本発明の第1の実施例を、図面を参照して説明する。図中の同じ番号の構成要素は、特段の説明がない限り他の図面中においても同じ構成要素を示している。
インクジェットヘッドの構造について述べる。図1及び図2はアクチュエータが隣接する圧力室間で共有されたせん断モード型のインクジェットヘッド101の構成を示す断面図である。インクジェトヘッド101は、低誘電率の基板1、圧電部材2、3、天板枠4、天板蓋5、ノズルプレート11、駆動回路と接続されたケーブル16で構成されている。
低誘電率の基板1の先端部には、分極方向が互いに板厚方向に対して内側に向かって反対になるように貼り合わせた圧電部材2、3が埋め込まれている。圧電部材2、3及びその後方にある基板1の部分には、ダイヤモンドカッタを用いた切削加工によって一定の間隔で複数の長溝6が互いに平行に形成されている。基板1の上部に天板枠4とインク供給口15を有する天板蓋5を接着して、インク供給路14が形成されている。各長溝6と天板枠4とで、複数の圧力室7が形成されている。各圧電部材2、3は、電圧印加によって圧力室7を変形させるアクチュエータ13(13a〜13k)になっている。各圧電部材2、3の先端にインク滴を吐出するためのノズル10を形成したノズルプレート11が接着剤により固定されている。ノズル10は、各圧力室7の先端部に位置し、所定の大きさの内径で形成されている。圧力室7を形成するそれぞれの長溝6の側面と底面には、他の長溝6とは電気的に独立した電極8が無電解メッキにより形成されている。電極8は圧力室7の後端から基板1の上面に延出し後述する駆動回路に接続されている。なお、無電解メッキに限らず、電極8はスパッタリングや真空蒸着などで電極材料を成膜した後、エッチングにより所定のパターンに形成する方法も可能である。
図2の圧力室7cからインクを吐出させる場合を例として、インクジェットヘッドの動作を説明する。圧力室7a〜7jに対応する電極を8a〜8jとし、ノズルを各々ノズル1 0a〜10jとする。インク供給口15からインクジェットヘッド内に供給されたインク12は、インク供給路14を通して圧力室7に充填される。後述する駆動信号により、電極8cと電極8b、及び電極8cと電極8dの間に電位差が生じると、アクチュエータ13c及び13dがせん断変形して圧力室7c内の容積が変化し、ノズル10cからインクが吐出する。
アクチュエータ13は左右に隣接する圧力室7の間で共用されているため、本インクジェットヘッドは互いに隣接する2つの圧力室7からそれぞれ独立にインクを吐出させることはできない。互いに隣接する圧力室7が同時に駆動されないように、本インクジェットヘッドは時分割駆動してインク吐出させている。
さらに、圧力室7cのインクを吐出させる場合、電極8aと8b間にも電位差を生じさせることにより、圧力室7bに発生する圧力振動が圧力室7aに分散するようにアクチュエータ13bを圧力室7a方向に変形させている。アクチュエータ13bを変形させると同時に電極8dと8e間にも電位差を生じさせ、圧力室7dに発生する圧力振動が圧力室7eに分散するようにアクチュエータ13eを圧力室7e方向に変形させている。図2は5分割駆動の各アクチュエータの変形例を強調して示している。このように、ある圧力室からインクを吐出させる場合、隣接している圧力室に発生する圧力振動を他の圧力室へ分散させることにより、非吐出ノズル内のメニスカス振動の振幅を減らすことができる。非吐出ノズル内のメニスカス振動が減少すると、ノズル面からメニスカスが盛り上がる現象も減少し、そのノズルから次にインクを吐出させる時にメニスカス位置のばらつきが小さくなる。メニスカス位置が安定することで、インク滴の吐出速度や吐出体積のばらつきが抑制されて印字品質が向上する。
図3を用いて、インクジェットヘッドの駆動回路のブロック図を説明する。駆動回路は、駆動波形メモリ21、D/A変換機22、増幅器23、駆動信号選択手段24、画像メモリ25、デコーダ26で構成されている。
駆動波形メモリ21には、インクを吐出させる圧力室に印加する駆動信号ACTと、インクを吐出させない圧力室に印加する駆動信号INAを発生するための波形情報が記憶されている。これらの駆動信号ACTとINAの波形情報は、各々D/A変換機22でアナログ信号に変換される。さらに、これらのアナログ信号は、増幅器23で増幅された後、駆動信号選択手段24に入力される。
画像メモリ25に記録された画像の各画素の階調情報に基づき、デコーダ26がインク滴の吐出/非吐出を制御するON/OFF信号27を発生させる。インクジェットヘッドは、1画素につき、吐出体積が各々6pl、12pl、24plの3種類のインク滴を選択的に吐出または非吐出させることができる。階調データに合わせてインク滴体積を組み合わせることで、図4に示すように最大で8値の階調記録を行うことができる。
図5は駆動信号選択手段24の回路図を示している。デコーダ26は圧力室数に対応するだけON/OFF信号の出力数を有している。図5では、図2に示した一部のヘッドの電極に対応したON/OFF信号27a〜27jとアナログスイッチ30a〜30jについて示しているが、実際にはインクジェットヘッド101の全ての圧力室7の電極8に対応してON/OFF信号27とアナログスイッチ30は設けられる。駆動信号選択手段24は、アナログスイッチ30a〜30jを備え、ON/OFF信号出力27a〜27jがONの場合は駆動信号ACTを選択し、OFFの場合は駆動信号INAを選択して、電極8a〜8jに分配する。駆動信号ACT1〜ACT5は、各々時分割駆動における第1〜第5サイクルに対応している。
圧力室7cからインクを吐出させ、同じ動作タイミングにある圧力室7hからはインクを吐出させない例を説明する。圧力室7cに対応するON/OFF信号27cと、その両側の2つずつのON/OFF信号27a、27b、27d、27eをONとする。このとき、圧力室7hに対応するON/OFF信号27hと、その両側の2つずつのON/OFF信号27f、27g、27i、27jをOFFとする。これらON/OFF信号の印加によって、インクを吐出させる圧力室7cとその両側の2つずつの圧力室7a、7b、7d、7eにはACT信号による駆動信号を供給し、インクを吐出させない圧力室7hとその両側の2つずつの圧力室7f、7g、7i、7jにはINA信号による駆動信号を供給する。
駆動信号選択手段に供給される駆動信号ACT1〜ACT5及びINAについて説明する。インク吐出用の駆動信号ACT1〜ACT5と、非インク吐出用の駆動信号INAの1印字周期分を図6に示す。駆動信号ACT1〜ACT5はW1、W2、W3の3種の駆動信号で構成され、INAはW4の駆動信号で構成されている。駆動信号ACT1〜ACT5は、各々時分割された時間だけ位相が異なっている。例えば、圧力室7cからインクを吐出させる場合、第3サイクルにおいてON/OFF信号27a〜27eをONにすることにより、圧力室7aと7eにはW3の駆動信号、圧力室7bと7dにはW2の駆動信
号、圧力室7cにはW1の駆動信号が供給される。
図7を用いて駆動信号W1〜W4について述べる。W1〜W4の各々は、体積が6plの第1ドロップを吐出させる期間にあるW1a、W2a、W3a、W4aと、体積が12plの第2ドロップを吐出させる期間にあるW1b、W2b、W3b、W4bと、体積が24plの第3ドロップを吐出させる期間にあるW1c、W2c、W3c、W4cとで構成されている。
例えば、圧力室7cから第1ドロップを吐出させ、圧力室7hからは第1ドロップを吐出させない場合、第3サイクルの第1ドロップの期間にON/OFF信号27a〜27eをONにし、ON/OFF信号27f〜27jをOFFにする。そのON/OFF信号によって、電極8cにはW1aの駆動信号が印加され、電極8b、8dにはW2aの駆動信号が印加され、電極8a、8eにはW3aの駆動信号が印加され、電極8f〜8jにはW4aの駆動信号が印加される。この結果、アクチュエータ13c、13dは駆動信号W1aとW2aの電位差により大きく変形して、圧力室7cから6plのインク滴が吐出する。アクチュエータ13bは、駆動信号W2aとW3aの電位差により圧力室7bに発生する圧力振動を圧力室7aに分散させる方向に変形する。同様に、アクチュエータ13eは、圧力室7dに発生する圧力振動を圧力室7eに分散させる方向に変形する。そのアクチュエータ13eの変形によって圧力室7e内のインクの圧力が上昇しアクチュエータ13fを圧力室7fの方向に変形させる力が発生するが、アクチュエータ13fは駆動信号W3aとW4aの電位差によりその力とは逆方向の力が発生し、実質的に変形しなくなる。そのため、圧力室7cで吐出動作を行った際に圧力室7eに発生する圧力振動がアクチュエータ13fを介して圧力室7fに漏洩する現象が遮断され、実質的にアクチュエータを介するクロストークを0にすることができる。アクチュエータ13g〜13jには各アクチュエータを挟む電極に同じ駆動信号W4aが印加されるため、変形しないので、圧力室7hからインクは吐出しない。
駆動信号W1〜W4の決定方法について説明する。駆動信号W1〜W4は、残留圧力振動の抑制、クロストークの防止、階調制御、アクチュエータの固有振動の抑制などの観点から望ましいメニスカス振動を定義しておき、この望ましい振動をメニスカスに生じさせる駆動信号を、インクジェットヘッドの駆動信号に対するメニスカスの流速振動の応答特性を利用して逆算することによって求めている。以下、駆動信号を逆算するために定義されたメニスカス振動を仮想メニスカス振動と称する。メニスカスの流速振動を単に流速振動と称する。
仮想メニスカス振動は、実際のインクジェットヘッドの吐出動作において生じるメニスカス振動から、ノズルからのインク吐出に伴うメニスカスの前進や、ノズルからインクが排出された後に発生するメニスカスの後退や、インクの表面張力等によるインクリフィル作用に伴うメニスカスの前進などの非線形な成分を除去した、駆動信号に対して線形なメニスカス振動である。このようなメニスカス振動は、インクが吐出しない程度に振幅を縮小した駆動信号をインクジェットヘッドに与えた場合に発生するメニスカス振動の振幅を拡大したものと考えることができる。図8を用いて実際のメニスカス振動と仮想メニスカス振動の相違を示す。
このような仮想メニスカス振動は、実際のインクジェットヘッドの吐出動作において生じるメニスカス振動とは異なるが、インクの吐出速度や吐出体積、インク吐出動作後の残留振動、ノズル間のクロストーク、アクチュエータの固有振動によるメニスカスの微振動など、インクジェットヘッドの吐出動作に重要な特性を反映している。また、実際のメニスカス振動は、非線形振動なことに加え、インクリフィル作用など駆動信号とは無関係な要因の影響を受けるので、実際のメニスカス振動を駆動信号により制御することには限界がある。しかし、仮想メニスカス振動は、駆動信号とは無関係な要因の影響を受けないので、駆動信号で仮想メニスカス振動を十分に制御することが可能である。したがって、望ましい仮想メニスカス振動を定義し、それを生じさせる駆動信号をアクチュエータに与えることにより、インクの吐出速度や吐出体積、インク吐出動作後の残留振動、ノズル間のクロストーク、アクチュエータの固有振動によるメニスカスの微振動などに関して望ましい特性を得ることができる。
仮想メニスカス振動から駆動信号の波形を逆算する過程で必要となる、インクジェットヘッドの駆動信号に対する流速振動の応答特性Rの求め方について述べる。応答特性Rは、テスト駆動信号VTに対するノズル内の流速振動UTから求める。具体的には、テスト駆動信号VT1〜VT10を各々の電極8a〜8jに印加する。VT1は図9に示す低電圧の周期Tcのノイズ波形であり、VT2〜VT10は0Vとする。Tcは、インク吐出動作の時間より十分長くすることが望ましい。さらに、電極8kに対しては電極8aと同じVT1を印加して、なるべく多数の圧力室に対して10チャンネルおきの駆動パターンを適用する。そのような駆動パターンでヘッドを駆動するとき、ノズル10a〜10j内のメニスカスの流速を各々UT1〜UT10としたとき、図10に示すような周期Tcの流速振動が発生する。この流速振動は、市販のレーザドップラ振動計、例えば(株)小野測器のLV−1710を用い、インクジェットヘッドのノズル内のメニスカスに測定用レーザビームを照射することによって観測することができる。
下記の数式〔数1〕および数式〔数2〕を用いて、テスト駆動信号VTと、流速振動UTをフーリエ変換し、各々電圧スペクトルFVTと流速スペクトルFUTに変換する。
ここで、mは、レーザドップラ振動計で観測された時系列流速データのデータ数である。レーザドップラ振動計で観測された流速データのサンプリング時間をdtとすれば、mはTc/dtの値となる。添字のiは、チャンネル番号を示す1から10までの整数であり、この番号は電極8a〜8jまたはノズル10a〜10jに対応している。また、添字のjは、時系列データにおいて先頭からj番目のデータを示す1〜mまでの整数である。j番目のデータは、時刻j×dtのデータを示している。添字のkは、周波数系列データにおいて先頭からk番目のデータを示す1〜mまでの整数である。k番目のデータは、周波数(k−1)/Tcのデータを示している。Iは虚数単位である。ここで述べた添字の記法は以下の説明においても用いることとする。
電圧スペクトルFVTi,kは、駆動信号VTiの周波数(k−1)/Tcにおける電圧振幅と位相を複素数の形で表している。また、流速スペクトルFUTi,kは、流速振動UTiの周波数(k−1)/Tcにおける流速振幅と位相を複素数の形で表している。
電圧スペクトルFVTと流速スペクトルFUTから、次の数式〔数3〕により応答特性Rを求める。
Ri,kは、テスト駆動信号VT1に対するノズル内のメニスカス流速Uiの周波数(k−1)/Tcにおける振幅と位相の変化を複素数の形で示している。Riをチャンネルiの応答特性としたとき、R1〜R10の絶対値と位相角を図11に示す。以上、テスト駆動信号としてノイズ波形を用いた場合について説明したが、テスト駆動信号として周波数可変の正弦波や余弦波を用い、各周波数における流速振動の振幅と位相を測定することによって応答特性Rを求めことも可能である。
その応答特性Rを用い、仮想メニスカス振動から駆動信号を決定する方法について述べる。図12に本実施例の仮想メニスカス振動の変位Xを示す。例えば、圧力室7cから第1〜第3ドロップを吐出させ、圧力室7hからはインクを吐出させない場合、ノズル10a〜10jの仮想メニスカス振動の変位は各々X1〜X10となる。仮想メニスカス振動の変位の+側の山のピークの変位にノズルの開口径を乗じたものが各ドロップのインクの吐出体積に相当する。
仮想メニスカス振動の変位は、下記に述べる演算を行う都合上、始点と終点が実質的に連続で、始点から終点まで微分した結果が連続であり、なおかつ微分した結果の始点と終点も実質的に連続であるとしている。
仮想メニスカス振動の変位Xに対応する仮想メニスカス振動の流速を求める。仮想メニスカス振動の流速Uは、次の数式〔数4〕により求められる。
上記数式〔数4〕により求められた仮想メニスカス振動の流速U1〜U10を、図13に示す。
仮想メニスカス振動の流速Uは始点から終点まで実質的に連続な時系列データで、また始点と終点も実質的に連続である。仮想メニスカス振動の流速を仮想メニスカス振動の変位から演算するかわりに、最初から仮想メニスカス振動の流速を定義しても良い。
下記の数式〔数5〕を用いて仮想メニスカス振動の流速Uのフーリエ変換を行い、仮想メニスカス振動の流速Uの流速スペクトルFUを得る。
流速スペクトルFUi,kは、仮想メニスカス振動の流速Uiの周波数(k−1)/Tcにおける流速振幅と位相を複素数の形で表している。このようにして得られた流速スペクトルFUのうち、FU3の絶対値を図14に示す。ここで、fmaxは、その周波数以下に大部分の周波数成分が含まれる周波数であり、後述するように、駆動信号VAの周波数成分の上限を定めるために用いられる。
次に、インクジェットヘッドの応答特性Rと仮想メニスカス振動の流速スペクトルFUとから、駆動信号の電圧スペクトルFVAを求める。応答特性行列[R]kを数式〔数6〕、電圧ベクトル{FVA}kを数式〔数7〕、仮想メニスカス振動の流速ベクトル{FU}kを数式〔数8〕としたとき、数式〔数9〕により周波数(k−1)/Tcにおける電圧ベクトルFVAkが求められる。
上記の数式〔数7〕および数式〔数9〕で得られた電圧スペクトルFVAi,kは、仮想メニスカス振動の流速Uiを発生させる駆動信号VAiの、周波数(k−1)/Tcにおける電圧振幅と位相を複素数の形で表している。また、上記数式〔数6〕で得られる[R]kのa行b列目の要素は、b番目のチャンネルの周波数(k−1)/Tcの電圧振動に対するa番目のノズル内のメニスカス流速振動の振幅と位相の変化を複素数の形で表している。[R]k−1は[R]kの逆行列である。逆行列の演算は、WOLFRAM RESEARCH社のMATHEMATICA(登録商標)などの数式解析ソフトウエアにより行うことができる。
駆動信号VAは、電圧スペクトルFVAを下記数式〔数10〕で逆フーリエ変換することにより得られる。
ここで、Re[z]は、複素数z=a+bIの実数部aを得る関数である。VAi,jは、仮想メニスカス振動の流速Uを発生させる駆動信号VAの、i番目のチャンネルの時刻j×dtにおける電圧値である。このように得られた駆動信号VAi、すなわちVA1〜VA10は、各々電極8a〜8jに印加された場合、ノズル10a〜10j内のメニスカスに仮想メニスカス振動の変位X1〜X10を生じさせる駆動信号になる。
また、m’は、次の数式〔数11〕のとおりとなる最も大きい整数である。
このように逆フーリエ変換の周波数の上限をfmaxとすることにより、駆動信号VAの周波数成分の上限値がfmaxに定められる。仮想メニスカス振動が実際のインクジェットヘッドがほとんど応答しない周波数成分を有している場合に、fmaxを定めることによって、駆動信号VAの電圧振幅が異常に大きくなる事態を防止できる。fmaxはFUの周波数成分の大部分がfmax以内に含まれることが望ましい。駆動信号VAの電圧変動が現れる期間や電圧振幅は、圧力室の長さLに応じて変化する。圧力室の長さLは、電圧変動が現れる期間が最小限になる範囲内で、電圧振幅が最も小さくなる値に定められることが望ましい。以上のようにして得られた駆動信号VA(VA1〜VA10)を、図15に示す。
以上のようにして得られた駆動信号VAは、そのままインクジェットヘッドの駆動信号として用いることが可能であるが、駆動信号VAから図15の点線で示すような基準電圧波形VREF(VREF1〜VREF10)との差を計算して、図16に示す駆動信号VB(VB1〜VB10)を得ることにより、駆動信号の長さを短縮できる。このことにより、インクジェットヘッドの駆動周期を短縮でき、印刷速度を向上させることができる。
以上のようにして得られた駆動信号VBは、そのままインクジェットヘッドの駆動信号として用いることが可能であるが、さらに下記の数式〔数12〕で示される駆動信号VDを得ることにより、駆動信号の電圧振幅を小さくできる。このことにより、駆動回路のコストを低減でき、安価なインクジェット記録装置を提供できる。図17に、駆動信号VD1〜VD10を示す。
ここで、MIN[VB1,j,VB2,j,...]は、[ ]内の値のうち最小値を示す関数である。
上述の計算で求めた駆動信号VD3は駆動信号W1になり、駆動信号VD2またはVD4は駆動信号W2になり、駆動信号VD1またはVD5は駆動信号W3になり、駆動信号VD6〜VD10のいずれかは駆動信号W4になる。
インクジェットヘッドがせん断モード型でなく、各々独立して圧力室の制御が可能な場合や、せん断モード型構造であっても圧力室間のクロストークを無視して良い場合は、以下の手順で駆動信号の波形を計算できる。
本実施例と同様の方法で、1つのチャンネルについてのみ応答特性Rを求めるとともに、1つのチャンネルについてのみ仮想メニスカス振動の流速Uを定義して、仮想メニスカス振動の流速の流速スペクトルFUを求める。そして、下記の数式〔数13〕により、駆動信号の電圧スペクトルFVを求め、最後に、本実施例と同様の方法で電圧スペクトルFVを逆フーリエ変換することにより、駆動信号Vが求められる。
この例において、インクを吐出する圧力室7cを駆動するアクチュエータ13c、13dに印加される駆動信号VEは「VE=VD3−VD2」により算出され、図18に示す駆動信号となる。
上述の波形情報生成方法を用いて得られた駆動信号によって動作するインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置について説明する。
図19は、インクジェット記録装置の構成を示している。用紙104が無端搬送ベルト103によって矢印方向に搬送される。インク吐出方向が用紙面に向くように、同じ4個のインクジェットヘッド101が基板102上に装着されている。搬送されている用紙上に画像データに合わせてインクを吐出させ、所望の画像を形成するようになっている。このインクジェット記録装置では、4個のインクジェットヘッドを1列に配置して、用紙幅に相当する印字幅で記録するので、高速に印字可能になっている。
インクジェットヘッド101を動作させる駆動信号を生成する場合は、上述したように、始にノイズ波形あるいは正弦波などの適当なテスト波形を用い、製造されたインクジェットヘッドの駆動信号に対するメニスカスの応答特性Rを測定する。次に、測定した応答特性とあらかじめ定められた仮想メニスカス振動を元に、前述の数式〔数4〕〜数式〔数10〕を用いて駆動信号の波形を演算により作成する。得られた駆動信号の波形をインクジェット記録装置の駆動波形メモリに記憶させる。このメモリに記憶したデータは駆動信号生成のための波形情報に相当する。
図20に示すように、測定された応答特性Rと仮想メニスカス振動をインクジェット記録装置に記憶させておき、インクジェット記録装置内で上述した方法により駆動信号の波形を演算することも可能である。その場合、演算手段27でfmax以上の駆動信号VAの波形の周波数成分をカットするか、あらかじめ仮想メニスカス振動メモリ28に記憶される仮想メニスカス振動あるいは応答特性メモリ29に記憶される応答特性のfmax以上の周波数成分をカットしておくことが望ましい。
従来のインクジェット記録装置では、製造時にインクジェットヘッドの特性のばらつきに応じた駆動信号のタイミングの調整と電圧振幅の調整が行われていたが、インクジェットヘッドの主音響共振周波数のばらつきに伴いインクの吐出時間が変化するため、インクの吐出速度や体積がばらつくという課題があった。しかし、本発明では、駆動信号はあらかじめ定められたメニスカス振動を再現するように設定されるため、インクジェットヘッドヘッドの主音響共振周波数がばらついてもインクの吐出速度や体積がばらつく課題を解決できる。また、本発明のインクジェット記録装置を製造する場合、駆動信号のタイミングの調整と電圧振幅の調整を省略することができるので、安価なインクジェット記録装置を提供できる。
1画素を形成するために吐出体積が異なる複数のインクドロップを選択的に吐出させる場合の仮想メニスカス振動について、図12を用いて詳細に述べる。吐出体積が異なるインクドロップ間でインクの吐出速度が各々大きく異なる場合、吐出速度が低すぎるインク滴は着弾位置精度が悪く、インク吐出速度が大きすぎる場合にはインク吐出動作が不安定となる。インクの吐出時間をstとし、インク吐出時のメニスカス変位をaとするとき、インクの吐出速度はおおむねa/stとなる。本実施例では、インクを吐出させるノズルの仮想メニスカス振動の変位X3において、第1ドロップ、第2ドロップ、第3ドロップ吐出時の吐出時間を各々st1、st2、st3とし、インク吐出時の仮想メニスカス振動の変位をa1、a2、a3とするとき、下記数式〔数14〕のとおりとして、各ドロップの吐出速度がおおむね一定になるように仮想メニスカス振動を定義している。
このため、各ドロップの吐出体積に応じて吐出時間stを可変している。また、各ドロップの仮想メニスカス振動の変位の終端に、変位が0でありかつ変位の時間微分で表される流速が0となる条件を設定することにより、各ドロップの吐出動作終了後の残留振動を実質的に0にしている。その結果、例えば第2ドロップを吐出させる場合、第1ドロップを吐出させたか否かによるインク吐出速度の変動を防止でき、各ドロップの吐出速度を均一化できる。
以上のような仮想メニスカス振動は、吐出体積が各々異なり、吐出速度が概ね一定で、なおかつ残留振動が実質的に0となることから、階調印字性能に優れ、残留圧力振動による吐出するインク滴の速度や体積のばらつきが少ない、印字品質に優れたインク吐出動作を可能にするといえる。
また、図13において、吐出ノズル10cに隣接するノズル10b、10dの流速振動U2、U4は、ノズル10cの流速振動U3の−1/4になっている。このような構成において、ノズル10c、10hからインクを同時に吐出させる場合に、非吐出ノズル10d〜10gの流速振動は吐出ノズル10c、10hの−1/4になる。すなわち、吐出ノズル10c、10hのインク吐出に伴う非吐出ノズル10d、10gの流速振動を、非吐出ノズル10e、10fに対して分散させて、ノズル10d〜10gに発生する流速振動の振幅を均一にする。これは、流速振動の振幅は圧力振動の振幅に比例するので、インクを吐出させる圧力室7c、7hのインク吐出動作に伴う、インクを吐出させない圧力室7d、7gの圧力振動を、インクを吐出させない圧力室7e、7fに対して分散させて、圧力室7d〜7gに発生する圧力振動の振幅を均一にすると表現しても良い。非吐出ノズルにおいて、メニスカスの盛り上がりを生じさせる力は、おおむね各ノズルの流速の2乗に比例する。非吐出ノズル全体としてメニスカスの盛り上がりを生じさせる力を最小にするにためには、非吐出ノズルに対してインク吐出動作に伴う流速振動を均一に分散させればよいことは明らかである。流速振動を均一に分散させることで、メニスカスがノズル面から盛り上がる現象を抑制することができ、インク吐出時のメニスカスの位置のばらつきが小さくなり、インク滴の吐出速度のばらつきが抑制されて印字品質が向上する。
本発明の第2の実施例について説明する。本実施例では、仮想メニスカス振動Xが、図21のようになっている。仮想メニスカス振動X3のメニスカス変位aと吐出時間stは各ドロップともおおむね一定であるが、インク吐出前のメニスカス引き込み量b(b1、b2、b3)を各ドロップによって異ならせることで、インクの吐出体積を可変させている。メニスカス変位aと吐出時間stは各ドロップともおおむね一定なため、各ドロップの吐出速度はおおむね一定になる。また、各ドロップの仮想メニスカス振動の変位の終端に、変位が0でかつ変位の時間微分である流速が0となる条件を設定することにより、各ドロップの吐出動作終了後の残留振動を実質的に0にしている。このことにより、例えば第2ドロップを吐出させる場合、第1ドロップを吐出させたか否かに起因する吐出速度の変動を防止でき、各ドロップの吐出速度を均一化できる。
本実施例においても駆動波形の作成方法は第1の実施例と同様である。本実施例の流速振動Uを図22に、流速振動Uの流速スペクトルFU3を図23に、駆動信号VAを図24に、駆動信号VBを図25に、駆動信号VDを図26に、各々示す。
第2の実施例において、インクを吐出する圧力室7cを駆動するアクチュエータ13c、13dに印加される駆動信号VEは、VE=VD3−VD2で算出され、図27に示す駆動信号となる。第1ドロップ、第2ドロップ、第3ドロップを吐出させる駆動信号は各々VEa、VEb、VEcである。ここで、+側は圧力室の容積を拡大させ、−側は圧力室の容積を収縮させることを表している。駆動信号VEa、VEb、VEcは、各々2周期の電圧振動を有し、かつ圧力室の容積を拡大させる側の電圧振幅と圧力室の容積を収縮させる側の電圧振幅が各ドロップに応じて異なっている。また、各駆動信号VEa、VEb、VEcの電圧の最大値と最小値の差は実質的に同じである。駆動信号VEa、VEb、VEcは、吐出体積が各々異なり、吐出速度が概ね一定で、なおかつ残留振動が実質的に0となる仮想メニスカス振動から逆算されたものであるから、上記の特徴を有する駆動信号VEa〜VEcは階調印字性能に優れ、残留圧力振動による吐出するインク滴の速度や体積のばらつきがない、印字品質に優れた駆動信号といえる。
この駆動波形をアクチュエータ13c、13dに印加したとき、圧力室7cは以下に述べるインク吐出動作を行う。最初に圧力室の容積を拡張し、次に容積を収縮し、再び容積を拡張し、再び容積を収縮した後に、インク吐出動作前の容積に戻すことによりインク滴を吐出させ、圧力室の容積の拡張量と収縮量を異ならせることでインク吐出体積を可変している。各吐出動作における圧力室の容積の最大値と最小値の差は実質的に同じである。
上記の特徴を有するインクジェットヘッドの駆動方法は、吐出体積が各々異なり、出速度が概ね一定で、なおかつ残留振動が実質的に0となることから、階調印字性能にすぐれ、残留圧力振動による吐出するインク滴の速度や体積のばらつきがない、印字品質に優れた駆動方法といえる。
本発明の第3の実施例について説明する。本実施例は、4分割駆動で、インクが吐出するノズル内の仮想メニスカス振動は第1の実施例と同じである。4分割駆動では、駆動信号選択手段24が5分割駆動と異なっている。
図28に駆動信号選択手段24の回路図を示す。駆動信号選択手段24では、デコーダ出力にしたがってON/OFF信号27a〜27jがONの場合はアナログスイッチ30a〜30jによりACT信号を選択し、ON/OFF信号27a〜27jがOFFの場合はアナログスイッチ30a〜30jによりINA信号の選択して、駆動信号ACT1〜ACT4及びINA1〜INA4を電極8に印加する。ACT1〜ACT4は、各々時分割駆動における第1〜第4サイクルに対応している。例として、あるタイミングにおいて、圧力室7cからインクを吐出させ、同じ動作タイミングにある圧力室7gからインクを吐出させない場合の動作を説明する。圧力室7cからインクを吐出させるために、ON/OFF信号27a、27b、27c、27dをONにする。これらのON/OFF信号は、圧力室7cとその片側2つ(圧力室7a、7b)とその反対側1つ(圧力室7d)に対応している。圧力室7gからインクを吐出させないために、ON/OFF信号27e、27f、27g、27hをOFFにする。これらのON/OFF信号は、圧力室7gとその片側2つ(圧力室7e、7f)とその反対側1つ(圧力室7h)に対応している。これらのON/OFF信号の印加によって、インクを吐出させる圧力室7cとそのその片側2つと反対側1つの圧力室7a、7b、7dにはACT信号を供給し、インクを吐出させない圧力室7gと、その片側2つと反対側1つの圧力室7e、7f、7hにはINA信号を供給する。
駆動信号選択手段に供給される駆動信号ACT1〜ACT4及びINA1〜INA4について述べる。図29に、インク吐出用の駆動信号ACT1〜ACT4と、非インク吐出用の駆動信号INA1〜INA4の1印字周期分を示す。ACT1〜ACT4はW1、W2、W3の3つの駆動信号で、INA1〜INA4は駆動信号W3、W4、W5の3つの駆動信号で構成されている。ACT1〜ACT4は、各々時分割された時間だけ位相が異なっている。例えば、圧力室7cからインクを吐出させる場合、第3サイクルにおいてON/OFF信号27a〜dをONにすることにより、圧力室7aにはW3、圧力室7bと7dにはW2、圧力室7cにはW1の駆動信号が供給される。
駆動信号W1〜W5について図30を用いて述べる。W1〜W5は、各々体積が6plの第1ドロップを吐出させる期間にあるW1a、W2a、W3a、W4a、W5aと、体積が12plの第2ドロップを吐出させる期間にあるW1b、W2b、W3b、W4b、W5bと、体積が24plの第3ドロップを吐出させる期間にあるW1c、W2c、W3c、W4c、W5cとで構成されている。
圧力室7cから第1ドロップを吐出させ、圧力室7gからは第1ドロップを吐出させない場合を例示する。第1サイクルから第4サイクルの順で圧力室7a、7b、7c、7dから順にインクを吐出させている。圧力室7cからインク吐出させるために第3サイクルの第1ドロップの期間にON/OFF信号27a〜27dをONにし、ON/OFF信号27e〜27hをOFFにする。このON/OFF信号の印加によって、電極8cにはW1a、電極8bと8dにはW2a、電極8aと8eにはW3a、電極8fと8hにはW4a、電極8gにはW5aの駆動信号がそれぞれ印加される。この結果、図31に示すように、アクチュエータ13cと13dは駆動信号W1aとW2aの電位差により大きく変形して圧力室8cから6plのインク滴が吐出する。アクチュエータ13bと13eは駆動信号W2aとW3aの電位差により圧力室7bと7dに発生する圧力振動を圧力室7aと7eに分散させる方向に変形する。アクチュエータ13fは、駆動信号W3aとW4aの電位差により、圧力室8gから第1ドロップを吐出させる場合と同じように変形する。そのため、圧力室7cで吐出動作を行った際に圧力室7eに発生する圧力振動が、圧力室7gの吐出動作を行った場合と同じになり、実質的にクロストークを0にすることができる。アクチュエータ13gと13hは、駆動信号W4aとW5aの電位差により、圧力室7fで発生する圧力振動を分散させるように変形する。このようにすることにより、圧力室7fから7hに発生する圧力振動は微小になり、非吐出ノズル10f〜10iにおけるメニスカスが盛り上がる現象などを抑制できるので、印字品質に対する悪影響を低減できる。
本実施例においても駆動信号の作成方法は第1の実施例と同様である。図32に仮想メニスカス振動の変位Xを示す。例えば、圧力室7cから第1〜第3ドロップを吐出させ、圧力室7gからはインクを吐出させない場合、ノズル10a〜10hの仮想メニスカス振動の変位は各々X1〜X8となる。その仮想メニスカス振動の変位に対応する流速振動Uを図33に、駆動信号VAを図34に、駆動信号VBを図35に、駆動信号VDを図36に、各々示す。
図33において、吐出ノズル10cに隣接するノズル10b、10dの流速振動U2、U4は、ノズル10cの流速振動U3の−1/3になっている。このような構成において、ノズル10cと10gからインクを同時に吐出させる場合に、非吐出ノズル10d〜10fの流速振動は、吐出ノズル10c、10gの−1/3になる。すなわち、吐出ノズル10cと10gのインク吐出に伴う、非吐出ノズル10dと10fの流速振動を、非吐出ノズル10d〜10fに対して均一に分散させる。
これは、流速振動の振幅が圧力振動の振幅に比例することから、インクを吐出させる圧力室7cと7gのインク吐出動作に伴う、インクを吐出させない圧力室7dと7fの圧力振動を、インクを吐出させない圧力室7d〜7fに対して均一に分散させると表現しても良い。非吐出ノズルにおいて、メニスカスの盛り上がりを生じさせる力は、おおむね各ノズルの流速の2乗に比例する。そのため、非吐出ノズル全体としてメニスカスの盛り上がりを生じさせる力を最小にするには、非吐出ノズルに対してインク吐出動作に伴う流速振動を均一に分散させればよいことは明らかである。流速振動を均一に分散させることで、メニスカスがノズル面から盛り上がる現象を抑制することができ、インク吐出時のメニスカスの位置のばらつきが小さくなる。よって、インク滴の吐出速度のばらつきが抑制されて印字品質が向上する。
圧力室7cと7gから同時にインクを吐出させ、続けて順次圧力室7dと7h、7eと7i、7fと7jから同時にインクを吐出させた場合の、ノズル10c〜10fのメニスカス変位を数値解析シミュレーションした結果を図37に示す。実線は非吐出ノズルにおいてインク吐出動作に伴う流速振動を均一に分散させた場合である。それに対して、破線は非吐出ノズルにおいてインク吐出動作に伴う流速振動を不均一に分散させた場合である。不均一に分散させた場合の例は、圧力室7cと7gから同時にインクを吐出させ、圧力室7d・7e・7fの圧力の比を各々1/4:1/4:1/2として計算している。矢印は各ノズルにおいてインク吐出が開始されるタイミングを示している。各吐出開始タイミングにおける不均一に分散させた場合のメニスカスの盛り上がりは、特にノズル10cの2番目の吐出タイミングにおいて最も大きくなり、均一に分散させた場合のメニスカスの盛り上がりはいずれの吐出開始タイミングにおいてもこれを下回っている。
本実施例において、圧力室7gからインクを吐出させるか否かにかかわらず圧力室7cのインク吐出動作を一定にするために、圧力室7gからインクを吐出しない場合においてもアクチュエータ13fを変形させて、圧力室7gからインクが吐出する時に圧力室7eに生じる圧力振動と、圧力室7gからインクが吐出しない時に圧力室7eに生じる圧力振動とを同じにしている。この場合、ノズル10f〜10hの流速振動U6〜U8を、ノズル10cの流速振動U3の1/9にすることで、非吐出ノズル10f〜10hのメニスカス盛り上がりを最小化できる。これは、任意の時刻におけるU1〜U8の合計が実質的に0になるというシェアードウォールヘッドの性質を用いて導かれる。すなわち、U1〜U8は、下記の数式〔数15〕のとおりとなる。
このとき、U1〜U5は、圧力分散により下記の数式〔数16〕のとおりとなる。
したがって、上記数式〔数15〕および〔数16〕より、次の数式〔数17〕に示すとおりとなる。
ゆえに、メニスカス盛り上がりの力が流速の2乗に比例することを考慮すれば、下記の数式〔数18〕のとおりであるのが最適なのは、明らかである。