JP5289729B2 - ポリマーブレンド系シラン変性ポリエチレン系樹脂組成物およびその架橋体 - Google Patents
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Description
詳しくは、押出し加工性がよく、また柔軟性、光沢性が良好で、特に高温時の温水圧下での耐久安定性に優れた給水・給湯用、床暖房用及びロードヒーティング用に好適に用いられるシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物およびこれを成型して得られる架橋パイプに関するものである。
上記温水用途のポリエチレンパイプは、特に長期温水使用下でのクリープ強度が要求されており、このクリープ強度を満足する為にポリエチレンを架橋処理したパイプが使用されている。
その中でも床暖房用途に使用される架橋ポリエチレンパイプは可とう性が必要なことからエチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)をベース樹脂としている。しかしこれは常温での機械強度は優れているものの高温使用時における機械強度がやや劣るという欠点があり、特に耐クリープ性能に問題があった。
ポリエチレンパイプの柔軟化には、ベース樹脂となる高密度ポリエチレン(HDPE)の平均密度を下げることで達成できることが一般に知られている。例えば、中低圧法ポリエチレン(HDPE)をベース樹脂として高圧法ポリエチレン(LDPE)をポリマーブレンドした架橋ポリエチレンパイプに関する技術が開示されている(特許文献1)。しかしながら、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド系は非相溶であり、両者の結晶状態が相分離(非特許文献1)することから、長期耐久性能が懸念される。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(A−1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である。
(A−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定において、logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C)が3〜25である。
(A−3)密度925〜950kg/m3である。
(A−4)メルトフローレート0.1〜10g/10分である。
(B−1)密度910〜930kg/m3である。
(B−2)メルトフローレート0.1〜50.0g/10分である。
(2)シラノール縮合触媒で架橋可能なことを特徴とする(1)に記載のシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物。
(3)線状系ポリエチレン(A)が、少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物、シクロペンタジエン化合物、および周期律表第IV族の遷移金属化合物から調製されたメタロセン担持触媒[I]と、液体助触媒成分[II]を用いて重合してなるものであることを特徴とする(1)または(2)に記載のシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物から得られるシラングラフト変性したシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物または(4)に記載のシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物から得られる架橋成型体。
(6)架橋シート、架橋パイプ、架橋チューブ、架橋ホースであることを特徴とする(5)に記載の架橋成型体。
(7)給水・給湯用架橋パイプ、床暖房用架橋パイプ、ロードヒーティング用架橋パイプであることを特徴とする(6)に記載の架橋成型体、
である。
本発明は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン共重合体であり、ポリエチレン主鎖中にエチレン以外の共重合しているα−オレフィンが分子量に因らず均一に分布した構造を有する線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)とからなるポリマーブレンド系のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物であり、さらにシラングラフト変性したシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物およびその架橋成型体の給水・給湯用架橋パイプ、床暖房用架橋パイプ、ロードヒーティング用架橋パイプである。
該重合法において用いられるメタロセン担持触媒とは、(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒を用いるのが好ましい。特に(ウ)の環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物中の遷移金属はチタニウムが好ましい。
担体物質(ア)としては、有機担体、無機担体のいずれでもよい。有機担体としては、好ましくは(1)炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体、例えば、エチレン樹脂や、プロピレン樹脂、ブテン−1樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン−1共重合体樹脂、プロピレン−ブテン−1共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン−1共重合体等、(2)芳香族不飽和炭化水素共重合体、例えば、スチレン樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂等、および(3)極性基含有重合体樹脂、例えば、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、アミド樹脂、カーボネート樹脂等が挙げられる。
担体の粒子径は任意であるが、一般的には1〜3000μm、粒子の分散性の見地から、粒子形分布は好ましくは10〜1000μmの範囲内である。
その他の有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキメチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライドなどのセスキアルキルハロゲノアルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドなどを挙げることができる。これらの中で最も好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドである。
担持触媒は例えば下記式(1)で示される(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有するチタン化合物を含む。
又、Lは環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立にシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、またはオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビ基、ヒドロカルビオルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8の置換基を任意に有していてもよく、さらには2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカルバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、ジラジイル、ハロシラジイル、アミノシランなどの2価の置換基により結合されていてもよい。
X' は各々独立に、炭素数4乃至40からなるフォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び/又は共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。
又、lは1または2の整数である。pは0、1又は2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子又はM及びLに各々1個ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl以上少なく、またはXがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl+1以上少ない。又、qは0、1または2である。遷移金属化合物としては上記式(1)でl=1の場合が好ましい。
例えば、遷移金属化合物の好適な例は、下記式(2)で表される。
また、R3 は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができる。
又、近接するR3 同士がヒドロカルバジイル、ジラジイル、またはゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
X" は各々独立にハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、またはシリル基であり、各々20までの非水素原子を有しており、また2つのX" が炭素数5〜30の中性共役ジエン、もしくは2価の誘導体を形成してもよい。
Yは、−O−、−S−、−NR*−、−PR*−であり、ZはSiR* 2、CR* 2、SiR* 2SiR* 2、CR* 2CR* 2、CR*=CR*、CR* 2SiR* 2またはGeR* 2であり、ここでR*は各々独立に炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基である。又、nは1乃至3の整数である。
さらに、遷移金属化合物として、より好適な例は、下記式(3)および下記式(4)で表される。
Z、Y、X及びX’の定義は前出のとおりである。pは0,1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXはハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基またはこれらの複合基であり、20個までの非水素原子を有している。
また、pが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXはアリル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基または2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基から選ばれる安定化アニオン配位子であるか、もしくはMの酸化数が+4であり、かつXが2価の共役ジエンの誘導体であるか、あるいはMとXがともにメタロシクロペンテン基を形成している。
また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX’は中性の共役或いは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素で置換されていてもよく、又該X’は40までの炭素原子を含み得るものであり、Mとπ型錯体を形成している。
さらに、本発明において、遷移金属化合物として最も好適な例は、下記式(5)及び下記式(6)で表される。
pは0、1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXは各々独立にメチル基またはヒドロベンジル基である。
また、pが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXが2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基であるか、或いはMの酸化数が+4であり、かつXが2−ブテン−1,4−ジイルである。
また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
活性化剤としては例えば、下記式(7)で表される化合物があげられる。
活性化剤のより好ましい例は下記式(8)で表される化合物である。
但し式中、[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、[MmQw(Gu(T−H)r)z]d−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至15族から選ばれる金属またはメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。又、GはM及びTと結合するr+1の価数を持多価炭化水素基であり、TはO、S、NRまたはPRであり、ここでRはヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基、もしくは水素である。
又、mは1乃至7の整数であり、wは0乃至7の整数でありuは0または1の整数であり、rは1乃至3の整数であり、zは1乃至8の整数であり、w+z−m=dである。
活性化剤のさらに好ましい例は下記式(9)で表される化合物である。
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンの具体例としては、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHRで置き換えられたボレートが挙げられる。ここでRは、好ましくはメチル基、エチル基またはtert−ブチル基である。
本発明においては、液体助触媒成分[II]は下記の式(10)で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物[III−1]とアミン、アルコール、シロキサン化合物から選ばれる化合物[III−2]との反応によって合成される、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物である。
〔式中、M1は周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、R4およびR5は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、a、b、c、dは次の関係を満たす実数である。0≦a、0<b、0≦c、0≦d、c+d>0、e×a+2b=c+d(ただし、eはM1の原子価)〕
本発明において、液体助触媒成分[II]は不純物のスカベンジャーとして用いられる。この液体助触媒成分[II]は、高濃度であっても重合活性を低下させることが少なく、したがって広い濃度範囲で高い重合活性を発現させることができる。このため液体助触媒成分[II]を含むオレフィン重合用触媒は、重合活性の制御が容易である。
有機マグネシウム化合物[III−1]は上記の(10)式で表される。なお、上記の(10)式中では炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、(R4)2Mgおよびこれらと他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号a、b、c、dの関係式e×a+2b=c+dは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
a>0の場合、金属原子M1としては、周期律表第1〜3族からなる群に属する金属元素が使用でき、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好ましい。
(ロ)R4、R5が炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR4が炭素原子数2または3のアルキル基であり、R5が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(ハ)R4、R5の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR4、R5が共に炭素原子数6以上のアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。
この化合物は、アミン、アルコール、シロキサン化合物からなる群に属する化合物である。
本発明においては、アミン化合物には特に制限はないが、脂肪族、脂環式ないし芳香族アミンが好ましい。具体的には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン等が挙げられる。
本発明においては、このシロキサン化合物として、対称ジヒドロテトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、ペンタメチルトリヒドロトリシロキサン、環状メチルヒドロテトラシロキサン、環状メチルヒドロペンタシロキサン、環状ジメチルテトラシロキサン、環状メチルトリフルオロプロピルテトラシロキサン、環状メチルフェニルテトラシロキサン、環状ジフェニルテトラシロキサン、(末端メチル封塞)メチルヒドロポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、(末端メチル封塞)フェニルヒドロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが好ましい。
本発明におけるシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物の有機過酸化物としては、既に公知のジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−オキシ)−ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチル−オキシ−イソプロピル)−ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、4,4,−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレリツク酸−ブチルエステル、1,1−ジ−(tーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、ジシクロベンゾパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、分子中に2重結合基とパーオキサイド基を有する化合物等があげられ、特にジクミルパーオキサイドと2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−オキシ)−ヘキシン−3が好ましい。
シラノール縮合触媒は、温水又は水蒸気の存在下でエチレン重合体にグラフトしたシラン化合物を架橋させる。シラノール縮合触媒としては、既に公知のジブチルスズジラウリレート、酢酸第一スズ、カプリル酸第一スズ、ナフテン酸スズ、カプリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、ナフテン酸コバルト、チタン酸テトラブチルエステル、エチルアミン、ジブチルアミン、特にジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルオクテートが挙げられる。
例えば、本発明のポリエチレン系樹脂組成物、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物の組成物にシラノール縮合触媒を添加し、押出機で溶融混合し、その後パイプ成型し、得られたパイプを温水又は水蒸気は存在下でシラン基を架橋させる方法、本発明におけるポリエチレン系樹脂組成物、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物の組成物を一度押し出し、得られたシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物にシラノール縮合触媒を添加してパイプ成型し、得られたパイプを温水又は水蒸気は存在下でシラン基を架橋させる方法、本発明におけるポリエチレン系樹脂組成物、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物の組成物でパイプを成型し、シラノール縮合触媒を含む温水又は水蒸気の存在下にパイプをさらしシラン基を架橋させる方法等がある。
上記シラン架橋パイプの製造においては、ポリエチレン系樹脂組成物はペレット又はパウダーのどちらの形態で用いてもかまわない。また有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物、およびシラノール縮合触媒は単独、又はポリエチレン系樹脂組成物とのマスターバッチとして用いてもよい。
一方、本発明で用いる特定のエチレン重合体は少量の有機シラン化合物添加量でも高いゲル分率が得られ、充分な機械特性が達成できる。
シラン架橋体またはシラン架橋パイプ10g切削し、キシレン溶媒を用いてソックスレー抽出器で10時間抽出し、抽出残量を測定し、以下の式により求める。
さらに具体的にはジラウリルチオプロピオネート、ジミリスチルチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレート等が挙げられる。
具体的な化合物を挙げると、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシュウムオレイン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどである。
上記の各種の添加剤を添加する方法として、線状系ポリエチレン(A)及びあるいは高圧法低密度系ポリエチレン(B)の製造時に予め添加剤を混合する方法を採用することもできる。
(1)密度
JIS−k−7112:1999に準じて測定した。
(2)メルトフローレート(MFR):JIS−k−7210:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準じて測定した。
(3)短鎖分岐数(n)
ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定を行った。
Waters社製150−C ALC/GPCを用いた。
カラムとしてはShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、溶媒に10ppmのイルガノクス1010を含むトリクロロベンゼンをもちいて、140℃で測定する分子量分布測定装置に検出器パーキンエルマー(株)社製FT−IR17600Xを設置してα−オレフィンに帰属されるメチル基の吸光度(吸収波数:2960cm−1)を測定して「高分子分析ハンドブック(朝倉書店発行)1985年版」に記載の方法で換算して短鎖分岐数nを求めた。
JIS−K−7161に準じて行ない、次のように評価した。
○:引張弾性率が50MPa以下の場合。
×:引張弾性率が50MPaを超える場合。
JIS−K−7151法に準拠して5mmの厚みのプレスシートを成型し、そのシートから試験片(110mm*6mm)を切削加工し、この試験片に約0.5mm深さのノッチを全周に入れる。
上記ノッチ入り試験片を、80℃の温水中に浸漬し、サンプルに応じて引張応力が5〜8MPaとなるように、荷重を印加する。
○:破壊時間が1,000時間以上で引張応力が5MPa以上の場合。
×:破壊時間が1,000時間未満の場合もしくは1,000時間以上で引張応力が5MPa未満の場合
○:パイプの肉厚に凹凸がなく、パイプ表面外観が目視にて良好な場合。
×:パイプが柔らかく蛇行した場合、パイプの肉厚に凹凸が生じパイプ表面外観が目視にて不良な場合。
(7)ゲル分率;シラン架橋パイプ10g切削し、キシレン溶媒をもちいてソックスレー抽出器で10時間抽出し、抽出残量を測定し以下の式により求める。
◎(最良好):反射光が明るく像がはっきりしている。
○(良好) :反射光が明るい。
×(不良) :反射光が暗い。
[メタロセン担持触媒[I]の調製]
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiO2であった。容量1.8リットルのオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800cc中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/リットル)を60cc加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がつぶされている成分[IV]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800ccを得た。
ボレートを含むこの反応混合物46ccを、上で得られた、成分[IV]のスラリー800ccに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上で得られた成分[V]のうち32ccを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されているメタロセン担持触媒[I]を得た。
有機マグネシウム化合物[III−1]として、AlMg6 (C2H5 )3 (n−C4H9)12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[III−2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
200ccのフラスコにヘキサン40ccとAlMg6 (C2H5 )3 (n−C4H9)12を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40ccを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
上記により得られたメタロセン担持触媒[I]と液体助触媒成分[II]は触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素を接触させて重合反応器に導入し、溶媒としてヘキサン、モノマーとしてエチレン及びブテン−1を用いた。反応温度は70℃としてエチレン、ブテン−1、水素の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.36、水素とエチレン+水素のモル比が0.0025を維持できるように調節)を全圧が0.8MPaで線状系ポリエチレン(A)であるエチレンとα−オレフィンとの共重合体を重合した。得られた線状系ポリエチレン(A)であるエチレン−ブテン−1共重合体は密度が941kg/m3、MFRが2.5g/10分であった。得られた線状系ポリエチレン(A)であるエチレン−ブテン−1共重合体は密度が941kg/m3、MFRが2.5g/10分であった。短鎖分岐数の測定(ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定)により、logMwと分子量分布(%)、短鎖分岐数n:(n/1000C)の関係のグラフを図1に示す。
公知の高圧ラジカル重合法より調製し、密度922kg/m3、MFR7.0g/10分である高圧法低密度系ポリエチレン(B)を得た。
エチレン−ブテン−1共重合体で密度941kg/m3、MFR2.5g/10分の線状系ポリエチレン(A)および密度922kg/m3、MFR7.0g/10分の高圧法低密度系ポリエチレン(B)をそれぞれ所定の割合で混合したポリマーブレンド物100重量部に対して、ビニルトリメトキシシラン1.4重量部、有機過酸化物としてパーヘキサ25B(日本油脂社製)0.05重量部、ステアリン酸カルシウムを0.15重量部をそれぞれ配合、ヘンシエルで混合し、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35)の二軸押出成形機を利用し、220℃の温度で溶融混錬して造粒した。得られたシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物のペレット100重量部に対してジオクチルスズジラウリレート0.01重量部、フェノール系酸化防止剤としてn−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートを0.4重量部、リン系熱安定剤としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイトを0.1重量部を再度混合してReifenhauser社製単軸押出し機 RH501(スクリュー径50mm、L/D=30)と管状ダイを組合せてポリエチレン系樹脂組成物を管状に押し出し真空成型、冷却を経て、外径約32mm、肉厚約3mmのパイプを得た。
本実施例に使用した線状系ポリエチレン(A)、高圧法低密度系ポリエチレン(B)、シラン変性ポリエチレン系樹脂組成物および架橋ポリエチレンパイプの評価結果を表1に示した。
線状系ポリエチレン(A)のみであり、高圧法低密度系ポリエチレン(B)をブレンドしない以外は、実施例1〜実施例2と同様にシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物および架橋ポリエチレンパイプを得て、それを評価した。評価結果を表1に示した。
Claims (7)
- 下記(A−1)〜(A−4)の要件を満たす線状系ポリエチレン(A)95〜80重量%と下記(B−1)〜(B−2)の要件を満たす分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)5〜20重量%とを含むポリエチレン系樹脂組成物であって、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートについて、(A)のメルトフローレートに対する(B)のメルトフローレートの比が1〜20であるポリエチレン系樹脂組成物100重量部と、有機過酸化物0.005〜5重量部と、有機不飽和シラン化合物0.1〜10重量部とを含むことを特徴とするシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物。
(A−1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である。
(A−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定において、logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C)が3〜25である。
(A−3)密度925〜950kg/m3である。
(A−4)メルトフローレート0.1〜10g/10分である。
(B−1)密度910〜930kg/m3である。
(B−2)メルトフローレート0.1〜50.0g/10分である。 - シラノール縮合触媒で架橋可能なことを特徴とする請求項1に記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物。
- 線状系ポリエチレン(A)が、少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物、シクロペンタジエン化合物、および周期律表第IV族の遷移金属化合物から調製されたメタロセン担持触媒[I]と、液体助触媒成分[II]を用いて重合してなるものであることを特徴とする請求項1または2に記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物から得られるシラングラフト変性ポリエチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物または請求項4に記載のシラングラフト変性ポリエチレン系樹脂組成物から得られる架橋成型体。
- 架橋シート、架橋パイプ、架橋チューブ、架橋ホースのいずれか一つであることを特徴とする請求項5に記載の架橋成型体。
- 給水・給湯用架橋パイプ、床暖房用架橋パイプ、ロードヒーティング用架橋パイプのいずれか一つであることを特徴とする請求項6に記載の架橋成型体。
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