以下、本発明に関連する参考例及び実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す参考例及び実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。
(第1参考例)
図1は、第1参考例に係る電子制御装置の概略構成を説明するための分解図である。図2は、コネクタを基板に実装した状態の実装部周辺の平面図である。図2においては、コネクタにおける本体部の一部を破線で示し、本体部下部にある端子や保持部材を図示している。図3は、図2のIII−III線に沿う部分断面図である。図4は、図3を基板の裏面側から見た平面図である。図5は、保持部材の概略構成を示す斜視図である。図6は、第1脚部が挿入された基板の貫通孔周辺を拡大した部分断面図である。図6,8においては、便宜上、一対の第1脚部の一方のみを図示している。図7は、製造方法を説明するための保持部材の展開図である。図8は、図7における繋ぎ部付近を拡大した図である。図9は、基板へのはんだの塗布位置を示す平面図である。図10は、貫通孔への第1脚部の挿入時を示す部分断面図である。図10においては、便宜上、基板のランドを省略して図示している。また、図3,6,10において、保持部材を平面視としている。
なお、第1参考例では、図1に示すように、基板の厚さ方向を上下方向と示し、図2に示すように、ハウジングにおける端子の配列方向(換言すれば、ハウジングの長手方向)を左右方向、上下方向及び左右方向と直交する方向(換言すれば、ハウジングの短手方向)を前後方向と示す。
第1参考例においては、主として保持部材に特徴があるが、該保持部材を有するコネクタ及び電子装置とともに保持部材について説明する。なお、第1参考例に示す電子装置は、非防水構造の電子制御装置であり、例えば車両のエンジンECU(Electric Control Unit)として用いられる。
図1に示す電子制御装置1は、要部として、基板31に電子部品32を実装してなる回路基板30と、端子51、ハウジング52、及び保持部材60を有するコネクタ50とを備えている。また上記要素以外にも、第1参考例においては、回路基板30及びコネクタ50を収容する筐体10を備えている。
筐体10は、アルミニウム、鉄等の金属材料や樹脂材料からなり、その内部に回路基板30とコネクタ50の一部とを収容するものである。筐体10の構成部材の個数は特に限定されるものではなく、1つの部材から構成されても良いし、複数の部材から構成されても良い。第1参考例においては、図1に示すように、一方が開放された箱状のケース11と、ケース11の開放面を閉塞する略矩形板状の底の浅いカバー12との2つの部材によって構成されている。そして、ケース11とカバー12とを組み付けることで、回路基板30とコネクタ50を収容する内部空間を備えた筐体10となっている。また、筐体10(ケース11)には、コネクタ50に対応したコネクタ用切り欠き部(図示略)が設けられており、回路基板30を収容するようにケース11とカバー12を組み付けた(例えば螺子締結した)状態で、回路基板30及びコネクタ50の一部(端子51における回路基板30との接続側を含む)が筐体10内に収容され、コネクタ50の残りの部分(端子51における外部コネクタとの接続側を含む)が筐体10外に露出されるようになっている。
回路基板30は、図1に示すように、電極としてのランドを含む配線、配線間を接続するビアホール等が形成されてなる基板31に、マイコン、パワートランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子部品32を実装してなるものである。第1参考例においては、電子部品32の1つとして、回路基板30と外部とを電気的に接続するコネクタ50が、基板31に実装されている。このコネクタ50が、特許請求の範囲に記載の電子部品に相当する。基板31の表面31aには、図2に示すように、左右方向だけでなく前後方向にも多段に複数のランド33が設けられており、このランド33は、該ランド33上に配置された対応する端子51の実装部と、図示しないはんだを介して接続されている。
また、基板31には、左右方向においてランド33を間に挟むように、コネクタ50の両端と両端部間の2箇所の計4箇所に貫通孔34が設けられている。そして、この貫通孔34には、図3に示すように、保持部材60の第1脚部62が挿入されている。なお、貫通孔34の断面形状は特に限定されるものではない。第1参考例では、図4に示すように、貫通孔34が、左右方向に対して前後方向の長さが長く、前後方向の直径がDとされた略楕円断面の長孔となっており、図3及び図4に示すように、1つの貫通孔34に対して一対の第1脚部72,82が挿入されている。また、図3,4,7に示すように、貫通孔34周辺には、導体箔のパターニングやメッキにより、電気的な接続機能を提供しないダミーランド35が形成されている。そして、このダミーランド35に対し、図6に示すように、はんだ36を介して、第1脚部62(72,82)が接続されている。なお、図6では、第1脚部72のみを示しているが、第1脚部82においても同様である。第1参考例では、ダミーランド35が、基板31の表面31aにおける貫通孔34の開口周囲に設けられた表面部位35a、貫通孔34の壁面に設けられた壁面部位35b、基板31の裏面31bにおける貫通孔34の開口周囲に設けられた裏面部位35c、及び基板31の内層に設けられた内層部位35dを有している。そして、図6に示すように、ダミーランド35における表面部位35aと壁面部位35b上にはんだ36が配置され、繋ぎ部74が接続されている。なお、図6では、第1脚部72のみを示しているが、第1脚部82においても同様である。そして、全ての貫通孔34に対し、上記した構成のダミーランド35が設けられている。このように、全てのダミーランド35の構造を共通化すると、ダミーランド35の形成部位における基板31の厚さの変動を少なくすることができるので、基板31に対するコネクタ50のがたつきを抑制することができる。
コネクタ50は、導電材料からなる複数の端子51を、電気絶縁性の材料(第1参考例においては樹脂)からなるハウジング52に対し、基板31の表面31aに沿って配列してなるものである。このハウジング52が、特許請求の範囲に記載の本体部に相当する。端子51は、ハウジング52の前面52aから延出された一方の端部の先端が、実装部として対応するランド33上に配置され、図示しないはんだを介して電気的に接続されている。また、ハウジング52の後面から延出された他方の端部は、筐体10外に露出されて外部コネクタと電気的に接続されるようになっている。すなわち、第1参考例では、端子51として、ランド33との実装部として表面実装部のみを有する表面実装構造の端子51を採用している。そして、このような表面実装構造の端子51として、図2に示すように、信号伝送用のシグナル端子51aと、シグナル端子51aよりも太い電力伝送用のパワー端子51bを有している。そして、これらの端子51は、基板31の表面31aに沿う平面形状が、その一方向としての左右方向に長い略矩形状のハウジング52に対して、互いに干渉しないようにそれぞれの一部が保持され、左右方向に沿って配列されている。
また、左右方向におけるハウジング52の両端部52b付近と両端部52b間の2箇所の計4箇所には、図3に示すように、前面52aから後面側に向けて、保持部材60用の溝部52cが形成されている。そして、各溝部52cに対し、前面52aから後面側に向けて保持部材60が挿入され、これにより、保持部材60がハウジング52、ひいては電子部品であるコネクタ50に固定されている。なお、第1参考例に係るハウジング52は、前後方向において2段構造となっており、図1〜図3に示す符号52dは、ハウジング52のうち、外部コネクタとの嵌合部を含む後段部、符号52eは、前面52aを含む前段部である。溝部52cは、前段部52eにおける前面52aと下面にわたって開口し、前段部52eと後段部52dにかけて延設されている。
保持部材60は、基板31の貫通孔34に挿入されて、電子部品であるコネクタ50を基板31から外れにくくするものである。すなわち、基板31の表面31a上にコネクタ50を保持するものである。この保持部材60は、図5に示すように、板厚Tの金属板を加工することで一体的に形成された基部61と第1脚部62を有している。
基部61は、保持部材60におけるハウジング52への固定部位である。第1参考例においては、基部61が、ハウジング52の前面52a側に開口する溝部52cに挿入されて固定される平板状となっている。この基部61は、図5に示すように、前後方向及び上下方向に延びるL字状部位61aと、該L字状部位61aの前後方向に延びた部位における後面側の先端からさらにハウジング52の後面側に延びた2股部位61bと、L字状部位61aの上下方向に延びた部位における基板31と対向する下面側の先端から前後両方向に延びたT字状部位61cを有している。そして、2股部位61bを先頭とし、T字状部位61cを下方として、ハウジング52の溝部52cに基部61が挿入固定されている。この固定された状態で、基部61のL字状部位61aにおける前面52a側の端面の位置は、ハウジング52の前面52aと略面一か前面52aよりもハウジング52の後面側となっている。この基部61に対し、第1脚部62が下方に(基板31側に向けて)延設されている。
第1脚部62は、コネクタ50を基板31の表面31a上に保持する機能を果たす部位であり、その一部が基板31の貫通孔34に挿入される。第1参考例においては、第1脚部62として、一対の第1脚部72,82が、基部61のT字状部位61cにおける前後方向の各端部から、同一方向(下方)に延設されている。
この第1脚部72,82のうち、一方の第1脚部72は、第1脚部72の先端側(下方先端側)に設けられ、コネクタ50が基板31に保持された状態で、基板31の裏面31bにおける貫通孔34の開口周辺上に少なくとも一部が位置する係止部73を有している。この係止部73は、保持状態で貫通孔34内に一部が配置される繋ぎ部74の一端と連結されている。また、繋ぎ部74の他端には、保持状態で基板31の表面31a上に配置されるとともに、貫通孔34への係止部73及び繋ぎ部74の挿入時において、繋ぎ部74が固定状態に対して傾いて係止部73が貫通孔34内に挿入されるように変位するばね部75が連結されている。このばね部75は、その短手方向における幅Wが金属板の板厚Tよりも広くされ、これにより板厚方向に弾性変形するようになっている。また、ばね部75は、繋ぎ部74と略同一方向に延びており、繋ぎ部74との連結端及び基部61との連結端の間の部位が変位前の状態で平板状とされ、この平板状部位の板厚方向が、変位前の状態で繋ぎ部74からの係止部73の延びた方向と略平行となっている。そして、ばね部75における繋ぎ部74との連結端と反対側の端部が、基部61と連結されている。なお、短手方向とは、平板状部位における板厚方向とは略垂直な平面において、基部61と繋ぎ部74とを繋ぐ長手方向(ばね部75の延びた方向)と略垂直な方向である。
第1参考例において、ばね部75は、その短手方向における幅Wが長手方向においてほぼ一定とされ、平板状部位が、相対する平行部75a,75bと、これら平行部75a,75bを連結し、平行部75a,75bよりも長さの長い直線部75cを有する平面略コの字状となっている。そして、平行部75aの先端が基部61のT字状部位61cにおける前側の端部と連結、平行部75bの先端が繋ぎ部74と連結され、平板状の基部61及び繋ぎ部74に対して同じ側に略90°折り曲げられている。なお、変位してもばね部75が基部61や繋ぎ部74に接しないのであれば、平行部75a,75bのない構成とすることもできる。
繋ぎ部74は、ばね部75との連結端を除く部位が係止部73と一体的な平板状とされており、該平板状部位の板厚方向が基部61における板厚方向と略平行となっている。これにより、ばね部75の板厚方向が、変位前の状態で、繋ぎ部74からの係止部73の延びた方向と略平行となるとともに、基部61における板厚方向及び繋ぎ部74における板厚方向と略垂直となっている。より詳しくは、平行部75a,75bの直線部75cから延びた長さが略等しくされ、これにより、一体的な平板状とされた繋ぎ部74及び係止部73と平板状の基部61とが、基部61の板厚方向において、少なくとも変位前の状態で同じ位置となっている。
また、繋ぎ部74は、図5に示すように、その短手方向における幅Xが金属板の板厚Tよりも広く、上記したようにその板厚方向がばね部75の板厚方向と略垂直となっている。これにより、貫通孔34への係止部73及び繋ぎ部74の挿入時において殆んど変形しないようにリジッドとなっている。また、繋ぎ部74における平板状部位は平面略L字状とされ、略L字状の繋ぎ部74の長手部位74aにおける上下方向に延びた長さは、少なくとも係止部73が基板31の裏面31b上に位置するまで、略L字状の繋ぎ部74の短手部位74b及びばね部75が、基板31の表面31aと接触しない長さとなっている。なお、繋ぎ部74の短手方向とは、平板状部位における板厚方向とは略垂直な平面において、ばね部75と係止部73とを繋ぐ長手方向(繋ぎ部74の延びた方向)と略垂直な方向である。
係止部73は、この略L字状の繋ぎ部74に対し、長手部位74aの下端から前(後)方向に延設されている。換言すれば、係止部73は、略L字状の繋ぎ部74の短手部位74bの延びた方向と略平行に延びている。この係止部73の繋ぎ部74から延びた方向は、保持状態では、図3に示すように、基板31の裏面31b(表面31a)と略平行となっている。そして、係止部73は、上下方向の幅が、繋ぎ部74との連結端側から前後方向において繋ぎ部74とは離れた角部の先端に近いほど狭い所謂楔形状となっており、少なくとも一部が、保持状態で基板31の裏面31b上に位置する(対向する)ようになっている。
また、第1参考例では、図6に示すように、楔形状の係止部73における基板31の裏面31bとの対向部分73aが、前後方向において対応する繋ぎ部74から離れるほど、保持状態で上下方向において基板31の表面31aから遠いテーパ状となっている。このような構成とすると、上下方向において、公差の範囲内で例えば保持部材60、基板31、ハウジング52などに製造ばらつきや組み付けばらつきが生じても、保持状態で、係止部73を基板31の裏面31bに係止させることができる。特に第1参考例では、繋ぎ部74の短手部位74bの基板側端面(及び平面略コの字状のばね部75における平行部75bの基板側端面)が基板31の表面31aと接触するため、短手部位74bと係止部73とにより、基板31が挟持されることとなる。したがって、対向部分73aが基板31の裏面31bと略平行とされる構成に比べて、基板31とコネクタ50とのがたつきを抑制することができる。また、同一構成の保持部材60を、異なる厚さの基板31(厚さの異なる複数種類の基板31)に対する共通部材とすることができる。
また、係止部73,83の角部が角張った形状(90°以下の角度)としても良いが、この場合、貫通孔34への第1脚部62(72,82)の挿入時において、係止部73,83が貫通孔34を突き抜ける際に、係止部73,83少なくとも一部が突き抜けつつばね部75,85の反力(復元力)で貫通孔34よりも外側へ移動する。したがって、角部が貫通孔34の壁面を傷つける恐れがある、特に第1参考例に示すように、貫通孔の壁面にメッキからなるダミーランド35(壁面部位35b)が設けられた構成においては、壁面部位35bが削り取られる恐れがある。そこで、第1参考例では、図6に示すように、前後方向において、係止部73のうち、保持状態で貫通孔34から最も離れた位置となる角部73bが丸みを帯びた形状となっている。このような構成とすると、貫通孔34の壁面にかかる圧力が小さくなり、角部73bによる貫通孔壁面のダメージを抑制することができる。なお、丸みを帯びた形状以外にも、90°よりも大きい角を複数繋いでなる多角形状の係止部73,83を採用しても、同様の効果を期待することができる。なお、図6では、係止部73のみを例示しているが、係止部83についても同様の構成となっている。さらには、係止部73,83における角部の基板表面31aに沿う外周形状を弧状とすることによっても、貫通孔壁面のダメージを抑制することができる。また、繋ぎ部74,84が貫通孔壁面に接する場合には、繋ぎ部74,84における貫通孔壁面と対向する端面を弧状としても良い。
一方、第1脚部82は、基部61から第1脚部72と同一方向に延び、第1脚部72同様、係止部83、繋ぎ部84、及びばね部85を有している。そして、基部61からの第1脚部62(72,82)の延びた方向において、第1脚部72と線対称の形状となっている。したがって、第1脚部82の詳細な説明は割愛する。
また、第1参考例において、一対の第1脚部72,82における係止部73,83は、対応する繋ぎ部74,84から延びた方向が、互いに反対方向となっている。詳しくは、図4に示すように、前後方向に長い断面略楕円状の貫通孔34に対し、貫通孔34の長手方向(前後方向)の一端側の基板31の裏面31b上に係止部73が位置し、他端側の基板31の裏面31b上に係止部83が位置するようになっている。また、一対の第1脚部72,82において、繋ぎ部74,84の短手方向の幅Xが、係止部73,83が係止する前後方向の貫通孔34の幅(内径)Dの半分の長さよりも短い長さであって、第1脚部72,82を貫通孔34内に挿入する際に、互いに接触しない程度の長さとなっている。また、図3に示すように、ばね部75,85が変位されない状態における繋ぎ部74,84の外側部位間の幅Pが、貫通孔34の幅Dよりも短い長さとなっている。すなわち、係止部73,83の一部が基板31の裏面31b上に位置する状態で、繋ぎ部74,84が貫通孔34の壁面と接触せず、繋ぎ部74,84の外側部位と対向する壁面との間に隙間を有するようになっている。
また、第1参考例では、図2に示すように、計4個の保持部材60がコネクタ50のハウジング52に固定されており、左右方向におけるハウジング52の中心に対して左側に2個、右側に2個の対称配置となっている。そして、各保持部材60は、ハウジング52における長手方向の端部52bにおいて、基部61の板厚方向がハウジング52の長手方向と略平行となるように配置され、基部61に対するばね部75,85の折曲方向が、ハウジング52における近い側の端部52b外側となっている。
このような保持部材60は、厚さTを有する平板状の金属板を打ち抜き、部分的に曲げ加工することで形成することができる。詳しくは、平板状の金属板を、図7に示す形状に先ず打ち抜く。この段階で、ばね部75,85、繋ぎ部74,84、及び係止部73,83は、基部61と同一の平面に構成されている。この平板状の保持部材60に対し、ばね部75の平板状部位において、直線部75cからの各平行部75a,75bの長さが略等しくなるように、図7に示す直線状の破線を曲げ位置として、ばね部75を基部61、繋ぎ部74、及び係止部73に対して同じ側に略90°折り曲げる。また、ばね部85の平板状部位において、直線部85cからの各平行部85a,85bの長さが略等しくなるように、図7に示す直線状の破線を曲げ位置として、ばね部85を基部61、繋ぎ部84、及び係止部83に対して、ばね部75と近づく側(例えばともに紙面手前側)に略90°折り曲げる。なお、第1参考例では、2つのばね部75,85の長さが略等しくなっている。このように、1つの金属板を所定形状に打ち抜き、各ばね部75,85の曲げ加工を施すことにより、図5に示す保持部材60を形成することができる。このように第1参考例では、係止部73,83が、曲げ加工せずに打ち抜き加工のみによって形成されている。
なお、金属部材を曲げ加工すると、曲げ部位に凸部が形成されることとなる。したがって、第1参考例では、図8に例示すように、金属板を打ち抜く時点で、繋ぎ部74の短手部位74bとばね部75の平行部75b連結部位における基板31側の部分に、凹部76を予め形成するようにしている。これにより、ばね部75を折り曲げた際に、上記連結部位において凸部が生じるのを抑制することができる。そして、基板31の表面31a上に、繋ぎ部74の短手部位74bにおける基板側端面を略平行に配置することができる。なお、図8では、第1脚部72側のみを例示しているが、第1脚部82についても同様の構成となっている。
次に、保持部材60による、基板31上へのコネクタ50の保持方法について説明する。第1参考例においては、端子51として、基板31の表面31aに形成されたランド33と接続される表面実装構造の端子を使用しており、端子51とともに保持部材60もリフローはんだ付けされる。このように、端子51とともに保持部材60をリフロー実装すると、保持部材60を基板31に対して強固に固定することができるとともに、他の電子部品と実装工程を共通化して製造工程を簡素化することができる。
先ず、上記した保持部材60の基部61を、コネクタ50のハウジング52に設けた溝部52cに挿入して固定する。そして、保持部材60の固定されたコネクタ50を基板31上に搭載する前に、ランド33とダミーランド35上とに、スクリーン印刷などによりはんだペーストを塗布する。ここで、予め、貫通孔34内(ダミーランド35の壁面部位35b上)にはんだペーストが配置されると、第1脚部62(72,82)の挿入時に、貫通孔34内のはんだペーストが裏面31b側まで押されて、はんだペーストが落下する恐れがある。また、ばね部75,85の反力で係止部73,83が基板31の裏面31bにおける貫通孔34の周辺に位置する際に、はんだペーストを弾き飛ばす恐れがある。そして、これらにより、リフロー炉が汚染される恐れがある。そこで、はんだペーストは、ダミーランド35において、表面部位35a上のみに配置される、より好ましくは表面部位35aにおける貫通孔34から離れた部位のみに配置されると良い。第1参考例では、図9に示すように、はんだペースト36aが、ダミーランド35の表面部位35a上であって貫通孔34から離れた部位のみに配置している。
そして、図10に示すように、基板31の表面31a側から裏面31b側の方向(図中の白抜き矢印方向)に、係止部73,83側から貫通孔34に保持部材60を挿入する。ここで、係止部73,84は、挿入前の状態で、角部の先端間の距離が貫通孔34の幅Dよりも長い長さとなっている。しかしながら、係止部73,83は楔形状となっており、ばね部75,85はその板厚方向に弾性変形可能となっている。したがって、図10に示す白抜き矢印方向に保持部材60(コネクタ50)を押し込み、係止部73,83が基板31に接触すると、楔状の係止部73,83が、その傾斜に沿って貫通孔34の内側へ移動するように、ばね部75,85が基部61との連結部位側を支点として変位(弾性変形)する。詳しくは、図10に示すように、平板状のばね部75,85において、少なくともばね部75,85の下方部位である繋ぎ部74,84との連結部位側が、ばね部75,85の板厚方向であってばね部75,85が互いに近づく側、換言すれば、基板31の表面31aに沿う貫通孔34の長手方向内側に変位する。このばね部75,85の変位により、楔状の係止部73,83が貫通孔34内に挿入される。また、繋ぎ部74,84自体は、その板厚方向がばね部75,85の板厚方向と略垂直となっているため弾性変形を殆んどせず、固定状態(又は挿入前の状態)に対して傾いた状態となる。すなわち、ばね部75,85は、繋ぎ部74,84が傾いて係止部73,83が貫通孔34内に挿入されるように変位する。なお、図10に示す一点鎖線は、比較として、変位されない状態のばね部75、85を示している。
そして、ばね部75,85の弾性変形による反力(復元力)によって貫通孔34の壁面(ダミーランド35の壁面部位35b)に係止部73,83の角部を接触させつつ保持部材60(コネクタ50)をさらに押し込むと、係止部73,83が貫通孔34を通り抜ける。そして、ばね部75,85の反力により、図3及び図4に示すように、係止部73,83の少なくとも一部が、基板31の裏面31bであって貫通孔34の開口周辺上に位置することとなる。また、繋ぎ部74,84の短手部位74b,84b及び平面略コの字状のばね部75,85における平行部75b,85bの基板側端面が、はんだペーストを介して、基板31の表面31aにおけるダミーランド35の表面部位35a上に積層配置された状態となる。また、各端子51の実装部も、はんだペーストを介して基板31の表面31aにおけるランド33上に積層配置された状態となる。
この状態で、リフローを実施する。これにより、溶融されたはんだが、金属材料からなる繋ぎ部74,84やダミーランド35の表面を、繋ぎ部74,84の長手部位74a,84aと貫通孔34の壁面(ダミーランド35の壁面部位35b)との間や、短手部位74b,84bや平行部75b,85bとダミーランド35の表面部位35aとの間に作用する毛細管現象などによって濡れ広がる。このようにして、第1参考例では、図6に示すように、保持部材60も貫通孔34の壁面及び開口周辺に形成されたダミーランド35と、はんだ36を介して接続されている。
次に、第1参考例に示した保持部材60、該保持部材60を有するコネクタ50、及び該コネクタ50を有する電子制御装置1の特徴部分の効果について説明する。先ず、保持部材60が、同一の金属板を加工してなる基部61と第1脚部62(72,82)を有し、第1脚部62が、貫通孔34を通り抜け、固定状態で基板31の裏面31bにおける開口周辺上に位置する係止部73,83を有している。また、繋ぎ部74,84を介して係止部73,83と連結されたばね部75,85の変位により、係止部73,83は貫通孔34を通り抜け、基板31の裏面31b上に位置される。この係止部73,83は、第1脚部62を貫通孔34から引き抜こうとする外力(基板31からコネクタ50を外そうとする外力)が作用した際に基板31の裏面31bに係止する。したがって、従来よりも、引っ張りに対する耐力が向上されており、これにより、基板31に対するコネクタ50の保持強度を向上することができる。すなわち、少なくとも端子51のはんだ付け前の状態で、従来よりもコネクタ50を基板31から外れにくくすることができる。
また、第1参考例では、第1脚部62(72,82)において、基板31に係止する係止部73,83とばね部75,85とが互いに異なる位置に構成されており、ばね部75,85が貫通孔34内に挿入されないようになっている。すなわち、ばね部75,85は、それ自体がその変形による反力で基板31に係止するのではなく、係止部73,83(及び繋ぎ部74,84)を貫通孔34内に挿入させ、係止部73,83が貫通孔34を通り抜けた際には係止部73,83を基板31の裏面上に位置させることのできる程度のばね性を有している。換言すれば、係止部73,83(及び繋ぎ部74,84)を貫通孔34内に挿入させる際に、係止部73,83の角部が貫通孔34の壁面に強く当たるようなばね性は必要とせず、これにより、貫通孔34に対する係止部73,83(及び繋ぎ部74,84)の挿入力を低減することができる。したがって、従来のように、貫通孔の壁面にばね部自体が係止する構成に比べて、貫通孔34の壁面(ダミーランド35における壁面部位35b)の損傷を低減することができる。また、ばね部75,85の設計自由度を向上することもできる。
また、第1参考例では、ばね部75,85の短手方向における幅Wが金属板の板厚Tよりも広くされ、これにより、ばね部75,85がその板厚方向に変位するようになっている。そして、ばね部75,85は、繋ぎ部74,84と略同一方向に延び、繋ぎ部74,84との連結端及び基部61との連結端の間の部位が変位前の状態で平面略コの字状の平板とされ、この平板状部位の板厚方向が変位前の状態で繋ぎ部74,84からの係止部73,83の延びた方向と略平行となっている。換言すれば、ばね部75,85は、基部61側から基板31の表面31a側に向けて延び、平板状部位の板厚方向が、変位前の状態で基板31の表面31aと略平行となっている。これにより、ばね部75,85は、係止部73,83の繋ぎ部74,84から延びた方向と略平行に変位、換言すれば、この保持部材60によりコネクタ50が取り付けられる基板31に対し、上下方向ではなく、主として上下方向に略垂直な方向(基板表面31aに沿う方向)に変位するようになっている。これにより、主として上下方向にばね部が変位する構造よりも、上下方向において、基板31に対するコネクタ50の位置精度を向上することができる。したがって、第1参考例に示した構成の保持部材60は、特に表面実装構造の端子51を有するコネクタ50のように、基板31の厚さ方向における位置精度が要求される電子部品に好適である。なお、表面実装構造の端子51としては、上記した表面実装部のみを有する端子だけでなく、基板の貫通孔に挿入される挿入実装部と表面実装部とを併せ持つ分岐状端子を採用することもできる。
また、第1参考例では、保持部材60における折曲箇所が、基部61とばね部75,85との連結部位と、ばね部75,85と繋ぎ部74,84の連結部位だけとなっており、各折曲箇所では基板31の厚さ方向に折り曲げてはいない。したがって、折曲箇所を低減して保持部材60の構造を簡素化しつつ、基板31の厚さ方向において、基板31に対するコネクタ50の位置精度を向上することができる。また、基板31の厚さ方向への曲げがないので、上下方向の応力(例えば貫通孔34から保持部材60を引き抜こうとする力)に対する耐力を向上することができる。
また、第1参考例では、係止部73,83を繋ぎ部74,84と一体的な平板状としており、打ち抜き加工のみによって係止部73,83を形成している。したがって、係止部73,83が曲げ加工によって形成された(折曲箇所として繋ぎ部74,84と係止部73,83との連結部位を含む)構成に比べて、変形や破損に対して係止部73,83の耐力を向上することができる。これにより、基板31に対するコネクタ50の保持強度をさらに向上することができる。
また、第1参考例では、保持部材60が、基部61から同一方向に延設された互いに対向する一対の第1脚部62(72,82)を有し、各第1脚部72,82における係止部73,83は、対応する繋ぎ部74,84からの延設方向が、互いに反対方向となっている。このように、1つの基部61から複数の第1脚部62が延設された構成とすると、基部61から1本の第1脚部62のみが延設された構成に比べて、基板31に対するコネクタ50の保持強度を向上することができる。また、対をなす係止部73,83が互いに異なる方向に延びているので、対をなす係止部73,83が互いに同一方向に延びた構成に比べて、基板31に対するがたつきを低減することができる。これにより、係止部73,83を基板31の裏面31bから外れにくくすることができる。特に第1参考例においては、対をなす係止部73,83が互いに反対方向に延びているので、がたつきを効果的に低減することができる。さらには、係止部73,83が、前後方向に沿って延びているので、前後方向よりも左右方向、すなわちコネクタ50におけるハウジング52の長手方向への自由度が大きい。したがって、端子51のリフロー実装時の温度変化により、ハウジング52と基板31との間に線膨張係数差に基づく応力が生じても、左右方向へのクリアランスが前後方向よりも大きいので、端子51と対応するランド33との接合部に作用する応力や保持部材60に作用する応力を抑制することができる。
また、第1参考例では、基部61の板厚方向において、各係止部73,83の位置が、少なくとも変位前の状態で基部61と同じ位置となっている。換言すれば、ばね部75における平板状部分が平面略コの字状とされ、平行部75a,75bの長さが略等しくなっている。同様に、ばね部85における平板状部分が平面略コの字状とされ、平行部85a,85bの長さが略等しくなっている。すなわち、一対の第1脚部72,82において、少なくとも係止部73,83を除く部位が互いに対称的な構造となっている。したがって、第1脚部72,82の構成を簡素化し、精度良く形成することができる。また、基部61とばね部75との連結部位、及び、ばね部75と繋ぎ部74と連結部位を同時に折曲することができ、基部61とばね部85との連結部位、及び、ばね部85と繋ぎ部84と連結部位を同時に折曲することができるので、折曲工数を削減することも可能である。
また、第1参考例においては、保持部材60の第1脚部72,82が挿入される貫通孔34が一方向に長い長孔となっており、各第1脚部72,82における係止部73,83が、貫通孔34の長手方向に沿って繋ぎ部74,84から延び、且つ、繋ぎ部74,84からの延設方向が互いに反対方向となっている。そして、係止部73,83が、基板31の裏面31bにおける貫通孔34の長手側の開口周辺上に位置するようになっている。このように、貫通孔34を長孔とすると、断面積が同じ円形の貫通孔と比べて、挿入時における繋ぎ部74,84の傾きを大きくとることができる。すなわち、ばね部75,85の反力を小さくし、貫通孔34に対する係止部73,83(及び繋ぎ部74,84)の挿入力を低減することができる。したがって、貫通孔34に係止部73,83及び繋ぎ部74,84を挿入する際に、貫通孔34の壁面の損傷を低減することができる。また、第1参考例では、貫通孔34の長手方向を、コネクタ50のハウジング52の短手方向(前後方向)と略平行としている。したがって、基板31における配線の配置自由度を向上することもできる。
また、第1参考例では、保持部材60が、ハウジング52における長手方向の端部52bにおいて、基部61の板厚方向がハウジング52の長手方向と略平行となるように配置され、基部61に対するばね部75,85の折曲方向が、ハウジング52における近い側の端部52b外側となっている。換言すれば、ハウジング52に対して長手方向外側となっている。これによれば、上下方向において、端子51におけるランド33との実装部を基準として、基部61よりも実装部に近い位置となるばね部75,85が、左右方向において基部61よりも長手方向外側となる。したがって、樹脂の射出成形により形成されるハウジング52の、金型からの抜き勾配を考慮すると、ハウジング52の長手方向、すなわち左右方向におけるコネクタ50の体格を小型化することができる。
なお、第1参考例では、基板31における貫通孔34の周辺にダミーランド35が設けられ、はんだ36を介して第1脚部62(72,82)がダミーランド35と接続される例を示した。しかしながら、第1脚部62(72,82)がダミーランド35と接続されない構成(はんだ付けされない構成)としても良い。例えば上記した形態では、係止部73(83)の対向部位73aがテーパ状となっており、繋ぎ部74の短手部位74bの基板側端面が平滑とされ、基板31の表面31aと略平行となっている。したがって、係止部73,83と繋ぎ部74,84との間で基板31を挟持した状態となり、これにより基板31に対するコネクタ50のがたつきを抑制するとともに、基板31に対するコネクタ50の保持強度を向上することができる。
また、第1参考例では、基部61とばね部75との連結部位での折曲、ばね部75と繋ぎ部74との連結部位での折曲が、ともに同一側に略90°である例を示した。同様に、基部61とばね部85との連結部位での折曲、ばね部85と繋ぎ部84との連結部位での折曲が、ともに同一側に略90°である例を示した。しかしながら、各連結部位での折曲角度は上記例に限定されるものではない。例えば互いに反対方向に曲げても良いし、曲げ角度を90°とは異なる角度としても良い。ただし、基部61とばね部75との連結部位とばね部75と繋ぎ部74との連結部位での折曲を、同一側にほぼ同じ角度とすると、両連結部位の折曲を同時に実施することができる。
また、第1参考例では、前面52a側に開口する溝部52cがコネクタ50のハウジング52に設けられ、この溝部52cに対しハウジング52の前面52a側から保持部材60の基部61を挿入することで、コネクタ50の保持部材60が固定される例を示した。しかしながら、保持部材60の固定構造は上記例に限定されるものではない。例えば、図11(a),(b)に示すように、左右方向におけるハウジング52の端部52bに、縦スリット状の溝を有する固定部52fが形成され、この固定部52fの溝に対し、上方から保持部材60における基部61が挿入固定される構成としても良い。図11は、コネクタに対する保持部材の固定構造の変形例を示す図であり、(a)は左右方向外側から見た平面図、(b)は前後方向においてハウジング前面側から見た平面図である。
また、第1参考例では、図12(a)に示すように、基部61の板厚方向において、基部61に対して一面側のみにばね部75,85が突出されている例を示した。しかしながら、図12(b)に示すように、基部61の板厚方向において、基部61の両表面側にばね部75,85が突出された構成としても良い。これによれば、ばね部75,85の長さが同じ場合に、基部61の板厚方向(第1参考例では、左右方向)における保持部材60の体格を小型化することができる。図12は、保持部材を係止部側から見た平面図であり、(a)は、比較対象として示す第1参考例の保持部材、(b)は変形例である。
また、第1参考例では、図7に示したように、係止部73,83と繋ぎ部74,84が一体的な平板状とされ、この平板状部位が、基部61の板厚方向において、基部61と同じ位置となっている例を示した。換言すれば、基部61に対するばね部75の曲げ位置と、繋ぎ部74に対するばね部75の曲げ位置が図7に破線63で示す一直線状となっており、基部61に対するばね部85の曲げ位置と、繋ぎ部84に対するばね部85の曲げ位置が図7に破線64で示す一直線状となっている例を示した。しかしながら、図13(a),(b)に示すように、各係止部73,83が、基部61の板厚方向において、少なくとも変位前の状態で互いに板厚差以上ずれた位置となっている構成としても良い。このような構成とするには、図13(a)に示すように、基部61に対するばね部75の曲げ位置65a(破線)と、繋ぎ部74に対するばね部75の曲げ位置65b(破線)が一直線状とならずにずれており、基部61に対するばね部85の曲げ位置66a(破線)と、繋ぎ部84に対するばね部85の曲げ位置66b(破線)も一直線状とならずにずれた構成とすればよい。これによれば、図13(b)に示すように、基部61の板厚方向において、少なくとも変位前の状態で互いに板厚差以上ずれた位置となっているので、貫通孔34への挿入時において、係止部73,83同士や繋ぎ部74,84同士の接触を防ぐことができる。なお、図13に示す例では、2つのばね部75,85の長さはほぼ同じ長さとなっている。図13は、ばね部の変形例を示す図であり、(a)は展開図、(b)は係止部側から見た平面図である。
(第2参考例)
次に、第2参考例を、図14に基づいて説明する。図14は、第2参考例に係る保持部材の概略構成を示す展開図である。
第2参考例に係る保持部材、該保持部材を有するコネクタ、及び該コネクタを有する電子制御装置は、第1参考例に示したものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1参考例に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
第1参考例においては、ばね部75,85の平板状部位における短手方向の幅Wが、長手方向に沿ってほぼ一定であり、平板状部位の平面形状が略コの字状である例を示した。しかしながら、ばね部75,85の形態は上記例に限定されるものではない。例えば図14に示す例では、平面略コの字状でありながら、平板状部位における短手方向の幅Wが、板厚Tよりも厚いものの長手方向に沿ってほぼ一定ではなく、基部61との連結部位側ほど広く、繋ぎ部74,84との連結部位側ほど狭くなっている。例えば図14に示す例では、ばね部75において、基部61に近い側の幅W1が繋ぎ部74に近い側の幅W2よりも広くなっている。
ここで、係止部73,83を基板31の貫通孔34に挿入する際に、ばね部75,85に作用する応力は、係止部73,83から離れた位置、すなわち、基部61との連結部位に近いほど大きくなる。これに対し、第2参考例に示す構成によれば、基部61に近い側ほど剛性が高いので、ばね部75,85全体で応力を分散してばね部75,85における基部61との連結部位側に応力が集中するのを抑制することができる。
なお、それ以外にも、図15〜17に示す形態のばね部75,85を採用することもできる。図15〜17は、ばね部の変形例を示す展開図である。図15に示す例では、ばね部75,85における基部61との連結部位から、平行部75a,85a、直線部5c,85cにおける平行部75a,85aとの連結端にかけて、その外形(図中の破線で囲んだ部分)が丸みを帯びた形状となっている。これによれば、角張った形状(90°以下の角度)に比べて、応力が集中しやすい基部61との連結部位での応力集中を抑制することができる。なお、外形を90°よりも大きい角を複数繋いでなる多角形状としても同様の効果を期待することができる。
図16に示す例では、ばね部75,85における平板状部位の平面形状が略コの字状ではなく、直線部75c,85cに相当する、平行部75a,75b同士、平行部85a,85b同士を繋ぐ繋ぎ部75d,85dが、上下方向に対して傾くことで迂回して平行部75a,75b同士、平行部85a,85b同士を繋いでいる。また、図17に示す例では、端面同士が隣接する折り返し部75e,85eを有する形状となっている。図16,17に示す構成では、上下方向においてばね部75,85の高さが同じでも、略コの字状に比べて、ばね長を長くしてばね力を弱くすることができる。この場合、印加力が同じであれば、ばね部75,85の変位量(ストローク)が大きくなるため、係止部73,83の長さを長くすることができる。すなわち、係止部73,83による係止状態を解除しにくくし、貫通孔34からの第1脚部62(72,82)の抜け(基板31からのコネクタ50の抜け)を抑制することができる。
(第3参考例)
次に、第3参考例を、図18に基づいて説明する。図18は、第3参考例に係る電子制御装置において、係止部とランドとの位置関係を示す模式的な斜視図である。図18においては、便宜上、特徴的な部分のみを抽出して図示している。
第3参考例に係る保持部材、該保持部材を有するコネクタ、及び該コネクタを有する電子制御装置は、上記参考例に示したものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記した各参考例に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
上記した各参考例においては、一対の第1脚部72,82における係止部73,83と端子51の実装部との位置関係、換言すれば、係止部73,83とランド33との位置関係については特に言及しなかった。これに対し、第3参考例では、図18に示すように、ランド33が左右方向だけでなく、前後方向にも多段(図18では3段)に配置された構成であって、前後方向において、係止部73,83の間に多段のランド33全てが配置されている。詳しくは、図18に破線で示すように、前後方向において、係止部73,83間の角部頂点間の距離が、第1脚部82に近い側の1段目のランド33における後端と、第1脚部72に近い側の3段目のランド33の前端との間の距離よりも長くなっている。換言すれば、図18に示すように、端子51の実装部が、ランド33に対応して左右方向だけでなく、前後方向にも多段(図18では3段)に配置された構成であって、前後方向において、係止部73,83の間に多段の実装部全てが配置されている。詳しくは、図18に一点鎖線で示すように、前後方向において、係止部73,83間の角部頂点間の距離が、第1脚部82に近い側の1段目の端子51の実装部における後端と、第1脚部72に近い側の3段目の端子51の実装部の前端との間の距離よりも長くなっている。
このような構成とすると、保持部材60により、コネクタ50を基板31に取り付けた状態(保持状態)で、前後方向にコネクタ50が傾こうとするような外部応力がコネクタ50(ハウジング52)に作用しても、前後方向において端子51の実装部よりも外側にある第1脚部72,82に先ず応力が作用する。したがって、端子51と対応するランド33との接続部における接続信頼性を向上することができる。
また、一対の第1脚部72,82の寸法、及び、基板31の厚さの少なくとも一方を要因として、上下方向において基板31に対し一対の第1脚部72,82でがたつきが生じた場合、係止部73,83間の距離が長いほど、基板31に対するコネクタ50の傾きが小さくなる。上記した構成では、前後方向において、係止部73,83の間に多段のランド33全て、換言すれば多段の実装部全てが配置されており、これにより、係止部73,83間の間隔が確保されている。したがって、前後方向において係止部73,83の間の外側にランド33や端子51の実装部が位置する構成に比べて、コネクタ50の傾きを低減することができる。
また、第3参考例では、一対の第1脚部72,82が、基板31における異なる位置の貫通孔34a,34bにそれぞれ挿入されている。このような構成とすると、1つの貫通孔34に一対の第1脚部72,82がともに挿入される構成に比べて、貫通孔34に対する第1脚部72,82(繋ぎ部74,84)の遊びが小さいため、基板31に対するコネクタ50のがたつきを抑制することができる。また、係止部73,83の係止状態を解除しにくくすることができる。なお、一対の第1脚部72,82が、基板31における異なる位置の貫通孔34a,34bにそれぞれ挿入される構成については、上記各参考例に適用することもできる。また、第3参考例において、一対の第1脚部72,82が、基板31における1つの貫通孔34に挿入された構成とすることもできる。ただし、この場合、前後方向における貫通孔34の長さが長くなるため、係止部73,83が基板31の裏面31bから解除されやすくなる。
(実施形態)
次に、本発明の実施形態を、図19及び図20に基づいて説明する。図19は、実施形態に係る保持部材を、基板に取り付けた状態を示す平面図である。図19においては、便宜上、コネクタ50を省略して図示している。図20は、(a),(b)ともに、脚部とダミーランド上に塗布されたはんだとの位置関係を示す模式的な平面図である。図20では、便宜上、保持部材のうち、基部と、第1脚部のばね部における基部側の平行部を省略して図示している。
実施形態に係る保持部材、該保持部材を有するコネクタ、及び該コネクタを有する電子制御装置は、上記各参考例に示したものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記各参考例に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
上記した参考例においては、保持部材60が、基部61から延設された脚部として、一対の第1脚部62(72,82)のみを有する例を示した。これに対し、本実施形態においては、保持部材60が、図19に示すように、基部61から第1脚部72,82と同一方向に延びて一対の第1脚部72,82の間に配置され、基板31における第1脚部72,82とは別の貫通孔37に挿入される第2脚部92をさらに備えている。そして、第2脚部92は、同一の金属板を加工することで基部61及び第1脚部72,82と一体的に形成されており、その短手方向における幅が金属板の板厚Tよりも広く、基部61から延びてその先端側が貫通孔37に挿入される平板状の部位を有し、この平板状部位における板厚方向が、基部61における板厚方向と略平行となっている。したがって、ばね部75,85の板厚方向(本実施形態では前後方向)に外部応力が印加されたとしても、ばね部75,85の板厚方向、すなわち、ばね部75,85の変位方向に対して第2脚部92には変形しがたいので、貫通孔34a,34bとは別の貫通孔37内に挿入された第2脚部92により、保持部材60のがたつきを抑制することができる。なお、第2脚部92の短手方向とは、平板状部位における板厚方向とは略垂直な平面において、基部61からの延びた方向(長手方向)と略垂直な方向である。
また、図19に示す例では、第2脚部92における平板状部位の先端位置が、係止部73,83の先端位置よりも、基部61から離れた位置となっている。したがって、第1脚部72,82を対応する貫通孔34a,34bに挿入する前に、第2脚部92を対応する貫通孔37へ挿入することができるので、この位置決め効果により、一対の第1脚部72,82を対応する貫通孔34a,34bへそれぞれ容易に挿入することが可能となる。
また、図19に示す例では、第2脚部92の平板状部位として、先端から所定範囲の部位であって少なくとも一部が貫通孔37に挿入される挿入部93と、該挿入部93と基部61とを連結し、挿入部93よりも幅が広い保持部94を有している。そして、上下方向において、保持部94における挿入部93側の端面の位置が、繋ぎ部74,84の短手部位74b,84bにおける基板表面31aとの対向面と略一致されている。このような構成とすると、挿入部93を貫通孔37に挿入し、係止部73,83が基板裏面31bにおける貫通孔34a,34bの周辺部位上に位置した状態で、保持部94における挿入部93側の端面を基板31の表面31aに当接させることができる。したがって、基板31に対するコネクタ50のがたつきを低減することができる。
なお、上記した第2脚部92についても、その一部を貫通孔37の周辺に設けたダミーランドにはんだ付けすることで、基板31に対するコネクタ50の保持強度をさらに向上することができる。例えば図20(a)に示す例では、保持部94の端面を基板表面31aに設けた対応するダミーランド38にはんだ付けすることで、基板31に対するコネクタ50の保持強度をさらに向上するようにしている。詳しくは、ダミーランド38も、上記したダミーランド35と同様の構成となっており、ダミーランド38における基板表面31aの部位のみに、はんだペースト36aが配置されている。そして、はんだペースト36aが、ダミーランド38の表面部位上であって貫通孔37から離れた部位のみに配置されている。したがって、上記したダミーランド35同様、はんだペースト36aによるリフロー炉の汚染を抑制することができる。また、第2脚部92にも対応するダミーランド38に対してリフロー実装することができるので、第1脚部72,82や端子51、他の電子部品と一括ではんだ付けすることができる。
また、上記した例では、保持部94が平板状である例を示した。しかしながら、図19に示す保持部94の一部が折曲されて、図20(b)に示すように、前後方向において、挿入部93と一体的な平板状の部位94aと、部位94aに対して折曲された折曲部位94bを有する平面略桶状とされた構成や、平面略コの字状とされた構成を採用することもできる。これらの構成を採用すると、はんだペースト36aと保持部94との接触面積を増やすことができる。
また、図20に示す例では、第1脚部72,82とはんだペースト36a、第2脚部92とはんだペースト36aと接触面積を確保しつつダミーランド35(表面部位35a),38の面積を抑制すべく、貫通孔34,37を、対応するダミーランド35(表面部位35a),38の端部としている。しかしながら、ダミーランド35,38に対する貫通孔34,37の位置は、上記例に限定されるものではない。例えば、ダミーランド35,38の中央に貫通孔34,37が設けられた構成としても良い。また、図20(a),(b)では、貫通孔34a,34bを繋ぐ直線上に貫通孔37が配置されているが、貫通孔37の位置をずらして、貫通孔34a,34bを1つの長孔としても良い。
(第4参考例)
次に、第4参考例を、図21及び図22に基づいて説明する。図21は、第4参考例に係るコネクタの概略構成を示す部分断面図である。図21は、図2のIII−III線に沿った断面図であり、保持部材を平面視としている。図22は、図21に示すコネクタの効果を示す模式的な部分断面図であり、(a)は比較例、(b)は図21に示すコネクタによる図である。なお、図22においても、保持部材を平面視としている。
第4参考例に係る保持部材、該保持部材を有するコネクタ、及び該コネクタを有する電子制御装置は、上記した各参考例及び実施形態に示したものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記した各参考例及び実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
端子51として、上記各参考例及び実施形態で示したように表面実装構造の端子を採用し、且つ、繋ぎ部74,84の一部(短手部位74b,84b)が基板31の表面31a上に配置される構成の場合、上下方向において、繋ぎ部74,84の一部(短手部位74b,84b)における基板表面31aとの対向面と、端子51の表面実装部の底面との位置が、略一致することが好ましい。しかしながら、製造ばらつきや組み付けばらつきにより、上下方向において、複数の表面実装構造の端子51における表面実装部の位置は、多少なりともばらつきが生じる。すなわち、公差の範囲内で表面実装部の位置がばらつく。また、保持部材60により、コネクタ50を基板31に組み付けた状態で、第1脚部72,82の係止部73,83と基板31の裏面31bとの隙間には多少なりともばらつきが生じる。すなわち、公差の範囲内で基板裏面31bに対して係止部73,83の位置がばらつく。このように、端子51の表面実装部と係止部73,83には位置ばらつきがあるため、基板31に対してコネクタ50にがたつきが生じることとなる。例えば基板31の表面31a、換言すれば、繋ぎ部74,84における基板表面31aとの接触部位(74b,84b)の接触面を位置基準とすると、上下方向において、係止部73,83と基板31の裏面31bとの隙間は、図22(a)に示すように、交差αの範囲の範囲内でばらつくこととなる。また、端子51の表面実装部における底面51cの位置は、図22(a)に示すように、基準位置から上方に公差分βの範囲内でばらつくこととなる。この場合、基板31に対するコネクタ50のがたつき幅がα+βとなる。したがって、端子51の表面実装部が対応するランド33とはんだ36を介して接続されないことも考えられる。
これに対し、第4参考例では、端子51のばね性を利用することで、基板31に対するコネクタ50のがたつき幅を低減するようにしている。具体的には、図21に示すように、上下方向において、表面実装構造の端子51における表面実装部の底面51cが、基板31の表面31a上に配置される繋ぎ部74,84の一部(短手部位74b,84b)の端面の位置よりも、係止部73,83側に位置している。なお、上下方向における繋ぎ部74,84の短手部位74b、84bの端面と端子51の底面51cとの間隔は、基板31に実装した際に、端子51が自身のばね性(弾性変形)で吸収できる範囲内で設定されている。
したがって、図21に示すコネクタ50を基板31に取り付ける場合、端子51によっては、表面実装部が基板表面31aに接触することとなるが、自信のばね性により端子51が変形してコネクタ50をさらに基板31側に近づけることができる。その結果、図22(b)に示すように、基板表面31aを基準とした端子51の底面51cのばらつきγは、上記公差βよりも小さいものとなる。したがって、基板31に対するコネクタ50のがたつき幅がα+γとなるため、上下方向において、基板31に対するコネクタ50のがたつきを抑制し、これにより、端子51とランド33との接続信頼性を向上することもできる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
本実施形態においては、一対の第1脚部72,82とともに第2脚部92を有する保持部材60を示した。しかしながら、しかしながら、基部61から延設された第1脚部62の本数は上記例に限定されるものではない。例えば左右方向においてハウジング52の両端部52bに固定される保持部材60が、それぞれ1本の第1脚部62(72)のみを有する構成としても良い。この場合、係止部73の延設方向が、異なる保持部材60で互いに反対方向(左方向外側と右方向外側)とされた構成とすると、係止部73の延設方向におけるがたつきを低減することができる。これにより、係止部73を基板31の裏面31bから外れにくくすることができる。
また、コネクタ50が、異なる種類の保持部材60を有する構成としてもよい。例えば、1つのコネクタ50に、一対の第1脚部72,82のみを有する保持部材60と、一対の第1脚部72,82と第2脚部92を有する保持部材60が配置された構成としても良い。
係止部73(83)の延設方向は、前後方向に限定されるものでもない。例えば、延設方向が左右方向とされた構成としても良い。また、一対の第1脚部72,82において、係止部73,83の延設方向が、互いに反対方向(前後方向外側)とされる例を示した。しかしながら、反対ではないものの互いに異なる方向とされた構成や、互いに同一方向とされた構成としても良い。さらには、互いに反対方向であって前後方向内側に延設された構成としても良い。しかしながら、少なくとも互いに異なる方向、より好ましくは互いに反対方向とすると、同一方向に延設された構成に比べて、基板31に対するコネクタ50のがたつきを低減することができる。また、係止状態を解除しにくくすることができる。
本実施形態においては、係止部73,83が、金属板を打ち抜き加工することのみで形成された例を示した。しかしながら、曲げ加工により、繋ぎ部74,84に対して係止部73,83が折曲された構成としても良い。しかしながら、曲げ加工をすると、変形や破損に対する耐力が低下するため、好ましくは本実施形態で示したように打ち抜き加工のみにより形成された、換言すれば繋ぎ部74,84と一体的な平板状とされた構成とすると良い。
本実施形態においては、電子装置として非防水構造の電子制御装置1の例を示した。しかしながら、防水構造の電子制御装置にも適用することができる。また、電子制御装置に限定されるものでもない。
本実施形態においては、電子部品としてコネクタ50の例を示したが、保持部材60によって基板31の表面31a上に保持される電子部品はコネクタ50に限定されるものではない。導電材料からなり、基板のランドと電気的に接続される端子と、端子が配設された本体部とを備えた電子部品であれば良い。
本実施形態においては、端子51として、表面実装部のみを有する表面実装構造の端子を採用し、基板表面31aの対応するランド33にリフローはんだ付けする例を示した。しかしながら、表面実装構造の端子としては、表面実装部のみを有する端子に限定されるものではなく、上記したように、表面実装部と壁面にランドが設けられた貫通孔に挿入実装される挿入実装部とを併せ持つ分岐状端子を採用することもできる。また、リフロー実装される端子としては、表面実装構造の端子に限定されるものではなく、挿入実装構造の端子をリフローはんだ付けすることもできる。
さらには、基板31へのコネクタ50の実装も、リフローはんだ付けに限定されるものではない。例えば、端子51として挿入実装部を有する端子を採用し、フローはんだ付け(局所フローはんだ付け)により、端子51、第1脚部62(72,82)、さらには第2脚部92を一括ではんだ付けするようにしても良い。この場合も、製造工程を簡素化することができる。
本実施形態では、第1脚部72,82のうち、繋ぎ部74,84とばね部75,85における平行部75b,85bが、ダミーランド35とはんだ36を介して接続される例を示した。しかしながら、繋ぎ部74,84のみがダミーランド35とはんだ36を介して接続される構成(ばね部75,85がはんだ付けされない構成)としても良い。また、係止部73,83も、ダミーランド35における裏面部位35cとはんだ36を介して接続される構成としても良い。
また、第1脚部62(72,82)がダミーランド35と接続される構成においても、ダミーランド35の構成は上記例に限定されるものではない。ダミーランド35として、表面部位35aのみを有する構成、裏面部位35cのみを有する構成、表面部位35a及び壁面部位35bのみを有する構成としてもよい。また、ダミーランド35を有さない構成としても良いし、ダミーランド35を有しながらも、第1脚部72,82がはんだ付けされない構成としても良い。
本実施形態では、リフローはんだ付けに際し、はんだペースト36aが、ダミーランド35の表面部位35a上(ダミーランド38上)であって貫通孔34(貫通孔37)から離れた部位のみに配置される例を示した。しかしながら、塗布時において、はんだペースト36aを貫通孔34,37内に配置するようにしても良い。この場合、はんだ36と第1脚部62(72,82)、第2脚部92の接触面積を増やして、基板31に対しコネクタ50を強固に固定することができる。
本実施形態においては、左右方向におけるハウジング52の両端部52b付近と両端部52d間の2箇所の計4箇所に、保持部材60が配置された例を示した。しかしながら、ハウジング52に対する保持部材60の配置は上記例に限定されるものではない。例えば、左右方向において、ハウジング52の両端部52b付近のみに、保持部材60が配置された構成や、両端部52d間の中央領域に複数個所配置された構成としても良い。両端部52d間の中央領域に少なからず配置すると、コネクタ50に対して基板31の反りを抑制し、端子51とランド33との接続信頼性を向上することができる。
本実施形態においては、保持部材60が1本の第2脚部92を有する例を示した。しかしながら、複数の第2脚部92を有する構成としても良い。また、第2脚部92の形態も、少なくも基板31に形成された対応する貫通孔され、ばね部75,85の変位方向に対して変形しがたい形態であれば採用することができる。
本実施形態では、楔形状の係止部73(83)における基板31の裏面31bとの対向部分73aが、前後方向において対応する繋ぎ部74から離れるほど、保持状態で上下方向において基板31の表面31aから遠いテーパ状とされた例を示した。しかしながら、係止部73,83の形態は上記例に限定されるものではない。例えば、対向部分73aが、保持状態で上下方向において基板31の表面31aと略平行となる構成としても良い。
本実施形態では、第2脚部92の挿入部93先端位置が、係止部73,83の先端位置よりも、基部61から離れた位置とされた例を示した。しかしながら、端子51が表面実装部のみを有する表面実装構造の端子の場合、その先端位置が表面実装部よりも下方であって、少なくとも一部が貫通孔37に挿入される形態であれば採用することができる。また、挿入実装部を有する端子の場合、少なくとも一部が貫通孔37に挿入される形態であれば採用することができる。例えば、挿入実装部の先端位置のほうが、挿入部93の先端位置よりも下方となる構成としても良い。