JP5291139B2 - 回転型流体輸送機械システムおよび回転型流体輸送機械の制御方法 - Google Patents

回転型流体輸送機械システムおよび回転型流体輸送機械の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポンプ等の回転型流体輸送機械を有する回転型流体輸送機械システムに関する。また、本発明は、ポンプ等の回転型流体輸送機械の制御方法に関する。
従来、樹脂製品を製造するための樹脂成形装置として、金型と、金型に供給される冷却水が通過する供給管と、金型から排出される冷却水が通過する排出管と、供給管を介して金型へ冷却水を送るポンプとを備える樹脂成形装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の樹脂成形装置は、供給管を通過する冷却水の温度を検出する第1温度センサと、排出管を通過する冷却水の温度を検出する第2温度センサとを備えている。この樹脂成形装置では、第1温度センサで検出される冷却水の温度と第2温度センサで検出される冷却水の温度との差に基づいて、ポンプの吐出流量を制御している。
樹脂成形装置における樹脂製品の成形サイクルには、一般に、金型内に樹脂を充填する射出工程と、金型内に充填された樹脂を冷却する冷却工程と、金型を開いて成形品を取り出す取出工程とが含まれており、射出工程と冷却工程と取出工程とは、この順番に実施される。成形サイクル中の金型の温度は、射出工程で上昇し、冷却工程で徐々に下がり、取出工程でさらに下がる。なお、成形サイクルは、たとえば、数10秒程度であるが、長くなると、2分程度になることもある。
また、従来、省エネルギーを実現するためのシステムとして、大温度差システムと呼ばれるシステムが知られている。この大温度差システムでは、たとえば、空調装置から室内へ供給される空気の温度と、室内から空調装置へ戻る空気の温度との差を大きくすることで、室内の冷却能力を維持しつつ、空調装置を構成する送風機の動力を低減させて、省エネルギーを実現している。すなわち、室内の冷却能力は、空調装置と室内との間で循環する空気の流量と、空調装置から室内へ供給される空気の温度と室内から空調装置へ戻る空気の温度との温度差との積で表わされるため(すなわち、(冷却能力)=(空気の流量)×(温度差)であるため)、温度差を大きくとれば、室内の冷却能力を維持しつつ、空気の流量を低減させることができる。したがって、大温度差システムでは、温度差を大きくとることで、たとえば、室内の冷却能力を維持しつつ、送風機の動力を低減させて、省エネルギーを実現している。なお、大温度差システムを用いた空調システムが、たとえば、特許文献2に開示されている。
特開平4−122613号公報 特開2007−322024号公報
特許文献1に記載の樹脂成形装置に大温度差システムを用いれば、樹脂成形装置の省エネルギーを実現することが可能になる。すなわち、金型に供給される冷却水の温度と金型から排出される冷却水の温度との差を大きくすれば、金型の温度調整能力を維持しつつ、ポンプの動力を低減させて、省エネルギーを実現することが可能である。
ここで、空調システムの場合、一般に、空調装置からの空気が供給される室内の温度は、短時間で大きくは変動しないため、室内へ供給される空気の温度と室内から空調装置へ戻る空気の温度との温度差も短時間で大きくは変動しない。したがって、空調システムの場合、室内へ供給される空気の温度と空調装置へ戻る空気の温度との温度差が所定の目標値となるように、温度差をフィードバック値とするフィードバック制御を行っても、フィードバック値は短時間で大きくは変動しない。
これに対して、特許文献1に記載の樹脂成形装置の場合、冷却水が供給される金型の温度は、成形サイクルに応じて、たとえば、数10秒程度で周期的に変動する。そのため、金型に供給される冷却水の温度(供給温度)と金型から排出される冷却水の温度(排出温度)との温度差が短時間で大きく変動する。したがって、特許文献1に記載の樹脂成形装置の場合、供給温度と排出温度との温度差が所定の目標値となるように、温度差をフィードバック値とするフィードバック制御を行うと、フィードバック値が短時間で大きく変動する。
また、ポンプを駆動するモータが、たとえば、AC(交流)モータである場合、モータの回転数は、モータに供給される交流電源の周波数(モータ周波数)に比例し、ポンプの吐出流量もモータ周波数に比例する。そのため、金型と冷却水との熱交換量と、モータ周波数と、冷却水の供給温度と排出温度との温度差との間には、以下の関係が成立する。
熱交換量∝モータ周波数×温度差、すなわち、温度差∝熱交換量/モータ周波数
したがって、熱交換量が一定である場合、温度差とモータ周波数とは反比例の関係にあり、モータ周波数が高い領域では、モータ周波数の変動量に対する温度差の変動量は小さいが、モータ周波数が低い領域では、モータ周波数の変動量に対する温度差の変動量が大きくなる。
また、特許文献1に記載の樹脂成形装置では、供給管や排出管等によってポンプと金型とが接続されており、ポンプから金型までは距離がある。そのため、第1温度センサおよび第2温度センサで温度が検出されたときにポンプから吐出される冷却水が実際に金型に供給されるまでの時間の遅れ(遅れ時間)が生じる。この遅れ時間は、冷却水の単位流量、ポンプと金型との間の往復距離、および、ポンプと金型との間の流路の内径によって、以下の式で求められる。
遅れ時間=(内径/2)×π×往復距離/単位流量=流路全体積/単位流量
流路全体積は一定なので、遅れ時間は、冷却水の単位流量に反比例する。また、冷却水の単位流量は、モータ周波数に比例するため、遅れ時間は、モータ周波数に反比例する。したがって、モータ周波数が高い領域では、モータ周波数の変動量に対する遅れ時間の変動量は小さいが、モータ周波数が低い領域では、モータ周波数の変動量に対する遅れ時間の変動量が大きくなる。
大温度差システムでは、供給温度と排出温度との温度差を大きくするため、モータ周波数が低くなる。モータ周波数が低くなると、モータ周波数の変動量に対する温度差の変動量が大きくなるため、供給温度と排出温度との温度差をフィードバック値とするフィードバック制御を行うと、フィードバック値の変動量が大きくなる。また、モータ周波数が低くなると、モータ周波数の変動量に対する遅れ時間の変動量が大きくなるため、供給温度と排出温度との温度差をフィードバック値とするフィードバック制御を行うと、フィードバック値の変動量がさらに大きくなる。すなわち、モータ周波数が低くなると、温度差の影響と遅れ時間の影響とが掛け合わされて、フィードバック値の変動量が増幅される。
上述のように、特許文献1に記載の樹脂成形装置に大温度差システムを用いれば、樹脂成形装置の省エネルギーを実現することが可能になる。しかしながら、特許文献1に記載の樹脂成形装置に大温度差システムを用いる場合、供給温度と排出温度との温度差をフィードバック値にすると、フィードバック値が短時間で大きく変動する。また、大温度差システムでは、モータ周波数が低くなるため、供給温度と排出温度との温度差をフィードバック値にすると、フィードバック値の変動量が大きくなる。
このように、供給温度と排出温度との温度差が大きく、かつ、供給温度と排出温度との温度差が短時間で大きく変動する場合に、この温度差をフィードバック値にすると、フィードバック値が短時間で大きく変動し、かつ、フィードバック値の変動量も大きくなる。そのため、供給温度と排出温度との温度差が大きく、かつ、短時間で大きく変化する場合に、温度差をフィードバック値にすると、モータの回転数がオーバーシュートやハンチングを起こしてモータの制御が不安定になるおそれがある。この問題を解決するためには、一般に、フィードバック制御のパラメータの調整を行えば良いが、金型の特性や冷却水の流量ごとに最適なパラメータが異なるため、条件が変化するたびに調整を行うことは困難である。
そこで、本発明の課題は、流体が供給される被供給部への流体の流入温度と被供給部からの流体の流出温度との温度差が大きく、かつ、比較的短時間で大きく変動する場合であっても、回転型流体輸送機械の駆動源であるモータの制御を安定させることが可能な回転型流体輸送機械システムを提供することにある。また、本発明の課題は、被供給部への流体の流入温度と被供給部からの流体の流出温度との温度差が大きく、かつ、比較的短時間で大きく変動する場合であっても、回転型流体輸送機械の駆動源であるモータの制御を安定させることが可能となる回転型流体輸送機械の制御方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の回転型流体輸送機械システムは、モータを駆動源とし、流体が供給される被供給部に向かって流体を送る回転型流体輸送機械と、被供給部へ流入する流体の温度を検出する第1温度センサと、被供給部から流出する流体の温度を検出する第2温度センサと、モータを制御するモータ制御部とを備え、第1温度センサで検出される流体温度と第2温度センサで検出される流体温度との差である流体温度差は、所定の周期で周期的に変動し、モータ制御部は、流体温度差を一定時間おきに抽出したサンプリング値の、流体温度差の変動周期の1周期内の最大値を利用してフィードバック値を生成するフィードバック値生成部と、流体温度差の目標値とフィードバック値とに基づいてモータの回転数を制御するフィードバック制御部とを備えることを特徴とする。
本発明の回転型流体輸送機械システムでは、所定の周期で周期的に変動する流体温度差を一定時間おきに抽出したサンプリング値の、流体温度差の変動周期の1周期内の最大値を利用して、モータの回転数を制御するためのフィードバック値を生成している。そのため、被供給部への流体の流入温度と被供給部からの流体の流出温度との流体温度差が比較的短時間で大きく変動しても、サンプリング値をそのままフィードバック値にする場合と比較して、フィードバック値が短時間で大きく変動するのを防止することが可能になる。したがって、流体温度差が大きくて、モータの回転数が低くなり、フィードバック値の変動量が大きくなっても、モータの回転数のオーバーシュートやハンチングの発生を抑制して、モータの制御を安定させることが可能になる。その結果、本発明では、流体温度差が大きく、かつ、比較的短時間で大きく変動する場合であっても、モータの制御を安定させることが可能になる。
本発明において、フィードバック値生成部は、たとえば、所定時間内におけるサンプリング値の最大値である温度差最大値を記憶するとともに温度差最大値を適時更新する最大値更新処理部と、所定時間内におけるサンプリング値の最小値である温度差最小値を記憶するとともに温度差最小値を適時更新する最小値更新処理部と、温度差最大値または温度差最小値の更新終了を判定する更新終了判定部と、フィードバック値を記憶するとともにフィードバック値を適時更新するフィードバック値更新処理部とを備えている。
本発明において、最大値更新処理部は、サンプリング値が最大値更新処理部に記憶された温度差最大値を超えたときに、サンプリング値を温度差最大値とする温度差最大値の更新を行うとともに更新後の温度差最大値を記憶し、最小値更新処理部は、サンプリング値が最大値更新処理部に記憶された温度差最大値を超えたとき、および、サンプリング値が最小値更新処理部に記憶された温度差最小値を下回ったときに、サンプリング値を温度差最小値とする温度差最小値の更新を行うとともに更新後の温度差最小値を記憶し、更新終了判定部は、初期化時に更新終了判定タイマをスタートさせるとともに、サンプリング値が最大値更新処理部に記憶された温度差最大値を超えたとき、および、サンプリング値が最小値更新処理部に記憶された温度差最小値を下回ったときに、更新終了判定タイマをリセットし、かつ、更新終了判定タイマがカウントアップしたときに温度差最小値の更新が終了したと判定して、更新終了判定タイマをリセットし、フィードバック値更新処理部は、温度差最大値がフィードバック値更新処理部に記憶されたフィードバック値を超えたとき、および、更新終了判定タイマがカウントアップしたときに、最大値更新処理部に記憶される温度差最大値をフィードバック値とするフィードバック値の更新を行うとともに更新後のフィードバック値を記憶し、更新終了判定タイマがカウントアップされると、最大値更新処理部は、最大値更新処理部に記憶される温度差最大値を初期値にリセットし、最小値更新処理部は、最小値更新処理部に記憶される温度差最小値を初期値にリセットすることが好ましい。このように構成すると、被供給部の条件等にかかわらず、更新終了判定タイマがカウントアップされたときに、流体温度差の変動周期の1周期におけるサンプリング値の最大値と最小値とを特定し、流体温度差の変動周期の1周期におけるサンプリング値の最大値を温度差最大値として取得するとともに、温度差最大値に基づいてフィードバック値を更新していくことが可能になる。
本発明において、フィードバック値生成部は、フィードバック値更新処理部に記憶されたフィードバック値が所定時間内に更新されたか否かを判定する更新判定部を備え、更新判定部は、初期化時に更新判定タイマをスタートさせるとともに、サンプリング値が最大値更新処理部に記憶された温度差最大値を超えたとき、更新終了判定タイマがカウントアップしたとき、および、サンプリング値が目標値以上となったときに更新判定タイマをリセットし、かつ、更新判定タイマがカウントアップしたときに、フィードバック値更新処理部に記憶されたフィードバック値が所定時間、更新されていないと判定して、更新判定タイマをリセットし、フィードバック値更新処理部は、更新判定タイマがカウントアップしたときに、サンプリング値をフィードバック値とするフィードバック値の更新を行うとともに更新後のフィードバック値を記憶し、更新判定タイマがカウントアップされると、最大値更新処理部は、最大値更新処理部に記憶される温度差最大値を初期値にリセットし、最小値更新処理部は、最小値更新処理部に記憶される温度差最小値を初期値にリセットし、更新終了判定部は、更新終了判定タイマをリセットすることが好ましい。このように構成すると、たとえば、更新終了判定タイマがカウントアップする前に、サンプリング値が最小値更新処理部に記憶された温度差最小値を下回り、かつ、サンプリング値が周期的に次第に減少していく場合であっても、フィードバック値を更新することが可能になる。
本発明において、最大値更新処理部は、サンプリング値が最大値更新処理部に記憶された温度差最大値を超えたとき、および、サンプリング値が最小値更新処理部に記憶された温度差最小値を下回ったときに、サンプリング値を温度差最大値とする温度差最大値の更新を行うとともに更新後の温度差最大値を記憶し、最小値更新処理部は、サンプリング値が最小値更新処理部に記憶された温度差最小値を下回ったときに、サンプリング値を温度差最小値とする温度差最小値の更新を行うとともに更新後の温度差最小値を記憶し、更新終了判定部は、初期化時に更新終了判定タイマをスタートさせるとともに、サンプリング値が最大値更新処理部に記憶された温度差最大値を超えたとき、および、サンプリング値が最小値更新処理部に記憶された温度差最小値を下回ったときに、更新終了判定タイマをリセットし、かつ、更新終了判定タイマがカウントアップしたときに温度差最大値の更新が終了したと判定して、更新終了判定タイマをリセットし、フィードバック値更新処理部は、温度差最大値がフィードバック値更新処理部に記憶されたフィードバック値を超えたとき、および、更新終了判定タイマがカウントアップしたときに、最大値更新処理部に記憶される温度差最大値をフィードバック値とするフィードバック値の更新を行うとともに更新後のフィードバック値を記憶し、更新終了判定タイマがカウントアップされると、最大値更新処理部は、最大値更新処理部に記憶される温度差最大値を初期値にリセットし、最小値更新処理部は、最小値更新処理部に記憶される温度差最小値を初期値にリセットしても良い。このように構成すると、被供給部の条件等にかかわらず、流体温度差の変動周期の1周期におけるサンプリング値の最大値を特定し、流体温度差の変動周期の1周期におけるサンプリング値の最大値を温度差最大値として取得するとともに、温度差最大値に基づいてフィードバック値を更新していくことが可能になる。
本発明において、被供給部は、たとえば、樹脂成形装置の金型である。樹脂成形装置の金型の場合、金型への流体の流入温度と金型からの流体の流出温度との温度差が比較的短時間で大きく変化するが、本発明では、被供給部が樹脂成形装置の金型である回転型流体輸送機械システムに大温度差システムを用いても、モータの制御を安定させることが可能になる。
また、上記の課題を解決するため、本発明の回転型流体輸送機械の制御方法は、モータを駆動源とし、流体が供給される被供給部に向かって流体を送る回転型流体輸送機械の制御方法において、被供給部へ流入する流体の温度と被供給部から流出する流体の温度との差であって、所定の周期で周期的に変動する流体温度差を一定時間おきに抽出したサンプリング値の、流体温度差の変動周期の1周期内の最大値を利用してフィードバック値を生成し、フィードバック値に基づいてモータの回転数をフィードバック制御することを特徴とする。
本発明の回転型流体輸送機械の制御方法では、所定の周期で周期的に変動する流体温度差を一定時間おきに抽出したサンプリング値の、流体温度差の変動周期の1周期内の最大値を利用して、フィードバック値を生成している。そのため、被供給部への流体の流入温度と被供給部からの流体の流出温度との流体温度差が比較的短時間で大きく変動しても、サンプリング値をそのままフィードバック値にする場合と比較して、フィードバック値が短時間で大きく変動するのを防止することが可能になる。したがって、流体温度差が大きくて、モータの回転数が低くなり、フィードバック値の変動量が大きくなっても、モータの回転数のオーバーシュートやハンチングの発生を抑制して、モータの制御を安定させることが可能になり、流体温度差が大きく、かつ、比較的短時間で大きく変動する場合であっても、モータの制御を安定させることが可能になる。
以上のように、本発明では、被供給部への流体の流入温度と被供給部からの流体の流出温度との温度差が大きく、かつ、比較的短時間で大きく変動する場合であっても、回転型流体輸送機械の駆動源であるモータの制御を安定させることが可能になる。
本発明の実施の形態にかかる回転型流体輸送機械システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態にかかる制御方法でモータを制御したときの流体温度差のサンプリング値、温度差最大値およびフィードバック値の変動の一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態にかかる制御方法でモータを制御したときの流体温度差のサンプリング値、温度差最大値およびフィードバック値の変動の他の例を示すグラフである。 従来技術にかかる制御方法でモータを制御したときの流体温度差のサンプリング値の変動の一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態にかかる制御方法でモータを制御したときのモータ周波数および流体温度差のサンプリング値の変動の一例を示すグラフである。 従来技術にかかる制御方法でモータを制御したときのモータ周波数および流体温度差のサンプリング値の変動の一例を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(回転型流体輸送機械システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる回転型流体輸送機械システム1の概略構成を示すブロック図である。
本形態の回転型流体輸送機械システム1は、樹脂成形装置の金型2の温度を調整するためのシステム(金型温調システム)であり、回転型流体輸送機械としてのポンプ3を備えている。ポンプ3は、金型2とポンプ3との間で循環する冷却水等の温度調整用(加熱用または冷却用)の流体(媒体)を金型2に向かって送る機能を果たしている。このポンプ3は、駆動源として、モータ4を備えている。本形態の金型2は、流体が供給される被供給部である。
金型2とポンプ3とは、ポンプ3から金型2へ送られる流体が通過する送り管5と、金型2からポンプ3へ戻る流体が通過する戻り管6とによって接続されている。送り管5には、金型2へ流入する流体の温度を検出する第1温度センサとしての温度センサ7が設置され、戻り管6には、金型2から流出する流体の温度を検出する第2温度センサとしての温度センサ8が設置されている。ポンプ3と温度センサ8と間には、金型2からポンプ3へ戻る流体を加熱または冷却する冷熱装置9が設置されている。
樹脂成形装置では、金型2内に樹脂を充填する射出工程と、金型2内に充填された樹脂を冷却する冷却工程と、金型2を開いて成形品を取り出す取出工程とを含む成形サイクルが繰り返し実行される。また、射出工程と冷却工程と取出工程とは、この順番に実施され、金型2の温度は、射出工程で上昇し、冷却工程で徐々に下がり、取出工程でさらに下がる。そのため、金型2の温度は、周期的に上昇と下降とを繰り返すとともに、一定の周期で周期的に変動する。したがって、金型2へ流入する流体の温度と金型2から流出する流体の温度との流体温度差も、周期的に上昇と下降とを繰り返すとともに、一定の周期で周期的に変動する。なお、本形態の回転型流体輸送機械システム1には、大温度差システムが用いられており、流体温度差が大きくなっている。
また、回転型流体輸送機械システム1は、モータ4を制御するモータ制御部11を備えている。モータ制御部11は、モータ4のフィードバック制御を行うための制御回路であり、MPU等の演算手段、ROM、RAM、不揮発性メモリ等の記憶手段、および、I/Oポート等の入出力手段等によって構成されている。また、モータ制御部11は、機能的には、減算部12と、フィードバック値生成部13と、減算部14と、フィードバック制御部15とを備えている。
減算部12は、温度センサ7で検出される流体温度(流入温度)と温度センサ8で検出される流体温度(流出温度)との差である流体温度差を算出して出力する。
フィードバック値生成部13は、減算部12から出力される流体温度差を一定時間おきに抽出したサンプリング値に基づいて、モータ4をフィードバック制御するためのフィードバック値を生成して出力する。具体的には、流体温度差の変動周期の1周期内におけるサンプリング値の最大値を利用して、フィードバック値を生成して出力する。このフィードバック値生成部13は、最大値更新処理部17と、最小値更新処理部18と、フィードバック値更新処理部19と、更新終了判定部20と、更新判定部21とを備えている。
最大値更新処理部17は、所定時間内のサンプリング値の最大値である温度差最大値を記憶するとともに温度差最大値を適時更新する。最小値更新処理部18は、所定時間内のサンプリング値の最小値である温度差最小値を記憶するとともに温度差最小値を適時更新する。フィードバック値更新処理部19は、フィードバック値を記憶するとともにフィードバック値を適時更新する。更新終了判定部20は、更新終了判定タイマを用いて、温度差最小値の更新終了を判定する。更新判定部21は、更新判定タイマを用いて、フィードバック値更新処理部19に記憶されたフィードバック値が所定時間内に更新されたか否かを判定する。フィードバック値生成部13の各構成の詳細な機能については、後述のモータ4の制御方法にて説明する。
減算部14は、図示を省略する制御指令部からの温度差の目標値とフィードバック値生成部13からのフィードバック値との差である偏差を算出して出力する。
フィードバック制御部15は、減算部14から出力される偏差に基づいて、モータ4の回転数を制御する。本形態のモータ4は、ACモータであり、フィードバック制御部15は、モータ4に供給される交流電源の周波数(モータ周波数)を調整することで、モータ4の回転数を制御している。また、フィードバック制御部15は、モータ4の回転数を制御することで、ポンプ3の吐出流量(すなわち、金型2への流体の送り量)を制御する。本形態のフィードバック制御部15は、比例制御と積分制御と微分制御とを組み合わせたPID制御でモータ4の回転数を制御している。すなわち、フィードバック制御部15は、比例、積分および微分の各パラメータに基づいて偏差を演算し、モータ周波数の調整量に変換して、モータ周波数を増減させている。
(モータの制御方法)
図2は、本発明の実施の形態にかかる制御方法でモータ4を制御したときのサンプリング値ΔT、温度差最大値ΔTLおよびフィードバック値Pvの変動の一例を示すグラフである。図3は、本発明の実施の形態にかかる制御方法でモータ4を制御したときのサンプリング値ΔT、温度差最大値ΔTLおよびフィードバック値Pvの変動の他の例を示すグラフである。
本形態のモータ4は、以下のアルゴリズムにしたがって制御される。
(1)初期化時に、フィードバック値Pv、温度差最大値ΔTL、温度差最小値ΔTsとして以下の初期値を設定する。また、初期化時に、任意の長さに設定された更新終了判定タイマTdおよび更新判定タイマTcをスタートさせる。
フィードバック値Pv・・・「0」
温度差最大値ΔTL・・・「0」
温度差最小値ΔTs・・・「システム系の最大値」
なお、フィードバック値Pvは、フィードバック値更新処理部19に記憶され、温度差最大値ΔTLは、最大値更新処理部17に記憶され、温度差最小値ΔTsは、最小値更新処理部18に記憶される。また、更新判定タイマTcは、更新終了判定タイマTdよりも長く設定されている。
(2)減算部14に入力される温度差の目標値Svにフィードバック値Pvが一致するように、PID制御によってモータ4の周波数を調整する。
(3)フィードバック値生成部13は、流体温度差のサンプリング値ΔTを取得する。なお、サンプリング値ΔTは、減算部12から出力される流体温度差の絶対値のサンプリング値である。サンプリング値ΔTを、流体温度差の絶対値のサンプリング値とすることで、流出温度が流入温度よりも高い場合および低い場合のいずれの場合であっても、本アルゴリズムでの対応が可能になる。
(4)サンプリング値ΔTが最大値更新処理部17に記憶された温度差最大値ΔTLを超えたら(すなわち、「ΔT>ΔTL」となったら)、最大値更新処理部17は、このサンプリング値ΔTを温度差最大値ΔTLとする温度差最大値ΔTLの更新を行うとともに更新後の温度差最大値ΔTLを記憶し、最小値更新処理部18は、このサンプリング値ΔTを温度差最小値ΔTsとする温度差最小値ΔTsの更新を行うとともに更新後の温度差最小値ΔTsを記憶する。また、更新終了判定部20は、更新終了判定タイマTdをリセットし、更新判定部21は、更新判定タイマTcをリセットする。
(5)サンプリング値ΔTが最小値更新処理部18に記憶された温度差最小値ΔTsを下回ったら(すなわち、「ΔT<ΔTs」となったら)、最小値更新処理部18は、このサンプリング値ΔTを温度差最小値ΔTsとする温度差最小値ΔTsの更新を行うとともに更新後の温度差最小値ΔTsを記憶し、更新終了判定部20は、更新終了判定タイマTdをリセットする。なお、ΔT<ΔTsとなったら、温度差最大値ΔTLは更新されない。
(6)温度差最大値ΔTLがフィードバック値更新処理部19に記憶されたフィードバック値Pvを超えたら(すなわち、「Pv<ΔTL」となったら)、フィードバック値更新処理部19は、最大値更新処理部17に記憶された温度差最大値ΔTLをフィードバック値Pvとするフィードバック値Pvの更新を行うとともに更新後のフィードバック値Pvを記憶する。
(7)更新終了判定タイマTdがカウントアップしたら、フィードバック値更新処理部19は、最大値更新処理部17に記憶される温度差最大値ΔTLをフィードバック値Pvとするフィードバック値Pvの更新を行うとともに更新後のフィードバック値Pvを記憶する。また、フィードバック値Pvが更新されると、最大値更新処理部17は、最大値更新処理部17に記憶される温度差最大値ΔTLを初期値にリセットし、最小値更新処理部18は、最小値更新処理部18に記憶される温度差最小値ΔTsを初期値にリセットする。また、更新終了判定部20は、更新終了判定タイマTdをリセットし、更新判定部21は、更新判定タイマTcをリセットする。
(8)サンプリング値ΔTが目標値Sv以上となったら(すなわち、「Sv≦ΔT」となったら)、更新判定部21は、更新判定タイマTcをリセットする。
(9)更新判定タイマTcがカウントアップしたら、フィードバック値更新処理部19は、このときのサンプリング値ΔTをフィードバック値Pvとするフィードバック値Pvの更新を行うとともに更新後のフィードバック値Pvを記憶する。また、フィードバック値Pvが更新されると、最大値更新処理部17は、温度差最大値ΔTLを初期値にリセットし、最小値更新処理部18は、温度差最小値ΔTsを初期値にリセットする。また、更新終了判定部20は、更新終了判定タイマTdをリセットし、更新判定部21は、更新判定タイマTcをリセットする。
以上のアルゴリズム(1)〜(9)にしたがって、モータ4が制御されると、サンプリング値ΔT、温度差最大値ΔTLおよびフィードバック値Pvは、樹脂成形開始からの経過時間に伴って、たとえば、図2のように変動する。サンプリング値ΔTは、図2の一点鎖線で示すように変動する。上述のように、流体温度差は、周期的に上昇と下降とを繰り返すとともに、一定の周期で周期的に変動するため、サンプリング値ΔTも、周期的に上昇と下降とを繰り返すとともに、一定の周期tで周期的に変動する。
図2に示すように、破線によって区切られた経過時間の各範囲をA1〜A5、B1〜B8、C1〜C7とすると、範囲A1〜A5では、上述のアルゴリズム(4)にしたがって、温度差最大値ΔTLが更新されていく。また、アルゴリズム(6)にしたがって、範囲A1、A3では、最初からフィードバック値Pvが更新され、範囲A2では、途中からフィードバック値Pvが更新されていく。また、範囲A1〜A5では、アルゴリズム(4)にしたがって、温度差最小値ΔTsが更新され、更新終了判定タイマTdおよび更新判定タイマTcがリセットされる。
範囲B1〜B8では、アルゴリズム(5)にしたがって、温度差最小値ΔTsが更新され、更新終了判定タイマTdがリセットされる。なお、範囲B2、B4、B6の初期段階には、ΔT≧ΔTsとなる範囲があり、この範囲では、温度差最小値ΔTsが更新されず、また、更新終了判定タイマTdもリセットされない。
範囲C1〜C7では、温度差最大値ΔTLおよび温度差最小値ΔTsが更新されず、かつ、更新終了判定タイマTdのカウントが続く。範囲C2、C4、C6、C7では、更新終了判定タイマTdがカウントアップされるため、カウントアップ時点CP1では、アルゴリズム(7)にしたがって、フィードバック値Pvが更新される。具体的には、カウントアップ時点CP1の前の周期tにおけるサンプリング値ΔTの最大値にフィードバック値Pvが更新される。また、カウントアップ時点CP1では、温度差最大値ΔTLおよび温度差最小値ΔTsが初期値にリセットされ、更新終了判定タイマTdおよび更新判定タイマTcがリセットされる。なお、カウントアップ時点CP1では、温度差最大値ΔTLが瞬間的に初期値「0」となるが、図2では、カウントアップ時点CP1での温度差最大値ΔTLの変動を省略している。
また、アルゴリズム(1)〜(9)にしたがって、モータ4が制御されると、サンプリング値ΔT、温度差最大値ΔTLおよびフィードバック値Pvは、樹脂成形開始からの経過時間に伴って、たとえば、図3のように変動することもある。図3に示すように、破線によって区切られた経過時間の各範囲をA7〜A9、B10〜B16、C9〜C14とすると、範囲A7〜A9では、上述の範囲A1〜A5と同様に、温度差最大値ΔTLおよび温度差最小値ΔTsが更新され、フィードバック値Pvが更新され、かつ、更新終了判定タイマTdおよび更新判定タイマTcがリセットされる。
範囲B10〜B16では、上述の範囲B1〜B8と同様に、温度差最小値ΔTsが更新され、更新終了判定タイマTdがリセットされる。範囲C9〜C14では、上述の範囲C1〜C7と同様に、温度差最大値ΔTLおよび温度差最小値ΔTsが更新されず、かつ、更新終了判定タイマTdのカウントが続く。なお、範囲B11の初期段階には、ΔT≧ΔTsとなる範囲があり、この範囲では、温度差最小値ΔTsが更新されず、また、更新終了判定タイマTdもリセットされない。また、範囲B12、B13では、その終期を除いて、ΔT≧ΔTsとなっており、終期を除いた範囲では、温度差最小値ΔTsが更新されず、また、更新終了判定タイマTdもリセットされない。
アルゴリズム(4)、(7)、(8)より、更新判定タイマTcがリセットされるのは、「ΔT>ΔTL」になったとき、更新終了判定タイマTdがカウントアップしたとき、および、「Sv≦ΔT」になったときであるため、これらの条件が満たされずに、更新判定タイマTcがカウントアップされると、カウントアップ時点CP2では、アルゴリズム(9)にしたがって、フィードバック値Pvが更新され、温度差最大値ΔTLおよび温度差最小値ΔTsが初期値にリセットされ、更新終了判定タイマTdおよび更新判定タイマTcがリセットされる。なお、カウントアップ時点CP2では、温度差最大値ΔTLが瞬間的に初期値「0」となるが、図3では、カウントアップ時点CP2での温度差最大値ΔTLの変動を省略している。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、更新終了判定タイマTdがカウントアップすると、最大値更新処理部17に記憶される温度差最大値ΔTLをフィードバック値Pvとするフィードバック値Pvの更新が行われる。すなわち、本形態では、更新終了判定タイマTdがカウントアップすると、図2に示すように、1周期t内のサンプリング値ΔTの最大値を利用して、フィードバック値Pvの更新が行われる。また、本形態では、Pv<ΔTLになると、最大値更新処理部17に記憶される温度差最大値ΔTLをフィードバック値Pvとするフィードバック値Pvの更新が行われる。
そのため、流体温度差が比較的短い周期tで大きく変動しても、サンプリング値ΔTをそのままフィードバック値Pvにする場合と比較して、フィードバック値Pvが短時間で大きく変動するのを防止することが可能になる。したがって、大温度差システムを用いることで、流体温度差が大きくなって、モータ4の回転数が低くなり、フィードバック値Pvの変動量が大きくなっても、モータ4の回転数のオーバーシュートやハンチングの発生を抑制して、モータ4の制御を安定させることが可能になる。その結果、本形態では、流体温度差が大きく、かつ、比較的短時間で大きく変動する場合であっても、モータ4の制御を安定させることが可能になる。
また、本形態では、Pv<ΔTLになると、最大値更新処理部17に記憶される温度差最大値ΔTLをフィードバック値Pvとするフィードバック値Pvの更新が行われるため、たとえば、目標値Svの変更等によって、温度差最大値ΔTLが急激に増加する場合であっても、フィードバック値Pvを速やかに更新することができる。
本形態では、アルゴリズム(4)〜(7)にしたがって、モータ4が制御されている。そのため、本形態では、金型2の条件や成形条件等に左右されることなく、更新終了判定タイマTdがカウントアップされたときには、周期tにおけるサンプリング値ΔTの最大値と最小値とを特定し、周期tにおけるサンプリング値ΔTの最大値を温度差最大値ΔTLとして取得するとともに、温度差最大値ΔTLに基づいてフィードバック値Pvを更新していくことができる。
本形態では、アルゴリズム(4)、(7)〜(9)にしたがって、モータ4が制御されている。そのため、図3に示すように、更新終了判定タイマTdがカウントアップする前に、サンプリング値ΔTが最小値更新処理部18に記憶された温度差最小値ΔTsを下回り(すなわち、サンプリング値ΔTが減少局面となり)、かつ、サンプリング値ΔTが周期的に次第に減少していく場合であっても、フィードバック値Pvを更新することができる。
また、本形態では、図2の範囲C1、C3、C5のように、ΔT>ΔTsとなった後、短時間でΔT<ΔTsとなる場合には、更新終了判定タイマTdがカウントアップされない。そのため、1周期tにおけるサンプリング値ΔTの最小値(すなわち、1周期tにおけるサンプリング値ΔTのボトム)を適切に検出することができる。
なお、サンプリング値ΔTをフィードバック値Pvとする場合には、サンプリング値ΔTの平均値が目標値Svに近づく。また、サンプリング値ΔTをフィードバック値Pvとする場合、大温度差システムを導入するために、目標値Svを大きくすると、サンプリング値ΔTの変動量が拡大する。以下、図4を参照しながら、その具体例を説明する。
図4は、モータ4の周波数が60Hzであるときのサンプリング値ΔTの平均値が2℃となるように設定された初期条件の下、サンプリング値ΔTをフィードバック値Pvとして、モータ4をPID制御したときのシミュレーション結果を示すグラフである。このシミュレーションでは、目標値Svを3℃としてモータ4を駆動している最中に、切替時点TP1で目標値Svを6℃に変更している。なお、このシミュレーションでは、遅れ時間の影響を排除してある。
図4に示すように、サンプリング値ΔTをフィードバック値Pvとして、モータ4をPID制御すると、サンプリング値ΔTの平均値が目標値Svに近づく。また、図4に示すように、目標値Svを3℃としたときのサンプリング値ΔTの最大値は4.5℃であり、目標値Svとの乖離は1.5℃であるが、目標値Svを6℃としたときのサンプリング値ΔTの最大値は8.4℃であり、目標値Svとの乖離は2.4℃に拡大する。このように、サンプリング値ΔTをフィードバック値Pvにすると、サンプリング値ΔTの平均値が目標値Svに近づく。また、サンプリング値ΔTをフィードバック値Pvとし、かつ、目標値Svを大きくすると、サンプリング値ΔTの変動量が拡大する。そのため、サンプリング値ΔTをフィードバック値Pvとし、かつ、目標値Svを大きくすると、サンプリング値ΔTの最大値が許容範囲を超えて樹脂製品の成形品質に影響を与えるおそれがある。
これに対して、本形態では、温度差最大値ΔTLをフィードバック値Pvとしているため、サンプリング値ΔTに比べて変動量の小さい温度差最大値ΔTLの平均値が目標値Svに近づく。そのため、本形態では、目標値Svを大きくしても、サンプリング値ΔTの最大値を許容範囲に収めることが可能になり、樹脂製品の成形品質を確保することが可能になる。
また、サンプリング値ΔTをフィードバック値Pvとする場合には、目標値Svを切り替えると、図6に示すように、モータ4の周波数(モータ周波数)の変動が大きくなるが、本形態では、温度差最大値ΔTLをフィードバック値Pvとしているため、目標値Svを切り替えても、図5に示すように、モータ周波数の変動を小さくすることができる。なお、図5、図6は、モータ周波数が60Hzであるときのサンプリング値ΔTの平均値が3℃となるように設定された初期条件の下、目標値Svを5℃としてモータ4を駆動している最中に、切替時点TP2で目標値Svを7℃に変更したときのシミュレーション結果を示しており、図5は、温度差最大値ΔTLをフィードバック値Pvとしたときのシミュレーション結果であり、図6は、サンプリング値ΔTをフィードバック値Pvとしたときのシミュレーション結果である。
(他の実施の形態)
上述した形態では、更新終了判定タイマTdを用いて、1周期tにおけるサンプリング値ΔTの最小値を検出しているが、更新終了判定タイマTdを用いて、1周期t内のサンプリング値ΔTの最大値を検出しても良い。この場合には、上述のアルゴリズム(4)、(5)に代えて、以下のアルゴリズム(4´)、(5´)を用いれば良い。
(4´)ΔT>ΔTLとなったら、サンプリング値ΔTを温度差最大値ΔTLとする温度差最大値ΔTLの更新を行うとともに更新後の温度差最大値ΔTLを記憶し、更新終了判定タイマTdおよび更新判定タイマTcをリセットする。
(5´)ΔT<ΔTsとなったら、サンプリング値ΔTを温度差最大値ΔTLとする温度差最大値ΔTLの更新を行うとともに更新後の温度差最大値ΔTLを記憶し、サンプリング値ΔTを温度差最小値ΔTsとする温度差最小値ΔTsの更新を行うとともに更新後の温度差最小値ΔTsを記憶し、かつ、更新終了判定タイマTdをリセットする。
上述した形態では、Pv<ΔTLになると、フィードバック値Pvが更新されているが、Pv<ΔTLになったときに、フィードバック値Pvが更新されなくても良い。また、上述した形態では、初期化時に更新判定タイマTcをスタートさせているが、Sv>ΔTとなったときに、更新判定タイマTcをスタートさせても良い。
上述した形態では、フィードバック制御部15は、比例制御と積分制御と微分制御とを組み合わせたPID制御でモータ4の回転数を制御しているが、フィードバック制御部15は、比例制御と積分制御とを組み合わせたPI制御でモータ4の回転数を制御しても良いし、比例制御と微分制御とを組み合わせたPD制御でモータ4の回転数を制御しても良い。また、フィードバック制御部15は、その他のフィードバック制御でモータ4の回転数を制御しても良い。
上述した形態では、回転型流体輸送機械システム1は、回転型流体輸送機械として、ポンプ3を備えているが、回転型流体輸送機械システム1は、回転型流体輸送機械として、送風機(ファン)または圧縮機(コンプレッサ)を備えていても良い。また、上述した形態では、回転型流体輸送機械システム1は、金型温調システムであるが、回転型流体輸送機械システム1は、金型温調システム以外のシステムであっても良い。
1 回転型流体輸送機械システム
2 金型(被供給部)
3 ポンプ(回転型流体輸送機械)
4 モータ
7 温度センサ(第1温度センサ)
8 温度センサ(第2温度センサ)
11 モータ制御部
13 フィードバック値生成部
15 フィードバック制御部
17 最大値更新処理部
18 最小値更新処理部
19 フィードバック値更新処理部
20 更新終了判定部
21 更新判定部
Pv フィードバック値
Tc 更新判定タイマ
Td 更新終了判定タイマ
Sv 目標値
ΔT サンプリング値
ΔTL 温度差最大値
ΔTs 温度差最小値
t 周期

Claims (7)

  1. モータを駆動源とし、流体が供給される被供給部に向かって流体を送る回転型流体輸送機械と、前記被供給部へ流入する流体の温度を検出する第1温度センサと、前記被供給部から流出する流体の温度を検出する第2温度センサと、前記モータを制御するモータ制御部とを備え、
    前記第1温度センサで検出される流体温度と前記第2温度センサで検出される流体温度との差である流体温度差は、所定の周期で周期的に変動し、
    前記モータ制御部は、前記流体温度差を一定時間おきに抽出したサンプリング値の、前記流体温度差の変動周期の1周期内の最大値を利用してフィードバック値を生成するフィードバック値生成部と、前記流体温度差の目標値と前記フィードバック値とに基づいて前記モータの回転数を制御するフィードバック制御部とを備えることを特徴とする回転型流体輸送機械システム。
  2. 前記フィードバック値生成部は、所定時間内における前記サンプリング値の最大値である温度差最大値を記憶するとともに前記温度差最大値を適時更新する最大値更新処理部と、所定時間内における前記サンプリング値の最小値である温度差最小値を記憶するとともに前記温度差最小値を適時更新する最小値更新処理部と、前記温度差最大値または前記温度差最小値の更新終了を判定する更新終了判定部と、前記フィードバック値を記憶するとともに前記フィードバック値を適時更新するフィードバック値更新処理部とを備えることを特徴とする請求項1記載の回転型流体輸送機械システム。
  3. 前記最大値更新処理部は、前記サンプリング値が前記最大値更新処理部に記憶された前記温度差最大値を超えたときに、前記サンプリング値を前記温度差最大値とする前記温度差最大値の更新を行うとともに更新後の前記温度差最大値を記憶し、
    前記最小値更新処理部は、前記サンプリング値が前記最大値更新処理部に記憶された前記温度差最大値を超えたとき、および、前記サンプリング値が前記最小値更新処理部に記憶された前記温度差最小値を下回ったときに、前記サンプリング値を前記温度差最小値とする前記温度差最小値の更新を行うとともに更新後の前記温度差最小値を記憶し、
    前記更新終了判定部は、初期化時に更新終了判定タイマをスタートさせるとともに、前記サンプリング値が前記最大値更新処理部に記憶された前記温度差最大値を超えたとき、および、前記サンプリング値が前記最小値更新処理部に記憶された前記温度差最小値を下回ったときに、前記更新終了判定タイマをリセットし、かつ、前記更新終了判定タイマがカウントアップしたときに前記温度差最小値の更新が終了したと判定して、前記更新終了判定タイマをリセットし、
    前記フィードバック値更新処理部は、前記温度差最大値が前記フィードバック値更新処理部に記憶された前記フィードバック値を超えたとき、および、前記更新終了判定タイマがカウントアップしたときに、前記最大値更新処理部に記憶される前記温度差最大値を前記フィードバック値とする前記フィードバック値の更新を行うとともに更新後の前記フィードバック値を記憶し、
    前記更新終了判定タイマがカウントアップされると、前記最大値更新処理部は、前記最大値更新処理部に記憶される前記温度差最大値を初期値にリセットし、前記最小値更新処理部は、前記最小値更新処理部に記憶される前記温度差最小値を初期値にリセットすることを特徴とする請求項2記載の回転型流体輸送機械システム。
  4. 前記フィードバック値生成部は、前記フィードバック値更新処理部に記憶された前記フィードバック値が所定時間内に更新されたか否かを判定する更新判定部を備え、
    前記更新判定部は、初期化時に更新判定タイマをスタートさせるとともに、前記サンプリング値が前記最大値更新処理部に記憶された前記温度差最大値を超えたとき、前記更新終了判定タイマがカウントアップしたとき、および、前記サンプリング値が前記目標値以上となったときに前記更新判定タイマをリセットし、かつ、前記更新判定タイマがカウントアップしたときに、前記フィードバック値更新処理部に記憶された前記フィードバック値が所定時間、更新されていないと判定して、前記更新判定タイマをリセットし、
    前記フィードバック値更新処理部は、前記更新判定タイマがカウントアップしたときに、前記サンプリング値を前記フィードバック値とする前記フィードバック値の更新を行うとともに更新後の前記フィードバック値を記憶し、
    前記更新判定タイマがカウントアップされると、前記最大値更新処理部は、前記最大値更新処理部に記憶される前記温度差最大値を初期値にリセットし、前記最小値更新処理部は、前記最小値更新処理部に記憶される前記温度差最小値を初期値にリセットし、前記更新終了判定部は、前記更新終了判定タイマをリセットすることを特徴とする請求項3記載の回転型流体輸送機械システム。
  5. 前記最大値更新処理部は、前記サンプリング値が前記最大値更新処理部に記憶された前記温度差最大値を超えたとき、および、前記サンプリング値が前記最小値更新処理部に記憶された前記温度差最小値を下回ったときに、前記サンプリング値を前記温度差最大値とする前記温度差最大値の更新を行うとともに更新後の前記温度差最大値を記憶し、
    前記最小値更新処理部は、前記サンプリング値が前記最小値更新処理部に記憶された前記温度差最小値を下回ったときに、前記サンプリング値を前記温度差最小値とする前記温度差最小値の更新を行うとともに更新後の前記温度差最小値を記憶し、
    前記更新終了判定部は、初期化時に更新終了判定タイマをスタートさせるとともに、前記サンプリング値が前記最大値更新処理部に記憶された前記温度差最大値を超えたとき、および、前記サンプリング値が前記最小値更新処理部に記憶された前記温度差最小値を下回ったときに、前記更新終了判定タイマをリセットし、かつ、前記更新終了判定タイマがカウントアップしたときに前記温度差最大値の更新が終了したと判定して、前記更新終了判定タイマをリセットし、
    前記フィードバック値更新処理部は、前記温度差最大値が前記フィードバック値更新処理部に記憶された前記フィードバック値を超えたとき、および、前記更新終了判定タイマがカウントアップしたときに、前記最大値更新処理部に記憶される前記温度差最大値を前記フィードバック値とする前記フィードバック値の更新を行うとともに更新後の前記フィードバック値を記憶し、
    前記更新終了判定タイマがカウントアップされると、前記最大値更新処理部は、前記最大値更新処理部に記憶される前記温度差最大値を初期値にリセットし、前記最小値更新処理部は、前記最小値更新処理部に記憶される前記温度差最小値を初期値にリセットすることを特徴とする請求項2記載の回転型流体輸送機械システム。
  6. 前記被供給部は、樹脂成形装置の金型であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の回転型流体輸送機械システム。
  7. モータを駆動源とし、流体が供給される被供給部に向かって流体を送る回転型流体輸送機械の制御方法において、
    前記被供給部へ流入する流体の温度と前記被供給部から流出する流体の温度との差であって、所定の周期で周期的に変動する流体温度差を一定時間おきに抽出したサンプリング値の、前記流体温度差の変動周期の1周期内の最大値を利用してフィードバック値を生成し、前記フィードバック値に基づいて前記モータの回転数をフィードバック制御することを特徴とする回転型流体輸送機械の制御方法。
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