前記水溶性樹脂成分処理工程で処理することを特徴とする
求項の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項1ないしのいずれか1項において、前記水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含むことを特徴とする。
請求項の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法は、請求項において、前記水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がレジスト含有廃液であることを特徴とする。
本発明(請求項9)の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置は、不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリと、該脱アルカリからの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離手段と、該分離手段で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理手段と、該分離手段で分離したカチオン交換樹脂を再生して前記脱アルカリへ返送する再生循環手段とを含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置において、該再生循環手段は、カチオン交換樹脂を水で洗浄する前洗浄手段と、前洗浄後のカチオン交換樹脂を酸と接触させて再生する酸再生手段と、再生されたカチオン交換樹脂を、水溶性樹脂成分を含まない水を用いて前記脱アルカリに返送する手段とを有することを特徴とする。
請求項10の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置は、請求項において、該前洗浄手段は、カチオン交換樹脂を収容する再生容器と、該再生容器の下部から水を導入する導入管と、該再生容器の上部から洗浄排水を排出する排出管とを備え、該排出管の通水部の開口面積が1cm以上であることを特徴とする。
請求項11の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置は、請求項10において、前記再生容器から排出される洗浄排水を前記水溶性樹脂成分処理手段へ導入する手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、水溶性樹脂成分含有アルカリの脱アルカリ処理に使用したカチオン交換樹脂の再生に当たり、予め水で洗浄してカチオン交換樹脂層内に混入した廃液由来のフィルム滓等の固形物や、脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離した際に、カチオン交換樹脂層内に残留した廃液由来の水溶性樹脂成分を除去する。
このため、酸再生時にカチオン交換樹脂層に酸が供給されてpHが低下しても、廃液由来の水溶性樹脂成分の排出の問題はなく、また、廃液由来の固形物も除去されているため、再生されたカチオン交換樹脂にこれらの固形物が混入することが防止される。
従って、これらの固形物の系内蓄積を防止して、安定かつ効率的な処理を長期に亘って継続して行うことが可能となる。
この前洗浄工程においては、カチオン交換樹脂の体積の4体積倍以上の水を用いてカチオン交換樹脂を洗浄することが、カチオン交換樹脂を十分に洗浄する上で好ましい(請求項2)。また、前洗浄は、再生容器内のカチオン交換樹脂に、水を上向流で通水して行うことが、比重の小さい廃液由来のフィルム滓等の固形物を効率的に洗浄除去する上で好ましく(請求項3)、その際、再生容器の洗浄排水排出管の通水部の開口面積を1cm以上とすることが、排出される固形物による通水部の目詰りを防止する上で好ましい(請求項4,10)。また、このような上向流による洗浄に当たり、再生容器内のカチオン交換樹脂層の展開率が1.2倍以上となるような通水速度で、水を通水することにより、樹脂粒子間に残留する固形物や樹脂粒子表面に付着した廃液由来の水溶性樹脂成分を十分に洗浄除去することが可能となる(請求項5)。
また、本発明においては、前洗浄工程で排出される洗浄排水のうち、洗浄開始初期の、廃液由来の水溶性樹脂成分を多く含む洗浄排水は、脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離した分離液と共に、水溶性樹脂成分処理工程で処理することが好ましい(請求項6,11)。
本発明においては、このようにして再生したカチオン交換樹脂を、水溶性樹脂成分を含まない水、例えば純水を用いて脱アルカリ工程へ返送することにより、廃液を用いてカチオン交換樹脂を移送する場合の移送系内での水溶性樹脂成分の析出を防止して、送液不良を解消することができる。
本発明が適用される水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液としては、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含む廃液が挙げられ(請求項)、具体的には、レジスト含有廃液が挙げられる(請求項)。
以下に本発明の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置の実施の形態を詳細に説明する。
本発明は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合して廃液中のアルカリ成分を懸濁状態でH形カチオン交換樹脂にイオン交換吸着させて除去し、得られた脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離し、分離したカチオン交換樹脂を再生して再度脱アルカリ処理に使用するに当たり、カチオン交換樹脂の酸による再生に先立ち、水による前洗浄を行うことを特徴とする。
<水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液>
本発明において処理対象となる被処理水は、水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液、すなわち水溶性樹脂成分を含有するアルカリ性の廃液である。
このような廃液としては、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分およびアルカリ成分を含み、更に、前述のレジストフィルムの残渣等の固形物を含む廃液が挙げられ、特に半導体や電子部品の製造工程で発生するレジスト含有廃液などが処理対象として好適である。
このような水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液のpHは通常10〜14程度であり、またそのTOC濃度は通常100〜2000mg/L程度である。
廃液中の、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分としては、例えばカルボキシル基を有する樹脂成分のように、アルカリ性では水溶性であるが、pHが例えば6未満に低下すると析出する樹脂成分が挙げられる。
なお、本発明において樹脂成分とは、高分子有機重合体である樹脂そのものの他に、このような樹脂を製造するための単量体その他の原料、および/または樹脂の分解物を含む。レジスト、塗料、インキに含まれる樹脂成分は、単量体その他の樹脂原料を含む組成物で、樹脂組成物と称されており、本発明の樹脂成分に含まれる。またポジ形レジストに含まれる樹脂が受光により分解して生成する水溶性の分解生成物も樹脂組成物を構成するものであり、本発明の樹脂成分に含まれる。
<脱アルカリ処理>
被処理廃液の脱アルカリ工程においては、廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合して懸濁させ、液の入れ替えを行うことなくバッチ式でイオン交換反応によりNaイオン等のアルカリ成分をH形カチオン交換樹脂にイオン交換吸着させる。これにより、過度にpHを低下させることなくアルカリ成分を除去することができ、水溶性樹脂成分を析出させることなく、容易に塩類濃度を低下させてpH調整することができる。
脱アルカリ工程に用いるH形カチオン交換樹脂の量は、被処理廃液に含まれるアルカリの種類および量により変化するが、上記のイオン交換反応により、脱アルカリ液のpHが6〜9、特に6.5〜8になる程度の量とすることが好ましい。
脱アルカリ処理に用いる脱アルカリ手段としては、バッチ式のイオン交換装置が挙げられ、例えば、被処理廃液とH形カチオン交換樹脂とを混合して懸濁させ、イオン交換反応させる容器、および攪拌手段を含むものが用いられる。
カチオン交換樹脂は、強酸性カチオン交換樹脂でも、弱強酸性カチオン交換樹脂でもよい。このカチオン交換樹脂は酸によりH形に再生したものを用いる。
攪拌手段は、水流による攪拌手段でも、機械的攪拌手段でもよい。
撹拌時間は廃液の性状や用いるカチオン交換樹脂の量やその他の処理条件により、所望のpHの脱アルカリ液が得られるように適宜決定されるが、通常3〜30分程度である。
<カチオン交換樹脂の分離>
上述の脱アルカリ処理で得られる、カチオン交換樹脂を含む脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離するための分離手段としては、沈降分離装置、濾過分離装置などを採用することができる。この分離工程により、アルカリ成分が除去されてpH調整された液と、アルカリ成分を吸着したカチオン交換樹脂とが分離される。
<水溶性樹脂成分の処理>
分離工程で脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離して得られる分離液は、被処理廃液のアルカリ成分が除去され、水溶性樹脂成分を含むものである。この水溶性樹脂成分は、濃縮、分解等で処理される。
濃縮を行う場合、濃縮方法としては、蒸発濃縮、透過膜による濃縮などが採用できる。
分解を行う場合、超臨界または亜臨界水熱処理、焼却などの加熱を伴う処理による分解などが採用できる。
これらの処理は、それぞれ単独で行ってもよく、また組み合わせて行ってもよいが、分解を行う場合は、通常、それに先立ち濃縮処理が行われる。
これらの処理に用いる処理装置は、従来より用いられている装置が採用できる。
<カチオン交換樹脂の再生・循環>
脱アルカリ処理後に分離工程で分離されたカチオン交換樹脂は、再生して廃液の脱アルカリ処理に再利用する。この場合、カチオン交換樹脂の再生剤として酸が用いられる。酸としては、塩酸、硫酸等が使用でき、通常のカチオン交換樹脂の再生と同様の条件、装置で再生することができる。再生はバッチ式でなくてもよく、また、カチオン交換樹脂の分離装置を再生装置と兼用して分離装置に再生剤を通液して再生することもできる。
本発明においては、このカチオン交換樹脂の酸による再生に当たり、水による前洗浄を行うことを特徴とし、好ましくは、以下の工程で、水による前洗浄、酸による再生、水による押出洗浄、水による仕上げ洗浄の手順で行うことが好ましい。なお、前洗浄、押出洗浄、仕上げ洗浄に用いる水、酸の希釈に用いる水としては、純水、蒸留水等の、水溶性樹脂成分及びイオン成分を極力含まない水を用いるのが好ましく、特に純水を用いるのが好ましい。
(前洗浄)
脱アルカリ液から分離されたカチオン交換樹脂は、酸による再生に先立ち、まず、水による前洗浄を行う。
前洗浄は、カチオン交換樹脂層に対して水を上向流で通水して行うのが好ましく、また、前洗浄に用いる水の量は、カチオン交換樹脂の体積に対して4体積倍以上とすることが好ましい。
即ち、廃液由来のフィルム滓等の固形物は、比重が小さいため、洗浄水を上向流通水することにより、カチオン交換樹脂から効率的に洗浄除去することができる。
また、この上向流洗浄において、カチオン交換樹脂層を十分に展開させて洗浄を行うことにより、樹脂粒子間の固形物や樹脂に付着した水溶性樹脂成分等を効率的に除去することができる。従って、上向流洗浄時のカチオン交換樹脂の展開率(本明細書において、展開率とは、静置時の樹脂の体積に対する洗浄時の見掛上の樹脂の体積の倍率をさす)が1.2倍以上、好ましくは1.6倍以上となるような上向流速で洗浄水を通水することが好ましい。この展開率は過度に大きくても装置コスト、動力コストが高騰することから、通常その上限は1.8倍以下である。
また、廃液由来のフィルム滓等の固形物の大きさは1〜5mm程度であり、洗浄排水の排出配管にカチオン交換樹脂流出防止のためのストレーナー等を設けると、これらの固形物による目詰まりを起こすおそれがある。従って、洗浄排水の排出配管の通水部の開口部は面積1cm以上、例えば5〜100cm程度の比較的大きな開口部とすることが好ましい。
また、廃液中の水溶性樹脂成分は、レジストフィルムなどの高分子有機物がアルカリ液に溶解したものであり、水溶性であり、かつ、カチオン交換樹脂への吸着性もある。このため、脱アルカリ液から分離したカチオン交換樹脂に吸着しているこのような水溶性樹脂成分を十分に洗浄除去するためには、所定量以上の洗浄水量を供給する必要がある。前洗浄に用いる洗浄水量が少な過ぎると、カチオン交換樹脂に吸着した水溶性樹脂成分を十分に除去し得ず、カチオン交換樹脂層に水溶性樹脂成分が残留することにより、次の酸再生工程でpHが低下すると、この水溶性樹脂成分が析出し、系内蓄積、固化を引き起こす。
このため、前洗浄水量は、カチオン交換樹脂の体積の4体積倍以上、特に7体積倍以上とすることが好ましい。ただし、洗浄水量が多過ぎても、それ以上の洗浄効果はなく、徒に使用水量が増加して好ましくない。従って、前洗浄水量はカチオン交換樹脂の体積の9体積倍以下とすることが好ましい。
このような前洗浄で排出される洗浄排水のうち、洗浄開始初期のものは、廃液由来のフィルム滓等の固形物や水溶性樹脂成分を比較的多く含み、洗浄終期のものは、これらの含有量が少ない。従って、洗浄排水のうち、洗浄開始初期の、廃液由来のフィルム滓等の固形物や水溶性樹脂成分を比較的多く含む流出分は、例えば、全洗浄排水量のうち、洗浄開始初期の50%以下程度の流出分は、前述の脱アルカリ液からの分離液と共に、水溶性樹脂成分処理工程において濃縮処理し、濃縮廃液を必要に応じて更に分解処理等の処理を施した後、系外へ排出して廃棄するか焼却処分することが好ましい。一方、洗浄排水の残部は、廃液由来の固形物や水溶性樹脂成分の含有量の少ない、比較的清浄度の高いものであることから、系外へ排出し、別途処理することが好ましい。
(酸再生)
前洗浄後の酸による再生には、通常1〜10重量%程度の濃度の塩酸又は硫酸等の酸水溶液が用いられる。この酸再生に用いる酸水溶液量は、少な過ぎると十分な再生を行えず、多過ぎると不経済であることから、用いる酸水溶液の酸濃度にもよるが、通常、カチオン交換樹脂の体積の1.5〜4体積倍程度であることが好ましい。また、この酸再生も上向流通水で行うことが好ましく、その場合のカチオン交換樹脂の展開率は1.6〜1.8倍程度であることが、再生効率と装置コスト、動力コストの点で好ましい。
この酸による再生で排出される再生廃液は系外へ排出して別途処理する。
(押出洗浄)
酸再生後は、水による押出洗浄を行って、カチオン交換樹脂層に残留する酸を系外へ押し出す。押出洗浄に用いる洗浄水量は、少な過ぎると十分に酸を押し出すことができず、多過ぎると不経済であることから、通常、カチオン交換樹脂の体積の2〜5体積倍程度であることが好ましい。また、この押出洗浄も上向流通水で行うことが好ましく、その場合のカチオン交換樹脂の展開率は1.6〜1.8倍程度であることが、洗浄効率と装置コスト、動力コストの点で好ましい。
(仕上げ洗浄)
押出洗浄後は、水による仕上げ洗浄を行って、酸による再生によりpHが低下したことで、再生系内に析出した廃液由来の水溶性樹脂成分の固形物を除去して、一連の再生処理を終了する。
この仕上げ洗浄に用いる洗浄水量は、少な過ぎると十分な洗浄効果が得られず、多過ぎると不経済であることから、通常、カチオン交換樹脂の体積の3〜8体積倍程度であることが好ましい。また、この仕上げ洗浄も上向流通水で行うことが好ましく、その場合のカチオン交換樹脂の展開率は1.6〜1.8倍程度であることが、洗浄効率と装置コスト、動力コストの点で好ましい。
このような仕上げ洗浄で排出される洗浄排水のうち、洗浄開始初期のものは、廃液由来の水溶性樹脂成分が酸による再生中に析出した固形物を比較的多く含み、洗浄終期のものは、これらの含有量が少ない。従って、洗浄排水のうち、洗浄開始初期の、水溶性樹脂成分の固形物を比較的多く含む流出分、例えば、全洗浄排水量のうち、洗浄開始初期の70
%以下程度の流出分は、前述の脱アルカリ液からの分離液と共に、水溶性樹脂成分処理工程において濃縮処理し、濃縮廃液を必要に応じて更に分解処理等の処理を施した後、系外へ排出して廃棄するか焼却処分することが好ましい。一方、洗浄排水の残部は、このような固形物の含有量の少ない、比較的清浄度の高いものであることから、系外へ排出し、別途処理することが好ましい。
<装置の具体例>
以下に図1を参照して本発明の水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置の実施の形態を具体的に説明する。
図2は、本発明の装置の実施の形態を示す系統図であり、図1において、図2におけると同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
図1の装置は、弁V4,ラインL3の代わりに、ラインL6から分岐するラインL3’と弁V4’を有し、弁V4’を開いてラインL6からの水を計量槽5に導入可能とされていること以外は、図2に示す装置と同様の構成とされている。
この装置では、まず、弁V1、V2を開き、ラインL1、L1’を経て所定量の被処理廃液を脱アルカリ槽1に導入して撹拌機7で混合する。また、弁V3を開き、樹脂槽4からラインL2を通して計量槽5にH形カチオン交換樹脂を導入して計量する。次に、弁V1、V2を閉じ、弁V8、V4’、V5を開き、ラインL6,L3’を経て供給される水で計量槽5で計量された樹脂をラインL2’,L1’を経て脱アルカリ槽1に導入し、撹拌機7で混合する。こうして、脱アルカリ槽1内で被処理廃液をH形カチオン交換樹脂と混合し、懸濁状態で反応させることにより、被処理廃液からイオン交換によりアルカリ成分を除去する。これにより、水溶性樹脂成分の析出なしに塩類濃度を低下させて、被処理液をpH調整することができる。
撹拌を継続して廃液のpHが安定した段階で、弁V6、V7を開き、脱アルカリ槽1からカチオン交換樹脂を含む脱アルカリ液をラインL4を経て分離再生槽2に導入し、カチオン交換樹脂の分離を行う。分離再生槽2は、槽内の下部に、固液分離用のストレーナ8を有し、上部に脱アルカリ液の導入口2A、底部に分離液の排出口を兼ねる洗浄水又は再生剤の導入口2Bを有し、上部側壁に洗浄排水の排出口を兼ねる移送用水の導入口2Cを有するものである。
この分離再生槽2ではストレーナ8で濾過することにより、目的のpHとなった脱アルカリ液とカチオン交換樹脂とが分離され、分離液はラインL5,L5’を経て樹脂成分処理装置3に送給される。樹脂成分処理装置3においては、分離液が濃縮等で処理された後、必要に応じて分解等の処理が施され、処理物がラインL10より系外へ排出される。
分離再生槽2で分離したカチオン交換樹脂は、この分離再生槽2内で再生する。再生は1回の脱アルカリ液の分離毎に行っても良く、複数回、脱アルカリ液の分離を行った後、複数回分のカチオン交換樹脂をまとめて再生しても良い。カチオン交換樹脂の再生は、次のような操作で行われる。
まず、弁V8およびV10と、V12を開き(その他の弁は閉)、ラインL6から分離再生槽2に所定の水を所定の流速で上向流通水してカチオン交換樹脂を前洗浄する。この洗浄開始初期の洗浄排水は、ラインL6’、L5’から樹脂成分処理装置3に送給して脱アルカリ液の分離液と共に濃縮処理する。その後の洗浄排水は、弁V12を閉、弁V11を開として、系外へ排出し、別途処理する。
このような洗浄排水の排出の際、分離再生槽2の排出口2Cから槽内に挿入された排出管の通水部の開口面積を前述のように大きくしておくことにより、この部分の目詰まりを防止することができる。
次に、弁V8、弁V9、V10、V11を開として(その他の弁は閉)、ラインL7からの再生剤(塩酸等の酸)を、ラインL6からの水で希釈して、分離再生槽2に所定の流速で上向流通水してカチオン交換樹脂を酸で再生する。再生廃液はラインL8より排出し、別途処理する。
酸再生後は、弁V8、V10、V11を開として(その他の弁は閉)、ラインL6から分離再生槽2に所定の水を所定の流速で上向流通水してカチオン交換樹脂層に残留する酸を押出洗浄する。押出洗浄排水はライン8より系外へ排出し、別途処理する。
押出洗浄後は、弁V8、V10、V12を開として(その他の弁は閉)、ラインL6から分離再生槽2に所定の水を所定の流速で上向流通水してカチオン交換樹脂の仕上げ洗浄を行う。この仕上げ洗浄開始初期の洗浄排水は、弁V12を開として、ラインL6’、L5’から樹脂成分処理装置3に送給して脱アルカリ液の分離液と共に濃縮処理する。その後の洗浄排水は、弁V11を閉(弁12は閉)として、系外へ排出し、別途処理する。
この仕上げ洗浄後は、弁V8、V10、V7、V12、V13を開き(その他の弁は閉)、ラインL6,L5,L6’を経て分離再生槽2に水を送り、再生済みのカチオン交換樹脂をラインL9から樹脂槽4に戻す。
このようにして、一連のバッチ操作が終了したら、再び弁V1,V2を開として、被処理廃液を脱アルカリ槽1に導入し、また、樹脂槽4内のカチオン交換樹脂を計量槽5で計量し、その後、弁V1,V2を閉、弁V8,V4’,V5を開として、水をラインL8,L3’を経て計量槽5に導入し、計量槽5内のカチオン交換樹脂をラインL2’,L1’を経て脱アルカリ槽1に送給する。
このように、カチオン交換樹脂の再生に先立ち前洗浄を行うことにより、また、再生されたカチオン交換樹脂の移送に、水溶性樹脂成分を含有しない水を用いることにより、固形分の系内蓄積を防止して、長期に亘り安定かつ効率的な運転を行うことができる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例および比較例で処理した水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は、ポリメタクリル酸系の水溶性樹脂成分を含むアルカリ性のレジスト液であり、その水質は表1に示す通りである。
また、カチオン交換樹脂の移送や洗浄用の水としては純水を用いた。
説明の便宜上まず比較例を挙げる。
[比較例1]
図2に示す装置により、レジスト廃液50Lと、計量槽5で計量したH形弱酸性カチオン交換樹脂(ランクセス社製「レバチットCNP80WS」粒径0.3〜1.6mm)5Lとを脱アルカリ槽1に導入し(H形弱酸性カチオン交換樹脂の移送には廃液を用いた)、30分間撹拌した。30分後、撹拌を停止し、脱アルカリ槽1内の液を樹脂再生槽2に抜き出し、脱アルカリ液をストレーナ8で濾過した。濾過により得られた分離液の水質を、被処理廃液の水質と共に、表1に示す。
表1より、脱アルカリ処理により、有機物(TOC)を殆ど除去することなく、アルカリ成分(Na)のみをイオン交換により除去して、pHを低下させることができたことが分かる。
Figure 0005298639
上記の脱アルカリ液の濾過後、樹脂再生槽2内に分離されたカチオン交換樹脂を再生をするために、弁V8〜V11を開き、ラインL6から水を送給すると共に、再生剤槽6からラインL7を通して再生剤(塩酸)を送り、水で希釈した酸(塩酸濃度4.3重量%)を、カチオン交換樹脂の体積に対して2体積倍、分離再生槽2に導入し、カチオン交換樹脂層9を上向流で通過させて再生を行い、再生廃液はラインL8から系外へ排出した。その後、弁V9を閉じ、水のみをカチオン交換樹脂の体積の3体積倍送って、押出し洗浄を行った。再生終了後、弁V8、V10、V7、V12、V13を開き、ラインL6,L5,L6’を経て分離再生槽2に水を送り、再生済みのカチオン交換樹脂をラインL9から樹脂槽4に移送した。
このようにして、再生樹脂を樹脂槽4に戻した後、再度、計量槽5で5Lを計量して被処理廃液50Lと共に脱アルカリ槽1に導入し、脱アルカリ処理し、その後、分離再生槽2で濾過し、カチオン交換樹脂の分離と再生を行う一連の処理をバッチ運転で繰り返し行った。
その結果、運転を継続することにより、廃液由来のフィルム滓や水溶性樹脂成分の析出物等の固形物が系内に蓄積し、半月に1回の頻度で運転を停止し、装置を開放して点検、清掃する必要があった。
[実施例1]
図1に示す装置を用い、分離再生槽2で分離したカチオン交換樹脂の再生に当たり、以下の手順で前洗浄、酸再生、押出洗浄、仕上げ洗浄、および樹脂槽4への移送の一連の処理を行い、また、樹脂層4内のカチオン交換樹脂を脱アルカリ槽1に送給する際、以下の手順で水を用いて移送したこと以外は、比較例1と同様にして処理を行った。なお、分離再生槽2の上部に設けられた排出配管の通水部の開口面積は85cmであった。
その結果、固形分の系内蓄積の問題はなく、一ヶ月間安定に運転を継続することができた。
<前洗浄>
弁V8およびV10と、V12またはV11を開き(その他の弁は閉)、ラインL6から分離再生槽2に所定の水を所定の流速で上向流通水してカチオン交換樹脂を洗浄した。全洗浄水量は、カチオン交換樹脂の体積の9体積倍であり、そのうち、洗浄開始から、カチオン交換樹脂の体積の3体積倍の洗浄排水については、弁V12を開(弁V11は閉)として、ラインL6’、L5’から樹脂製分処理装置3に送給して脱アルカリ液の分離液と共に濃縮処理した。また、その後のカチオン交換樹脂の体積の6体積倍の洗浄排水については、弁V11を開(弁12は閉)として、系外へ排出し、別途処理した。
なお、この前洗浄において、カチオン交換樹脂層の展開率は1.7倍であった。
<酸再生>
弁V8、弁V9およびV10と、V11を開き(その他の弁は閉)、ライン7からの再生剤(塩酸)をラインL6からの水で希釈して塩酸濃度4.3重量%として分離再生槽2に上向流通水してカチオン交換樹脂を酸で再生した。通水した塩酸水溶液量は、カチオン交換樹脂の体積の2体積倍であり、再生廃液はラインL8より排出し、別途処理した。
なお、この酸再生時のカチオン交換樹脂層の展開率は1.7倍であった。
<押出洗浄>
弁V8およびV10と、V11を開き(その他の弁は閉)、ラインL6から分離再生槽2に水を上向流通水してカチオン交換樹脂層に残留する塩酸を押出洗浄した。全洗浄水量は、カチオン交換樹脂の体積の3体積倍であり、押出洗浄排水はライン8より系外へ排出し、別途処理した。
なお、この押出洗浄において、カチオン交換樹脂層の展開率は1.7倍であった。
<仕上げ洗浄>
弁V8およびV10と、V12またはV11を開き(その他の弁は閉)、ラインL6から分離再生槽2に水を上向流通水してカチオン交換樹脂の仕上げ洗浄を行った。全洗浄水量は、カチオン交換樹脂の体積の9体積倍であり、そのうち、洗浄開始から、カチオン交換樹脂の体積の6体積倍の洗浄排水については、弁V12を開(弁V11は閉)として、ラインL6’、L5’から樹脂成分処理装置3に送給して脱アルカリ液の分離液と共に濃縮処理した。また、その後のカチオン交換樹脂の体積の3体積倍の洗浄排水については、弁V11を開(弁12は閉)として、系外へ排出し、別途処理した。
なお、この仕上げ洗浄において、カチオン交換樹脂層の展開率は1.7倍であった。
この仕上げ洗浄後は、弁V8、V10、V7、V12、V13を開き、ラインL6,L5,L6’を経て分離再生槽2に水を送り、再生済みのカチオン交換樹脂をラインL9から樹脂槽4に戻した。
また、弁V1,V2を開として、被処理廃液を脱アルカリ槽1に導入した後、樹脂槽4からのカチオン交換樹脂を計量槽5で計量して脱アルカリ槽1に移送する際には、弁V1,V2を閉、弁V8,V4’,V5を開として、水をラインL6,L3’を経て計量槽5に導入し、計量槽5内のカチオン交換樹脂をラインL2’,L1’を経て脱アルカリ槽1に送給した。
実施の形態に係る水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置を示す系統図である。 特許文献1に記載される装置を示す系統図である。
1 脱アルカリ槽
2 分離再生槽
3 樹脂成分処理装置
4 樹脂槽
5 計量槽
6 再生剤槽
7 攪拌機
8 ストレーナ
9 カチオン交換樹脂層

Claims (11)

  1. 脱アルカリ槽にて、不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液とH形カチオン交換樹脂とを添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ工程と、
    該脱アルカリ工程からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離工程と、
    該分離工程で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理工程と、
    該分離工程で分離したカチオン交換樹脂を再生して前記脱アルカリ工程へ返送する再生循環工程と
    を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法において、
    該再生循環工程は、カチオン交換樹脂を水で洗浄する前洗浄工程と、前洗浄後のカチオン交換樹脂を酸と接触させて再生する酸再生工程と、再生したカチオン交換樹脂を前記脱アルカリ槽に返送する返送工程とを有し、
    該返送工程において、再生したカチオン交換樹脂を、水溶性樹脂成分を含まない水を用いて前記脱アルカリ槽へ返送することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
  2. 請求項1において、前記前洗浄工程は、カチオン交換樹脂の体積の4体積倍以上の水を用いてカチオン交換樹脂を洗浄する工程であることを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
  3. 請求項1又は2において、前記前洗浄工程は、再生容器内のカチオン交換樹脂に水を上向流で通水して洗浄する工程であることを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
  4. 請求項3において、前記再生容器の洗浄排水排出管の通水部の開口面積が1cm以上であることを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
  5. 請求項3又は4において、前記再生容器内のカチオン交換樹脂層の展開率が1.2倍以上となるような通水速度で、水を通水することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前洗浄工程で排出される洗浄排水のうち、少なくとも洗浄開始初期の洗浄排水を前記分離液と共に、前記水溶性樹脂成分処理工程で処理することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液は、pHが低下すると析出する水溶性樹脂成分とアルカリ成分とを含むことを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
  8. 請求項7において、前記水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液がレジスト含有廃液であることを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法。
  9. 不溶解成分を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液にH形カチオン交換樹脂を添加混合してアルカリ成分を除去する脱アルカリ槽と、
    該脱アルカリ槽からの脱アルカリ液からカチオン交換樹脂を分離する分離手段と、
    該分離手段で分離された分離液中の水溶性樹脂成分を処理する水溶性樹脂成分処理手段と、
    該分離手段で分離したカチオン交換樹脂を再生して前記脱アルカリ槽へ返送する再生循環手段と
    を含む水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置において、
    該再生循環手段は、カチオン交換樹脂を水で洗浄する前洗浄手段と、前洗浄後のカチオン交換樹脂を酸と接触させて再生する酸再生手段と、再生されたカチオン交換樹脂を、水溶性樹脂成分を含まない水を用いて前記脱アルカリ槽に返送する手段とを有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。
  10. 請求項9において、該前洗浄手段は、カチオン交換樹脂を収容する再生容器と、該再生容器の下部から水を導入する導入管と、該再生容器の上部から洗浄排水を排出する排出管とを備え、該排出管の通水部の開口面積が1cm以上であることを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。
  11. 請求項10において、前記再生容器から排出される洗浄排水を前記水溶性樹脂成分処理手段へ導入する手段を有することを特徴とする水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理装置。
JP2008136847A 2008-05-26 2008-05-26 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置 Expired - Fee Related JP5298639B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008136847A JP5298639B2 (ja) 2008-05-26 2008-05-26 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008136847A JP5298639B2 (ja) 2008-05-26 2008-05-26 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009279561A JP2009279561A (ja) 2009-12-03
JP5298639B2 true JP5298639B2 (ja) 2013-09-25

Family

ID=41450592

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008136847A Expired - Fee Related JP5298639B2 (ja) 2008-05-26 2008-05-26 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5298639B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5062093B2 (ja) * 2008-08-06 2012-10-31 栗田工業株式会社 アミノ基を有する水溶性有機溶媒の回収方法
JP5256002B2 (ja) * 2008-11-25 2013-08-07 オルガノ株式会社 フォトレジスト現像排水の排水処理システム
JP6368681B2 (ja) * 2015-04-24 2018-08-01 前澤工業株式会社 浄水方法及び装置
CN112808325A (zh) * 2021-02-01 2021-05-18 国投钦州发电有限公司 氢型阳离子交换树脂再生装置及其操作方法
CN116237090A (zh) * 2023-02-21 2023-06-09 华能山东发电有限公司白杨河发电厂 一种水处理用阴树脂的处理及再生方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5072876A (ja) * 1973-08-08 1975-06-16
JPS52146782A (en) * 1976-06-02 1977-12-06 Japan Organo Co Ltd Regeneration of strongly acidic cation exchange resin at production equipment of purified water of continuous ion exchange type
JPH01258749A (ja) * 1988-04-08 1989-10-16 Mitsui Toatsu Chem Inc 陽イオン交換樹脂の再生方法
JP3963032B2 (ja) * 1997-07-16 2007-08-22 栗田工業株式会社 イオン交換装置およびポリッシングフィルタ
JP4411678B2 (ja) * 1999-03-05 2010-02-10 栗田工業株式会社 イオン交換樹脂の再生方法
JP2003088765A (ja) * 2001-09-19 2003-03-25 Nippon Rensui Co Ltd 向流再生式イオン交換装置および当該装置におけるイオン交換樹脂の充填層の洗浄方法
JP2004167417A (ja) * 2002-11-21 2004-06-17 Sumitomo Chem Co Ltd イオン交換樹脂塔の再生方法
JP2004283746A (ja) * 2003-03-24 2004-10-14 Kurita Water Ind Ltd 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および装置
JP2004322088A (ja) * 2003-04-22 2004-11-18 Nain Tekku Co Ltd 軟水器のイオン交換樹脂再生装置及びその制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009279561A (ja) 2009-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5298639B2 (ja) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置
EP1776190B1 (en) Plug-flow regeneration process
TW201031601A (en) Systems and methods for wastewater treatment
JP2005288442A (ja) 膜モジュールの洗浄方法
JP2000503889A (ja) 廃水の排出量を最小限にする方法及び装置
JP3735883B2 (ja) 膜分離装置及び膜モジュールの洗浄方法
RU2426699C1 (ru) Способ очистки оборотных вод металлургического производства
JP4071364B2 (ja) 逆浸透膜分離装置の前処理装置
KR101081302B1 (ko) 오, 폐수내의 인 및 부유물 연속 제거방법 및 장치
TW200400159A (en) Liquid treatment method and apparatus
JP5051004B2 (ja) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および処理装置
JP2001276892A (ja) 排水処理装置
JPH084728B2 (ja) 膜モジュールの洗浄方法
JP5062093B2 (ja) アミノ基を有する水溶性有機溶媒の回収方法
JP3968678B2 (ja) テトラアルキルアンモニウムイオン含有液の処理方法
JP2004283746A (ja) 水溶性樹脂成分含有アルカリ廃液の処理方法および装置
JP2006263553A (ja) 陰イオン性有機物含有排水の処理方法
JP2000024692A (ja) 硫酸イオン含有排水の処理装置
US9650266B2 (en) Method of treating suspended solids and heavy metal ions in sewage
JP6795204B2 (ja) 高分子吸収体の回収方法及び回収装置
JP6883501B2 (ja) 被処理水の処理方法および陽イオン交換樹脂の逆洗方法
WO2005105677A1 (en) Regeneration process
JP2012200669A (ja) リン除去装置
JP6370629B2 (ja) 排水処理システム及びそれを用いた排水処理方法
US20090082607A1 (en) Method for treating fluoride-containing waste water and system of treating waste water

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110328

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120604

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130312

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130425

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130521

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130603

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees