JP5297032B2 - 多孔質膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の多孔質膜は、(a)ポリエーテルスルホン系樹脂が微粒子状に凝集して形成された多孔質膜であり、前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂と(b)親水性高分子と(c)溶媒とを含むドープ(又は製膜原液)を成膜し、加湿して凝固させて製造することができる。
(a)ポリエーテルスルホン系樹脂は、下記式(1)
で表されるユニットを有するポリマーである。前記ユニットには、フェニレン基が置換されていない、即ちm及びnが0である非置換型ユニットの他、フェニレン基が1又は複数の置換基で置換された置換型ユニットが含まれる。(a)ポリエーテルスルホン系樹脂は、非置換型ユニット又は置換型ユニットの単独重合体、非置換型ユニットと置換型ユニットとの共重合体、複数種の置換型ユニットの共重合体などであってもよい。
(b)親水性高分子(又は水溶性高分子、親水性オリゴマー)は、前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂と非混和性であり、(c)溶媒と混和性であり、かつ成膜環境(例えば、製膜原液を流延又は塗布する工程)の温度において液状(又は溶融状)である限り、特に制限されない。このような(b)親水性高分子には、親水性基又はユニット(カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、ヒドロキシル基、アミド基、塩基性窒素原子含有基又はその塩、エーテル基、オキシアルキレンユニットなど)を有する重合体(親水性基又はユニットを有する単量体の単独又は共重合体、親水性基又はユニットを有する単量体と共重合性単量体との共重合体)、多糖類(例えば、セルロース誘導体、アルギン酸類など)などが含まれる。なお、前記共重合性単量体には、例えば、オレフィン系単量体(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテンなどのα−C2−6オレフィンなど)、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸C1−6アルキルエステルなど]、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニルなど)、不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物(例えば、無水マレイン酸、マレイン酸など)、ジエン類(ブタジエン、イソプレンなど)などが含まれる。
(c)溶媒は、前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂及び(b)親水性高分子を、ともに溶解可能である限り特に制限されないが、前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂及び(b)親水性高分子を良好に溶解させる点から、通常、非プロトン性極性溶媒{例えば、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、トリオキサンなどの環状エーテル類;アセトンなどのケトン類;γ−ブチロラクトン(GBL)など環状分子内エステル(ラクトン)類;窒素含有溶媒[例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;N−メチル−2−ピロリドンなどのピロリドン含有溶媒、ヘキサメチルホスファミドなど];硫黄含有溶媒[例えば、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランなど]}である場合が多い。(c)溶媒は単独で又は二種以上組み合わせた混合溶媒であってもよい。
(a)ポリエーテルスルホン系樹脂の含有量は、(a)ポリエーテルスルホン系樹脂と(b)親水性高分子と(c)溶媒との総量に対して、5〜20重量%、好ましくは7〜18重量%、さらに好ましくは9〜16重量%、特に10〜15重量%程度であってもよい。前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂の含有量が少なすぎると、多孔質化せず、一方、前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂の含有量が多すぎると、ドープがゲル化し、不均一になる場合がある。
ドープ(又は製膜原液)は、少なくとも3成分(前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂、(b)親水性高分子及び(c)溶媒)を混合、溶解させて調製してもよいが、各成分を短時間で完全に溶解させるため、前記3成分を段階的(又は個別)に混合、溶解させて調製するのが好ましい。すなわち、前記ドープは、前記(c)溶媒に、(a)ポリエーテルスルホン系樹脂及び(b)親水性高分子のいずれか一方の成分を溶解させた後、他方の成分をさらに溶解させて調製してもよい。なお、各成分を(c)溶媒に溶解させる場合、全量を一気に(又は一回で)溶解させてもよく、回分して(又は複数回に分けて)溶解させてもよい。具体的には、例えば、前記(c)溶媒に、添加量の半量の(b)親水性高分子を混合溶解させた後、(a)ポリエーテルスルホン系樹脂の全量を一気に(又は回分して)溶解させ、さらに残りの(b)親水性高分子を混合溶解させてもよい。
(2)前記膜を、所定の温度及び湿度に調整されたチャンバーに入れ、一定時間(T(秒))加湿した後、前記膜をチャンバーから取り出し、膜の重量(W2(g))を測定する
(3)測定した重量、加湿時間及び膜の面積S(m2)から、下記式(1)を利用して単位時間・単位面積あたりに供給する水蒸気の量(W(g/m2・秒))を算出する
W(g/m2・秒)=(W2−W1)/(S・T) (1)
なお、単位時間あたりに多量の水蒸気を供給するには、比較的高湿度で加湿することが有効である。具体的には、80〜100%、好ましくは82〜99.5%、さらに好ましくは85〜99%、特に86〜98.5%(例えば、87〜98%)程度の相対湿度(雰囲気下の相対湿度)で加湿してもよい。
前記方法で形成された多孔質膜は、前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂が微粒子状に凝集して形成された凝集体(微粒子の凝集体と称する場合がある)であり、このような膜構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察できる。図1は(c)溶媒の蒸発に伴う相分離の過程における多孔質層の粒子構造を示す概略断面模式図である。前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂は、図1で示されるように、微粒子状にランダムに凝集していてもよい。
空孔率(%)=100−100×W/(D・V) (2)
(式中、Vは多孔質膜の体積、Wは多孔質膜の重量、Dは多孔質膜(又は(a)ポリエーテルスルホン系樹脂)の密度を示し、D(g/cm3)=1.37である)を利用して算出できる。また、厚み方向における前記空孔率の標準偏差は、0.1〜10%、好ましくは0.15〜8%、さらに好ましくは0.2〜7%、特に0.25〜6%(例えば、0.3〜5%)程度であってもよい。さらに、前記3つの領域(表面層5、中間層6及び裏面層7)についてそれぞれ空孔率を測定したとき、前記空孔率の最大値と最小値との割合が、前者/後者=1/1〜5/1、好ましくは1.01/1〜3/1、さらに好ましくは1.03/1〜1.5/1(特に1.05/1〜1.2/1)程度であってもよい。
単位時間・単位面積あたりに供給する水蒸気の量(又は割合)は、以下の方法で算出した。
(2)前記膜を、所定の温度及び湿度に調整されたチャンバーに入れ、一定時間(T(秒))加湿した後、前記膜をチャンバーから取り出し、膜の重量(W2(g))を測定した
(3)測定した重量、加湿時間及び膜の面積S(m2)から、下記式(3)を利用して単位時間・単位面積あたりに供給する水蒸気の量(W(g/m2・秒))を算出した。
なお、実施例、比較例及び参考例では、ドープに対する水蒸気の供給量は、T=5秒で測定した。
測定する多孔質膜(又はその領域、又は層)の表面の電子顕微鏡写真において、任意に10個以上の樹脂微粒子を選択して前記粒子の面積をそれぞれ測定し、平均面積Saveを算出した。次いで、前記粒子を真円と仮定し、得られた平均面積Saveから下記式(4)を利用して平均粒子径を求めた。πは円周率である。
(平均孔径)
測定する多孔質膜(又はその領域、又は層)の表面の電子顕微鏡写真において、任意に30個以上の空孔を選択して前記空孔の面積をそれぞれ測定し、平均面積Saveを算出した。次いで、前記空孔を真円と仮定し、得られた平均面積Saveから下記式(5)を利用して平均孔径を求めた。πは円周率である。
(空孔率)
多孔質膜の空孔率は、下記式(6)を利用して算出した。なお、式中、Vは多孔質膜の体積、Wは多孔質膜の重量、Dは多孔質膜(又は(a)ポリエーテルスルホン系樹脂)の密度を示し、D(g/cm3)=1.37である。
(ガーレー透気度)
テスター産業(株)製の「PA−301 ガーレー式デンソメーターB型」を用い、JIS P8117に準じて測定した。
純水透過速度は、平膜用濾過器(Amicon社製、「STIRRED ULTRAFILTRATION CELLS MODELS 8200」、透過面積:28.7cm2)を用い、温度25℃、圧力0.5kg/cm2で測定した。なお、透過側には、濾紙をスペーサーの代わりに配置し、透過側の抵抗を排除し、測定した。
JIS K 7127に準じて、万能引張試験機(オリエンテック製、「テンシロンRTA500」)を用いて測定した。
ポリエーテルスルホン系樹脂として、20重量%N−メチル−2−ピロリドン溶液の粘度が、6rpm及び23℃の条件下において、2300cps(2.3Pa・s)であるポリエーテルスルホン系樹脂(BASFジャパン製、「E6020」)を、親水性高分子として、ポリエチレングリコール200(キシダ化学(株)製、「ポリエチレングリコール200」)を、溶媒として、N−メチル−2−ピロリドンを使用した。ポリエーテルスルホン系樹脂35重量部をN−メチル−2−ピロリドン65重量部に溶解した。得られたポリエーテルスルホン系樹脂溶液に、ポリエチレングリコール200を170重量部添加し、攪拌してドープを調製した。得られたドープ(6rpm及び23℃の条件下において、粘度2100cps)をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに流延した後、相対湿度90%RH、温度30℃で5秒加湿し、30g/m2・秒の割合で水蒸気を供給し、凝固槽(水)に1分間つけ、乾燥して多孔質膜(厚み34μm)を得た。得られた膜を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。得られた膜の表面写真(図4)、裏面(PETフィルム面)写真(図5)、膜の断面写真(図6)、表面層の拡大断面写真(図7)、中間層の拡大断面写真(図8)、裏面層の拡大断面写真(図9)を示す。前記写真を用いて、粒子状に観察される部位の粒子径、空孔の孔径を測定した。結果を表1に示す。測定した平均粒子径dA〜dEの平均値は0.21μm、平均孔径φA〜φEの平均値は0.53μmであり、空孔率は、77%であった。また、得られた多孔質膜のガーレー透気度は、7秒/100ml、純水透過速度は111600L/m2・h・MPa、引張弾性率は140MPa、引張伸度は10%であった。
ポリエチレングリコール200の使用量を、170重量部に代えて、150重量部を用いる以外は実施例1と同様に多孔質膜(厚み46μm)を得た。得られた膜を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。得られた写真を用いて、粒子状に観察される部位の粒子径、空孔の孔径を測定した。結果を表1に示す。測定した平均粒子径dA〜dEの平均値は0.21μm、平均孔径φA〜φEの平均値は0.54μmであり、空孔率は、72%であった。また得られた多孔質膜のガーレー透気度は、7秒/100ml、78800L/m2・h・MPa、引張弾性率は150MPa、引張伸度は8%であった。
ポリエチレングリコール200を170重量部使用する代わりにポリビニルピロリドンを200重量部使用する以外は実施例1と同様に多孔質膜の製造を試みたが、ドープが均一に溶解できず、固化した。
ポリエチレングリコール200の使用量を、170重量部に代えて、80重量部を用いる点、加湿時間を5秒に代えて10秒にする点、25g/m2・秒の割合で水蒸気を供給して加湿する点以外は実施例1と同様に多孔質膜(厚み25μm)を得た。得られた膜を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したところ、膜の裏面は、樹脂微粒子の凝集体が形成されず、非対称膜であった。得られた写真を用いて、粒子状に観察される部位の粒子径、空孔の孔径を測定した。結果を表1に示す。得られた膜の空孔率は57%、ガーレー透気度は、53秒/100ml、純水透過速度は13300L/m2・h・MPa、引張弾性率は210MPa、引張伸度は8%であった。
ポリエーテルスルホン系樹脂の代わりに、ポリスルホン系樹脂[ソルベイアドバンスドポリマーズ社製、「ユーデル1700P」(20重量%N−メチル−2−ピロリドン溶液の粘度は200cps(0.2Pa・s))]を使用し、ポリエチレングリコール200を200重量部用いる以外は、実施例1と同様に多孔質膜の製造を試みたが、ポリスルホン系樹脂が析出し、均一なドープが得られず、ゲル化した。
ポリエーテルスルホン系樹脂として、20重量%N−メチル−2−ピロリドン溶液の粘度が、6rpm及び23℃の条件下において、2300cps(2.3Pa・s)であるポリエーテルスルホン系樹脂(BASFジャパン製、「E6020」)を、親水性高分子として、ポリエチレングリコール200(キシダ化学(株)製、「ポリエチレングリコール200」)を、溶媒として、N−メチル−2−ピロリドンを使用した。ポリエーテルスルホン系樹脂11重量部をN−メチル−2−ピロリドン23.9重量部に溶解した。得られたポリエーテルスルホン系樹脂溶液に、ポリエチレングリコール200を65.1重量部添加し、攪拌してドープを調製した。得られたドープ(6rpm及び23℃の条件下において、粘度2000cps(2Pa・s)))をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに流延した後、相対湿度75%RH、温度30℃で5秒加湿し、0.7g/m2・秒の割合で水蒸気を供給し、凝固槽(水)に1分間つけ、乾燥して多孔質膜(厚み26μm)を得た。得られた膜を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したところ、膜の裏面は、樹脂微粒子の凝集体が形成されず、非対称膜であった。得られた膜の表面写真(図10)、裏面(PETフィルム面)写真(図11)を示す。得られた写真を用いて、粒子状に観察される部位の粒子径、空孔の孔径を測定した。結果を表1に示す。得られた膜の空孔率は62%、ガーレー透気度は、22秒/100ml、純水透過速度は12200L/m2・h・MPa、引張弾性率は170MPa、引張伸度は9%であった。
表2に示す割合で、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエチレングリコール200及びN−メチル−2−ピロリドンを配合したドープをポリエーテルスルホンフィルム(PES)(住友ベークライト(株)製、「スミライト(登録商標)FS1300」、厚み50μm)に塗布し、相対湿度90%RH、温度30℃で5秒加湿し、30g/m2・秒の割合で水蒸気を供給し、凝固槽(水)に1分間つけ、乾燥して積層体(総厚み85μm)を得た。得られた積層体について、多孔質層の剥離の有無を観察し、密着性を評価した。結果を表2に示す。
実施例1で得られた多孔質膜(厚み44μm)に未硬化のシリコーン樹脂[東レ・ダウコーニング社製、2液硬化型シリコーン樹脂(主溶剤:CY−52−205、硬化剤:CY−52−205−CAT、主溶剤/硬化剤(重量比)=10/1)、引張弾性率1.82MPa、引張強度5MPa、引張伸度151%]をアプリケーター(テスター産業(株)製)で塗布して充填し、150℃で30分加熱し、前記シリコーン樹脂を硬化させた。前記シリコーン樹脂を充填した多孔質膜(機能膜)の引張弾性率、引張強度、引張伸度を測定した。結果を表3に示す。
実施例3で得られた多孔質膜に、画線部の幅(L1)が100μmである版及び印刷インク(大研化学工業(株)製、導電塗料「CA−2503」(主溶剤:ブチルカルビトールアセテート)を用いて、スクリーン印刷を行った。印刷後、100℃で30分間インクを乾燥させ、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて線幅(長さ1000μmにおける平均幅)(L2)を算出した。前記幅(L2)は96μmであり、L2/L1=0.96であった。得られた印刷物の印刷面の写真(100倍)を図12に示す。図12より明らかなように、パターン精度に優れた印刷が得られた。
実施例1で得られた多孔質膜の代わりに、ポリエーテルスルホンフィルム(住友ベークライト(株)製、「スミライト(登録商標)FS1300」、厚み50μm)を用いる以外は実施例5と同様にスクリーン印刷を行った。線幅(L2)は174μmであり、L2/L1=1.74であった。得られた印刷物の印刷面の写真(100倍)を図13に示す。図13より明らかなように、比較例6ではパターン精度に劣っていた。
γ−ブチロラクトンとイソプロパノールとの混合溶媒(γ−ブチロラクトン/イソプロパノール(重量比)=50/50)を、不織布に、前記不織布1m2あたり16gの割合で、浸み込ませ、前記不織布を実施例5で得られた印刷物に積層し、前記混合溶媒を前記印刷物に転写した後、溶媒を除去し、80℃で5分間乾燥させ、さらに150℃で5分間乾燥させた。乾燥により、多孔質層が透明になり、多孔質層の空孔の消失が確認された。多孔質層の空孔が消失された前記印刷物に、セロハンテープを貼り、剥がすセロハンテープ剥離試験を行ったところ、印刷インクがセロハンテープに付着せず、印刷インクは剥離しなかった。
実施例5で得られた印刷物に対し、多孔質層の空孔を消失させることなくセロハンテープ剥離試験を行ったところ、印刷インク、多孔質層がセロハンテープに付着した。
比較例6で得られた印刷物に対し、多孔質層の空孔を消失させることなくセロハンテープ剥離試験を行ったところ、印刷インク、多孔質層がセロハンテープに付着し、印刷インク及び多孔質層の破壊が確認された。
実施例3で得られた積層体(ポリエーテルスルホン系樹脂の多孔質膜とポリエーテルスルホン(PES)フィルムとの積層体)の多孔質膜面に、エポキシ系樹脂接着剤層とポリイミド系樹脂フィルム層とで構成されるカバーレイ[ニッカン工業(株)製、ニカフレックス CISV1225]の接着剤層を、160℃、2MPaの条件下で60分間かけて積層した。得られた積層物を目視により観察したところ、積層(又は接着)ムラは見られず、接着剤が多孔質層と溶けて透明になった。また、JIS−C−6471「180度はく離による密着性評価」に準じ、前記積層物を幅1cmの短冊状に切り出し、カバーレイと基材フィルム(ポリエーテルスルホンフィルム)とを引きはがし、密着(又は引張)強度を測定したところ、770gf/cmであった。
ポリエーテルスルホン系樹脂の多孔質膜とポリエーテルスルホンフィルム(PES)との積層体の代わりに、ポリアミドイミド系樹脂(東洋紡績製、「バイロマックスHR11NN」)の多孔質膜とポリイミド(PI)フィルム(東レ・デュポン製、「カプトン200H」)との積層体を用いる以外は実施例7と同様にカバーレイを積層した。得られた積層物を目視により観察したところ、積層(又は接着)ムラは見られず、接着剤が多孔質層と溶けて透明になった。また、密着(又は引張)強度は、740gf/cmであった。
ポリエーテルスルホン系樹脂の多孔質膜とポリエーテルスルホンフィルム(PES)との積層体の代わりに、ポリエーテルイミド系樹脂(日本GEプラスチックス(株)製、「ULTEM1000」)の多孔質膜とポリエーテルイミド(PEI)フィルム(三菱樹脂製、「スペリオUT」)との積層体を用いる以外は実施例7と同様にカバーレイを積層した。得られた積層物を目視により観察したところ、積層(又は接着)ムラは見られず、接着剤が多孔質層と溶けて透明になった。また、密着(又は引張)強度は、750gf/cmであった。
γ−ブチロラクトンとメチルエチルケトンとの混合溶媒(γ−ブチロラクトン/メチルエチルケトン(重量比)=50/50)を、不織布に、前記不織布1m2あたり16gの割合で、浸み込ませ、前記不織布を参考例4の積層体に積層し、前記混合溶媒を前記印刷物に転写し、多孔質層の空孔を消失させ、80℃で10分間乾燥させ、さらに150℃で10分間乾燥させた。次いで、実施例7と同様にカバーレイを積層した。得られた積層物を目視により観察したところ、積層(又は接着)ムラは見られなかった。また、密着(又は引張)強度は、590gf/cmであった。
2…空孔の仮想円
3…表面
4…裏面
5…表面層
6…中間層
7…裏面層
8…多孔質膜
9…被印刷部(又は被画線部)
Claims (13)
- (a)ポリエーテルスルホン系樹脂と(b)親水性高分子と(c)溶媒とを含むドープを成膜し、加湿して凝固させて、前記(b)親水性高分子及び前記(c)溶媒を除去し、前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂で構成された多孔質膜を製造する方法であって、
(a)ポリエーテルスルホン系樹脂の粘度が、20重量%N−メチル−2−ピロリドン溶液において、B型粘度計を用いて、6rpm及び23℃の条件下で測定したとき、0.5〜8Pa・sであり、(b)前記親水性高分子が数平均分子量100〜500のポリエチレングリコールであり、(c)前記溶媒がN−メチル−2−ピロリドンであり、
(b)親水性高分子100重量部に対して(a)ポリエーテルスルホン系樹脂を5〜30重量部の割合で含み、前記(b)親水性高分子と(c)溶媒とを、前者/後者(重量比)=2.3/1〜2.6/1の割合で用いるとともに、
前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂、(b)親水性高分子及び(c)溶媒が、(a)ポリエーテルスルホン系樹脂/(b)親水性高分子/(c)溶媒(重量比)=13/63/24であるドープの粘度が、B型粘度計を用いて6rpm及び23℃の条件下で測定したとき、0.5〜9Pa・sであり、
前記成膜したドープに対し、1〜1000g/m2・秒の割合で1〜10秒間水蒸気を供給して加湿し、前記(a)ポリエーテルスルホン系樹脂を凝固させて多孔質膜を製造する方法。 - ドープが、(a)ポリエーテルスルホン系樹脂と(b)親水性高分子と(c)溶媒との総量に対して、(a)ポリエーテルスルホン系樹脂を9〜16重量%の割合で含むとともに、(b)親水性高分子100重量部に対して(a)ポリエーテルスルホン系樹脂を5〜30重量部の割合で含み、前記成膜したドープに対し、5〜300g/m2・秒の割合で水蒸気を供給して加湿する請求項1記載の製造方法。
- 成膜したドープに対し、10〜50g/m2・秒の割合で水蒸気を1〜7秒間供給して加湿する請求項1又は2記載の製造方法。
- (a)ポリエーテルスルホン系樹脂の含有量が、(a)ポリエーテルスルホン系樹脂と(b)親水性高分子と(c)溶媒との総量に対して、10〜15重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- (b)親水性高分子の数平均分子量が100〜2,000である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- ドープを基材に流延して成膜し、多孔質膜を基材から分離する請求項1記載の製造方法。
- ドープを基材に塗布して成膜し、前記基材に積層した多孔質膜を製造する請求項1記載の製造方法。
- 基材がポリエーテルスルホン系樹脂で構成されている請求項7記載の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法で得られた多孔質膜。
- 空孔率が、40〜90%である請求項9記載の多孔質膜。
- さらに、多孔質膜の空孔内に充填物を含む請求項9又は10記載の多孔質膜。
- 基材と、この基材に積層された請求項9〜11のいずれかに記載の多孔質膜とで構成された積層体。
- 多孔質膜の厚みが1〜200μmであり、基材がポリエーテルスルホン系樹脂で構成されている請求項12記載の積層体。
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