図1は、本発明を適用した制御システムの主な構成例を示す図である。
図1に示される制御システム100は、無線通信機能を有する携帯機から送信された信号に基づいて、例えば、自動車のドアの施錠若しくは開錠(パッシブエントリ)、または自動車のエンジンの始動(パッシブスタート)等の、所定の動作(処理)の制御を行うシステムである。
この制御システム100は、どのような動作や処理の制御にも利用することができるが、以下においては、自動車のドアの施錠および開錠(パッシブエントリ)、並びに自動車のエンジンの始動(パッシブスタート)の制御を行うシステムであるものとして説明する。特に説明しない限り、以下の説明は、制御システム100がパッシブエントリやパッシブスタート以外の動作(処理)の制御を行う場合にも適用することができる。
図1に示されるように、制御システム100は、自動車に搭載される車載システム101と、自動車のユーザが携帯する携帯機102−1乃至102−6により構成される。以下において、携帯機102−1乃至102−6を互いに区別して説明する必要がない場合、携帯機102と称する。また、携帯機102の台数は任意である。例えば、5台以下であってもよいし、7台以上であってもよい。
ユーザは、携帯機102を携帯した状態で自動車に近づき、携帯機102を車載システム101の通信可能範囲内に位置させると、自動車のドアの施錠若しくは開錠、または自動車のエンジンの始動を行うために、自動車のドアノブやエンジンスタートボタンを操作する。この指示操作を受け付けると、車載システム101は、要求信号を送信して携帯機102の存在を確認し、携帯機102が車載システム101の通信可能範囲内に位置する場合、ユーザに指示された処理を実行する。
制御システム100がこのように動作することにより、ユーザは、単に携帯機を携帯している状態で例えば自動車のドアノブやエンジンスタートボタンを操作するだけで、容易に、自動車のドアの施錠若しくは開錠、または自動車のエンジン始動等を実行させることができる。
車載システム101は、図1に示されるように、パッシブエントリ/パッシブスタートECU(Electronic Control Unit)111を有する。パッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、例えば、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により構成されるマイクロコンピュータにより構成される。パッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、例えば、自動車のドアの施錠および開錠、並びに自動車のエンジン始動の制御に関する処理を行う。
このパッシブエントリ/パッシブスタートECU111には、例えば、入力部121、送信用アンテナ122、受信用アンテナ123、出力部124、車両制御ECU125が接続される。
入力部121は、ユーザが自動車のドアの施錠若しくは開錠、または自動車のエンジン始動等の動作(処理)を指示する際に操作する各種入力デバイスを有する。例えば、入力部121は、エンジン始動ボタン141、並びに、施錠/開錠スイッチ142乃至施錠/開錠スイッチ144を有する。
エンジン始動ボタン141は、自動車のエンジンを始動させるためにユーザが操作する入力デバイスである。施錠/開錠スイッチ142は、自動車の運転席側に位置するユーザが、ドアを施錠または開錠させるために操作する入力デバイスである。施錠/開錠スイッチ143は、自動車の助手席側に位置するユーザが、ドアを施錠または開錠させるために操作する入力デバイスである。施錠/開錠スイッチ144は、自動車の後ろ側に位置するユーザが、ドアを施錠または開錠させるために操作する入力デバイスである。ユーザがこれらの入力デバイスのいずれかを操作すると、その処理実行要求指示がパッシブエントリ/パッシブスタートECU111に供給される。
もちろん、入力部121がこれら以外の入力デバイスを有するようにしてもよい。
送信用アンテナ122は、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111より供給される電気信号(要求信号)を電波(電磁波)として空間に放出するデバイスである。送信用アンテナ122は、LF(Low Frequency)アンテナ151乃至LFアンテナ155の5つのアンテナを有する。なお、送信用アンテナ122が有するアンテナの数は任意である。
LFアンテナ151は、運転席側の車外に位置する携帯機102に対して、要求信号(無線信号)を低周波数帯(例えば100KHz程度)を用いて送信するためのアンテナである。LFアンテナ152は、助手席側の車外に位置する携帯機102に対して、要求信号(無線信号)を低周波数帯を用いて送信するためのアンテナである。LFアンテナ153は、車内前部の座席(運転席および助手席)付近に位置する携帯機102に対して、要求信号(無線信号)を低周波数帯を用いて送信するためのアンテナである。LFアンテナ154は、車内の後部座席付近に位置する携帯機102に対して、要求信号(無線信号)を低周波数帯を用いて送信するためのアンテナである。LFアンテナ155は、車内のトランクルーム内に位置する携帯機102に対して、要求信号(無線信号)を低周波数帯を用いて送信するためのアンテナである。
もちろん、送信用アンテナ122が、LFアンテナ以外のアンテナを有するようにしてもよい。
受信用アンテナ123は、空間の電波(電磁波)を受信し、電気信号(応答信号)に変換するデバイスである。つまり、受信用アンテナ123は、携帯機102より送信される応答信号(無線信号)を受信し、それを電気信号に変換してパッシブエントリ/パッシブスタートECU111に供給する。
出力部124は、例えばスピーカ、LED(Light Emitting Diode)、モニタ、または出力端子等の出力デバイスを有する。出力部124は、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111より供給される出力用の情報を、適切な出力デバイスを用いて出力(または表示)する。
車両制御ECU125は、図示せぬCPU、ROM、およびRAM等を有するマイクロコンピュータにより構成され、パッシブエントリ/パッシブスタートECUの制御に基いて、自動車のエンジンの始動や停止を制御する。なお、車両制御ECU125は、エンジンの始動や停止に合わせて、電子ステアリングロック126を制御し、ステアリングホイールを固定して非可動としたり、固定を解除して可動としたりする。また、車両制御ECU125は、施錠/開錠アクチュエータ127を制御して、自動車のドアの鍵を施錠したり開錠したりする。
電子ステアリングロック126は、車両制御ECU125に制御されて、盗難防止等の目的のために、自動車のステアリングホイールを固定したり、固定を解除したりする構成を有する。例えば、電子ステアリングロック126は、車両制御ECU125がエンジンを停止させると、ステアリングホイールを固定する。また、例えば、電子ステアリングロック126は、車両制御ECU125がエンジンを始動させると、ステアリングホイールの固定を解除する。
施錠/開錠アクチュエータ127は、車両制御ECU125に制御されて、自動車のドアを施錠したり開錠したりする構成を有する。
パッシブエントリ/パッシブスタートECU111には、また、必要に応じてドライブ128が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア131が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じてパッシブエントリ/パッシブスタートECU111にインストールされる。
以上のような構成を有する車載システム101のパッシブエントリ/パッシブスタートECU111が、送信用アンテナ122を介して要求信号を送信すると、LFアンテナ151乃至LFアンテナ155の各アンテナから、その要求信号の情報を含む無線信号161−1乃至無線信号161−5)が空間に放出される。なお、無線信号161−1乃至無線信号161−5を互いに区別しない場合、無線信号161と称する。
携帯機102は、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)と無線通信を行う通信装置である。携帯機102−1乃至携帯機102−6は、無線信号161を受信すると、それぞれの識別情報を含む応答信号(無線信号162−1乃至無線信号162−6)を空間に放出する。なお、無線信号162−1乃至無線信号162−6を互いに区別しない場合、無線信号162と称する。
この無線信号162が受信用アンテナ123を介して受信され、識別情報の認証が成功すると、ユーザが入力部121を介して入力した指示に対応する処理が実行される。
予め、携帯機102−1乃至携帯機102−6には、それぞれ、要求信号に対する応答信号を送信する送信タイミング(送信予定時刻)として、互いに異なるタイミング(時刻)が割り当てられている。携帯機102−1乃至携帯機102−6は、それぞれ、その互いに異なるタイミング(時刻)で応答信号(無線信号162−1乃至無線信号162−6)を空間に放出する。したがって、応答信号同士の衝突の発生が抑制され、車載システム101のパッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、容易に応答信号を取得することができる。
なお、送信タイミング(送信予定時刻)は、タイミングを表す情報であれば何でも良く、時刻そのものを指定する情報であってもよいし、所定の時刻を基準とする時間を指定する情報であっても良いし、例えばクロック数やイベント指定等の時刻と同様にタイミングを指定可能な情報であってもよい。また、送信タイミングを決定するための一連のプログラムなどでも良い。
次に、図1の車載システム101が有する各装置の配置位置について説明する。図2は、図1の各装置の配置例を説明する図である。図2において、自動車200は、車載システム101が搭載される自動車である。また、枠201は車外と車内の境界を示し、枠202は車室空間を示し、枠203は、トランクルーム(荷室空間)を示す。図2の上側が自動車200の前方を示す。図2に示されるように、車室空間内の前部の右側に運転席211が設けられ、左側に助手席212が設けられている。また、車室空間内の後部には後部座席213が設けられている。さらに、運転席211の前部には、ステアリングホイール214が設けられている。もちろん、自動車200にはこれら以外の構成も設けられているが、それらについての説明は省略する。
図2に示されるように、例えば車内前方のインスツルメントパネル内に、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111や車両制御ECU125が設けられる。受信用アンテナ123および電子ステアリングロック126は、例えばステアリングホイール214付近に設けられる。また、エンジン始動ボタン141も、運転席211に座っている運転者が操作しやすいように、例えばステアリングホイール214付近に設けられる。
施錠/開錠スイッチ142は、例えば運転席211側のドアに設けられる。施錠/開錠スイッチ143は、例えば助手席212側のドアに設けられる。施錠/開錠スイッチ144は、例えば自動車200後部のドアに設けられる。
車外運転席側用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ151は、例えば運転席211側のドアに設けられる。車外助手席側用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ152は、例えば助手席212側のドアに設けられる。車内前部座席用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ153は、例えば車室空間内の運転席211と助手席212の間の前方に設けられる。車内後部座席用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ154は、例えば車室空間内の運転席211と助手席212の間の後方に設けられる。車内トランクルーム用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ155は、例えば荷室空間内に設けられる。
なお、携帯機102は、基本的にユーザが携帯している。
次に、図1のパッシブエントリ/パッシブスタートECUの構成について説明する。図3は、図1のパッシブエントリ/パッシブスタートECU111の主な構成例を示すブロック図である。
図3に示されるように、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、制御部301、記憶部302、および通信部303を有する。制御部301は、例えばCPU等により構成され、各種制御処理を行う。制御部301には、記憶部302および通信部303の他に、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111の外部の、入力部121(エンジン始動ボタン141、並びに、施錠/開錠スイッチ142乃至施錠/開錠スイッチ144)出力部124、車両制御ECU125、およびドライブ128等のデバイスが接続される。制御部301は、これらのデバイスから情報を取得したり、これらのデバイスを制御したりする。
記憶部302は、書き換え不可能な記憶領域を有するROM311、および、書き換え可能な記憶領域を有するRAM312を備える。ROM311には、例えば工場出荷時等に書き込まれたソフトウェアプログラムやデータが記憶されている。RAM312には、実行中のソフトウェアプログラムや、処理中のデータが一時的に保持される。
制御部301は、例えばROM311に記憶されているソフトウェアプログラムやデータをRAM312にロードし、そのロードされたソフトウェアプログラムやデータに従って各種処理を実行する。
なお、記憶部302が、例えばフラッシュメモリやハードディスク等のような、書き換え可能な不揮発性の記憶領域を有するようにしてもよい。その場合、制御部301は、ドライブ128を介してリムーバブルメディア131より読み出されたソフトウェアプログラムやデータ、並びに、処理の実行により更新されたデータ等を、そのフラッシュメモリやハードディスクに記憶させる。フラッシュメモリやハードディスクに書き込まれた情報は、制御部301により適宜読み出され、例えばRAM312にロードされる。
通信部303は、要求信号等の送信に関する処理を行う送信部321と、携帯機102より送信された応答信号等の受信に関する処理を行う受信部322とを有する。
送信部321は、制御部301より供給された要求信号等を変調する等して、無線信号として、送信用アンテナ122(LFアンテナ151乃至LFアンテナ155)を介して送信する。受信部322は、受信用アンテナ123を介して取得された無線信号を復調する等し、電気信号の応答信号を制御部301に供給する。
次に、制御部301が処理を実行することにより実現される機能について説明する。図4は、図3の制御部が実現する機能の主な構成例を示す機能ブロック図である。
図4に示されるように、制御部301は、機能ブロックとして、要求受付部351、総合制御部352、および処理制御部353を有する。これらの機能ブロックは、制御部301が例えばRAM312にロードされたソフトウェアプログラムを実行することにより実現される。
要求受付部351は、例えば、入力部121を介して入力されるユーザ指示に基いて、ユーザの要求を受け付ける。要求受付部351は、受け付けた要求を満たすような処理を、総合制御部352に実行させる。
総合制御部352は、要求受付部351において受け付けられた要求に対応する処理を行うように処理制御部353を制御する。処理制御部353は、総合制御部352により制御され、より小さな単位の処理を行う。総合制御部352は、処理制御部353を制御し、要求された機能を実現するのに必要な処理を実行させる。
総合制御部352は、例えば、開錠制御部361、施錠制御部362、および始動制御部363を有する。開錠制御部361は、要求受付部351においてドアの開錠の要求が受け付けられたとき、処理制御部353を制御し、ドアを開錠させるのに必要な処理を実行させる。施錠制御部362は、要求受付部351においてドアの施錠の要求が受け付けられたとき、処理制御部353を制御し、ドアを施錠させるのに必要な処理を実行させる。始動制御部363は、要求受付部351においてエンジン始動の要求が受け付けられたとき、処理制御部353を制御し、エンジンを始動させるのに必要な処理を実行させる。
処理制御部353は、例えば、要求信号生成部371、要求信号送信部372、計時部373、応答信号受信部374、解析部375、条件判定部376、認証部377、処理実行部378、無効設定部379、および優先順設定部380を有する。
要求信号生成部371は、総合制御部352に制御されて、携帯機102に応答信号の送信を要求する要求信号を、所定のフォーマットに従って生成する。詳細については後述するが、要求信号生成部371は、例えば、自動車(または車載システム101やパッシブエントリ/パッシブスタートECU111)の識別情報、要求信号の送信に使用するLFアンテナの識別情報、要求内容等の識別情報、およびRAM312に記憶される優先順情報392等を適宜用いて要求信号393を生成し、RAM312に保持させる。生成される要求信号393の数や内容は、例えば開錠制御部361乃至始動制御部363のいずれが制御するか(総合制御部352が実現する機能)によって決まる。
要求信号送信部372は、通信部303の送信部321を制御し、RAM312に保持されている要求信号393を、計時部373の計時処理に従って所定のタイミングで、送信用アンテナ122の所定のLFアンテナより送信させる。どのLFアンテナより要求信号393を送信するかは、例えば開錠制御部361乃至始動制御部363のいずれが制御するか(総合制御部352が実現する機能)によって決まる。
計時部373は、時間の測定や現在時刻の特定を行う計時処理を行い、要求信号393の送信や応答信号の受信のシーケンス(手順)を制御する。例えば、計時部373は、計時処理を行い、要求信号送信部372に対して要求信号393の送信タイミングを通知する。この要求信号393の送信タイミングは、例えば開錠制御部361乃至始動制御部363のいずれが制御するか(総合制御部352が実現する機能)によって決まる。また、例えば、計時部373は、計時処理を行い、応答信号受信部374に対して応答信号を受信する期間を通知する。この応答信号の受信期間は、例えば開錠制御部361乃至始動制御部363のいずれが制御するか(総合制御部352が実現する機能)、および携帯機102の数等によって決まる。
応答信号受信部374は、通信部303の受信部322を制御し、受信用アンテナ123を介して応答信号の受信を行う。応答信号受信部374は、計時部373の計時処理に従って所定の期間応答信号の受信を行う。
解析部375は、応答信号受信部374により取得された応答信号を解析する。条件判定部376は、応答信号に対する処理実行条件の判定を行う。例えば、条件判定部376は、取得された応答信号を無効とする設定になっているか否かを判定する。この無効設定は、無効設定部379により適宜行われる。なお、この条件判定部376による判定結果は、例えば認証部377や処理実行部378に提供される。
認証部377は、解析部375による解析結果に基づいて、応答信号受信部374により取得された応答信号に含まれる携帯機102の識別情報の認証を行う。記憶部302のROM311には、車載システム101に対して正当な携帯機102に関する情報を含む携帯機登録情報391が予め記憶されている。認証部377は、例えばこの携帯機登録情報391に含まれる携帯機102の識別情報を用いて、応答信号に含まれる携帯機102の識別情報の認証を行う。この認証部377による認証結果は、例えば処理実行部378に提供される。なお、例えば条件判定部376により応答信号を無効とする設定になっていると判定された場合、認証部377は、認証処理を行わない。
処理実行部378は、車両制御ECU125を制御し、ドアの施錠若しくは開錠、またはエンジンの始動等、要求受付部351において受け付けられた要求に対応する処理を実行する。例えば、開錠制御部361により制御される場合、処理実行部378は、車両制御ECU125を介して施錠/開錠アクチュエータ127を制御し、ドアを開錠させる。また、例えば、施錠制御部362により制御される場合、処理実行部378は、車両制御ECU125を介して施錠/開錠アクチュエータ127を制御し、ドアを施錠させる。さらに、例えば、始動制御部363により制御される場合、処理実行部378は、車両制御ECU125を制御してエンジンを始動させたり、車両制御ECU125を介して電子ステアリングロック126を制御し、ステアリングホイール214を可動にしたりする。なお、例えば、条件判定部376により応答信号を無効とする設定になっていると判定された場合や、認証部377による認証が失敗した場合、処理実行部378は、要求受付部351において受け付けられた要求に対応する処理を実行しない。
無効設定部379は、例えば処理実行部378により処理が実行されると、それ以降の応答信号に対して処理が実行されないように、取得された応答信号を無効とする無効設定を行う。この無効設定は、例えば、条件判定部376、認証部377、および処理実行部378に提供される。
優先順設定部380は、応答信号の受信結果と携帯機登録情報391に基づいて各携帯機102の応答信号送信タイミングの優先順を決定する優先順情報392を生成し、RAM312に保持させる。なお、既にRAM312に優先順情報392が保持されている場合、優先順設定部380は、その古い優先順情報392を、新たに生成した新しい優先順情報392で上書き更新するようにしてもよい。古い優先順情報392と新しい優先順情報392の両方をRAM312に保持させるようにしてももちろんよい。この優先順情報392は、上述したように要求信号生成部371による要求信号393の生成に適宜利用される。
携帯機登録情報391は、車載システム101に対して正当な携帯機102に関する情報を含む情報であり、例えば予め記憶部302のROM311に記憶されている。なお、記憶部302にフラッシュメモリやハードディスク等の書き換え可能な記憶媒体を設け、そこに携帯機登録情報391を記憶させるようにしてもよい。その場合、携帯機登録情報391は更新可能としてもよい。
携帯機登録情報391には、例えば、各携帯機102の識別情報や、各携帯機102の応答タイミング(応答信号の送信タイミング)を示す情報等が含まれる。応答タイミングは、例えば、携帯機102が要求信号を受信してから、その要求信号に対する応答信号を送信するまでの時間により示される。各携帯機102の応答タイミングは、携帯機102毎に異なる値に設定される。すなわち、携帯機登録情報391においては、各携帯機102が、同一のタイミングで受信した同一の要求信号に対して応答信号を送信する場合、その応答信号を、互いに異なるタイミング(個別タイミング)で送信するように設定されている。
なお、応答タイミングは、1つの携帯機102が1つの要求信号に対して応答信号を複数回送信するように、各携帯機102に対して複数設定することもできる。このとき、各携帯機102が、同一のタイミングで受信した同一の要求信号に対して応答信号を送信する場合、その応答信号を、個別タイミングだけでなく、互いに共通のタイミング(共通タイミング)でも送信するように設定することもできる。つまり、携帯機登録情報391においては、同一のタイミングで受信した同一の要求信号に対して、各携帯機102が、少なくとも1回、応答信号を個別タイミングで送信するように設定されている。
優先順情報392は、上述したように、各携帯機102の応答信号送信の優先順を示す情報である。各携帯機102の応答信号の送信タイミングは、上述したように携帯機登録情報391によって予め定義される。つまり、各携帯機102の応答信号送信の優先順の初期状態は、携帯機登録情報391に登録されている。しかしながら、例えば、図1に示されるように、6台の携帯機102(携帯機102−1乃至携帯機102−6)が正当な携帯機102として携帯機登録情報391に登録されていても、これらの携帯機102の全てが車載システム101の通信可能範囲内に常に存在するとは限らない。例えば、携帯機102−6のみが車載システム101の通信可能範囲内に存在する場合も考えられる。
各携帯機102が個別タイミングで応答信号を送信し、携帯機登録情報391には、携帯機102−6の個別タイミングが正当な携帯機102の中で最後に設定されているとすると、携帯機102−6は、他の携帯機102がそれぞれの個別タイミングにおいて応答信号を送信する間待機し、自分自身に対して設定された個別タイミングになってから応答信号を送信する。上述したように、携帯機102−6のみが車載システム101の通信可能範囲内に存在するとすると、存在しない携帯機102−1乃至携帯機102−5が応答信号を送信する期間は不要である。つまり、携帯機102−6は、不要な時間待機してから、応答信号を送信することになる。つまり、ユーザにより指示が入力されてからその指示に対する処理が実行されるまでの応答時間が不要に増大することになる。
そこで、優先順設定部380は、応答信号の受信結果に基づいて、応答信号送信の優先順、即ち個別タイミングを更新する優先順情報392を生成する。次回の要求においては、この優先順情報392を利用して応答信号の送信タイミングが設定される。例えば、上述した6台の携帯機102のうち、携帯機102−2、携帯機102−4、および携帯機102−6のみが、車載システム101の通信可能範囲内に存在するとすると、優先順設定部380は、応答信号送信の優先順を、例えば、携帯機102−2、携帯機102−4、携帯機102−6、携帯機102−1、携帯機102−3、および携帯機102−5の順に設定する。このようにすることにより、車載システム101の通信可能範囲内に存在する携帯機102は、次回の要求に対する応答信号の送信の際に、上述した不要な待機時間の発生を抑制することができる。
要求信号393は、要求信号生成部371により、所定のフォーマットに従って生成される。要求信号393は、例えば、自動車(または車載システム101やパッシブエントリ/パッシブスタートECU111)の識別情報、要求信号の送信に使用するLFアンテナの識別情報、要求内容等の識別情報、および携帯機102の応答信号送信の優先順等を含む。要求信号393の数や内容は、例えば開錠制御部361乃至始動制御部363のいずれが制御するか(総合制御部352が実現する機能)によって決まる。
次に、携帯機102について説明する。図5は、図1の携帯機102の主な構成例を示すブロック図である。
図5に示されるように、携帯機102は、制御部411、入力部421、記憶部422、通信部423、および出力部424を有する。制御部411は、例えばCPU等により構成され、各種制御処理を行う。
入力部421は、例えばボタンやスイッチ等の、ユーザが操作する各種入力デバイスを有する。
記憶部422は、書き換え不可能な記憶領域を有するROM431、および、書き換え可能な記憶領域を有するRAM432を備える。ROM431には、例えば工場出荷時等に書き込まれたソフトウェアプログラムやデータが記憶されている。RAM432には、実行中のソフトウェアプログラムや、処理中のデータが一時的に保持される。
制御部411は、例えばROM431に記憶されているソフトウェアプログラムやデータをRAM432にロードし、そのロードされたソフトウェアプログラムやデータに従って各種処理を実行する。
なお、記憶部422が、例えばフラッシュメモリやハードディスク等のような、書き換え可能な不揮発性の記憶領域を有するようにしてもよい。その場合、制御部411は、ドライブ425を介してリムーバブルメディア435より読み出されたソフトウェアプログラムやデータ、並びに、処理の実行により更新されたデータ等を、そのフラッシュメモリやハードディスクに記憶させる。フラッシュメモリやハードディスクに書き込まれた情報は、制御部411により適宜読み出され、例えばRAM432にロードされる。
通信部423は、車載システム101より送信された要求信号等の受信に関する処理を行う受信部434と、応答信号等の送信に関する処理を行う送信部433とを有する。送信部433は、制御部411より供給された応答信号等を変調する等して、無線信号として、図示せぬアンテナを介して送信する。受信部434は、図示せぬアンテナを介して取得された無線信号を復調する等し、得られた電気信号の要求信号を制御部411に供給する。
出力部424は、例えばスピーカ、LED、モニタ、または出力端子等の出力デバイスを有する。出力部424は、制御部411より供給される出力用の情報を、適切な出力デバイスを用いて出力(または表示)する。
制御部411には、また、必要に応じてドライブ425が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア435が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて制御部411にインストールされる。
次に、制御部411が処理を実行することにより実現される機能について説明する。図6は、図5の制御部が実現する機能の主な構成例を示す機能ブロック図である。
図6に示されるように、制御部411は、機能ブロックとして、要求信号受信部511、解析部512、総合制御部513、および処理制御部514を有する。これらの機能ブロックは、制御部411が例えばRAM432にロードされたソフトウェアプログラムを実行することにより実現される。
要求信号受信部511は、例えば、通信部423の受信部434を制御し、車載システム101より送信される、応答信号の送信を要求する要求信号の受信を行う。解析部512は、要求信号受信部511が取得した要求信号の解析を行う。
総合制御部513は、解析部512による解析結果に基づいて、車載システム101が実行する処理に対応する応答信号の生成および送信に関する処理を行うように処理制御部514を制御する。処理制御部514は、総合制御部513により制御され、より小さな単位の処理を行う。
要求信号受信部511により取得された要求信号には、車載システム101が実行する処理を示す識別情報が含まれる。総合制御部513は、処理制御部514を制御し、解析部512による解析により得られるその識別情報が示す処理に応じた応答信号の生成および送信に必要な処理を実行させる。
総合制御部513は、例えば、開錠制御部521、施錠制御部522、および始動制御部523を有する。開錠制御部521は、要求信号に含まれる識別情報がドアの開錠を示すものであるとき、処理制御部514を制御し、適切な応答信号を送信するのに必要な処理を実行させる。施錠制御部522は、要求信号に含まれる識別情報がドアの施錠を示すものであるとき、処理制御部514を制御し、適切な応答信号を送信するのに必要な処理を実行させる。始動制御部523は、要求信号に含まれる識別情報がエンジンの始動を示すものであるとき、処理制御部514を制御し、適切な応答信号を送信するのに必要な処理を実行させる。
処理制御部514は、例えば、タイミング設定部531、応答信号生成部532、計時部533、および応答信号送信部534を有する。
タイミング設定部531は、総合制御部352に制御されて、応答信号の送信タイミング(応答タイミング)の設定を行う。タイミング設定部531は、ROM431に予め記憶されている応答タイミング情報541等に基づいて、ドアの開錠若しくは施錠、またはエンジンの始動等の、車載システム101が実行する処理に応じた応答タイミングを設定し、その情報を含む設定情報542をRAM432に保持させる。つまり、開錠制御部521乃至始動制御部523は、自分自身に対応する処理に応じた応答タイミングを、タイミング設定部531に設定させる。
応答信号生成部532は、総合制御部352に制御されて、解析部512による解析の結果等に基づいて、ドアの開錠若しくは施錠、またはエンジンの始動等の、車載システム101が実行する処理に応じた応答信号543を生成し、RAM432に保持する。計時部533は、RAM432に保持されている設定情報542に示される設定に従って、時間の測定や現在時刻の特定を行う計時処理を行い、応答信号送信部534に対して応答タイミングを通知する等して、応答信号543の送信のシーケンスを制御する。応答信号送信部534は、通信部423の送信部433を制御し、RAM432に保持されている応答信号543を、計時部533の計時処理に従って所定のタイミングで(例えば要求信号が受信されてから所定の時間経過後に)送信させる。
応答タイミング情報541は、携帯機102自身の、応答信号543の送信タイミング(応答タイミング)を示す情報であり、記憶部422のROM431に予め記憶されている。この応答タイミングは、携帯機登録情報391に示される応答タイミングに対応する。つまり、応答タイミング情報541には、携帯機登録情報391により示される応答タイミングのうち、この携帯機102自身の応答タイミングを示す情報が含まれる。上述したように、応答タイミングには、少なくとも個別タイミングが含まれるので、応答タイミング情報541の内容は、携帯機102毎に異なる。
また、上述したように、応答タイミングは、ドアの開錠若しくは施錠、またはエンジンの始動等、車載システム101が実行する処理毎に独立して設定される。つまり応答タイミングは、車載システム101が実行する処理毎に異なる場合もある。開錠制御部521乃至始動制御部523は、タイミング設定部531を制御し、例えば、その応答タイミング情報541に含まれる応答タイミングの中の、自分自身に対応する処理に応じたタイミングを選択し、応答タイミングとして設定する(設定情報542を生成する)。
なお、記憶部422にフラッシュメモリやハードディスク等の書き換え可能な記憶媒体を設け、そこに応答タイミング情報541を記憶させるようにしてもよい。その場合、応答タイミング情報541は更新可能としてもよい。
設定情報542は、例えば応答タイミングの設定等、応答信号543の送信に関する設定値を示す情報である。応答信号543は、応答信号生成部532により、所定のフォーマットに従って生成される。
次に、車載システム101のパッシブエントリ/パッシブスタートECU111と携帯機102との間の情報の授受の流れについて説明する。図7は、制御システム全体の処理の流れの例を説明するフローチャートである。
ユーザが入力部121を操作すると、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111が要求信号を送信し、通信可能範囲内に位置する携帯機102は、その要求信号を受信し、その要求信号に対する応答信号を送信する。パッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、その応答信号を受信すると、その応答信号を送信した携帯機102の認証処理を行い、認証が成功した場合、入力部121を介して入力されたユーザ指示に対応する処理を実行する。
より具体的に説明すると、携帯機102を携帯するユーザが入力部121を操作して、ドアの開錠若しくは施錠、またはエンジンの始動等の処理の実行を要求すると、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、ステップS101において、その入力部121を解して入力された処理要求を受け付け、ステップS102において要求信号を生成し、ステップS103において、その要求信号を送信する。
携帯機102は、ステップS121において、その要求信号を受信し、ステップS122において、その要求信号に対する応答信号を生成し、ステップS123において、その応答信号を送信する。
パッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、ステップS104において、その応答信号を受信し、ステップS105において、応答信号の送信元の携帯機102の認証処理を行い、認証に成功した場合、ステップS106において、処理要求により要求された処理を実行する。
以上のような処理の流れにおいて、携帯機102は、例えば要求信号の受信時刻を基準とし、他の携帯機102と異なる個別タイミングで応答信号を送信する。したがって、応答信号同士の衝突の発生が抑制され、制御システム100は、より正確に通信を行うことができる。また、このようにすることにより、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、各携帯機102に対してそれぞれ個別の要求信号を送信する必要がなく、全携帯機102に対する共通の要求信号を最低1回送信するのみで良い。すなわち、制御システム100は、より効率的に通信を行うことができる。
次に、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111と携帯機102との間で授受される要求信号および応答信号の内容について説明する。図8は、制御システムにおいて送受信される情報の構成例を示す模式図である。
図8Aに示される要求信号610は、車外運転席側用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ151、若しくは、車外助手席側用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ152を介して、自動車200の車外に位置する携帯機102に対して送信される要求信号の構成例を示す。
この要求信号610には、例えばプリアンブル611、識別情報612、および優先順位613等の情報が含まれる。プリアンブル611は、要求信号610が要求信号であることを示す定型の情報である。識別情報612は、例えば、自動車200の識別情報、自動車のドアの施錠若しくは開錠または自動車のエンジン始動等の車載システム101において実行される処理の識別情報、この要求信号610の送信に利用されるLFアンテナ(LFアンテナ151またはLFアンテナ152)を示す識別情報、および、この要求信号610自身の識別情報等を含む。優先順位613は、優先順設定部380により設定された優先順位(優先順情報392の内容)を含む。もちろん、要求信号610が、これら以外の情報を含むようにしてもよい。
例えば、携帯機102の解析部512は、この要求信号610のプリアンブル611を解析することにより、この要求信号610が要求信号であることを認識することができる。また、例えば、携帯機102の解析部512は、この要求信号610の識別情報612を解析することにより、この要求信号610の送信元である自動車200、この要求信号610に対応する処理、この要求信号610が車外に対して送信された信号であること等を把握することができる。さらに、例えば、携帯機102の解析部512は、この要求信号610の優先順位613を解析することにより、応答タイミングの更新状況を把握することができる。
図8Bに示される要求信号620は、車内前部座席用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ153、車内後部座席用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ154、若しくは車内トランクルーム用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ155を介して、自動車200の車外に位置する携帯機102を確認する際に、車内に位置する携帯機102に対して送信される要求信号の構成例を示す。
この要求信号620には、例えばプリアンブル621および識別情報622等の情報が含まれる。プリアンブル621は、要求信号610が要求信号であることを示す定型の情報である。識別情報622は、例えば、車載システム101において実行される処理の識別情報や、この要求信号610の送信に利用されるLFアンテナ(LFアンテナ153乃至LFアンテナ155のいずれか)を示す識別情報等を含む。もちろん、要求信号620が、これら以外の情報を含むようにしてもよい。
この要求信号620は、例えば施錠処理のような、車内に携帯機102が存在するときに実行が禁止される処理に対応する要求信号である。つまり、この要求信号620は、携帯機102が禁止区域内に存在するか否かを確認するためだけのものである。また、車内に対して送信される信号であるので、要求信号620は、要求信号610に比べて一部の情報が省略されている。
図8Cに示される要求信号630は、車内前部座席用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ153、車内後部座席用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ154、若しくは車内トランクルーム用の送信用アンテナ122であるLFアンテナ155を介して、自動車200の車内に位置する携帯機102に対して送信される要求信号の構成例を示す。
この要求信号630には、例えばプリアンブル631、識別情報632、および優先順位633等の情報が含まれる。プリアンブル631は、プリアンブル611と同様に、要求信号610が要求信号であることを示す定型の情報である。識別情報632は、識別情報612と同様に、例えば、自動車のドアの施錠若しくは開錠または自動車のエンジン始動等の車載システム101において実行される処理の識別情報、この要求信号630の送信に利用されるLFアンテナ(LFアンテナ151またはLFアンテナ152)を示す識別情報、および、この要求信号630自身の識別情報等を含む。優先順位633は、優先順位613と同様に、優先順設定部380により設定された優先順位(優先順情報392の内容)を含む。もちろん、要求信号630が、これら以外の情報を含むようにしてもよい。
なお、この要求信号630は、車内に向けて送信される信号であるので、自動車200の識別情報は省略することができる。また、携帯機102の解析部512は、要求信号610の場合と同様に、この要求信号630の各部を解析して、各種情報を把握することができる。
図8Dに示される応答信号640は、携帯機102より送信される応答信号の構成例を示す。この応答信号640には、例えばプリアンブル641、応答識別情報642、および携帯機識別情報643を含む。
プリアンブル641は、応答信号640が応答信号であることを示す定型の情報である。応答識別情報642は、この応答信号640がどの要求信号に対する応答信号であるかを示す情報である。例えば、応答識別情報642には、車載システム101において実行される処理の識別情報、要求信号の送信に利用されたLFアンテナを示す識別情報、および、この要求信号自身の識別情報等を含む。携帯機識別情報643は、応答信号640の送信元である携帯機102を識別する情報である。もちろん、応答信号640が、これら以外の情報を含むようにしてもよい。
例えば、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111の解析部375は、この応答信号640のプリアンブル641を解析することにより、この応答信号640が応答信号であることを認識することができる。また、例えば、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111の解析部375は、この応答信号640の応答識別情報642を解析することにより、この応答信号640に対応する要求信号等を把握することができる。さらに、例えば、パッシブエントリ/パッシブスタートECU111の解析部375は、この応答信号640の携帯機識別情報643を解析することにより、応答信号の送信元の携帯機102を把握することができる。
次に、このような要求信号や応答信号を授受するシーケンスについて説明する。最初に図9を参照して、ユーザによりドアの開錠が要求された際の、要求信号および応答信号の送受信タイミングの例を説明する。
図9において、時系列は、最上段に矢印で示されるように図中左から右に向かって進む。図中上下に並ぶ各段は、各信号の送受信タイミングを示す。「SW」の段は、計時部373の計時処理開始タイミングを示す。つまり、時刻T1において信号「SW」がLowにされると、計時処理が開始される。
その下の「車室内前部」の段は、例えばLFアンテナ153を介して、自動車200の車室内の前部(運転席211および助手席212付近)に対して送信される要求信号の送信タイミングを示す。その下の「車室内後部」の段は、例えばLFアンテナ154を介して、自動車200の車室内の後部(後部座席213付近)に対して送信される要求信号の送信タイミングを示す。
その下の「車外操作側」の段は、例えばLFアンテナ151またはLFアンテナ152を介して、自動車200の、ユーザが開錠指示操作を行った側の車外に対して送信される要求信号の送信タイミングを示す。その下の「車外反対側」の段は、例えばLFアンテナ151またはLFアンテナ152を介して、自動車200の、ユーザが開錠指示操作を行った側とは反対側の車外に対して送信される要求信号の送信タイミングを示す。
なお、車室内トランクルームに対する要求信号の送信タイミングについては、説明の便宜上省略する。上述したタイミングで要求信号が送信されるようにしてもよいし、上述したタイミングのいずれかに合わせて要求信号が送信されるようにしてもよい。
また、「携帯機1」乃至「携帯機6」の段は、それぞれ、携帯機102−1乃至携帯機102−6が送信する応答信号の送信タイミングを示す。
図9に示されるように、要求信号は、要求信号同士が衝突しないように、かつ、より確実に携帯機102に送信されるように、車室内前部と車室内後部に対して互いに異なるタイミングで、2回ずつ要求信号を送信される(要求信号711乃至要求信号714)。例えば、要求信号711は時刻T2乃至時刻T3の間に送信される。例えば、要求信号712は時刻T4乃至時刻T5の間に送信される。例えば、要求信号713は時刻T6乃至時刻T7の間に送信される。例えば、要求信号714は時刻T8乃至時刻T9の間に送信される。
また、要求信号は、車外の、ユーザが指示操作を入力した側に対して、車室内に向けて送信される要求信号と衝突しないように上述したタイミングと異なるタイミングで送信される(要求信号715)。例えば、要求信号715は時刻T10乃至T11の間に送信される。
なお、車外の、ユーザが指示操作を入力した側と反対側に対して、要求信号同士の衝突の発生を抑制するために、要求信号715と同一のタイミングで妨害信号716が送信されるようにしてもよい。例えば、妨害信号716は時刻T10乃至T11の間に送信される。
これらの要求信号のうちいずれかを受信すると、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、より早く応答するために、まず、共通タイミングにおいて応答信号を送信する。例えば、時刻T12乃至時刻T13において、携帯機102−1は応答信号721を送信し、携帯機102−2は応答信号722を送信し、携帯機102−3は応答信号723を送信し、携帯機102−4は応答信号724を送信し、携帯機102−5は応答信号725を送信し、携帯機102−6は応答信号726を送信する。
次に、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、応答信号同士の衝突の発生を抑制するために、それぞれの個別タイミングで応答信号を送信する。例えば、携帯機102−1は、時刻T14に送信が終了するようなタイミングで応答信号731を送信する。また例えば、携帯機102−2は、時刻T15に送信が終了するようなタイミングで応答信号732を送信する。さらに例えば、携帯機102−3は、時刻T16に送信が終了するようなタイミングで応答信号733を送信する。また例えば、携帯機102−4は、時刻T17に送信が終了するようなタイミングで応答信号734を送信する。さらに例えば、携帯機102−5は、時刻T18に送信が終了するようなタイミングで応答信号735を送信する。また例えば、携帯機102−6は、時刻T19に送信が終了するようなタイミングで応答信号736を送信する。
車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)は、時刻T19までの間、以上のように送信される応答信号の受信を行う。
以上のように全端末に対する共通の要求信号(要求信号711乃至要求信号715)に対して、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、互いに異なる個別タイミングにおいて応答信号を送信する(応答信号731乃至応答信号736)。これにより応答信号同士の衝突の発生が抑制される。したがって携帯機102−1乃至携帯機102−6は、応答信号を車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)に、より確実に送信することができる。
また、携帯機102が予め車載システム101に登録され、上述したシーケンスは予め定められているので、携帯機102は、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)が送信する全携帯機102共通の(特定の携帯機102に対して送信されたものではない)要求信号に対して、上述したように、それぞれの個別タイミングで応答信号を送信することができる。換言すれば、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)は、要求信号の送信回数を低減させることができる。これにより制御システム100は、通信に必要な期間を短縮させることができるだけでなく、通信に必要な消費電力を抑制することができる。つまり、制御システム100は、より効率的に通信を行うことができる。
ところで、ユーザがドアの開錠を要求してから実際にドアが開錠されるまでの時間(応答時間)は短いほど好ましい。例えば、この応答時間が長くなると、ユーザが待機する時間がより長くなる(所謂反応が鈍くなる)。したがって、応答時間が不要に長くなると、ユーザに不快感を与えてしまう恐れがある。特に開錠処理の場合、ユーザが開錠させたドアを開くことが多い。待機時間が長くなると、このような後続の動作もできなくなり、不快感がより大きなものとなる恐れがある。
図9に示されるように、応答信号736の送信タイミングは、応答信号731の送信タイミングより遅い。つまり、携帯機102−6のみが車載システム101の通信可能範囲内に存在する場合、携帯機102−1が車載システム101の通信可能範囲内に存在する場合と比べて、ユーザが開錠を指示してから実際にドアが開くまでの時間(応答時間)が長くなってしまう。
そこで、どの携帯機102も十分に早いタイミングで応答信号を送信することができるように、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、個別タイミングよりも前に共通タイミングで一斉に応答信号を送信する。例えば上述したように、車載システム101の通信可能範囲内に携帯機102−6のみ存在する場合、この共通タイミングにおいて送信された応答信号は衝突しないので、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)は、この共通タイミングにおいて応答信号を受信することができる。つまり、個別タイミングにおいてのみ応答信号が送信される場合よりも、ユーザの処理要求に対する反応速度を向上させることができる。
なお、この共通タイミングにおいて送信された応答信号同士が衝突する場合、応答信号が複数存在する。換言すれば、車載システム101の通信可能範囲内に携帯機102−6以外の携帯機102(携帯機102−1乃至携帯機102−5のいずれかまたは全部)が存在する。したがって、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)は、携帯機102−6が個別タイミングで送信した応答信号よりも前に、他の携帯機102から個別タイミングで送信された応答信号を受信することができる。つまり、携帯機102−6から送信された応答信号が車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)に受信される場合よりも、ユーザの処理要求に対する反応速度を向上させることができる。
もちろん、車載システム101の通信可能範囲内に携帯機102が複数存在する場合であっても、共通タイミングにおいて各携帯機102から送信された応答信号同士が衝突しないことも考えられる。その場合、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)は、共通タイミングにおいて送信された応答信号を受信することができるので、やはり、ユーザの処理要求に対する反応速度を向上させることができる。
次に、図10を参照して、ユーザによりドアの施錠が要求された際の、要求信号および応答信号の送受信タイミングの例を説明する。
図10の構成は図9と同様である。また、図10の場合も、要求信号送信のシーケンスは図9の場合(開錠の場合)と同様である。つまり、要求信号811乃至要求信号814は、要求信号同士が衝突しないように、かつ、より確実に携帯機102に送信されるように、車室内前部と車室内後部に対して互いに異なるタイミングで、2回ずつ要求信号を送信される。また、要求信号815は、車外の、ユーザが指示操作を入力した側に対して、車室内に向けて送信される要求信号と衝突しないように上述したタイミングと異なるタイミングで送信される。なお、車外の、ユーザが指示操作を入力した側と反対側に対して、要求信号同士の衝突の発生を抑制するために、要求信号815と同一のタイミングで妨害信号816が送信されるようにしてもよい。
これらの要求信号のうちいずれかを受信すると、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、応答信号同士の衝突の発生を抑制し、かつ、より確実に通信を行うために、それぞれの個別タイミングで応答信号を2回ずつ送信する。
例えば、携帯機102−1は、時刻T12乃至時刻T13(携帯機102−1の第1の個別タイミング)において、応答信号821を送信し、さらに、時刻T13乃至時刻T14の間(携帯機102−1の第2の個別タイミング)において、応答信号831を送信する。
また例えば、携帯機102−2は、時刻T14乃至時刻T15(携帯機102−2の第1の個別タイミング)において、応答信号822を送信し、さらに、時刻T15乃至時刻T16の間(携帯機102−2の第2の個別タイミング)において、応答信号832を送信する。
さらに例えば、携帯機102−3は、時刻T16乃至時刻T17(携帯機102−3の第1の個別タイミング)において、応答信号823を送信し、さらに、時刻T17乃至時刻T18の間(携帯機102−3の第2の個別タイミング)において、応答信号833を送信する。
また例えば、携帯機102−4は、時刻T18乃至時刻T19(携帯機102−4の第1の個別タイミング)において、応答信号824を送信し、さらに、時刻T19乃至時刻T20の間(携帯機102−4の第2の個別タイミング)において、応答信号834を送信する。
さらに例えば、携帯機102−5は、時刻T20乃至時刻T21(携帯機102−5の第1の個別タイミング)において、応答信号825を送信し、さらに、時刻T21乃至時刻T22の間(携帯機102−5の第2の個別タイミング)において、応答信号835を送信する。
また例えば、携帯機102−6は、時刻T22乃至時刻T23(携帯機102−6の第1の個別タイミング)において、応答信号826を送信し、さらに、時刻T23乃至時刻T24の間(携帯機102−6の第2の個別タイミング)において、応答信号836を送信する。
車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)は、時刻T24までの間、以上のように送信される応答信号の受信を行う。
以上のように全端末に対する共通の要求信号(要求信号811乃至要求信号815)に対して、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、互いに異なる個別タイミングにおいて応答信号を送信する(応答信号821乃至応答信号826、並びに、応答信号831乃至応答信号836)。これにより応答信号同士の衝突の発生が抑制される。したがって携帯機102−1乃至携帯機102−6は、応答信号を車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)に、より確実に送信することができる。
また、携帯機102が予め車載システム101に登録され、上述したシーケンスは予め定められているので、携帯機102は、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)が送信する全携帯機102共通の(特定の携帯機102に対して送信されたものではない)要求信号に対して、上述したように、それぞれの個別タイミングで応答信号を送信することができる。換言すれば、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)は、要求信号の送信回数を低減させることができる。これにより制御システム100は、通信に必要な期間を短縮させることができるだけでなく、通信に必要な消費電力を抑制することができる。つまり、制御システム100は、より効率的に通信を行うことができる。
ところで、施錠の場合も開錠の場合と同様に応答時間は短いほど好ましいが、開錠の場合のように施錠後にユーザが他の処理を要求する可能性は低い。したがって施錠の場合、応答時間の短さは、開錠の場合ほど重要ではない。
むしろ、施錠の場合、要求に対して確実に処理(施錠)が行われることの方が重要である。例えば、開錠の場合、ユーザの要求に対して開錠が行われなくても、ドアが開かないだけなのでユーザが再度要求を行えばよいだけである。しかしながら、ユーザの要求に対して施錠が行われなかった場合、ユーザがそのことに気づかない恐れもある。その場合、ドアは開錠された状態のままとなる恐れがある。
要求に対して処理がより確実に実行されるようにするためには、要求信号や応答信号の送受信をより確実に行うことができるようにする必要がある。例えば、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111が応答信号の受信に失敗すると、施錠が行われない。そこで、上述したように各携帯機102が応答信号を2度送信するシーケンスとすることにより、制御システム100は、より正確に通信を行うことができ、要求に対して処理がより確実に実行されるようにすることができる。
また、携帯機102が車内に存在する場合に要求どおり施錠処理が行われるようにすると、所謂「鍵の閉じ込め」のように、ユーザが次に開錠処理ができなくなってしまう場合が考えられる。そこで、このようなことが起きないように、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、全携帯機102がどこに位置するかを把握するまで処理が実行しない。より具体的には、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、応答信号の送信期間が終了してから(時刻T24になってから)認証や施錠を行う。これにより、制御システム100は、車内に携帯機102が存在するとき、ドアがより確実に施錠されないようにすることができる。
次に図11を参照して、ユーザによりエンジンの始動が要求された際の、要求信号および応答信号の送受信タイミングの例を説明する。
図11の構成は図9と同様である。エンジン始動が要求された場合、要求信号は、図11に示されるように、要求信号同士が衝突しないように、車室内前部と車室内後部に対して1回ずつ互いに異なるタイミングで要求信号を送信される(要求信号911および要求信号912)。
エンジン始動の場合、開錠の場合と同様に応答時間が短いほど好ましい。また、一般的に、エンジン始動後に運転作業が行われる事が多く、さらに、要求に対してエンジンが始動されなくても、ユーザは、再度エンジン始動ボタン141を操作して要求を行えばよい。つまり、この場合、開錠の場合と同様に、処理の確実性よりも応答時間の短縮の方が優先される。
したがって、この場合、応答信号は、開錠の場合と同様に、最初に全携帯機102から共通タイミングで同時に送信され、その後、各携帯機102からそれぞれの個別タイミングで再度送信される。
ところで、携帯機102が車室内前部または車室内後部のいずれに位置する場合も、エンジンは始動される。ただし、一般的に、図2に示されるとおりエンジン始動ボタン141は、ステアリングホイール214付近に設けられ、運転者により操作される場合が多い。すなわち、携帯機102は、車室内前部にある場合が多い。そこで、車室内前部に対して送信される要求信号911に対する応答信号は、車室内後部に対して送信される要求信号912に対する応答信号より先に送信される。つまり、このエンジン始動の場合、共通タイミングが、要求信号911に対するものと、要求信号912に対するものの2つ用意される。なお、個別タイミングは、開錠の場合と同様に1回ずつである。
したがって、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、例えば車室内前部向けの要求信号911を受信すると、より早く応答するために、第1の共通タイミングにおいて応答信号を送信する。例えば、時刻T5において、携帯機102−1は応答信号921を送信し、携帯機102−2は応答信号922を送信し、携帯機102−3は応答信号923を送信し、携帯機102−4は応答信号924を送信し、携帯機102−5は応答信号925を送信し、携帯機102−6は応答信号926を送信する。
また、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、例えば車室内後部向けの要求信号912を受信すると、次に早く応答するために、第2の共通タイミングにおいて応答信号を送信する。例えば、時刻T6において終了するように、携帯機102−1は応答信号931を送信し、携帯機102−2は応答信号932を送信し、携帯機102−3は応答信号923を送信し、携帯機102−4は応答信号934を送信し、携帯機102−5は応答信号935を送信し、携帯機102−6は応答信号936を送信する。
通常の場合、携帯機102は、その位置によって、要求信号911または要求信号912のいずれか一方しか受信しないため、第1の共通タイミング若しくは第2の共通タイミングのいずれか一方でのみ応答信号を送信することになる。
その後に、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、応答信号同士の衝突の発生を抑制するために、それぞれの個別タイミングで応答信号を送信する。例えば、携帯機102−1は、時刻T7に送信が終了するようなタイミングで応答信号941を送信する。また例えば、携帯機102−2は、時刻T8に送信が終了するようなタイミングで応答信号942を送信する。さらに例えば、携帯機102−3は、時刻T9に送信が終了するようなタイミングで応答信号943を送信する。また例えば、携帯機102−4は、時刻T10に送信が終了するようなタイミングで応答信号944を送信する。さらに例えば、携帯機102−5は、時刻T11に送信が終了するようなタイミングで応答信号945を送信する。また例えば、携帯機102−6は、時刻T12に送信が終了するようなタイミングで応答信号946を送信する。
車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)は、時刻T12までの間、以上のように送信される応答信号の受信を行う。
以上のように全端末に対する共通の要求信号(要求信号911および要求信号912)に対して、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、互いに異なる個別タイミングにおいて応答信号を送信する(応答信号941乃至応答信号946)。これにより応答信号同士の衝突の発生が抑制される。したがって携帯機102−1乃至携帯機102−6は、応答信号を車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)に、より確実に送信することができる。
また、携帯機102が予め車載システム101に登録され、上述したシーケンスは予め定められているので、携帯機102は、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)が送信する全携帯機102共通の(特定の携帯機102に対して送信されたものではない)要求信号に対して、上述したように、それぞれの個別タイミングで応答信号を送信することができる。換言すれば、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)は、要求信号の送信回数を低減させることができる。これにより制御システム100は、通信に必要な期間を短縮させることができるだけでなく、通信に必要な消費電力を抑制することができる。つまり、制御システム100は、より効率的に通信を行うことができる。
さらに、携帯機102−1乃至携帯機102−6は、個別タイミングよりも前に共通タイミングで一斉に応答信号を送信するので、個別タイミングにおいてのみ応答信号が送信される場合よりも、ユーザの処理要求に対する反応速度を向上させることができる。
以上のように、本発明を適用した制御システム100は、衝突の発生を抑制し、より効率的かつ正確に通信を行うことができ、ユーザの処理要求に対する反応速度を向上させることができる。
なお、以上にシーケンスの例を説明したが、少なくとも各携帯機が個別タイミングで応答信号を送信すればよく、それ以外のシーケンスは任意である。また、ユーザが要求する処理は、上述した、ドアの開錠若しくは施錠、およびエンジンの始動以外であってもよい。
また、例えば、ドアの施錠やエンジン始動の場合のシーケンスにおいて、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)は、いずれかの応答信号を受信すると、その応答信号に基づいて処理を行うが、さらに、1つの要求に対して同じ処理を繰り返し実行しないように、それ以降に受信する応答信号を無効とするように設定を行うようにしてもよい。
さらに、車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)が、応答信号の受信結果と携帯機登録情報391に基づいて各携帯機102の応答信号送信タイミングの優先順を決定するようにしてもよい。車載システム101(パッシブエントリ/パッシブスタートECU111)が、応答信号の受信結果に基づいて優先順情報392を生成することにより、次回の処理において、応答信号送信の優先順、即ち個別タイミングを更新することができる。
例えば、ドアの開錠が行われた後、エンジンの始動や、ドアの施錠が行われる場合、それらの処理を要求するユーザは、ドアの開錠を要求したユーザと同一人物である可能性が高い。少なくとも、ドアの開錠の際に、車載システム101の通信可能範囲内に存在しない携帯機102を携帯する、ドアの開錠を行ったユーザとは別のユーザが、それらの処理を要求する可能性は低い。
つまり、要求信号に対して応答信号を送信しなかった携帯機102は車載システム101の通信可能範囲内に存在しない可能性が高く、次の処理を要求するユーザがその携帯機102を携帯している可能性が低い。換言するに、要求信号に対して応答信号を送信した携帯機102は車載システム101の通信可能範囲内に存在し、その携帯機102を携帯するユーザが次の処理を要求する可能性が高い。
ところで、上述したように各携帯機102は応答信号を個別タイミングで送信する。そこで次の処理において、この個別タイミングの順序を、応答信号を送信する可能性の高い携帯機102を優先させ、応答信号を送信しない可能性の高い携帯機102を後から送信させるように変更することにより、より早く応答信号が送信される可能性が高くなるようにすることができる。
このように、次の処理における応答信号の優先順を、今回の処理における応答信号の受信結果に応じて変更するにより、制御システム100は、より効率よく通信をおこなうことができる。
次に、以上に説明したような通信を実現するために各装置が実行する処理の流れの例について説明する。最初に、車載システム101が実行する処理について説明する。車載システム101は、まず、ユーザからの要求を受け付ける。図12のフローチャートを参照して、車載システム101が実行する要求受付処理の流れの例を説明する。
例えば、車載システム101に電源が投入されるなどして、要求受付処理が開始されると、要求受付部351は、ステップS201において、入力部121等を制御して、ユーザにより入力される処理要求指示を受け付ける処理要求受付を開始する。
ステップS202において、要求受付部351は、例えばドアの開錠若しくは施錠、またはエンジン始動等の所定の処理の実行を要求する処理要求を受け付けたか否かを判定する。処理要求を受け付けたと判定された場合、処理は、ステップS203に進む。
ステップS203において、総合制御部352は、受け付けられた処理要求により実行を要求される処理が、ドアを開錠させる開錠処理であるか否かを判定する。開錠処理であると判定された場合、処理はステップS204に進む。ステップS204において、開錠制御部361は、開錠制御処理を実行する。開錠制御処理の詳細については後述する。開錠制御処理が終了すると処理はステップS208に進む。
また、ステップS203において、受け付けられた処理要求により開錠処理の実行を要求されていないと判定された場合、処理はステップS205に進む。ステップS205において、総合制御部352は、受け付けられた処理要求により実行を要求される処理が、ドアを施錠させる施錠処理であるか否かを判定する。施錠処理であると判定された場合、処理はステップS206に進む。ステップS206において、施錠制御部362は、施錠制御処理を実行する。施錠制御処理の詳細については後述する。施錠制御処理が終了すると処理はステップS208に進む。
また、ステップS205において、受け付けられた処理要求により施錠処理の実行を要求されていないと判定された場合、エンジンを始動させる始動処理の実行が要求されたと判定し、処理はステップS207に進む。ステップS207において、始動制御部363は、始動制御処理を実行する。始動制御処理の詳細については後述する。始動制御処理が終了すると処理はステップS208に進む。
さらに、ステップS202において、処理要求を受け付けていないと判定された場合、処理はステップS208に進む。ステップS208において、要求受付部351は、要求受付処理を終了するか否かを判定する。終了しないと判定された場合、ステップS202に戻り、それ以降の処理が繰り返される。また、ステップS208において、要求受付処理を終了すると判定された場合、処理要求受付が終了され、要求受付処理が終了される。
次に、図12のステップS204において実行される開錠制御処理の詳細な流れの例について、図13のフローチャートを参照して説明する。なお、開錠制御処理は、開錠制御部361により制御される処理制御部353の各部により実行される。
開錠制御処理が開始されると、要求信号生成部371は、ステップS221において、ユーザの要求が開錠であるときの要求信号393である開錠要求信号を生成する。ステップS222において、要求信号送信部372は、通信部301の送信部321を制御し、送信用アンテナ122を介して開錠要求信号を送信する。開錠要求信号が送信され、計時部373により所定の時刻になったことを通知されると、応答信号受信部374は、ステップS223において、通信部301の受信部322を制御し、受信用アンテナ123を介した応答信号の受信(待ち受け)を開始する。
ステップS224において、計時部373は、所定の期間が経過したか否かを判定する。所定の期間が経過していないと判定された場合、処理は、ステップS225に進む。ステップS225において、応答信号受信部374は、応答信号を受信したか否かを判定する。応答信号を受信していないと判定された場合、ステップS224に戻り、それ以降の処理が繰り返される。つまり、応答信号を受信するか、若しくは、所定時間が経過するまで、処理制御部353は、送信されてくる応答信号を待ち受ける受信待機状態となる。ステップS225において、応答信号を受信したと判定された場合、処理はステップS226に進む。なお、ステップS226以降の処理が実行中も、応答信号受信部374は、それと並行して、応答信号の受信(待ち受け)を継続し、送信されてくる応答信号を適宜受信する。
ステップS226において、解析部375は、受信された応答信号を解析する。ステップS227において、条件判定部376は、無効設定部379により無効設定が行われているか否かを判定する。無効設定が行われていないと判定された場合、処理はステップS228に進む。
ステップS228において、条件判定部376は、応答信号の送信元の携帯機102が車外に存在するか否かを判定する。応答信号に含まれる情報の解析の結果、応答信号に対応する要求信号393が、LFアンテナ151またはLFアンテナ152を介して出力されたものであり、この応答信号の送信元の携帯機102は車外に存在すると判定された場合、処理はステップS229に進む。
ステップS229において、認証部377は、応答信号に含まれる携帯機102の識別情報と、携帯機登録情報391を用いて、携帯機102の認証処理を行う。ステップS230において、認証部377は、その認証処理により携帯機102の認証が成功したか否かを判定する。認証処理により、応答信号の送信元の携帯機102が、車載システム101に予め登録された正当な携帯機102であると判定された場合、処理はステップS231に進む。
ステップS231において、処理実行部378は、車両制御ECU125を制御し、施錠/開錠アクチュエータ127にドアを開錠させる。ドアが開錠されると、無効設定部379は、ステップS232において、無効設定を行い、他の応答信号を無効とする。無効設定が行われると処理はステップS233に進む。
また、ステップS227において、設定が無効でないと判定された場合、処理はステップS233に進む。さらに、ステップS228において、応答信号に含まれる情報の解析の結果、応答信号に対応する要求信号393が、LFアンテナ153乃至LFアンテナ155を介して出力されたものであり、この応答信号の送信元の携帯機102は車内に存在すると判定された場合、処理はステップS233に進む。また、ステップS230において、認証に失敗したと判定された場合、処理はステップS233に進む。
ステップS233において、処理制御部353は、未処理の受信済み応答信号が存在するか否かを判定する。未処理の受信済み応答信号が存在すると判定された場合、ステップS226に戻り、次の受信済み応答信号を処理対象とし、それ以降の処理が繰り返される。また、ステップS233において、未処理の受信済み応答信号が存在しないと判定された場合、ステップS224に戻り、応答信号の受信待機状態になって、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS224において、所定期間が経過したと判定された場合、処理はステップS234に進む。ステップS234において、優先順設定部380は、応答信号の受信結果に基づいて優先設定を行う。
ステップS234の処理が終了すると、開錠制御処理が終了され、図12のステップS204に戻り、ステップS208以降の処理が繰り返される。
次に、図12のステップS206において実行される施錠制御処理の詳細な流れの例について、図14のフローチャートを参照して説明する。なお、施錠制御処理は、施錠制御部362により制御される処理制御部353の各部により実行される。
施錠制御処理が開始されると、要求信号生成部371は、ステップS251において、ユーザの要求が施錠であるときの要求信号393である施錠要求信号を生成する。ステップS252において、要求信号送信部372は、通信部301の送信部321を制御し、送信用アンテナ122を介して施錠要求信号を送信する。施錠要求信号が送信され、計時部373により所定の時刻になったことを通知されると、応答信号受信部374は、ステップS253において、通信部301の受信部322を制御し、受信用アンテナ123を介した応答信号の受信(待ち受け)を開始する。
ステップS254において、計時部373は、所定の期間が経過したか否かを判定し、所定の期間が経過していないと判定されるまで受信待機状態で待機し、送信されてくる応答信号を適宜受信する。ステップS254において、応答信号を受信する期間として予め定められた所定の期間が経過したと判定されると、処理はステップS255に進む。
ステップS255において、応答信号受信部374は、所定期間中に応答信号を受信したか否かを判定する。応答信号を受信したと判定された場合、処理はステップS256に進む。
ステップS256において、解析部375は、受信された各応答信号を解析する。ステップS257において、条件判定部376は、応答信号の送信元の携帯機102が車内に存在するか否かを判定する。各応答信号に含まれる情報の解析の結果、応答信号に対応する要求信号393は全て、LFアンテナ151若しくはLFアンテナ152を介して出力されたものであり、車内に携帯機102が存在しないと判定された場合、処理はステップS258に進む。
ステップS258において、認証部377は、各応答信号に含まれる携帯機102の識別情報と、携帯機登録情報391を用いて、各携帯機102の認証処理を行う。ステップS259において、認証部377は、その認証処理により少なくとも1つの携帯機102の認証が成功したか否かを判定する。認証処理により、車載システム101に予め登録された正当な携帯機102が存在する(すなわち、認証が成功した)と判定された場合、処理はステップS260に進む。
ステップS260において、処理実行部378は、車両制御ECU125を制御し、施錠/開錠アクチュエータ127にドアを施錠させる。ドアが施錠されると、優先順設定部380は、ステップS261において、応答信号の受信結果に基づいて優先設定を行う。ステップS261の処理が終了すると、施錠制御処理が終了され、図12のステップS206に戻り、ステップS208以降の処理が繰り返される。
また、ステップS255において、所定期間中に応答信号を受信していないと判定されると、処理はステップS262に進む。さらに、ステップS257において、各応答信号に含まれる情報の解析の結果、応答信号に対応する要求信号393の中に、LFアンテナ153乃至LFアンテナ155を介して出力されたものがあり、車内に携帯機102が存在すると判定された場合、処理はステップS262に進む。また、ステップS259において、認証に失敗したと判定された場合、処理はステップS262に進む。
ステップS262において、処理実行部378はエラー処理を行う。ステップS262の処理が終了すると、施錠制御処理が終了され、図12のステップS206に戻り、ステップS208以降の処理が繰り返される。
次に、図12のステップS207において実行される始動制御処理の詳細な流れの例について、図15のフローチャートを参照して説明する。なお、始動制御処理は、始動制御部363により制御される処理制御部353の各部により実行される。
始動制御処理が開始されると、要求信号生成部371は、ステップS281において、ユーザの要求がエンジン始動であるときの要求信号393である始動要求信号を生成する。ステップS282において、要求信号送信部372は、通信部301の送信部321を制御し、送信用アンテナ122(LFアンテナ151およびLFアンテナ152)を介して始動要求信号を送信する。始動要求信号が送信され、計時部373により所定の時刻になったことを通知されると、応答信号受信部374は、ステップS283において、通信部301の受信部322を制御し、受信用アンテナ123を介した応答信号の受信(待ち受け)を開始する。
ステップS284において、計時部373は、所定の期間が経過したか否かを判定する。所定の期間が経過していないと判定された場合、処理は、ステップS285に進む。ステップS285において、応答信号受信部374は、応答信号を受信したか否かを判定する。応答信号を受信していないと判定された場合、ステップS284に戻り、それ以降の処理が繰り返される。つまり、応答信号を受信するか、若しくは、所定時間が経過するまで、処理制御部353は、送信されてくる応答信号を待ち受ける受信待機状態となる。ステップS285において、応答信号を受信したと判定された場合、処理はステップS286に進む。なお、ステップS286以降の処理が実行中も、応答信号受信部374は、それと並行して、応答信号の受信(待ち受け)を継続し、送信されてくる応答信号を適宜受信する。
ステップS286において、解析部375は、受信された応答信号を解析する。ステップS287において、条件判定部376は、無効設定部379により無効設定が行われているか否かを判定する。無効設定が行われていないと判定された場合、処理はステップS288に進む。
ステップS288において、認証部377は、応答信号に含まれる携帯機102の識別情報と、携帯機登録情報391を用いて、携帯機102の認証処理を行う。ステップS289において、認証部377は、その認証処理により携帯機102の認証が成功したか否かを判定する。認証処理により、応答信号の送信元の携帯機102が、車載システム101に予め登録された正当な携帯機102であると判定された場合、処理はステップS290に進む。
ステップS290において、処理実行部378は、車両制御ECU125を制御し、エンジンを始動させる。また処理実行部378は、車両制御ECU125を制御し、エンジン始動に伴い、電子ステアリングロック126にステアリングホイール214を可動とさせる。エンジンが始動されると、無効設定部379は、ステップS291において、無効設定を行い、他の応答信号を無効とする。無効設定が行われると処理はステップS292に進む。
また、ステップS287において、設定が無効でないと判定された場合、処理はステップS292に進む。さらに、ステップS289において、認証に失敗したと判定された場合、処理はステップS292に進む。
ステップS292において、処理制御部352は、未処理の受信済み応答信号が存在するか否かを判定する。未処理の受信済み応答信号が存在すると判定された場合、ステップS286に戻り、次の受信済み応答信号を処理対象とし、それ以降の処理が繰り返される。また、ステップS292において、未処理の受信済み応答信号が存在しないと判定された場合、ステップS284に戻り、応答信号の受信待機状態になって、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS284において、所定期間が経過したと判定された場合、処理はステップS293に進む。ステップS293において、優先順設定部380は、応答信号の受信結果に基づいて優先設定を行う。
ステップS293の処理が終了すると、始動制御処理が終了され、図12のステップS207に戻り、ステップS208以降の処理が繰り返される。
パッシブエントリ/パッシブスタートECU111は、以上のように、要求された処理に応じた制御処理を行う。
次に、携帯機102が実行する処理について説明する。最初に、要求信号を受信する処理の流れの例について、図16のフローチャートを参照して説明する。
要求信号受信処理が開始されると、要求信号受信部511は、ステップS401において、車載システム101より送信される要求信号の受信(待ち受け)を開始する。ステップS402において、要求信号受信部511は、要求信号を受信したか否かを判定する。要求信号を受信したと判定された場合、処理はステップS403に進む。
ステップS403において、解析部512は、受信された要求信号を解析する。ステップS404において、総合制御部513は、受信された要求信号が開錠要求信号であるか否かを判定する。ドアの開錠要求に対応する要求信号である開錠要求信号であると判定された場合、処理はステップS405に進む。
ステップS405において、開錠制御部521は、開錠制御処理を行う。開錠制御処理の詳細については後述する。開錠制御処理が終了すると、処理はステップS409に進む。
また、ステップS404において開錠要求信号でないと判定された場合、処理はステップS406に進む。ステップS406において、総合制御部513は、受信された要求信号が施錠要求信号であるか否かを判定する。ドアの施錠要求に対応する要求信号である施錠要求信号であると判定された場合、処理はステップS407に進む。
ステップS407において、施錠制御部522は、施錠制御処理を行う。施錠制御処理の詳細については後述する。施錠制御処理が終了すると、処理はステップS409に進む。
また、ステップS406において施錠要求信号でないと判定された場合、エンジン始動要求に対応する要求信号である始動要求信号であるとし、処理はステップS408に進む。ステップS408において、始動制御部523は、始動制御処理を行う。始動制御処理の詳細については後述する。始動制御処理が終了すると、処理はステップS409に進む。
さらに、ステップS402において、要求信号を受信していないと判定された場合、処理はステップS409に進む。
ステップS409において、総合制御部513は、要求信号受信処理を終了するか否かを判定する。終了しないと判定された場合、ステップS402に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
また、ステップS409において処理が終了すると判定された場合、要求信号受信処理が終了される。
次に、図16のステップS405において実行される開錠制御処理の詳細な流れの例を図17のフローチャートを参照して説明する。なお、開錠制御処理は、開錠制御部521により制御される処理制御部514の各部により実行される。
開錠制御処理が開始されると、タイミング設定部531は、ステップS421において、例えば応答タイミング情報541や要求信号の解析結果(要求信号に含まれる優先順情報)等に基づいて、応答タイミングを設定する。ステップS422において、応答信号設定部532は、例えば要求信号の解析結果等を用いて応答信号543を生成する。
ステップS423において、計時部533は計時処理を行い、共通タイミングになったか否かを判定し、共通タイミングになったと判定されるまで待機する。共通タイミングになったと判定された場合、処理はステップS424に進む。ステップS424において、応答信号送信部534は、応答信号543の1回目の送信を行う。
ステップS425において、計時部533は計時処理を行い、個別タイミングになったか否かを判定し、個別タイミングになったと判定されるまで待機する。個別タイミングになったと判定された場合、処理はステップS426に進む。ステップS426において、応答信号送信部534は、2回目の応答信号送信を行う。
ステップS426の処理が終了されると、開錠制御処理は終了され、図16のステップS405に戻り、ステップS409以降の処理が繰り返される。
次に、図16のステップS407において実行される施錠制御処理の詳細な流れの例を図18のフローチャートを参照して説明する。なお、施錠制御処理は、施錠制御部522により制御される処理制御部514の各部により実行される。
施錠制御処理が開始されると、タイミング設定部531は、ステップS441において、例えば応答タイミング情報541や要求信号の解析結果(要求信号に含まれる優先順情報)等に基づいて、応答タイミングを設定する。ステップS442において、応答信号設定部532は、例えば要求信号の解析結果等を用いて応答信号543を生成する。
ステップS443において、計時部533は計時処理を行い、第1の個別タイミングになったか否かを判定し、第1の個別タイミングになったと判定されるまで待機する。第1の個別タイミングになったと判定された場合、処理はステップS444に進む。ステップS444において、応答信号送信部534は、応答信号543の1回目の送信を行う。
ステップS445において、計時部533は計時処理を行い、第2の個別タイミングになったか否かを判定し、第2の個別タイミングになったと判定されるまで待機する。第2の個別タイミングになったと判定された場合、処理はステップS446に進む。ステップS446において、応答信号送信部534は、2回目の応答信号送信を行う。
ステップS446の処理が終了されると、施錠制御処理は終了され、図16のステップS407に戻り、ステップS409以降の処理が繰り返される。
次に、図16のステップS408において実行される始動制御処理の詳細な流れの例を図19のフローチャートを参照して説明する。なお、始動制御処理は、始動制御部523により制御される処理制御部514の各部により実行される。
始動制御処理が開始されると、タイミング設定部531は、ステップS461において、例えば応答タイミング情報541や要求信号の解析結果(要求信号に含まれる優先順情報)等に基づいて、応答タイミングを設定する。ステップS462において、応答信号設定部532は、例えば要求信号の解析結果等を用いて応答信号543を生成する。
ステップS463において、計時部533は、要求信号の解析結果に基づいて、受信された要求信号が車内前部用のLFアンテナ153から送信された要求信号であるか否かを判定する。
車内前部用のLFアンテナ153から送信された要求信号であると判定された場合、処理はステップS464に進む。ステップS464において、計時部533は計時処理を行い、第1の共通タイミングになったか否かを判定し、第1の共通タイミングになったと判定されるまで待機する。第1の共通タイミングになったと判定された場合、処理はステップS466に進む。
また、ステップS463において、車内後部用のLFアンテナ154から送信された要求信号であると判定された場合、処理はステップS465に進む。ステップS465において、計時部533は計時処理を行い、第2の共通タイミングになったか否かを判定し、第2の共通タイミングになったと判定されるまで待機する。第2の共通タイミングになったと判定された場合、処理はステップS466に進む。
ステップS466において、応答信号送信部534は、応答信号543の1回目の送信を行う。
ステップS467において、計時部533は計時処理を行い、個別タイミングになったか否かを判定し、個別タイミングになったと判定されるまで待機する。個別タイミングになったと判定された場合、処理はステップS468に進む。ステップS468において、応答信号送信部534は、2回目の応答信号送信を行う。
ステップS468の処理が終了されると、始動制御処理は終了され、図19のステップS408に戻り、ステップS409以降の処理が繰り返される。
このように携帯機102は、各処理に応じたシーケンスで要求信号に対応する応答信号543を生成し、車載システム101にそれを送信する。これにより、制御システム100は、衝突の発生を抑制し、より効率的かつ正確に通信を行うことができる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフウェアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、例えば、図1や図5に示されるように、装置本体とは別に、制御システム100の各装置にプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア131またはリムーバブルメディア425により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で管理者に配信される、プログラムが記録されているROM311またはROM431や、フラッシュメモリやハードディスクなどで構成される。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数のデバイス(装置)により構成される装置全体を表わすものである。
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。